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(1)

平成23年度「高度IT人材キャリア形成支援計画策定事業(次世代高度IT人材モデルキャリア開発計画)報告書より

資料1−4

平成24年4月26日

次世代高度IT人材の育成のあり方

経済産業省 商務情報政策局

情報処理振興課

(2)

次世代高度IT人材の必要性

次世代高度IT人材が必要となる背景

従来のIT

既存の産業のビジネス効率の追求が主体

ITを取り巻く環境の変化

クラウドコンピューティング、スマートフォンの普及による新たな時代の到来

例えば、スマートグリッドなど異分野との融合によるイノベーションの誘起に

よる新たなサービスの創造

今後、異分野との融合はさらに進展することと予想

次世代高度IT人材の役割

次世代高度IT人材

異分野とITの融合領域においてイノベーションを創出し、新たなサービスを

自ら生み出すことができる人材

(3)

次世代高度IT人材に求められる能力と課題

個人に期待される能力

ITに関する技術的知識・スキル

グローバルな視点から現代社会のニーズ・課題を察知

最先端の技術、人的ネットワークを駆使して、新しい製品・サービスを創出

未来社会を構想し、未来社会を先取りした製品・サービスを創出

社会的に期待される役割

我が国のIT関連産業に変革を促し、新たな時代を切り拓く可能性

我が国にITを中枢とする高度な未来社会及び未来産業をもたらす可能性

こうした観点から浮かび上がる課題

次世代高度IT人材は不足 → 育成方法は?

次世代高度IT人材の活躍の機会 → 環境は?

(4)

本資料の構成

次世代高度IT人材の 「育成のあり方」 を検討する意義と検討事項

‹ 次世代高度IT人材を目指す個人向けの

成長の指針

◇ 産業界の主要育成事例紹介

‹ 次世代高度IT人材を育成する教育の対象となる

基本知識項目

p.14

p.32

p.23

‹ 次世代高度IT人材を育成する組織向けの

育成の指針

◇ 教育機関の主要事例紹介

p.38

p.51

p. 6

◇ 個人インタビュー事例紹介

p. 8

(5)

次世代高度IT人材の育成のあり方

次世代高度IT人材の育成のあり方

(6)

次世代高度IT人材の「育成のあり方」 を検討する意義

本事業における 「育成」 の位置づけ

イノベーションを自ら創出できるような高度な人材を計画的に育成することは、きわめて難し

い(現実的には不可能に近い状態にある)。そのような人材は、誰かに計画的に育成される

べき存在ではなく、自らの責任のもとに豊かな経験を積み、自己研鑽を重ねて成長すべき存

在である。育成に重点的に取り組んだとしても、その効果は限定的である可能性が高い

(右図)

しかし、育成が難しいからこそ、そのような人材の育成・成長やそのための環境整備に向け

たヒントとなるべき情報が望まれている。これまで不可能であった「暗黙知」の「形式知」化に

取り組んでこそ、公的事業としての意義が高まる。

→ このような観点から、本事業では、育成の効果は限定的であることを認識した上で、次世代高度IT人

材の育成の指針や次世代高度IT人材にとって習得が望まれる知識等についての検討を実施。

自己研鑽

育成 (これらは、各社の人材育成部門が次世代高度IT人材を実際に育成を行いたいと思った場合に、その手がかりやヒントとなり得る 情報として提示するものであり、決して“これで十分”といったような条件を提示するものではないという位置づけである。)

育成に関するアウトプットの方向性

育成方法等に関する検討は、「育成する側(例えば人事部門など)」を対象に提言を行うものである。

ただし、「育成される側(成長する側)」であるIT人材個人が、「育成方法が明らかになっているのだから、次世代高度IT

人材になるためには会社に育成してもらえばよい」という誤った理解をしないように、

「育成の効果は限定的であり、

自らの責任のもとに成長することが原則である」

という点を前提として強く発信することとする。

(7)

「育成のあり方」 として検討する事項

委員ご意見 委員ご意見

個人インタビュー

事例

次世代高度IT人材を目指す

個人向け

次世代高度IT人材を育成する

組織向け

成長

の指針

育成

の指針

産業界における 育成事例 教育機関における 教育事例

教育に必要な

基本知識項目

p.15

企業

教育機関

個人インタビュー 事例

p.24

p.52

委員意見 委員意見

育成手法

p.32

p.38

報告書 参照

p.8

(8)

個人インタビュー事例紹介

本事業では、新製品や新サービスを生み出す次世代高度IT人材として活躍していると考えられる個人約40名に対するインタビュー を実施し、各対象者からのメッセージを取りまとめた。

(9)

革新的に便利な製品やサービスを生み出したとしても、それがあまりに新しすぎると、どのようなものかをユーザーが理解するのに時間がかかり、市場に 受け入れられないことが多々あります。人間は新しい物に出会うと、既知のものと結び付けて理解する傾向がありますが、まったく新しい方法や考え方を 理解し、ましてやそれを記憶に留め、更に購買に結びつけることは非常に難しいものです。だから、今の1歩先ではなく、0.5歩先の商品やサービスが市 場には容易に受け入れられます。今より少しだけ便利で今こんなものがあったらいいなと多くの人が感じる 今よりもう少し便利なもの 、それをユーザや他 社が気付く前にいち早く見出し、市場に提供する。そして日々それを改善し続ける企業が、アドバンストサービスの世界でも大きな勝利を収めています。 10年ほど前から海外では「IT」という言葉の意味が変わって来ていると思います。例えば「GoogleはIT企業か?」と米国で問うと、概ね答えは「NO」で す。米国ではGoogleは、先進的なサービス、つまり「アドバンストサービス」を提供する企業と認識されており、「IT」を提供する会社では無いというわけで す。今や、海外の (日本で言う) 「IT」企業の多くは、「IT」を超えて先進的なサービス(アドバンストサービス)を実現し、それをプラットフォーム化して市場 に提供することに躍起になっています。私が衝撃に思うのは、海外で起きているこうした変化を日本で理解している人が少ないことです。世界は「IT」を利 用して、それを超えた「アドバンストサービス」の実現に向かっている。これを明確に認識することが、既に世界中で起こっている変化に対応するための キーポイントであると私は考えています。 1983年、NECに入社。PC98時代の同社内で入社当初より海外でのIBM-PC/AT互換機の必要性を訴え、開発と事業拡大に携わる。その後、国内 でもAT互換機導入に携わり、国際標準のPC技術と最先端通信技術を駆使してビデオ・オン・デマンド、TV会議、データ放送等のソリューションを開発。 90年代後半、インターネット事業の重要性を確信し、2001年にYahoo!BB立ち上げ期のソフトバンクに転職。ソフトバンクと韓国最大のオンラインゲー ム会社とのジョイントベンチャーCEOに就任。ネットの広帯域性、常時接続性、低遅延性とクライアント・サーバ技術を駆使した同オンラインゲームは近年 のSNSやビッグテータ等の技術的基礎でもある。2004年、クルマ向けネットサービス「カーウイングス」の拡大のために日産自動車に転職。2010年には 電気自動車「LEAF」向けITソリューションの開発を統括し、日米欧で同時市場投入を実現。2012年3月同社を退職して、新たな道へ。 1983年、NECに入社。PC98時代の同社内で入社当初より海外でのIBM-PC/AT互換機の必要性を訴え、開発と事業拡大に携わる。その後、国内 でもAT互換機導入に携わり、国際標準のPC技術と最先端通信技術を駆使してビデオ・オン・デマンド、TV会議、データ放送等のソリューションを開発。 90年代後半、インターネット事業の重要性を確信し、2001年にYahoo!BB立ち上げ期のソフトバンクに転職。ソフトバンクと韓国最大のオンラインゲー ム会社とのジョイントベンチャーCEOに就任。ネットの広帯域性、常時接続性、低遅延性とクライアント・サーバ技術を駆使した同オンラインゲームは近年 のSNSやビッグテータ等の技術的基礎でもある。2004年、クルマ向けネットサービス「カーウイングス」の拡大のために日産自動車に転職。2010年には 電気自動車「LEAF」向けITソリューションの開発を統括し、日米欧で同時市場投入を実現。2012年3月同社を退職して、新たな道へ。

(元)日産自動車株式会社

ビーグルインフォメーションテクノロジー事業本部 チーフ・サービス・アーキテクト 兼 プログラムダイレクター

野辺継男氏

 実は 「IT」 という表現はもう古い

 0.5歩先をいち早く見せ続ける勝負

今の日本の若い世代は、昔と比べるととても穏やかです。それはそれで良い面もあると思いますが、日本が世界で勝ち残っていかなければならないこの 時代に、それでは少し物足りないと思います。諸外国では、多くの方々が「世界一」を狙っています。世界一を狙うことは、国際競争に参加する入場券の ようなものです。世界一を狙っていないものが、世界で通用するわけがないのです。最初から誰もが認める規模で世界一になることは極めて稀ですが、領 域を絞れば世界一を目指すことは何人にとっても可能です。日産で私が目指してきたのは「クルマ」×「IT」の融合領域での世界一ですが、各人がそれぞ れの領域で世界一を目指すことで、世界における日本の存在感はもっともっと大きくなるのではないかと思います。

 世界一を目指さなければ世界で通用しない

Profile

時代の最先端を走り続ける

時代の最先端を走り続ける

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のべ つぐお

Tsugu

o Nobe

(10)

どのような分野においても、新しいことに挑戦しているリーダーにはカリスマ性があります。このカリスマ性には、強い腕力で全体を引っ張っていくとか、 どのような人でも打ち解けてしまうなど、様々なタイプがあると思いますが、共通しているのは「人としての魅力」であると思います。そして、この「人として の魅力」の根底にあるのは、「相手を気遣う配慮」なのではないかと私は考えています。自分自身や少数の人たちの利害だけを考えて動くリーダーに は、カリスマ性がありません。新しい取り組みを必要としている人たち、それによって不利益を被る可能性がある人たち、苦労して取り組みを進めている 人たちなど、多くの人たちの気持ちへの配慮が、その人たちに「この人についていきたい」と思わせるカリスマ性の根源にあるものなのだと思います。 近年、ITが活用される領域は驚くほど広がっています。また、ITの役割も大きくなり、お客様のビジネス上の課題がITと直結することも多くなりました。 そのため、ITに強みを有する企業にとっても、ITについて議論をする前に、お客様のビジネスそのものについても話ができるということが非常に重要に なっています。ITを超えて、お客様のビジネスそのものについても議論し、有意義な提案ができるような人材が、今まさに求められているのです。お客 様のビジネスにとっての結論がITに帰着しないことも考えられますが、私はそれでもいいと考えています。重要なのは、ITを社会の様々な領域で活用 していただくために、ITの側にいる我々自身が、自らその様々な領域に積極的に踏み込んでいくことなのです。 商学部でマーケティングを専攻した後、米国の大学に留学して人類学を学び、2つの学士号を取得。1991年、日立製作所に入社。情 報通信部門のプロダクトマーケティングに携わり、その後、情報通信部門内の経営企画部門において、中期経営計画策定などに従事す る。2000年日立総合計画研究所に出向した後、2004年、都市開発システム部門に移り、都市開発事業などを経て、2007年から現 在の部署に。現在は、都市、交通、公共、ヘルスケアの分野を中心とする新事業開発を担当。事業構想の立案から実現可能性の検討 のほか、自社の10年後の姿を示す「to be」モデルの提示、各種事業や技術のロードマップの策定などにも取り組んでいる。 商学部でマーケティングを専攻した後、米国の大学に留学して人類学を学び、2つの学士号を取得。1991年、日立製作所に入社。情 報通信部門のプロダクトマーケティングに携わり、その後、情報通信部門内の経営企画部門において、中期経営計画策定などに従事す る。2000年日立総合計画研究所に出向した後、2004年、都市開発システム部門に移り、都市開発事業などを経て、2007年から現 在の部署に。現在は、都市、交通、公共、ヘルスケアの分野を中心とする新事業開発を担当。事業構想の立案から実現可能性の検討 のほか、自社の10年後の姿を示す「to be」モデルの提示、各種事業や技術のロードマップの策定などにも取り組んでいる。

株式会社日立製作所

情報・通信システム社

経営戦略室

事業戦略本部

事業開発部

部長

瀬戸宏一氏

 IT以外の話がどれだけできるか

 カリスマ性のあるリーダーとは

実現されたらいいと感じていても、未だ実現されていないことは世の中にたくさんあります。未だ実現されていないことは、すべてこれから新しい事業 の芽になる可能性を秘めています。今の状態に100%満足している人は少ないはずです。すべての人が満足できる状態を目指して今の仕組みを改 善するだけでも、それは新しい事業の芽になり得ると思います。そこにITが活用できるかどうかは、次の段階で考えればよいことです。多くの人たちの満 足や幸せを実現するという観点から社会を見つめ続けることで、これからも我々が取り組むべき課題は尽きないのではないかと私は思っています。

 社会に潜む新事業の芽

Profile

IT×αの可能性

IT×αの可能性

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せと こういち

Kouich

i Seto

(11)

新しい事業に取り組む上で、私が大切にしているのは「やり続ける」 ということです。うまくいかない時期が続いたとしても、やめてしまったら、せっかく 取り組んできた努力がそこで終わってしまいます。やめてしまったものが、その先に実現することはありません。「この事業を成功させたい」、「この事業 を実現するべきだ」、そのような信念が自分の中にあるのであれば、たとえ日の目を見なくてもやり続けることが大切です。やり続ければ、いずれどこか で花開く可能性があります。その可能性がまだ小さいように見えたとしても、まずは、それを信じてやり続けることが大切です。 新しい事業を始める というと、誰も思いつかないような革新的なことを始めなければならないように聞こえることもありますが、ビジネスの種というの は、意外と身近なところに眠っているものです。特にお客様が「困っていること」を探し、それを解決することができれば、それはビジネスとして成立する 可能性が高まります。「困っていることの解決」は、すべてのビジネスの基本です。例えば、他の産業ではできているのにある産業ではできていないこと、 あれば便利なのにまだ実現されていないこと。そんな身近な観点から、「困っていること」を探していくと、どんなお客様にもやはり「困っていること」があ ることが分かります。「このお客様は何に困っているのか」という視点を常に忘れないことが、新たなビジネスの種の発掘につながっていくのです。 1985年、経済学部を卒業後、流通担当の営業職として日本アイ・ビー・エムに入社。サプライチェーンマネジメントの領域を中心に、入 社後8年間は顧客担当の営業として活躍。その後、米国本社のソリューションを日本で展開する事業などに8年間携わる。以降、営業とし て培った豊富な経験に基づき、コンサルティング業務を担当。多様な産業におけるサプライチェーンの構築・改革に取り組む。 2009年、以前から強い問題意識を感じていた水産業におけるIT活用案を社内ベンチャー制度に提案したところ、最優秀案として選出 され、事業化が決定。2010年4月から、自らが中心となってRFIDとネットワークを活用した「Smarter Fish」の事業化を進めている。 1985年、経済学部を卒業後、流通担当の営業職として日本アイ・ビー・エムに入社。サプライチェーンマネジメントの領域を中心に、入 社後8年間は顧客担当の営業として活躍。その後、米国本社のソリューションを日本で展開する事業などに8年間携わる。以降、営業とし て培った豊富な経験に基づき、コンサルティング業務を担当。多様な産業におけるサプライチェーンの構築・改革に取り組む。 2009年、以前から強い問題意識を感じていた水産業におけるIT活用案を社内ベンチャー制度に提案したところ、最優秀案として選出 され、事業化が決定。2010年4月から、自らが中心となってRFIDとネットワークを活用した「Smarter Fish」の事業化を進めている。

日本アイ・ビー・エム株式会社

グローバル・ビジネス・サービス事業

スマーターコマース事業開発

部長

久保田和孝氏

 「困っていること」 からビジネスは始まる

 「やり続けること」 の大切さ

現在私が取り組んでいる 「Smarter Fish」 は、幼い頃から自分の身近にあった水産業がずっと「困っていること」を何とか解決したいという思いが きっかけとなって始まったものです。水産業では、流通の効率化が大きな課題になっています。鮮魚を扱うため無駄も多く、誰にとっても利益が出にく い状態になっているのです。しかし、「誰も儲からない」なんて、そんなおかしな話はない。昔からずっと「何とかしたい」という思いがありました。ITを使え ば、流通はもっと効率化され、みんなが儲かる仕組みも実現できるはずです。この信念がある限り、自分が描いたビジョンの実現に、あきらめずに取り 組み続けたいと思います。願わくば、高い技術を持った日本の水産業発の仕組みを、いつか世界にも広げていければよいと思っています。

 この信念がある限り

Profile

この信念がある限り

この信念がある限り

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くぼた かずたか

Kazut

aka K

ubota

(12)

新しいビジネスを生み出せる人材になるためには、IT以外の分野に少なくとも一つ以上強い興味を抱くことが求められます。この興味は 面白そう と いう程度の興味ではなく、場合によってはそちらの分野に転身してもよいと思えるほどの 強烈な 興味であることが必要です。それくらいの強い興味が なければ、新しいビジネスを生み出すという難しい挑戦を成功させることは難しいと思います。ITに対する強い興味を持ちながらも、さらに別の分野にも 強い興味を抱く。そのくらいの強い好奇心や知的興味を持っていることが、これからの時代のプロフェッショナルの条件ではないかと思います。 新しいビジネスやそれを実現する仕組みを考えられるような人材は、今後ITベンダー側にも必要になるはずです。しかし、今のITベンダーに所属す る多くの人材は、ITスキル標準の職種のような、これまでの仕事の中でのキャリアアップや自己実現のイメージしか持っていないのではないでしょうか。 現在のITベンダーで活躍している高度な人材が今後異なる分野に挑戦するためには、今までの世界を超えた新しい仕事があるということをまず知っ てもらわなければなりません。現在、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして活躍している人材も、それを十分条件と考えず、次の時代への必 要条件と考えて、ユーザーとともに新しいビジネスを生み出すという新しい世界に挑戦していくことが必要です。次の時代はもうすでに始まっています。 プロフェッショナルは時代とともに変化するのです。過去の栄光に安住せず、ぜひ次の時代が求めるプロフェッショナルを目指してほしいと思います。 東京大学工学部航空学科を卒業後、1974年に三菱商事に入社。1993年に三菱商事の Palo Alto 事務所長に就任し、米国シリコ ンバレーにおいて同社の資金を活用したベンチャー投資を担当。2001年、三菱商事系のIT企業5社の統合によって株式会社アイ・ ティ・フロンティアが設立される。米国からの帰国後、2003年から2009年まで同社の社長、2011年まで会長を務める。同社は、顧客 のIT戦略策定支援から、システム設計・開発、システム・IT基盤運用までを総合的に支援するビジネスを展開。今回は、IT業界における 人材育成の豊富な経験に基づき、これからの時代のSIerに求められるビジネスや、それを担う人材に求められる能力について語った。 東京大学工学部航空学科を卒業後、1974年に三菱商事に入社。1993年に三菱商事の Palo Alto 事務所長に就任し、米国シリコ ンバレーにおいて同社の資金を活用したベンチャー投資を担当。2001年、三菱商事系のIT企業5社の統合によって株式会社アイ・ ティ・フロンティアが設立される。米国からの帰国後、2003年から2009年まで同社の社長、2011年まで会長を務める。同社は、顧客 のIT戦略策定支援から、システム設計・開発、システム・IT基盤運用までを総合的に支援するビジネスを展開。今回は、IT業界における 人材育成の豊富な経験に基づき、これからの時代のSIerに求められるビジネスや、それを担う人材に求められる能力について語った。

(元)株式会社アイ・ティ・フロンティア

顧問

井上準二氏

 今までの世界を超えた可能性を見せる

 IT以外の分野に 強烈な 興味を持てるか

新しい時代のプロフェッショナルを目指すためには、ITを異なる分野で活用するという経験を数多く積むことが大切です。これらの経験から得られた 知見が、新しいビジネスを生み出すような新しい挑戦の土台になると思います。また、成功に至る過程で多くの失敗を経験するということも非常に重要 です。積み重ねた失敗は、次のさらなる成功の基礎になるのです。したがって、これまでの仕事に失敗がないとしたら、それこそが大きな失敗であると 言うべきでしょう。いつの時代においてもプロフェッショナルへの道は長く、しかも複雑に分岐しています。しかしながら、その道を辿りながら、多くの人た

 失敗がないことは大きな失敗

Profile

新時代が求めるITプロフェッショナルの姿

新時代が求めるITプロフェッショナルの姿

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Message1

いのうえ じゅんじ

Junji I

noue

(13)

新しいことに挑戦し続けたいという気持ちの裏側には、「負けず嫌い」が潜んでいるような気がします。以前、非常に優秀な技術者と自分を比べてプロ グラミングでは勝てないと思ったことがあり、それが新製品を生み出すプロデューサーとして活躍するきっかけになりました。「ここでは勝てない」という屈 辱感は、一見「負け」を認めているようでもありますが、実はとても大切な感覚です。「ここでは」勝てないと思う人は、「ここではない何か」で勝ちたいと 思っているのです。何かで勝ちたいと思う人は、その屈辱感を忘れずに、自分が勝てる「何か」を探し続けてほしいと思います。私も世界を相手に勝つ ために、今でもその「何か」を探しています。いつか絶対に勝てるその「何か」を生み出し、命を懸けて世界に勝つことが、負けず嫌いの私の目標です。 新しい製品を開発するときに大切にしているのは、使う人がワクワクするようなこれまでにないコンセプトをまず生み出すということです。このコンセプト の段階で 革新性 や ワクワク感 がなければ、その製品はおもしろいものにはなりません。まず、どのようなシステムやサービスであれば、これまでにな いほど新しく、そして使う人がワクワクするか、そのコンセプトをしっかりと固めることが大切です。その後、コンセプトを実現する段階では、徹底的に機能 を追及し、ユーザーの期待を2段階くらい上回るようなものを目指すことが重要です。ユーザーの期待をはるかに超え、ビックリするくらいの機能を実現 すれば、ユーザーにも喜ばれます。ワクワクするようなコンセプトをビックリするような水準で実現する。それがヒットする製品の条件であると思います。 大阪大学工学部情報システム工学科を卒業、松下電工株式会社(現:パナソニック)に入社。1997年に愛媛県松山市でサイボウズ 株式会社を設立し、取締役副社長に就任。マーケティング担当としてWEBグループウエア市場を切り開く。「サイボウズデヂエ(旧DBメー カー)」「サイボウズ ガルーン」など、新商品のプロダクトマネージャーとしてビジネスを立ち上げ、事業企画室担当、海外事業担当を務める。 2005年4月、代表取締役社長に就任。2011年11月に発売した新製品「kintone(キントーン)」は、日常業務に必要なアプリケーション を、ユーザー自身がノンプログラミングで作成し、その場で使い始められるクラウドサービス。「ITPro EXPO 2011」にて大賞を受賞した。 大阪大学工学部情報システム工学科を卒業、松下電工株式会社(現:パナソニック)に入社。1997年に愛媛県松山市でサイボウズ 株式会社を設立し、取締役副社長に就任。マーケティング担当としてWEBグループウエア市場を切り開く。「サイボウズデヂエ(旧DBメー カー)」「サイボウズ ガルーン」など、新商品のプロダクトマネージャーとしてビジネスを立ち上げ、事業企画室担当、海外事業担当を務める。 2005年4月、代表取締役社長に就任。2011年11月に発売した新製品「kintone(キントーン)」は、日常業務に必要なアプリケーション を、ユーザー自身がノンプログラミングで作成し、その場で使い始められるクラウドサービス。「ITPro EXPO 2011」にて大賞を受賞した。

サイボウズ株式会社

代表取締役社長

青野慶久氏

 ヒットメーカーの心得

 自分が勝てる 「何か」 を探す

新しい製品を生み出すことは一人ではできないため、仲間や組織が必要です。特に革新的なコンセプトなど、一見実現不可能に見えるものを現実に するためには、チームの力が非常に重要です。新しいものを生み出す際は、まず周囲を説得し、支持を得るところから始めなければなりません。そこで リーダーの革新的なコンセプトを信じるかどうかは、普段からそのリーダーがどれだけ周りに信頼されているかにかかっています。リーダーへの信頼があ れば、不可能に見えるコンセプトの実現も信じることができます。新しいものを生み出す元にあるものは、意外にも普段培われた信頼関係なのです。

 信頼されるリーダーであれ

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命を懸けて世界で勝つ

命を懸けて世界で勝つ

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あおの よしひさ

Yoshih

isa Ao

no

(14)

次世代高度IT人材を目指す個人のための成長の指針

個人に対するインタビュー調査等から、今後、次世代高度IT人材としての活躍が期待される、現在のIT人材に対する成長の指針を 取りまとめた。

(15)

次世代高度IT人材を目指す個人向けの

成長

の指針

成長に対して貪欲になる

∼ 多様な知識と価値観を吸収し、“器”を広げる

「今」 をどのように変えるべきかを常に考える

∼ 改善・改革志向がニーズを探り当てる

今後向かうべき方向性や 「未来」 に対する信念とビジョンを抱く

∼ 信念が大きな仕事をする

失敗や衝突を恐れず挑戦し続ける

∼ 成功は失敗と挫折の先にしかない

自らのビジョンの正しさを 「実績」 によって示す

∼ 実績がプロフェッショナルをつくる

成長とキャリア形成の責任は自らにあることを自覚する

∼ 自ら動かなければ成長しない

ITの可能性と限界に挑戦する

∼ 「誰にもできなかったこと」をITで実現する

次世代高度IT人材を目指す個人にとっての成長の指針を、以下に示す。

(16)

成長の指針とインタビュー対象者からのメッセージ①

成長とキャリア形成の責任は自らにあることを自覚する

∼ 自ら動かなければ成長しない

常に「自ら考える」こと。自ら考えることで情熱や想いも生まれます。誰かに敷いてもらったレールの上を歩くだけや、「me too」 からは新しいものは生まれません。常に「自分がどのような位置にあり、何をすべきか」を自ら考えることが、変革の源泉になると言 えるでしょう。 常に「自ら考える」こと。自ら考えることで情熱や想いも生まれます。誰かに敷いてもらったレールの上を歩くだけや、「me too」 からは新しいものは生まれません。常に「自分がどのような位置にあり、何をすべきか」を自ら考えることが、変革の源泉になると言 えるでしょう。

 「自考 自語 自行 自責」 の精神で挑む

次世代高度IT人材としての成長の第一歩は、自分自身の成長やキャリア形成に関する責任が「自分自身」にあることを自覚するという点で ある。自分が所属する企業が、育成の仕組みや企業内の環境を整備することも重要ではあるが、企業が整備した環境の中で成長するのは、 個人の努力によるものである。環境が自動的に個人を成長させてくれるということはない。本事業における個人ヒアリング調査に登場する人 材を見ても、すべての人材が自分のキャリアを自らの努力と力によって切り拓いていることが読み取れる。成長やキャリア形成に関して、最 終的な責任を負っているのは他人や企業ではなく「自分自身」なのであり、まずはこの点について自覚することが成長の第一歩となる。 最近は様々な情報がオープンになり、何でも勉強できますし、工夫次第で様々なサービスも実現できるようになりました。昔と比べ たら格段に可能性に富む時代になっていると思います。しかし、今の若い世代は、その大きな可能性の中で、どこを目指したらよいの か逆に分からなくなっているような気がします。これはITの世界では特に顕著です。何でもできる時代だからこそ、その可能性に溺れ ずに、自分は何が得意なのか、何がしたいのかを、自分で考え、自分で進む道を見極めることが必要です。 最近は様々な情報がオープンになり、何でも勉強できますし、工夫次第で様々なサービスも実現できるようになりました。昔と比べ たら格段に可能性に富む時代になっていると思います。しかし、今の若い世代は、その大きな可能性の中で、どこを目指したらよいの か逆に分からなくなっているような気がします。これはITの世界では特に顕著です。何でもできる時代だからこそ、その可能性に溺れ ずに、自分は何が得意なのか、何がしたいのかを、自分で考え、自分で進む道を見極めることが必要です。

 可能性が開かれた世界で

現在ITベンダーで活躍している高度な人材が今後異なる分野に挑戦するためには、今までの世界を超えた新しい仕事があるというこ とをまず知らなければなりません。現在、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして活躍している人材も、それを十分条 件と考えず、次の時代への必要条件と考えて、ユーザーとともに新しいビジネスを生み出すという新しい世界に挑戦していくことが必 要です。次の時代はもうすでに始まっています。プロフェッショナルは時代とともに変化するのです。過去の栄光に安住せず、ぜひ次 の時代が求めるプロフェッショナルを目指してほしいと思います。 現在ITベンダーで活躍している高度な人材が今後異なる分野に挑戦するためには、今までの世界を超えた新しい仕事があるというこ とをまず知らなければなりません。現在、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして活躍している人材も、それを十分条 件と考えず、次の時代への必要条件と考えて、ユーザーとともに新しいビジネスを生み出すという新しい世界に挑戦していくことが必 要です。次の時代はもうすでに始まっています。プロフェッショナルは時代とともに変化するのです。過去の栄光に安住せず、ぜひ次 の時代が求めるプロフェッショナルを目指してほしいと思います。

 今までの世界を超えた可能性を知る

(17)

成長の指針とインタビュー対象者からのメッセージ②

何かに取組みたいという真剣な 思い だけが突出してしまうと、実績がついてこないこともあります。実績をあげる前提として、専 門とする分野について徹底的に勉強しておくことが必要です。新しいことを成し遂げることができるような とがった人材 は、得意な 分野については周りがビックリするほどものすごく勉強しているものです。 何かに取組みたいという真剣な 思い だけが突出してしまうと、実績がついてこないこともあります。実績をあげる前提として、専 門とする分野について徹底的に勉強しておくことが必要です。新しいことを成し遂げることができるような とがった人材 は、得意な 分野については周りがビックリするほどものすごく勉強しているものです。



とがった人材 になるために

既存の物事について幅広く知っておくことが、新しいものを生み出す前提にある。新しいものを生み出す人材には、既存のビジネスで活躍 する人材よりも幅広く深い知識が求められる。また、そのような成長を可能にするための 貪欲さ も必須である。

成長に対して貪欲になる

∼ 多様な知識と価値観を吸収し、 器 を広げる

IT分野で新たな構想やイノベーションを起こす人材は、自分の時間の大半を自らの専門分野やその隣接分野の活動につぎ込み、常にIT や隣接分野のこと考えています。 考える には、自考するだけでなく、広く情報を収集し、同僚や知人との議論、勉強会や学会への参 加などにより多様な知識や考えとの交流や他流試合、情報発信の機会を持つことが重要です。プロフェッショナルとして、その仕事が 本当に好きであるならば、そうした時間や獲得した専門性を活かすことでさらなる充実感も得られるでしょう。逆に言えば、それに近 いことをしないと、次世代の高度IT人材にはなれないと私は思います。 IT分野で新たな構想やイノベーションを起こす人材は、自分の時間の大半を自らの専門分野やその隣接分野の活動につぎ込み、常にIT や隣接分野のこと考えています。 考える には、自考するだけでなく、広く情報を収集し、同僚や知人との議論、勉強会や学会への参 加などにより多様な知識や考えとの交流や他流試合、情報発信の機会を持つことが重要です。プロフェッショナルとして、その仕事が 本当に好きであるならば、そうした時間や獲得した専門性を活かすことでさらなる充実感も得られるでしょう。逆に言えば、それに近 いことをしないと、次世代の高度IT人材にはなれないと私は思います。

 24時間365日の執着力が未来を決定づける

新しいビジネスを生み出せる人材になるためには、IT以外の分野に少なくとも一つ以上強い興味を抱くことが求められます。この興 味は 面白そう という程度の興味ではなく、場合によってはそちらの分野に転身してもよいと思えるほどの 強烈な 興味であることが 必要です。それくらいの強い興味がなければ、新しいビジネスを生み出すという難しい挑戦を成功させることは難しいと思います。IT に対する強い興味を持ちながらも、さらに別の分野にも強い興味を抱く。そのくらいの強い好奇心や知的興味を持っていることが、こ れからの時代のプロフェッショナルの条件ではないかと思います。 新しいビジネスを生み出せる人材になるためには、IT以外の分野に少なくとも一つ以上強い興味を抱くことが求められます。この興 味は 面白そう という程度の興味ではなく、場合によってはそちらの分野に転身してもよいと思えるほどの 強烈な 興味であることが 必要です。それくらいの強い興味がなければ、新しいビジネスを生み出すという難しい挑戦を成功させることは難しいと思います。IT に対する強い興味を持ちながらも、さらに別の分野にも強い興味を抱く。そのくらいの強い好奇心や知的興味を持っていることが、こ れからの時代のプロフェッショナルの条件ではないかと思います。



IT以外の分野に“強烈な”興味を持てるか

(18)

成長の指針とインタビュー対象者からのメッセージ③

ITの世界の 最新技術動向 は、米国発の技術や概念のキャッチアップになっていることがほとんどです。しかし、米国から新しい技 術や概念が生み出される背景には、「何かを変えたい」という強烈な変革志向が存在しています。大規模データセンタの運用コストの 革新的な圧縮を狙って生み出されたクラウドも例外ではありません。日本の技術者には、新しい技術を理解し、導入するという目標は あっても、「現状をどのように変えるべきか」という発想そのものが弱いのではないでしょうか。技術は進化そのものを目的としてい るのではなく、今の何を変えたらよいのか、新しく何がしたいのかというニーズに動かされて進化しているのです。世界で勝つために は、日本の技術者にも、社会や企業の何を変革すべきなのか、今の世の中で何が求められているのか、という観点からの発想が必要な のではないかと思います。 ITの世界の 最新技術動向 は、米国発の技術や概念のキャッチアップになっていることがほとんどです。しかし、米国から新しい技 術や概念が生み出される背景には、「何かを変えたい」という強烈な変革志向が存在しています。大規模データセンタの運用コストの 革新的な圧縮を狙って生み出されたクラウドも例外ではありません。日本の技術者には、新しい技術を理解し、導入するという目標は あっても、「現状をどのように変えるべきか」という発想そのものが弱いのではないでしょうか。技術は進化そのものを目的としてい るのではなく、今の何を変えたらよいのか、新しく何がしたいのかというニーズに動かされて進化しているのです。世界で勝つために は、日本の技術者にも、社会や企業の何を変革すべきなのか、今の世の中で何が求められているのか、という観点からの発想が必要な のではないかと思います。

 日本人は何を変えたいのか

現状に安住し、今が最も良いと感じている人材に、現状の変革や向上を期待することは難しい。イノベーターであり現状の改革者でもある次 世代高度IT人材には、どのような状態においても、「今」をどのように変えるべきかという視点を常に持っておくことが強く求められる。 IT産業は変化の激しい産業です。技術やビジネスも、凄まじいスピードで変化しています。この中で常に勝ち続けるためには、常に 変化し続けることが必要です。常に変化していかなければ、激変する環境の中で生き残っていくことすら難しいと思います。変化に伴 うリスクを避けるために「現状維持」を選択するという声を聞くことがありますが、このような変化の激しい産業の中での「現状維 持」は、逆に最大のリスクを背負うということを意味していると私は思います。むしろリスクを避けるために、私たちは変化し続けな ければならないのです。 IT産業は変化の激しい産業です。技術やビジネスも、凄まじいスピードで変化しています。この中で常に勝ち続けるためには、常に 変化し続けることが必要です。常に変化していかなければ、激変する環境の中で生き残っていくことすら難しいと思います。変化に伴 うリスクを避けるために「現状維持」を選択するという声を聞くことがありますが、このような変化の激しい産業の中での「現状維 持」は、逆に最大のリスクを背負うということを意味していると私は思います。むしろリスクを避けるために、私たちは変化し続けな ければならないのです。

 現状維持は最大のリスクである

実現されたらいいと感じていても、未だ実現されていないことは世の中にたくさんあります。未だ実現されていないことは、すべて これから新しい事業の芽になる可能性を秘めています。今の状態に100%満足している人は少ないはずです。すべての人が満足できる 状態を目指して今の仕組みを改善するだけでも、それは新しい事業の芽になり得ると思います。多くの人たちの満足や幸せを実現する という観点から社会を見つめ続けることで、これからも我々が取組むべき課題は尽きないのではないかと私は思っています。 実現されたらいいと感じていても、未だ実現されていないことは世の中にたくさんあります。未だ実現されていないことは、すべて これから新しい事業の芽になる可能性を秘めています。今の状態に100%満足している人は少ないはずです。すべての人が満足できる 状態を目指して今の仕組みを改善するだけでも、それは新しい事業の芽になり得ると思います。多くの人たちの満足や幸せを実現する という観点から社会を見つめ続けることで、これからも我々が取組むべき課題は尽きないのではないかと私は思っています。

 社会に潜む新事業の芽

「今」 をどのように変えるべきかを常に考える

∼ 改善・改革志向がニーズを探り当てる

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成長の指針とインタビュー対象者からのメッセージ④

DNAという生命の地図は解読できても、いまだにゼロから命は創れません。今生きていることは、とてつもない奇跡なのです。です から「自分を褒められるか、恥ずかしくないか」を自問し、計画という「将来に対する意思」を持ってほしいと私は思います。失敗し ても良いのです。一番良くないのは、目標や計画がないために失敗も成功もしない状態。生きている奇跡に気づけば、新しいビジネス の発想の原点は「社会にとって良いか。良い社会を作れるか」に自ずとなるでしょう。スティーブ・ジョブズも技術ばかりが着目され がちですが、行動の根本には社会を変えようとする想いがあるのだと思います。 DNAという生命の地図は解読できても、いまだにゼロから命は創れません。今生きていることは、とてつもない奇跡なのです。です から「自分を褒められるか、恥ずかしくないか」を自問し、計画という「将来に対する意思」を持ってほしいと私は思います。失敗し ても良いのです。一番良くないのは、目標や計画がないために失敗も成功もしない状態。生きている奇跡に気づけば、新しいビジネス の発想の原点は「社会にとって良いか。良い社会を作れるか」に自ずとなるでしょう。スティーブ・ジョブズも技術ばかりが着目され がちですが、行動の根本には社会を変えようとする想いがあるのだと思います。

 社会にとって本当に正しいか

現状を変革する上での拠りどころとなるものが、今後進むべき方向性が正しいと信じる「信念」や 未来はこうあるべき という「ビジョン」である。 このような拠りどころがあって初めて、周りの人たちをも巻き込みながら、新しいものを生み出すという大きな仕事を成し遂げることが可能にな る。新しい取組の方向を示す「信念」や「ビジョン」は、次世代高度IT人材の中核になるものともいえる。 現在私が取り組んでいる「Smarter Fish」は、幼い頃から自分の身近にあった水産業がずっと「困っていること」を何とか解決した いという思いがきっかけとなって始まったものです。水産業では、流通の効率化が大きな課題になっています。鮮魚を扱うため無駄も 多く、誰にとっても利益が出にくい状態になっているのです。しかし、「誰も儲からない」なんて、そんなおかしな話はない。昔から ずっと「何とかしたい」という思いがありました。ITを使えば、流通はもっと効率化され、みんなが儲かる仕組みも実現できるはずで す。この信念がある限り、自分が描いたビジョンの実現に、あきらめずに取組み続けたいと思います。 現在私が取り組んでいる「Smarter Fish」は、幼い頃から自分の身近にあった水産業がずっと「困っていること」を何とか解決した いという思いがきっかけとなって始まったものです。水産業では、流通の効率化が大きな課題になっています。鮮魚を扱うため無駄も 多く、誰にとっても利益が出にくい状態になっているのです。しかし、「誰も儲からない」なんて、そんなおかしな話はない。昔から ずっと「何とかしたい」という思いがありました。ITを使えば、流通はもっと効率化され、みんなが儲かる仕組みも実現できるはずで す。この信念がある限り、自分が描いたビジョンの実現に、あきらめずに取組み続けたいと思います。

 この信念がある限り

新しい事業や取組についての未来ビジョンを考える場合、できるだけ高く広い視点に立って物事を考えることが重要です。私は電子 行政の分野でビジョンを示す仕事を手がけていますが、電子行政の分野であれば、最低でも日本の首相と同じ視点を持つことが求めら れます。日本の責任者と同じ目線に立たなければ、今後、行政が本当に実現すべき戦略を考えることはできません。国際的な視点も含 めるならば、アメリカの大統領くらいの視点があってもよいでしょう。顧客と同じ目線に立つことも大切ですが、ときには、顧客を超 えたさらに広い視点を持つことも重要です。その領域において考え得る最大の視点に立つことは、物事の動向を正しく判断し、説得力 のあるビジョンを描く上で、きわめて重要だと言えると思います。 新しい事業や取組についての未来ビジョンを考える場合、できるだけ高く広い視点に立って物事を考えることが重要です。私は電子 行政の分野でビジョンを示す仕事を手がけていますが、電子行政の分野であれば、最低でも日本の首相と同じ視点を持つことが求めら れます。日本の責任者と同じ目線に立たなければ、今後、行政が本当に実現すべき戦略を考えることはできません。国際的な視点も含 めるならば、アメリカの大統領くらいの視点があってもよいでしょう。顧客と同じ目線に立つことも大切ですが、ときには、顧客を超 えたさらに広い視点を持つことも重要です。その領域において考え得る最大の視点に立つことは、物事の動向を正しく判断し、説得力 のあるビジョンを描く上で、きわめて重要だと言えると思います。

 考え得る最大の視点からビジョンを描く

今後向かうべき方向性や 「未来」 に対する信念とビジョンを抱く

∼ 信念が大きな仕事をする

(20)

成長の指針とインタビュー対象者からのメッセージ⑤

イノベーターとそうではない人を分ける重要な資質は、「挑戦する心」の有無であると思います。新しい製品やサービスを生み出す イノベーションには、必ずリスクが伴います。これまで、その新しい製品やサービスを生み出せなかった背景には、相応の理由や企業 にとってのリスクなどがあるはずであり、まずはそれらに果敢に挑む勇気が必要です。社会が求めるものに応えるために、これまでに 誰も挑んだことのない困難に挑戦する心。これこそが、イノベーターの核心にある資質なのではないでしょうか。 イノベーターとそうではない人を分ける重要な資質は、「挑戦する心」の有無であると思います。新しい製品やサービスを生み出す イノベーションには、必ずリスクが伴います。これまで、その新しい製品やサービスを生み出せなかった背景には、相応の理由や企業 にとってのリスクなどがあるはずであり、まずはそれらに果敢に挑む勇気が必要です。社会が求めるものに応えるために、これまでに 誰も挑んだことのない困難に挑戦する心。これこそが、イノベーターの核心にある資質なのではないでしょうか。

 「挑戦する心」 があるかどうか

強い「信念」や「ビジョン」に基づく取組であっても、新しい取組には失敗や挫折がつきものである。しかし、新しい取組を成功させるために は、失敗や挫折が起こることを十分承知しつつも、それを障害としないだけの気概が求められる。誰も成し遂げていない新しいことだからこ そ失敗や挫折の可能性は大きい。しかし、失敗や挫折によって頓挫することなく、前進し続けた取組だけが最後に成功するのだといえる。 顧客の課題を解決しようとすると、これまで解決できなかった「難しい課題」がたくさん出てきます。しかし、それらを一つずつ丁 寧に議論し、何が難しいのかを明らかにすると、実際のところは「業界の課題」などではなく、大きな利害が絡む関係者が「やりたく ない」と思っているだけのことだったりします。要するに「難しい課題」とは、「ずっと避けてきた課題」の別名です。多くの場合、 「難しい課題」が解決されない理由は、周りが「解決できない」と決めてしまっているところにあるのです。しかし、真正面から正々 堂々と向き合えば、解決の糸口は少しずつ見えてきます。まずは、「難しい課題」に対して、ひるまず堂々と向き合い、本当は何が難 しいのか、その課題の本質を明らかにすることが、解決できない課題解決の第一歩なのです。 顧客の課題を解決しようとすると、これまで解決できなかった「難しい課題」がたくさん出てきます。しかし、それらを一つずつ丁 寧に議論し、何が難しいのかを明らかにすると、実際のところは「業界の課題」などではなく、大きな利害が絡む関係者が「やりたく ない」と思っているだけのことだったりします。要するに「難しい課題」とは、「ずっと避けてきた課題」の別名です。多くの場合、 「難しい課題」が解決されない理由は、周りが「解決できない」と決めてしまっているところにあるのです。しかし、真正面から正々 堂々と向き合えば、解決の糸口は少しずつ見えてきます。まずは、「難しい課題」に対して、ひるまず堂々と向き合い、本当は何が難 しいのか、その課題の本質を明らかにすることが、解決できない課題解決の第一歩なのです。

 本当は何が難しいのか

新しい事業に取組む上で、私が大切にしているのは「やり続ける」ということです。うまくいかない時期が続いたとしても、やめて しまったら、せっかく取り組んできた努力がそこで終わってしまいます。やめてしまったものが、その先に実現することはありません。 「この事業を成功させたい」、「この事業を実現するべきだ」、そのような信念が自分の中にあるのであれば、たとえ日の目を見なく てもやり続けることが大切です。やり続ければ、いずれどこかで花開く可能性があります。その可能性がまだ小さいように見えたとし ても、まずは、それを信じてやり続けることが大切です。 新しい事業に取組む上で、私が大切にしているのは「やり続ける」ということです。うまくいかない時期が続いたとしても、やめて しまったら、せっかく取り組んできた努力がそこで終わってしまいます。やめてしまったものが、その先に実現することはありません。 「この事業を成功させたい」、「この事業を実現するべきだ」、そのような信念が自分の中にあるのであれば、たとえ日の目を見なく てもやり続けることが大切です。やり続ければ、いずれどこかで花開く可能性があります。その可能性がまだ小さいように見えたとし ても、まずは、それを信じてやり続けることが大切です。

 「やり続けること」 の大切さ

失敗や衝突を恐れず挑戦し続ける

∼ 成功は失敗と挫折の先にしかない

(21)

成長の指針とインタビュー対象者からのメッセージ⑥

諸外国では、多くの方々が「世界一」を狙っています。世界一を狙うことは、国際競争に参加する入場券のようなものです。世界一 を狙っていないものが、世界で通用するわけがないのです。最初から誰もが認める規模で世界一になることは極めて稀ですが、領域を 絞れば世界一を目指すことは何人にとっても可能です。私が目指してきたのは「クルマ」×「IT」の融合領域での世界一ですが、各人 がそれぞれの領域で世界一を目指すことで、世界における日本の存在感はもっともっと大きくなるのではないかと思います。 諸外国では、多くの方々が「世界一」を狙っています。世界一を狙うことは、国際競争に参加する入場券のようなものです。世界一 を狙っていないものが、世界で通用するわけがないのです。最初から誰もが認める規模で世界一になることは極めて稀ですが、領域を 絞れば世界一を目指すことは何人にとっても可能です。私が目指してきたのは「クルマ」×「IT」の融合領域での世界一ですが、各人 がそれぞれの領域で世界一を目指すことで、世界における日本の存在感はもっともっと大きくなるのではないかと思います。

 世界一を目指さなければ世界で通用しない

ITは大きな可能性を秘めた技術であり、領域である。しかし、その可能性を引き出す人材が存在しなければ、秘められた可能性は現実の ものとはならない。ITが持つ可能性に挑戦し、従来の限界を突破して、最高のものを目指そうとすること。これも、次世代高度IT人材に望ま れる重要な姿勢である。 これまでに世界的に成功を収めたIT企業は、自ら革新的なアイディアやサービスを打ち出してきました。同じIT企業である我々も、こ れからの時代を勝ち抜いていくためには、お客様のニーズに基づく仕事をするだけではなく、自ら革新的なことができるということを 示す必要があると思います。ビッグデータとデータアナリティクスは、あらゆる産業において革新的なサービスを生み出すための一つ の大きな鍵になるはずです。この鍵を活用するために必要なのは、ITエンジニアの創造性ですが、これが、これからの社会を変えてい く大きな力なのだと私は考えています。 これまでに世界的に成功を収めたIT企業は、自ら革新的なアイディアやサービスを打ち出してきました。同じIT企業である我々も、こ れからの時代を勝ち抜いていくためには、お客様のニーズに基づく仕事をするだけではなく、自ら革新的なことができるということを 示す必要があると思います。ビッグデータとデータアナリティクスは、あらゆる産業において革新的なサービスを生み出すための一つ の大きな鍵になるはずです。この鍵を活用するために必要なのは、ITエンジニアの創造性ですが、これが、これからの社会を変えてい く大きな力なのだと私は考えています。

 ITエンジニアの創造性が社会を変える

世の中は私たちの想像以上に変化することがあります。これはすごいと昔の人が感じたものは、今では普通になってしまい、将来は 時代遅れになってしまうということは、技術に限らず日常的に起きています。今、これが最良・最高・最適だと思っているものも、将 来の人たちから見ればまったく異なるように見えるはずです。いつの時代においても、その時々の人々が感じる もっとも良いもの は、 さらに変化したり、進化を遂げる可能性を秘めています。そう考えれば、 最良 に限界はありません。どのような素晴らしいものやす ごいものも、 もっと良いもの へと変えていける可能性があるのです。より良いものに限界がないのであれば、それを目指す取組にも 限界はありません。私たち技術者が成すべきことは、真に無限大なのだと思います。 世の中は私たちの想像以上に変化することがあります。これはすごいと昔の人が感じたものは、今では普通になってしまい、将来は 時代遅れになってしまうということは、技術に限らず日常的に起きています。今、これが最良・最高・最適だと思っているものも、将 来の人たちから見ればまったく異なるように見えるはずです。いつの時代においても、その時々の人々が感じる もっとも良いもの は、 さらに変化したり、進化を遂げる可能性を秘めています。そう考えれば、 最良 に限界はありません。どのような素晴らしいものやす ごいものも、 もっと良いもの へと変えていける可能性があるのです。より良いものに限界がないのであれば、それを目指す取組にも 限界はありません。私たち技術者が成すべきことは、真に無限大なのだと思います。

 “最良”に限界はない

ITの可能性と限界に挑戦する

∼ 「誰にもできなかったこと」 をITで実現する

(22)

成長の指針とインタビュー対象者からのメッセージ⑦

まだ実現されていないニーズを思いつくということは、比較的多くの人に可能なことです。しかし、思いついただけでは意味があり ません。それが実現されて初めて、思いついたことに意味があると言えるのです。まだ誰も実現していないことを実現するというのは 非常に大変なことですが、世の中に必要とされていることであれば、必ず協力してくれる人がいます。大切なのは、それが世の中に求 められていることを自分の中で確信し、「成功するまで止めない」ことです。私は「失敗したことがない」と言ったりしますが、それ はいつも成功するまでやり続けるからです。やり続けることは成功するための条件です。実現へのハードルは常に高いものですが、成 功するまでやり続けることで、いつかは必ず実現できると私は思っています。 まだ実現されていないニーズを思いつくということは、比較的多くの人に可能なことです。しかし、思いついただけでは意味があり ません。それが実現されて初めて、思いついたことに意味があると言えるのです。まだ誰も実現していないことを実現するというのは 非常に大変なことですが、世の中に必要とされていることであれば、必ず協力してくれる人がいます。大切なのは、それが世の中に求 められていることを自分の中で確信し、「成功するまで止めない」ことです。私は「失敗したことがない」と言ったりしますが、それ はいつも成功するまでやり続けるからです。やり続けることは成功するための条件です。実現へのハードルは常に高いものですが、成 功するまでやり続けることで、いつかは必ず実現できると私は思っています。

 実現しなければ意味がない

これが正しいと考えて取り組んだことが本当に正しかったのかどうかを証明するものが「実績」である。自らが生み出したものが実現され、 市場で成功を収めることで、それは「実績」となる。こうした「実績」こそが、プロフェッショナルとして確立された人材とその他の人材を分ける 最大の特徴といえる。 新しいことに挑戦し続けたいという気持ちの裏側には、「負けず嫌い」が潜んでいるような気がします。以前、非常に優秀な技術者 と自分を比べてプログラミングでは勝てないと思ったことがあり、それが新製品を生み出すプロデューサーとして活躍するきっかけに なりました。「ここでは勝てない」という屈辱感は、一見「負け」を認めているようでもありますが、実はとても大切な感覚です。 「ここでは」勝てないと思う人は、「ここではない何か」で勝ちたいと思っているのです。何かで勝ちたいと思う人は、その屈辱感を 忘れずに、自分が勝てる「何か」を探し続けてほしいと思います。私も世界を相手に勝つために、今でもその「何か」を探しています。 いつか絶対に勝てるその「何か」を生み出し、命を懸けて世界に勝つことが、負けず嫌いの私の目標です。 新しいことに挑戦し続けたいという気持ちの裏側には、「負けず嫌い」が潜んでいるような気がします。以前、非常に優秀な技術者 と自分を比べてプログラミングでは勝てないと思ったことがあり、それが新製品を生み出すプロデューサーとして活躍するきっかけに なりました。「ここでは勝てない」という屈辱感は、一見「負け」を認めているようでもありますが、実はとても大切な感覚です。 「ここでは」勝てないと思う人は、「ここではない何か」で勝ちたいと思っているのです。何かで勝ちたいと思う人は、その屈辱感を 忘れずに、自分が勝てる「何か」を探し続けてほしいと思います。私も世界を相手に勝つために、今でもその「何か」を探しています。 いつか絶対に勝てるその「何か」を生み出し、命を懸けて世界に勝つことが、負けず嫌いの私の目標です。

 自分が勝てる 「何か」 を探す

自らのビジョンの正しさを 「実績」 によって示す

∼ 実績がプロフェッショナルをつくる

(23)

次世代高度IT人材を育成する組織のための育成の指針

成長の指針とともに、後掲の産業界育成事例や教育機関事例の結果に基づき、次世代高度IT人材の育成を担う組織のための育 成の指針を取りまとめた。

(24)

次世代高度IT人材を育成する組織向けの

育成

の指針

新事業の創出や変革に向けた強いインセンティブを与える

大きな視点から物事を考えさせる

多様な価値観に触れさせる

現場に入り込み、課題を発見させる

一定の失敗が許される挑戦・実践を繰り返す

一定の能力や資質を有する人材の選抜を基本とする

非日常的な場を与え、発想を熟成させる

次世代高度IT人材の育成に取り組む組織(企業の人材育成部門や教育機関等)に向けた育成の指針を

以下に示す。

参照

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