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論文の内容の要旨

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Academic year: 2021

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様式8の1の1 別紙1

論文の内容の要旨

専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 江口純司

本研究では,一般市街地における自律移動ロボットの実用化を目指し,自律移動ロボットの実証 実験「つくばチャレンジ」を通じて,一般市街地におけるロボットの自律移動に関する技術構築 を行った.自律移動ロボットの研究では実際に走行させることではじめて顕在化する課題が多く 存在する.そのため著者はタスクを設定した上で,実環境で実験走行を繰り返しながら課題を抽 出し,それらに対する技術構築を行う「タスクオリエンテッドアプローチ」に基づいて自律移動 ロボットを開発した.これまでの研究から,一般市街地を走行する自律移動ロボットの開発にお いて「自己位置・姿勢の推定」と「走行可能領域の識別」,および「走行可能領域から逸脱しな い走行制御」を要件とした.また,これらの要件に対する機能を連携させる枠組みとして「環境 情報地図」を構築した.以上の技術構築をつくばチャレンジで行った結果,安定して再現性の高 い自律走行を実現することができた.本論文は9章より構成されており,以下に各章の内容につ いて述べる

第1章では,本研究の背景として自律移動ロボットと自動運転車を比較し,一般市街地を走行す る自律移動ロボットを実現するための課題と本研究の動機と目的および研究のアプローチについ て述べた.

第2章では,安定した自律移動ロボットを開発するための,タスクオリエンテッドアプローチの 考え方と,自律移動ロボットの実証実験「つくばチャレンジ」の目的と意義,および取り組みに ついて述べた.また,これまでのつくばチャレンジで実践された自律移動技術について説明し,

それらに対する筆者の考えとして自律移動ロボットの要件,および環境情報地図の概念について 述べた.

第3章では,ロボットの車体構成,およびシステム構成と各機能について述べた.また,ロボッ トの制御ソフトウェアの概要について説明した.

第4章では,ロボットの自己位置・姿勢の推定手法について述べた.最初にその基盤となる占有 格子地図の作成手法について説明した.占有格子地図はロボットの走行軌跡上に測域センサのス キャンデータを記録することで作成されるが,走行軌跡には累積誤差が生じるため,正確な地図 を作成することは難しい.著者は走行軌跡の誤差を,GPS測位点を用いて補正し,FastSLAMの枠 組みに取り込むことで形状が正確で矛盾のない占有格子地図を作成する手法を構築した.自己位 置・姿勢の推定は占有格子地図と測域センサのスキャンデータの照合によるMonte Carlo Local izationを用いた手法を構築した.

第5章では,走行可能領域を3次元測域センサおよび接触センサによって識別する手法を構築し た.実環境では路面の凹凸などによるロボットの姿勢の変化によって,3次元測域センサによる 高さの計測では10[cm]以下の低い縁石や段差を識別することは難しい.そのため,著者は識別の

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対象となる低い縁石や段差に対して,3次元測域センサによって地面をセンシングしたときの各 測距点の水平距離による識別手法を構築した.また接触センサでは,低い段差を駆動輪の電流値 の変化から抽出する手法を構築した.

第6章では,ロボットが経路を逸脱しないようにするため,著者は本研究においてロボットの経 路上で検知した対象に対しては追従走行することとした.そのため,対象までの到達時間を一定 に維持する速度制御手法を構築した.また,経路上にない対象に対しては走行可能領域を識別し て回避する走行制御手法を用いた.その結果,走行可能領域の逸脱を抑制し,安定した自律走行 が継続できることを示した.

第7章では,自律走行のデータベースとして,走行禁止領域,低所特徴,経路を占有格子地図に 重ねた階層構造の地図として構成した.これを用いることで,自己位置・姿勢推定の安定性向上 と外界センサでは識別できない袋小路領域や駐輪場などの走行禁止・不可能領域を回避できるこ とを示した.

第8章では,つくばチャレンジ2013から2015までの実験走行において,本研究の有効性と課題に ついて考察した.自己位置・姿勢の推定については,従来はランドマークが少ない場所では地図 とのマッチングが正確にできない可能性があり,その場合には姿勢の推定精度が低下する問題が あった.これに対して本研究では3次元測域センサによって歩道と芝生の境界を識別し,それら を低所特徴として占有格子地図とのマッチングに用いることで姿勢の推定精度を維持できること を示した.走行の安定性については,走行可能領域の識別精度が向上したこと,および走行可能 領域から逸脱しない走行制御によってリタイアが抑制できることを示した.以上の技術構築によ ってつくばチャレンジ2014および2015の課題コースを完走したことから,一般市街地で安定した 自律移動ロボット技術を構築することができた.

第9章では,本研究のまとめと今後の課題,および展望として本研究による自律移動ロボットの 実用化への寄与について述べた.

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