中国人日本語学習者における「依頼
j発話行為に関する研究 一場面認知と表現の関連性についてー
教科・領域教育専攻 言語系国語コース 許 清 平
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研究の目的『依頼』発話行為は相手に負担をかけること で自分が利益を得る行為である。依頼表現は、
依頼内容〈相手に掛ける負担の大きさ=コスト) や依頼相手〈被依頼者の属性)rこよって異なり、
適切な依頼表現を使用してはじめて、円滑に依 頼内容が遂行される可能性が高くなる。しかし 一方で、それらが食い違えば4人間関係のバラ ンスが脅かされてしまうことも十分に考えられ るだろう。中国の社会には互いに頼み頼まれる ことで人間関係が強固になっていくという習慣 があるので、発話のストラテジーが差lまど厳し く要求されていなし、。そのため、中国人日本語 学習者は「依頼J発話行為を行う時、母語から の影響を強く受けることが予想されh 効果的な 依頼発話行為は極めて習得しにくい言語行為と 考えられる。本研究は『依頼」発話行為を取り 上げ、実際に母語話者による発話行為が日中間 でどのように違っているのか、そして、その遣 いが日本語の学習にどのような影響を与えてい るのかを明らかにすることを目的とする。
2.研究の方法
本研究では縦十の検定に耐えうる被験者の 人数を確保するため、被話完成テストを作成し
t=.。まず、場面ごとに依頼するか否かを被験者 に判断させた。次に依頼すると回答した者に、
指導教官 小 野 由 美 子
依頼するとしたら被依頼者、依頼の内容に『頼 みにくさ・頼みやすさ」をどの程度感じている かを評定させた。その後、どのような表現を用 いて依頼するか、その表現を書いてもらうこと とした。また、アンケート形式の欠点を補うた め、一対ーの形で、合計60名にインタビューし、
回答の理由を尋ねた。鯛査の対象は日中国立大 学の学生〈日本語母諦諸:2IJ7名;中国人日本 語学習者:234名;中:205名〉。調査邦闘は2001 年3月‑6月。依頼内容は『場面1:ビデオを 借りる』、『場面2:1500円を借りる」、『場面
3:発音の指導を求める』、『場面4:返金の催 促』。依頼相手は親しい友達と親しい先生。分析 方法は「依頼の頻度』、「場面の認知』と『依頼 の表現Iの関連性について考察した。
3.調査の結果
(1)
r
依頼」の頻度について〈第三章第一節〉①依頼内容に関しては日将膏母語話者が『お 金を借りる』という依頼を実行する者の寄j合 州底いのに対し、中国語母揺害者は『返金を 催促する』という依頼の実行者が低かった。
中国人日本語学習者の場合、両場面ともに、
依頼するかどうかの判断は中国語母語話者 に近い傾向を示した。
(2)場面の認知について〈第三章第二節〉
① 3グループとも、各場面において、他の頼み
にくさの平糊宙志依頼相手が先生の場合に より高川また、依頼内容は依頼相手より頼 みにくいと感じられている。
②日本語母語話者の場合、頼みにくさは依頼 相手が先盆L友人の場合ともに、場面2>場 面4>場面>場面3という順に低くなる。他 方、J中国語母語話者では場面4>場面1
>場面2>場面3という順になっている。
③中国人日本語学習者は場面 1と場面21こ対 する認知は中国語母語話者と近い結果がみ られた。しかし、場面3でl本依頼相手が先 生の場合、中国人日本語学習者の認知は日本 語母語話者に似ている反面、依頼相手が友達 の場合、やはり中国語母語置害者に似ている傾 向カ切られた。また、場面4でl本中国人日 本語学習者の評定値は日中母語話者よりも やや高くなっている。
(3)依頼の表現について〈第三章第四,五節〉
①日本語母語話者、中国語暗冨害者ともに頼み やすい相手に頼みやすい内容〈場面3)を依 頼する時、『腕曲的直接依頼型」、『依頼型』
を多用する。頼みにくい内容に対しては、日 将偶語話者は『否定疑問型J('場面1、場 面2)と『回答要求型J(場面4)を、中国 語母語話者は『可能型J(場面的を主に用 いる。
⑧頼みにくい相手の場合、中国語母官話者は依 頼内容に関係なく『可能型J(:場面1、場面 2)と『省略型J(場面4)を多用する。そ れに対して、日本語母語審者は積みやすい内 容の場合、『可能型』と『腕曲的直接依頼型』
〈場面3)の使用頻度が高く、頼みにくい内 翻こなると、『可能型J(:場面1、場面2)と
『省略型J(場面4)をよく使用する。
④中国人日本語学習者は頼みやすい相手に対 しては、依頼内容による表現形式が分散し ている。頼みにくい相手の場合、場面4を 除き、どの依頼内容においても『否定疑問 型』と『可能型』をよく用いている。場面
4では『省略型』を多用していた。
⑤ 『貸す』と『借りる』の使用にいて、日本 語母語話者は、依頼相手が友達の場合、
fH+HJ (貸してくれる〉を多用しているが、
依頼相手が先生になると、丁寧度の高い fH+SJ (貸していただく〉の使用を増加さ せている。中国人日本語学習者は、依頼相 手が友達の場合、主にfH+HJを用いてい るが、依頼相手が先生の場合、 rH+HJ と
fH+SJの割合が約半々になっている。ま た、日本語母語話者の使用頻度が少なかっ たrS+HK/H+KJ(貸し・借り/てもいい〉
とrS+5GJ(借りたい〉の使用も多少見ら れ丸
4 .
研究のまとめと今後の課題本研究では日中島官話者と中国人日本語学習 者の