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【研究論文】依頼メールにおける中国人日本語学習者と日本人評価者の重点差異—PAC 分析の手法を通して—

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『言語習得と日本語教育』第 1 号(2021) 〔研究論文〕. 依頼メールにおける中国人日本語学習者と. 日本人評価者の重点差異. -PAC 分析の手法を通して-. 叶 国 青. 1.はじめに. 中国人留学生は日本で生活をしていく中で、メールで日本人とコミュニケーション. を取るとき、日本語能力や日中文化の違いなどにより困難を感じる場面が多々ある。. 阿部(2014)は、「メールはコミュニケーションの際、相手の表情を読み取れないこ. と、文字情報のみで伝達しなければならないこと、書き手が一人で談話を展開しなけ. ればならない」ということをメールの特徴として挙げている。そのため、メールでは. コミュニケーションの参加者に誤解や摩擦、あるいは不安をもたらさないように注意. を払う必要がある。特に、依頼メールの場合は目的を達成するだけではなく、相手と. 良い人間関係を保つことにも配慮しなければならない。留学生が学校の教師など目上. の人にメールを送る場面では、尊敬·謙譲の表現や日本独特の配慮表現の使用および習. 得に関わる表現に問題があることが明らかになっている。. 一方で、メールを受け取る日本人は、留学生が書いたメールには言葉遣い、敬語使用、. 理由説明、結束部分などに様々な問題を感じているという。このように留学生と日本. 人母語話者がメールにおいて重視しているところが必ずしも一致しているとはいえな. い。そこで、メールを書く側と受け取る側の重点差異が存在しているかどうかを確か. める必要があると考え、本研究において追究することにした。. 2.先行研究と本研究の目的. 2.1 メールの非共時性. コンピュータを媒介として人間同士がコミュニケーションをとることは CMC. (Computer-Mediated Communication)と呼ばれている。北出(2006)によれば、. CMC にはチャットやビデオコンファレンスのように、話し手と聞き手が同じ時間を. 133. 共有して行われる「共時性 CMC」と、同一時間の共有はないという前提のもとで行. われる「非共時性 CMC」があるとされる。本稿では、後者(非共時性 CMC)を対象. とする。非共時性 CMC には、非共時的であるが故に、メッセージ間に時差が生じ、. 自身の非言語情報を表出し、あるいは相手の非言語情報を読み取ることが難しいとい. た特徴があると考えられている。. 2.2 日本語と中国語間の談話構造の違い. 依頼の談話構造分析から、日中両語間の相違をまとめる研究としては、関口(2007)、. 楊(2004)と李(2002)が挙げられる。その差異としては、主に 3 つ(1.日本人が依. 頼の前に予告を必ず置くのに対し、中国人は必ずしも置くわけではないこと、2.日本. 人は間接的な表現、特に言い差しの形で相手の反応を期待するのに対し、中国人はは. じめから依頼を念頭に会話を進めること、3.助詞や助動詞で丁寧さを表す日本人に対. し、中国人は「如果方便的話」1などを依頼の前につけ、全体の繋がりをもって丁寧さ. を示すこと)があると述べられている。さらに、楊(2004)はポライトネスの観点か. ら、中国人の依頼は感性的でポジティブポライトネス2を多用し、日本人の依頼は理性. 的でネガティブポライトネスを多用すると説明している。. また、依頼メールの構造についての研究には、李(2004)と宮崎(2007)がある。. 李(2004)は、電子メールによる依頼の展開は 6 段階(1.予告(件名)、2.依頼前の行. 動、3.予告、4.先行依頼、5.依頼、6.依頼後の行動)で構成されていると説明している。. 宮崎(2007)では、「開始部」「主要部」「終了部」と開始部の前に付与される「件名」. に分けて分析している。その結果、タイ人は「依頼予告」もなされない場合があり、. 唐突または強引なイメージを与えるものもみられたことなどが報告されている。. 2.3 日本語学習者に対する日本人の評価. 日本語学習者が書いたものに対し、日本人はどういった観点から評価しているかを. 探った研究としては、田中他(1998)と宇佐美(2010)がある。田中他(1998)は、. 日本語教師と一般日本人の評価の観点 22 項目を因子分析した結果、「正確さ」、「構. 成・形式」、「内容」、「豊かさ」の 4 因子に分類ができると説明している。宇佐美(2010). は、学習者が書いた手紙文の順位付けを日本人に依頼し、作業後に順位付けの際にど. のような観点を重視したかを問う調査の結果、「言語形式」「全体性」「読み手への配慮・. 態度」「表現力」と名付けられる 4 因子を得ている。加えてクラスター分析を実施した. 1 中国語で「もし都合がよければ」という意味である。 2 ポジティブポライトネスとは、他者に理解されたい、好かれたい、賞賛されたいという. プラス方向の欲求であり、ネガティブポライトネスとは、賞賛されないまでも、少なく. とも、他者に邪魔されたくない、立ち入られたくないというマイナス方向の欲求である。. 134. 結果、評価者を 4 グループに分類することができ、4 グループ全てが、全体的に「態. 度・配慮」を重視し、「表現力」をあまり重視しないという結果を得ている。. さらに、評価者の個人差を明らかにするため、宇佐美ら(2009)は質的な調査を行っ. た。宇佐美ら(2009)は、3 名の日本人(それぞれ評価者 A、B、C)に読んでもらい、. 「順位付け」の過程で感じたことを PAC 分析の手法で分析した。その結果、評価者. A は「書き手の態度」という観点と「言語形式」という観点を優先して使い分けてい. ること、評価者 B は「言語形式」という観点を通じて「態度」を判断しようとしてい. ること、評価者 C は「言語形式」という観点をほとんど使わず観察できる「態度」の. さらに背後にある書き手の「人格」を問題にしていたことが分かった。. 以上の研究から、先行研究を概観し、言語や文化などの違いにより、依頼メールに. おける日中差異があることが分かってきたが、メールを書く側と受け取る側の重点差. 異がまだ明らかになっていない。それだけではなく、中国人学習者は依頼メールを書. く時、どういうところに困難を感じ、重視しているのかといったこと、及び日本人は. 学習者の依頼メールを評価する時、どこを見ているのかといったところも不明確なま. ま残されていると考えられる。そこで、本研究では、依頼メールについて、中国人日. 本語学習者が難しいと思っているところ、及び中国人日本語学習者と日本人が重視し. ているところとの違いを明らかにすることを目的に調査を行った。 . 3.研究課題. 本研究では以下の 3 つの研究課題を設けて調査を行った。. 課題 1:中国人日本語学習者は依頼メールの作成について難しいと思っている点、また. 重視している点はどこか. 課題 2:日本人評価者は学習者の依頼メールを評価するとき重視している点はどこか . 課題 3:学習者と日本人評価者の重点差異はどこにあるか. 4.調査概要. 4.1 対象者. 日本に在学している中国人日本語学習者 10名と日本人母語話者 3名を対象に調査を行. った。中国人日本語学習者を選定する際、日本語能力やメールを書く機会の有無など. を考慮し、大学に在学している学部生または大学院生を対象とした。学部生の 2 名が. 日本語能力は JLPT レベル N2 で、その他の学習者は N1 であったため、対象者の日本. 語能力は中級以上であると考えられる。. 4.2 PAC 分析. 本稿では、宇佐美ら(2009)に倣い、PAC 分析を使用する。PAC 分析の PAC は個人. 135. 別態度構造(Personal Attitude Construct)の略称である。元々は名称のごとく個人別に. 態度構造を測定するために開発されたものであるが、内藤(2008)によると現在では、. 態度やイメージの構造だけでなく、心理的場、アンビバレンツ、コンプレックスまで. 測定できることが確認されている。内藤(1997)によると、PAC 分析研究法は当該テ. ーマに関する自由連想(アクセス)、連想項目間の類似度評定、類似度距離行列による. クラスター分析、被検者によるクラスター構造のイメージや解釈の報告、実験者によ. る総合的解釈を通じて、個人ごとに態度やイメージの構造を分析する方法だと分かる。. さらに、内藤(1997)は、特定個人を詳細に分析することは、個別的普遍性だけで. なく、共通的普遍性の解明を目指すことになるのであると述べている。そのため、本. 研究では、質的研究手法である PAC 分析を使用し、得られた結果の共通性を探ること. にする。今回の調査に参加した評価者の詳細は、下記の表 1 の通りであった。. 評価者の選定の際には、年齢、性別、職業など特定の属性に偏りがないように配慮. した。特に、先行研究で明らかにされているように、評価者の日本語教育歴の有無は. 評価の結果に関わるため、日本語教育歴が有る人と無い人の双方を対象とした。. 表 1 評価者の詳細. 評価者 ID 職業 性別 年代 日本語教育歴. A 大学院生 女性 30 代 5 年. B 大学院生 男性 20 代 なし. C 営業部管理職 男性 60 代 なし. 4.3 データ収集と分析方法. はじめに、データ収集方法を説明する。学習者に「あなたは大学を卒業して一年ほ. ど経ちました。今は大学院入試の準備中です。大学院に行くには大学の先生からの推. 薦書が必要なので、先生にメールして頼んでください。あなたは卒業してから先生と. 連絡は取っていないという前提でメールを作成してください。また、先生は田中先生. という日本人だと仮定します。それ以外の設定は自分で決めてください。」という設定. で依頼メールを書いてもらった。依頼メールの難点については、李(2004)の依頼メ. ールの構造に基づいて、アンケートの 6 つの質問項目(1.件名、2.あいさつ、3.事情説. 明、4.先行依頼、5.依頼文の表現、6.依頼後の行動)を設けた。. 次に分析方法に関して述べる。評価者に学習者が書いた依頼メールを順位付けして. もらい、その基準を PAC 分析手法で分析した。今回の PAC 分析手法は下記の手順で. 行った。なお、今回使用したソフトは IBM SPSS3である。. 3 先行研究では SPSSやHALBAUなどが使用されているが,本研究では SPSSを使用した。. 136. 1. 対象者に「先ほどの順位付け作業中にどのようなことを感じたか、どんなことが順. 位の判断に影響したと思うか」という刺激文を提示し、そこから連想される連想語. を挙げてもらう。. 2. 挙げられた連想語を 2 つずつペアにし、調査対象者本人がその連想語間の類似度(意. 味ではなく、イメージとしてお互いどの程度似ていると感じられるか)を評定する。 . 3. その評定値を基にクラスター分析にかけてデンドログラムを作る。. 4. 作成したデンドログラムを対象者に見せ、各クラスターに名づけしてもらい、各ク. ラスターに対するイメージを聞き出す。「それぞれのクラスターからどんなイメージ. が得られるか」、「クラスター同士の関係はどうか」、「全体としてどのようなイメー. ジが得られるか」、「どのクラスターが一番重要だと思うか」等を聞く。. 5.研究結果と考察. 5.1 課題 1 の結果と考察. 5.1.1 依頼メールの作成において難しいと思っている点. 中国人日本語学習者に日本語の学習歴や日本滞在期間などの属性とメールの書き方. を教わったか否かを聞いた。その結果、参加者全員の日本語学習歴や日本滞在年数が. 長いにもかかわらず、メールの書き方について教わった経験の有無について、4 人は. 「無し」、4 人は「覚えていない」とそれぞれ答えた。教わったことが有ると答えた人. は 2 人しかいなかった。この結果から、日本語教育の現場では、メールの書き方に関. しては、あまり重視されていない可能性を考えた。. 学習者に実際に依頼メールを書いてもらった後に、依頼メールの作成について難し. いと思っている内容に関するアンケートを行った。結果は図 1 の通りであった。. 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 学習者割合. 図 1 学習者が考える困難点. 図 1 をみると、学習者が考える困難点で一番比率が高い項目は「依頼文の表現」で、. 137. 70%を占めている。その次は、「あいさつ」と「依頼後の行動」で、双方とも 50%で. ある。「件名」は 40%で、「事情説明」と「先行依頼」は 30%である。. まず、「依頼文の表現」の割合が高いのは、敬語が難しいと思っているためと思われ. る。中国語には日本語ほど厳しい敬語のルールがないため、中国人学習者にとって、. 敬語は日本語学習の困難点の 1 つであると思われる。今回の依頼メールも相手が先生. という目上の存在であり、より一層、依頼文のことば遣いや文法選択には気をつけな. ければならないと判断する可能性がある。実際、学習者が書いた文を見ると「書いて. もらえるなら、すごく助かります。」のような友達目線で頼む人もいれば、「申し訳な. いですが、先生が書いていただきませんか。」のように敬語を用いるものの、依頼する. だけにとどまっている人もいる。このように、学習者が自分の敬語に対して自信がな. いことが、「依頼文の表現」を難しいと思わせる原因の 1 つになる可能性が考えられる。. 次に難しいと学習者が考えている「あいさつ」と「依頼後の行動」について考察す. る。あいさつはどの言語においても人間社会に普遍的に見られる現象である。しかし、. 日本ではあいさつが重要な文化の 1 つだと考えられている。特に、メールや手紙では、. あいさつすることが重視されている。中国では、人々がお互いに気軽に声を掛けやす. い風土があるので、先生に対しても特別な配慮なくあいさつできる。しかし、日本で. は、「親しき中にも礼儀あり」という言葉があるように、繋がりやあいさつの程度を身. 内とよそ者を分ける社会的関係や距離の範疇に保つことが重要である。そのため、中. 国人学習者は、人間関係を考慮した相応しいあいさつを書くことが難しいと感じてい. ると思われる。今回の依頼メールでは、この違いを見るために、先生と一年間連絡を. 取っていないという設定を加えた。実際、学習者が書いた例を見ると、「お久しぶりで. す、お元気ですか」「先生、こんにちは。久しぶりです、お元気ですか」のように気軽. に、簡単にあいさつする人が何人もいた。日本人ならもっと丁寧にあいさつをし、自. 分自身の近況を詳しく説明したり、先生の近況を聞いたりすることが考えられる。日. 中文化の違いからこうした違いが表れたと考える。. また、こうした文化に起因する違いは「依頼後の行動」でも見られた。「依頼後の行. 動」とは、相手に依頼する内容が終わった後に書かれている文のことである。楊(2004). で示されているように、中国人の依頼はポジティブポライトネスを多用するが、日本. 人の依頼はネガティブポライトネスを多用する。依頼後、日本人は相手に迷惑をかけ. ることをお詫びするが、中国人は相手に感謝の気持ちを表す。実際、今回の対象者の. 中でも、1 人は依頼後に「ご健康とご幸福を心から祈っております」だけで終わって. しまっていた。このような文化差があるために、学習者は依頼後の行動をどのように. 行うべきか戸惑っているようだ。. 前述したように「件名」を書くことも困難だと学習者は考えている。メールの件名. は相手が最初に目にする重要な情報である。受け取った人がメールを開かなくても一. 138. 目で用件が理解できるように、具体的なことばで簡潔に書くのが一番望ましい。件名. で書かれている内容が不明だとそもそもメールを開いてもらえないこともある。今回. の例では、先生にお願いする具体的な内容を入れたほうが適切だと考えるが、調査で. 「卒業生の○○です」という件名もあった。この件名では、何について書かれたメール. なのかが分からない。. 「事情説明」と「先行依頼」をそれほど難しいと感じていない理由の中には、次の. ものがあると考えられる。「事情説明」というのは今回のメールであれば、なぜ推薦書. を書いてほしいかという説明である。人にお願いをする時、中国人はお願いすること. 自体を重視しているが、日本人はなぜこういう依頼をするのかを最初から最後まで詳. しく説明する傾向がある。「実は、最近から大学院のための準備をしています。大学先. 生の推薦状が要ります」「今は大学院の入学試験を準備いたしています。大学院入学す. るためにひとつ重要なのは先生の推薦信です」「大学院に入る条件としては、大学の先. 生の推薦書が必要ですので」のように一言で事情説明を終えてしまう人も何人もいる。. 本人はそれだけで十分だと考えているようである。他の項目に対し比率が低かったの. は、そもそも中国人は事情説明をそれほど重要だと思ってないからかもしれない。 . 「先行依頼」は依頼内容を説明する前に予告することで、予告をしない依頼は相手. に強引な印象を与える危険性がある。宮崎(2007)では日本人は依頼する前に必ず予. 告を入れるが、タイ人日本語学習者はそうではないと述べている。中国人学習者が「先. 行依頼」をそれほど難しくないと考えているという背景には、中国人学習者とタイ人. 学習者が「先行依頼」を同じように捉えている可能性があるのではないかと推測した。. 5.1.2 依頼メールの作成において重要だと思っている点. 依頼メールの作成において、どのような点を重要だと思っているかを調査した自由. 記述の結果を図 2 に示す。. 図 2 学習者が考える重点項目. 139. 図 2 をみると、学習者が考える重点項目で、一番比率が高い項目は「依頼文の敬語. 使用」で、70%を占めている。その次は、「あいさつ」と「事情説明」で、それぞれ. 40%となった。また、30%の人が「依頼後の行動」をあげ、「先行依頼」は 20%だけで、. 「件名」と「文体」はそれぞれ 1 名の記述にとどまった。. 学習者が考える困難点と同じく、一番重要だと思っている点も「依頼文の敬語使用」. であった。難しいと思うだけではなく、重要だとも考えていることが見られた。今回. のアンケートの直前に書いたメールが先生という目上の存在への依頼内容だったため、. 言葉遣いや文法選択に気をつけないといけないと意識した可能性も考えられる。学習. 者は、自分の気持ちを伝える場面でも、敬語使用を考えているのかもしれない。. 次に重要だと思われているのは「あいさつ」と「事情説明」で、40%の人があげて. いる。学習者が考える困難点と比較すると、「あいさつ」と「事情説明」においてはそ. れぞれ 50%と 30%であり、大きな差が出ていない。そのため、半分以上の人はこの 2. つの項目に対しあまり関心を持っていない可能性が考えられる。. 「依頼後の行動」については、5 人の学習者が難しいと思っており、重要だと思っ. ているのは 3 人である。難しいが重要ではないと考える人がいることから、学習者は. 人に依頼した後の言語行動にはそれほど関心を寄せていない可能性が考えられる。さ. らに回答者の少なかった「先行依頼」は 2 人しかおらず、「先行依頼」が難しいと思う. 人が 3 人なので、大きな差は見られなかった。一方、「件名」は難しいと思う人が 4. 人いたにも関わらず、重要だと思う人が 1 人にとどまった。なお、困難項目として「文. 体」をあげた 1 人に、なぜ難しいと思っているかをインタビューにしたところ、「メー. ルには『デスマス形』を使うべきか『ル形』を使うべきか迷っていた」という回答が. 得られた。. 5.2 課題2の結果と考察. 5.2.1 順位付けの結果. 3 名の評価者が 10 通の依頼メールに対し行った順位付けの結果を表 2 に示す。. 3 名間の順位相関係数は、AB 間が 0.93、AC 間が 0.93、 BC 間が 0.92 であった。ど. れも強い正の相関で、順位付けの結果の信頼性は高いと言える。 . 表 2 評価者がつけた依頼メールの順位付け情報. ア イ ウ エ オ カ キ ク ケ コ. A 6 8 7 1 10 2 3 4 5 9. B 6 8 9 2 10 1 3 4 5 7. C 6 9 7 2 10 1 5 3 4 8. メール名 評価者. 140. 5.2.2 評価者 A. 次に、PAC 分析の結果を評価者ごとに示す。デンドログラムは筆者がウォード法で. クラスター分析を行い作成した。評価者 A について得られたデンドログラムは図 3 に. 示す。デンドログラムの左側の数字は評価者が項目をあげた順番である。 . 図 3 評価者 A のデンドログラム. . 評価者 A のデンドログラムは、3 つのクラスターに分けられた。まず、第 1 クラス. ターについては、「理由」「締め切り」という表現が頻出する。このクラスターについ. て評価者 A 自身のイメージを尋ねたところ、「どうして先生に推薦書を書いてほしい. かという理由が書かれているほうが丁寧だと思います。書いていないものもいくつか. あると思うけど、そうすると、なんか、ちょっと失礼な感じがしました。その内容が. 納得できると、書きたいなって思うから」、「どうして会いに行くじゃなくて、メール. をしたのか、そういう説明があるものがとても丁寧で、先生のことを考えていてとい. うふうに思いました」、「締め切りがちゃんと書かれていること、やっぱり先生って、. 忙しいから、依頼を受ける時に、いつまでにやったらいいかっていう判断する時があ. るから」と述べていた。つまり、評価者 A は人に依頼をする時、なぜ依頼をするのか、. 141. 何をいつまでやったらいいのかということを重視していた。評価者 A と相談した上で、. 第 1 クラスターは「事情説明」と名づけることにした。. 第 2 クラスターでは、「構成、空行の開け方・段落の付け方、あいさつ、名乗る」の. 箇所において不順分さが問題視されているようである。第 2 クラスター全体について. の印象として評価者 A は、「あんまり量が少ないと、やっぱり依頼メールにはならな. いかな、久しぶりに連絡したっていうにも関わらず、量が少ないとあんまり丁寧じゃ. ない感じがします」、「もともと、メールは三段落ぐらいあって、その開け方とか、段. 落の作り方とか、そういうのができているほうが丁寧だと思う」、「あいさつのほうが. 定型文でいいかな、自分のアイディアを付け加えてしまって、あえてうまく行かなか. った」と述べていた。ここでは、あいさつや構成などの内容が見られた。評価者 A に. 確認した上で、第 2 クラスターは「メールのマナー」と名づけることにした。. 第 3 クラスターについては、「時制、語彙、デスマス形・普通形」が頻繁に出ている。. 評価者 A に尋ねたところ、「デスマス形と普通形が混ざっている、これはメールじゃ. なくて、一般的な作文の問題だけど、失礼とまでは行かないけど、やっぱり気になる」、. 「語彙の問題も気になる、例えば、『だめであれば、やっぱり東京大学です』とか、目. 上の人に対するルールだと思うだけど、語彙の選択が依頼メールに合っていない」、「メ. ールを送っていましたのような4時制のミス、日本人は漢字の変換を間違っているとか. よくするんけど、時制のミスはあんまりしない」と述べていた。このクラスターには、. 内容や書き手の態度ではなく、日本語の言語形式そのものに言及している項目が多い. ため、「文法」と名づけた。. 以上の結果から、評価者 A は基本的に、依頼メールでなぜ推薦書を書くかという「事. 情説明」という観点と、「メールのマナー」と「文法」という観点を持っており、複数. の観点と重みづけが存在していることが窺えた。推薦書を書いてほしい理由が書いて. あるかどうか、そしてその理由が納得できるかどうかという内容的な面、行の開け方. や段落の付け方という細かい形式的な面、及び重み付けが見られた。最後に評価者 A. に確認したところ、今回の評価では基本的に「事情説明」を重視しているという回答. が得られた。そのため、評価者 A は「事情説明」という観点を優先していることが見. られた。. 今回の 3 名の日本人評価者の中では、A のみが日本語教育経験者である。学習者の. 作文を評価し採点することについて豊富な経験を持っていると考えられる。今回の調. 査では、調査者側から評価のための基準などは一切示さなかったにもかかわらず、こ. の評価者は短時間で自分なりの評価基準、評価手順を構築し、それに従って、一貫性. 4 発話に日本語の間違いがあるが、誤用を修正せず、学習者が産出したとおりに載せてい. る。. 142. を保った評価を行おうとしていたことが窺えた。. 5.2.3 評価者 B. 評価者 B のデンドログラムから 4 つのクラスターが得られた。内容は図 4 の通りで. ある。. 図 4 評価者 B のデンドログラム. . 第 1 クラスターには、「お願いする理由」や「お願いの内容」が見られた。評価者 B. 自身も「やっぱりなんでお願いをするのかというところがすごく大事かなと思いまし. た。依頼メールなので、ただお願いだけじゃなくて、頼んだことを先生にどうやって. してほしいのか、そのお願いの内容を細かく書くのも大事」と述べていた。さらに、. 評価者 B の話によると、どういうことをお願いするのかだけでなく、先生にどのよう. に返してほしいのかが書かれているかについて評価したことが分かった。そこで、第. 1 クラスターは、「お願いの内容」と「先生にどうやってほしいのか」という 2 つの内. 容を表現できる言葉として「事情説明」と名づけることにした。. 第 2 クラスターには、第 1 クラスターの項目を細かく説明するような、「お願いのし. かた」や「依頼前の文、依頼後の文」という項目が見られた。評価者 B に尋ねたとこ. ろ、「『突然に申し訳ないです』とか、『直接メールで失礼です』とか、そういう文章が. あるかないか」、『先生は大変忙しくて恐縮ですとか、大変忙しいなかで申し訳ないで. す』とか、という前置き、そういうのがあったほうがいいかなと僕は思いました」、「依. 頼が終わってからはかならず『宜しくお願いします』というのが絶対必要ですね」と. 143. 述べてくれた。第 2 クラスターにおいて評価者 B は、具体的な依頼のしかたを評価し. たと考えられる。そこで、第 2 クラスターは「依頼のしかた」と名づけることにした。. 第 3 クラスターは第 1・第 2 クラスターと異なり、内容的な面ではなく、文法や誤. 字といった形式的な面が中心となった。評価者 B は、「先生にメールを送るので、や. っぱり調べてから送ったほうがいいな」、「1 つ例を挙げると、『ご無沙汰しています』. が、ここが『ご無沙汰しました』、まあ、でも伝わるんですけど、ちょっと気になって. しまいます」と述べていた。文法や誤字というのは、小さなことかもしれないが、や. はり先生に送る文章なので、気をつけたほうが良いと評価者 B は思ったようだ。そこ. で、第 3 クラスターは、「日本語の表現」と名づけることにした。. 第 4 クラスターには、「メールの最初の文章」や「最後の文章」などメールの構造に. 関する項目が見られた。評価者 B は、「メールの始め方やメールの最後の文章のとこ. ろも見ますね、たとえば、最初のところでは、『なになに先生』っていうのが絶対に入. れないといけませんね、最後のところでは、『よろしくお願いします』とか、絶対必要. ですよね」と先生宛のメールを書く上での注意点に触れた。また、「件名も『推薦書』. と『お願い』っていう 2 つのキーワードがあったほうがやりやすいですよね」とも評. 価者 B が述べていた。そこで、第 4 クラスターは「メールの流れ」と名づけることに. した。. 以上の評価者 B の発言から、評価者 B は基本的に依頼の理由や依頼内容という「事. 情説明」の観点、依頼の前後にどのように話を展開するかという「依頼のしかた」とい. う観点、「日本語の表現」と「メールの流れ」という観点を通して順位付けをしたこと. が窺えた。また、評価者 B は評価者 A と同じように、なぜお願いするのかという理由. を大事にしていると考えられる。しかし、「お願いのしかた」や「依頼前の文、依頼後. の文」というところは評価者 B なりの解釈を持っている。そのため、評価者 B は依頼. の前置きや依頼後の言語行動に対して重きを置いている可能性がある。さらに、先生. に送るメールであるため、文法のミスや誤字などもできるだけ推敲して避けたほうが. いいと評価者 B は考えていると思われる。メール全体の流れや構成も決して欠かせな. いものとして順位付けに反映させていた。最後に評価者 B に確認したところ、今回の. 評価においては「事情説明」が一番重要だと考えていた。つまり、この評価者は、ま. ず内容的な面と形式的な面を通して、尚且つ優先順位をもって使い分けていることが. 見られた。加えて、言語形式の細部についても自分なりの明確な規範意識を持ち、そ. の規範意識に合わない部分を持つ文章については厳しく評価していることが窺える。. 5.2.4 評価者 C. 評価者 C のデンドログラムから 3 つのクラスターが得られた。各内容は、下記の図. 5 の通りであった。. 144. 図 5 評価者 C のデンドログラム. . 第 1 クラスターは、図 5 に示されているように、日本語が正確かどうかと、全体的. に日本語のミスがないかどうかという 2 つの項目が組み合わされている。これを考慮. すると、評価者 C の順位付けは、日本語の正確さを重視しているものであると考えら. れる。そのため、第 1 クラスターは「日本語の正確さ」と名づけることにした。. 第 2 クラスターは、「必要事項」や「志望理由」などの項目が見られた。評価者 C. に尋ねたところ、「いつまでになにをやるっていうのがあるかどうか」、「なぜその大学. 院に行きたいのかっていうことが書いてあるか書いてないか」、「締め切りの提示も大. 事、きちんと提示する必要があると思う」ということが順位付けの基準になっている. と述べていた。そこで、第 2 クラスターは「事情説明」と名づけることにした。. 第 3 クラスターは、「先生に対する文章、表現」、「あいさつ」や「メールで申しわけ. ない気持ち」などが見られた。評価者 C は A、B より世代が上のためか、先生はとて. も尊敬すべき存在だと考えており、先生に対する言語行動は十分に気をつけないとい. けないと思っている様子が見てとれた。また、そのお願いをメールで送るということ. 自体に対して、評価者 C は「本来、メールじゃなくて伺うべきことなので、手紙でも. またちょっと違うんですよ、自分の力で書いたものっていうのが結構重みがあるんで. すよ。メールって、ただこう打つだけじゃない?それが、みんなこの気持ちをちゃん. と書き込んでるかどうか」と疑問視する態度を滲ませていた。また、先生と一年間会. っていないので、あいさつをし、先生の近況も聞くべきとも評価者 C は述べていた。. そこで、第 3 クラスターは「先生に対する配慮」と名づけることにした。. 評価者 C の評価プロセスで興味深いのは、最初に出た項目は「日本語が正確かどう. 145. か」という第 1 クラスターの文法面だが、その次は「先生に対しての文章・表現」と. いう第 3 クラスターの日本語表現、さらに第 2 クラスターの「必要事項・志望理由」. という内容面であった。一見すると、日本語の正確さに拘っているようでありながら、. 形式や内容的面も重視しているように思われる。評価者 C は 60 代の男性で、ほかの 2. 名の評価者より年上であり、社会的な経験も豊富だといえる。さらにずっと営業部で. 仕事をしていたので、取引先とビジネスメールを交す機会が多かったと考えられる。. そのため、C は依頼メールの書き方に対して自分なりの基準が形成されており、それ. に従って依頼メールを順位付けしたのと推察した。. デンドログラムの左の数字から分かるように、評価者 C の順位付けの過程は最初日. 本語の正確さに影響されるが、詳しく見ていくと内容に関して様々な面が考慮されて. いることが窺える。評価者 A、B と同じように、「事情説明」の観点を評価しているだ. けでなく、「なぜ本来伺うべきことをメールにしたのか」という A、B からは挙がらな. かった観点も十分に考察した。やはり、C は営業部で働いていた人であるが故に、こ. のような細かい点に十分に配慮すると思われる。最後に、評価者 C に確認したところ、. 今回の評価においては、「事情説明」という観点が一番重要で、その次に「先生に対す. る配慮」という観点も重要だと言っていた。. まとめると、評価者は自分の社会経験をもとに、日本語学習者のメール文を評価し. ていた。まず内容的な面からを見て、そこから細かいところまで目を配る。また、先. 生に対する配慮をどのように言葉で表すかということも重視していた。全体的な形式. から細かい内容面まで評価していたことが窺える。. 5.3 課題 3 の結果と考察. 課題 3 では、依頼メールにおいて、学習者と評価者の重点差異を明らかにすること. を目的として調査を行った。5.1.1 と 5.1.2 で述べたように、学習者が一番難しい、あ. るいは重要だと考える点は「依頼文の表現」、「依頼文の敬語使用」5と考えられる。し. かも、どちらも 70%という高い比率で示されている。次に難しいと思われるのは「あ. いさつ」と「依頼後の行動」で、それぞれ 50%であった。二番目に重要だと思われた. 点は「あいさつ」と「事情説明」で、40%であった。この結果をもとに、学習者は「依. 頼文の表現」、及び「依頼文の敬語使用」に重きを置く可能性があると推測した。. 次に、5.2 で得られた 3 人のデンドログラムから、「事情説明」、「メールのマナー」、. 「依頼のしかた」、「先生に対する配慮」、「日本語の表現」などの観点で評価者は順位. 付けをしているという結果が得られた。その中には、様々な観点と重み付けが存在し. 5 本研究では「依頼文の敬語使用」は広義に「依頼文の表現」に入っていると考えるため、. 以下は「依頼文の表現」と統一する。. 146. ていた。3 人のインタビューからは、全員が「事情説明」という内容的な面を最も重. 視していることが分かった。. このように、学習者は「依頼文の表現」が最も重要だと考えているのに対して、評. 価者は「事情説明」を重要視していると思われる。依頼メールにおける、学習者と評. 価者の重点差異を抽出することができた。学習者は文法面に気を配るのに対し、評価. 者は内容面を気にしていることが窺えた。この差が生じた原因は、日本人と中国人の. 性格や文化などの様々な差異にあると考える。日本人は依頼を相手に負担をかけるも. のと感じるのに対し、中国人はそこまで深くとらえていない。特に、親しい人に対し. ては気軽に依頼するのが一般的である。今回の調査でも、依頼する相手は目上の先生. ではあるが、ある程度知っている人にもなるので、上下関係より親疎関係を重視した. 結果、依頼する言葉遣いに影響を与えたものと考えられる。学習者と評価者の重点差. 異が出た原因について整理すると、以下の 3 点が考えられる。. まず、依頼文の表現について、そもそも中国語では日本語のような敬語体系が存在. していないので、中国人日本語学習者にとって敬語の習得は難しい。加えて、場面に. あわせて適切な敬語表現を選ぶのも困難だと考えられる。 . 次に、あいさつについてである。中国は日本ほどあいさつを日常生活において重要. 視していない。日本には親しき中にも礼儀ありという考えから求められるもので、日. 本語母語話者にとってもハードルが高いことが推測できる。あいさつにそれほど配慮. しないという慣習をもつ中国人にとって、日本語でどのようにあいさつするのか、判. 断が難しいことが考えられる。. 最後に、事情説明について、日本人は丁寧に詳しく説明するのが一般的であるが、. 中国人は簡潔に用件だけを言うのが好ましいと考えている。また、依頼後の行動につ. いても、日本人は相手に迷惑をかけることに対して「お手数をかけて申し訳ございま. せん」や「宜しくお願いします」などのネガティブポライトネスの使用がよく見られ. る。中国人は「ありがとうございます」のように相手との関係を親しくするポジティ. ブポライトネスの使用が一般的である。以上のような母語や文化の違いが重点差異を. 生じさせた可能性が考えられる。. 6.まとめと今後の課題. 本研究では、中国人学習者が依頼メールを書く際に難しいと感じるところ、重視し. ているところ、及び日本人評価者が重視しているところとの違いを明らかにした。実. 際に中国人学習者に依頼メールを書いてもらい、アンケートと自由記述で困難点と重. 要点を聞き出した。そして、3 名の日本人評価者に学習者が書いたメールを順位付け. してもらい、その基準を聴取し PAC 分析の手法で分析した。結果をまとめると以下の. 通りである。. 147. はじめに、アンケートで学習者が考える一番難しいまたは重要な点はどちらも「依. 頼文の表現」という項目であった。しかも、どちらも 70%という高い比率が示された。. 次に、評価者の順位付けの基準は「事情説明」、「メールのマナー」、「依頼のしかた」、. 「先生に対する配慮」、「日本語の表現」などの観点であることが明らかになった。そ. の中には観点の切り分けが存在しているが、重み付けも存在している。そのため、依. 頼メールにおいて一番重要なところは 3 人全員「事情説明」という内容面であること. が分かった。依頼メールにおける中国人と日本人の重点差異をポライトネス理論から. 考察した。日本人は相手に失礼なく依頼するために、詳しく状況を説明するのが普通. だが、中国人は用件を簡潔に述べ、すぐに本題に入るのが好ましいと考えている。し. たがって、学習者が日本語でメールを書いた場合、相手に強引または唐突な印象を与. えることがある。. 本研究では、学習者と評価者の重点差異を明らかにしたが、まだ課題が残されてい. る。今回の調査では、依頼メールについての困難点と重視する点に関して、学習者に. アンケートするだけにとどまり、なぜその選択肢を選んだのかという理由を聞くとこ. ろまでは至っていない。今後、追加インタビューを行いたい。また、今回学習者は中. 国人のみである。本稿では母国文化が影響していたため、ほかの国の学習者ならどの. ような結果が出るのか調査を進めていきたい。. 〈謝辞〉. 本研究は横浜国立大学大学院 2019 年度修士論文の一部です。本研究を行うにあたり、丁寧. かつ熱心なご指導を頂いた横浜国立大学大学院教育学研究科教授、橋本ゆかり先生に心より感. 謝申し上げます。橋本先生には、本研究をするにあたっての心構え、取り組み方をご指導頂き. ました。深く感謝申し上げます。. 〈参考文献〉. 阿部響子(2014)「留学生の日本語による依頼メールの文章産出過程―文章産出過程に影響を. 与える要素の分析―」『接触場面における言語使用と言語態度 接触場面の言語管理研究』,. 11, 41-56.. 宇佐美洋・森篤嗣・吉田さち(2009)「外国人が書いた日本語手紙文」に対する日本人の評価. 態度の多様性一質的手法によるケーススタディ-」『社会言語科学』, 12, 122-134.. 宇佐美洋(2010)「文章の評価観点に基づく評価者グルーピングの試み―学習者が書いた日本. 語手紙を対象として―」『日本語教育』, 147, 112-119.. 北出慶子(2006)「非共時性コンピュータ媒介インターアクションの特徴がもたらす第二言語. 習得への可能性」『山口幸二先生退職記念集』, 15-138.. 148. 関口剛司(2007)「日本語による依頼表現の一考察-日台異文化間コミュニケーションの視点. から-」『龍華科技大學報』, 23, 99-117.. 田中真理·坪根由香里·初鹿野阿れ(1998)「第二言語としての日本語における作文評価基準―. 日本語教師と一般日本人の比較―」『日本語教育』, 96,1-12.. 内藤哲雄( 1997)『 PAC 分析実施法入門「個」を科学する新技法への招待』ナ カ. ニシア. 内藤哲雄(2008)「PAC 分析を効果的に利用するために」『人文科学論集 人間情報学科編』, 42,. 15-37.. 宮崎玲子(2007)「電子メールにおける依頼の展開構造―日本人母語話者とタイ人日本語学習. 者の対照研究―」『日本語・日本文化研究』, 17, 75-184.. 李佳盈(2004)「電子メールにおける依頼行動-依頼行動の展開と依頼ストラテジーの台日対. 照研究-」『言語文化と日本語教育』, 28, 99-101.. 李善子(2002)「中国語と日本語における談話の構造分析―依頼を中心に―」『比較社会文化研. 究』, 12, 101-107.. 楊雪丹(2004)「依頼のストラテジーの中日対照」『日本語教育と異文化理解』, 3, 61-69. ようこくせい(横浜国立大学大学院修士課程 修了生). 149

図 2 をみると、学習者が考える重点項目で、一番比率が高い項目は「依頼文の敬語 使用」で、70%を占めている。その次は、「あいさつ」と「事情説明」で、それぞれ 40%となった。また、30%の人が「依頼後の行動」をあげ、 「先行依頼」は 20%だけで、 「件名」と「文体」はそれぞれ 1 名の記述にとどまった。  学習者が考える困難点と同じく、一番重要だと思っている点も「依頼文の敬語使用」 であった。難しいと思うだけではなく、重要だとも考えていることが見られた。今回 のアンケートの直前に書いたメールが先生という
図 5  評価者 C のデンドログラム  第 1 クラスターは、図 5 に示されているように、日本語が正確かどうかと、全体的 に日本語のミスがないかどうかという 2 つの項目が組み合わされている。これを考慮 すると、評価者 C の順位付けは、日本語の正確さを重視しているものであると考えら れる。そのため、第 1 クラスターは「日本語の正確さ」と名づけることにした。  第 2 クラスターは、「必要事項」や「志望理由」などの項目が見られた。評価者 C に尋ねたところ、 「いつまでになにをやるっていうのがあるかど

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