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負イオンプラズマ中におけるイオン波の伝播特性に 関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

負イオンプラズマ中におけるイオン波の伝播特性に 関する研究

吉村, 信次

九州大学総合理工学研究科高エネルギー物質科学専攻

https://doi.org/10.11501/3135102

出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第5章

負イオンプラズマ中のfast modeと slo"\V modeの同時励起および伝播

5.1

序論

第2章の計算結果で示したようにslowmodeの減衰は非常に強いものである。 第3章お よび第4章で、行ったD.P.装置を用いた実験においてもslowmodeは観測されなかった。 一 方、 近年slow modeの実験室プラズマでの観測が報告されている41,42,46)。 本章では、slow modeの伝播可能性について決着をつけるために励起効率の比較および波のポテンシャルの

数値計算を行う。

過去の波動伝播実験において、 その結果の解釈はωを複素数としkを実数と考えた初期

値問題の最も小さな虚部をもっ解Oeast damped解)によってなされてきた。Wongらに よるQマシーンプラズマ中での有名なイオン波の伝播実験10) においても( 5.1)式を複素 数ωと実数kの初期値問題と考えて、 そのleast damped解による説明がなされている。

ハU 一一 司llEEBB-4 \1llI-/

一+ω

一切

7K /IIlt-、 Z

九一九 内ノ』

一++一

21 2PL AIt

ω

qht

7k 一一 FK

ω

D

(5.1)

上式は電子と正イオンからなるこ成分プラズマの縦方向低周波静電波に対する分散式であ る。しかし、 実際のイオン波伝播実験では周波数ωが実数で、( かつ励起源に局在している)、

また時間的減衰の代わりに空間的ランダウ減衰(kが複素数)が期待される。

この問題点はGould28)によって初めて指摘された。Gouldの計算によると、Wongらが 実験の解釈に用いたleasttemporal dampingを表す解はgreatests patial dampingを表す 解に対応する。このことから、一般にイオン波を分散関係の一つの解を調べることで解釈

(3)

することはできず、高次モ ー ドも含めた議論が必要であると考えられる。実際にイオン波に 対する高次モードの影響の観測報告もある11 )。また、Sesslerら 20)は励起周波数がイオンプ ラズマ周波数を超えるような場合にba llisticmodeである free-streamingが無視できないこ とを計算から示し、実際に観測した。このような高次モードやfree-s t reami ngの影響は一般 の分散関係からは出てこない ものであり、 分散関係だけで波動の伝播を議論することは 不 十分である。 波の伝播の議論 にはポテンシャルゆ(x, t)の振る舞いを直接計算することが重 要である。

第1章で述べたように、 負イオンプラズマ中の波動現象についての研究の初期段階か ら、fastmodeの観測報告36-39)は多いがslowmodeに関してはまったく研究されていなかっ た。 最近になってslowmodeの観測がいくつか報告されている41,42,46 )が、その結果は分散 関係だけでは説明できない。 一般に、 二つ以上のモードの同時励起・伝播には通常多くの 条件が必要となる。 過去、 二つの質量の異なる正イオンを含むプラズマにおける principa l mode27) は何かという問題に関する研究が盛んに行われた32・35)。この場合は軽いイオンの

重いイオンに対する密度比によって、波長の短い(位相速度の遅い、減衰率の大きな) heavy ion principal modeから、波長の長い(位相速度の速い、減衰率の小さな) light ion principal modeへの遷移が生じる。そして、ある密度比の場合にのみ二つのモードの同時励起・伝播

が起こるのである。この研究には運動論的分散式の詳しい解析と各モードの励起効率 63)の 比較が必要である。

また、 第3章で負イオンプラズマ中におけるfree-streamingが初めて観測された。従っ て、 負イオンプラズマ中におけるイオン波の伝播特性の総合的な研究には分散関係だけで なくポテンシャルゆ(x, t)の振る舞いを計算し、 外場に対するプラズマの応答を直接調べる ことが必要である。しかし、これまでそのような研究はなされていなかった。

本研究では、 プラスマ分散関数の数値計算を行うことによって complex-ω、complex-k の場合の分散関係、減衰率、励起効率を計算し、fastmodeおよびslowmodeの同時励起お よび伝播は可能か、また必要な条件は何かを調べる。 また、 Gouldのモデル 28)を負イオン プラズマに適用することで、励起されるイオン波のポテンシャルの空間プロファイルゆ(x) を数値計算する。free-streamingの効果を調べるために、 第3章の実験パラメータでの結果

(4)

を実験と比較する。 最後に計算結果を過去のQマシーンやD.P.装置での実験と比較する。

本研究はイオン波のポテンシャルの空間的振る舞いゆ(x)を計算することによって、 負イオ ンプラズマ中におけるfast modeとslow modeの同時励起および伝播の妥当性を示した初 めての数値計算である。

(5)

5.2

数値計算の方法

5.2.1 負イオンプラズマ中のイオン波の分散関係の計算法

ここで、 運動論を用いて分散関係の計算を行う。多成分.tvIaxwellプラズマの縦方向静電 波に対する誘電関数は次式で与えられる7)。

川=1-

写 五百7

Z'

(市)

(5.2)

ここで、 ωpj[

=

(4πηje2/mj)1/2]町九j[= (2Tj / m j ) 1/2]はそれぞれj種粒子のプラズマ角周 波数、 熱速度で、 Z'はプラズマ分散関数44)の一階微分である。

電子、 正イオン、 負イオンからなる三成分プラズマを考えると、 誘電関数は次式で与え られる。

川=l -

i[ltzベ示� ) l

- H古ベ方�)l

-

�[古

Z,

( ぷ品l

(5

.

3)

ここで、1(= k/kD, n =ω/ωp+, kD = (4rrn+e2/Te)1/2,ωP+ = (4rrn+e2/m+)1/2,μ1 =

m+/me,μ2 = m_/me, T1 = T+/Te, T2 = T_/乙であり、γ=n_/η+は負イオン濃度であ る。 また、 ここでプラズマの準中性条件、η+=叫+ηーを仮定している。

静電波の分散式は次式で与えられる。

D(ω,k) = 0 (5.4)

一般に(5.4) 式は無限個の解を持つが、 減衰率、 励起効率を考慮して物理的に意味のない 解を無視して考えることが必要である。

計算プログラム言語にはfortran90を用いた。 プラズマ分散関数の数値計算には無限区

聞の積分表示による定義式(2.10)を用い、 無限区間の積分は台形公式を用いて実行する。

(2.10)式のような場合には、被積分関数に存在する特異点からの積分への寄与を解析的に処 理できるので、 数値積分誤差は大幅に減少させることができる64)。 また分散式(5.4)の解 の探索は、直前解と当座解を用いて次のステップの解を外挿で推定する微係数不要のニュー

トン法を用いた。

(6)

5.2.2 各モードの励起効率の計算法

( 5.4)式で与えられる分散式は 無限個の解を持つ。 つまり、 複素平面上に無限個の特異 点(pole)が存在すること になる。 しかし 、 各poleの寄与は全て同じというわけではなく、

重要なものとそうでないものが存在する。 図5.1にcomplex-ω平面(ωT三ωP+)における 等高線の一例を示す。 この場合、 最も小さな虚部をもっpoleの寄与が最も大きく、Landau pole、 またはprin cipal poleと呼ばれる。 このpoleの寄与のみを考えて分散式を計算する

ことで 、 通常のイオン音波の分散式が得られる。 励起効率とは任意の初期揺動をプラズマ に与えた場合、 どのモードが支配的に励起されるかを示す指標の ようなものと考えて良い。

外部電場揺動 Eext(ω,k)をプラズマ中 に導入した際に励起される波の電場E(ω,k)は次 式で与えられる。

Eext (ω, k)

E(ωル)α ー (5.5)

従って、 実空間における電場E(z, t)は(5.5)式の E(ω,k)の逆F01凶er、Lapla ce変換に よって得られる。結果として、 波の振幅は(θD/θω)一lに比例すると考えられる。 このこと は、 電場に対するプラズマの応答がpole(誘電関数のローラン展開から )によって決定さ れることを意味する。

従って、 次の よう に時間的励起効率を定義することができる。

り=

( 勺:

,k

2 r

1 (5.6)

同様に、 空間的励起効率を定義することもできる。 波の振幅がη に比例することは 、 電場 の応答がpoleの留数 に比例することから理解できる。(5.6)式から明らかな よう に、 ηは complex-ω平面におけるpoleの形状から計算できる。 また 、 最大 励起効率をもっpoleの 0.02倍以下の 励起効率のpoleはプログラムによって無視した。

5.2.3 波のポテンシャルの計算法

波のポテンシャルの空間的プロファイルを直接計算するために、 ここでGould28)と 同様 のモデルを負イオンプラズマ に適用することを試みる。

まず、負イオンプラズマ中のx=oの位置に設置された 励起グリッドを 、 次 式で与えら

(7)

れる振動ダイポールPext(x,t)(局所的揺動として作用する)で置き換える。

内t(り) =

ーωt[b(x - xo)一b(0)] (5.7)

ここで、Xo→0、PextXO = Const.とする。この電荷に対するプラズマの応答は各成分に対 するVlasov方程式とPoisson方程式から求められる。Fourier、Laplace変換を用いること で、波のポテンシャルの空間プロファイルが次式で与えられる。 この式は、第2章の(2.5) 式と等価である。

ゆ(x,t) = 2ipox02e-iwt J

I

-∞ kD(ω, k) e z (5.8)

e-ωtは時間的振動を表すのみなので無視し、本研究では(5.8)式の積分に関してのみ考え

る。 この積分部分が波のポテンシャルの空間的振る舞いに寄与する部分である。 Gouldの 研究では、積分をJ�∞とJo+∞の二つの範囲に分けて考えたが、本研究ではイオンの流れの 効果を考慮するためそのままの形を用いた。 また無限区間の積分はIxlが大きいところでの 被積分関数の形を考慮し、 ウインドウ関数をかけることで有限区間で近似した。

(8)

0.40

。 0.20

(『)戸」

-0.20

-0.40

-0.60

0.20 0.40 0.60

Re ω

0.80 1.0

図.5.1: complex-ω平面における等高線の一例。 Arのみの場合。 ]( =0.5、 T1 =1/6。

(9)

5.3

実験結果との比較および考察

5.3.1 負イオンプラズマ中のイオン波の分散関係および減衰

5.2.1節で導いた 分散式 ( 5.4)を数値的に 解 くことによって、 負イオンプラズマ中のイ オン波の伝播 モードの分散関係および 減衰を調べる。ここで プラズマ 分散関数の数値計算に はWatanabe65)の開発したコードを用いた。長 波長のモードである イオン波を調べるため、

]{ =0.1として( 5.4)式を complex-ω平面上で、数値的に 解 いた。結果を図5.2に示す。多く の解が存在するが、通常 最も虚部の値が小さなモードを principal mode ( 長時間経過した 後支配的になる モード)と考える。図5.2において、fast modeのprincipal mode、higher order mode27)をPF、HF、slow modeのprincipal mode、higher order modeをPS、HS とした。負イオン濃度の増加によってPFの実部 (位相速度)が 増加し 、 虚部( 減衰率)が 減少するのが明らかにわかる。さらに、slow modeの減衰率は常に fast modeの減衰率 よ り 大きいことが示されている (ここで、減衰率は九

/

nrで与えられることに注意)。

この結果からは、fast modeと slow modeの同時励起・伝播は困難であると 結論される。

二正イオン種プラスマの場合と異なり、全ての負イオン濃度に対して principal fast mode が支配的に 励起され 伝播する。

5.3.2 各モードの励起効率

ここでは、PFおよびPSの励起効率を調べる。5.2.2節で述べた ように、 励起効率は複 素平面上のpoleの形状から計算される。complex-ω平面における典型的 な等高線プロット を図5.3に示す。図5.3から、このパラメータではPFの励起効率が最も大きいことがわか る。図5.4 にPS、HFの励起効率の負イオン濃度依存性を示す。各励起効率はPFの励起効 率で規格化されている。図5.4 から slow modeの励起効率は全 負イオン濃度に渡って常に

fast modeの励起効率の数%程度しか ないことがわかる。従って、 励起効率の点からも負イ オンプラズマ中のprincipal modeは fast modeのみであると考えられる。この結論は slow

modeを観測した過去の実験41,42)を否定する ように見える。

しかし 、この結果をそのまま実験の解釈に 用いることはできない。実際の波動の実験で は、 励起周波数ωが 実数で 、 波数kが複素 数であ り、時間的ランダウ減衰ではなく空間的ラ

(10)

ンダウ減衰を考える必要がある。

そこで、complex-k平面で考える。図5.5にcomplex-k平面における等高線の一例を示す。

等高線の形状がcomplex-w平面のものとはかなり違うことがわかる。ω=0.5 と して (5.4) 式をcomplex-k平面上で、数値的に解いた。結果を図5.6に示す。complex-k平面で考えても、

slow modeの減衰率は非常に大きく(ん~ん)伝播不可能と考えられる。 そこで、 減衰率 を減少させる効果のある“イオンの流れ"を導入した。 その結果、 依然と してfast modeよ

り高減衰ではあるが、 波として伝播可能な程度まで減衰率が減少した。

次に、 complex-k平面における poleの形状から計算したPSの励起効率の負イオン濃度 依存性を図5.7に示す。図5.7では負イオンプラズマ中のイオンの流れの効果も計算した。

実際、slow modeが観測されたQマシーンではイオンの流れが存在している10)。 プラズマ 中のイオンの流れによって、 波の位相速度がドップラーシフトされ、 その結果、 強いランダ ウ減衰をうけるようなパラメータにおいても波が観測される。図5.7から、slow modeの空 間励起効率がfast modeの空間励起効率と同程度であることが明らかと なった。 このこと は、 励起点におけるslow modeの波の電場の振幅がfast modeのものと 同程度であること を意味する。 さらに、 プラズマ中のイオンの流れに、slow modeの減衰率を減少させるだ けでなく、 励起効率を増加させる効果があること が明らかとなった。ここで使用したイオン の流れ速度0.2Csは、fast modeとslow modeの同時励起が確認されたマルチポーjレ型の放

電装置42)内で観測された流れと 等しい。

この結果から、fast modeとslow modeの同時励起および伝播の可能性が示される。

5.3.3 波のポテンシャルの空間プロファイル

5.3.2節でfast modeとslow modeの同時励起・伝矯の可能性が空間励起効率の計算から 示された。ここではGouldのモデルを負イオンプラズマに適用することで、 イオン波のポテ ンシャルの空間プロファイルを直接計算する。空間的な振る舞いだけを考えるため、(5.8) 式の積分についてのみ数値的に評価する。 初めに、 負イオン濃度γを変化させた場合の被積 分関数の形状 の変化を調べる。 結果を図5.8に示す。ここでも、 イオンの流れ速度として 0.2Csを用いた。図5.8における被積分関数の各谷から減衰する正弦波的な寄与を考える(被

(11)

積分関数の谷の幅が減衰率に、 谷の深さが娠幅に対応する)。負イオンが存在しない場合、

被積分関数は一つのなだらかな谷のみをもっ。 これはイオン音波に対応している。 また谷 がなだらかなのはTe勾T+を仮定したからである(なだらかな谷は大きな減衰率に対応)。

負イオン濃度γを増加させると、 その谷が二つの谷に分かれるのがわかる。一つはkが小さ なもので、負イオン濃度γの増加とともに谷の幅が狭くなる。従って、 この谷はfastmode の特徴を良く表している。もう一つはkが大きなもので、fastmodeの谷より幅が広い。こ れは減衰率がfastmodeより大きいことに対応しており、負イオンの存在によって現れるこ の第二の谷がslow modeを表している。

まず、 第3章における実験パラメータを用いた波のポテンシャルの計算結果を図5.9に 示す。図5.9においてイオンの流れは存在しない。この場合、 計算結果からもslow modeは 見られず66)、 第3章においてslow modeが観測されなかったことと一致する。しかし、 実 験において確認されたfree-streamingの効果も、 この図からは確認できなかった。

次に、slow modeが観測されたパラメータ41)で実際に積分を数値的に実行する。積分結 果を片対数表示したものを図5.10に示す。この積分結果はイオン波のポテンシャルの空間 的振る舞いゆ(x)に対応したものである。図5.10から、励起点からある程度離れた場所では ポテンシャルが指数関数的に減衰 していることがわかる(ランダウ減衰に対応)。また、負 イオン濃度γの増加によって減衰率が減少することもわかる。この領域でのprincipalmode はfastmode であるといえる。しかし、負イオンが存在 する場合、励起点付近ではポテン シャルは単純な指数関数的減衰を示さない。図5.10に対応した波のプロファイルを図5.11 に示す。図5.11から、負イオンプラズマ中のイオン波の3つの特徴が示唆される。

(1)負イオン濃度γの増加とともに波長が長くなる(fastmodeの位相速度は 負イオン濃度γとともに増加 する)。

(2) fast modeの減衰長が負イオン濃度γの増加とともに長くなる(減衰率が小 さくなる)。

(3)励起点付近でfast modeとslow modeの干渉パターンが見られる67)。

ここで示した(3)は、 これまで実験で観測されていたものであるが理論的説明がなされ

(12)

ていなかったものである。 本研究で、 負イオンプラズマの誘電関数を用いてポテンシャルの 空間的振る舞いゆ(x)を計算することによってslow modeの伝播が初めて説明された。

最後に、 本研究における数値計算結果を過去に行われた実験と比較する。 本研究で明ら かになったfastmodeとslow modeの同時励起および伝播に必要な条件とは“イオンの流 れ"である。 Satoら41)がslow modeを観測したQマシーンでは通常イオンの流れが存在 する。 また、 Nakamuraら42)がfastmodeとslow modeの同時励起を観測したマルチダイ ポールDC放電装置内には0.2Cs程度の流れが存在することが、 装置内の両方向に伝播する fast modeの速度差によって示されている。 本研究において、slow modeの実験的観測がで きなかったが、 その理由としては第3章で用いた負イオンD.P.装置、 第4章で用いたD.P.

装置ともにイオンの流れが存在しないことが考えられる。

(13)

。r/ K

。 2 3 4 ζJ)

ー0.4

\.� r=O.O

ヂ\

HS

ー0.8 .Q;/K

i

-1.2

II III

-1 .6

ト \

図.5.2:イオン波の位相速度と減衰率の負イオン濃度依存性。 電子、Ar+、SF6からなる負 イオンプラズマの場合。 ]( =0.1、 T1 =0.5、 T2二0.3。 実線はf2r = f2io

(14)

0.30

。ε

0.10 0.20 0.30 0.40 0.50

0.20

0.10

-0.10

-0.20

-0.30

Re n

図.5.3: complex-ω平面における等高線の一例。 γ=0.4、 1(=0.1、 T1=1、 T2=0.3o

(15)

η/ηPF

O. Î

ー - 0- 一て〉ーてコー 、0- 一て}--吋〉ー 、0- - 0

HF 、..

O.

もひ

e d) -(\) 。P

Q

e、

0.01 む、

0.001

。 0.2 0.4 0.6 0.8

γ

図.5.4: HFとPSの時間的励起効率の負イオン濃度依存性。縦軸はPFの励起効率で規格化

されている。 !(=0.1、 T1=1、 T2=0.3。

(16)

5.0xlO-2

一Lnυ 勺ムハυ

と〈

に」

5.0xlO-2 0.10 O. J 5 0.20 0.25

Re K

図.5.5: complex-k平面における等高線の一例。 γ=0.3、 D=0.2、 T1=1、 T2=0.3o

(17)

0.6

口 0.4

r- 。

6

,と4 0.3

g

0.2

F

0.1

国0.1

PF w/ flow O.2Cs

PS w/flow O.2Cs PF w/o flow

PS w/o flow

/

/

0.1 0.2 0.3 0.4

Re k

/

。 。

口 。 口

0.5 0.6

図.5.6: k-complexで計算した場合のイオン波の位相速度と減衰率の負イオン濃度依存性。(a

)

イオンの流れがない場合。(b)イオンの流れ速度が0.2Csの場合。ω=0.5、T1=0.5、T2=0.3。

実線はん=ん。

(18)

η/ 11 PF 10

PS w/O flow 0.1

。 0.2 0.4 0.6 0.8

γ

図.5.7:PSの空間的励起効率の負イオン濃度依存性。縦軸はPFの励起効率で規格化されて

いる。 丸はイオンの流れがない場合、 四角はイオンの流れ0.2Csが存在する場合。,0=0.2。

(19)

ハUω判一ロコ〔七〈

-0.20

r=0.85 -0.40

.. 一一一 slow mode -0.60

fast mode

Lよ斗上ιυ」斗LILJ I

l I I I I I I

l斗上LI

斗ムム

以ムIJ,

I I

,I..J",llIï

( Arb. Units) K

図.5.8:被積分関数の虚部の形状の負イオン濃度による変化。 γ=0.0、 0.50、 0.800 n=0.2、

T1=1、 九=0.3。 イオンの流れO.2C"が存在する場合。

(20)

532QU〉司区

日111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 TIIIIIIIII

γ==0.0

γ==0.23

(∞三HHD-AH〈)

m

0.12

図.5.9:波のポテンシャルの空間的振る舞いの負 イオン濃度による変化。γ=0.0、 0.230 [2=0.5

T1=0.5、 T2=0.3。 イオンの流れが存在しない場合。

0.10 8.0x10-2

6.0x10-2 2.0x10-2 4.0x10-2

(21)

図.5.10:波のポテンシャルの空間的振る舞いの負イオン濃度による変化。 縦軸は対数表示。

γ=0.0、 0.50、 0.800 D=0.2、 T1=1、 T2=O.3。 イオンの流れO.2C3が存在する場合。

r=O.85

1l 1 1 1

" 1"

I

LLは以上」ー比LLl.J l_Lll

I I , , I I I I1ιしLム」

一勺

2.0xlOーム 4.0xlO-': 6.0xIO-L 8.0xlO-L -2.0

0 3.0

2.0

1.0

-1.0

2ED.心」〈)一0一日。

EZUこ何∞oJ

(22)

/

r=O.85

1II

1 1 L j J 1 _j j

II

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1

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1 1|

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iしょ

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1

[[1111111

L

LUιω

J

.J11111111

1

1111[[11

r=O.O

図.5.11:波のポテンシヤルの空間的振る舞いの負イオン濃度による変化。γ=0.0、0.50、0.80。

α=0.2、 T1=1、 T2=0.3。イオンの流れ0.2C3が存在する場合。

0.12 (m) 0.10

|1

1" 11 [

1LLムι11111111111111

4.0xlO-2 6.0xlO-2 8.0xlO-2 2.0x 1 0-2

(23)

5.4

結論

第3章の負イオンプラズマ中におけるイオン音波の伝播特性を定量的に調べるために運 動論的分散式および誘電関数を用いたポテンシャルの空間的振る舞いの数値計算を行った。

その結果、 以下のことが明らかとなった。

1. 通常用いられるcomplex-ω平面での数値計算の結果、slow nlodeの減衰率はfastmode に比べて常に大きしまた励起効率もfastmodeの数%しかないという結果が得られ た。 このことから、fastmodeとslow modeの同時励起 -伝播は困難であると考えら れる。

2. 実験との対応をとるためcomplex-k平面で数値計算を行った結果、slow modeの空間 励起効率はfastmodeと同程度であることが明らかになった。 また、 プラズマ中のイ オンの流れを導入することで、slow modeの減衰率は減少し、 励起効率は増加した。

このことから、fastmodeとslow modeの同時励起にはイオンの流れが必要であると 結論される。

3. イオン波のポテンシャルの直接計算を行った結果、イオンの流れがない場合は slow rnodeが見られなかった。 一方、 イオンの流れO.2Csのプラズマ中(Qマシーンに対 応)では、 励起点近くでfastmodeとslow modeの干渉パターンが得られた。

4. 以上の結果より、 負イオンプラズマ中におけるイオン音波のfastmodeとslow lnode の同時励起・伝播は“イオンの流れ"が存在する場合可能であることが示された。従っ て、 第3章においてslowmodeの伝播の実験的観測ができなかった理由は、 イオンの 流れが存在しないことから説明される。 本研究はこれまで説明されていなかった負イ オンプラズマ中におけるslow modeの伝播とそのための条件を初めて明らかにした数 値計算である。 しかしながら、 負イオンプラズマ中におけるfree-streamingに関して は説明ができなかった。

(24)

第6章 総括

本研究では、 負イオンプラズマ中におけるイオン波の伝播特性を負イオン D.P.装置 お

よびD.P.装置を用い総合的に調べ、 負イオンプラズマ中におけるイオン波の励起において free-streamingが無視できないことを示した。 また、 イオン波の外部励起時に同時に励起さ れるパーストを観測することで、 負イオンの存在によってパーストに変化が生じることを 実験的に示した。 さらに、 運動論的分散式と誘電関数を用いたポテンシャルの空間的振る舞 いを数値計算することによって、 これまで説明されていなかった負イオンプラズマ中のイオ ン音波のfastmodeとslow modeの同時励起および伝播がイオンの流れが存在する場合に 可能であることを初めて示した。 以下に本研究で得られた結果を総括する。

第2章では、 実験条件に対応した電子、 Ar+およびSF6の三成分からなる負イオンプラ スマ中のイオン音波の分散関係およびランダウ減衰率を運動論を用いて計算した。 その結 果 、 以下のことが明らかになった。

1. 電子、 Ar+、SF6の三成分からなる負イオンプラズマ中のイオン音波は二つの伝播モー ドに分かれる。 一つは位相速度が負イオン濃度に敏感に依存して増加するfastmode で、 もう一つはほとんど依存しないslow modeである。

2. fast modeの減衰率は負イオン濃度の増加とともに急激に減少して、 γ= 0.6を超え るとほとんどOになる。 一方、slow modeの減衰率は負イオン濃度にほとんど依存 せず、 常にfastmodeより高減衰である。 従って、 濃度変化による主要な伝播モード

(25)

(principal mode)の変化は負イオンプラズマ中では起こらないことが明らかとなった。

3. 以上の結果から、 実験によるfastmodeの観測は容易であるがslow modeの観測は非 常に困難であると考えられる。

第3章では、負イオンD.P.装置を用いて電子、Ar+、SF6の三成分からなる負イオンプ ラズマを生成し、 負イオンプラズマ中のイオン波の分散関係に関する実験的研究を行った。

D.P.法により励起されたイオン波を干渉法によって測定した結果、 負イオン濃度が低い場 合は励起周波数によって支配的なモードがfastmode からfree-streamingへ変化すること を見いだした。 また、 slow modeは観測されなかった。 以下に得られた結果をまとめる。

1. 電子温度",O.leVのプラズマ中にSF6ガスを導入すると、SF6が電子を付着し負イオン となり、 容易に負イオンプラズマが生成される。

2. SF6ガスを導入することにより観測されるイオン波の位相速度が速くなり、 空間的な 伝播距離が長くなることが確認された。 分散関係を理論曲線と比較した結果観測され た波は負イオンプラスマ中のイオン音波のfast modeである。

3. slow modeは観測されなかった。 これはslowmodeの減衰率が非常に大きいためと考 えられる。

4. 励起周波数が(ω/ωP+) > 0.4となる領域では、 実験値はfastmodeの分散関係からず れる。 この領域で観測される波(擬似波 )の位相速度は励起周波数の1/3乗に比例し て増加することから、free-streamingであると考えられる。

5. 以上の結果より、負イオンプラズマ中におけるイオン波励起に対してもfree-streaming が無視できないことがわかった。fastmodeの減衰率が小さくなる高負イオン濃度の 場合にfree-streamingが観測されなかったことから、fastmodeおよびfree-streaming のどちらが支配的となるかには、 減衰率が重要であると考えられるo slow modeの励 起条件に関しては詳しい数値計算が必要である。

(26)

第4章では 、D.P.装置を用いてArガスの放電中にSF6ガスを導入することで生成した 負イオンプラズマ(Te T+)中のイオン波およびパーストの励起に関する実験を行った。

本研究は パーストに対する負イオンの効果を観測した初めての実験である。 得られた結果 を以下に述べる。

1. 励起したイオン波を干渉法によって測定した結果、本実験ではfastmodeからfree­

streamingへの伝播モードの変化は 見いだされず、支配的に伝播するのはfastmode であることが示された。

2. 第3章の場合と同様にslow modeは観測されなかった。

3. 高い負イオン濃度の場合に観測された波の位相速度の理論値からのずれは、通常の分 散関係やfree-s t reami ngでは説明できない。

4. SF6ガスを導入することによって、新たなパーストが現れることが見いだ、された。簡単 な仮定を用いてイオン種を推定したところAr+、SF

;

、SF

?

という結果が得られた。

5. 多重擬似波モデルを用いて観測されたパーストを評価することで負イオンの効果によ るシース幅の広がり を見積もった。 その結果、SF6流量O.120sccmでシース幅はArの みの場合の約1.4倍になるとの結果が得られた。 この結果は定性的には妥当なもので ある。

6. 以上の結果より、TeT+のプラズマ中ではfree-streamingはTe勾T+の場合と異な り、励起周波数が増加しても支配的にならないことがわかった。 高負イオン濃度にお けるイオン波の分散関係の理論からのずれは、プラズマの放電状態によるものと考え られるため、イオン種の同定が必要である。 また、負イオンプラズマ中のバーストは 新たな診断ツールとして利用価値があると考えられる。

第5章では、負イオンプラズマ中におけるイオン音波の伝播特性の総合的研究のために 運動論的分散式および誘電関数を用いたポテンシャルの空間的振る舞いの数値計算を行っ

(27)

1. 通常用いられるcomplex-ω平面で、の数値計算の結果、slow modeの減衰率はfast mode に比べて常に大きしまた励起効率もfast modeの数%しかないという結果が得られ た。 このことから、fast modeとslow modeの同時励起・伝播は困難であると考えら れる。

2. 実験との対応、をとるためcomplex-k平面で数値計算を行った結果、slow modeの空間 励起効率はfast modeと同程度であることが明らかになった。 また、 プラズマ中のイ オンの流れを導入することで、slow modeの減衰率は減少し、 励起効率は増加した。

このことから、fast modeとslow modeの同時励起にはイオンの流れが必要であると 結論される。

3. イオン波のポテンシャルの直接計算を行った結果、 イオンの流れ がない場合はslow lnodeが見られなかった。一方、 イオンの流れO.2Csのプラズマ中(Qマシーンに対 応)では、 励起点近くでfast modeとslow modeの干渉パターンが得られた。

4. 以上の結果より、 負イオンプラズマ中におけるイオン音波のfast modeとslow lllode の同時励起・伝播は“イオンの流れ"が存在する場合可能であることが示された。従っ て、 第3章においてslow modeの伝播の実験的観測ができなかった理由は、 イオンの 流れが存在しないことから説明される。 本研究はこれまで説明されていなかった負イ オンプラズマ中におけるslow modeの伝播とそのための条件を初めて明らかにした数 値計算である。 しかしながら、 負イオンプラズマ中におけるfree-streamingに関して は説明ができなかった。

以上のことより、 負イオンプラズマ中のイオン波の伝播特性を総合的に研究した結呆、

これまで困難とされてきた負イオンプラスマ中におけるfree-streamingの観測に成功する とともに、fast modeとslow modeの同時励起-伝播特性の問題点を実験および数値計算に

より解決した。

(28)

本研究の結果を考察した結果、 次のような課題が明らかになった。

1. 負イオンが存在しない場合、free-s t reami ngの寄与が効いてくるのはω 〉ωP+である が、 実験では(ω/ωP+) > 0.4でfree-streamingが観測された。負イオンプラズマ中で のfree-streamingの寄与を明らかにすることが重要である。

2. パーストのより詳細な測定によるシース構造の決定可能性を調べるため、負イオンプ ラズマに対応したmultiple pseudowaveモデルを構築する必要がある。

3. slow mode とfast modeに対するイオンの流れの定量的な評価を行うことが重要で ある。

4. イオンピームや電子ビームが存在する場合のfast modeとslow modeに関しての数値 計算を行う必要がある。

(29)

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(34)

謝辞

本研究を行うに当たって、 九州大学大学院総合理工学研究科河合良信教授には広範囲に 渡る御指導と御助言を頂きました。

本論文をまとめるに際し、 九州大学大学院総合理工学研究科伊藤智之教授および九州 大学大学院総合理工学研究科村岡克紀教授には問題点を指摘していただき、 有益な御助言 と御指導を頂きました。

実験室で負イオンプラズマを取り扱うに当たって、 宇宙科学研究所中村良治助教授には 直接の御指導を頂きました。 プラズマ分散関数の数値計算を行うに当たって、核融合科学研 究所渡辺二太教授には有益な御助言と御指導を頂きました。

また、 九州大学大学院総合理工学研究科篠原俊二郎助教授および上田洋子助手には有 意義な御助言を頂きました。

実験を行うに当たって、 東京理科大学森田諭氏および小田切隆之氏には多大な御協力を 頂きました。 また、 林信哉氏(現佐賀大学)、 古関一憲氏、谷口和成氏、 福川幸司氏および 九州大学大学院総合理工学研究科高エネルギ一物質科学専攻河合研究室の学生諸氏には多

くの補助、 議論をして頂きました。

ここに謹んで御礼申し上げます。

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