• 検索結果がありません。

前多敬一郎先生を偲んで

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "前多敬一郎先生を偲んで"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

前多敬一郎先生を偲んで

山内 章 名古屋大学農学国際教育協力研究センター長

2018年2月3日に、元農学国際教育協力研究センター教授で、当時東京大学大学院農学生命科学研 究科教授であった前多敬一郎先生が他界された。

前多先生は、1985年に名古屋大学農学部に助手として採用され、その後、同大学大学院生命農学研 究科、講師、助教授、教授を経て、2010年に農学国際教育協力研究センター(以下、農国センター)

に教授として赴任され、その後、2012年に東京大学大学院農学生命科学研究科に獣医繁殖育種学研究 室教授として赴任され、ご活躍中であった。

同先生は、研究面では動物の繁殖機能を制御する神経内分泌メカニズムに関する基礎研究を実験動 物や家畜を用いて推進し、国内外で共同研究を展開し、その成果を応用し、家畜におけるさまざまな 繁殖障害の治療法を開発した。さらに、各種学会の理事長、理事、編集委員長などの要職を歴任する とともに、国際雑誌の編集委員も務めるなど、国内外で、繁殖生物学あるいは内分泌学の発展に尽く された。また、国際的なネットワーク構築に貢献するとともに、留学生や日本人学生の教育にも非常 に熱心に取り組まれ、学生の国際的視野を広げるため、教育の国際化に力を尽くし、その過程で開発 した様々な教育プログラムは後輩らによって脈々と引き継がれ、発展している。

また同先生は、本誌「農学国際協力」の誕生に決定的な役割を果たされた。農学国際協力の分野に おいては、具体的な事例に関して膨大な経験と知見が集積されてきたが、それらを記述した報告とい う形での記録は多数存在する一方で、学術論文として、それらの内容を整理し、体系化、抽象化する 作業は進んでいない。多くの場合、もともと論文化することを前提に調査や協力活動が組み立てられ ているわけではないので、関連分野の既存の学術雑誌に掲載されるような論文を執筆することが困難

(2)

であり、そのような観点で、とくにこの分野に属する研究者の間では、既存の学術論文の要件は満た していないが、非常に貴重かつ有用な情報や知見を何とかして論文化したいという熱い要望と、その 受け皿を創る必要性の議論があった。

もともと、農国センターでは、「農学国際協力」という新しい学問分野を確立することを目標に研究 活動を進めてきた。そこで、それまで同センターが定期的に開催してきたオープンフォーラムの内容 を記録するためプロシーディングとして発刊してきた「農学国際協力」が、より学術性の高い雑誌と して生まれ変わったのが本誌である。同先生は、農国センター、そして農学知的支援ネットワークの 中でその議論を牽引し、刊行にこぎ着けた。ご自身の獣医学の研究分野の経験から、臨床現場におけ るケーススタディーの積み上げがやがて新しい学問領域の創設に繋がってくるという信念の元、本誌 の再出発を実現させ、初代編集委員長として活躍された。国際協力の過程で、その原動力となる、技 術や研究成果を学術論文としてまとめて、本誌に掲載し、その継続が新学問分野の創出に繋がってい くことが期待される。

その成果を踏まえて、農学がその本質である総合学問としての機能をさらに発揮し、海外の生産現 場に結びついていくことが、とくに食料自給率の低い我が国にとって重要であることを、先生は常に 強調しておられた。同先生は、研究に対して非常に高いレベルを、同僚に、後輩に、そして学生に要 求した。その結果、多くの優秀な人材を世に送り出した。微力ながら、自分たちも次世代の育成に貢 献し、優れた農学研究を発展させることによって前多先生への恩返しとしたいと思う。心から前多先 生のご冥福をお祈りします。

参照

関連したドキュメント

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

太宰治は誰でも楽しめることを保証すると同時に、自分の文学の追求を放棄していませ

最愛の隣人・中国と、相互理解を深める友愛のこころ

 「学生時代をどう過ごせばよいか」という問い

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課

愛知目標の後継となる、2030 年を目標年次とした国際目標は現在検討中で、 「ポスト 2020 生物

現を教えても らい活用 したところ 、その子は すぐ動いた 。そういっ たことで非常 に役に立 っ た と い う 声 も いた だ い てい ま す 。 1 回の 派 遣 でも 十 分 だ っ た、 そ