128 The 65th Annual Meeting of the Japanese Society of Child Health
会頭講演教育講演特別講演市民公開講座ミニシンポジウムシンポジウム論文投稿
市民公開講座
座長:花木 啓一 鳥取大学医学部 保健学科 看護学専攻 瀬口 正史 ファミリークリニックせぐち小児科世界一寂しい・自尊心の低い日本の子どもたち
~その背景・未来にあるもの
田澤 雄作
国立病院機構 仙台医療センター 小児科
・世界一寂しい・自尊心の低い日本の少年の背景にあるもの
世界一寂しい(29%)、自尊心が低い(57%)日本の少年がいる。楽しい心や挫折を乗り越えて生き て行く力は、家族(親子)の絆から与えられ、基本的な自尊心がその支えとなる。家族の絆は「まな ざし」と「会話」の中でつくられ、「生まれてきてよかった、愛されている」という自尊心が形成され る。しかし、赤ちゃんの時代からの映像メディア漬けは、親子のまなざしを奪い、会話を奪い、さ らに「行過ぎた進学競争、過激な部活動」や「長時間のゲームやスマホ使用」が「休息と睡眠のため の時間」を削り、脳のパワーを奪い、現代病「慢性疲労」をつくりだし、寂しい心や挫折を与えている。
・不適切な養育環境は脳を変える~人間社会の未来は?
2011年の原発事故以降、不自然な(不適切な)養育環境が幼児の成長発達に影響を与えることが 報告され(2014年~ 2018年: 10% から36% へ増加)、長時間の映像メディアとの接触は、親子の絆や 自尊心の形成を阻害するだけでなく、言葉や情緒発達の問題に影響を与える可能性が示唆されてい る。青少年でも同様に、大人になれない(働くことができない)大学生がこの8年間(2016年)で約 20倍に急増し、スマホなどの長時間使用が「周囲への無視・無関心」を助長し、現実体験を削ぎ落 としたためと推測されている。さらに、3歳児からの「お母さんのスマホになりたい」というメッセー ジが強烈に炸裂した。母親の依存ともいえる「スマホ片手のながら授乳(育児)」が90% という時代 の中で、私たちには「ネット(ゲーム・スマホ)依存」の始まりが“赤ちゃんの時”である認識が求め られている。大人は、機嫌がよくなるなどを理由に赤ちゃんにスマホなどを手渡しつつ(50%)、「依 存」の心配もしている(30%)。
参考:メディアにむしばまれる子どもたち(教文館)2015.