様式8の1の1 別紙1
論文の内容の要旨
専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 韓 青 松
パーソナルモビリティは,移動に関するサービスを提供するだけでなく,高齢者や障害者の ための移動支援,子どもの遊具など,その応用が多岐に渡る技術であり, 今後の発展や普及が 期待されている。そこで本研究では,パーソナルモビリティにとって重要な要 素であるインタ フェースに関する研究を行った。インタフェースの多くは手で操作するものであるが,手を使 わないものも注目されている。そこで本研究では,手で操作 しないインタフェースとして身体 動作,また手で操作するインタフェースとして 手綱による引っ張り動作に着目した。そして,
これらの動作を検知し移動体を操縦する装置を開発し,パーソナルモビリティとしての操作 イ ンタフェースの特性を明らかにした。
本論文は7章で構成され,その概要は以下のとおりである。
第1章では,パーソナルモビリティとそのインタフェースに関す る研究開発の動向について 述べ,それらを踏まえた本研究の意義と目的を明確にし た。
第2章では,非手動および 手動の観点で操作インタフェースに関する 従来研究について調査 し,本研究の新規性を明らかにした。そして,パーソナルモビリティ における操作インタフェ ース装置の要求仕様を 考察している。具体的には,座りながら体を自由に動かせる人であれば,
ジョイスティックのように 移動速度および方向を直接入力できること ,入力量がある程度認識 できること,低コストで構築可能であることが必須の機能であることを示した。また,子ども 用であれば,安全であること,操作が容易であること,楽しく操作できること,最低限必須で あることを示した。そして前者としては座面傾斜方式,後者としては手綱方式の操作インタフ ェースが有用であることを示した。
第3章では,新たに提案した座面傾斜による身体動作インタフェース 装置の構成と評価実験 方法について述べた。本身体動作インタフェース装置は, 座面に前後,左右用に2台の傾斜セ ンサから構成され,座面の傾斜量により電動車椅子の移動の速さ と方向を指令できる。すなわ ち,ジョイスティックのように 車椅子の移動を制御でき,傾斜や移動状態から指令値を ある程 度認識できる。また,汎用性を重視し, モータを直接制御するのではなく,既存のジョイステ ィックに取り付けられる構造としたため,比較的容易に市販の 電動車椅子に装着できる。この ことから既存の車椅子を利用することで低コストに運用が可能である。本インタフェース装置 が直感的に操作できることを確認するために,操作性や乗り心地感について評価に値する語 11 対を抽出し,7段階の意味差判別法による官能検査を実施した。また,身体動作インタフェー ス装置の指令値と車椅子との速度を比較し,本インタフェース装置が実験協力者のねらい通り に動作することがわかった。
第4章では,本身体動作インタフェース装置の評価実験結果について 考察を行い,その有用 性を示した。意味差判別法における11対の7段階の語の全てにおいて,中央値4よりも良い評価 が得られていたことから 実験協力者が本インタフェース装置に対して肯定的な印象を持ったこ とがわかった。さらに実験協力者のほとんどが,座面の傾斜を利用して指定経路を逸脱せずに 走行できた ことから,本インタフェース装置が 直感的な操作 に適していることが確かめられた。
また,ジョイスティックとの比較実験の結果,意味差判別法の すべての項目で5%の有意差がな く,実験協力者がジョイスティックに近い感覚で本インタフェース 装置を使用していたことが 明らかとなった。
第5章では,手綱式インタフェ ース装置の開発について述べた。手綱式インタフェース装置 を実現するために,手綱の引っ張り力を検出するセンサとしてひずみゲージを採用し,引っ張 り力に基づいた ロボットの動作を生成した。 また,レーザ測域センサ を用いて,障害物回避機 能を移動ロボットに実装し,子どもが不用意に操作しても衝突を回避できるような安全機能を 実装した。
第6章では ,手綱式インタフェース装置に対する評価実験を行い,その結果および 考察につ いて述べた。まずは,乗り心地,操作感,面白さを 意味差判別法によって可能検査を実施し,
特に,面白さの点で高い評価が 得られた。そして, ジョイスティックとの比較 評価では,ジョ イスティックよりは意図通りに操作できなくても,衝突回避による安心感や,直感的な操作性 が子どもにとって理解しやすく,興味を誘発できることがわかった。このことから,子ども向 けインタフェースとして有用であることがわかった。
第7章では,本研究で得られた結果を総括するとともに,今後の展望を述べた 。