研究 ノー ト
授業支援 システムの導入効果 について
一導入のメ リッ トおよび利用時の留意点 一
太 田 正 孝
1.
は じめに神奈川大学では,新教務システム 「WebStation」 が2006年度 よ り稼動 し,全学的な規模で履修管 理の
I
T化 が図 られてい る。各学部 において も, さま ざまなe‑Larningシステ ム ・授 業支援 シス テムが導入 され,教育の質の向上 を 目指 して教 育活動が行 われている[1]。経営学部で も,2002 年度 よ り先駆 的にe‑Larningシステ ムを導入 し, コンピュー タ実習関連 の授業 を中心に実践 し, その効果 を上げてい る[2]。近年,JAVA,PHPな どのサーバサイ ド技術 の進歩 が著 しく,e‑Larningシステ ム ・授 業支 援 システムもこれ ら最新技術 を取 り入れ ること によ り,低価格化 ・高機能化が進み, さらに使 いやすい もの‑ と進化 し続 けてい る[3]。 また, 本学の学生 を対象 に2007年6月 に行われ たア ン
ケー トに よれ ば,回答 した学生の約90%が 自宅 にイ ンターネ ッ トに接続 できる環境があると答 えている。 この よ うに,イ ンターネ ッ トを介 し た学習環境は,サーバ技術 と学生のインターネ ッ
ト接続環境の両面で整 いつつある。
以上の背景の もとに,2006年度後期か ら2007 年度前期 にかけて,最新のシステムを導入 し試 行 を行 った。本報告 は, この試行 に基づいた授 業支援 システム導入効果についての考察 をま と めた ものである。
コンピュー タを利用 した教育 システムは, 自 己学習 を支援す るe‑Lamingシステ ム と授 業 を 支援す る授業支援 システムに分類 され るが, こ
こでは主に授業支援 システムを対象 とす る。
2.
検討対象 とする授業支援 システム授業支援 システムは,製品ベースの商用 シス テム と教育 目的に限 り無料で利用できるフ リー ソフ トウェアが あ る。 商用 システ ム と しは, Blackboard社 の Blackboard Learning System[4],
日本デー タパ シフィ ック社 のWebClass[5]な ど があ り,フ リー ソフ トウェア としては,関西大 学/パナ ソニ ックラーニ ングシステムズ (秩) のCEAS[6],東京大学情報基盤セ ンター/日本ユ ニシス ソフ トウェア株式会社 のCFIVE[7],神奈 川大学工学部 内 田研 究室のWebLec[8]な どがあ る。フ リー ソフ トウェアは主に大学が中心 となっ て開発が進 め られてお り,ある条件 を満 たせ ば 無料で利用可能である。無料であって も機能的 に商用 システムに劣 るとい うことはない。む し ろ,教育現場の実情 に合 った使 いやすい ものに なってい る。 特 に神奈川大学 のWebLecは, ソ フ トウェア開発 自体 も大学独 自で行 ってお り, 教育の実体験 に基づいたシステム仕様 となって い る。
試行対象 とす る授業支援 システム として,商 用 システ ムか らWebClass, フ リー ソフ トウェ アか らCEASを選 定 した。WebClassの選 定理 由は,主に価格的 な要因が大 きい。CEASにつ いては,他の大学のシステムを試 してみたかっ た ことと, ドキュメン ト (マニ ュアル)の豊富 さか らであ る。 特 にCEASにはイ ンス トール用 のス ク リプ トが付属 してお り,LINUX系OSの 知識 があま りな くて も,簡単にイ ンス トールが 可能 である。表 1に これ ら授業支援 システ ムの 動作環境 を示す。
表
1
試行対象 とする授業支援 システムの動作環境動 作環境
We b Cl a s s CEAS OS De b i a nGNU/ Li n u X Fe d o r aCo r e5
サーバ サイ ド技術
PHP PHP
表
2
授業支援 システムの機能 と導入効果機能 導入効果
授業資料管理 シラバ スに基づ き,授 業全体 を本 の よ うに整理 した形 で提示 が可能 である○ この こ とによ り,個 々の資料 の授 業全 体での位 置 付 けが明確 にな り, よ り分か り易 くなるo
自己学習支援 授業 の様 子 をそのまま ビデオで収録 し, ビデ オ と授 業資料 が同期 した動画配信 が可能 であ り,学生の予習 .復習 に有効である○
簡 単 な作業 で作成 可能 であ るが,配信用 の フォーマ ッ トに変換 が必要な ど,時間がかかるo
テス ト支援 受講生が何人であつて も同 じ手間でテス トが実施 で きる○ 採 点が 自動化 され ,理解度 を確認す るには有効で あるo 記述式 のテ ス トでは,学生にコメン トを返す ことも可能である○
課題 課題 の提 出状況や テス トな どの成績情報 を学生 .教員 間で共有化が図れ ,学生 自身 で提 出状況 な どが確認 で きるので,教員 も お よび成績管理 学生の履修状況 を的確 に把握 で きる○ また,学生 も 自分 の提 出
状況な どを確認 できるので安心できる○
出席管理 出席情報 を学生 .教員 間で共有 で きる○ ただ し,出席登録 は,
we b Cl a s s ,CE AS
ともLI NUX
系 のOS
上 で稼 動 し, サ ー バ サ イ ド技 術 と して ス ク リプ ト言 語P HP( :Hy p e r t e x tP r e p r o c e s s o r )
を使用 し,デー タベ ー ス と してPo s t g r e S QL
を採 用 して い る。PHP
,Po s t g r e S QL
ともオー プ ン ソー ス で あ り, 無償 で利 用 可能 で あ る。 これ らは,商用製 品 と 同等 な機 能 を有 し,多 くのWe b
サーバ で利 用 さ れ てい る。3.
授業支援 システムの機能 と導入効果We b Cl a s s
とCEAS
を約1
年 間試 行 した結 果 に つ い て述 べ る。We b Cl a s s ,CE AS
そ の もの の評 価 とい うよ りも, よ り一般 的 に授 業支援 システ ムの役割 ・効果 的 な利 用 法 とい う観 点 か らの考 察 を行 う。 ここで は,授 業 を支援 す る とい う観 点 か ら,授 業 資料 管理 ・自己学習 支援 ・課題 お よび成績 管理 ・テ ス ト支援 ・出席 管理 の5つ を 取 り上 げ る。 要約 を表2に示す。 以 下,表 2に 示 した順 に詳 細 につ いて述 べ る。図
1
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3.1.授業資料管理
授業資料 を電子 ファイルで用意す ることが前 提 となる。授業支援 システムは,電子 ファイル の配布機 能 を持 ってい る。 この機 能 に よ り,
We b
上に授業資料 を公 開 して,いつで も学生が ダ ウンロー ドできるよ うになる。 しか し,授業 支援 システムの本 当の効果は,配布機能 とい う よ りも, 1つの講義 に関す る資料 を整理 した形 で学生に提示す ることにある。整理 した形で資 料 を配 ると講義全体のス ト‑ リをよ り明確 に学 生に提示できることになる。例 として,図 1にWe b Cl a s s
を用いた授業資料提示例 を示す。この画面の左側 のサブ ウイン ドウが各回の授 業テーマで,授業全体 の 目次の役割 を果た して いる。1回の講義で,複数種類 の授業資料,複 数の話題 がある場合は, このサブ ウイン ドウ中 の数字で示 してい るボタンをク リックす ること によ り,その回が展開 され他の授業資料 にアク セスできるよ うになってい る。図1では,第8 回 目を展開 した様子 を示 している。 この よ うに 授業全体 を本の よ うに整理 して提示す ることに よ り,学生は個 々の資料の全体的な位置付 けが 明確 にな り, よ り分か り易 くなると思われ る。
We b Cl a s s
では,図1
に示す よ うにHTML
形式 に 変換 して授業資料の内容 を表示す る機能 を持 っ ている。 この例では,パ ワーポイ ン トで作成 し たファイルを変換 した例 を示 している。ただ し, この変換 は,小 さくて複雑 な図の変換が得意 で な く, さらなる改善が望まれ る。3.2.自己学習支援
ここで取 り上 げてい る
We b Cl a s s
とCEAS
は, 授業支援 システムであ り,直接 自己学習 を支援 す るための ものではない。本学のメデ ィア教育 支援室では, 自己学習のための コンテ ンツ作成 を支援す る株式会社デ ジタル ・ナ レッジの製 品S e mi n a r No w[ 9 ]
を導入 して, 自己学習用 の コン テ ン ツ を作 成 す る教 員 に貸 し出 して い る。S e mi n a r No w
を用いて作 った コンテ ンツに対 し,We b Cl a s s
またはCEAS
か ら リンクを張 るこ とによ り,学生に対 し教材 を提示す ることができる。
そ こで,
S e mi n a r No w
を使 って実 際 に コンテ ン ツを作 り,その使用感 を評価す ることに した。図
2にS e mi n e r No w
で作成 した 自己学習 用 コ ンテ ンツ例 を示す。 この コンテ ンツは2005年度 後期 に行 った コンピュー タネ ッ トワー ク論の講図
2
自己学習用 コンテ ンツ作成例義90分 を ビデオで収録 し,WindowsMedia形式 に変換 した ものを動画に使 ってい る。図 2の画 面構成は,左上に授業の動画,その下にスライ ドのタイ トルが出ていて,現在 どの部分の説 明 を行 ってい るのかがわか るよ うになっている。
また, スライ ドタイ トル をク リックすれ ば, その部分か ら再生できるので,学生が必要な部 分のみを選択 して復習す ることも可能である。
パ ワーポイ ン トで作 った資料 に基づ く授業な のであれ ば,非常に簡単にコンテ ンツ作成が可 能である。 しか しなが ら,スライ ド切替 えのタ イ ミングは, コンテ ンツ編集時に指定す る必要 がある。従 って, コンテ ンツ作成 には, (1) ビデオか らパ ソコンに取 り込み,(2)Windows
Media形式‑のエ ンコー ドし,(3)ェ ンコー ドした動画 をみなが らスライ ド切替 えタイ ミン グの指定す る,の3つの手順が必要である。非 常に簡単な操作で動画付の 自己学習 コンテ ンツ 作成が可能である。 しか しなが ら,手順が単純 であっても,コンテンツ作成には時間がかかる。
この例では,3時間は どの時間を要 した。エ ン コー ドな ど単純作業について,作成支援があれ ば もっ とSeminerNowのユー ザ が増 え る と思 わ
れ る。
また,授業は 目の前にい る学生 を対象 に して いるので,そのまま授業の様子 を ビデオに した のでは分か りに くい部分 もでて くる。テーマ を 絞 って,授業内容が分か りに くい部分 を中心 と して, 自己学習専用 に ビデオを収録 して コンテ ンツを作成す るのが良いか も しれない。
3. 3.
テス ト (試験)支援学生の理解度の確認 には,小テス トが有効で ある。 しか しなが ら,受講生が50人 を超 えると 採点だけで もかな りの時間がかかって しまい, 手軽な方法 とは言 えない。授業支援 システムで は, このテス ト支援機能 を持 っている。テス ト の形態 も,選択式か ら記述式まで, さま ざまな パ ター ンの問題作成 が可能 になっている。選択 式であれ ば 自動採点 を瞬時に行い,す ぐに学生 の成績が一覧表になって表示 され る。問題 を作っ て しまえば,学生が何人であって も簡単に学生 の理解度 を確認 できる。ただ し,テス ト終了時 に学生に正解 を提示す る場合,学生の間に正解 情報が流れて しま う可能性 があるので注意が必
図
3
WebClassのテス ト出題画面長手7m へ‑シ 戻る ;欠へ 最後のページ テキス ト
書8b ネットワーク工学 tJPアドL,ス1 クライアント.1:10.1.Ll0 データベースサーバ:1
0 , 1 . L l
プリントサーバ :10.l
l . 1
ルータ:10.1.115・l
( I . A h l 側 )
ltL
u . l s d ( L A h
2側 )サブネットマスク
: 2 5 5 ユ 5 . t
.ll.1h(共通 )ヒント:鞭料舌)29ペ ージ囲
▲19
間lLANlの ネットワークア ドレスは ウ
要 で あ る。 図3にWebClassで作成 したテ ス ト の出題例 を示す。 この例では,数字で解答す る 例で,回答 を正解 の数字列 と比較す ることによ り,正解 を判定 してい る。左下の空欄 に回答 を 書 き込み正解か どうか判定す る。 また,記述式 の問題 も可能であるが, この場合は,学生が回 答後,教員が採点 をす るよ うになってい る。
授業支援 システムを用いたテス トは,学生が 正解す るまで何度で も正解す るまで くりかえす ことが可能であるが,一旦,正解 した学生が出 るとその正解情報が学生の間に流通 して しまい, 教育効果が薄れて しま う側面を持 っている。 ラ
ンダムに出題す るな ど,授業支援 システムであ る程度の工夫はな され ているが,完全 には防止 できない。採点の手間がな くな り教員の負担が 少な くなる反面, この よ うな弊害がある。 これ までの経験では,授業支援 システムのテス トで 正解率が高 くて も,学生が理解 した と判断す る ことは,危険である。期末試験のよ うに個々の 学生が独力で回答 させ る何 らかの工夫が必要で ある。
3. 4.
課題および成績管理課題は,レポー トボックスや授業時間に紙ベー スで提 出す るのが通常である。 この場合の問題 は,学生が課題 を提 出 した との 申告 に対 して, 教員がその提 出課題 を受取 っていない ときの対 応である。提 出課題 を本 当に受 け取 っていない ことを証明す る手段 がないのである。他の書類 に紛れ込んでいた りす る場合 もあるので,本 当 に受 け取 っていない ものか どうかを判断す ると きはかな り気を使 う。電子 メールでの提出でも, 通常,毎 日20,30件 の メール を受信 しフォル ダ に分 けて整理 してい るときな ど,受取 ったメー ルが どこかのフォル ダに紛れ込んでい るか どう か,確認 が必要 となる場合 もある。 また,電子 メール送信時の トラブルの可能性 もある。学生 が送信 したっ も りで も送信エ ラーで届いていな い可能性 も考 え られ る。授業支援 システムを利 用 した場合,ハー ドデ ィスクの トラブルがない 限 り,提 出ファイル を紛失す ることはない。 し か も,ユーザID,氏名 での検索が可能で,教員 は課題 の提 出状況 を簡単に把握す ることが可能 である。一方,学生は,授業支援 システムの学
表
3
課題返 却 回数 (コン ピュー タ演 習 での ある課題 の例 )返却回数 +.1回 軍回■ 声回章
図 4 CEASによる出 席 管 理 画 面
( 一部)
生用の画面で,課題 を提 出 した こと ・それ を教 員が受取ったこ とな ど,課題提 出状況が確認 で きる。従 って,授業支援 システムの導入で課題 の提 出管理が非常に楽 になる。
課題提 出に授業支援 システムを使 うも う一つ の大きな利点は,個々の学生に対 して コメン ト を付けて返却す ることが容易であることである。
表3は2006年度後期 に行 った コンピュー タ演習 のある課題 にお ける返却回数である。 この表で 1回は1回の提出で合格 したことを意味 している。
ここに示す よ うにほ とん どの学生は1回の提 出 で合格 となってい るが,12名 は,改善点をコメ ン トして再提 出を促 してい る。紙ベースで,何 度 も学生 とのや りとりを繰 り返す ことは,や っ てできない ことはないが,かな り努力が必要で ある。授業支援 システムを使 えば,容易に実現 できる。紙ベースでのや りとりの大きな違いは, 学生 も好 きな ときにイ ンターネ ッ ト接続環境 さ
えあれば どこか らで も提 出できて,教員側 もい つで も時間があるときに課題 を評価 できること である。ただ し, この場合,今まで以上に手間 がかかることを覚悟 しなけれ ばな らない。授業
支援 システムは必ず しも時間削減 に寄与す るも のではなく,1人の教員 と複数の学生 とのコミュ ニケーシ ョンを円滑にす るためのツールである ことを理解すべ きである。
3.5.出席管理
2007年度 よ りICカー ドリーダを使 った出席管 理の本格運用が始まった。教員は,特別 な作業 な しにWebStationの画面か らか ら学生の出席状 況 を確認 でき非常に便利 である。 しか し, コン ピュー タ実習室には,ICカー ドリーダが設置 さ れてお らずwebStationに よる出席管理 は利用で きない。授業支援 システムにも出席管理機能 を 持 ってい る ものが多いがWebClassには, 出席 管理機能がない。そ こで,テス ト機能 を使 って 出席管理 をす ることに した。選択肢が 1つ しか な く必ず正解す る問題 を作 り, これ に授業開始 前に学生が 自席のパ ソコンか ら回答す ることに よ り,点数で出席管理 を行 うとい う方法 をとっ ている。 この方法の問題 点は,出席管理用のテ ス トと本来のテス トが混在 して しま うことであ
る。現状 では,出席 管理用 のテス トに特別 な名 前 を付 けるこ とで対応 してい る。
CEASには, 高機 能 な 出席 管理機 能 が備 わ っ てい る。 学生 は,指 定 した時 間 内 にCEASに ロ グイ ン して出席管理 のボ タンをク リックす る こ とに よ り,出席情報 が登録 され る。 しか も,出 席情報 を登録 で き るパ ソコンをパ ソコン実習室 に限定で きるので,他 の場所 か らの出席 登録 は 禁止 で きる。
図4にCEASの 出席 管 理 画 面 の一部 を示す。
各行 が各学生 の出席情報 で ある。 この表 の左欄 に学籍番 号 (ログイ ンID)と氏名 が表示 され て い る (個人情報 であ るた め,図には示 していな い)。 図 中の△ は遅刻 また は届 出の あ った欠席 であ る。 この出席情報 は後 での修 正 も可能 で あ る。何 らかの理 由で学 生が 出席 登録 を忘れ た場 合や欠席 の事後届 出が あった場合 は, この画面 か ら修正 が可能 で あ る。 この欠 点 は, この機 能 は 自席 にパ ソコンがあるこ とを前提 に してお り, 一般 の教室 では使 えない こ とで あ る。学生 に も
自分 の出席情報 が表示 され る。教員 に表示 され てい る情報 と同 じものが表示 され るので, 出席 に関す る トラブル を防止 で きる。
4.
デ ー タ 管 理 ・シ ス テ ム 管 理 ・セ キ ュ リ テ ィユーザデー タ ・成績 ・出席情報 な ど授 業 に関 す るデー タは,極 めで重要 で ある。 万が一, シ ステ ム障害 に よ り全 て のデー タが消 えて しま え ば,最悪 単位認 定がで きな くな るな ど問題 は大 きい。また,授業支援 システムは,イ ンターネ ッ ト経 由で どこか らで もア クセ スが可能 であ るの で,外部 か らの不正 ア クセ ス‑ の対応 も必要 で あ る。 ここでは,デー タ管理 ・システ ム管理 ・ セ キュ リテ ィ とい う観 点 か ら,考察 を行 う。
4.1.デー タ管理
デー タ管理 は,教員 ・システ ム管理者 の両方 が行 う必要 があ る。授 業支援 システ ムは,教科
毎 に成績 デー タのダ ウンロー ド機 能 を持 ってお り,教員 が定期 的 に担 当の成績 デー タを教科 ご とに一括 してダ ウン ロー ドす る こ とが可能 で あ る。 多少 ,多少 わず らわ しい作業 であ るが,最 低 限 この作業 を行 っていれ ば,た とえサーバ が 復 旧不可能 とい う事態 にな って も,最悪 の事態
は回避 で きる。
ここで試行 した授 業支援 システ ムは,表1に 示 す よ うにデ ー タベ ー ス と してPoastgreSQLを 用 いてい る。 これ はオー プ ン ソー スで無償 で あ るに もかかわ らず 商用 のデー タベー ス と同等 の 機 能 を有 してい る。 デー タベ ー スの基本機 能 と してバ ックア ップ と リス トア機 能 が ある。 バ ッ クア ップはデータベース全体のバ ックア ップデー タを作成す る機 能 で, リス トア はバ ックア ップ デー タを使 ってデー タベ ース を元 の状態 に復 元 す る機 能 で ある。 これ らの機 能 を使 って, シス テ ム全体 のデー タ管理 が可能 で ある。今 回は, バ ックア ップ を 1日毎 (AM2:00)に とる よ う 設定 し,バ ックア ップデー タは,学内の他のサー バ に転送 して保 存す るよ うに した。 バ ックア ッ プデー タは,1週 間単位 で上書 き保存 してお り, 過 去 1週 間前 まで さかの ぼ って復 元 で き る よ う
に してい る。 この よ うにす る こ とで,授 業支援 システ ムのサーバ が復 旧で きない事態 に陥 って も,別 のサーバ で システ ムの復 元が可能 な よ う に してい る。 これ らのバ ックア ップ作業 は, 自 動化 され てい るので,管理者 の負担 はない。
ハー ドデ ィス クの 2重化 もデー タの信頼性 向 上 の 有 効 な 手 段 で あ る 。 2重 化 に は RAID
(RedundantArraysofInexpensive Disks)の ミ ラー リン グ (RAIDl) が有 効 で あ る。 RAIDと は,複数 のハー ドデ ィス クを 1つ のハー ドデ ィ ス クに見せ か けるこ とで, ミラー リングは,同 じデー タを複数 のハー ドデ ィス クに書 き込む こ とであ る。 この技術 を使 えば,万が一, 1つの ハー ドデ ィス クに障害 が起 こって も, も う一方 のハー ドデ ィス クで続行 して読み書 きが可能 で あ るた め, デ ー タの信 頼性 が 向上す る。 RAID には,ハー ドウェアで実現す る方法 とソフ トウェ ア で 実現 す る方 法 が あ るが ,WebClassの販 売
元 の 日本デー タパ シフィ ック社 は,ハー ドウェ ア方 式 を推 奨 して い る。
We b Cl a s s
が稼 動 して い るサ ー バ に も このハ ー ドウェア方 式 に よ り RAID機 能 を装備 してい る。 このRAIDを入 れ て もサーバ価格 は20万 円以下 と比較的安価 である。幸いな こ とに今 までハー ドデ ィス ク障害 は発 生 していない。
4.2.システム管理
授 業支援 システ ムはイ ンターネ ッ ト経 由でア クセスが可能 なた め,不正 ア クセ スか らサーバ を保護 す る必要が あ る。 この保護 には最低 限, ポー ト番 号 に よるア クセ ス制 限 を有効 に してお く必要 が あ る。 この場合
,we b
ア クセ スのみ で あ るか らポー ト番 号4 4 3 ( h t t p s )
のみ ア クセ ス許 可 にす るこ とに よ り,他 の不正 ア クセ スを防止 で きる。 サーバ の前 に ファイア ウォール を設置 す るこ とに よ り,不正 ア クセ スか らの保護 は よ り強力 な ものにな る。家庭用 のブ ロー ドバ ン ド ルー タに装備 され てい るフィル タ リング機 能 を 使 えば実現 で き る。CEAS
が稼 動 して い るサー バ をブ ロー ドバ ン ドルー タ経 由でイ ンターネ ットと接続 し,
We b
ア クセ スのみ を許 可す るよ う に してい る。S S H
な どの遠 隔 ア クセ ス も禁止 し てい る。保守 のためにアクセ スが必要 な場合 は, 直接 サーバ に ロー カル に ログイ ン してい る。We b Cl a s s
のサ ーバ につ い て は, よ り安 全性 の高 い非対称鍵 を使 った認 証 に よるS S H
ア クセ スの み を許 可 してい る。p HP
の よ うにクライアン ト側か ら情報 を受取っ て,サーバサイ ドのプ ログラムが動 く場合 ,下 手なっ く りをす る とセ キ ュ リテ ィホール がで き て しま う可能性 が あ る。 この レベル の対策 は, システ ム管理者 では限界が あ り,開発元 との連 携 が必要不可欠 で あ る。 常 に開発者 か らの情報 を監視す る必要がある。商用製品であるWe b Cl a s s
では保守契約 でセ キ ュ リテ ィホール が見つ か っ た場合直ちに対策 を施す よ うにできるが,フ リー ソフ トの場合 ,た えず , ソフ トウェア開発 元 の 情報 を監視す る必要が ある。電源 管理 も重要 であ る。 定期点検 のた めの停 電 の よ うにあ らか じめ時間が分 か ってい る場合 は よいが,落雷 な どに よる不定期 な停電 の対応 も考 えておか なけれ ばな らない。停 電 の タイ ミ ングに よっては,サーバ のハー ドウェア故障の 要因 になって しま う。 これ に対す る対策 は,無 停電電源 を設置す ることが有効である。ただ し, 対応 で きる停電 時間は30分前後 であ る。 この時 間 を越 える停電 に対応す るには,非常用発 電機 が必要であ り,設備 も大掛 か りになって しま う。
無停電電源装置 だ けだ と,安 い ものでは1万 円 以 下 で あ る。 この1年 間 に2,3回落 雷 に よる停 電が起 こった。数分で復 旧すれ ば問題 はないが,
この うち1回は30分 を超 え る停 電 とな り,サー バ電源 断 とな って しまった。電源 断か らの復 旧 は人手 に よるので,学 内にいない場合何 らかの 方法で電源 投入 の依頼 を しな けれ ばな らない。
この電源 断 は夏休 み期 間 中だ ったので,大 きな 問題 にはな らなか った。
4.3.セキュリティ
ここでのセ キ ュ リテ ィ とは,正規 のユーザか らのア クセ スのみ を許 可 し,正規ユーザの情報 を外部 か ら保護す るこ とを言 う。正規ユーザか らのア クセ ス許 可 は,IDとパ ス ワー ドに よ り行 う。 ここで問題 にな るのは,授 業支援 システ ム
‑ のア クセ スのた めに新 た にIDとパ ス ワー ドを 発行す ると,学生 自身でいろいろなIDとパスワー ドを管理 しなけれ ばな らない とい うことである。
また,新 た にパ ス ワー ドを発行す る と第3者 に 容易 に類推 で きないパ ス ワー ドを生成す る必要 があ り,再発行 な どパ ス ワー ドを管理す る仕組 みが必要 になって くる。 大学 が提供す るシステ ム‑ の ログイ ンは, 同 じIDとパ ス ワー ドを使 う こ とが望 ま しい。 多 くの場 合 , 個 人認 証 に は
LDAP
(Li g h t we i g h tDi r e c t o r yAc c e s sP r o t o c o l )
サーバが使 われ る。We b Cl a s s , CEAS
ともにLDAP
との連携 が可能 で ある。 ただ し,CE AS
の場合, 20行程度 のプ ログラム変 更が必要 であった。学 内 に設 置 して あ るLDAP
サ ーバ と連携 す るこ とに よ り,学生 ・教員 はWebStationに ログイ ンす る とき と同 じID,パ ス ワー ドを使 って授 業 支援 システ ムに ログイ ンす る ことが可能 とな る。
ユーザ情報 の外部 か らの保護 で あ るが,イ ン ターネ ッ ト経 由で授 業支援 システ ムにア クセ ス す るた めに,そのままだ と第3者 にその内容 が 傍受できて します。このためにHTTPS(Hypertext TransferProtocolSecurity)を採用 し,イ ンター ネ ッ ト上 でのデー タの送受信 に暗号化 を行 って い る。 HTTPSを使 うた め に は, サ ー バ の証 明 書 が必要 で あ る。 本 来 , この証 明書 は,第3の 機 関で認 定 され た もの (有償) を使用す るべ き で あるが, ここでは授 業支援 システ ムのサーバ で作 った独 自の証 明書 (未認 定) を用 いた。 暗 号化 上の機能 的 な問題 はないが,授 業支援 シス テ ムにア クセ スをす る毎 に 「正規 の証 明書 では あ りませ ん」 とい う意 味の警告 メ ッセー ジが表 示 され て しま う。
5. むすび
1年 にわた る試行 を通 した授 業支援 システ ム の導入効果 につ いての考察 を行 い,その導入効 果 の要約 を表 2に示 した。 授 業 支援 システ ム の最 も重要 な役割 は,授 業 にかかわ るい ろい ろ な作業 の効率化 にあ るのではな く,学生 ・教員 間の コ ミュニケー シ ョンを円滑 にす る こ とにあ ると言 える。授業支援 システムを介 して,学生 ・ 教員 が同 じ情報 を共有 で きるよ うにな るこ とが 重要であ る。
教員側 か らの一方通行 にな りが ちな授 業運営 を,学生 の履修情報 (課題提 出状況 ,テ ス ト成 績 ,出席状況) を学生 ・教員 が共有す るこ とに よ り,学生の実体 を踏 まえ授 業運営が可能 にな る。 さらには,授 業資料 な ど毎回整理 して保管 してお くこ とに よ り,次学期 の授業‑ の フ ィー ドバ ックが容易 にな る こ とが期待 で きる。授 業 支援 システ ムに蓄 えた コンテ ンツをエ ンハ ンス してゆ くことに よ り, コンテ ンツ も時間 ととも に進化す る ことも期待 で きる。 この点 につ いて は,現在進行 中で今後 の課題 であ る。
今回の試行では,コンピュータ実習 (コンピュー タ基礎 演習,プ ログラ ミング応用 な ど) を伴 う 授 業 を対象 に行 った。 この種 の授 業 は,比較 的 授業支援 システ ム を適用 しやす い。授業支援 シ ステ ムが有効 か ど うかは,適用す る授 業 ス タイ ル に依存す る。授業支援 システ ムを適用す るた めに授 業 ス タイル を変 える必要 は本末転倒 で あ るが,授 業支援 システ ムが有効 な授業 が, コン ピュー タを使 う授 業以外 に も数 多 くあ る と思 わ れ る。例 えば,通 常少人数 で行 うゼ ミで も,揺 業支援 システ ムが有効 で ある と考 え られ る。 学 生が書いた レポー トまたは論 文 な どの添削の過 程 (履歴 )が授業支援 システ ム に よ り,視覚化 で きるよ うにな る。紙や電子 メール では, よほ ど注意 しない と,そのや りとりが他の書類や メー ル に埋 もれ て しま う可能性 が高 い。
今後 は, この経験 を踏 ま え授 業支援 システ ム の利用 を促進 して ゆ く。利 用者 が多 くなれ ば運 用 の支援体制 も整備す る必要 がでて くる。支援 体制 の整備 は今後 の課題 であ る。
参考文献
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[4]BlackboardLearningSystem:
http://ml.blackboard.com/asia/jp/products /as/learningsys/ 2007年9月14参 照 [5]WebClass:
http://ml.blackboard.com/asia/jp/products /as/learningsys/ 2007年9月14参 照 [6]CEAS:http://ceascom.iecs.kansai‑u.ac.jp/
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[7]CFIVE:http://C丘ve.itc.u‑tokyo.ac.jp/ 2007 年9月14参照
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http://www.inf.ie.kanagawa‑U.ac.jp/HP/
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[9]SeminarNow:
http://www.digital‑knowledge.co.jp/0ll tool‑platfわrm/Seminarnow̲top.htm1 2007 年9月14参照