ラド州,カスターカントリーの例
Author(s)
馬場, 壮太郎
Citation
琉球大学教育学部紀要(70): 141-151
Issue Date
2007-01
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/1521
Rights
硫化物鉱床を伴う含サフィリン変成岩
~アメリカ,コロラド州,カスターカントリーの例~
馬場壮太郎*
Sapphirine-bearingmetamorphicrockassociatedwithsulfidedeposit
-AnexampleatCusterCountry,Colorado,U,S・A
SotaroBaba* はじめに 物鉱床が産することが広く知られている。そのよ うな場所では,海水と熱水との相互作用により高 Mg/Fe比を有する岩石が形成される可能性が高く (A1t,1995),さらにそれらが高温変成作用を被っ た場合に含サフィリン変成岩が出現することが予想される。海洋底熱水変質に起因し,高Mg岩類
が形成したと考えられる例としてオーストラリア, アルンタ岩体と,米国,コロラド州カスターに分 布する補強岩類が挙げられる。これらはともに硫 化物鉱床を伴うことが特徴であり,熱水変質作用 の存在をうらづける数少ない好例といえる。筆者 はコロラド州カスターに分布する含サフィリン捕 狸岩および周辺に産する塩基性岩類の採取を目的 として2005年9月に野外調査を実施した。本報 告では採取した岩石試料の鏡下観察の結果を取り まとめ,全岩化学分析に適した試料について考察 すること目的とする。加えて変成作用および形成 条件についても若干の考察を行ったのでここに報 告する。 サフィリンは高Mg/Fe比を有する岩石に出現す る変成鉱物であり,これまで数多くの高温変成岩 複合岩体から報告されてきた。しかし,その原岩 形成に関する報告は限られる。これは,どのよう な地質環境で高いMgO/FeO比を持ち,Al203に富 む岩石が形成するかについての議論が,地球化学 的な視点からこれまで充分におこなわれていなかっ たことを意味している。Baba(2002)はスコットラ ンド,サウスハリス地域に分布する含サフィリン 変成岩について鉱物共生関係,全岩化学組成に基 づき4つのタイプに区分し,その形成過程を論じ た。その結果,3つの過程で形成したことが明ら かにされた。すなわち,a)初生的にMgO/FeO比の 高い堆積岩が存在する,b)部分溶融にともなう変 成分別作用の結果である(高MgO/FeO残留圏相 の形成),c)高MgO/FeO超塩基性岩とA1203に富 む堆積岩類との変成交代作用によるである。これ らのうち,初生的に高いMgO/FeO比を有する岩 石の一部については海洋底熱水変質作用が関与す る可能性を指摘した。これは含サフィリングラニュ ライトが海嶺玄武岩組成の塩基性グラニュライト 中に脈状に産すること,さらに,その主要化学組 成ならびに微量元素の特徴が現世の熱水変質玄武 岩に酷似することに基づく(BabaandWindley, 投稿中)。 一般に海洋底熱水変質作用の副産物として硫化 地質概説 コロラド州南部のWetMountain周辺は原生代変 成岩類および,それを貫く原生代花崗岩類 (Sanlsabel花崗岩類)から構成される(図1)。前 者は珪長質片麻岩,角閃岩,およびそれらの互層 からなり,変成年代は1700Maとされている(Tweto, 1977)。この一部には硫化物鉱床も含まれ周囲の ゛琉球大学教育学部生涯教育課程自然環境教育コース -141-105.000000,
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図1.ウエット山地周辺の地質図(TWeto,1979を改変) 変成岩類とともに変成作用を被っている。San lsabel花崗岩類は一般に粗粒塊状な花崗岩~花崗 閃緑岩から棡成されるが,一部は細粒~中粒で眼 球状(船津型花崗岩類に類似)に産するものもあ る。多量の補強岩を有する露岩では,母岩中に層々 注入し産するものや,母岩の角閃岩や片麻岩類を 貫きネットワーク状に産するものがある。貫入年 代として1400MaのPb年代が報告されている(Boyer, 1962)。 RaymondetaL(1980)はSanIsabel花崗岩類の捕 獲岩として含サフィリン変成岩類が硫化物鉱床と ともに産することを報告した。この補強岩は角閃 -142-馬場:硫化物鉱床を伴う含サフィリン変成岩 表1.採取した岩石の鉱物組み合わせ SampleNo、Rockname M2EcmmemI FclsicMm⑨mlTmcc nnBCm⑨nt 908-1A g08-lB gO8-1C 908-2 908-3 g08-4A 9O8-4B 908-5 108-7 908-8A g08-8B g08-8C 908-8, g08-9 XeImlitIB 909-2A g09-2B g09-3C 901-3, 901-3F 901-3G 9O9-3H 9O9-31 909-3J 909-3K 901-4 mm空、end 911-1A gll-1B 911-10 911斗 911-7 911-8 g11-9 Xen⑪lith 912-1A g12-1B m2-1C 912-1, g12-1E 912-2A g12-2B 88.畷 sSに88
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1l PP Sp形metamorRock Grt-Btgneiss Spl-metamor・Rock Spl-metamorRock Btgp1eiss Btgneiss Maficgneiss Bt-Spl-Cm-Spr岩Crd-Ged GrtBt-CId Spl-OpK-Mus Spl-Opx-Mus-Crd Bt-Spl-Mus BLSpl-Mus-Oamp OpxHbl-Bt llm-Zm SU-Ylm-ZTn Pylitc Pylite llm mm-Zm Ap-Opq l P他一唾
Pl P1-Q位 mblcLListofminemlasscmblcge Act,actinoIitc;AP,apatitc;Bt,biotite6CaAmp,calsicampmbole;cc,calcite;C、,chmlite;Cpx,clmopyroxene; Crdcordierite;Cm,corundum5Ep,epidote;Ged,gedrite;Grs,gmssular;Grt,gamet;Hbl,homb"、。c; nm,Ilmenite;Kfも,KPfbldspar:Mus,muscovite;Oamp,orthoamphibole;Olv,olivinc;Opq,opaqUemmeml; Opx,orthopymxene;Pl,plagioclase;Q位,qum位;Scp,scapolite;Sep,serpentine;Sil,silUmanite;Spl,spinel; Spr,sapphirine;Titltitanibe;Zm,zircon.、assccondmymmeral. -143-表2鉱物化学組成 SampleNO.O59012-1AO59Ol-3G AmnlNo、 1234567125 SplSprCmCmCrdBtGedOampCpxBt SiO2 TYO2 A1203 FcO* MnO MgO CaO Na20 K20 Tbtal 、伽川元犯幻伽伽伽幻 0011030006 621 9 α叩⑬兜刀”㈹卯叩” ●b●●印●●●■● 、0節4070009 1 9 8027230002 3043220006 ●●●●●●●●●● 8032020006 43 1 9 叩伽諏団叩叩加㈹㈹兜 0090000009 9 9 α加佃お伽旧加加叩w ●●●●●OG●●● 8032020006 43 1 9 “砂砧卯加肌伽伽調史 1054030084 41 2 9 茄加肥妬卯如Ⅶ砺伽、 ●●●●●ロロ●■、 2090000207 4112 9 拓伽苑印婚偲卵犯妬詣 1064002108 5 21 9 55.18 0.00 072 2.37 0.28 17.53 25.05 000 0.00 1013 4L95 0.31 12.41 3.73 0.19 25.49 0.06 0.53 10.46 95.13 、 狼n m
o罰茄佃鹿町雌唾舶K”
4叩伽w⑲Ⅲ剥卯伽伽Ⅲ ●●●●●●●●●● 0010000003 07059360000 23004010001 ●●●●●●①●●● 1090030004 1 84020260005 19002080000 ●●。●●CO●●● 4040010001 1 3mm”Ⅲ叩加加叩切伽 ●U●●●●。●●● 0010000002 旧妬加mmm駈叩伽川田 ●CD●●●●b●■ 4040010001 1 型、、刃犯伽的伽伽⑲元 5020040015 1 32099191808 20012121707 ●●。●●q●●□● 6031040005 1 羽加加坊別砧巧叫調遁麺 7010041005 1 68037147000 9000099000 ●●①●●●ロ●●□ 1000000004 、妬旧肥料、㈹Ⅲ喧卯” ●G●●●●●●●● 5020050015 1XMg
0.520.870.900.000.900.900.770.890.930.92 Table2.Repr己sentativechemicalCOmPositionsofconstituentminemlsFcO*,totalFeasFeO・Chemicalanalyscsofminemlswe”perfbrmedusinganelecmnmicropmbewithan
en函gydiSpersiveX-rayanalyticalsystemOIrrACILS3000N)atUniv,oftheRyukyus 岩,石灰珪質片麻岩およびそれらの互層から梢成 されるが,広い面積に分布することが特徴である。 含サフイリン変成岩:黒色粗粒片状の岩石であり, 多壁の黒雲母から構成され,スピネル,コランダ ム,サフイリン,キン青石からなる径10~20mm 程度の点紋が散在する.黒雲母の定向配列による 片理面が確認される。構成鉱物は黒雲母,スピネ ル,サフィリン,コランダム,キン青石,ゼード ル閃石,不透明鉱物である。スビネルコランダ ム,サフイリンは集塊状に産するが(図2a&2b), スピネルコランダムはおおむねその中心部に他 形粒状(1~2m)の結晶として観察される(図2c)。 サフィリンはスピネル及びコランダムを取り囲む 形で不規則な形状を呈する。それら集塊状の鉱物 はキン青石によって完全に包有される。ゼードル 閃石は黒雲母に包有され産することが多く,その 長軸は黒雲母の定向配列に調和的である。 岩石記載 本調査で得られた試料は39試料である。本調査 では花崗岩の捕猿岩として産する含サフィリン変 成岩及び角閃岩の採取を目的としているため,花 崗岩類ならびにその母岩と考えられる変成岩類の 採取は極力避けた。それぞれ採取した試料の鉱物 組合せを表1に示した。これらの採取地点は図1 に対応する。また,表2には2つの岩石試料の鉱 物化学分析結果を示した。以下には採取した岩石 の組織について述べる。 1.捕獲岩類 -144-馬場:硫化物鉱床を伴う含サブィリン変成岩 含スピネル変成岩:暗緑色一部片状の岩石で,黄 褐色の黄鉄鉱が点在する。スピネル,斜方輝石, 黄鉄鉱,白雲母,黒雲母,緑泥石から構成される。 スピネルは淡青色,1mm程度で他形粒状のものが 多いが,稀に長径2mm程度の粒子もある(図2.)。 斜方輝石は淡く赤みを帯びており,他形粒状(0.5 mm)の粒子として産する。へき開が発達したもの が多い。肉眼で片状に見える部分はスピネルおよ び斜方輝石の卓越する組成縞により樹成されてい る。黄鉄鉱はスピネル,斜方輝石を充填して産し, 薄片内のすべての領域に確認される。白雲母,黒 雲母,緑泥石は二次鉱物として変質の進行した領 域に観察される。構成鉱物の組み合わせから判断 すると,本岩石は硫化物鉱床の一部と考えられる。 今回は光学的特徴から鉱物の判定を行っているが, そのような岩石には硫化鉱物が含まれることが予 想される。化学組成を把握し鉱物の同定を厳密に 行う必要がある。 塩基性片麻岩:暗緑色塊状の岩石であり,鏡下で はグラノブラスティック組織を示す(図2h,2i& 2j)。主に斜方輝石,普通角閃石,斜長石,石英 から構成され,少量の黒雲母,イルメナイト,ア パタイトを含む。斜方輝石は不規則な形状を呈し, 粒径2~3mm程度のものが多い。丸みを帯びた石 英,斜長石,普通角閃石,イルメナイトを包有す る。単斜輝石も斜方輝石と同様に産するが,淡緑 色を呈し多色性がないことから区別できる。普通 角閃石はz軸で茶褐色を呈し,丸みを帯びた斜方 輝石を包有することがある。黒雲母は斜方輝石の 周辺に二次鉱物として産する。 2.基盤岩類(母岩) 角閃岩:フェルシック鉱物の含有風によって黒色 ~暗緑色を呈する。主要な構成鉱物は普通角閃石, 斜長石,黒雲母であるが(図2k),これに加えて少 量の黒雲母,石英,イルメナイト,アパタイト等 が含まれる場合がある。普通角閃石,黒雲母は定 向配列することが多い。普通角閃石は粒径2mm程 度のものが多く,包有物は稀である。黒雲母は茶 褐色で長柱状に産する。斜長石は粒径0.5mm程度 でモザイク状に産する。 ザクロ石黒雲母片麻岩:ザクロ石の点紋が散在す る粗粒黒色の岩石である。構成鉱物は黒雲母,ザ クロ石,石英,斜長石。キン青石,珪線石,イル メナイト,アパタイト,ジルコンである。ザクロ 石は他形粒状(2~4mm)の斑状変晶として産し,微 細な黒雲母,イルメナイト,石英などの包有物を 多く含む。黒雲母はシンプレクタイトとして産す ることが特徴であり(図2e),定向配列するもの は少ない。キン宵石は黒雲母とともに碓認される が,稀に繊維状の微細な珪線石を包有することが ある。 石灰珪長質片麻岩:珪長質鉱物に富む灰色の薄層 と苦鉄質に富む暗緑色の層とが縞状構造を呈する 岩石である。単斜輝石,斜長石,普通角閃石,ザ クロ石,緑レン石,斜長石から構成され(図21), グラノブラスティック組織を示す。柱石,クサビ 石,アパタイト,不透明鉱物を少量含む。単斜輝 石は粒状他形で1m程度のものが多く,斜長石と ともに寄木細工状に産する。普通角閃石.緑レン 石はともに単斜輝石の周縁を置換して産する。柱 石は長径約10mmの斑状変晶として産しザクロ石, 単斜輝石を包有する。 石灰珪長質片麻岩:全体に暗緑色を呈す岩石であ り,斜長石からなる灰白色の薄層を含むことがあ る。構成鉱物は多い順からカルシウム角閃石,単 斜輝石,斜長石,クサビ石,石英,不透明鉱物で ある(図20゜これらに加えて黒雲母,白雲母,Ca‐ ザクロ石(グロシュラー)を含むことがある(図2 9)。角閃石はz軸で淡緑色を呈し,半自形から他 形,最大長径5m程度である。単斜輝石は多くの 場合,粒状に角閃石に包有されて産するものが多 い。斜長石,石英はマフィック鉱物の粒間を充填 し産する。 黒雲母片麻岩:黒雲母の含有量によって様々な岩 相を呈する。主要鉱物は黒雲母,斜長石,石英で あり,これらに加えてザクロ石,普通角閃石が含 まれる。副次鉱物としてイルメナイト,アパタイ ト,ジルコンなども少量含認められる。多くの黒 雲母は粒径1~2mm程度で,長柱状~板状に定向 配列する。普通角閃石が含まれる場合は黒雲母と -145-
図2.採取した試料の鉱物組織写真
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馬場:硫化物鉱床を伴う含サフィリン変成岩 Figure2・PhotomicrograPhsofthemicrotex【uresobservedincollectedsampIesinthisstudy.(a)&(b) Sapphirine(Spr)-SpineI(SPI)associationinO5912-lA・TheSproccursaroundthemarginofSpLandin turnSprissulmundcdbycordierilc(Crd).(c)CorundumencIosedbySplandSpr.(。)Spl-OrthOpyroxene (Opx)associationin912-1C(e)Biotite(Bt)andquartz(Qtz)symplectiteoccursingamet(Grt)-bearing llelsicgneiss(908-8B).(f)Clinopyroxene(CPX)llndhombIcnde(Hbl)inca]csilicate(909-3H),(9) Grossular(Grs)andcaIsic-amphibole(CaAmp)bearingcalcsilicate(909-4).(b)&(i)oIthopyroxene (Opx)bearingmaficgneisses(905-2A&-2B).O)Crossedpola「izedviewof(i).(k)amphibolite(908-2A). 同様に定向配列する。ザクロ石は班状変晶として 認められ,黒雲母,石英,斜長石,イルメナイト を包有する(図2m)。最大粒径10mm程度のものも 一部には認められ,内部の包有物は定向配列して いる。斜長石,石英はともに定向配列して産する が,石英には波動消光するものもある。 -147-
図2(つづき)
…=H曼謹
Figu妃2(continued).(1)Grs-HbI-Epidote(Ep)associationencIosedbyScapolite(Scp)in909-4.(、)CPX‐ HblinmetzIgabbro(908-2).(、)Grt-Btinldsicgneiss(908-8A).(o)Olivine(01V),Splandamphibole(Amp) inclusionsinlargeOpx(908-9).(p)OlVcrystalsare定placedbychroIiteandserpentine.(q)crossedpolalized viewofgranite(908-8B). 変ハンレイ岩:肉眼では暗緑色を呈する岩石で, 粒径8~10mm程度の角閃石が点紋状に散在する。 主な構成鉱物は普通角閃石,単斜輝石,斜方輝石, 斜長石であり(図2,),少量の方解石,イルメナイ トを含む。普通角閃石は長径2~3mm程度であり 集片塊状に澱集し点紋を構成する。単斜輝石,斜 方輝石はいずれも他形で丸みを帯びており寄木細 工状に産する。斜長石はそれら苦鉄質鉱物の粒間 を充填し産するが,方解石に変質しているものも ある。 -148-馬場:硫化物鉱床を伴う含サフィリン変成岩 超塩基性岩:粗粒塊状で暗緑色を呈する岩石で あり,斜方輝石からなる点紋が認められる。構成 鉱物は,斜方輝石,角閃石,カンラン石,スピネ ル,単斜輝石,イルメナイトであるが,二次鉱物 として緑泥石,蛇紋石が認められる.斜方輝石は 51,m程度の他形結晶として産し,スピネル,イル メナイト,角閃石,かんらん石を包有する(図20)。 角閃石は淡緑~淡青色を呈し斜方輝石の周囲に認 められる。スピネルは宵緑色で斜方輝石の包有物 以外にも様々鉱物に包有され確認される。カンラ ン石は粒径1mm程度のものが多いが,その内部に は不規則な割れ目が発達し,二次鉱物に腿換され ている(図2P)。一部のカンラン石は斜方輝石,ス ピネルと直接接して確認される。 ないことから不可能と考えられる。そこで本論で は,含サフィリン変成岩に認められるスピネルと サフィリンの共存関係に注目し温度条件の推定を
試みた。その結果,OwenandGreenough(1991)
の地質温度計では909℃,SatoandKawasakicOO6) では718℃を得た。しかし,今回の分析ではCrや Znの含有量を測定していないため,あくまで参 考値である。また,FMAS系における鉱物共生関 係(図3)から圧力条件を見積ると,700~800℃, 8kbar以下で形成可能であることが明らかになっ た。図3にはスコットランド,サウスハリス地域 に分布する含サフィリングラニュライトより得ら れた温度圧力経路も同時に示している。サウスハ リスの岩石にコランダム,スビネルサフィリン はザクロ石の包有物として観察されることから, 今回報告した含サフィリン変成岩はサウスハリス 地域での初期昇温変成作用時に形成された鉱物組 み合わせに相当すると考えることができる。また, ザクロ石を含まず,キン青石が認められることか ら,低圧条件であることは明白である。 3.花崗岩類 黒雲母花崗岩:肉眼では粗粒塊状,桃白色の岩石であり,鏡下では半自形粒状組織を示す(図2q)。
石英,斜長石,アルカリ長石,黒雲母から構成さ れ,イルメナイト,アパタイト,ジルコンを少量 含む。普通角閃石を含むものも認められる。石英, 斜長石,アルカリ長石は半自形~他形であり粒径 は3~5m程度である。アルカリ長石は丸みを帯 びた石英,斜長石をプール状に包有することがあ る。黒雲母の多くは茶褐色のものが多く,不規則 に配列する。一部の変形を被った岩石では斜長石 が破砕され,細粒な石英が片理を形成することも ある。しかし,二次鉱物の形成は顕著ではない。 2.試料選定 本研究の最終的な目的は,含サフィリン変成岩 類の形成場を周囲に産する塩基性変成岩類の地球 化学的特徴から推定することにある。それには蛍 光X線分析を行い,全岩化学組成を明らかにし地 球化学判別図から推定するのが一般的である。し かし,そこにはいくつかの問題が挙げられる。す なわち,1)Siq含有量が塩基性岩類(厳密に は45-52Wt%)の範囲内であること,2)変質な どによる二次的な鉱物の成長が認められないこと, 3)重量があり均質であることである。このよう な視点から改めて顕微鏡観察結果を見てみると, 分析に用いることが可能な試料は限定される。採 取した試料のなかに肉眼では塩基性片麻岩と極め て類似する石灰珪長質片麻岩が多く含まれること がその理由である。ザクロ石(グロシュラー)お よびカルシック角閃石を含むものについては分析 対象外とすると,基盤岩類からは5試料(908-1A, 908-1B,908-7,911-10,911-9),捕猫岩からは3試 料(909-2A,909-2B,912-2B)がその候補となる。 今回,採取した試料のなかで,スピネルを含有 する岩石の鉱物組み合わせは極めて特異である。 考察 1.変成温度圧力条件 これまで,調査地域において変成作用の詳細を 議論した研究は少ない。今回の観察で基盤岩類中 (母岩)に斜方輝石は認められず(超塩基性岩類 を除く),鉱物組み合わせは角閃岩相の変成岩体 であるとする従来の考えを支持する。しかし,花 崗岩類の捕猫岩として得られた試料には,斜方輝 石を含む塩基性片麻岩が確認された。このことは, 一部の岩石の変成温度条件がグラニュライト相に 達していた可能性を示すものである。温度条件の 推定については,両輝石地質温度圧力計を用いて 推定可能であるが,圧力の推定はザクロ石を伴わ -149-また,これらの岩石は黄鉄鉱を含むことから熱水 変質作用の影響により形成された可能性が高く, 鉱物化学分析ならび全岩化学組成分析を行うこと で含サフィリン変成岩との岩石成因関係の詳細を 明らかにすることが可能かもしれない。今後,こ れらをふまえ各種化学分を行う予定である。 した。EPMA分析に際し琉球大学理学部物質地球 学科の新城竜一助教授には便宜をはかっていただ いたここに感謝申し上げる。 引用文献 A1t,』.C・(1995)Sub-seailoorprocessesinmid-oceanridgehydrothermalsystems・I、:Humphris, SE.,Zierenberg,R、,MulUneaux,L、,Thomson, R・(eds.),SbZ/moorj汐(姉themUaSソs$…P附那jbzz4 Cli""”LBjDlqgjbzz'α,zdGcojngjbuzl〃lFmcljms 加倣伽⑬。)no肋cmmJS)MUj1cqAmericanGeophysical 謝辞 本研究の遂行にあたり文部科学省/日本学術振興 会科学研究費補助金(若手研究(B)「原生代にお ける高Mg堆積岩類の形成場と形成環境」課題番 号:167402895001代表:馬場壮太郎)を使用 Union,Washington,pp、85-114.
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Figuに3.P-TgndlbrFMASandKFMASsystemsatIowoxygenfUgacity(Hcnsen,1987;Hensen&Harley,l”O8 Bemandeta1.,1991;Harley;l”8)showingdiwlriantfleIdsにIevanttothemilnemIassociationsobservedinsap‐ phirine-bearingmcIamorphicmck、DashedalTow1cprcsentsP-TpathofSouthHarTissapphirine-bearinggmanulite. 図3.FMAS・KFMAS系における温度'千力図 -150-馬場:硫化物鉱床を伴う含サフィリン変成岩 BabaS.(2008)Twostagesofsapphirinefbrmation duringprogradeandretmgrademetamorphism mthePalaeoproterozoicLewisiancomplexm SouthHarris,NWScotlandノb"mcz!@/PbノブりlQgD1 44,329-354. Bertrand,P.,Ellis,DJ.&Green,,.H・(1991). ThestabUityofsapphirine-quartzandhypersth ene-sillimanite-quartzassemblage:aneXpenme ntalinvestigationinthesystemFeO-MgO-Al203-SiO2underH20andCOzconditions、 Cb"腕6噸、'zsmMY,ze7uzlq③Mzlod鹿姉lqgylO8, 55-71. Boyer,RE.(1962)Petmlogyandstructureof southemWetMountams,Colomdo・aomgjml SocjC(yq/A""jbUZBwl陀施73,1047-1070. Harley,SL.(1998).Ontheoccurrenceand characterisationofultrahigh-temperaturecrustal metamorphismIn:Treloar,PJ.&O'Brien,P. (eds)IWlatDがDGsMbm”oゆhis加ロ)zdMbm伽o幼lljb RE“tjms?GeologicalSocietyofLondonSpecial Publicationl38,pp、75-10L Hensen,BJ.&Harley,SL.(1990),Graphical analysisofP-T-Xrelationsingranulitefacies metapelite・I、:Ashworth,JR.&Brown,M、 (eds)HHglhTblリqpem如花Mな…0ゅ〃応〃α19(lQTcsmノ A池陀xfs、London:Unwin-Hyman,pp、19-56. 0we、,J、V、&Greenough,JD.(1991)Anempirical sapphirine-spmelMg-Fe既changethermometer anditsapplicationtohighgradexenoIithsin thePopesHarbourdyke,NovaScotia,Canada・ Lillios26,317-332. Raymon。,W、H,Leiggi,P.A、&Shendan,DM. (1980リSapphinneinPrecambrianrocksassociated withstrataboundsulfidedeposits,CusterCountry, Colorado・USGeobgjCzz!SimノGyBiU此(i"1513, 1-22. Sato,K、,Miyamoto,T&Kawasaki,T、(2006) Experimentalcalibrationofsapphirine-spmelFe2 +-Mgexchangethermometer:ImplicationfOr constmintsonP-TconditionofHowardHills, NapierComplex,EastAntarctica・Co9zdoudz"α REseUwli9,398-408. TWeto,0.(1977)NomenclatureofPrecambrian rocksinColorado・USGcohg池ISi、ノロソBOO此"" 19422-,,D1-D22 Tweto,0.(1979)GeologicalmapofColorado・u s・GeoloicalSurvey. -151-