肝 循 環 動 態 に 関 す る 研 究
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(2) 212. 橋. 本. リンパ 節 を 経 て 胸 管 に 入 る.こ の肝 リンパ 節 よ り出 た輸 出 リンパ 管 は下 方 背 側 に 走 るが,そ の 中 の 一 本. 宏. 之 6.肝. リ ンパ の 外 観 と 細 胞 成 分 の 検 討. 肝 リ ン パ 液 の 色 調,透. 明 度,凝. 固性等 の肉眼的観. は 通 常 太 く,こ れ を肝 リ ンパ 管瘻 の 作 製 に 使 用 した‑. 察 を 行 な い,細. 胞 成 分 に 関 し て は,赤. 血球 数及び白. 肝 よ り流 出 し た リンパ 管 で あ る こ とを確 認 す る ため. 血 球 数 をZurkの. 計 算 盤 で 計 測 し,有. 核 細 胞 の種 類. に, 11%のPatent. はMay. blue V色. 素 液 を1mlゆ. つ くり. と肝 左 葉 実 質 内 に 注 入 し,し ば ら く静 観 す る と肝 リ ンパ 管 及 び肝 リンパ 節 は 青 染 され て 明 瞭 に観 察 で き. 7.肝. る よ うに な る.こ こで 図1の 如 く,最 も太 い輸 出 リ 図1.. 肝. リ ン パ 管 瘻 の 作 製. Giemsa染. 色 を 施 した 肝 リンパ 液 の 塗 抹 標. 本 で 検 討 し た. リ ン パ の 比 重,総. 蛋 白量 及 び 蛋 白 分 画 の 測. 定 肝 リ ン パ 液 の 比 重 は 硫 酸 銅 法 に よ り 測 定 し,総 白 量 はBiuret法. に よ り測 定 し,そ. 蛋. れ ぞれ 血清値 と. 比 較 検 討 し た. 肝 リ ン パ 蛋 白 の 分 画 は 一 般 の 臨 床 検 査 法 に 従 い, 濾 紙 電 気 泳 動 法 に よ り検 討 し た. 8.肝. リ ンパ のBilirubin,. GPTの. Alk.. Pase及. びGOT,. 測定. 前 述 し た 血 清 に つ い て の 測 定 法 に 従 い 測 定 し,そ れ ぞ れ 血 清 値 と比 較 検 討 し た. 9.肝. ンパ 管 に直 径2乃. 至3mmのPolyethylen. Tubimgを. 挿 入 して の ち,他 の す べ て の輸 出 リンパ 管 及 び十 二 指 腸,膵 等 の 臓 器 か ら こ の肝 リンパ 節 に 入 る少 数 の 輸 入 リ ンパ 管 を 結 索 し た.な おPolyethylen. Tubing. リ ンパ のGlucose.. GlucoseはSomogy法 Henry氏. 法 に よ り,. と 略 す)は. 表 面 処 理 を施 した もの を 使 用 し た.次 にPolrethylen. Bodaneky氏. Tubingよ. す)はRourkeのJodometryに. 2.肝. リンパ 管 の観 察. Patent. blue V色. 下K+と lcium(以. 素 液 を 注 入 後,青. 染 され た 肝 リ. Non‑hemoglobin. 松 原‑Barkenの. phosphate(以. り滴下 す る リンパ 液 を しば ら く 放 置 し,. び 電解 質. に よ り, CholesterolはZak‑. は あ らか じめ 大 山 化 学 製 のSiliconizerに よ り管 内. 青 色 調 が 消 失 した 頃 か ら肝 リンパ を採 取 した.. Cholesterol及. の測 定. 下Pと. iron(以. 略 す)はFieke. 法 に よ り,. Subbarow. and. 下Na+と. 略. Natrium(以 よ り,. 略 す)はKramer‑Tiadallの 下Ca++と. 下Fe. 方 法 に よ り, Inorganic. kslium(以. 方 法 に よ りCa. 略 す)はPermanganatometry. に よ り そ れ ぞ れ 測 定 し,血. 清 値 と比 較 検 討 し た.. ンパ 管 を 肉眼 的 に観 察 し,そ の 走 行 を スケ ッチす る. 10.肝. と と もに 天 然 色 写 真 撮 影 を 行 な つ た.. 肝 リ ンパ 流 量 測 定 の 終 了 時 に 肝 の 模 状 切 片 を 採 取. 3.肝. し,. リンパ 流速 の 測 定. 11%のPatent. blue V色. 素 液 約1mlを. 圧 を加 え. な い よ うに注 意 しな が ら約3秒 間 で 肝 左 葉 の 中央 部. の組 織 学 的検 討. 10%のFormalinで. 固 定 し, Hematosylin‑Eosin. 染 色 を 施 し た 標 本 に つ い て,肝. の組織学的検討を行. つ た,. で 実 質 内 に注 入 し,注 入 直 後 か ら色 素 が肝 リ ンパ 節 V.実. に到 達 す るに 要 す る時 間 を 測 定 し,そ の値 を もつ て 1.実. 肝 リ ンパ 流 速 の 指 標 と した. 4.肝. リンパ 流 量 の 測 定. 験. 験 犬 の血 液 所 見,肝. 成. 績. 機能 所 見 及 び 肝 組 織 所. 見. 肝 リンパ 管 瘻 よ り滴 下 す る リ ンパ 液 を持 続 的 に 採. a.血. 液所見. 取 し,単 位 時 間 に お け る採 取 量 を測 定 して 流 量 と し. 肝 リンパ 管 瘻 を 作 製 した全 例 に つ い て,そ の血 液. た.な お 自然 な 流 出が 得 られて か ら10分 間以 上 静 観. 所 見 を 表1に 一 括 表 示 した.正 常 犬 群 に は特 記 す べ. した の ち の 測 定 値 を採 用 した.. き所 見 は な く, S. Schermert3)の 記 載 の よ うな 正 常. 5.肝. リンパ 管 内圧 の測 定. 採 液 中 のPolyethylen. Tubingを. 血 液像 を 示 した. CCl4中 垂 直 に立 て,管. 毒 犬 に お い て は,ヘ. マ ト. ク リ ッ ト値 の増 加,赤 血 球 数 の 増 加 及 び 白血 球 分 類. 内 を 肝 リンパ 液 が上 昇 してや が て 静止 す る高 さを 測. で エ オ ジ ン嗜 好 白血 球 の比 較 的 増加 が 特 徴 的 で あ つ. 定 し,右 心 房 の高 さを基 点 と して 計 測 した.. た..
(3) 肝. 循. 環. 動. 表1.. b.肝. 態. 実. に. 験. 犬. 関 す の. c.肝. 肝 リンパ 管 瘻 を 作 製 した 全 例 に つ い て 検 討 した 成 如 くで あ る.正. 所 見 は 正 常 値 を 示 し た. は,全. 例 に お い て,血. 高 値 を 示 し,血. 常 犬 に お い て は,各 CCl4投. 与 後60時. 清 のGOT.. 清Alk.. GPTは. PaseはNo.. びNo.. お い て 異 常 高 値 を 示 し た.血. 清BilirubinはNo1及. お い て 正 常 値 を 示 し, No. 3,. い て 軽 度 上 昇 を 認 め, 認 め た.血. 清 のTTT及. ち, CCl4投. No. 5に. びNo.. 4で. お. 異常値 血. 除 く全 例 が 異 常 反 応 を 示 し. S…. …血 清. 態 学 的 な 異 常 は 全 く認 め ず,正. No. 2.正. 常 な 肝 組 織 像 を 呈 した.. No. 3.静. 脈洞の軽度な拡張及び好中球 の 浸潤を. 肝 組 織 の変 性,壊 死 は全 く認 めず 他 に異 常 所 見 を 認 め な か つ た. No. 4.静. 脈 洞 に 好 中球 の 浸 潤 と 星 細 胞 の 肥 大 を. ご く軽 度 に 認 め た が 他 に異 常所 見 を認 め な か つ た No. 5.正. 常 な肝 組 織 像 を呈 し た.. 実 験 犬 の 肝 機 能 検 査 所 見. Ka. U…. 常 な肝. 軽 度 に認 め,何 等 か の感 染 の存 在 が 推 定 され る が,. 与 に よ る肝 機 能 障 害 は 全 例 に認. 表2.. 常犬群. No. 1.形. 全 例 が 正 常 値 を 示 し た. 1を. の組 織 学 的 検 索. 組 織 像 を呈 した.. お い て 中等 度 上 昇 を 3及. A.正. 2. No. 5に. で は ほ ぼ 正 常 値 を 示 し た.又. びZnTTは. 血 清 のCCFはNo. た.即. No. 4に. 清 のCoRはNo.. を 示 し た が 他 の3例. 見. た.. 共 に異 常 1及. No. 3, No. 4,. 2に. 所. 213. 肝 リンパ 管 瘻 の 作 製 を 行 つ た 全 例 に つ い て 検 討 し. 検査. 間 の犬 で. に お い て 正 常 値 を 示 し た が,. びNo.. 液. 究. め られ た.. 機能 検 査所 見. 績 は 表2の. 血. る 研. …Karmen. Unit. Bo. U…. …Bodansky. Unit.
(4) 214. 橋. No. 6.正 B.障. 本. 宏. 常 な 肝組 織像を呈 した.. を 軽 度 に認 め た.. 害 犬群. No. 1.写. 之. No. 4. No. 2に 近 似 し,小 葉 中心 性 の 出血 を伴 う. 真1の 如 く,小 葉 中 心 部 の肝 細 胞 は 著 明. 凝 固 壊 死 所 見 が主 体 で,中 間 帯 か ら辺 縁 帯 に か け て. な 壊 死 に 陥 り,壊 死 巣 は萎 縮 乃 至 融 解 した 肝 細 胞 核. 肝 細 胞 の変 性 と脂 肪 化 を 認 め た.. の 集 積 と好 酸 性 の胞 体 か らな る硝 子 様 凝 固 壊 死 所 見. No. 5. No. 3に 近 似 し,小 葉 中 心性 の 出 血 を 伴 う. を 呈 し,そ の 周 辺 に分 裂 像 を 呈 す る肝 細 胞 核 が 散 在. 凝 固 壊 死 所 見 を呈 し,肝 細 胞 の 脂 肪 化 を 認 め た.. す る.中 間 帯 に は水 腫 様 腫 脹 を 呈 す る肝 細 胞 及 び 軽 度 の 脂 肪 化 を認 め るが,辺 縁 帯 は正 常 像 を 呈 す る肝 細 胞 か ら な る.静 脈 洞 は拡 張 し 大 貧 喰 細 胞,好. 中球 等. の 細 胞 浸 潤 を 認 め,星 細 胞 の肥 大,腫 大 を 認 め た. No. 2.出 血 性 変 化 を 認 め, No. 1と 同 様 に, 小 葉 中心 性 の 凝 固 壊 死 所 見 を 認 め,中 間 帯 か ら辺 縁 帯 に か けて,軽 度 の 脂 肪 化 を 認 め る. 写 真1.四. 辺 縁帯には正常肝細胞 が な お 存 在 し た. No. 3. No. 1に 近 似 し,小 葉 中心性 の 出血 を 伴 う凝 固 壊 死 所 見 を 呈 し,肝 細 胞 の脂 肪 化. 塩 化 炭 素 急 性 中毒 犬 の 肝. 小 葉 中 心 部 の 肝 細 胞 は 著 明 な壊 死 に 陥 り壊 死 集 は 萎 縮 乃 至 融 解 し た肝 細 胞 核 の 集 積 と好 酸 性 の 胞 体 か ら成 る 硝子 様 凝 固 壊 死 を 呈 し,そ の周 辺 に 分 裂 像 を 呈 す る 肝 細 胞 核 が 散 在 す る.中 間 帯 に は 水 腫 様 腫 脹 を 呈 す る肝 細 胞 及 び軽 度 の 脂 肪 化 を 呈 す る肝 細 胞 が 存 在 す るが,辺. 縁 帯 に は 正 常 像 を 呈 す る肝 細 胞 が な お 存 在. す る.静 脈 洞 は 拡 張 し,大 貧 喰 細胞,好 大,腫 図2.. 中 球 等 の 細 胞 浸 潤 を認 め,星 細 胞 の 肥. 大 を 認 め る. 肝. 門. 部. 肝. リ. ン. パ. 管. の. 走. 向.
(5) 肝 以上 の結 果 か らCCl4投. 循. 環. 動. 態. に. 関. す. る. 研. 図3.. 与 後 約60時 間 に お け る障. 究 肝. 215 リ. ン. パ. 流. 速. 害 肝 の 組 織 所 見 は いず れ も酷 似 し,障 害 の程 度 は ほ ぼ 同 一 と み な す こ とが 出 来 た.(写 2.肝. 真1参 照). リンパ 管 の観 察. 肝 リンパ 管 の 走 向 を 肉 眼 的 に 観 察 し,ス ケ ッチ 及 び 天 然 色 写 真 の所 見 を 参 考 に して 模 式 的 に描 くと図 2の 如 くで あ る. 肝 リンパ 管 は 一 般 に,障 害 犬 群 に お い て正 常 犬 群 よ り も太 く,蛇 行 し,珠 数 状 の外 観 を 呈 した. 3.肝. リンパ 流 速. 正 常 犬 に つ いて は肝 リンパ 管 瘻 作製 例6例 及 び作 製 不能 例3例 合 計9例,障. 害 犬 で は肝 リンパ 管 瘻 作. 製 例5例 及 び作 製 不 能 例2例. 合 計7例 に つ い て そ れ. ぞれ 検 討 した.成 績 は表3及. び 図3の 如 く,正 常犬. で は37〜115(平 均29)秒. 均76)秒,障. 害 犬 で は14〜45(平. の 間 に分 布 し,明 らか に障 害 犬 にお い て 肝. リンパ 流 速 の 亢 進 が 認 め られ た. 4.肝. リンパ 流 量. 肝 リンパ 管 瘻 作 製 例 の う ち正 常 犬 で はNo. 6を 除 く5例,障. 害 犬 で はNo. 5を 除 く4例 につ い て 検 討. した. 表3.. 正. 常. 犬. 障. 害. 犬. 肝. リ. 持 続 的 採 液 量 を 図 示 す る と図4及 び 図5の 如 くで あ る.即. ち正 常 犬 及 び 障 害 犬 共 に ほ ぼ直 線 的 上 昇 を. 示 し,静 観 時 に お いて は,単 位 時 間 に お け る肝 リン パ 流 量 は ほ ぼ一 定 で あ る ことを 示 した.又 障 害 犬 に お い て は 正 常 犬 に比 較 して 直 線 の勾 配 は急 峻 で 肝 リ ンパ 流 量 の増 加 を示 した.単 位 時 間 に お け る肝 リン パ 流 量 の 増 加 を 表 示 す る と表4及 び 図6の 如 く,正 常 犬 で は0.32〜2.30,(平 犬 で は2.00〜3.00(平. 均1.52)ml/10min,障 均2.47)ml/10minを. 害 示 し,. 障 害犬 群 が平 均値 に お い て 正 常 犬 群 の1.6倍 を 示 し た.こ れ を体 重比 流 量 と して 比 較 す る と,正 常 犬 で は0.02〜0.14(平 で は0.12〜0.21(平. 均0.07)ml/10min/kg,障 均0.16)ml/10min/kgを. 害犬 示 し,. ン. パ. 流. 図4.. 速. 肝 リンパ 流 出 量 の 経 時的 推 移.
(6) 216. 橋. 本. 宏. 之 図6.. 図5.. リ. ン. 正. 常. 犬. 障. 害. 犬. 障 害 犬 群 が 平 均 値 に お い て 正 常 犬 群 の2,. 肝. 3倍 を 示 し. リ. ン. パ. 流. 流. 量. 30)mmH2O,障. 量. 害犬 で は50〜65(平. を 示 し,障 害 犬 群 に お い て,肝. た. 5.肝. パ. 肝 リンパ 流 出量 の経 時 的 推 移. 表4.. 1,. 1,. 成 績 は 表5に. No. 2,. No. 2,. No. 3の3例. 示 す 如 く,正. 均58)mmH2O. リンパ 管 内圧 の上 昇. を認 め た.. リンパ 管 内 圧. 正 常 犬 のNo. のNo.. 肝. No. 3の3例. 及び障害犬. に つ い て 検 討 し た. 常 犬 で は20〜40(平. 均. 6.肝. リンパ の 細 胞 成 分. 肝 リンパ 管 瘻 を 作 製 した 全 例 につ いて 検 討 した. 成 績 は表6及. び表7の. 如 くで あ る..
(7) 肝. 循 表5.. 正. 表6.. 常. 環. 動 肝. 態 リ. に. 関. す. ン パ. 管. る 研 内. 217. 圧. 犬. 肝 リンパ の 外 観 及 び 細 胞 成 分(正 常 犬). 究. 障. 害. 犬. 肝 リンパ 液 中 に は,正 常 犬 及 び障 害 犬 の全 例 に赤 血 球 を認 め た が,正 常 犬 で は全 例 が2,000/cmm以 下 の 少 数 で あ り,障 害 犬 で は40,000/cmm〜110,000 /cmmの. 間 に分 布 し,両 者 の 間 に著 し い差 を 認 め た.. 白血 球 数 は正 常 犬 で750〜4,750(平 障 害 犬 で は1,000〜3,000(平. 均2192)/cmm.. 均1,850)/cmmを. 示. し,両 者 の間 に ほ とん ど差 を 認 め な か つ た.な お 白 血 球 のす べ て は リンパ 球 に属 す る もの で,他 の有 核 細 胞 は 全 く認 め られ な か つ た. 7.肝. リン パ の比 重,総 蛋 白量 及 び 蛋 白分 画. 肝 リンパ 液 の比 重,総 蛋 白量 につ い て は,肝. リン. パ 管瘻を作製 した全 例 について検討 し,蛋 白分画 に つ い て は,肝. リンパ 管 瘻 作製 例 の うち正 常 犬 のNo.. 1を 除 く全 例 に つ いて,障 害 犬 で は 全 例 に う い て 検 討 した.表8及. び表9の 如 く,肝 リンパ の 比 重 は 正. 常犬 に お い て1.016〜1.019(平 は1.019〜1.024(平. 均1.018),血. 均1.022)で. 清で. 肝 リンパ の比 重 は. そ れ ぞ れ 血 清 値 ぶ りや や 低 い値 を示 した.障 害 犬 に 表7.. 肝 リン パ の外 観 及 び細 胞成 分(障 害 犬). お い で は1.010〜1.018(平 1.016〜1.026(平. 均1.015),血. 均1.020)で. 清 で は. 正 常 犬 群 と 同様 に そ. れ ぞ れ 血 清値 よ り や や低 値 を示 した. 肝 リンパ の 総 蛋 白 量 は正 常 犬 で は3.40〜4.70(平 均4.10)g/dl,血. 清 で は4.50〜6.86(平. g/dl,障 害 犬 で は2.62〜5.60(平 血 清 で は4.38〜6.80(平. 均5.60). 均4.23)g/dl,. 均5.88)g/dlで. そ の うちで,障 害 犬 のNo. 1及 びNo.. あ つ た.. 2で は 比 重 は. 低 値 を示 し,そ れ と平 行 して 肝 リンパ の 総 蛋 白量 も 低 値 を 示 し,正 常 犬 群 と異 つ た値 を示 した.又 肝 リ ンパ の 総 蛋 白量 は血 清値 に 近 い高 値 を示 した が,そ れ ぞ れ血 清 値 よ り低 値 を示 した. 又 蛋 白分 画 は表8及. び表9の 如 く,正 常 犬,障 害. 犬 共 に それ ぞ れ の血 清 の蛋 白分 画 に 酷 似 し た. Al buminとGlobulinの 害 犬 のNo.. 比(以 下A/G比. と略す)は 障. 2を 除 く全 例 に お い て血 清 値 よ り も高値. を 示 した.又 正 常 犬 と障 害 犬 と の比 較 で は,正 常 犬.
(8) 218. 橋. が0.74〜1.38(平. CCl4中. 白分 画(正 常 犬)():血. 清値. 表9.. 肝 リンパ の 比 重,蛋. 白分 画(障 害 犬)():血. 清値. あ り,障. 肝 リ ンパ のGOT. 5を. 真2参 GPT,. GPTは. 5及. 害 犬 で はGOT.. 瘻 作 製 例 の 全 例(5例)に. Pase. Bilirubin. に つ い て, 6を. 除 く4例. APTは. つ い て,. Alk.. Alk.. 均39)Barmen. Pase及. (平 均48)Ka. U,. Alk.. Paee. Unit(以. につ. 均2.9)Bo.. 肝 リンパ 管 び. 除 く4例. 正 常 犬 に つ い て み る と,肝. に つ い て 検 討 し た.. 均32)Ka.. U,血. Uを. Uと. 均0.04)mg/dl,血. 如 くで あ る.. U,. uと. 略 す),. GPTは31〜70. 均2.3). 略 す)血. 示 し,肝. ぼ 近 似 す る 値 を 示 し た.と 〜0.08(平. 下Ka.. 清 で は24〜77(平. Paseは1.2〜2.7(平 下Bo.. び11の. リ ン パ のGOTは21〜. Unit(以. 血 清 で は20〜54(平. 照) Alk.. びNo.. 5を. 測 定 値 を 一 括 表 示 す る と,表10及. 55(平. 正 常 犬 で は 肝 リ ンパ 管. 除 く5例. 及 びBilirubinはNo. い て 検 討 し,障. あ つ て,. の 低 下 の 傾 向 が 肝 リ ンパ,. リ ンパ のGOT,. 瘻 作 製 例 のNo.. 均. 均0.55)で. 白量,蛋. BilirubinはNo.. 清 で は0.72〜0.86. 害 犬 は0.43〜0.94(平. 血 清 共 に 認 め ら れ た.(写 8.肝. 之. 肝 リンパ の 比 重,蛋 白 量,蛋. 清 で は0.41〜0.90(平 毒 に よ るA/G比. 宏. 表8.. 均0.96),血. (平 均0.77)で 0.59),血. 本. 均50)Ka. Bodaneky. 清 で は2.7〜3.2(平. リ ンパ,血. 清 の両 者 は ほ. こ ろ が 総Bilirubinは0 清 で は0.20〜0.33.
(9) 肝. 写 真2.. 循. 環. 動. 態. に 関. 肝 リ ン パ 蛋 白 の 分 画(血. す. る 研. 清 値 と の 比 較)障. 肝 リン パ 蛋 白 の 分 画 は,血 清 蛋 白 の分 画 に酬 似 す るがA/G比. 究. 219. 害 犬No.. 4. は肝 リン パ に お い て. 高 値 を示 す 傾 向が み られ る. 表10.. 肝. リ ン パ のTransaminase,. Phosphatase,. Ka.. U.:. Karmen. Bo.. U.:. Bodansky. Alkaline. Bilirubin(正. Unit Unit. ():血. 表11.. 肝. 常 犬). 清 値. リ ン パ のTransaminase,. Phosphatase,. Ka.. U.:. Karmen. Bo.. U.:. Bodansky. Bilirubin(障. Unit():血 Unit. Alkaline 害 犬). 清 値.
(10) 220. 橋. (平 均0.25)mg/dl,直. 接Bilirubinは0〜0.02(平. 均0.01)mg/dl,血 mg/dlを. 本. 清 で は0.11〜0.20(平. 示 し,肝. 宏. 之. し,そ. 均0.16). れ ぞ れ 血 清 値 と 比 較 検 討 し た.. 正 常 犬 で はNo.. リンパ が血 清 に比 較 して低 値 を示. し た.. 5及. 障 害 犬 に つ い て み る と,肝 均940). (平 均1,874) 均4,112) 8,300). Ka.. Ka.. Ka.. U,血. Ka,. Uを. U,血. U,. No. 2及. リ ン パ のGOTは210 清 で は250〜4,050. 示 し,い. 5及. びNo.. 示 す る.正 均. ず れ も血 清 値 の 著 明 な上. 示 し,全. 高 値 を 示 し た.. Bo.. Uを. U,血. Paseは1.2〜5.2(平. 清 で は2.3〜37.7(平. 示 し,血. 均15.5). 〜155. を 示 し,全. 〜3.95(平. し た.障. 0.81)mg/dl,血 mg/dlを. 清 で0.53〜4.32(平. 接Bilirubinは0〜2.85(平. 示 し,そ. 清 で は0.33〜2.48(平 の う ち でNo.. 3及. 均 均1.12). びNo.. 4に. い て 血 清 値 の 上 昇 を み た 例 で は 肝 リ ンパ の 値 も 上 昇. 152.0mEq/Lを. す る 傾 向 を 認 め た.し. か つ た. な お,. リ ン パ のGlucose.. Cholesterol及. 肝 リ ン パ のGlucoseは,正 ン パ 管 瘻 作 製 例 のNo. い て は 管 瘻 作 製 例 のNo.. 表12.. び電 解 質. 常 犬 に つ い て は,肝. 6を. 除 く5例. 1及. びNo.. で,障 2に. 2で. リ. は 表13の. 如 く血 清 値 が. 正 常 犬 で は121.0mg/dl. 5も. 同 様 に 肝 リ ンパ が 低 値 を 示. した. 肝 リ ンパ のNa+は. か し い ず れ も 血 清 値 よ り低 値. Fe,. 正 常 犬 で は105.0mEq/L〜. 示 し,血. 清 で は102.0mEg/L〜. 示 し両 者 の 間 に ほ と ん ど 差 を 認 め な. P及. びK+,. Ca++等. の電 解 質 に 関 し. て 測 定 を 行 つ て い る が 例 数 も少 く表 示 す る に と ど め た.. 害犬 につ つ い て 測定. 肝 リ ン パ のGlucose,. 如. 例 に おい て 肝 リンパ が血 清 よ り低 値 を 示. 159.0mEq/Lを. を 示 し た.. 表12の. 清 で は160.5ms/dl〜218.5mg/dl. 害 犬 のNo.. お. 9.肝. 害 犬 のNo.. .5mg/dl,血. ず 肝 リ ン パ の 値 は 低 値 を 示 し た.総Bilirubinは0. 均1.78)mg/dl,直. そ の他 の電. 清 で は70mg/dl〜315mg. 肝 リ ン パ のCholesterolは. 清 値 の 著 明 な 上 昇 に もか か わ ら. 均1 .16)mg/dl,血. Na+. と障 害 犬 の. 例 に お い て 肝 リ ン パ が 血 清 よ り高 値. を 示 し た.障. Bo.. 除 く4例. つ い て 検 討 し た.又. く99mg/dl〜320mg/dl,血 /dlを. を 示 す 例 は な か つ た. 均2.9). 6を. 常 犬 で は 肝 リ ン パ のGlucoseは. 昇 に 伴 つ て 上 昇 す る 傾 向 を 示 し た が 血 清 値 よ り高 値 Alk.. と障 害 犬 の. 清 値 と 比 較 検 討 し た.. びNo.. 4に. Cholesterolは,. 除 く4例. 解 質 に つ い て は 測 定 し 得 た 例 数 も少 く成 績 は 一 括 表. GPT.は1,260〜10,200(平 清 で は4,100〜17,500(平. 6を. No. 5に つ い て 測 定 し,血 は 正 常 犬 のNo.. 〜2 ,250(平. びNo.. Cholesterol,及. び 電 解 質(正. 常 犬)():血. 清値.
(11) 肝 表23.. 循. 環. 動. 肝 リ ン パ のGlucoser. 態. に. 関. Cholesterol及. す. る 研. 究. び 電 解 質(障. 221. 害 犬). ():血. 清値. の 部 位 の圧 は 相 当 に 上 昇 して い る もの と考 え ね ば な VI.総. 括 並 に 考 按. らず,生 理 的 場 に お け る肝 リンパ 流 速 の 測 定 に 関 し. 1.肝. リ ンパ の 生 理 学 的 検 討. て は 今 後 さ ら に検 討 を 加 え る必 要 が あ る15).し か し. a.肝. リンパ 管 の観 察. 同 一 条 件 下 で 障 害 犬 群 は 正 常犬 群 に比 較 し,肝. Baggestose14)は 人 の肝 硬 変 症 例 の 剖 検 時 に,肝 門 部 の肝 リンパ 管 の 太 さ,数,走 的検 討 を行 い,肝. 向 な ど につ き形 態 学. リンパ 管 は太 さ の増 加 よ り もむ し. ろ数 の増 加 を 特 徴 と して い る と述 べ て い る. CCl4中 毒 犬 に つ い て の こ の種 の研 究 は み あ た らな い が,著 者 がPatent‑blue. V色. 素 液 を肝 リンパ 系 に注 入 して. 肝 リン パ 管 を 観 察 した と ころで は,障 害 犬 に お い て は正 常犬 に 比 較 し,一 般 に肝 リンパ 管 は太 く,屈 曲 蛇行 し,珠 数 状 の観 を呈 した.こ の 変 化 は障 害 犬 に お け る肝 リンパ 流 量 の増 加 に 基 づ く変 化 と思 わ れ. b.肝. に伴 う一 連 の変 化 と考 え られ る. c.肝. リンパ 流 量. J. L. Bollman10)は 作 製 し, T‑1824を. 犬 を使 用 して肝 リンパ 管 瘻 を 肝 実 質 内 に注 入 し た と ころ,肝. リンパ 管 中 に は色 素 が現 れ る が胸 管 中 に は現 れず, この ことか ら肝 リ ンパ 管 瘻 か ら流 出す る肝 リンパ 液 は肝 で 生成 され た リンパ 液 の大 部 分 を 占 め る もの と して 量 的測 定 が可 能 で あ ると報 告 して い る.彼 等 は 12kg〜26kgの. 正 常 犬 を使 用 して肝 リ ンパ 流 量 を測. 定 し,麻 酔 下 で は0.5〜5.8(平. た.. 著 者 は 生 理 学 的 条件 下 で 肝 リンパ 流 速 を 測 定 す る た め に 肝 リンパ 系 に 色 素 を 注 入 して,肝. リンパ 管 の. 一 定 の 限 られ た 区間 を色 素 が 移 動 す る に要 す る時 間 を もつ て 肝 リンパ 流 速 の 指 標 とす る方 法 を 採 用 した. 即 ち 肝 左 葉 の 中央 部 で肝 実 質 内 にPatent. blue V色. 素 液 を 圧 を 加 え な い よ うに 注 意 しな が ら約3秒 間 で 注 入 し,注 入 直 後 か ら肝 リンパ 節 に色 素 が 到 達 す る に 要 す る時 間 を測 定 した.正 常 犬 群 が37〜115(平 均76秒),障. 害 犬 群 が14〜45(平. 障 害 犬 群 に お い て,あ. 均2.96)ml/10min,. 麻 酔 を 施 さな い 犬 で は0.3〜5.2(平. リンパ 流 速. 均29)秒. を 示 し,. き らか に 肝 リンパ 流 速 の亢 進. が み られ た.肝 実 質 内 に 色 素 を 注 入 す る方 法 は肝 リ. リン. パ 流 速 の 亢 進 を 示 した こ とは肝 リンパ 生 成 量 の 増 加. 均1.83)ml/10. minを 示 した と報 告 して い るが 肝 障 害 動 物 に お け る 肝 リンパ 流 量 の 測 定 は ほ とん どみ られ ない.著 者 の 麻 酔 下 で 測 定 した 正 常 犬 とCCl4中. 毒 犬 の 成 績 で は,. 正 常 犬 で0.32〜2.30(平. 均1.52)ml/10min,体. 比 に して0.02〜0.14(平. 均0.07)ml/10min/kgを. 示 し,障 害 犬 で は2.00〜3.00(平. 均2.47)ml/10. min,体. 均0.16)ml/10. min/kgを. 重 比 に して0.11〜0.21(平 示 した.即. 重. ち障 害 犬 群 が平 均値 に お い て. 正 常 犬 群 の2, 3倍 の 増 加 を 示 し た こ と と な り, CCl4中 毒犬 の肝 に お け る リンパ 生 成 量 の増 加 を意 味 す る もの と考 え られ た.. ンパ 管 に 直 接 に注 入 圧 を か け る こ とを 避 け る意 味 で. d.肝. 用 い た もの で あ るが,注. 一 般 に ,リ ンパ 管 圧 に関 す る報 告 は 胸管 に つ い て. 入 部 に 色 素 液 が 貯 留 して そ. リンパ 管 内圧.
(12) 222. 橋. の もの が 多 く,肝. 本. リンパ 管 内圧 に 関す る報 告 は ほ と. 宏. 之. り低 値 を 示 し,従 来 の報 告 に 一 致 す る 成 績 を 示 し. ん どみ られ な い16).又 リン パ管 内圧 は従 来 か ら終 末. た.. 圧 で 測 定 さ れ て い るが,リ. ンパ 液 の鬱 滞 に よ つ て 容 易 に拡 張 す る の で終 末 圧 は. 肝 リンパ の 蛋 白分 画 に 関 して は, F. Renvi‑Vamos 23)が 人 及 び 犬 につ い て , C. K. Drinker and J. M.. 生 理 的 状 態 で の 圧 を 反 映 し てい な い.著 者 は肝 リ ン. Yoffey15)が 犬 そ の他 の 動物 に つ い て, M. Friedman. パ が垂 直 に 立 て られ たPolyethylene. et al24),はRatに. ンパ 管 は弾 力 性 に富 み リ. Tubingに. 押 し. つ い て肝 リンパ の 蛋 白分 画 を 濾. 出 さ れ て や が て 静 止 す る点 の高 さ,即 ち初 圧 を もつ. 紙 電 気 泳 動 法 に よ り測 定 して い る.こ れ ら の報 告 に. て 肝 リ ンパ 管 内 圧 と し た.測 定 値 よ り,正 常 犬 で20. よ る一 致 した 見 解 は肝 リンパ 蛋 白 が血 清 蛋 白 のす べ. 〜40(平. て の 分 画 を 有 し,し か も各 分 画 の百 分 率 に お いて も. 均30)mmH2O. mmH2Oを. ,障 害 犬 で50〜65(平. 均58). 示 し,障 害 犬 に お いて 肝 リンパ管 内 圧 の. 上 昇 を 認 め た. e.肝. が 血清 のそ. れ に 比 較 して 高 値 を 示 す こと な ど で あ る.著 者 の 測. リンパ の 細 胞 成 分. 定 に よつ て も,こ れ と同 様 に全 例 に お い て肝 リンパ. 赤 血 球 が リンパ 管 中 に混 入 す る事 実 は, M. H. Ro ae, J. Furth,. 血 清 値 に 酷 似 す る こ と,さ ら にA/G比. & R. R. Bigelow17)ら. の放 射 線 に よ る. 蛋 白の 分 画 は血 清 の それ に 酷 似 し, A/G比 犬 の 全 例 及 び 障 害 犬 のNo.. は正 常. 2を 除 く4例 に お い て 肝. 障 害 犬 に お け る実 験 で も認 め られ て い る.著 者 の成. リンパ が 血 清 に比 較 し て高 値 を 示 し た.次 にCCl4. 績 で は正 常犬 の 全 例 に少 数 の赤 血 球 を認 め,障 害犬. 中 毒 犬 に お い てA/G比. で は全 例 に 著 しい 赤 血 球 の増 加 を認 め た.こ の こ と. 犬 に 比 較 して 低 値 を 示 し た.以 上 の成 績 か ら血 清 蛋. は肝 毛 細 リンパ 管 が あ る部 位 に お いて は赤 血 球 に対. 白 の す べ て の 分 画 は 肝 の 静 脈 洞 毛 細 血 管 か ら肝 の 組. して 開 放 的 で あ り, CCl4障 害 に よつ て こ れが 増 強 さ. 織 間 隙 に 漏 出 し得 る こ と.即 ち肝 リ ンパ 蛋 白 の 起 源. れ る こ とを示 す もの と考 え られ る.. が血 清 蛋 白 に あ り, Albuminに. 肝 リ ンパ 液 中 の 有 核 細 胞 数 及 び その 種 類 に 関 して は,杉 本,岡. 井18)等の 報 告 が あ る.そ れ に よ る と,. 正 常 家 兎6例. に つ い て 細 胞 数 は1,210〜3,880(平. 均2,730)/cmm,細 99.4(平. 球 が0.6〜2.5(平. 関 して は肝 で 生成 さ. 暗示 して い る. b.肝. 均1.5). 清 共 に正 常. れ た もの の一 部 が 直 接 肝 リンパ 系 に入 る こ とな どを. 胞 の 種 類 は リンパ 球 が97.5〜. 均98.5)%,単. は肝 リンパ,血. リ ンパ のGOT.. GPT.. Alk.. Pase. Biliru. bin 正 常 犬 群 に お い て は,肝. リンパ のBilimbinが. 血. %に 認 め られ る と報 告 して い る.著 者 の測 定 に よ る. 清 値 に比 較 して 低 値 を示 した 以 外 に は特 に注 目す べ. と,細 胞 数 は正 常犬 で750〜4,750(平. き点 は な く, GOT.. /cmm,障. 害 犬 で1,000〜3,000(平. 均2,025) 均1,850)/cmm. GPT.. Alk. Paseは. ほ ぼ血 清値. に近 い値 を示 した. G. A. Fleieher及 びK.. G. Wa. で あ り両 者 の 間 に 差 が な く,又 細 胞 の 種 類 は す べ て. kim11),は 犬 を 使 用 した実 験 で,血 清Traneaminase. リンパ 球 で 他 の有 核 細 胞 は 全 く認 め な か つ た.. 活 性 値 はCCl4投. 与 後48時 間 乃 至72時 間 に最 高 値 に. 2.肝. リンパ の生 化学 的 検 討. 達 し,以 後 急 速 に低 下 す る と報 告 して い る.著 者 の. a.肝. リ ン パ の 比 重,総. 成 績 は,血 清Transaminase活. 蛋 白量 及 び 蛋 白分 画. 肝 リ ン パ の 蛋 白 量 に 関 す る 報 告 は, ing19),に Brinkhaus,. 始 り, M. E. Field, &. S. A.. J. H. Grindley10)等. Walker. &. E. H. Starl‑. O. C. Leigh20),. 21), J. L. K. M.. Bollman. and. T. GPTは GOT.. GPTも. いず れ も異 常 高 値 を 示 し,肝. リンパ の. これ に 伴 つ て 高 値 を 示 し た.し か し. ず. な が ら この 時 点 に お いて は,血 清 値 が 肝 リンパ 液 に. れ も肝 リ ンパ の 蛋 白 量 は 他 の 体 部 リ ン パ の そ れ に 比. お け る活 性 値 よ り高 値 を 示 し,肝 細 胞 よ り組 織 液 を. 較 して 高 値 を 示 し,血. 経 て血 清 と肝 リンパ の両 者 へ 向 つ て 酵 素 が 移 行 す る. て い る.著. に よ つ て な さ れ て い る が,い. 性 値 が 最 高 値 を示 す. CCl4投 与 後60時 間 に 測 定 され て い る が,血 清 のGO. 清 値 に近 い 値 を示 す と報 告 し. 者 の 測 定 に よ る と 肝 リ ン パ の 比 重 は,正. 常 犬 に お い て1.016〜1.019(平 に お い て1.010〜1.018(平. 均1.018),障 均1.015)を. 害犬. 示 し た.し. 状 態 は 推 察 し得 な か つ た. 肝 リンパ のAlk.. Paseに お い て も正 常 犬 及 び 障 害. 犬 は共 に血 清 値 よ り肝 リンパ 液 が低 値 を 示 した.特. か し全 例 につ い て血 清 値 よ り高値 を 示 す も のは なか. に障 害 犬 で 血 清Alk.. つ た.又. に お い て も肝 リンパ のAlk.. 肝 リ ンパ の 蛋 白 量 は 正 常 犬 で3.40〜4.70. (平 均4.10)g/dlで,文 パ22)に. 献 的 にみ た 他 の 体 部 リン. 比 較 して高 値 を 示 し たが そ れ ぞ れ 血 清 値 よ. Paseの 異 常 高 値 を 示 した2例 Paeeは 正 常 値 を 示 し興. 味 あ る所 見 と考 え られ た.又Bilirubinも. 正 常犬及. び障 害 犬 の全 例 に お い て血 清 よ り肝 リンパ が低 値 を.
(13) 肝. 循. 環. 動. 態. に. 関. す. 〜0.14(平. 示 し た. c.肝. リ ン パ のGlucose.. Fmiedman24)はRatを. び電解質. 使 用 し て 肝 リ ン パ のGlucoce. 及 びCholesterolを い る.そ. Cholesterol及. 測 定 し,血. れ に よ る と,正. 常Rat. 9例. に つ い て肝 リ. 均232)mg/dl. 究. 223. 均0.07)ml/10min/kgを. 示 した .. CCl4中 毒 犬 に お い て は 肝 リンパ 管 の 拡 張,肝 パ 流 速,肝. 清 値 と比 較 検 討 し て. ン パ のGlucoseは165〜450(平. る 研. リン. リンパ 流 量 及 び 肝 リンパ 管 内圧 の増 加 を. 認 め 肝 リンパ 生成 量 の 増 加 が 推 察 され た. 2.肝. リンパ 液 中 に は 常 に 赤 血 球 が 少 数 に認 め ら. .血. れ た が, CCl4中 毒 犬 に お い て 著 しい 赤 血 球 の 増 加 が. 例 に. 認 め られ た.こ の こ とは 肝 毛 細 リンパ 管 が あ る部 位. 28. に お い て 赤血 球 に 対 して 開 放 的 で あ り, CCl4障 害 に. 例 に つ い て 肝 リ ン パ のCholesterolは12〜48(平. 均. よ つ て これ が 増 強 され る こ とを 示 す もの と考 え られ. 33)mg/dl,血. 示. た.又 有核 細 胞 は リンパ 球 の み が 認 め られ 他 の 細 胞. 清 で は100〜200(平. 均149)mg/dlを. 示 し,全. お い て 肝 リ ン パ が 血 清 よ り高 値 を 示 し,正. し,全. 清 で は55〜90(平. 常Rat. 均75)mg/dlを. 例 に おい て 肝 リンパ が血 清 よ り低値 を示 した. と報 告 し て い る.著. 者 の測 定 の結 果 で は 正 常 犬 にお. け る 肝 リ ン パ のGlucoseはNo.. 3を. 除 く全 例 に お い. て 血 清 値 よ り高 値 を 示 し, Cholesterolは 値 よ り 低 値 を 示 し, Friedmanの. 全 例 が 血清. 成 績 と 一 致 し た.. 著 者 が 測 定 し た 肝 リ ンパ のNa+は. 測 定例 の 全例. 以 上 の 如 く,肝. リ ン パ の 生 化 学 的 検 討 を 行 い,. 画,. Glucoseは. を 示 し,. Bilirubin.. Alk.. 肝 リ ンパ が 血 清 よ り高 値 Pase.. Cholesterolは. ン パ が 血 清 よ り低 値 を 示 し た.こ. 3.肝. リンパ の比 重及 び 蛋 白 量 は血 清値 に 近 い 高. 値 を 示 し,蛋 白 の分 画 も血 清 の そ れ に 酷 似 した が, A/G比 に 関 して は肝 リンパ が血 清 よ り高値 を 示 した 点 な どか ら,血 清 蛋 白 の す べ て の分 画 は肝 の静 脈洞 毛 細 血 管 か ら組織 間 隙 に 漏 出 し得 る こ と,即 ち肝 リ ンパ 蛋 白 の 起 源 が血 清 蛋 白 に あ り, Albuminに. に お い て 血 清 値 に ほ ぼ 等 し い 値 を 示 し た.. Albumin分. は 全 く認 め られ な か つ た.. 肝 リ. の こ とは肝 細 胞 と. 関し. て は肝 で生 成 さ れ た もの の一 部 が直 接 肝 リンパ 系 に 入 る こと な ど を暗 示 す る成 績 を 得 た.又Glmcoseは 血 清 値 と比 較 して 肝 リ ンパ が高 値 を示 し, Bilirubin, Alk.. Pase, Cholesterolは 血 清 値 と 比 較 して 肝 リン. 血 液 との 間 の 物 質 代 謝 の面 か らみ て興 味 あ る所 見 と. パ が低 値 を示 し た.こ れ 等 の こ と は肝 細 胞 と血 液 の. 考 え ら れ る.. 間 の物 質 代 謝 の面 か ら興 味 あ る所 見 と考 え られ た. V.結. 正 常 及 びCCl4中. 論. で 肝 リ ン パ 管 瘻 を 作 製 し,肝 を 中 心 と し て 検 討 し,次 1.肝. 本 論文 の要 旨 は 日本 消 化 機 病 学 会 中 国 四 国 第9回. 毒 犬 を 用 い てNembutal麻. 酔下. リ ンパ の 生 理 学 的 変 動. 稿 を 終 る に あた り御 指 導 下 さい ま した 島 田 講 師 に. の 知 見 を 得 た.. リ ン パ 流 量 は 正 常 犬 に お い て0.32〜2.30. (平 均1.52)ml/10minを. 示 し,体. 感 謝 致 し ます.. 重 比 に し て0.02. 文 1) Disse, J. Uber die Lymphbahnen der Savgetiere. Arch. mikr. Anat. 36:. 地 方 会 で発 表 した.. 献 6) Bollman, J. L. Studies of hepatic lymphaticus. Liver Injury.. 203, 1890.. in the Liver. Bull. J. Hopk. Hosp. 12: 146,. 9 th.. Conf. J.. Research in the service of Medicin 37:. the Liver cells to the blood vessels and lympha. 8). ticus. Proc. Physiol. Soc. Lond. 23, 1906.. 9) Field, HI. E., & Drinker,. trib. Embryol.. 74:. 65, 1925.. 5) Eppinger, H. Die Leberkrankheiten. Wien. 1937.. 鈎 ス ミ子:日. Physiol., 10) Bollman,. Springer,. 26,. 1953.. P. T. & S. Simpson, The relation of. 4) Lee, F. C. On the lymphaticus of the liver Con. Macy. 7) Elias, H. Functional morphology of the liver.. 1901. 3) Herring,. Trans.. Found. New York, 1951.. 2) Mall, F. P. On the origin of the lymphaticus. 本 循 環 器 学 会 雑 誌,. 116:. C. K.:. 39, 1964.. Am. J.. 587, 1936.. J. L., J. C. Cain, J. H. Grindley,. E. V. Flock, & F. C. Mann: & Obst:. 28:. 85:. 558. 1947.. Surg. Gynec..
(14) 224. 橋. 11) Fleisher, G. A., & K. G.. Wakim: Exp. Biol. and Med. 106: 12). 古 川 博:奈. 良 医 学 雑 誌,. 13) Schermer, S.: ratoriustiere.. 本. 宏. Proc. Soc.. 1952.. 283, 1961.. 12:. 731,. 19) Starling,. 1960.. Die Blutmorphologie der Labo. 20) Field,. Johann Ambrosias Barth. Verlag. J.. Physiol, Lond.,. tings of the Mayo Clinic,:. M. E., O. C. Leigh, J. W. Heim, &. C. K. Drinker:. Am. J. Physiol., 1.10: 174,. 32:. Staff Mee. 21) Brinkhaus,. 22. 1957.. C. K., & J. M. Yoffey,:. Physiol.,. Lympha. K. M. & S. A. Walker: 132:. 22) Spector, W. S.:. Handbook of Biological Data.. W. B. Saunders Company,. Univ.. London. 1958.. 16) Lee,. F. C.:. 1941. Arch.. Surgery,. 48:. (5) 355,. MTA. V Osjt. Kozl: & R. R. Bigelow. 24) Friedman,. Blood 7, 417, 1952. 杉 本 公 平,岡. 井 章:日. II.. J. Physiol. 本 組 織 学 記 録,. 3:. Studies. on. Characteristics. Philadelphia. and. 23) Renvi-Vamos, F., Z. Szendroy. & P. Magashi.. 1944. 17) Ross, M. H., J. Furth,. Am. J.. 666, 1941.. ticus, Lymph, and Lymphoid Tissue. Harvard. Press.,. 16:. 1934.. 14) Baggenstoss, A. H., & J. C. Cain:. 18). E. H.:. 224, 1894.. Leipzig, 1958.. 15) Drinker,. 之. 1:. 97, 1955.. M., S. O. Byers, & C. Omoto: Am. 184:. 11, 1956.. 371,. Hepatic. Hemodynamics. of Hepatic. Lymph. in the. Dog.. By Hiroyuki. Hashimoto. The First Department of Internal Medicine Okayama University (Director: Prof. Kiyowo Kosaka). Medical School. To study dynamics and physico-chemical properties of the hepatic lymph of normal dogs, cannulation of hepatic lymph duct was performed under nembutal anesthesia, and the lymph flowing out of the fistula was continuously collected. Similar experiments were also carried out on dogs with acute carbon tetrachloride poisoning. The results were as follows. 1. The average rate of hepatic lymph flow was 1.52cc per 10 minutes (0.07cc per 10 minutes per kilogram) in normal mongrel dogs. 2. In dogs with acute carbon tetrachloride poisoning, not only the average rate of he patic lymph flow but also the pressure and the diameter of lymphatic vessels of the liver was remarkably increased. 3. More or less cellular elements, mainly lymphocytes, even some red blood cells, were detected in the liver lymph of intact dogs. A marked increase of red blood cells were obs erved in the lymph of dogs with acute carbon tetrachloride poisoning. This fact indicated that the lymph-canaliculus of the liver was open to red blood corpuscles in part, and this phenomenon was manifested by carbon tetrachloride poisoning. 4. The liver lymph contained approximately similar amount of protein to the serum and all the protein fractions as observed in the serum. The A/G quotient was usually higher in the liver lymph than in the serum. These data would suggest that all fractions of seum protein are able to leak out from the sinusoid walls and enter the lymphatic. system of the.
(15) 肝 liver.. Furthermore,. 循. 環. albumin. produced. lymph. contained. 動. 態. by. the. に. 関. す. hepatic. る 研. cells. may. 究. 225. directly. enter. this. lymphatic. system. 5. amount that. The. cholesterol. and. a greater alkaline. amount phosphatase. of glucose in hepatic. than. serum. lymph. , was. whereas smaller. the than. cells. and. in serum. The. lymph. hepatic. of bilirubin,. results or. blood. are. of. interest. is considered.. when. the. transfer. of. metabolites. between. hepatic.
(16)
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