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目 次 1 章 緒 言 章 試 験 片 混 合 仮 焼 き 粉 砕 成 形 焼 成 分 極 処 理 章 実 験 方 法 材 料 特 性 の 評

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(1)

平成

25 年度修士論文

BNT-BKT 系非鉛圧電セラミックスの

圧電および機械的特性

Piezoelectric and mechanical properties of

(Bi

0.5

Na

0.5

)TiO

3

(Bi

0.5

K

0.5

)TiO

3

lead-free

piezoelectric ceramics

高知工科大学大学院 工学研究科 基盤工学専攻

知能機械システム工学コース

1165023

上田悠平

(2)

目次

1 章 緒言 ... 1 2 章 試験片 ... 3 2-1 混合 ... 3 2-2 仮焼き... 3 2-3 粉砕 ... 4 2-4 成形 ... 4 2-5 焼成 ... 6 2-6 分極処理 ... 10 3 章 実験方法 ... 11 3-1 材料特性の評価 ... 11 3-3 破壊じん性値 ... 13 3-4 3 点曲げ試験 ... 14 4 章 実験結果および考察 ... 16 4-1 SEM および XRD 解析 ... 16 4-2 静電容量,圧電定数 ... 18 4-3 破壊じん性値 ... 19 4-4 曲げ強度 ... 21 5 章 結言 ... 23 6 章 参考文献 ... 24 7 章 謝辞 ... 26

(3)

1

1章 緒言

圧電セラミックスは図 1 に示すように,機械的圧力を加えると材料表面に電荷を発生さ せる圧電効果と,逆に電圧をかけると形状が変化する圧電逆効果を持つ材料であり,機械 的エネルギーと電気的エネルギーを可逆的に変換できる特徴をもっている.このためセン サーやアクチュエーターとして使用されている他,両特性を活かして,知能材料としての 応用も盛んに研究されている. 圧電セラミックスの多くは,ペロブスカイト構造を有している.典型的な正方晶ペロブ スカイト構造の例は室温におけるBaTiO3で,図2 に示すよう<001>に沿って,Ba2+と Ti4+の両イオンがO2-と逆方向に変位する.その結果<001>方向に格子は伸び,単位格子, c/a>1 の正方晶になる.それと同時に外部電場が存在しなくても分極が 0 とならない自発 分極が生じる.この自発分極は外部電界によりその向きを変えることが可能で強誘電体を 発現する. 強誘電体は,圧電性をも示す.また自発分極の大きさは,一般に温度の関数であり,温 度が変化すると分極が変化する.この現象を焦電性という. 自発分極が外部電場で反転するという性質はセラミックスの圧電性,焦電性を利用する うえで重要である.すなわち,この性質により分極方向をそろえるための分極処理が可能 となり,結晶粒内の分極方向がランダムに配向した圧電セラミックスにおいても分極処理 を施すことでバルク全体として圧電性,焦電性が現れる(1) 現在一般的に使用されている圧電セラミックの多くはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で ある.PZT は高い圧電特性を有し,分極処理が容易である点やキュリー点(圧電特性を失 う上限温度)が約 300℃と高いなどの利点がある.しかし,人体に有害であり環境への負荷 が大きな鉛が含まれている.鉛を含有するはんだを使用した製品が投棄されると,各種排 気ガスが原因とされている酸性雨により,はんだ中の鉛が溶けて地下水に流れ込む,ある いは地中に浸透するなどして,やがて人体に入る可能性がある.現在この自然サイクルに よる人体への鉛の蓄積が問題となっている(2).このような物質の使用を制限するため RoHS 指令が 2003 年に発効されて,これは,電子・電気機器における Pb,Hg,Cd,Cr などの有害元素の使用を法律で禁止したり,規制の対象とする欧州連合による指令である. この指令では,鉛の使用が制限されるが,PZT に代わる性能を有する圧電セラミックスが ないために,PZT は例外として使用が認められている.しかし,最近では,PZT と同程度 の圧電特性を持つ非鉛系の材料も開発されているため,次回の規制範囲の見直しでは,PZT も規制の対象となる可能性が高くなっている. 以上のような観点から鉛を含む圧電セラミックスに代わる非鉛圧電セラミックス材料 の開発,研究が進められている.主たる非鉛圧セラミックスでは,歴史的に,チタン酸バ リウムにはじまり,現在では主として,BNT(チタン酸ビスマスナトリウム),BKT(チタン

(4)

2 酸ビスマスカリウム)や,チタン酸塩系,およびニオブタンタル酸系などのペロブスカイト 型強誘電体が有力な候補と考えられている(3).本研究ではBNT と BKT の固溶体である非 鉛系圧電セラミックスBi0.5(Na1-xKx)0.5TiO3について,式中 x の値を変更し固溶体の組成割 合を変更することで,電気的特性である圧電特性d33と静電容量Cpおよび誘電損失D, 機械的特性として3点曲げ試験を行い,これに及ぼす固溶割合を調査した. 図1 圧電特性 図2 BaTiO3構造の簡略図(4)

(5)

3

2章 試験片

本研究で使用した非鉛系圧電セラミックスBi0.5(Na1-xKx)0.5TiO3材料の作製の過程を以下 に示す. 2-1 混合 材料粉末50g に対し表1に示す原料を電子秤で計量し混合する.混合したものとエタノ ール200ml をボールミルで約 18 時間粉砕(70rpm)する.その後,エタノールをマントル ヒーターにより蒸発させ,ふるい(250μm)に通す. 表1 原料粉末(g) x 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 Bi₂O₃(酸化ビスマス) 25.95 25.86 25.76 25.67 25.60 Na2CO3 (炭酸ナトリウム 4.72 4.12 3.52 2.92 2.33 TiO₂(酸化チタン) 17.79 17.73 17.67 17.60 17.53 K2CO3(炭酸カリウム) 1.54 2.30 3.06 3.81 4.55 2-2 仮焼き ふるいに通した粉末をアルミナ製のるつぼにいれ,電気炉(卓上陶芸電気炉 NHK-170 型 日陶科学株式会社)を用いて 600℃で 5 時間,850℃で 5 時間仮焼きを行う.温度パターン を図3 に示す. 図3 仮焼温度パターン 0 5 10 15 20 0 200 400 600 800 1000

Time[Hr]

T

e

mp

e

ra

tu

re

[℃

]

(6)

4 2-3 粉砕 仮焼きが終わった粉末を乳鉢ですり潰す.次にバインダーを原料粉末の質量に対して 15%加え,再度ふるい(160μm)に通るまで粉砕する.バインダーは成形時に形が崩れるの を防ぐのと同時に,内部に空洞が出来るのを防ぐ役割もある.バインダーの成分を表2 に 示す.これらをビーカーに入れ,80℃の水で,1 時間湯煎しながらかき混ぜる.湯煎し終 わったものをろ紙でろ過する. 表2 バインダー成分 清製水 200ml PVA(ポリビニルアルコール) 2g グリセリン 1ml エタノール 30ml 2-4 成形 粉砕した原料粉末を試験片の形状に合わせて電子秤で量り,図4 に示した型に粉末を入 れ,ジャッキを用いて圧力を加えて成形を行う.型に入れる粉末量と加える圧力は表3 に 示す.成形後の粉末の寸法と形状は図5 に示す. (a) (b) 原料粉末

(7)

5 (c) (d) 図4 成形用金型 表3 粉末量と圧力 試験片形状 直方体試験片 円板状試験片 粉末量(g) 1.7 0.8 圧力(MPa) 98.0 86.7 (a) (b) 図5 成形後の試験片の形状

原料粉末

(8)

6 2-5 焼成 成形した材料をアルミナ製の角型るつぼに入れ,再度電気炉を用いて1100~1160℃で 2 時間焼成を行う.このときの温度は様々な温度を検討し,温度が高いと図6(a)のように原 料の一部が溶融する.また,温度が低いと焼結が十分でなく,研磨の際に割れたり欠けた りする.これらの現象が生じない時の温度を最適な焼結条件とした.x の各値での温度パ ターンを図7,8 に示す.焼成後の試験片は 180,500,および 1000 番エメリー紙で湿式 研磨を行い,マイクロメーターを用いて寸法を測定した.一般に固相合成セラミックスは 焼成工程で微細な粉体を焼結することにより作製される.接触状態の粒子をその融点以下 の温度に保持することで,粒子系全体の表面エネルギーが減少する方向へ物質が移動する 現象を利用して焼結は行われる.これにより粒子の接触部が結合して強固になり,緻密化 する(3) (a) 溶融した様子 (b) 焼結が十分な試験片 図6 焼結温度の違いによる試験片の様子

(9)

7 (a)温度パターン (b)(ⅰ)の拡大図

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0.2

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(ⅰ)

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8 (c)組成毎の焼成温度 図7 直方体焼成の温度パターン (a)温度パターン

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0.2

0.4

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1050

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Composition x in (1-x)BNT-xBKT

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em

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er

at

u

re

[

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10

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30

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0.2

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(ⅱ)

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9 (b)(ⅱ)の拡大図 (c)組成毎の焼成温度 図8 円板状試験片温度パターン

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1180

1200

Composition x in (1-x)BNT-xBKT

T

em

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er

at

u

re

[

℃]

(12)

10 2-6 分極処理 分極処理は圧電セラミックスに巨視的な圧電特性をもたせる工程である.本研究での分 極処理の工程は以下のとおりである.試験片の両面に銀ペーストを塗り,電気炉にて焼き 付けを行う.その時の焼き付けの温度パターンを図9 に示す.焼き付けを行ったあと試験 片の側面に付着した銀を1000 番のエメリー紙で削る.その後,図 10 に示すように高圧電 源に接続された端子が付いた自作の装置に試験片を挟む.ホットプレートで80℃まで熱し たシリコンオイル中に試験片を入れ,3kV/mm の直流電界を 20 分間印加する.分極処理後 試験片を変性エタノール中に72 時間浸漬した. 図9 銀電極の焼き付け温度 (a) (b) 図10 分極処理

0

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Time [min]

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e

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[

°C

]

試験片

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11

3章 実験方法

3-1 材料特性の評価 結晶性の評価を行うために仮焼き後の粉末を用いて,SEM による観察,および X 線回折 装置を用いてXRD 解析をおこなった.実験には x=0.2~0.6 の仮焼き後の粉末を用いた.一 般にX 線の波長は 0.5~3.0Åであるためブラッグの回折条件を応用することで原子レベルで の構造解析が可能である(5).本実験ではCrkα の特性 X 線を用いた. 分極処理をした試験片の圧電定数d33,静電容量Cpおよび誘電損失Dを測定した.圧電 定数 d33は圧電体構成式における機械状態量と電気の状態量を関連づける連成項の係数で あり,その値が大きいほど圧電特性が良いといえる.また,値が大きいほど機械的エネル ギーを与えたとき,発生する電荷量が多くなる.静電容量は電荷をどのくらい蓄えられる かを表わす値で,誘電損失は交流電場を加えたときに誘電体中の電気分極が電場の変化に 追従できなくなり,エネルギーの一部が熱になって損失する割合を示すものでいずれも誘 電特性の指標となる量である.圧電定数はd33メータ(高精度圧電体測定システム PM200), 静電容量はLCR メータ(圧電体インピーダンスアナライザ)を用いて測定した.それぞれ測 定器を図11,図 12 に示す.

(14)

12 図11 d33メータ

(15)

13 3-3 破壊じん性値 円板状の試験片をマイクロカッターで直径方向に切断し,破面をバフ研磨後,図13 に示 す微小硬度計(SHIMAZU HMV - 2000)を用いて,押し込み荷重 4.9N,保持時間 30sec の条 件 で ビ ッ カ ー ス 圧 子 を押 し 込 ん だ . 圧 子 圧 入に よ り 生 じ た き 裂 か ら IF(indentation fracture)法により破壊じん性値を求めた.圧痕とき裂の概略図を図 14 に示す.KICの計算 にはメディアンき裂に対する式(1)を用いた.

K

Ic

=0.026E

1/2

P

1/2

aC

-3/2

…(1)

ここで,E:ヤング率,P:押し込み荷重,a:圧痕対角線長さの平均の半分,C:き裂長さの半分 である. 図13 微小硬度計

(16)

14 図14 IF 法の圧痕とき裂 3-4 3 点曲げ試験 3 点曲げ試験機は研究室で自作した横型の試験機を用いた.概略図を図 15 に示す.リニ アガイド上の可動テーブルに試験片を設置し,負荷治具を取り付けた荷重測定のためのロ ードセルとアンプを接続し,出力電圧としてテスターに表示させる.また変位計との出力 をあわせてデータロガで記録した.測定サンプリング20msec とし,試験片が破断した時点 で測定を止め,破断した際の破断荷重P を計測した.試験片寸法を用いて 3 点曲げ応力計 算式(1)により破断応力 σmaxを求めた.式中のL,b,h はそれぞれ支点間距離,幅,厚さで ある. 最大曲げ応力σ𝑚𝑎𝑥 =MZ⋯ (1) M:モーメント(荷重×距離) M =PL4 Z:断面係数 Z =eI I:断面 2 次モーメント I =bh3 12 e:中立軸から端面までの距離 e =h2

(17)

15 これらを計算すると Z = bh3 12 h 2 =bh 3 6 ⋯ (2) Z と M を(1)に代入すると σ𝑚𝑎𝑥 = PL 4 bh3 6 ⋯(3) よって σ𝑚𝑎𝑥 =2bh3PL2⋯ (4) 図15 試験装置

(18)

16

4 章 実験結果および考察

4-1SEM および XRD 解析 仮焼き後の粉末をSEM により観察したものを図 16 に示す.x=0.2,0.4 および 0.6 それ ぞれほぼ同じ様相をしている. XRD により得られた回折パターンを図 17 に示す.各材料における回折パターンは類似 しており,BNT および BKT の各回折ピークが確認できる.最大のピークが得られた 2θ =32°付近を拡大してみると BNT (012)および,BKT (101)の回折ピークの得られる 2θは x=0.2,0.4 および 0.6 に対し,それぞれ 32.45°,32.35°および 32.15°と x の増加にとも ない低下する.正方晶のBKT(101)と菱面体晶の BNT(012)のピークは 32.4°と 31.89°で あることからBNT の固溶割合の増加により BNT(012)のピーク強度が強くなり 2θがシフ トしたと考えられる. (a) x=0.2 (b) x=0.4 (c) x=0.6 図16 仮焼き後の結晶

(19)

17 (a)2θ=0~90° (b)2θ=32°付近 図17 XRD プロファイル

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40

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80

2θ [deg]

In

ten

si

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B

N

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B

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(

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(

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x=0.2

x=0.4

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In

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ty

BNT (012)

BKT (101)

x=0.2

x=0.4

x=0.6

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18 4-2 静電容量,圧電定数 分極した円板状試験片の静電容量 Cp と圧電定数 d33を測定し,平均値,標準偏差をと ったものを図18,図 19 にそれぞれ示す.これらのグラフの縦軸はそれぞれ静電容量Cp, 圧電定数d33,横軸に組成式中の x の値を表している.静電容量の最大平均値は x=0.3 にお いて415.3pF,ばらつきは x=0.2 において大きい結果が得られた.圧電定数d33の最大平 均値は x=0.2 において 153pC/N であったが,静電容量と同様にばらつきが大きいもので あった. 図18 静電容量に及ぼす組成比の影響

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500

Composition x in (1-x)BNT-xBKT

C

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F

]

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19 図19 圧電定数d33に及ぼす組成比の影響 4-3 破壊じん性値 図20 に分極した円板状試験片断面内での IF 法による破壊じん性値に及ぼす組成比の影 響を示す.このグラフは縦軸に破壊じん性値KIC,横軸に組成式中の x の値を表す.ビッカ ース圧痕により生じるき裂は分極方向に対し,垂直な方向および平行な方向に生じるよう に圧子圧入しているため異方性を評価することができる.x の値が増加するに従って分極垂 直方向のKICが低下し,平行方向のそれは増加する.つまり異方性が小さくなることを示し ており図19 に示したd33の低下と相関があると考えられる.

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0.1

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/N

]

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21 4-4 曲げ強度 21 に非分極材の直方体試験片の x=0.2,0.4 および 0.6 における曲げ強さを示す.曲げ 強度は x=0.6 の強度が x=0.2 および 0.4 の場合に比べ約 20%増加することがわかった.ま た,x=0.2 および 0.4 の曲げ強度は PZT における一般的な値である約 70MPa に対しほぼ同 等であることがわかった. 図21 3 点曲げ強度 図22 は x=0.2 について曲げ強度を分極材と非分極材と比較した結果である.分極処理 を行うことで曲げ強さが33%程度増加する.鉛系の圧電セラミックスである PLZT の抗折 力の異方性と同じ傾向があり(6)分極処理によって生じた残留応力の影響で分極方向にき裂 が進みにくくなる異方性が生じるのである.また,強度データを統計的に評価するために ワイブル統計を用いた.その結果を図23 に示す.分極材,非分極材いずれも傾きが大きい ことからばらつきが大きいといえる.

0

0.2

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Composition x in (1-x)BNT-xBKT

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(24)

22 図22 曲げ強度に及ぼす分極処理の影響 図23 ワイブルプロット

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140

Non-Polarization

Polarization

F

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3.8

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ln

σ

ln

l

n

1

/S

Non-Polarizaition

Polarization

(25)

23

5 章 結言

BNT-BKT 系非鉛圧電セラミックスの固溶体の組成割合が及ぼす圧電特性,3 点曲げ強度 について調査した結果以下の結論を得た. 1. 圧電定数d33の最大平均値は x=0.2 において 153pC/N を得た.また,BKT の固溶割合 が大きくなるにつれ圧電定数d33は小さくなる. 2. 組成比 x が大きくなるに従いd33が低下するとともなって破壊じん性値KIC異方性も小 さくなる. 3. 非分極材の曲げ強さは x が 0.6 に増加すると上昇する.また分極処理により曲げ強度 が増加する.

(26)

24

6 章 参考文献

(1)季刊 化学総説 No32 1997 ペロブスカイト関連化合機能の宝庫学会 出版センター (2)JAPAN UNIX http://www.japanunix.co.jp/corporate/index.html (3)竹中正 非鉛系圧電セラミックスの研究開発状況とその課題 (4)http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2012/120416_fig/fig1.pn g (5)JAIMA http://www.jaima.or.jp/ (6)内野研二 著 ㈱日本技術センター 編 圧電/電歪アクチュエータ基礎から応用まで 森北出版株式会社 (7)(独)日本学術振興会 高温セラミックス材料第 124 委員会 編 先進セラミックスの作り方と使い方 日本工業新聞社 (8)橋田浩之 BNT 圧電セラミックス分極材の遅れ破壊挙動 修士論文 2011 年

(27)

25 (9)楠本慶二 圧電セラミックスアクチュエータ読本 http://www.geocities.jp/kusumotokeiji/ (10)淡路英夫 セラミックス材料強度学 コロナ社 (11)竹中正 非鉛系圧電セラミックスの研究開発動向と応用分野 日本セラミックス協会 セラミックス47(2012)No.11

(12)Kazushige Yoshi, Yuji Hiruma, Hajime Nagata, and Tadashi Takenaka :Electrical Properties and Depolarization Temperature of (Bi0.5Na0.5)TiO3-(Bi0.5K0.5)TiO3

Lead-free Piezoelectric Ceramics

(13)Atushi Sasaki, Tatsuya Chiba, Youichi Mamiya and Etuo :Otsuki:Dielectric and Piezoelectric Properties of (Bi0.5Na0.5)TiO3-(Bi0.5K0.5)TiO3 Systems

(14)永田肇,木村雅彦,一ノ瀬昇 準静的圧電正効果法による圧電セラミックスの圧電定数 d33試験方法に関する標準化

(15)松尾陽太郎 編訳 セラミックスの寿命の破壊 ワイブル統計の利用 JME 材料科学

(16)ニューケラスシリーズ編集委員会 編 セラミックス微粉末技術 学献社

(28)

26

7 章 謝辞

この研究を進めるにあたって多くのことを教えてくださった楠川量啓教授と高坂達郎准 教授に深く感謝します.また,知能材料学研究室の皆様方に感謝の意を,この場を借りて お伝えしたく思います.

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