*東京都立衛生研究所多摩支所理化学研究科 190‑0023 東京都立川市柴崎町3‑16‑25
*Tama Branch Laboratory,The Tokyo Metropolitan Research Laboratory of Public Health
3‑16‑25,Shibasaki‑cho,Tachikawa,Tokyo 190‑0023 Japan
乾燥梅製品に使用された甘味料の分析
萩 野 賀 世*,松 本 ひろ子*,坂 牧 成 恵*, 中 里 光 男*,安 田 和 男*
Determination of Sweeting Agents in Dried Ume Products by HPLC
Kayo HAGINO*, Hiroko MATSUMOTO*, Narue SAKAMAKI*, Mitsuo NAKAZATO* and Kazuo YASUDA*
Keywords:サイクラミン酸cyclamate,ズルチンdulcin, アリテームalitame,アスパルテームaspartame,サッカリン saccharin,アセスルファムカリウムacesulfame K,スクラロースsucralose, ステビオサイドstevioside, レバウディオサイドA rebaudioside A,グリチルリチン酸glycyrrhizic acid, 乾燥梅製品dried ume product
緒 言
近年,消費者の健康志向が高まっているにもかかわらず, 糖尿病や高血圧などの生活習慣病が増加している.そのた め,食生活を改善して,それらを予防しようという機運が高 まっている.そこで,糖摂取を抑制してカロリーの低減を図 るため,加工食品にノンカロリーや低カロリー性の甘味料 が多用される傾向にある1,2).
そうした中で1999年にはスクラロース,2000年にはアセ スルファムカリウムが新たに許可され,甘味料の選択肢も 一層の広がりを見せている.また,一般に甘味料は複数を組 み合わせて使用する場合が多く,さらに,輸入品にあっては 指定外の甘味料が使用されている場合もある.これらのこ とから,食品中の甘味料の使用実態を調査することは,食品 衛生行政上重要である.
今回,最近,多く市販されている乾燥梅加工品について, サッカリン(SA),アセスルファムカリウム(AK),スクラロー ス(SUC),アスパルテーム(APM)及び既存添加物の甘草抽出 物とステビア抽出物の主成分である,グリチルリチン酸 (GA),ステビオサイド(STV)及びレバウディオサイドA(REB), また,指定外添加物のうち違反事例の多いサイクラミン酸 (CYC),さらに,乾燥梅から検出された事例のあるズルチン (DU)3)と,中国,オーストラリア等で許可されているアリテ ーム(AL)4)の計10種の甘味料を調査した.乾燥梅加工品の 梅の果肉部分は乾燥度が高く,体積の割には,重量が小さい ことから,十分な試料採取は困難である.そこで,少量の試 料から多種類の甘味料を調べるため,各甘味料に対する分 析法を合理的に系統化して分析を行った.それらの結果に ついて報告する.
実 験 方 法
1.試料
2001年10月から2002年1月に市販されていた乾燥梅製品 33検体を用いた.そのうち,13検体は中国産,7検体は台湾 産,13検体は原産国の表示が無く不明であった.
2.試薬
1)甘味料標準溶液:シクロヘキシルスルファミン酸ナトリ ウム(特級,東京化成工業(株)製)は112.3 mg,サッカリンナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 ( 特 級 , 和 光 純 薬 工 業 ( 株 ) 製 ) は 118 mg,DU(食品添加物用,ICN Biochemicals社製),AL(純度98%
以上,ファイザー(株)製),APM(食品添加物試験用,和光純薬 工業(株)製),AK(生化学用,和光純薬工業(株)製),SUC(食品 添加物用,三栄源エフ・エフ・アイ(株)製),STV(定量用,和光 純薬工業(株)製),REV(定量用,和光純薬工業(株)製)及び GA(生薬試験用,和光純薬工業(株)製)は各100 mgを精秤 し,DUは水・メタノール(1:1)混液に溶解し,その他は水に溶 解して100 mLとしたものを標準原液とした.各標準原液1 mL はそれぞれの甘味料を1,000 µg含有し,これらを適宜,その 溶媒で希釈したものを各標準溶液とした.
2)透析内液 A(CYC,DU,AL,APM,SA,AK,SUC分析用):塩化ナト リウム100 g を0.01 mol/L塩酸に溶解して1,000 mLとした ものを用いた.B(STV,REB,GA分析用):塩化ナトリウム100 g を0.2 mol/Lトリス塩酸緩衝液(pH9.0)に溶解して1,000 mL としたものを用いた.
3) 透 析 外 液 A(CYC,DU,AL,APM,SA,AK,SUC 分 析 用 ):0.01 mol/L塩酸を用いた.B(STV,REB,GA分析用):0.02 mol/Lトリ ス塩酸緩衝液(pH9.0)を用いた.
4)透析膜:透析用セルロースチューブ36/32(平面幅43 mm, 直径27 mm,膜厚0.0203 mm,Viskase社製)
5)前処理用カートリッジ:Sep‑Pak Vac C18(1 g,Waters社
製),Bond Elut ENV(1 g,Varian 社製) 及びOASIS MAX(150 mg,Waters社製)を使用前にメタノール5 mL及び水5 mLで順 次洗浄して用いた.
6)0.02 mol/Lリン酸緩衝液:0.2 mol/Lリン酸水素二ナトリ ウム500 mL及び0.2 mol/Lリン酸470 mLを混和し,これを用 時10倍希釈してpH4.0の緩衝液を調製した.
7)メタノール:HPLC用を用いた.
3.装置
1)HPLC装置:Hewlett Packard社製1100シリーズ及び日本分 光工業(株)製LC‑900シリーズ(RI‑930型RI検出器付き)
2)GC/MS装置:島津製作所(株)製GC‑17A/GCMS‑QP5050
4.HPLC 条件
1)CYC :カラム,Cosmosil 5C18‑AR‑Ⅱ(4.6 mm i.d.×250 mm, ナカライテスク(株)製);移動相,水・メタノール(2:8)混液;
流速,1.0 mL/min;検出波長,314 nm;カラム温度,40℃;注入 量,10 µL
2)DU : カラム,Cosmosil 5C18‑AR‑Ⅱ(4.6 mm i.d.×250 mm, ナカライテスク(株)製);移動相,水・メタノール(4:6)混液;
流速,1.0 mL/min;検出波長,240 nm;カラム温度,40℃;注入 量,10 µL
3)AL及びAPM :カラム,Cosmosil 5C18‑AR‑Ⅱ(4.6 mm i.d.×
250 mm,ナカライテスク(株)製);移動相,メタノール・0.02 mol/Lリン酸緩衝液pH4.0(1:2)混液;流速,1.0 mL/min;検出 波長,210 nm;カラム温度,40℃;注入量,20 µL
4)SA及びAK:カラム,Cosmosil 5NH2(4.6 mm i.d.×150 mm, ナカライテスク(株)製);移動相,メタノール・1%リン酸 (4:6)混液;流速,1.0 mL/min;検出波長,230 nm;カラム温 度,40℃;注入量,10 µL
5)SUC :カラム,Mightsil RP‑18 GP(4.6 mm i.d.×250 mm, 関東化学(株)製);移動相,アセトニトリル・水(15:85)混液;
流速,1.0 mL/min;検出器,RI,range 1/64;カラム温度,40℃;
注入量,100 µL
6)STV,REV及びGA:カラム,Develosil RPAQUEOUS‑AR‑5(4.6 mm i.d.×250 mm,野村化学(株)製);移動相,20 mmol/Lリン 酸 ・ ア セ ト ニ ト リ ル ・ メ タ ノ ー ル (90:55:5); 流 速 ,1.0 mL/min;検出波長,210 nm(STV,REB) 254 nm(GA);カラム温 度,40℃;注入量,20 µL
5.GC/MS条件
1)CYC:カラム,DB‑5ms(0.25 mm i.d.×30 m,J&W Scientific 社製);カラム温度,80℃(4 min)‑(10℃/min)‑160℃‑(20 ℃ /min)‑200℃;注入口温度,230℃;検出器温度,230℃;キャリ アーガス,He 80 kPa;注入量,1 µL ;イオン化電圧,70 eV;
イオン化法,EI
2)SA及びAK:カラム,BPX35(0.25 mm i.d.×30 m,エス・ジー・
イージャパン(株)製);カラム温度,80℃‑(20℃/min)‑300℃
(SA),80℃‑(20℃/min)‑120℃‑(10℃/min)‑200℃(AK);注入 口温度,230℃;検出器温度,230℃;キャリアーガス,He 80 kPa;注入量,1 µL;イオン化電圧,70 eV;イオン化法,EI
6.試験溶液の調製
試験溶液調製の操作手順の概要を図1に示した.
1)透析
試料は種子を除き,細切あるいはホモジナイズした後,そ の20.0 gを取り,約20 mLの透析内液AまたはBで透析膜に充 填し,上端を密封する.これをメスシリンダー内に入れ,透 析外液AまたはBで全量を200 mLとし,時々揺り動かしなが ら24時間透析した.
誘導体化
CYC:サイクラミン酸, DU:ズルチン, APM:アスパルテーム, AL:アリテーム SA:サッカリン, AK:アセスルファムカリウム, SUC:スクラロース STV:ステビオサイド REB:レバウディオサイドA GA:グリチルリチン酸
透析
透析外液 25mL OASIS MAX
HPLC 透析
HPLC 試料 20g
HPLC HPLC
透析外液 5mL 透析外液 10mL
試験溶液 試験溶液
透析外液 透析外液 5mL
図1. 試験溶液の調製の概要
CYC DU APM, AL SA, AK SUC
STV, REB, GA
Sep-Pak Vac C18
試験溶液 HPLC
試験溶液 Sep-Pak Vac C18
透析外液 50mL
HPLC
Bond Elut ENV 試験溶液
図1. 試験溶液の調製の概要
CYC:サイクラミン酸, DU:ズルチン, APM:アスパルテーム, AL:アリテーム SA:サッカリン, AK:アセスルファムカリウム, SUC:スクラロース STV:ステビオサイド, REB:レバウディオサイドA, GA:グリチルリチン酸
2)HPLC試験溶液の調製
CYC は中里らの方法5),DU,SUCは小林らの方法4),6),SA及 びAK は守安らの方法7),STV,REB及びGAは著者らの方法8)に 準拠した.AL及びAPM は透析外液5 mLを分取し,Sep‑Pak Vac C18カートリッジに負荷し,水5 mL及びメタノール・水(2:8) 混液10 mLで洗浄後,メタノール・1%リン酸(3:7)混液8 mL及 びメタノール2 mLで溶出し,全量を10 mLとしたものを試験 溶液とした.
7.定性及び定量
各試験溶液をHPLCに付し,標準品の保持時間と比較して 定性を行った.また,それぞれの標準溶液のピーク面積から 検量線を作成し,定量を行った.
8.確認
HPLCにおいて,各甘味料の標準品と保持時間が一致する ピークが検出された場合には,フォトダイオードアレイ検 出器(PDA)を用い,それぞれのスペクトルを各標準品と比較 して確認を行った.CYC,SA,AKについてはGC/MSによる確認
8),9),10)を行った.APMはTLC法11)で,SUCはUVラベル化HPLC法
12)で確認を行った.
結果及び考察
1.分析法の系統化
今回の乾燥梅製品中の10種の甘味料の使用実態調査は, 少量の試料でも対応できるように各分析法の前処理等を統 合して系統的に分析を行い,省力化を図った(図1).
前処理は2通りの透析条件を用いた.CYC5 ),DU4 ),AL4 ),
APM4),7),SA4,7),AK4,7)及びSUC6)は透析助剤を用い,塩酸酸性
条件下で,STV13),REB13)及びGA13)は透析助剤を用い,塩基性 条件下での透析で,一括して抽出することができた.透析法 は試料が少量の場合の抽出に最適であった.
2.APM及びALの同時分析法の検討
APM及びALについては,両者を簡便に同時分析するための クリーンアップ条件及びHPLCでの分離条件の再検討を行っ た.検討にあたっては,守安ら7)のAK,SA及びAPMの同時分析 法を参考にした.
1)クリーンアップ
守安ら7)はAPMのクリーンアップにSep‑Pak Vac C18カー トリッジを用い,溶出溶媒にメタノール・1%リン酸(3:7)混 液10 mLを用いている.しかし,この条件では,乾燥梅製品の 場合,ALの溶出率は55%程度と低かった.そこで,さらに2 mL のメタノールを溶出液として追加したところ,ALは90 %以 上溶出することがわかった.
2)HPLC条件
守安ら6)の方法に準拠し,カラムはCosmosil 5C18‑AR‑Ⅱ, 移動相はメタノール・0.02 mol/Lリン酸緩衝液(1:3)混液を 用いて,APM及びALの同時分析を試みたが,保持時間はAPMが 14分,ALが27分と長時間を要することが分かった.そこで, メタノールと0.02 mol/Lリン酸緩衝液の混合比率を変化さ せて最適の保持時間を検討した.その結果,メタノールと 0.02 mol/Lリン酸の比率を1:2とした時,保持時間はAPMが8
分,ALは14分と1/2に短縮できた.APM及びALのHPLCクロマト グラムを図2に示した.
15
0 10
APM
AL
5
保持時間(分)
図2. APM及びAL標準溶液のHPLCクロマトグラム APM : 10 µg/mL
AL : 10 µg/mL
3)添加回収試験
乾燥梅製品の他,ジャム,清涼飲料水,桃のシラップ漬等 に,APM及びALを各々0.2 g/kgとなるように添加し,添加回 収実験を行った.表1 に示したように,APM及びALの回収率 はいずれも85%以上と良好な結果が得られ,本法は種々の食 品にも適用できることがわかった.なお,検出限界はいずれ も0.01 g/kgであった
表1. APM及びALの添加回収試験
APM AL
乾燥梅製品 87.5±0.2 87.7±4.4
ジャム 102.7±2.2 102.4±3.3
清涼飲料水 88.0±0.9 87.4±2.3
桃(シラップ漬) 91.0±4.1 88.2±7.0
醤油 96.2±2.5 85.4±3.4
たくあん漬 86.4±2.9 86.1±2.9
ウスターソース 86.3±0.7 87.2±5.1
添加量 0.2 g/kg ( n = 3 ) 試料
回収率(%)
(mean±SD)
3.乾燥梅製品中の甘味料含有量
市販乾燥梅製品33検体中の10種の甘味料の調査結果を表 2に示した.10種のうちDU,ALを除く8種の甘味料が検出され た.指定外添加物のうちCYCは33検体中4検体から最大64 g/kg,平均29 g/kgと高濃度が検出された.
当所における1984年の調査3)では,CYCは台湾産の乾燥梅 製品44検体全てから,また,1992年の調査14)では台湾産及び タイ国産の製品15検体中14検体から,そして,1995〜1997年
の調査15)では,台湾産及び中国産の製品10検体中7検体から 検出されており,高い検出率であった.しかし,今回の調査
表2. 乾燥梅製品からの甘味料調査結果
甘味料 検体数 検出値 (g/kg)
CYC 33 4 ( 4 ) * 12 3.6, 16, 33, 64
DU 33 0 0
AL 19 0 0
APM 33 17 ( 6 ) 52 0.53~30 SA 33 3 ( 3 ) 9 0.38, 7.5, 9.5
AK 33 6 ( 6 ) 18 1.1, 1.5, 2.5, 3.8, 5.7, 7.9
SUC 19 2 11 0.08, 0.55
STV 33 11 ( 2 ) 33 0.03~1.2 REB 33 11 ( 2 ) 33 0.04~1.0
GA 33 10 ( 5 ) 30 0.01~0.06
*:( )内の数値は製品に使用表示の無かったもの 検出数 検出率(%)
でのCYCの検出率は12%程度であった.SAは33検体中3検体 (0.38〜9.5 g/kg,平均値5.8 g/kg)から検出されたが,1984 年の調査3)で高い検出率を示したDUは検出されず,中国で 許可されているALも検出されなかった.
一 方 ,AK 及 び APM の 検 出 率 は そ れ ぞ れ 18%( 平 均 値 3.8 g/kg)及び52%(平均値11 g/kg)と検出頻度,検出濃度とも高 いことがわかった.また,GA,STV及びREBの検出率は30〜
33%,SUCの検出率は11%であった.以上の結果から,おそらく, かつて多量に使用されていたCYCやSAから,最近日本で許可 された,これらの甘味料や既存添加物の使用へと転換が進 んでいるものと考えられる.
4.原産国別の甘味料の検出状況
試料中の各甘味料の検出量を原産国別に分類して表3に 示した.中国産13検体,台湾産7検体及び原産国不明13検体 の3グループに分類された.これら3グループから検出され た甘味料の種類に大きな違いは認められなかったが,SUCは 中国産のみから検出されている.中国では1996年にSUCを許 可しており16),このような乾燥果実製品にまで使用が拡大
原産国 CYC APM SA AK SUC STV REB GA
1 - 2.2 - 3.8 0.17 0.20 0.02 2 - 0.53 - - - 0.03 0.13 - 3 - - - - 0.55 0.07 0.05 - 4 - - - - - 0.13 0.07 -
5 - - - - 0.04 0.04 -
6 - - - - - 0.04 0.04 -
7 - - - - 0.03 0.08 -
8 3.6 - 0.38 - - - - -
9 - 3.3 - - - - - 0.03
10 16 - - - - - - -
11 - 16 - - - - - -
12 - - - - 0.08 - - -
13 - - - - - - -
1 33 11 9.5 1.5 - - 0.06 2 - 1.5 - 2.5 - 0.09 0.08 0.02 3 - 10 - - 0.24 0.17 0.09
4 64 - 7.5 - - - - -
5 - 21 - 7.9 - - - -
6 - 25 - - - - - 0.05
7 - 19 - - - - -
1 - 14 - 5.7 - - 0.04
2 - - - - 0.28 0.31 -
3 - - - - - 1.2 1.0 -
4 - 4.8 - 1.1 - - -
5 - 30 - - - - - 0.05
6 - 3.0 - - - - - 0.02
7 - 0.89 - - - - -
8 - - - - - - 0.01
9 - 17 - - - - - -
10 - 9.0 - - - - - -
11 - - - - - - -
12 - - - - - - -
13 - - - - - - - -
( 単位:g/kg ) 表3. 乾燥梅製品の原産国別甘味料調査結果
無表示 台湾 中国
試料番号
表3. 乾燥梅製品の原産告別甘味料調査結果
していることがわかった.なお,台湾では許可されていな い16).一方,CYCは中国及び台湾では許可されており,これま での調査と比較すると,検出率は減少しているものの,中国 産,台湾産のそれぞれ2検体から検出された.
次に,甘味料の使用状況を見てみると33検体中,5種併用 が3検体,4種併用が1検体,3種併用が3検体を含め,2種以上 の併用が21検体(64%)と多く見られた,それらの組み合わせ は製品により異なっていた.その他,砂糖,黒糖,果糖,乳糖 などの使用表示のあるものも33検体中23検体あり,糖類と の併用あるいは甘味料の複数使用という実態が明らかとな った.
また,調査した乾燥梅製品ではCYC,SA及びAKについての 使用表示のあったものは無く,その他の甘味料についても 約半数の試料で表示が適正に行われていなかった.今後の 改善が望まれる.
ま と め
乾燥梅製品中の10種の甘味料について,前処理を透析法 に統合して系統化し,省力化を図った分析法を用いて,使用 実態調査を実施した.その結果,指定外添加物のCYCが33検 体中4検体から検出され,最大値は64 g/kgであった.使用基 準のある添加物のうち,SAが33検体中3検体,AKが6検体,SUC が2検体から検出され,使用基準値を超えているものや,使 用表示が無いものが多数見られた.また,APMや既存添加物 であるGA,REB及びSTVの使用頻度が高いことが判明した.10 種の甘味料中,8種の甘味料が検出され,2種以上を組み合わ せて使用している製品が64%と多く見られるなど,乾燥梅製 品における甘味料の使用傾向が明らかとなった.
文 献
1)食品化学新聞社編集部:月刊フードケミカル, 2001‑12, 47‑66, 2001,食品化学新聞社,東京.
2) 健康産業新聞社編集部:食品と開発, 37(4), 57‑62, 2002,健康産業新聞社,東京.
3) 田村行弘,二島太一郎:東京衛研年報, 40, 141‑148, 1989.
4) 小 林 千 種 , 中 里 光 男 , 牛 山 博 文 , 他 : 食 衛 誌 , 40, 166‑171, 1999.
5) 中 里 光 男 , 斉 藤 和 夫 , 石 川 ふ さ 子 , 他 : 食 衛 誌 , 34, 248‑253, 1993.
6) 小 林 千 種 , 中 里 光 男 , 山 嶋 裕 季 子 , 他 : 食 衛 誌 , 42, 139‑143, 2001.
7) 守安貴子,中里光男,小林千種,他:食衛誌, 37, 91‑96, 1996.
8) 小林千種,中里光男,山嶋裕季子,他:全国化学技術協議 会年会, 34, 84‑85, 1997.
9) 日本薬学会編:衛生試験法・注解1990, 493‑495, 1990, 金原出版,東京.
10) 守 安 貴 子 , 斉 藤 和 夫 , 中 里 光 男 , 他 : 食 衛 誌 , 34, 277‑282, 1993.
11) 井部明弘,斉藤和夫,中里光男,他:食衛誌, 26, 1‑6, 1985.
12) 野尻宗子,粕谷陽子,中里光男,他:食衛誌投稿中
13) 坂牧成恵,松本ひろ子,萩野賀世,他:(社)日本食品衛生 学会第83回学術講演会講演要旨集, 56, 2002.
14) 東京都立衛生研究所事業概要,平成5年度版, 47, 1993.
15) 小林千種,中里光男,山嶋裕季子,他:第34回全国衛生化 学技術協議会年会講演集, 84‑85, 1997.
16) 山内哲夫:JAFAN, 20(1), 1‑10, 2000.