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ロータリー財団の使命は ロータリアンが健康状態を改善し 教育への支援を高め 貧困を救済することを通じて 世界理解 親善 平和を達成できるようにすることです 表紙の写真 :MARK WALLACE/ROTARY DOWN UNDER

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(1)

ロータリー財団

(2)

ロータリー財団の使命は、ロータリアンが健康状態を

改善し、教育への支援を高め、貧困を救済することを

通じて、世界理解、親善、平和を達成できるようにする

ことです。

(3)

100年間の達成をみんなで祝おう

私たちのこれまでの活動成果を振り返り、

これからの抱負と課題に目を向けよう

(4)

1917年のアトランタ国際大会で、当時の国際ロータリー会長アーチ・クランフが「世界 でよいことをする」ための基金の設立を提案したとき、この言葉に気にとめた人はほと んどいなかったでしょう。クランフの演説は、当時の慣習にならって約40分間にわた り、その主な内容は当時ヨーロッパで激化していた戦争についてだったのです。 しかし幸いにも、米国ミズーリ州のカンザスシティ・ロータリークラブがこの言葉に注目 し、「クランフ会長が提案した基金の元手として」26ドル50セントを寄付。少額(現在 の価値でおよそ536ドル)であったため、これに続く者はいませんでしたが、恒久基金 の実現に向けた貴重な第一歩となりました。この寄付をきっかけに、クランフ会長は 生涯をかけて「よいことをする」ための力を築き上げ、この努力は1928年、ロータリー財 団の正式な発足へとつながりました。 世界大恐 慌と第二次世界大戦のさなか、ロータリアンたちは各自の事業を存続 させ、戦 争に勝 つことに気を取られていました。しかし、ロータリー創設 者であ るポール・ハリスが死去した1947年、ハリスへの追悼寄付130万ドルがロータリ ー財団に寄せられ 、クランフの構想はついに現実のものとなりました。その後、 第1期ロータリー奨学生が海外留学を果たし、それぞれの祖国の親善大使として活躍 していきました。

(5)

それから70年間、ロータリー財団は資産と活動の両方おいて飛躍的な成長を遂げまし た。世界各地に支援の手を広げながら、切迫した多くの問題に取り組む大小さまざま なプロジェクトを立ち上げました。これらはすべて、ロータリアンからの温かく寛大なご 支援により実現したものです。豊かな資金を蓄えたロータリー財団は、それまで以上に 規模の大きいプロジェクトを実施できるようになり、国レベルの識字率向上プログラ ム、未来の平和構築者の育成、ポリオ撲滅など、世界に多大な影響を与えることとなり ました。 アーチ・クランフは以前、「ロータリー財団は、建物をかたちづくるレンガや石材ではな い」と述べました。クランフの描くロータリー財団は、すべてのロータリアンの積極的 な支援と関与に後押しされて成長・進化するべきものでした。このビジョンの通り、財 団は世界中のロータリアンに支えられて大きく成長しました。財団が100周年を迎える 2016-17年度は、クランフのビジョンと、その実現に尽力した大勢のロータリアンの功労 を称える大切な1年となります。

「ロータリー財団が人びとの命を救い、

人生を変えていると言っても過言では

ありません。これは、世界中の地域社

会で起こっていることであり

しかもそ

れが100年も続いているのです」

カルヤン・バネルジー ロータリー財団 2016-17年度管理委員長

(6)

ポリオプラス:

疾病撲滅のための

歴史的取り組み

ロータリーのリーダーたちが国際ロータリーの75周年記念活動について 構想を練り始めたとき、目前に迫っていた1979年国際児童年に着想を得 て、幼児疾患に取り組むキャンペーンを立ち上げようと考えました。そこで 注目されたのが、ポリオ撲滅でした。 この構想は、ロータリアンが持ち続けてきた関心に基づくものでした。ロ ータリーの初期から、会員たちは障害児の支援にあたり、ロータリー財団 からの初の補助金は国際障害児協会に授与されました。ロータリークラ ブは今日も、世界各地でさまざまなリハビリプロジェクトを支援しています。 ポリオ予防接種は、実用的な観点からも関心を集めました。当時、安全で 効果的な2種類のワクチンのおかげで、世界の多くの地域でポリオの発 症数が減少していました。ポリオのワクチンは費用も手頃で、入手方法も 確立されていました。このような理由から、ロータリーのリーダーたちは、 ポリオ撲滅は可能であるという予想を立てました。 しかし、当初は会員の多くがリーダーらの熱意に応えようとしませんでし た。この取り組みがクラブの自律性やほかのプロジェクトの質を損ねかね ないという懸念があったのです。ポリオ撲滅については、国際的な公共 衛生専門家らも懐疑を抱いていました。さらに世界保健機関(WHO)も、 過去に善意ある団体が高く掲げた約束事が何度も失敗に終っているとい う理由で、当初はロータリーの提案も受け入れませんでした。

(7)

「ロータリーから刺激を受け、私もポリ

オ撲滅に深くかかわろうと決意しまし

た。ロータリーがなければ、今日の世界

はなかったでしょうし、今後世界が向

かうべき方向も失われていたでしょう」

ビル・ゲイツ

「一世代以上もポリオ撲滅の最前線に

立ってきたのがロータリーです」

タイムズ誌 2015年7月24日付

「ポリオプラスを通し、世界はロータリ

ーの存在に気づき、ロータリアン自身

も自分たちの貢献に気づくことができ

ました」

カルヤン・バネルジー ロータリー財団 2016-17年度管理委員長 このような状況にもかかわらず、ロータリーはこの難題に積極的に立ち向かい、わずか3年間で 2億4700万ドルの募金に成功し、これによって懐疑的な意見は少しずつ薄れていきました。大 勢の会員がポリオ常在国に訪れ、全国予防接種日(NID)を支援したり、数百万人の子どもに 貴重なワクチンを届けるためにボランティア活動に参加しました。 ロータリーとパートナー団体は、長年にわたり、武力紛争、政治的反発、宗教的懸念などの多く の障害に直面していました。しかしロータリアンは、活動の進展を遅らせるこれらの障害にも負 けず、政治や宗教のリーダーたちとの人脈を駆使して、粘り強く予防接種キャンペーンを進めて いきました。 世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI) におけるパートナー団体は、ロータ リーの決断やリーダーシップを尊重 するようになりました。ロータリーと パートナー団体の懸命な活動によ り、国や地域が、一つ、また一つと 「ポリオフリー」として認定されて いきました。こうして、世界的に重 要な役割を果たしたロータリーは、 単に社会奉仕だけを行う小さなク ラブの集まりではなく、ポリオのな い世界の実現に向けて献身的に取 り組む団体として、世界的に認識さ れるようになりました。 © JEAN-MARC GIBOUX

(8)

ポリオ撲滅活動の軌跡

1979年 ロータリーがフィリピンで600万人の子どもへのポリオ予防接種プロジェクトを開始。 1985年 国際ロータリーがポリオプラスを立ち上げ、1億2000万ドルの募金目標を設定。 1988年 ロータリー会員がポリオプラスへの2億4700万ドルの募金に成功(当初の目標の2倍以上)。 当時125カ国で流行し、毎年35万人近い子どもが感染していたポリオの撲滅に関する決議を世界保健総会が採択。 世界保健機関、ユニセフ、米国疾病対策センター、国際ロータリーが中心となって「世界ポリオ撲滅推進活動」(GPEI)を発足。 1994年 西半球のポリオ撲滅を宣言。 1996年 報告されたポリオ症例数が1988年より85%減少。 2000年 オーストラリアから中国まで広がる西太平洋地域のポリオ撲滅を宣言。 2003年 12カ月間のキャンペーンでロータリー財団が1億1900万ドルの募金に成功。 2006年 ポリオ常在国の数が4カ国(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)となり、人類史上、最少数となる。 2009年 ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、ロータリーに対して「2億ドルのチャレ ンジ補助金」として3億5500万ドルの資金提供を約束。 2014年 インドを含む東南アジア地域(世界人口の4分の1)で野生型ポリオウ イルスによる新たな症例数が3年連続でゼロとなり、同地域へのポリ オ撲滅を宣言。 2015年 ナイジェリアがポリオ常在国リストから削除され、残るはアフガニスタ ンとパキスタンのみとなる。 この年、野生型ポリオウイルスによるポリオ新規症例の報告数はわず か74件。 2016年 これまで30年以上にわたり、ロータリーは15億ドルを上回る資金を、 25億人以上の子どものポリオ予防接種に提供。さらに援助国政府か ら72億ドル以上の資金を調達する上でも、ロータリーが大きく貢献。

(9)
(10)

重点的、持続可能、

効果的な人道的活動

ロータリーの奉仕活動は今から100年以上も前、地域のニーズに取り組む 小さなプロジェクトから始まりました。今日、35,000余りのロータリークラ ブがそれぞれの地域社会でこの伝統を受け継いでいます。一方、ロータリ ー財団からの補助金額が増えたことで、ロータリアンはさらに意欲的で幅 広いプロジェクトを実施し、大きな挑戦に乗り出しています。 今日、ロータリー財団のグローバル補助金は、6つの重点分野において、 測定可能な目標を掲げ、効果的かつ持続可能なプロジェクトの支援に充 てられています。ロータリアンはこれまで長年、これらの分野において奉 仕活動を行ってきました。このプロジェクトの規模は時とともに大きくな り、成果も持続可能なものとなっています。例えば、以前は一つのクラブ が井戸を掘るだけだったのが、現在は、複数のクラブが協力して水・衛生 設備を整備し、地元の人びとに設備の維持方法を教えるといった包括的 な活動が行われています。 2014-15年度、ロータリー財団は1,078件のグローバル補助金を授与し、そ の総額は6870万ドルに上りました(前年比で24%増)。

(11)

疾病予防と治療

ロータリーは、ポリオ撲滅活動を通じて疾病対策について多くを学んだだけでなく、有益なシス テムも導入しました。2014年に西アフリカでエボラウイルスが蔓延した時、ナイジェリアでは、ポ リオ監視ネットワークを活用して流行を食い止めることに成功しました。医療従事者と緊急援 助隊員もこのポリオネットワークを駆使し、ほかの伝染病に対するワクチンを提供し、防虫加工 の蚊帳を配布してマラリアから人びとを守り、自然災害の被災者を支援しました。 血液バンク、がん検出センター、僻地での医療キャンプなど、ロータリー財団のグローバル補助 金プロジェクトは、何千、何万という人びとが長生きし、より健康的な生活を送れるよう支援し ています。アフリカでは2015年、ロータリー財団の支援で『家族健康デー』が実施され、病院に ほとんど(または一度も)行ったことがない344,000人の人たちに医療を提供ました。このプロジ ェクトはアフリカ大陸4カ国、402カ所で実施され、予防接種に加えて、結核、マラリア、HIV、高 血圧、糖尿病の検査も行われました。ウガンダで医師による治療を受けた患者の一人は、「こ れはまさに神からの贈り物」と話しています。

「エボラにせよ、

(中略)アフリカの角で

発生した干ばつにせよ、パキスタンの地

震や東南アジアの津波にせよ、ポリオ

撲滅活動で築かれたインフラが常に緊

急対応の中心で役立てられています」

オリバー・ローゼンバウアー 世界保健機関 疾病予防と治療 2014-15年

329

件のグローバル補助金 計

1980

万ドル

(12)

「ロータリーは数年前、

“水と衛生”を

重点分野の一つとすることで、世界に

おける水利用の格差を解決する必要

性を認識しました。私たちは今、人類が

直面する最大の脅威であるこの問題に

対し、世界中のパートナーと連携して

持続可能な解決策を見つけることので

きる有利な立場にいます」

トム・ソーフィンソン ロータリー財団管理委員

水と衛生

1907年、シカゴ・ロータリークラブは地元での活動を立ち上げ、シカゴに公衆トイレを設置しま した。この活動からおよそ110年、今では旧式となったこのトイレも、世界の一部地域の人びとに は依然として目新しく映ります。世界では、6億6000万人以上が今でもきれいな水を利用でき ずに暮らし、衛生的なトイレ環境に恵まれない人の割合は40%近くに上ります。 ロータリアンはこの分野に早期から関心を持ち、支援を広げてきました。今日、推定1万のクラ ブが水関連のプロジェクトに携わっており、都市部から遠く離れた僻地にきれいな水と良好な 衛生環境をもたらすことで、疾病の発生を大きく抑えています。USAIDとの提携の下、ロータリ ークラブはフィリピンに排水処理施設を作り、ドミニカ共和国では家庭用の水処理・保存設備 を整備しました。また、ガーナ全土における衛生環境の向上にも努めています。さらに、水と衛 生の専門家から成る職業研修チームにも補助金を提供し、発展途上地域における水と衛生の 指導に力を注いでいます。 水と衛生 2014-15年

302

件のグローバル補助金 計

2000

万ドル

(13)

基本的教育と識字率向上

今日、基本的教育を受けられない子ども の数は非常に多く、読み書きができない 15歳以上の人口は7億7500万人余りに 上ります。読み書きができない成人は、 失業や貧困、さらには羞恥心といった問 題に生涯悩まされることになります。識 字率向上と基本的教育のための活動を 通じて、ロータリーは、人びとがより生産 的で安定した幸せな人生を送れるよう 支援しています。 ロータリー財団で最も成功した識字率 向上プログラムの一つは、1980年代に 始った言語集中教授法でした。僻地に 住み、部族語のみを話す人びとが多いタ イにおいて、ロータリー財団補助金による援助の下、オーストラリアのあるロータリアンがこの教 授法を取り入れ、何万人もの子どもと親がタイ語で識字教育を受けました。これだけでも素晴 らしい成果ですが、タイ政府がこのプログラムを全国的に採用し、他国でもロータリークラブが この教授法を導入するという、2つの大きな目標も達成できたのです。 ロータリー財団のプロジェクトは、技術提供や教員養成、地域社会への安価な教科書の提供、 低所得世帯への制服や学用品の支給など、さまざまな方法で識字率の問題に取り組んでいま す。世界の問題を一つの方法で解決することは不可能ですが、ロータリーは各地域のニーズに 適したアプローチで、あらゆる年齢の人たちの識字率向上を目指しています。

「ほかに何をしようとも、読み書きと四

則演算を教えない限り、人びとを貧困

から救って持続的な発展をもたらすこ

とはできません。このような能力がな

ければ、経済的などん底から抜け出す

ことは不可能なのです」

グレン・キンロス 国際ロータリー元会長 基本的教育と識字率向上 2014-15年

33

件のグローバル補助金 計

800

万ドル

(14)

「発展途上地域は、起業家やビジョン

を持つ人たちであふれています。教育

の機会に恵まれ、誠実で信用のある人

は、祖国の経済を発展させる上で重要

な役割を果たすでしょう」

ムハマド・ユヌス グラミン銀行創設者 ノーベル平和賞受賞者 ロータリー国際理解と平和賞受賞者

経済と地域社会の開発

人びとの生活を改善する鍵は、経済的な自立にあります。ロータリアンは長年、健康問題や家 庭問題、さらには地域紛争においても、その根元には貧困が存在することを認識していました。 ビジネスや職業人のリーダーであるロータリアンは、貧困地域の経済的安定性を向上させる知 識やスキルを有しています。 何年もの間、ロータリー財団は、補助金を活用して小口金融プロジェクトを支援し、貧困層の女 性たちが小事業を始められるよう支援してきました。融資を受けた女性たちは少額の利子を上 乗せしてローンを返済します。そうすることで、プロジェクトの融資資金を増やしていくことがで きるのです。 その一例として、ロータリー財団の支援を受けた小口金融プロジェクトがエクアドルで運営さ れ、女性に裁縫やパン作りを教えて事業の立ち上げや拡大を後押ししています。さらに現地の ロータリークラブが小口金融機関と提 携して研修センターを立ち上げ、融資 を受けている人が職業スキルや経営 実務を学べる場を提供しています。グ ローバル補助金は、融資の元金として 活用される一方で、研修センターで使 用する裁縫やパン作りの器具購入に も充てられます。そのほかの小口融資 プロジェクトも成功を収めており、女 性とその子どもたち、そして地域社会 全体が自立できるようになると期待さ れています。 経済と地域社会の開発 2014-15年

168

件のグローバル補助金 計

1120

万ドル

(15)

母子の健康

出産時のリスクは世界で大きく減少している一方で、発展途上国では今も、年間30万人以上の 女性が妊娠や出産に関連する合併症で命を落としており、女性の死亡原因のトップを占めてい ます。同じく、2015年に5歳未満で亡くなった子どもの数は600万人近くに上り、しかも、その大 半が予防可能な疾病や症状によるものとなっており、幼児死亡率も検討すべき課題となってい ます。この数は、1日に16,000人以上の子どもが命を落としている計算になります。 ロータリークラブは長年、エチオピアにある瘻孔専門病院を支援してきました。この病院では、 出産による産科瘻孔を抱えた若い女性に対し、再建手術を無償で行っています。1998年、ロー タリー財団は、この病院が多くの妊産婦を救ってきたことを称え、院長であるキャサリン・ハーム リン博士にロータリー国際理解賞を贈りました。 現在、ロータリー財団グローバル補助金を通じて、マラウイで助産師の研修を実施し、リベリア で妊婦のHIV検査と治療を行っています。またハイチでは僻地に住む妊婦の健診を行うため に、『ピンクジープ』と呼ばれる車両が医療ボランティアスタッフの移動に使われています。

「当地区では、インドの地区と提携し

てグローバル補助金プロジェクトを

実施し、先天性心疾患を抱えた44人

の子どもの心臓手術を行いました。

(中略)ロータリーの活動成果が多く

の人に及べば、世界平和の実現に近づ

くことができるでしょう」

ユン・ホンジョ、リ・キョンヒ アーチ・クランフ・ソサエティ会員 母子の健康 2014-15年

78

件のグローバル補助金 計

570

万ドル

(16)

「このプログラムを通じ、子どもたちは、

部族の平和的な共存を目指して地元地

域で平和を築き、親にも平和について

教え、地域社会に影響を与えています」

モニカ・キニュア 元ロータリー奨学生

Children Peace Initiative Kenya共同創設者

平和と紛争予防/紛争解決

平和はこれまでずっと、ロータリアンの主な目標の一 つとなってきました。1914年の国際大会では、ロータリ ーが「世界の国家間の平和を維持するために、自らの 影響力を駆使する」という決議を採択しました。1921 年、スコットランドのエジンバラで開催されたロータリ ー国際大会の代表者らは、「ロータリーの奉仕理念で 結びついた各国のビジネスパーソン、事業者、専門職 業人の親交により、国際平和と友好の実現を支援す る」という目標をロータリー定款に規定しました。 2回の世界大戦と何十もの地域紛争の最中、ロー タリアンは世界に平和をもたらそうと努力してきまし た。1930年代から40年代、ロータリークラブは国際理 解研究会を開き、講演者の費用をロータリー財団が負担しました。つい最近では、ロータリー財 団の支援の下で平和フォーラムとセミナーが開催され、参加者らは一丸となって文化理解の推 進を誓い、紛争の予防と解決方法についてディスカッションを繰り広げました。 ロータリー財団は、対立グループに属する若者たちを結びつけるプロジェクトにも補助金を提 供しています。イスラエルとパレスチナの若者や、アイルランドと北アイルランドの若者の交流を 促すプロジェクトがその一例です。ケニアでは、元ロータリー奨学生がグローバル補助金の支 援を受け、『Children Peace Initiative Kenya』を立ち上げました。このプログラムでは、対立し あう部族に属し、暴力の連鎖から抜け出すことのできない子どもや教師のために、平和学習キ ャンプを実施しています。 平和はお金で買うことはできません。ロータリーは、世界中で一歩ずつ平和に向けた努力を続 けています。 平和と紛争予防/紛争解決 (ロータリー平和センターを除く) 2014-15年

68

件のグローバル補助金 計

400

万ドル

(17)
(18)

ロータリー平和センター:

専門スキルを持つ

リーダーの育成

ロータリアンは長年、平和を推進する常設のフォーラムの創設を夢見てき ました。ポール・ハリスの言葉にこうあります。「素晴らしい夢を見てそれ を実現していくのなら、夢を見ることも、おそらくそんなに悪いことではな いでしょう」。1990年代、ロータリーのリーダーらは、素晴らしい夢の実現 に取りかかりました。たくさんのアイデアについて議論を重ねた結果、必 要不可欠で実現可能だと思われる一つの夢で意見が一致。その夢こそ が、紛争の予防と解決の分野で大学院教育を提供し、平和構築を担うリ ーダーを育成することでした。 2002年、新設されたロータリー平和センターに平和フェローの一期生が入 学し、修士プログラムを開始しました。現在、7大学に設置された6つの ロータリー平和センターで、さまざまな出身国や経歴の学生たちが、より 安全で平和な世界を築くための専門教育を受けています。 現在、900人を超すロータリー平和センターの卒業生が、世界各地のさま ざまな分野で活躍しています。教員となって知識を次世代に教えている 人、NGOで働きながら貧困や格差、部族対立、教育の欠如など、紛争の 根源となる問題の解決に取り組んでいる人、また国連や公官庁で紛争解 決の政策立案を担当している人もいます。

(19)

最近では、難民危機による高まるニーズに平和フェローが取り組んでいます。紛争により6000 万人以上の難民が祖国を追われているという現状の中で、平和センターの卒業生の一人は、イ ラク北部でシリアとヤズィーディーの難民と共に活動しています。これらの難民は、IS(イスラム 国)過激派の標的となり、拷問を受け、故郷を追われた人たちです。別の卒業生は、紛争や自 然災害で家をなくしたケニアの難民4万人近くを支援しています。またもう一人の卒業生はドイ ツで難民にコンピュータプログラミングを教え、ドイツの技術系企業が求める高いスキルを習得 する機会をもたらしています。 NGO

36

%

研究/学術

8

%

国連機関

6

% 法律

3

% 警察/ 法執行機関

3

% ジャーナリズム 2% 世界銀行 1% その他

10

%

政府機関

15

%

教職

8

%

修士号・ 博士号の取得

8

%

ロータリー平和センター卒業生の就職先

「平和構築について従来の概念にとら

われずに考えることのできる人たちに

とって、このプログラムは非常に素晴ら

しい機会です」

テイラー・スティーブンソン 2011-13年度ロータリー平和フェロー (国際基督教大学)

現在はSamdrup Jongkhar Initiativeの Design and Waste Prevention Specialistに 従事

(20)

「ニーズが尽きることはありません。すべ

てを満たすことはできませんが、人び

とが何を必要としているのか、常に耳

を傾けるようにしています。日々を苦労

して生き抜いている人たちの声は世界

にほとんど届いておらず、葛藤と怒りに

あふれています」

寺西悦子 2005-07年度ロータリー平和フェロー 現在はケニアの国際移住機構に従事

「難民に希望を与えたいなら、研修を

提供し、生計を立てるためのスキルや

機会を与えてあげることです。そうすれ

ば、彼らは自立して生きていくことがで

きます」

マームード・アーマッド 2008-10年度ロータリー平和フェロー 現在はノルウェー難民評議会の エチオピアプログラムに従事 地図提供:www.rotarianactiongroupforpeace.org 183 12 31 12 37 14 11 22 26 42 69 39 20 30 31 14 20 34 68 51 26 37 52 ロータリアンは、常にさまざまな形で平和の構築を目指しています。ロータリー財団では、人と人 との交流を通じて文化的な壁を乗り越え、国際理解を広げたり、平和フォーラムやセミナーを通 じて世界の人びとが一緒に課題に取り組んだりしてきました。そして今、平和の構築は、高度な 教育を受けた、専門スキルを身につけたリーダーたちの手で行われています。 世界のロータリー平和フェロー

(21)
(22)
(23)

より多くの大きな成果を生み出すプロジェクトやプログラム

はすべて、ロータリー会員の惜しみないご支援により実現さ

れます。ロータリアンが日々、世界中で人びとを助けることが

できるのも、皆さまからのご寄付のおかげです。絶望的な状

況に置かれている難民、難産で苦しんでいる若い母親、ポ

リオ感染のリスクに脅かされている子どもたちなど、助けを

必要とする多くの人びとを救っているのは、ほかでもない皆

さまです。

温かいご支援に心より感謝いたします。

(24)

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