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原 著 透析会誌 41 : ,2008 血液透析患者における末梢血中樹状細胞サブタイプ数の解析 *1 安藤稔 東京都立駒込病院腎臓内科 *2 土谷健 *1 矢吹 東京女子医科大学第 4 内科 *1 恭子 *2 新田 *2 孝作 key words: 自然免疫, 獲得免疫, 血清 b 2

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Department of Nephrology, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital*1 and Fourth Department of Internal Medicine, Tokyo Womenʼs Medical University*2

Dendritic cells(DCs)in circulation are immature DCs derived from precursors in bone marrow. In humans, two distinct subsets of immature DCs, myeloid DCs(DCm)and plasmacytoid DCs(DCp), have been identified.

These immature DCs may have originally evolved to serve as effector cells in antimicrobial innate immunity. DCm ingests and kills bacteria and fungi. DCp represents the key effector cells in the early innate immune response by producing large amounts of IFN-aagainst viral and bacterial infection. In addition, mature DCs after ingesting antigens are the most potent antigen-presentation cells that play a pivotal role in initiating the acquired immune response in lymph nodes. During primary immune responses, the mature DC subset is one of the crucial determinants for polarlizing naïve T cells into helper T cell subsets, such as Th1 and Th2. We examined the number of DCm and DCp in the peripheral blood of 48 chronic hemodialysis(HD)patients and 18 age-matched healthy subjects, using flow cytometry. We found a significant decrease in the number of DCp in HD patients, resulting in a marked increase in the DCm:DCp ratio in those patients. Serum levels ofb2microglobulin(b2MG)

were significantly correlated with the number of DCp in HD subjects. The number of each DC subset was not Minoru Ando*1, Ken Tsuchiya*2, Yasuko Yabuki*1, Kosaku Nitta*2

Decreased number of peripheral plasmacytoid dendritic cells in hemodial- ysis patients

末梢血中を循環する樹状細胞(Dendritic cell:DC)は未熟段階にあるDCであるが細菌,ウイルス,真菌など外 的抗原の侵入に対しては,自然免疫の最も初期にかかわり,侵入抗原を認識し,貪食処理し死滅させると同時に,

インターフェロン(IFN)やサイトカインを分泌することにより自然免疫システムを多方面から統御する.この過 程の中で末梢血中DCは成熟し,リンパ組織に移動後は自己が認識した抗原をhelper T細胞(Th)に提示すること により,獲得免疫開始のスイッチを入れる.このように末梢血中のDCは最も初期段階で自然免疫と獲得免疫をリ ンクし,免疫による生体防御系を発動させるという重要な役割を果たしている.本研究では血液透析患者の循環血 液中樹状細胞の2種類のサブタイプ,ミエロイドDC(DCm)と形質細胞様DC(DCp)の絶対数を測定し,血清b2

ミクログロブリン(b2MG)値,Th細胞の分化反応および血液透析(HD)操作との関連について検討を加えた.HD 患者48例と年齢を一致させた健常者18例の静脈血を用い,血中のDCmとDCpの絶対数を血液透析の前後でフ ローサイトメトリーにより測定した.また,血清b2MG値とmitogen刺激に対するThのサブタイプ(Th1とTh2)

への分化を同時に調べた.HD患者血中DCp数は健常者にくらべ約40%に減少し,そのためDCm/DCp比は上昇

していた.Th2分化は有意に低下しており,Th1/Th2比は上昇していた.また,膜材質にかかわらずHDにより

/ DCm数,DCp数に変化はなかった.HD患者のDCp数は血清b2MG値と負の相関関係を示した.DCm/DCp比

とTh1/Th2比には有意な相関関係はなかった.結論:HD患者の血中DCp数は減少しており,b2MGの血中蓄積が

これに関与しているかもしれない.HD患者における免疫能の異常に循環血液中のDCp数の不足が関係している 可能性がある.

〈要旨〉

key words:

安 藤 稔

*1

土 谷 健

*2

矢 吹 恭 子

*1

新 田 孝 作

*2

東京都立駒込病院腎臓内科*1 東京女子医科大学第 4 内科*2

血液透析患者における末梢血中樹状細胞サブタイプ数の解析

原 著

自然免疫,獲得免疫,血清b2ミクログロブリン,ヘルパー T 細胞

安藤 稔 東京都立駒込病院腎臓内科 〒 113-8677 東京都文京区本駒込 3-18-22 Minoru Ando Tel:03-3823-2101 Fax:03-3824-1552 E-mail:[email protected]

〔受付日:2007 年 10 月 19 日,受理日:2008 年 4 月 8 日〕

(2)

緒 言

末梢血液中の樹状細胞(Dendritic cell:DC)は未熟 な段階では免疫監視機構の中枢をなす.体内に侵入し た異物(抗原)を認識,捕食すると同時に B 細胞,NK 細胞,NKT 細胞,好酸球などを直接的に活性化する ことで,自然免疫を発動する.その後から DC は成熟 段階に入り抗原提示機能を獲得し,リンパ組織に移動 してナイーヴ T 細胞(活性化,分化する以前の help- er T 細胞)に抗原提示することで,獲得免疫開始のス イッチを入れる働きを持つ.すなわち,DC は未熟段 階では自然免疫,成熟段階では獲得免疫に関与し,両 免疫のカップリングを行うことにより,感染症,悪性 腫瘍,自己免疫疾患,移植などの病態成立に深く関わ りを持つ細胞である1).末梢血中に存在する DC は,

表面マーカーと機能から 2 種類のサブタイプがある.

ミエロイド DC(myeloid DC:DCm)は CD11c を表出 し,抗原貪食機能を持つ.形質細胞様 DC(plasma- cytoid DC:DCp)は CD123 を表出し,type Ⅰ IFN で ある IFN-aを大量に産生する.DC は Toll like 受容 体(TLR)を代表とする pattern recognition receptor を発現し,細菌,真菌,ウイルスなどの抗原を認識す ることにより成熟し,リンパ組織で成熟 DCm(DC1)

は helper T 細胞(Th)のサブタイプである Th1 を誘 導し,成熟 DCp(DC2)は Th2 を誘導する.すなわ ち,DC1 と DC2 は Th のサブタイプ分化に重要な役 割を演じている2)

透析患者に感染症,悪性腫瘍罹患率が高いことは毎 年発表される日本透析医学会の統計調査報告3)が示し ている.この事実は腎不全患者がいわゆる免疫能が低 下している証査であるとされるが,この'免疫能低下(

の詳細が十分に解明されている訳ではない.これまで に,われわれは免疫の主役である単球,リンパ球の機 能を検討し,腎不全患者では自然免疫能,獲得免疫能 両者にまたがる異常が混在していることを報告してき た4〜6).そこで,今回は自然免疫,獲得免疫系双方に関 与し,両免疫をリンクする末梢血中 DC に焦点を当て,

その異常が透析患者に存在するか否かについて検討を 行った.

Ⅰ.対

血液透析(HD)患者 48 例(男性 25 名,女性 23 名,

年齢 61.1±3.87 歳),年齢を一致させた健常者 18 例

(男性 10 例,女性 8 例,年齢 59.3±6.65 歳)を対象と した.HD 患者の平均透析期間は 3.8±3.7 年であり,

原疾患は腎硬化症 18 例,糖尿病 18 例,慢性糸球体腎 炎 9 例,多発性囊胞腎 3 例であった.急性および慢性 炎症性疾患,悪性腫瘍,自己免疫疾患,HCV-RNA 陽 性患者は除外した.HD は全例週 3 回,1 回 3〜4 時間 で施行され,抗凝固剤はヘパリンを用いた.ダイアラ イザーは 29 例がポリスルフォン(PS)膜,19 例がセ ルローストリアセテート(CTA)膜を使用していた.

透析液は重曹透析液を使用した.

Ⅱ.方

HD 患者の血液は週初めの HD 開始穿刺時および終 了時にヘパリン加採血管に採取した.末梢血中 DC は ベクトン社 3 カラー解析用試薬キット(Becton Dick- inson)を用いて染色した.すなわち,末梢静脈血 100 mL 中 に 5mL の FITC-Lineage cocktail,10mL の PerCP-HLA DR45,7mL の PE-CD11c ま た は PE- CD123 の 3 種類の抗体を混入し,軽く vortex した後 30 分間 4℃の暗所で染色した.図1に示すように,総 白血球 5 万個をフローサイトメトリー上に展開し

(A),添付プロトコールに従い,Lineage 陰性細胞を

/ ゲートし(B),両ゲート内細胞で CD11c 陽性/HLA

/ DR45 陽 性 細 胞(DCm)ま た は CD123 陽 性/HLA DR45 陽性細胞(DCp)を同定した(C).DCm,DCp の絶対数は患者の末梢血白血球数に各 DC サブタイプ の含有比率を乗じて計算した.外因刺激に対する Th のサブセット分化能は,既報の方法により,全血に phorbol myristate acetate(PMA)と ionomycin 添加 後,Th 細胞内サイトカイン染色により求めた5).HD 後の DC サブタイプ数は体重変化による補正を行っ た.HD 患者の血清データおよび Th サブセットは HD 前のみ調べ,DC 細胞数は HD 前後で測定した.

データは平均値±標準偏差で示し,データの統計処理 は StatView 5.0 を用い,対応のない 2 群間の比較は significantly changed before and after HD treatment. The relation between DC subset ratio and helper T subset ratio was not significant. In conclusion, characteristics of peripheral DC subsets were rather different in HD patients. The reduction of blood DCp counts is common in HD patients and the inadequate number of DCp may be involved in their compromised immunity.

(3)

Mann-Whitneyの U 検定,対応のある 2 群間の比較 は Wilcoxon の順位検定で行い,p<0.05 を有意差あ りとした.採血に関しては研究の主旨を対象に十分説 明し同意を得たうえで施行した.

Ⅲ.結

ઃ.末梢血中の各DCサブタイプ数およびそれらの比 率

図2に HD 患者と健常者における DC 数のデータを 示した.HD 患者と健常者の総白血球数に有意差はな かった(5,429±1,671 vs. 5,875±3,376,p=0.445).

HD 患者において,DCm 数は HD 患者で少なかった が有意差には至っていなかった(59.8±33.5 vs. 70.9

±23.6,p=0.375).また,HD 患者の DCp 数は健康 者の約 40%にまで有意に減少していた(16.3±9.88 vs. 40.9±17.4,p<0.0001).その結果 HD 患者にお

ける DCm/DCp 比は有意に上昇していた(4.64±

2.77 vs. 1.94±0.873,p=0.0083).また,CTA 膜群

(n=19)と PS 膜群(n=29)間,糖尿病群(n=18)と 非糖尿病群(n=30)間で各 DC 細胞数の有意な差は 認められなかった.各 DC サブタイプ数は HD 年数が

図 2 樹状細胞サブタイプ数とその比の比較 DCm:ミエロイド樹状細胞,DCp:形質細胞様樹 状細胞,CNRL:健常者,HD:血液透析患者

は健常者, は HD 患者のデータを示す.

図 1 フローサイトメトリーによる樹状細胞サブタイプの同定 DCm:ミエロイド樹状細胞,DCp:形質細胞様樹状細胞 CNRL:健常者,HD:血液透析患者

(4)

長くなるに従って減少傾向はあったが,HD 年数と有 意な相関関係は認められなかった(DCm:r=−0.230,

p=0.3083;DCp:r=−0.305,p=0.1704).

઄.HD前後でのDC数の変化

3〜4 時間の透析終了時の DC 数を調べ HD 開始時 の DC 数と比較した結果を表に示した.この実験は PS 膜患者 11 例,CTA 膜患者 11 例の合計 22 例で行 われた.いずれの膜群でも HD 前後で DCm,DCp 数 の有意な増減はなく,全患者としての評価でも各 DC サブタイプとも有意な変化はなかった.

અ.末梢血中DC細胞数と血清尿毒症性物質および b2ミクログロブリン(b2MG)値との関連

この実験は HD 患者 28 例で行われた.DC 細胞数 測定と同時に血清 Cr,尿素窒素,b2MG 値を測定した.

血清b2MG 値と DCp 数の間には有意な負の相関関係 が得られたが,DCm 数には有意な関係はなかった(図 3A,B).DCp 数,DCm 数は血清 Cr 値,尿素窒素値 と有意な関連を示さなかった.

આ.外因刺激に対するTh分化

図4に示すように HD 患者では PMA 刺激に対する Th1 分化に有意な変化はないが(26.6±10.8% vs.

20.7±12.5%,p=0.202),Th2 への分化が有意に低 く(2.90±1.16% vs. 4.35±2.02%,p=0.0189),そ

の結果 Th1/Th2 比は約 2 倍に上昇していた(10.7±

6.04 vs. 5.19±2.56,p=0.0149).各 DC サブタイプ

/ 数と Th1,Th2 分化率に関連性はなく,DCm/DCp と

Th1/Th2 に有意な相関関係は得られなかった(r=

0.156,p=0.499).

Ⅳ.考

HD 患者の循環血液中に存在する DCp は健常者に くらべ有意に減少していた.末梢血中を循環するこの 未熟 DCm と DCp は感染防御のため最前線に位置し ており,自然免疫の初期段階できわめて重要な役割を

図 4 PMA刺激に対するHelper T細胞サブセッ ト分化とその比の比較

は健常者, は HD 患者のデータを示す.

CNRL:健常者,HD:血液透析患者 図 3 HD患者の血清b2MG値と樹状細胞サブタイプ数との相関関係

A:血清b2MG 値と DCp との関係,B:血清b2MG 値と DCm との関係 A の関係には有意差があるが,B の関係には有意差がない.

59.8±33.5 DCm(全体)

HD 後/mL

HD 前/mL 患者数

DC サブタイプ

DCp (PS 膜) 11 19.5±10.2 22

52.4±29.4 54.8±36.1

11 DCm(CTA 膜)

表 血液透析前後の樹状細胞サブタイプ数の変化

DCm:ミエロイド樹状細胞,DCp:形質細胞様樹状細胞 63.1±25.8 11

DCm(PS 膜)

13.3±8.53 13.1±8.88

11 DCp (CTA 膜)

15.9±8.95 16.3±9.88

22 DCp (全体)

57.8±27.5

18.4±8.99 64.8±31.5

p=0.7218 p=0.4496 p=0.7897 p=0.6729 p=0.5922 p value

p=0.5934

(5)

果たす.DCm は種々の細菌や真菌を直接取り込み,

死滅させる機能を持つ.一方,末梢血 DCp はほかの DC や免疫担当細胞と異なり TLR7,TLR9 を発現し ていることが最大の特徴である8).TLR7,TLR9 はそ れぞれウイルスの一本鎖 RNA や細菌,ウイルスのも つ非メチル化 CpG モチーフを認識すると直ちに大量 の Type Ⅰ IFN の一つである IFN-aを産生する2,7,8). IFN-aはオートクライン,パラクラインに働き,抗ウ イルス作用を誘導するだけでなく種々の免疫系細胞の TLR や MHC class Ⅰの発現を上昇させて,それら細 胞を活性化する.また,IL12,IL18 などのサイトカイ ンとも連携して,これらの細胞から Type Ⅱ型 IFN

(IFN-g)を産生させるなど免疫系成立にとって不可 欠な多機能サイトカインの一つである7,9).すなわち,

循環血液中の DCp は病原微生物感染に際して IFN-a の産生を介して自然免疫の確立と獲得免疫開始への橋 渡しをするキープレイヤーである.今回明らかにされ た HD 患者における末梢血 DCp 数の有意な減少は,

少なくともこれら患者には感染時に IFN-a機能に関 わる免疫障害が生じる可能性を強く示唆するものであ る.

骨髄内の造血幹細胞はリンパ球系前駆細胞(com- mon lymphoid progenitors:CLP)とミエロイド系前 駆細胞(common myeloid progenitors:CMP)に分化 する.幹細胞から CLP 分化に関わる中心因子は IL-3 であるがそのほかの因子についての知見はきわめて少

ない10,11).今回測定している末梢血中 DCp はこの

CLP に由来し,DCm は CMP に由来する2).したがっ て,われわれは腎機能低下により蓄積した何らかの尿 毒素物質が骨髄における造血幹細胞の CLP への分化 や CLP の未熟 DCp への分化を抑制し,末梢血中に現 れる DCp 数の減少をもたらしている可能性を考え た.Hesselink ら12)は透析患者を含むさまざまな腎機 能レベルを持つ慢性腎不全患者で末梢血中の DC 数を 測定した.DCm が HD 患者のみで有意な減少を認め た点はわれわれの結果とは異なるが,保存期腎不全患 者では DCp 数は健常者にくらべ有意に減少している こと,DCp 数は血清 Cr 値および GFR と相関があっ たと報告している.これはわれわれの仮説を一部で支 持すると思われる.Xie ら13)はb2MG の持つ免疫活性

に着目しin vitro実験で 10mg/mL 濃度以上のb2MG が種々の DC 機能を低下させ,単球から DC への分化 を弱めたと報告している.そこで本研究では,HD 患 者の慢性的血清b2MG の上昇が骨髄幹細胞のリンパ球 系前駆細胞への分化を抑制し,末梢血中へ流出する DCp 数の減少に関係している可能性を考え血清b2MG

値と DC 数との関連を調べた.HD 患者 28 例のデー タでは血清b2MG 値は DCm サブタイプ数と有意に至 る関係はなかったが,DCp 数とのみ有意な負の相関 関係を示した(図3).また,DCp 数は尿毒症性物質 である血清 Cr 値,尿素窒素値とは有意な関係を示さ なかった.今回の HD 患者の平均透析歴は 3.8 年と 短く,DCp 数と透析年数に有意な相関はなかったが,

HD 患者においては慢性的に蓄積した物質の中でも特 に免疫活性を持つとされるb2MG が DCp 数の減少に 関与している可能性があると考えられる.現在 DC 前 駆細胞の cell line を用いたin vitro実験によりb2MG の DC 成熟と分化,TLR など免疫関連遺伝子発現な どへの影響について検討を行っている.

HD 前後の評価で末梢血 DCm 数,DCp 数は HD 後 統計的には膜の種類に関係なく有意な増減は認められ なかった(表).通常 HD 後に DCp 数増減はなかった とはいえ急激な血中b2MG 値の変化と DCp 数の関係 についてはb2MG 吸着療法やオンライン HDF 療法前 後などでの評価も加える必要があるが,前記のように 血中b2MG 値との相関性や前述した Hesselink ら12)の 報告を考慮すると rest 状態での DCp 数減少には短期 的な HD 操作による体内環境の変化よりも腎不全そ のものの影響が強く関わっているものと思われる.い ずれにしろ今回の結果から HD 患者の血中 DCm 数と DCp 数の調節系には相違がある可能性が示された.

HD 患者の Th の PMA 刺激に対するサブセット分 化に異常がみられた.すなわち,Th2 分化の低下によ

る Th1/Th2 比の上昇である.これまでにも腎不全,

透析患者では外的刺激に対する Th1/Th2 分化に偏位 があることは著者らの論文をはじめ多くの報告5,14〜16) があるが,その原因についてはいずれの既報も明確に はできていない.流血中の DCm,DCp は抗原貪食処 理後,自然免疫の役割を終え末梢リンパ組織などに移 動し,それぞれ成熟して DC1 と DC2 に変化する.そ こで,DC1,DC2 は処理した病原体由来の抗原をナ イーヴ T 細胞に提示する.主に DC1 は Th1 分化を 促進し,DC2 は主に Th2 を誘導することで獲得免疫 成立に寄与することが知られている2,17,18).今回の結 果では,HD 患者における DC 細胞数の減少パターン

(DCp 数の低下による DCm/DCp 比の上昇)と PMA 刺激に対する Th 分化能の異常パターン(Th2 分化能

の低下による Th1/Th2 比の上昇)が符号していたこ とから末梢血 DCm,DCp 数の変化が Th のサブセッ ト分化能に影響している可能性があると推察した.し かし,今回の成績では DC サブタイプ比と Th サブタ イプ比の間には直接的な有意相関は見出されなかっ

(6)

た.Th 分化に直接関わりが強い DC は末梢血 DC で はなく,リンパ組織内の成熟 DC(DC1 と DC2)であ ることに加え,DC サブタイプと Th サブタイプには 獲得免疫系のバランス維持のため,reciprocal な関係 があること,両者の関係には IL12,IFN-gなどの液性 因子が介在していることなどにより単純な対応関係は 見出されないのであろう17).末梢血 DCm,DCp 数と リンパ組織内 DC1,DC2 数の相関を調べた報告は今 のところ皆無であるが,リンパ組織内 DC2 のソース の大半は末梢血 DCp であることは間違いなく,これ が慢性的 DC2 の欠乏を招き Th のプライミング状態 に影響を及ぼした結果 Th 分化異常が生じている可能 性は否定できないと思われる1,2,17,18)

結 論

循環血液中に存在する DCp は細菌,ウイルス感染 に際し type Ⅰ IFN を大量に分泌する特異的な細胞で ある.HD 患者の DCp 数は健常者の約 40%に減少し ており,b2MG の血中蓄積がこれに関与している可能 性がある.DCp 減少は HD 患者における感染時の自 然免疫,獲得免疫およびそのリンク機能の低下をひき おこしているかもしれない.

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