2005年度修士論文
RC 建築物の免震化による
損傷レベル制御
2005年1月 指導教員 中田 愼介 副指導教員 那須 清吾 副指導教員 野尻 洋一
高知工科大学大学院基盤工学専攻 社会システム工学コース 1075009
伊藤 瑞悦
修士論文要旨
RC建築物の免震化による損傷レベル制御
高知工科大学大学院基盤工学専攻 社会システム工学コース 1075009
伊藤 瑞悦 1:研究背景
1995 年に兵庫県南部地震が発生して、さまざまな問題が顕在化した。中でも建物の 構造設計者と建築主の間で、建物に作用する地震動の強さとそのときに予測される損傷 程度に関して共通認識がなかったことが指摘された。今後は設計者には、建物の耐震性 能に関して消費者に十分理解できるような説明を行い、消費者の合意を得た上で、消費 者の望む建物を設計することが求められている。また現在では、建物の耐震設計は構造 的な安全性だけではなく建物の機能や価値までを含めて捉えられるようになっている このような流れをうけ、2004年1月に日本建築学会より「鉄筋コンクリート造建物の 耐震性能評価指針(案)」が刊行された。ここには、鉄筋コンクリート造建物(以後、RC 造建物と記す)の耐震性能を損傷度ⅠからⅤの5段階に分けてメニュー化するという新 しい概念が示されている。
2:研究目的
本研究の目的は、RC造建物を免震化することによって、極めてまれに起こる大地震後 も損傷度Ⅰ、すなわち地震後もほぼ補修の必要なく継続使用できる状態に制御する方法 を提案することである。
現行の建築基準法では、耐用年数中に1度遭うか遭わないかという極めて強い地震に 対して、人命は守るが建物の損傷・機能喪失はやむを得ないというのが基本方針である。
本研究では、社会的なニーズの多様化を踏まえ、大地震後もほぼ補修の必要なく継続し て使用できる状態を維持すること、すなわち大地震後も「鉄筋コンクリート造建物の耐 震性能評価指針(案)」における損傷度Ⅰレベルに損傷を制御することに着目した。そ のための有効な手段として、本研究では免震構造を採用した。具体的には、RC 造免震 建物に指針の考え方を導入して、大地震後も損傷度 の性能を維持するための上部構造 の設計上の目安をベースシア係数によって提案し、免震化による損傷レベル制御の可能 性を追求することを目的とする。
3:研究方法
まず、既往の建築基準法に則って設計した低層、中層、高層、超高層建物(以後、原建 物と記す)に静的荷重増分解析(以後、静的解析と記す)を行って、層せん断力-変位の 関係を求める。次にその関係を質点系におきかえて時刻歴動的応答解析(以後、動的解 析と記す)を行い、応答値を求めて各建物の損傷度を検討する。次に原建物をそのまま 基礎免震化し、再び動的解析を行って応答値を求め、損傷度を検討する。これら一連の
解析をクライテリアが満たされるまでケースを増やして繰り返すこととする。
本研究では、損傷制御の設計クライテリアとして動的解析による最大応答変位が層間変形 角で1/200 程度になることとする。これは指針で定義された損傷度 の限界値であり、応 答層間変形角が1/200程度であれば設備機器・什器および仕上げは損傷を受けず補修が不 要とされており、残留ひび割れ幅が0.2mm以下におさまるとされているからである。また 残留ひび割れ幅が0.2mm以下であれば、ドアの開閉など建物の機能面でも問題がないとさ れている。クライテリアが満たされるまで解析を繰り返すこととする。初期の建設コスト は、一般に設計で考えられる地震動を大きくして建物の耐震性能を向上させるとともに高 くなるが、初期の建設コストをかけて耐震性能を向上させれば、地震時の被害は少なくな るので地震後の補修費用は少なくてすむ。このように、免震化する(すなわち、耐震性能を 向上させる)ことで建設コストは増加するが、同じ建物を既往の基準法に則って設計した場 合と比べれば上部構造の躯体費用が削減でき、地震後の補修費用も不要になると考えられ る。そこで本研究では、大地震後も損傷度 の性能を維持できる RC造免震建物の構造躯体 費用、既往の建築基準法に則って設計された建物の構造躯体費用と大地震後に想定される 補修費用を積算し、RC造免震建物の経済性を検討する。
4:解析結果
既往の基準法に則って設計した各建物を免震化することで、損傷度 の性能を満たす範 囲内で上部構造を削減することができた。各ケースの解析結果を図4に示す。
0 1/200 1/100 1/75 1/50
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
5層建物(耐震) 7層建物(耐震) 15層建物(耐震)
30層建物(耐震) 5層建物(免震) 7層建物(免震)
15層建物(免震) 30層建物(免震) 原建物(耐震)
主筋変更(耐震) 断面+鉄筋変更(耐震) 原建物(免震) 主筋変更(免震) 断面+鉄筋変更(免震)
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
損傷度
Ⅳ
建物の固有周期(秒) 0
1/200 1/100 1/75 1/50
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
角応答最大層間変形
5層建物(耐震) 7層建物(耐震) 15層建物(耐震)
30層建物(耐震) 5層建物(免震) 7層建物(免震)
15層建物(免震) 30層建物(免震) 原建物(耐震)
主筋変更(耐震) 断面+鉄筋変更(耐震) 原建物(免震) 主筋変更(免震) 断面+鉄筋変更(免震)
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
損傷度
Ⅳ
建物の固有周期(秒)
最大層角応答間変形
図4:各ケースの最大応答層間変位・固有周期の推移
図4は、縦軸左に最大応答層間変形角を、縦軸右には「鉄筋コンクリート造建物の耐 震性能評価型指針(案)」に基づいて設定した損傷度を、横軸は建物の固有周期を示し ている。グラフの左側の集まりは、既往の基準法のクライテリアを満たした建物を動的 解析した結果である。以後「耐震設計したケース」と記す。グラフの右側の集まりは、
耐震設計した各ケースを免震化して動的解析を行った結果である。またグラフの赤線は 原建物の結果を、緑線は CASE1として原建物から主筋量のみを最小鉄筋量まで低減し たケース、青線はCASE2として部材断面と鉄筋量(主筋・帯筋量の両方)を変更した ケースの解析結果を示しており5層、7層、15層、30層の各ケースの中で最も応答値 が大きかった値をプロットしている。
もともと応答変位が損傷度ⅡからⅢに分布していた耐震設計した各ケースの原建物が、
免震化することでグラフの右下の赤線が示すように損傷度Ⅰレベルに抑えられた。それ ぞれ固有周期がのび、層間変形角、すなわち各層の変形も大幅に低減され、損傷度 に おさまっており、応答値クライテリアである応答層間変形角1/200まではかなり余裕 があることも確認できた。つまり、上部構造の耐力を余裕分だけ下げられると考えた。
そこでCASE1として柱・梁の主筋量を最小鉄筋量まで減らし、CASE2で部材断面と鉄 筋量を変更することで、グラフ右下の青線が示すようにクライテリアである層間変形角 1/200にかなり近づけることができ、クライテリアは満たされていると判断した。
5:ベースシア係数のまとめ
各ケースのベースシア係数をまとめて表5に示す。
表5:各ケースのベースシア係数 原建物 CASE1 CASE2 5層建物 0.48 0.33 0.22 7層建物 0.45 0.27 0.15 15層建物 0.16 0.10 0.09 30層建物 0.10 0.06 0.06
上部構造の耐力を下げる方法として、CASE1:主筋量の変更、CASE2:部材断面と鉄 筋量(主筋と帯筋)の変更を行った。CASE2がクライテリアを満たしたケースである。
免震化することで、大地震後も損傷度 の性能を維持するためには、層間変形角1/200 に達した時点のベースシア係数で、既往の基準法のレベルの原建物に比べて下げること が確認できた。5層建物では、原建物のベースシア係数に比べてクライテリアを満たし たCASE2では約6割、7層建物では約7割、15層建物では約5割、30層建物では4 割程度下げることができた。
6:積算結果
各ケースの積算結果を図6に示す。
0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000 200,000 220,000
CASE1 CASE2 原建物
合計金額
図6の横軸は左から原建物、CASE1、CASE2を示しており、縦軸は合計金額を表して いる。原建物の合計金額とは構造躯体費用・施工費用・大地震後の補修費用を足し合わ せた値、CASE1・2の合計金額は構造躯体費用・上部構造の施工費用・免震コストを合 計した値である。
各ケースとも免震化したほうが多少安くなり、免震化の有効性が確認できる。被災度 によって補修費用は変動するのでこの値は多少上下すると考えられるが、各ケースとも 免震化したほうが多少安くなり、免震化の有効性が確認できると思われる。
以上の結果から、既往の基準法に則って設計した建物を免震化することで、大地震を 受けた後も損傷度 の性能を維持するための設計上の目安を提案できた。また積算結果 からも免震化による損傷レベル制御が有効であり、実現可能性があると考えられる。
図6:各ケースの積算結果 (単位:万円) 施工費用 構造躯体
材料費 補修費用 免震コスト
5層 7層
15層
30層
0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000 200,000 220,000
CASE1 CASE2 原建物
合計金額 )
(単位:万円 施工費用 構造躯体
材料費 補修費用 免震コスト
0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000 200,000 220,000
CASE1 CASE2 原建物
合計金額
) 構造躯体
施工費用 材料費 補修費用 免震コスト (単位:万円
30層 15層
5層 7層
Damage Control of Reinforced Concrete Buildings by Base Isolation Systems 1075009 Mizue ITOH
It was considered that base isolation system will be very effective for the damage level control of reinforced concrete buildings. At first four case of buildings ; 5story, 7story, 15story and 30story buildings were designed based on the existing conventional seismic standards. These buildings were analyzed as base isolation system. Guidelines for Performance Evaluation of Earthquake Resistant Reinforced Concrete Buildings (Draft) was published by Architectural Institute of Japan in January 2004. This guidelines defined damage level I .The damage level I shows slight damage which need not repair works. In this study, through the dynamic response analysis, four case of buildings were discussed.
Original design buildings which were designed on conventional seismic design standards were analyzed on the base isolation systems. They all showed the dynamic response story drift which is within the damage level I. In this paper, the possibility of the reducing of amount of reinforcement and section of building members. Fig.1 shows the representative analytical results. In this figure, Y-axis shows maximum response story drift angle and X-axis shows the natural period of each case of buildings. Left hand side shows response story drft angle before base isolated and right hand side shows those after base isolated . Original buildings shows smaller drift angle and changing amount of reinforcing and members section, the results show still the limit of damage level (Il; story drift angle 1/200)
0 1/200 1/100 1/75 1/50
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
5層建物(耐震) 7層建物(耐震) 15層建物(耐震)
30層建物(耐震) 5層建物(免震) 7層建物(免震)
15層建物(免震) 30層建物(免震) 原建物(耐震)
主筋変更(耐震) 断面+鉄筋変更(耐震) 原建物(免震) 主筋変更(免震) 断面+鉄筋変更(免震)
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
損傷度
Ⅳ
建物の固有周期(秒)
応答最大層間変形角
0 1/200 1/100 1/75 1/50
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
5層建物(耐震) 7層建物(耐震) 15層建物(耐震)
30層建物(耐震) 5層建物(免震) 7層建物(免震)
15層建物(免震) 30層建物(免震) 原建物(耐震)
主筋変更(耐震) 断面+鉄筋変更(耐震) 原建物(免震) 主筋変更(免震) 断面+鉄筋変更(免震)
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
損傷度
Ⅳ
建物の固有周期(秒)
応答最大層間変形角
Fig.1 Outlines of Analytical Results
-目次-
1.序論 -1-
1-1:研究背景 -1-
1-2:「鉄筋コンクリート造建物の耐震性能評価指針(案)」について -3-
1-3:研究目的 -5-
2.研究方法 -6-
2-1:研究方法 -6-
2-2:解析方法 -8-
2-3:入力地震動 -8-
2-4:対象建物の設計方法 -9-
2-5:免震層の設計方法 -13-
2-6:対象建物概要 -14-
3.5層建物の解析結果 -19-
3-1:5層原建物の基本性能 -19-
3-2:5層原建物と原建物を基礎免震化したケースの解析結果 -22-
3-3: 5層建物の変位に影響を与える部材の検討 -25-
3-4: 5層建物CASE1の解析結果 -25-
3-5: 5層建物CASE1とCASE1を基礎免震化したケースの解析結果 -28-
3-6: 5層建物CASE2の解析結果 -31-
3-7:5層建物CASE2とCASE2を基礎免震化したケースの解析結果 -34-
3-8:5層建物の解析結果の考察 -37-
4.7層建物の解析結果 -38-
5.15層建物の解析結果 -53-
6.30層建物の解析結果 -68-
7.建設費用・免震コスト・補修費用の積算 -87-
7-1:構造躯体費の積算結果 -87-
7-2:補修費用の積算結果 -88-
7-3:免震コストの積算結果 -89-
8.結果まとめ -89-
8-1:解析ケースのまとめ -89-
8-2:ベースシア係数のまとめ -91-
8-3:積算結果のまとめ -91-
9.結論・考察および今後の課題 -93- 謝辞
参考・引用文献
1:序論 1-1:研究背景
性能規評価型設計法の台頭
1995 年に兵庫県南部地震が発生して、さまざまな問題が顕在化した。中でも建物の 構造設計者と建築主の間で、建物に作用する地震動の強さとそのときに予測される損傷 程度に関して共通認識がなかったことが指摘された。今後は建物の性能を明確に定め、
これを建築主と設計者で認識し合ったうえで設計を進めてゆくことが求められている。
2001 年に改定された建築基準法や2002 年に改定された道路橋示方書等、兵庫県南 部地震以降に改訂された技術基準では、性能規定型の設計法を目指した規定が整備され 始めている。
現行の建築基準法では、地震力として1次設計レベルと2次設計レベルの2段階のレ ベルを設定している。1次設計の基本は「建築物の耐用年限中に数度は遭遇する程度の 地震(中地震)に対しては、建築物の機能を保持すること(許容応力度設計法)」とされ ている。2次設計の基本としている考え方が「建築物の耐用年限中に1度遭遇するかも しれない程度の地震(大地震)に対して、建築物の架構に部分的なひび割れなどの損傷 が生じても最終的に崩壊からの人命保護を図ること(靭性、保有耐力の確保)」である。
このうち大地震に対する建物の安全性に対するクライテリア、すなわち2次設計の基本 についてどれだけ消費者から理解を得ていたであろうか。兵庫県南部地震を受けて多大 な被害を被ったが、いわゆる新耐震設計法と呼ばれる改正建築基準法によって設計され た1981年以降の建物の多くは倒壊を免れたと報告されている。しかしながら、建物は 倒壊から免れても内外装材の被害、設備などの機能喪失は大きく、構造骨組みの修復と 機能修復には多くの費用を要した。建物の構造は地震に対して安全でなければならない。
地震で人命が失われることのない構造にすることは、最低限必要な機能である。しかし 建物の地震被害は構造体の崩壊だけではない。たとえば外壁パネルや石、タイルなどの 仕上げ材の剥落や、窓ガラスの破損、あるいは建物内の家具や什器、設備機器が移動し たり転倒して、人が怪我をしたり避難通路が遮断されたりすることもある。また構造体 は損傷しなくても、構造耐力上考慮していない壁などに大きなひび割れが生じると、建 物の機能や美観を損ね、建物としての価値が低下することもある。しかし現行の耐震基 準では、大地震時に倒壊は免れるけれども地震後建物に残留変形を許容されており、地 震による大きな揺れと、それによる建物が変形して内外装の剥落、落下、また家具の転 倒などを原因とする多くの犠牲者、けが人の発生、さらにはそうした構造物に内蔵され る各種の財産の喪失という事態はやむを得ないということにほかならない。もちろん、
こうしたクライテリアは建築基準法による最低基準として与えられているもので、これ 以上の安全性を考慮することは建築主と設計者が協議して決めればよい。しかしながら、
実際に設計者が耐震安全性についてのクライテリアを建築主と協議して決定すること はごく稀であるというのが実状だといわれている。
そこで求められるのが設計者による建物の耐震性能に関する十分な説明と、それに基 づく建築主の同意、あるいは建築主からの安全性についての要求とそれに基づく設計、
こうした考え方に基づく設計である。特に設計者には、建築物の性能について建築主へ の十分な説明責任が問われることになる。しかし、地震に対する建物の性能の共通認識 を得ることは容易ではない。地震という現象が明確に規定しにくい、つまり、いつ、ど の程度の大きさのものが発生するかを特定しにくいために、地震を受けたときの建物の 被害レベルを予想しにくい、あるいは予想できてもそれを表現しにくいためである。そ こで設計者と建築主とが建物の耐震性に対して共通の認識を持つために、耐震性能のメ ニュー化が求められている。
このような流れをうけ、建築業界でも2004年1月、日本建築学会より「鉄筋コンク リート造建物の耐震性能評価指針(案)」が刊行された。鉄筋コンクリート造建物(以後、
RC 造建物と記す)の耐震性能を損傷度ⅠからⅤの 5 段階に分けてメニュー化するとい う新しい概念が示されている。
免震構造の可能性
過去の大地震によって、その都度予想しなかった被害を受けてきた。今後もそれぞれ の敷地での的確な地震動の予測が行わなければ、過去の地震被害が繰り返しされるとも 思われる。それでは、いかにして安全な建物とするのだろうか。耐震構造として耐力を 従来以上にどこまで高めておけばよいのか。
仮定した地震力に耐えるという耐震構造に対して、建物に作用する地震力を抑制して より大きな安全性を確保しようとするのが免震構造である。地震による建物の大きな揺 れは、地震動に対して建物が共振振動することである。免震構造はそれをかわして、揺 れを小さく保つことができる。したがって、単に構造物の破壊を防ぐばかりでなく建物 の機能維持、エレベータの障害防止、内外装材の落下防止や家具什器の転倒防止にも効 果を発揮するようになる。
現在、建物の耐震設計は構造的な安全性だけではなく、機能や価値までを含めて捉え られるようになっているという。建物に要求される性能は安全性だけでなく、耐久性や コスト(経済性)を含めた多くの性能をバランスよく保つことが必要とされている。免 震構造では、初期の建設コストをかけて耐震性能を向上させるので建設コストは一般的 に高層建物の場合では3~5%程度上がると言われているが、地震時の被害は少なくなり 地震後の補修費用も少なくてすむ。社会の変化、都市の変化、安全性と建設コストの両 面から考えた場合、免震構造の担う将来性は大きいと思われる。
1-2:
「鉄筋コンクリート造建物の耐震性能評価指針 ( 案 ) 」について
2004年1月、日本建築学会より「鉄筋コンクリート造建物の耐震性能評価指針(案)」
(以後、指針と記す) が提案された。指針では、RC 造建物の耐震性能を損傷度Ⅰから
Ⅴの5段階に分けてメニュー化するという新しい概念が示されている。具体的には、耐 震性能を指標化して従来の設計のように基準レベルを上回ることを確認するだけでな く、どの程度の耐震性能を有するものかを確定値および確率で表現しようとするもので ある。指針の目標は、建物が保有する耐震性能を建物固有の指標値として評価し、建物 の共用期間や建設地域の地震活動などを考慮して、耐震性能をわかりやすく表示するこ ととされている。以下に指針の概要を簡単に記す。
指針では、性能評価項目として建築構造の性能を以下の3つに分類して、各目標性能 を定めている。
(1)安全性:人命を保護できるという性能
(2)復旧可能性:修復または補強によって、経済的な復旧が可能という性能 (3)使用性:地震後もほぼ無条件で建物を継続使用できるという性能
以上の3種類の性能評価項目と対応して、それぞれの限界状態が設定されている。
(1) 使用性:
地震後もほぼ補修の必要なく継続使用するのに支障を来さないための性能評価項目で ある。これを確保するために、構造物に設定される限界状態が「使用限界状態」である。
(2) 修復性:
経済的な修復が可能な状態を目指した、言わば損傷のレベルを制御するための性能評 価項目である。これに対応するのが「修復限界状態」である。修復限界状態で想定され る被災度は小破から大破まで幅広いので、2つのレベルが設定されている。
(3) 安全性:
人命保護のための性能評価指針で、この性能を確保するために設定されたのが「安全 限界状態」である。
指針の性能評価項目において、建築構造の性能を評価する対象は、構造骨組・建築部 材・設備機器・什器・地盤の5 つに分類されている。これら 5 つの項目ごとに「使用 性」「安全性」「修復性」の各性能と、「使用限界」「安全限界」「修復限界」の各状態が 定義されている。
指針に記載されている築部材の限界状態・損傷度の関係を図1-1に示す。
図1-1に示すように、部材の限界状態に応じて、4段階の損傷度が定義されている。
(1)損傷度Ⅰ
損傷度Ⅰとは、使用限界に達するまでの状態、すなわち無被害・軽微といわれる、地 震後も無条件で継続使用可能な状態を指す。指針では、主要部材の応答をおおむね弾性 限度内にすることに加え、残留ひび割れ幅が十分に小さいことを確認する手法が示され ている。
(2)損傷度Ⅱ・Ⅲ
使用限界を超えて修復限界に達するまでの状態が、損傷度ⅡおよびⅢに相当する。被 災度でいえば小破から大破に近い中破までに相当し、部材の損傷状況、補修規模にかな りの幅があるのでⅡおよびⅢという2段階の損傷度が設定されている。
(3)損傷度Ⅳ
損傷度Ⅳとは、修復限界を超えて、安全限界に達するまでの状態を指す。人命を守る ために最低倒壊しないこと、地震時に鉛直荷重が保持されることが設計目標となる。被 災度でいえば大破に相当する。
(4)損傷度Ⅴ
安全限界にも達していない状態は損傷度Ⅴと設定されている。安全限界を超える部材 は耐力低下を生じて非線形解析の適用範囲を超えるため、その損傷状況を評価すること ができない。従って、基本的には損傷度の段階としては扱われていないが、損傷度Ⅳを 超える損傷状況を示したい場合は損傷度Ⅴと表すこととされている。
鉄筋 コンクリート 残留ひび割れ幅 継続使用可能
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
弾性 ほぼ弾性 0.2mm
程度以下 容易に修復可能 わずかに
降伏する程度 健全
0.2~ 1.0mm 程度 修復可能 座屈しない リートは健全コアコンク 1.0 ~ 2.0mm
程度 地震応答時、
地震終了時に 鉛直荷重による
応力を維持
破断しない
コアコンク リートの圧壊
は生じない
耐力低下 破断 リートの圧壊コアコンク 具体的な損傷の状況 部材の状態 損傷度
使用 限界
修復 限界
Ⅱ 修復 限界
Ⅰ
安全 限界
鉄筋 コンクリート 残留ひび割れ幅 継続使用可能 弾性 ほぼ弾性 0.2mm
程度以下 容易に修復可能 わずかに
降伏する程度 健全
0.2~ 1.0mm 程度 修復可能 座屈しない リートは健全コアコンク 1.0 ~ 2.0mm
程度 地震応答時、
地震終了時に 鉛直荷重による
応力を維持
破断しない
コアコンク リートの圧壊
は生じない
耐力低下 破断 リートの圧壊コアコンク 具体的な損傷の状況 部材の状態 損傷度
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
使用 限界
修復 限界
Ⅰ
修復 限界
Ⅱ
安全 限界
図1-1: 築部材の限界状態・損傷度の関係
1-3 :研究目的
現在では、建物の耐震設計は構造的な安全性だけではなく建物の機能や価値までを含 めて捉えられるようになっている。また設計者には、建物の耐震性能に関して消費者に 十分理解できるような説明を行い、消費者の合意を得た上で、消費者の望む建物を設計 することが求められている。このような背景から、「鉄筋コンクリート造建物の耐震性 能評価指針(案)」において、RC造建物の耐震性能のメニュー化が提案された。
現行の建築基準法では、耐用年数中に1度遭うか遭わないかという極めて強い地震に 対して、人命は守るが建物の損傷・機能喪失はやむを得ないというのが基本方針である。
つまり指針における損傷度Ⅲまで設計が許容されていることになる。
一方、免震建築物には、指針で提案されたようなメニュー化はなされていない。上部 構造への入力加速度の低減効果から既往の建築基準法に示された設計法とは異なり、設 計用層せん断力係数の基準も存在せず、現状では設計者が安全確認の上で任意に決定し ているが、「免震構造設計指針」において上部構造の全部材が弾性限耐力以内おさまる ことが耐震性能の目標値とされている。この性能は、指針おける損傷度ⅠとⅡの間に相 当する。
兵庫県南部地震で地震被害を受けた後、建物の耐震性能に関する消費者のニーズも多 様化している。建物の用途によっては、大地震後も補修の必要なく継続使用できる状態 を維持すること、すなわち指針に示された損傷度Ⅰの性能を保つことが求められるよう になっている。高い居住性を要求される建物:ホテル、共同住宅(マンション)、内部 機器・施設の保護が要求される建物:コンピューターセンター、病院、防災拠点施設、
美術館、博物館、通信施設、非常に高い耐震性を要求される建物:原子力関連施設 な どがその例である。
このような社会的なニーズの多様化を踏まえ、本研究では大地震後も損傷度Ⅰレベル に損傷を制御するために免震構造を採用した。本研究の目的は、RC 造建物を免震化す ることによって、極めてまれに起こる大地震後も損傷度Ⅰ、すなわち地震後も補修せず 継続使用できる状態に制御する方法を提案することである。具体的には、RC 造免震建 物に指針の考え方を導入して、大地震後も損傷度Ⅰの性能を維持するための上部構造の 設計上の目安をベースシア係数によって提案し、免震化による損傷レベル制御の可能性 を追求することを目的とする。
2 :研究方法 2-1 : 研究方法
RC造免震建物の上部構造の応答を損傷度Ⅰに留めるためには、変形はどの程度に抑え なければいけないのか、そのためにはどの程度の強度を必要とするのかを知ることが重 要である。本研究では、まず既往の建築基準法に則って設計した低層、中層、高層、超 高層建物(以後、原建物と記す)に静的荷重増分解析(以後、静的解析と記す)を行って、
層せん断力-変位の関係を求める。またその関係を質点系におきかえて時刻歴動的応答 解析(以後、動的解析と記す)を行い、応答値を求めて各建物の損傷度を検討する。次 に原建物をそのまま基礎免震化し、再び動的解析を行って応答値を求め、損傷度を検討 する。これら一連の解析をクライテリアが満たされるまでケースを増やして繰り返すこ ととする。
初期の建設コストは、一般に設計で考えられる地震動を大きくして建物の耐震性能を 向上させるとともに高くなる。しかし 1-1 で述べたように、初期の建設コストをかけ て耐震性能を向上させれば、地震時の被害は少なくなるので地震後の補修費用は少なく てすむ。免震化することによって建設コストは増加するが、上部構造の躯体費用が削減 できると考えられる。そこで本研究では、大地震後も損傷度Ⅰの性能を維持できる RC 造免震建物の構造躯体費用、既往の建築基準法に則って設計された建物の構造躯体費用 と大地震後に想定される補修費用を積算し、RC造免震建物の経済性を検討する。
2-1-1: 設計クライテリアについて
本研究では、損傷制御の設計クライテリアとして動的解析による最大応答変位が層間 変形角で1/200程度になることとする。これは指針で定義された損傷度Ⅰの限界値で あり、応答層間変形角が1/200程度であれば設備機器・什器および仕上げは損傷を受 けず補修が不要とされており、残留ひび割れ幅が0.2mm以下におさまるとされている からである。また残留ひび割れ幅が0.2mm以下であれば、ドアの開閉など建物の機能 面でも問題がないとされている。クライテリアが満たされるまで解析を繰り返すことと する。
2-1-2: 上部構造の変更方法について
免震建物の特徴として「構造計画の自由度の増加」が挙げられる。つまり、地震を受 けたときの免震建物における上部構造の応答は小さいので、耐震設計した建物を免震化 した場合には同等の強度を保ちながら、さらに上部構造の柱・梁の断面寸法を減少する ことができる。原建物をそのまま免震化すれば、動的解析によって得られる応答値は大 幅に低減でき、応答を損傷度Ⅰにおさめることができると予測される。本研究では、応 答を損傷度Ⅰにおさめるための限界値を提案することが目的なので、損傷度Ⅰの限界に 近づけるために上部構造の部材強度を下げることにする。強度にはコンクリート断面寸
法、鉄筋断面積、コンクリート圧縮強度、鉄筋引張降伏強度などが関係する。本研究の 目的は上部構造の耐力に影響を及ぼす部材の定性的な把握にあるため、使用材料の強度 は一定とし、部材断面、鉄筋量のみを変更することにする。
2-1-3: ベースシア係数について
静的解析の結果から変形を抑えるために強度を上げるべき部材を推定し、鉄筋量、コ ンクリート断面積を少しずつ低減させ、動的解析を行って最大応答変位を確かめるのだ が、その際に応答変形に対する建物の耐力の指標としてベースシア係数を用いる。
層せん断力とは、建物のある層に作用する力のことで、その層より上の水平力を合計 したものである。層せん断力係数とは、層せん断力をその層より上の重量の総和で除し た値をいう。特に、最下層の層せん断力はベースシア係数と呼ばれ、設計上の重要な指 標となっている。ベースシア係数は構造物全体の振動性状、あるいは設計上の耐震性能 などを示す最も基本的な指標である。
ベースシアを決定する際に、静的解析においてどの時点の層せん断力を選択するかが 重要となってくるのだが、通常は保有水平耐力時の層せん断力を採用することが多い。
また保有水平耐力時の変形は、層間変形角にして1/100に達した時点の変形を採用す ることが多い。しかし、本研究の目的は層間変形角を1/200程度に制御するところに あるので、荷重増分解析においてある層の層間変位が最初に1/200に達した時点での 1層の層せん断力を採用することとした。また、建物の耐震性能を知る上で保有水平耐 力時のベースシアも必要と思われるので、保有水平耐力時のベースシアとして層間変形 角が1/100に達した時の層せん断力とし、保有水平耐力時のベースシア係数として算 出することにした。
以下に使用した部材強度算定式を示す。
・梁の曲げ強度算定式
) (
9 .
0 a d kg cm
M
u=
t⋅ σ
y⋅ ⋅
at;引張鉄筋断面積(cm2)
σy;鉄筋の引張降伏点強度(kg/cm2) d;梁の有効せい(cm)
・柱の曲げ強度算定式
D;柱断面せい(cm)) )(
1 ( 5 . 0 8
.
0 kg cm
F D b D N N D
a M
c y
t
u
⋅
⋅
− ⋅
⋅ +
⋅
⋅
= σ
0≦N≦0.4bDFcb;柱断面幅(cm) N;軸方向力(kg)
Fc;コンクリート圧縮強度(kg/cm2)
2-2 : 解析方法
2-2-1: 静的荷重増分解析
解析には(株)構造計画研究所から発売されている2次元フレームの弾塑性フレーム 解析プログラム『RESP-F』を用いる。その概要を以下に記す。
フレームを柱、梁、耐震壁の部材に分割して捉え、各構成部材に復元力特性を定義し、
荷重増分ステップごとに骨組み全体の瞬間剛性の検討を仮定した部材の復元力特性に 立脚して行う。静的荷重増分解析は、各層に水平力分布を与え最上層の変位が 100cm に至るまで逐次増大させていく。
柱、梁は曲げ、せん断、軸変形を考慮し、両端に剛域を考慮したビーム要素として以 下のようにモデル化する。
①材端曲げモーメントと回転に関する弾塑性挙動を、弾性線材の曲げ剛性EIと、その 両端に設けた剛塑性回転バネによって表す。すなわち、曲げによる材端の回転変形は、
弾性線材の変形と、剛塑性回転バネの回転変形の和で表す。
②せん断変形については、弾性として取り扱う。
部材端部に剛塑性回転バネを導入した材端曲げモーメント(M)と回転角(ω)に関する 剛性マトリクスによって表す。
部材耐力は全て建築学会の保有耐力計算式に基づいて行う。部材の復元力特性は Degrading Tri-Linear型を使用した。また、柱は全て柱のモーメント(M)による軸 力の変動(N)を考慮したM-Nインタラクション柱として取り扱うこととした。
2-2-2: 時刻歴動的応答解析 ( 質点系動的応答解析 )
(株)構造計画研究所から発売されている建築構造物の振動解析プログラム RESP-
M/Ⅱを使用する。これはRESP-Fで得られた各層の層せん断力-変位関係を質点間の バネ定数とし、時刻歴動的応答解析を行うものである。
建物を静的解析で得た剛性マトリクスで表せるフレームモデルと、柱置換された壁と それに取り付く境界梁から成る複数の壁モデルの集合とし、それらに層毎の剛床仮定を 適用する。また、ここでは基礎条件はロッキング・スウェイを考慮せず固定とした。
直接積分法により弾塑性応答解析を行う。積分方法はニューマークβ法を用いる。入 力地震動の加速度に対し、時間刻みで瞬間剛性、瞬間減衰を評価し、振動方程式を解く。
また減衰の評価方法は、比例減衰の剛性比例とし、減衰定数は3%とした。
2-3 :入力地震動
設計用の入力地震動には、一般的にEL Centro 1940 NS、TAFT 1952 EW などの 標準波や、長周期成分が比較的卓越するHACHINOHE 1968 NS・EW波、建設地の地盤 特性を考慮した人工地震波、および過去にその建設地付近で記録された地震波などが用 いられている。本研究では、入力地震動としてEL-Centro NS、TAFT EW、HACHINOHE
NSの3波を採用し、レベル1として最大速度25kine、レベル2として最大速度50kine に基準化して用いた。地震波はそれぞれ異なる性質をもっており、それを直接入力地震 動として解析を行ってもその応答値を比較することは困難である。よって最大速度で基 準化し、全ての地震波を同規模とすることで、建物の地震応答を比較する。加速度では なく速度で基準化したのは、過去の地震被害においても最大加速度よりも最大速度の方 が地震被害との相関性が高い事が言われているからである。
一般的に、設計用入力地震動に応じて地震に対する安全性能が設定されている。本研 究でも設計用入力地震動として以下のような2段階のレベルを考慮する。
レベル 1 :稀に発生する地震動に対する検討
建築物の耐用年限中に数度は遭遇する程度の地震動(中地震動)に対しては、建築物の 構造上主要な部分が損傷しないこと。
レベル 2 :極めて稀に発生する地震動に対する検討
建築物の耐用年限中に1度遭遇するかもしれない程度の地震動(大地震動)に対しては、
建築物の架構に部分的なひび割れなどの損傷が生じても最終的に倒壊、崩壊からの人命 の保護を図ること。
各レベルに対応する地震波の最大加速度を図2-3-1に示す。
レベル1 (25kine相当)
レベル2 (50kine相当) EL CENTRO 1940 NS 255.38 510.76
TAFT 1952 EW 248.38 496.76
長周期
地震波 HACHINOHE 1968 NS 165.05 330.1
特定 地震波
地震波
最大加速度(gal)
図2-3-1: 入力地震波と入力レベル
2-4 : 対象建物の設計方法
本研究で対象とするのは低層・中層・高層・超高層の4種類の構造物である。現行の 建築基準法に則ってそれぞれ5層、7層、15層、30層建物を設計することとする。
2-4-1: 低層建物の設計方法
本研究で対象とした5層建物のような建物高さが20m以下のRC造低層建物の場合、
図2-4-1示す計算ルート 1で設計するよう定められている。本研究でも計算ルート 1 に従って5層建物を設計した。
固定荷重・積載荷重、また地震力などの短期荷重を想定して応力を算出し、それぞれ の部材が各々に加わる応力に対して耐えられるかどうかを計算する。これを許容応力度 計算(1次設計)という。図2-4-1示す計算ルートには、建築物の規模の他にも様々な 規定があり、それらを全てクリアする必要がある。以下にその規定を示す。この規定が
クリアできない場合は、その上位の計算ルートを選択することとなる。
(1)建物高さ20m以下
(2)柱・壁量が、2-4-1式を満たすこと。
) 1 4 2 ( 7
. 0 7
. 0 5
.
2 + ∑ + ∑ ′ × × × − −
∑ A
WA
CA
W≧ Z W Ai β 式
Aw :その階における耐震壁の断面積(計算する方向別)[cm2] Ac :その階における柱の断面積[cm2]
Aw':その階における耐震壁以外の壁の断面積(計算する方向別)[cm2] Z :地域係数
W :その階にかかる建築物の重量[N]
Ai :地震層せん断力係数Ciの高さ方向の分布係数
β : コンクリートの設計基準強度による低減係数。以下のように定められている。
Fc<18 β=1.0
FC
/
= 18
β
18≦Fc≦36Fc<36 β=0.71 ※Fc:コンクリート設計基準強度
計算ルート1の場合、柱・壁量を上記の式に当てはめて、各階の X・Y 方向ごとに計 算して確認しなければならない。結局のところ、図2-4-2に示す計算ルート2の条件 と同じような計算をすることになるが、ルート1の式2-4-1はルート2の式2-4-2A・ Bよりも条件が厳しいので、この厳しい条件をクリアできたら層間変形角・剛性率・偏 心率の計算は免除するというものである。
ルート 2 END
許容応力度計算(1次設計)
∑2.5Aw+∑0.7Ac+∑0.7Aw’≧ZWAiβ 高さ:h≦20m
YES
YES
NO CLEAR
ルート 2 END
許容応力度計算(1次設計)
∑2.5Aw+∑0.7Ac+∑0.7Aw’≧ZWAiβ 高さ:h≦20m
YES
YES
NO CLEAR
図2-4-1:計算ルート1
2-4-2: 中・高層建物の設計方法
本研究で対象とした7層建物、15 層建物のような建物高さが 20m よりも高い RC 造 中・高層建物、または計算ルート1の条件をクリアできない建物高さ 31m 以下の建築 物の場合、図2-4-2示す計算ルート2で設計するよう定められている。本研究におい ても、計算ルート2に従って7層、15層建物の設計を行った。
END
保有水平耐力計算
Q
u≧QunQ
un=D
s×F
es×Q
udQ
u:保有水平耐力Q
un:必要保有水平耐力D
s:構造特性係数F
es:形状係数Q
ud:地震力 形状係数F
esの割増剛性率による割増
F
s 偏心率による割増F
eF
es=F
s×Fe★1~3のうち1つを選択
1:∑2.5Aw+∑0.7Ac+∑0.7Aw’≧0.75ZWAiβ 2:∑1.8Aw+∑1.8Ac≧ZWAiβ
3:
柱・梁の材端モーメントが終局モーメントに達しても せん断破壊しないことを確認剛性率:
R
s≧0.6 偏心率:R
e≦0.15層間変形角
r
≦1/200
(特例アリ) 高さ:h
≦31m
高さ:31m
<h
≦60m
許容応力度計算(1次設計) CLEAR
NO YES
CLEAR
CLEAR
NO
END
保有水平耐力計算
Q
u≧QunQ
un=D
s×F
es×Q
udQ
u:保有水平耐力Q
un:必要保有水平耐力D
s:構造特性係数F
es:形状係数Q
ud:地震力 形状係数F
esの割増剛性率による割増
F
s 偏心率による割増F
eF
es=F
s×Fe★1~3のうち1つを選択
1:∑2.5Aw+∑0.7Ac+∑0.7Aw’≧0.75ZWAiβ 2:∑1.8Aw+∑1.8Ac≧ZWAiβ
3:
柱・梁の材端モーメントが終局モーメントに達しても せん断破壊しないことを確認剛性率:
R
s≧0.6 偏心率:R
e≦0.15層間変形角
r
≦1/200
(特例アリ) 高さ:h
≦31m
高さ:31m
<h
≦60m
許容応力度計算(1次設計) CLEAR
NO YES
CLEAR
CLEAR
NO
図2-4-2:計算ルート2
計算ルート2では (1)~(3)の計算と、(4)のうちの1~3のどれか1つを選択して 計算することになる。
(1) 層間変形角 r ≦ 1/200 (2) 剛性率 Rs ≧ 0.6 (3) 偏心率 Re ≦ 0.15
) 2 4 2 ( 75
. 0 7
. 0 7
. 0 5
. 2 :
1 ∑ A
W+ ∑ A
C+ ∑ A
W′ ≧ × Z × W × Ai × β 式 − − A )
2 4 2 ( 8
. 1 8
. 1 :
2 ∑ A
W+ ∑ A
C′ ≧ Z × W × Ai × 式 − − B
β
(4) 1~3 のどれか 1 つを選択
認 破壊しないことを確
せん断 達したときに柱・梁が
トが終局モーメントに 材端に生じるモーメン
: 3
※(4)の1~3は、建築物の柱壁の量によって、様々な条件を想定した式となっており、
一般的には、以下のようなことが言える。
1:耐震壁の多い建物に有利
2:柱が多い、すなわち柱1本が受け持つ面積が小さいものが有利
3:総合的なラーメン構造のバランスを重視し、袖壁等が少なくせん断破壊しそうな短 柱などが無い建物に有利
1~3のどれを選んだかによって、さらに3つに細分化される。
2次計算の合否の判断について
層間変形角は原則として r≦1/200 だが、変形に追従できるような外壁等の処置が施 されている場合は若干条件を緩くすることが可能であり、最大でr≦1/120まで緩和す ることがでる。一方、剛性率と偏心率はそれぞれ条件が固定されているが、その条件を 満たすことができなくても、形状係数の割増を経て保有水平耐力計算を行う方法を選択 することもできる。また壁量等の計算など、地震に対する計算基準もクリアできなかっ た場合は保有水平耐力計算に移行する方法も選択ができる。
2-4-3: 超高層建物の設計方法
本研究で対象とした 30層建物のような建物高さが61m以上の RC 造超高層建築物の 場合、図2-4-3示す計算ルート3で設計するよう定められている。本研究でも計算ル ート3に従って、30層建物を設計した。
国土交通大臣が定める基準に従った計算 (法律81条の2 H12建設省告示1461号)
建築物の耐用年限中に発生する可能性が高い 外力に対して損傷しないこと
高さ:h>60m
建築物の耐用年限中に発生する可能性が稀に ある外力に対して崩壊しないこと
損傷限界
安全限界
+
限界耐力計算
国土交通大臣が定める基準に従った計算 (法律81条の2 H12建設省告示1461号)
建築物の耐用年限中に発生する可能性が高い 外力に対して損傷しないこと
高さ:h>60m
建築物の耐用年限中に発生する可能性が稀に ある外力に対して崩壊しないこと
損傷限界
安全限界
+
限界耐力計算
図2-4-3:計算ルート3
図 2-4-1,2,3(計算ルート 1, 2,3)に示すように、建物の高さが高くなるほどより複 雑な構造計算を要求される仕組みになっている。特に建物高さが60m を超える超高層建 築物は、基本構造の安全確保のためにより厳格なチェック体制のもとで極めて厳しい構 造計算を行うことが求められている。
2-5: 免震層の設計方法
免震部材の選定は、地盤条件、建物形状、経済性、および施工性などの諸条件を考慮 して決定される。部材の種類を決定した後に、部材個数、形状、配置を決定する。本研 究の目的は上部構造の耐震性能の定性的な把握にあるため、免震部材の種類、地盤条件、
経済性などは一定とし、建物の種類に合わせて形状のみを変更する。
本研究では、ブリヂストン製鉛プラグ挿入型積層ゴム支承のみを使用することとする。
使用する積層ゴムを図 2-5 に示す。積層ゴムを用いる場合には、面圧が形状などを決 定する重要な要因となる。本研究では、鉛直時の基礎反力から免震部材にかかる面圧を 算定し、採用した積層ゴムの推奨面圧に従って各々の柱直下に配置する積層ゴムの形状 を選定した。
図2-5: ブリヂストン製鉛プラグ挿入型積層ゴム支承 LH060G4A
地震に対する免震建物の安全性能は、上部構造、免震部材、および杭・下部構造に分 類して評価されている。積層ゴムについては、復元力特性を考えて安定変形、性能保証 変形が設定されている。免震部材の終局限界変形とは、部材が破断、引抜きまたは座屈 によって軸力を保持できなくなる変形のことで、ゴムの破断よりも一般的に座屈によっ て決まる場合が多い。安定変形とは、終局限界変形に対して十分に余裕をもって、安定 した支持性能、復元性能、減衰性能が発揮できる変形のことをいう。性能保証変形とは、
同様に終局限界変形に対して余裕をもって設定される安定変形以上の変形のことで、支
持性能、復元性能、減衰性能を失わない範囲に相当する。積層ゴムの変形性能は2次形 状係数、積層ゴムの径、面圧によって異なるが、一般的には安定変形はせん断ひずみが 200%、性能保証変形が 300%程度とされている。表 2-4-1に免震建物の耐震性能の 目標をまとめて示す。本研究でも、免震部材についてはこれらの目標を満たすことを免 震層のクライテリアとする。また免震部材の適合性についても、面圧と同時に免震動的 解析を行ったときの水平変形が性能目標を満足できるかどうかを確認することにする。
表2-4-1: 免震構造の耐震性能の目標
上部構造 免震部材 杭・下部構造
レベル1
全部材が許容応力度 以内であること。
層間変形角≦1/200
安定変形以内で、ゴム に引張りが生じないこと。
全部材が許容応力度 以内であること。
レベル2
全部材が弾性限耐力 以内であること。
層間変形角≦1/200
性能保証変形以内で、
ゴムに引張りが生じないこ と。
全部材が許容応力度 以内であること。
余裕度 確認レベル
保有水平耐力・終局 限界変形以内である こと。
層間変形角≦1/100
終局限界変形以内で、
ゴムに引張りが生じな いこと。
全部材が弾性限以内 であること。
※許容応力度: 柱、梁、耐震壁、杭など全ての部材の短期許容応力度
※弾性限耐力:上部構造では柱、梁、耐震壁のいずれかの部材が最初に終局強度に 到達する状態の耐力。
下部構造では杭のいずれかが最初に終局強度に到達する状態の耐力。
基礎梁のいずれかの部材が最初に終局強度に到達する状態の耐力。
2-6 :対象建物概要 2-6-1 : 5 層建物概要
5 層建物を許容応力度設計した。これを5層原建物と称する。5層原建物の平面図と 立面図を図2-6-1Aと図2-6-1Bに示す。
6000 5000 6000
図2-6-1A:
5層原建物の平面図(単位:mm) 17000
60006000
6000 5000 6000
17000
60006000
200
6000 5000 6000
17000
30003000300030003000
15200 200
6000 5000 6000
17000
30003000300030003000
15200
図2-6-1B:5層原建物立面図 (単位:mm)
加力方向に6m,5m,6m,の3スパン、直交方向に6m,6mの2スパンを有し、床面積は 17m(加力方向)×16m(直交方向)、基礎上面からの高さは 15.2m(1階~5階3.0m)と なっている。
2-6-2 : 7 層建物概要
7層建物を許容応力度設計した。これを 7層原建物と称する。7層原建物の平面図と 立面図を図2-6-2Aと図2-5-2Bに示す。
6000 5000 6000
加力方向 加力方向
17000
60006000
6000 5000 6000
加力方向 加力方向
17000
60006000
図2-6-2A:7層原建物の平面図 (単位:mm)
6000 5000 6000
17000 21200 300030003000300030003000
6000 5000 6000
17000
3000300030003000
200 3000
6000 5000 6000
17000 21200 300030003000300030003000
6000 5000 6000
17000
3000300030003000
200 3000
図2-6-2B:7層原建物立面図 (単位:mm)
加力方向に6m,5m,6m,の3スパン、直交方向に6m,6mの2スパンを有し、床面積は 17m(加力方向)×16m(直交方向)、基礎上面からの高さは 21.2m(1階~5階3.0m)と なっている。
2-6-3 : 15 層原建物概要
15 層建物を許容応力度設計した。建物の平面図と立面図を図 2-5-3A と図 2-6-3B に示す。加力方向に6m,5m,6m,の 3スパン、直交方向に 6m,6mの2スパンを有し、
床面積は17m(加力方向)×16m(直交方向)、基礎上面からの高さは45.2m(1階~15階 3.0m)となっている。
6000 5000 6000
加力方向 加力方向
17000
60006000
6000 5000 6000
加力方向 加力方向
17000
60006000
図2-6-3A:
15層原建物の平面図(単位:mm)
17000
6000 5000 6000
300030003000300030003000300030003000300030003000300030003000
45200
17000
6000 5000 6000
300030003000300030003000300030003000300030003000300030003000
45200
図2-6-3B:15層原建物立面図 (単位:mm)
2-6-4 : 30 層原建物概要
30層建物を許容応力度設計した。これを30層原建物と称する。30層原建物の平面図 と立面図を図2-6-4Aと図2-6-4Bに示す。
6000 5000 6000
加力方向 加力方向
17000
60006000
6000 5000 6000
加力方向 加力方向
17000
60006000
図2-6-4A:
30層原建物の平面図(単位:mm)
17000
6000 5000 6000
300030003000300030003000300030003000300030003000300030003000
90 2 0 0
30003000300030003000300030003000300030003000300030003000300017000
6000 5000 6000
300030003000300030003000300030003000300030003000300030003000
90 2 0 0
300030003000300030003000300030003000300030003000300030003000図2-6-4B:30層原建物立面図 (単位:mm)
3 : 5 層建物の解析結果
3 - 1 : 5 層原建物の基本性能
主要部材の断面リストと中央構面の配筋詳細を図3-1Aに示す。
b×D 650 × 650 b×D 700 × 700
主筋(X方向) 6-D25 主筋(X方向) 6-D29 主筋(Y方向) 6-D25 主筋(Y方向) 6-D29
帯筋 3-D16@100 帯筋 3-D16@100
pt(X方向): 0.72% pt(X方向): 0.79%
pt(X方向): 0.72% pt(X方向): 0.79%
pg: 2.40% pg: 2.62%
pw: 0.92% (X,Y方向) pw: 0.85% (X,Y方向)
柱(5F~4F) 柱(3F~1F)
b×D 500 × 650 b×D 600 × 700
上端 5-D25 上端 4-D29
下端 5-D25 下端 4-D29
帯筋 2-D16@100 帯筋 5-D16@150
pt: 0.78%(上端) pt: 0.73%(上端)
pt: 0.78%(下端) pt: 0.73%(下端)
pw: 0.80% pw: 0.80%
梁(RF~4F) 梁(3F~2F)
図3-1A: 5層原建物の主要部材リスト
(a) 静的解析結果
まず、原建物の耐震性能を知るために静的弾塑性解析(荷重増分法)を行った。鉄筋 コンクリート部材の特徴としてその荷重―変形の関係は、初期剛性、引張側のコンクリ ートにひび割れが発生し剛性が若干低下し、最終的に引張鉄筋の降伏が起こる。この状 態を3本の線で近似して表す。これをトリリニアモデルという。この部材モデルで構成 された建物としての静的解析により得られた各階の層せん断力-変位曲線をトリリニ ア型にモデル化して図3-1Bに示す。
0 100 200 300 400 500 600
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
層間変位(cm)
層せん断力(t)
5FL 4FL 3FL 2FL 1FL
図3-1B: 5層原建物の層せん断力-層間変位図
初期剛性、すなわちグラフの第1勾配は各層の部材の弾性域内での変形を示している。
コンクリートの引張側にひび割れが入り、剛性低下が始まってからの第2勾配の傾きが 応答変位に対しては重要となる。つまり、第2勾配の剛性低下が緩やかなほど変形が進 まないことがわかる。5層原建物では、1層の第2勾配が急になっている。また層間変 形角1/200に達した時点のベースシアは495tであった。
ある層の層間変形角が1/100に達した時点でのヒンジ図を図3-1Cに示す。
X1 X2 X3 X4
RF 5F 4F 3F 2F 1F
X1 X2 X3 X4
X1 X2 X2 X3 X3 X4 X4 RF
5F 4F 3F 2F 1F RF 5F 4F 3F 2F 1F
X6 X7 X8
X5 RF
5F 4F 3F 2F 1F
X6 X7 X8
X5 X6 X6 X7 X7 X8 X8 X5
RF 5F 4F 3F 2F 1F RF 5F 4F 3F 2F 1F
図3-1C 層間変形角が1/100に達した時点の 5層原建物のヒンジ図
※ は曲げ降伏を表す。
X9 X10 X11 X12 RF
5F 4F 3F 2F 1F
X9 X10 X11 X12
X9 X10 X10 X11 X11 X12 X12 RF
5F 4F 3F 2F 1F RF 5F 4F 3F 2F 1F
図3-1C 層間変形角が1/100に達した時点の 5層原建物のヒンジ図
※ は曲げ降伏を表す。
崩壊メカニズムは最下層から中層の梁端にヒンジが発生する全体崩壊形となった。層 間変位が最初に1/200に達した時点でのベースシア係数は0.59であった。また保有 水平耐力時、すなわち層間変位が1/100に達した時のべースシア係数は0.48となっ た。
( b) 動的解析結果
5 層原建物の動的解析結果のうち、応答層間絶対変位を図 3-1D に示す。横軸は各層 の最大応答変位を示したものである。
入力波EL CENTRO NSで2層の層間変位が3.21cmとなり最大であった。このとき の層間変形角は1/93で、損傷度3に相当する。EL Centro 1940 NS波で中層の応 答が大きいのは高次モードが卓越したためと考えられる。応答変位がクライテリアであ る層間変形角が1/200、すなわち損傷度ⅠにおさまったのはHACHINOHE NS波だけで あった。5層原建物は図3-1Bより、ほとんどの梁が降伏し崩壊メカニズムに至ってい る。また一次固有周期は0.32秒となった。通常の耐震設計くらいテリアとしては補修 狩野のことを考慮すると損傷度がⅢレベルまで許されており、この建物の設計法の妥当 性が伺われる。4層、5層では応答地がかなり小さくなっているが、このケーススタデ ィでは各階の部材断面を 2 段階しか変化させていないのでこのような結果となってい る。
0 1 2 3 4 5
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 層間絶対変位(cm)
層
ELCEN(原建物) TAFT( 原建物 ) HACHI(原建物) 層間変形角1/200 層間変形角1/100
損傷度
Ⅰ
損傷度
Ⅱ
図3-1D: 5層原建物の最大応答層間絶対変位
※ 入力時震動はL2レベルとする。
3 - 2 : 5 層原建物と原建物を基礎免震化したケースの解析結果
5 層原建物の基礎部分に鉛プラグ挿入型積層ゴム支承を挿入する。積層ゴムの形状は 2.6節に示した建物の軸力から求まる面圧によって選定し、上部構造はそのままの状態 で、動的解析を行った結果から免震層のせん断ひずみが200%以内という条件を満たし ているか確認した。積層ゴムの配置図を図3-2Aに示す。
X1 X2 X3 X4
Y1
Y2
Y3
X1 X2 X3 X4
X1 X2 X3 X4
Y1
Y2
Y3 Y1
Y2
Y3
Φ 600 × 10 台 Φ650×2台 Φ 600 × 10 台 Φ650×2台
図3-2A 5層原建物の積層ゴムの配置図