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抗菌性蛋白質リゾチーム結合型抗菌性歯科材料の開 発

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

抗菌性蛋白質リゾチーム結合型抗菌性歯科材料の開 発

辻, 礼

九州大学大学院歯学府口腔機能修復学講座咀嚼機能制御学分野

https://doi.org/10.15017/14248

出版情報:Kyushu University, 2008, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

抗菌性蛋白質リゾチーム結合型 抗菌性歯科材料の開発

2008

辻  礼

九州大学大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座 咀嚼機能制御学分野

( 指導教官:寺田  善博 教授 )

(3)

本研究の一部を下記の論文に発表した。

Rei Tsuji, Yoshinori Shinohara, Hatsumi Nagadome, Yoshihiro Terada.

“ Application of Anti-Microbial Protein Lysozyme for Dental Materials.”

Prosthodontic Research & Practice 2008; 7: 225-27.

また、本研究の一部を下記の論文に投稿中である。

Rei Tsuji, Yoshinori Shinohara, Hatsumi Nagadome, Yoshihiro Terada.

“ Lysozyme, an Antimicrobial Protein Applied for Glass Ionomer Cement.”

Journal of Dentistry, in submitting.

本文の内容の一部は、下記学会および研究発表会において報告した。

The 2nd Joint Meeting of the Japan Prosthodontic Society and the Greater New York

Academy of Prosthodontics, Tokyo, 2007.

“ Applicaton of Anti-Microbial Proteins in Saliva for Dental Materials.”

日本歯科理工学会九州支部夏季セミナー、鹿児島、2007

「口腔内抗菌性蛋白質を利用した抗菌性歯科材料の開発」

(4)

目次

目次               

緒言         

・・・

1

第 1 章 -   陽イオン交換樹脂の蛋白質結合能と樹脂・蛋白質複合体の 抗菌性の解析 - Ⅰ- 1. 序論       

・・・

10

Ⅰ- 2. 目的

・・・

11

Ⅰ- 3. 実験材料と方法

・・・

12

Ⅰ- 4. 評価項目

・・・

13

Ⅰ- 4-1. リゾチーム結合試験

・・・

13

Ⅰ- 4-2. リゾチーム解離試験

・・・

13

Ⅰ- 4-3. リゾチーム再結合試験

・・・

14

Ⅰ- 4-4. 抗菌試験

・・・

14

Ⅰ- 4-5. 統計

・・・

15

Ⅰ- 5. 結果

・・・

16

Ⅰ- 6. 考察

・・・

19

(5)

第 2 章 - 陽イオン交換樹脂のグラスアイオノマーセメントへの応用 -

Ⅱ- 1 . 序論

・・・

26

Ⅱ- 2 . 目的

・・・

27

Ⅱ- 3 . 実験方法と材料

・・・

27

Ⅱ- 4. 評価項目

・・・

27

Ⅱ- 4-1 . リゾチーム結合試験

・・・

27

Ⅱ- 4-2 . 抗菌試験

・・・

28

Ⅱ- 4-3 . 強度試験

・・・

28

Ⅱ- 4-4. 細胞毒性試験

・・・

28

Ⅱ- 4-5. 統計

・・・

29

Ⅱ- 5. 結果

・・・

30

Ⅱ- 6. 考察

・・・

33

第 3 章 - 陽イオン交換樹脂のコンポジットレジンへの応用 - Ⅲ- 1 . 序論

・・・

45

Ⅲ- 2 . 目的

・・・

45

Ⅲ- 3 . 実験方法と材料

・・・

46

Ⅲ- 4. 評価項目

・・・

46

(6)

Ⅲ- 4-1 . リゾチーム結合試験  

・・・

46

Ⅲ- 4-2. 抗菌試験

・・・

47

Ⅲ- 4-3. 強度試験

・・・

47

Ⅲ- 4-4. 細胞毒性試験

・・・

47

Ⅲ- 4-5. 統計

・・・

48

Ⅲ- 5. 結果

・・・

49

Ⅲ- 6. 考察

・・・

52

.

結論

・・・

60

.

謝辞

・・・

61

.

参考文献

・・・

62

(7)

緒言

ヒトの口腔内においては300種以上の細菌が存在している (Christersson LA et al. 1991)。これらの細菌は、栄養素として唾液や歯肉溝滲出液を利用して、歯、

義歯表面、歯肉溝、舌背、そして頬粘膜等に生態系を確立し口腔内の健康を脅 かしている (Listgarten MA and Levine S. 1981)。また時としては、慢性的な細菌 感染による腎炎、皮膚炎までも引き起こすことが知られている(Okuda K and

Ebihara Y. 1998)。さらに、口腔内常在菌の中には肺炎や心内膜炎も引き起こすも のがあることが報告されており、う蝕原因菌や歯周病原因菌にも血液循環障害

や冠状動脈の病気を引き起こす可能性がある (Hiro-O Ito. 2006)。多種多様な口腔 内常在菌が存在する中で、カンジダ属、ストレプトコッカス属、スタフィロコ

ッ カ ス 属 は 歯 や 義 歯 の 表 面 に 集 積 す る と 言 う(Hamada S et al. 1980;

Budtz-Jorgensen, E. 1978)。日常生活に介護を必要としている人たちは体の免疫反 応も衰えることが多いから細菌の影響を特に受けやすい。また口腔内乾燥症、

頭頚部に放射線療法を受けている患者は唾液が減少していることから口腔内の 感染症に罹かるリスクが高い (Vissink A et al. 1996; Lockhart SR et al. 1999)。

そのような中で、近年、口腔内の感染症を防ぐために歯科領域において多く の試みがなされてきた。例えば、化学合成の抗生物質、植物由来の抗菌性抽出 物等が歯科材料に応用されてきた (Yoshikawa K et al. 2007; Matsuura T et al.

(8)

1997; Botelho MG. 2003; Sanders BJ et al. 2002; Ribeiro J and Ericson D. 1991;

Jedrychowski JR et al. 1983)。しかしながらこれらの材料は多くの問題を抱えてい る。第一に抗生物質やこれらの抗菌物質は元来生体由来の物質ではないため、

毒性やアレルギー等の生体への悪影響が起こる可能性がある。そして抗生物質 による薬剤耐性菌の発生、抗菌性の減弱、材料の物性の低下といった問題があ る (Neu HC. 1987; Cheng Y et al. 2008)。それ故に効果が高く、毒性の少ない歯科 用修復材料の開発が求められている。そこで我々は本来唾液中に存在してする リゾチームに着目した。

唾液は人間の歯及び口腔粘膜の健康のためには欠かせない体液成分である。

唾液による基本的な防御機構は細菌性プラークや食物残渣を洗浄することであ る。さらに唾液腺由来や歯肉溝滲出液由来の抗微生物物質が病原細菌の増殖を

抑制している。ヒト全唾液中の主な抗微生物蛋白質としては大きく 2 つに分け られる。1つは、非免疫性グロブリン性蛋白であり、もう1つは免疫グロブリン である。この非免疫性グロブリン性蛋白にはリゾチーム、ラクトフェリン、ペ ルオキシダーゼ、アグルチニン、ヒスチジン、ディフェンシン、シスタチン等 が挙げられる。ラクトフェリンは静菌作用、殺菌作用、殺真菌作用、抗ウイル ス作用、抗炎症作用を持つ多機能蛋白質である。またシスタチンは抗ウイスル 性、抗菌性を有する。ペルオキシダーゼはOSCN-等のチオシアン酸塩の反応的な

(9)

酸化により生じたH2O2によるSCN-の酸化作用を触媒とし (Pruitt KM et al. 1983)、

S.mutans はペルオキシダーゼ・システムによって抑制される (Tenovuo J and

Knuuttila ML. 1977; Mansson-Rahemtulla B et al. 1987)。これらの因子の多くは乳汁、

涙、唾液といった外分泌器官においてほぼ共通して含まれている。

特にリゾチームはこれら全ての分泌物中に検出可能な濃度で認められている

(Boesman-Finkelstein M and Finkelstein RA. 1982)。人間の様々な器官に存在してい る。またリゾチームは胎生 9〜12 週から検出され、その時期の血清中のレベル

は母体のそれより高く ( Glynn AA et al. 1970)、新生児においては全唾液中に存 在し、そのレベルは成人と同じ (Tenovuo J et al. 1986) もしくはそれより高い。

口腔内リゾチームは少なくとも 1) 大唾液腺 2) 少唾液腺 3) 食細胞 4) 歯肉溝 滲出液の 4 つの由来がある。リゾチームは大唾液腺で分泌され、さらに葉間導 管や介在部導管を覆う上皮細胞で合成される (Kraus FW and Mestecky J. 1971;

Korsrud FR and Brandtzaeg P. 1982) 。分泌量についての研究によれば、耳下腺よ りも顎舌下腺のほうが多くのリゾチームが分泌される (Reitamo S et al. 1977)。リ ゾチームは全ての小唾液腺で検出されており、葉間導管や介在部導管と同様に 漿液性腺房細胞に存在する (Moro I et al. 1984)。またリゾチームの唾液中濃度は 幼児や前学童期の子供の全唾液では3〜35 µg/ml (Twetman S et al. 1981)、成人の 全唾液では刺激時に5〜50 µg/ml、無刺激時に10〜200 µg/mlと報告されている

(10)

(Eichner H et al. 1975; Eichner H. 1977)。リゾチームの抗微生物作用は、細菌の細 胞壁のペプチドグリカン層のN-acetylmuramic acidとN-acethylglucosamineとの間 におけるβ(1-4) 結合を加水分解による細胞壁の破壊に由来する (Wanq YB,

1990)。 これにより大部分の口腔内ストレプトコッカス類やカンジダ類 に対し

て抗菌性を示す (Iwamoto Y et al. 1971; Mandel ID. 1989; Kamaya T. 1970; Marquis

G et al. 1982)。リゾチームは分子量が約14500の蛋白質である。1946年Alderton らによって卵白より容易に精製される方法が報告され、1960 年代には一次構造 も決定された (Tsugita A and Inouye M.1968; Jollès J and Jollès P. 1969)。ニワトリリ

ゾチームは129個のアミノ酸残基からなり、そのうち酸性アミノ酸9個 (Asp 7 個、Glu 2個) 、塩基性アミノ酸17個 (Arg 11個、Lys 6個) を含み全体として は塩基性蛋白質である。他の蛋白質に比較して非常に熱安定性が高く、pHの変 化に対しても安定であることから蛋白質化学的、かつ酵素化学的な多くの研究

が推進されてきた。ヒトリゾチームは 130 個のアミノ酸残基から成り、ニワト リリゾチームと比較すると53個のアミノ酸残基が異なるものの、分子構造はよ く似ている (Fig. 1)ことが知られており、現在では、リゾチームのアミノ酸配列 から立体構造 (Fig. 2) 、作用や機能も明らかになっている。

本研究では、口腔内に広く分布している抗菌性蛋白質リゾチームに着目し、

陽イオン交換樹脂を用いることでリゾチームを結合させ、抗菌性と生体親和性

(11)

に優れた歯科用修復材料の開発研究を試みた。以後の章は、その研究で行った 内容を報告する。

(12)

アミノ酸配列 ニワトリ卵白  ヒト  アミノ酸配列 ニワトリ卵白 ヒト 

1 Lys 34 Phe Trp 2 Val 35 Glu 3 Phe 36 Ser 4 Gly Glu 37 Asn Gly 5 Arg 38 Phe Tyr 6 Cys 39 Asn 7 Glu 40 Thr 8 Leu 41 Gln Arg 9 Ala 42 Ala 10 Ala Arg 43 Thr 11 Ala Thr 44 Asn 12 Met Leu 45 Arg Tyr 13 Lys 46 Asn 14 Arg 47 Thr Ala-Gly 15 His Leu 48 Asp 16 Gly 49 Gly Arg 17 Leu Met 50 Ser 18 Asp 51 Thr 19 Asn Gly 52 Asp 20 Tyr 53 Tyr 21 Arg 54 Gly 22 Gly 55 Ile 23 Tyr Ile 56 Leu Phe 24 Ser 57 Gln 25 Leu 58 Ile 26 Gly Ala 59 Asn 27 Asn 60 Ser 28 Trp 61 Arg 29 Val Met 62 Trp Tyr 30 Cys 63 Trp 31 Ala Leu 64 Cys 32 Ala 65 Asn 33 Lys 66 Asp

(13)

アミノ酸配列 ニワトリ卵白  ヒト  アミノ酸配列 ニワトリ卵白 ヒト 

67 Gly 100 Ser - 68 Arg Lys 101 Asp 69 Thr 102 Gly Pro 70 Pro 103 Asp Gln 71 Gly 104 Gly 72 Ser Ala 105 Met Ile 73 Arg Val 106 Asn Arg 74 Asn 107 Ala 75 Leu Ala 108 Trp 76 Cys 109 Val 77 Asn His 110 Ala 78 Ile Leu 111 Trp 79 Pro Ser 112 Arg 80 Cys 113 Asn 81 Ser 114 Arg 82 Ala 115 Cys 83 Leu 116 Lys Gln 84 Leu 117 Gly Asn 85 Ser Gln 118 Thr Arg 86 Ser Asp 119 Asp 87 Asp Asn 120 Val 88 Ile 121 Gln Arg 89 Thr Ala 122 Ala Gln 90 Ala Asp 123 Trp Tyr 91 Ser Ala 124 Ile Val 92 Val 125 Arg Gln 93 Asn Ala 126 Gly 94 Cys 127 Cys 95 Ala 128 Arg Gly 96 Lys 129 Leu Val

(14)

97 Lys Arg 98 Ile Val 99 Val Arg

Figure 1.

リゾチーム1次構造相同性の比較

ニワトリリゾチームは 129 個のアミノ酸残基から成り、ヒトリゾチームと比較 すると53個のアミノ酸残基が異なる。

(15)

(a)

(b)

       

Figure 2.

リゾチームの3次構造

(a) ニワトリ卵白リゾチーム, (b) ヒトリゾチーム

(16)

第 1 章 -   陽イオン交換樹脂の蛋白結合能と樹脂・蛋白質複合体の 抗菌性解析 -

Ⅰ- 1. 序論

イオン交換体 (樹脂) はイオン交換基を持ち、イオン性物質 (有機酸、有機塩 基、アミノ酸 等) 分離を行う方法 (イオン交換クロマトグラフィー) に用いら れる。イオン交換体は、イオン交換基とそのイオン交換基を固定化している支 持体である。支持体としては、有機ポリマー (スチレンとジビニルベンゼンの共 重合体、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシメタクリノール 等) が用いら れる。固定相中の陽イオンあるいは陰イオン交換基は、電解質水溶液中で解離 し、水溶液中にイオンを放出しイオン化状態となる。このイオン化状態にある 固定相に、荷電した成分が接触すると、放出したイオンと同じ符号の電解質イ オンや試料イオンを吸着し保持する。陽イオン交換用として、強酸性交換基の

スルホン酸基 (-SO3-H) または弱酸性交換基のカルボキシル基 (-COO-H) 等 がある。イオン交換体の強弱はpHによってイオン交換基の解離度がどの程度変 化するかに関係しており、イオン交換体は解離度がpHとともに大きく変化する。

本研究で用いた陽イオン交換樹脂 TOYOPEARL CM-650M (Fig. 3) は、弱イオ ン交換体に属し親水性ビニルポリマーを基材としたゲル濾過クロマトグラフィ ー用充填剤 TOYOPEARL HW-65 にカルボキシル基類 (-O-CH2COO-) を導入し

(17)

たものである。この陽イオン交換樹脂は口腔内環境 (pH 7付近) において正に荷 電した性質を持つ抗菌性蛋白質リゾチーム (等電点 11.1〜11.35) を結合すると 考えられる。

Ⅰ- 2. 目的

生体において安全でかつ高い抗菌効果を持つような歯科材料の開発に先立ち 第 1 章においては陽イオン交換樹脂のリゾチーム結合能とその複合体の抗菌性 を評価することである。

(18)

Ⅰ- 3. 実験材料と方法

Ⅰ- 3-1. 抗菌蛋白質

chicken egg-white lysozyme (Sigma Aldrich, Steinheim, Germany) を購入し、リン 酸緩衝生理食塩水 (PBS; pH 7.4) に溶解し各実験に供した。

Ⅰ- 3-2. イオン交換樹脂

TOYOPEARL CM-650M (TOSOH, Tokyo, Japan, 以下Tp とする) を使用した。

これは親水性ビニルポリマーを基材としたゲル濾過クロマトグラフィー用充填

剤 TOYOPEARL HW-65 にカルボキシル基類 (-O-CH2COO-) を導入したもので

ある。

Ⅰ- 3-3. 菌株

口腔連鎖球菌である mutans streptococci の1種のStreptococcus mutans GS5株 (以後S. mutans とする) を使用した。

Ⅰ- 3-4. 細菌の培養

凍結保存されたS. mutans GS5 株ストックからBrain heart infusion (BHI; DIFCO,

Detroit, MI) 寒天培地に植菌し、37℃にて24時間培養 [5% CO(v/v)2 ]を行った。

寒天培地上にて形成された単一コロニーを40 mlのBHI液体培地に接種し37℃に て12時間の前培養 [5% CO2(v/v)] を行った。細菌懸濁液をBHI液体培地で希 釈し、濁度を測定し分光光度計 (Smartspec Plus, BIO-RAD, Tokyo, Japan) でOD600

(19)

が1.0 になるように調整した

Ⅰ- 3-5.

 

試料作製

Tp の 20% エタノール保存液を除去した後、Tp 容量の 3-5 倍の PBS にて 3 回洗浄した。その後、凍結乾燥機 (FREEZE DRYER FD-5N, Tokyo, Japan) にて

Tp を凍結乾燥させ粉末状で5 mgと10 mg秤量した。粉末状のTp をリゾチー ム溶液に浸漬した試料を実験群とし、リゾチーム溶液に浸漬していない試料を コントロールとした。

Ⅰ- 4. 評価項目

Ⅰ- 4-1. リゾチーム結合試験

凍結乾燥させたTp (5 mgおよび10 mg) を800 µg/mlリゾチーム溶液1 mlと共に、

恒温槽 (ADVANTEC Cl-610, Tokyo, Japan) にて25℃、24時間インキュベートし た。インキュベート後、分光光度計を用いリゾチーム溶液の吸光度測定(OD280) を行った。リゾチーム溶液の吸光度の減少からTp のリゾチーム結合量を算定し

た。インキュベート前の800 µg/mlリゾチーム溶液をコントロールとした。

Ⅰ- 4-2. リゾチーム解離試験

-4-1の実験にてリゾチームを結合させたTp (5 mgおよび10 mg) に0.5 mol/l

NaCl溶液を1 ml加え、恒温槽 (25℃) にて10分間撹拌した。分光光度計にてNaCl

溶液中のリゾチームの吸光度測定 (OD280) を行った。0.5 mol/l NaCl溶液をコン

(20)

トロールとした。

Ⅰ- 4-3. リゾチーム再結合試験

-4-2の実験後に、-4-1の実験方法に従いリゾチームの再結合試験を行った。

Ⅰ- 4-4. 抗菌試験

a) 生菌コロニー計測試験

-4-1にてリゾチームを結合したTp (5 mgおよび10 mg) (以下、リゾチーム-Tp 複合体) をS. mutans菌液1 ml中に浸漬し、37℃、24時間インキュベート [5% CO2

(v/v)] した。ンキュベート後の菌液の希釈系を作製し、BHI寒天培地に播種し た。48時間後に生菌コロニー数をカウント (CFU, colony forming unit)した。元の 菌液をコントロールとした。

b) 阻止円形成試験

BHI液体培地にて12時間前培養したS. mutans菌液を100倍希釈しBHI寒天培地

に均一に播種した。-4-1のリゾチーム-Tp (5 mg) 複合体を中央に置き37 ℃、

48時間インキュベート [5 % CO2(v/v)] し、形成された阻止円を観察した。Tp のみ (5 mg)、歯科用軟性裏層材ポリマー粉末 (5 mg)、ペニシリン系抗生物質 (5 mg) をコントロールとした。

Ⅰ- 4-5. 統計

(21)

全てのデータは ANOVA とシェッフェ多重比較検定法を用い解析し、p<0.05 を有意差とした。

(22)

Ⅰ- 5. 結果

Ⅰ- 5-1. リゾチーム結合試験

Fig. 4-(a) はTp (5 mgおよび10 mg) 試料をリゾチーム溶液に浸漬し、インキュ ベートした後のリゾチーム溶液の吸光度を示す。吸光度測定において、OD280

それぞれcontrol は 1.79 ± 0.011、Tp 5 mgは1.32 ± 0.004、Tp 10 mgは1.11 ± 0.040 を示し、Tp (5 mgおよび10 mg) 試料はcontrolとの間に有意差を認めた (p<0.05)。

またFig. 4-(b) はTp のリゾチームの結合量を示す。リゾチーム結合量において、

Tp 5 mgは174.6 ± 1.5 µg、Tp 10 mgは234.5 ± 15.0 µg を示し、Tp 5 mg試料、Tp 10

mg試料において有意差を認めた (p<0.05)。このことによりTp 量が増加するとリ

ゾチーム溶液の吸光度 (OD280) が減少し、リゾチーム結合量が増加し、Tp 1 mg

あたり約20 µg〜35 µgのリゾチームが結合することがわかった。

Ⅰ- 5-2. リゾチーム解離試験

Fig. 5-(a) は-5-1. のリゾチーム-Tp複合体からのリゾチームの解離量を示す。

解離量においてTp 10 mg は247.0 ± 16.4 µg、Tp 5 mg は154.6 ± 2.7 µg を示し、

Tp 5 mg試料、Tp 10 mg試料において有意差を認めた (p<0.05)。またFig. 5-(b) は

-5-1. のリゾチームの結合量と解離量から算出したリゾチームの解離率を示す。

解離率において、Tp 5 mgは88.5 ± 1.6%、Tp 10 mgは97.0 ± 6.4%を示した。こ のことにより-5-1. において 0.5 mol/l NaCl 溶液を用いることで、リゾチーム

(23)

-Tp複合体から高い割合で解離させることができた。

Ⅰ- 5-3. リゾチーム再結合試験

Fig. 6は-5-1. におけるリゾチーム-Tp複合体のリゾチーム結合量と比較した

リゾチーム-Tp複合体のリゾチームの再結合率を示す。再結合率において、Tp 5

mgは99.8 ± 2.1%、Tp 10 mgは118.4 ± 8.4%を示した。このことにより、リゾチ ーム-Tp 複合体から解離したリゾチームは再び高い割合で再結合することが確 認できた。

Ⅰ- 5-4. 生菌コロニー計測試験

Fig. 7はリゾチーム-Tp複合体のS. mutansに対する抗菌性 (24 時間) を生菌コ

ロニー計測により評価した結果である。S. mutansのCFUは control が5.45×109 ± 6.2×108 CFU/ml、Tp 5 mgが3.65×109 ± 4.6×108 CFU/ml、Tp 10 mgが3.20×109 ± 5.3×108 CFU/mlであった。controlとTp 5 mg試料間に有意差を認めた (p<0.05)。

controlとTp 10 mg試料間にも同様に有意差を認めた (p<0.05)。以上の結果よりリ ゾチーム-Tp複合体がS. mutansに対し抗菌性を示すことが認められた。

Ⅰ- 5-5. 阻止円形成試験

Fig. 8はリゾチーム-Tp複合体のS. mutansに対する抗菌性 (48時間) を阻止円 形成の観察により評価した結果である。Tp のみと軟性裏層材ポリマー粉末は阻 止円形成が観察されなかった。一方、リゾチーム-Tp複合体およびペニシリン系

(24)

抗生物質では阻止円形成が認められた。

(25)

Ⅰ- 6. 考察

リゾチーム結合試験において、Tp に対するリゾチームの結合量はTp の量が 多いほど増加した (Fig. 4)。また同様に、リゾチーム解離試験においては先の結

合試験にて Tp に結合したリゾチーム量を 90%近く解離させることができた

(Fig. 5)。またリゾチーム再結合試験によりTp に結合したリゾチームをTp から

解離させ、新しいリゾチームをTp に再結合させることができた (Fig. 6)。この ことにより、Tp に結合したリゾチームは意図的にイオン濃度の高い塩溶液を用 いることでTp から解離させ、新しいリゾチームをTp に再結合させることがで きることが示唆された。

次に抗菌試験において、Tp 自体にはS. mutamsに対する抗菌性は認められな かったが、一方リゾチーム-Tp複合体はS. mutamsに対して抗菌効果を発揮した

(Fig.7, Fig.8)。このことは、リゾチームが陽イオン交換樹脂と結合したことによ り蛋白質の立体構造が多少変化していてもその機能性までは失われていないこ とを証明している。リゾチームは、陽イオン交換樹脂と静電気的に結合してお り、それにより蛋白質の構造は変化していると考えられる。この静電気的な結 合の仕方と蛋白質の立体構造の変化はリゾチームとハイドロキシアパタイトと の結合様式・蛋白質の立体構造の変化と類似していると考えられる。なぜなら ば、リゾチームとハイドロキシアパタイトとの結合も静電気的な結合によるも

(26)

のであるからである。以前の報告によると、ハイドロキシアパタイトとリゾチ

ームの結合部位はLys-1, Arg-5, Lys-13, Arg-14, Arg-128であり、リゾチームの抗 菌活性部位はその反対側にあることがわかっている (Nagadome H et al. 1993)。本

実験においてもリゾチームは pH 7 において上記の正電荷をもつアミノ酸残基 (Lys-1, Arg-5, Lys-13, Arg-14, Arg-128)を介してTp と結合し、リゾチームの抗菌 活性部位であるGlu-35, Asp-52はpH 7において負に電荷しており、Tp の結合部 位とは反対側に位置していると推測される。したがって、Tp にリゾチームが結 合したことにより、たとえ native な蛋白質の立体構造が変化しても、抗菌活性 部位は温存されリゾチーム-Tp複合体はS. mutansに対して抗菌性を示したので はないかと考えられる。

(27)

-OCH2COO- -CH2-CH-CH2-CH2-

-OCH2COO-

Figure 3.

陽イオン交換樹脂の模式図

陽イオン交換樹脂は親水性ビニルポリマーを基材とし、カルボキシメチル基

(-O-CH2COO-) を導入したものである。

(28)

(a)

(b)

       

Figure 4.

リゾチーム結合試験

(a) リゾチーム溶液の吸光度 (OD280), (b) リゾチーム結合量 試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(29)

(a)

(b)

       

Figure 5.

リゾチーム解離試験

(a) リゾチーム解離量, (b) リゾチーム解離率 試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(30)

Figure 6.

リゾチームの再結合率

Figure 7.

生菌コロニー数計測試験

リゾチーム-Tp複合体のS. mutansに対する抗菌性を評価したものである。試料 間の有意差を*で示す(p<0.05)

(31)

(a) (b)

     

(c) (d)

       

Figure 8.

阻止円形成試験

(a) Tp, (b) 軟性裏層材ポリマー粉末, (c) リゾチーム-Tp複合体, (d) ペニシリン

系抗生物質

(32)

第 2 章 - 陽イオン交換樹脂のグラスアイオノマーセメントへの応用 -

Ⅱ- 1 . 序論

グラスアイオノマーセメント (以下GICsとする) は、約35年近く歯科臨床で 使用されてきた。1971 年に英国の Wilson と Kent によって開発されたこのセメ ントは、シリケートセメントと同様のフッ化物を含むアルミノケイ酸塩ガラス 粉末をポリアクリル酸水溶液と練和し損傷を受けた象牙質に対して接着性、抗 う蝕作用、適合性を兼ね備えている (Wilson A and McLean JW. 1988)。いくつか の研究報告ではGICsは寒天テストにおいて細菌の成長を抑制したと報告されて いる (McComb D and Ericson D. 1987; Palenik CJ et al. 1992)。また別の研究では抗 菌 物 質 ク ロ ロ ヘ キ シ ジ ン 添 加 型 GICs と し て 報 告 さ れ て い る も の も あ る (Türkün LS et al. 2008)。しかしながらこれらは高い抗菌性を発揮する一方で添加 した抗菌物質によるアレルギーや副作用等が懸念される。従って本研究では口 腔内の唾液中に絶えず存在するリゾチームを結合させる陽イオン交換樹脂を使 用することで局所的にリゾチームを集中させ高い抗菌効果と生体安全性に優れ た歯科用セメントを開発することとする。第 2 章においては、陽イオン交換樹 脂をGICsに添加しそのリゾチームの結合試験、抗菌試験、強度試験、細胞毒性 試験を行った。

(33)

Ⅱ- 2 . 目的

第1章を踏まえて、第2章においてTp を歯科用GICsに応用した場合のリゾ チームの結合量、抗菌性、強度、毒性を評価することである。

Ⅱ- 3 . 実験方法と材料

Ⅱ- 3-1. 歯科用セメント

水硬性のグラスアイオノマーセメントである Ketac Cem (ESPE, Seefeld, Germany) を使用した。

Ⅱ- 3-2.   試料作製

凍結乾燥したTp をGICsに添加した。そして試料をテフロンモールド使用に

てISO 7489 に基づき直径3 mm×高さ6 mmの円柱に成型した。GICsにおいて、

Tp を含まないコントロール試料は指定の混和比にて作製した。 

(第1章  実験方法と材料 参照)

Ⅱ- 4. 評価項目

Ⅱ- 4-1. リゾチーム結合試験

GICsに凍結乾燥したTp を1wt%、3wt%で加え硬化させた。硬化した試料を800

µg/mlのリゾチーム溶液1 ml中に入れ、恒温槽 (25℃) にて24時間浸漬しTp に

リゾチームを結合させ、リゾチーム溶液の吸光度測定 (OD280) を行った。リゾ チーム溶液の吸光度の減少からリゾチーム結合量を算定した。Tp を含有せず、

(34)

指定の粉液比で練和した試料をコントロールとした。

Ⅱ- 4-2. 抗菌試験

前記のリゾチームを結合させたGICs (以下、リゾチーム結合GICs) をBHI液体

培地にて12 時間前培養したS. mutans菌液 1 ml中に浸漬し、37℃、24時間・48 時間インキュベート [5% CO2(v/v)] した。インキュベート後に菌液の濁度測

定 (OD600) と生菌コロニー数をカウント (CFU, colony forming unit)した。PBS 1 ml中に浸漬しリゾチームを結合させていないGICsをコントロールとした。

Ⅱ- 4-3. 強度試験

ISO 規格に基づき 1wt%及び 3wt% Tp を含有したセメント試料を硬化させた 後、蒸留水中に24時間浸漬し、引張圧縮試験機 (SV-301, Shimazu, Kyoto, Japan) にてクロスヘッドスピード1 mm/minで圧縮破壊試験と引張り強度試験を行った。

Tp を含有していない試料 (指定の粉液比で練和した試料) をコントロールとし た。

Ⅱ- 4-4. 細胞毒性試験

細胞毒性試験はThe methylterazolium test (以下、MTT test とする) に従って行

った (Yang Y et al. 2002)。 GICsに凍結乾燥したTpを0wt%、1wt%、3wt%で加え 硬化させた。これらを70%エタノールとPBSで洗った。試料を24穴プレートに 2 mlのDulbecco’s Modified Eagle Media (DMEM) を入れ、37℃、3日間インキュ

(35)

ベート [5% CO2(v/v)] した溶出液を調製し、MTT test に用いる培養液とし た。表面のボリューム率を0.541cm2/mlとしISO規格 (0.5~6.0 cm2/ml) (Wataha JC et al. 1999) に従った。Balb/c 3T3 mouse fibroblast cell (1×104個) を96穴プレート にて10% fetal bovine serum (FBS) と100 U/ml penicillinを含む100 µl のDMEMで 37℃、24時間インキュベート [5% CO2(v/v)] してMTT testに用いた。各well から培養液を吸引し、前述の各溶出液を 0%, 40%, 80% 含む培養液 Eluate 0%

(DMEM 100 µlのみ)、Eluate 40% (DMEM 60 µlに溶出液40 µlを加えたもの)、Eluate

80% (DMEM 20 µlに溶出液 80 µlを加えたもの) を調製し 3,7 日間培養による

MTT testを行った。培養後それぞれのwellにCell Counting Kit-8溶液を10 µlずつ 添加しCO2インキュベータ内で 1〜4 時間呈色反応を行った。呈色反応後wellそ れ ぞ れ の 上 清 を 96 穴 プ レ ー ト に 移 し 替 え 、 オ ー ト プ レ ー ト リ ー ダ ー (ImmunoMini, Inter Med, Japan) を用い吸光度測定 (OD450) を行った。

Ⅱ- 4-5. 統計

全てのデータは ANOVA とシェッフェ多重比較検定法を用い解析し、p<0.05 を有意差とした。

(36)

Ⅱ- 5. 結果

Ⅱ- 5-1 . リゾチーム結合試験

Fig.9-(a) はTp 含有GICs 試料をリゾチーム溶液に浸漬し、インキュベートし

た後のリゾチーム溶液の吸光度を示す。吸光度測定において、OD280がそれぞれ

controlは1.72 ± 0.01、1wt%は1.69 ± 0.01、3wt%は1.65 ± 0.02 を示しTp 含有GICs 試料はcontrolとの間に有意差を認めた (p<0.05)。Fig.9-(b) はTp 含有GICs 試料

のリゾチーム結合量を示す。結合量が3wt% は39.6 ± 7.6 µg、1wt%は26.1 ± 2.7 µg、

controlは15.3 ± 3.6 µg を示し、control、1wt%、3wt%それぞれの間において有意 差を認めた (p< 0.05)。このことによりGICsへのTpの含有率が高いほどより多く のリゾチームがGICsに結合することがわかった。

Ⅱ- 5-2. 抗菌試験

Fig.10-(a),(b) はリゾチーム溶液に浸漬したGICs試料と浸漬していないGICs試

料の抗菌活性をOD600で測定した結果を示す。24 時間インキュベート条件の(a)

について、OD600は1wt% in PBSが0.783 ± 0.0160、 1wt% in Lyzが0.717 ± 0.0047、

3wt% in PBSが0.773 ± 0.0103、3wt% in Lyzが0.694 ± 0.0130 を示した。また48 時間インキュベート条件の(b)について、OD600は1wt% in PBSが0.669 ± 0.0066、

1wt% in Lyz が0.651 ± 0.0055、3wt% in PBSが0.670 ± 0.0048、3wt% in Lyz が0.642

± 0.0074を示し、いずれも1wt% in PBSと1wt% in Lyz 間、および3wt% in PBS

(37)

と3wt% in Lyz 間、1wt% in Lyzと3wt% in Lyz 間に有意差を認めた (p< 0.05)。

次にFig.10-(c),(d) はリゾチーム溶液に浸漬したGICs試料と浸漬していない

GICs試料の抗菌活性をCFUにて調べた結果である。24 時間インキュベート条件

の(c)について CFUは 1wt% in PBSが4.15×108 ± 8.5×107 CFU/ml、 1wt% in Lyz が2.94×108 ± 5.4×107 CFU/ml、3wt% in PBS が4.10×108 ± 5.5×107 CFU/ml、3wt% in Lyz が2.11×108 ± 4.1×107 CFU/mlを示した。また48時間インキュベート条件の(d) について CFUは 1wt% in PBSが 1.57×108 ± 1.5×107 CFU/ml、1wt% in Lyz が 1.17×10 8 ± 1.7×107 CFU/ml、3wt% in PBSが1.49×108 ± 1.1×107 CFU/ml、3wt% in Lyz が0.94×108 ± 1.7×107 CFU/mlを示し、いずれも1wt% in PBSと1wt% in Lyz 間、

および3wt% in PBSと3wt% in Lyz 間、1wt% in Lyzと3wt% in Lyz 間に有意差を 認めた (p< 0.05)。以上よりGICsへのTpの含有率が高いほどリゾチームの結合量

が多くS. mutansに対する抗菌性が高まることが確認できた。一方、PBSに浸漬し ただけのGICsはTpの含有率に関係なくS. mutansに対して抗菌性を示さなかった。

Ⅱ- 5-3. 強度試験

Fig.11は強度試験の結果を示す。圧縮破壊強度試験において3wt%の強度はコ

ントロールよりも著しく低かった。しかし3wt%含有GICsはISOスタンダード を満たすものであった。引張り強度試験においても3wt%の強度はコントロール よりも著しく低かった。

(38)

Ⅱ- 5-4. 細胞毒性試験

Fig.12は3日間および7日間における細胞毒性試験の結果を示す。controlと比

較して0wt%、1wt%、3wt%のEluate 40%、Eluate 80%どちらにおいても細胞毒性 を示さなかった。

また細胞組織像についても Eluate 0% と比べてどのセメント試料においても 大きな変化は見られなかった (Fig. 13, Fig. 14)。

(39)

Ⅱ- 6. 考察

近年、歯科材料に抗菌材料を加えることによって口腔内の疾病を防ぐ試みが なされてきた (Abe Y et al. 2004; Imazato S et al. 2001)。

リゾチームの結合試験において、1wt%、3wt%は control と比較してリゾチー ムの結合量は約2倍、3倍であった (Fig. 9)。一方、controlはTp を含有してい ないのに関わらず、約15 µgの結合量を認めた。これはセメント表面分子とリゾ チームが分子間力による一時的な静電相互作用により結合をしたためと考えら

れる。そのためその結合力もイオン結合によるものに比べて 1/10〜1/1000 の強 度しかないと考えられる。

抗菌試験においては、24時間、48時間のS. mutansに対しての抗菌効果を評価 した。濁度法、コロニーカウント法のどちらにおいてもS. mutansに対しての抗 菌効果を認めることができた。そして、リゾチームの結合量が多いほどつまり 抗菌性物質量が多いほど効果的に影響することがわかった。このことは過去の クロルヘキシジンを用いた報告 (Takahashi Y et al. 2006) やその他の抗菌物質

(Ikeda S et al. 2000; Yli-Urpo H et al. 2003) を歯科材料に応用した報告と比較して も同様なことが言える。

強度試験について、圧縮破壊試験と引張り強度試験どちらにおいても、3wt%

はcontrolと比較して強度が低かった (Fig. 11)。しかしながら圧縮破壊試験にお

(40)

いて3wt%の強度はISO 7489の基準をクリアするものでありGICsの基準からす ると問題ないものと考えられ、臨床的に補綴物の支持や歯の修復に十分耐える ことができると考えられる。

細胞毒性試験において、MTT assay法を用いてin vitroでTp 含有GICsの毒性 を評価した。control と比較して 1wt%、3wt%どちらにおいても培養期間、溶出 液の希釈濃度に関わらず高い細胞の生存率を示した (Fig. 12)。このことは、過 去の報告 (Nicholson JW et al. 1991; Hume WR and Mount GJ. 1998) と比較しても 相違なく問題ないと考えられる。しかしながら、この実験においてはあくまで マウスの繊維芽細胞を用いたものであるため、より臨床的な応用のことを考え

ると将来的にはヒトの歯髄細胞を用いて動物によるin vivoの研究をしていく必 要があると考えている。

このように、GICsに陽イオン交換樹脂を応用し唾液に含まれるリゾチームを 陽イオン交換樹脂に結合させ局所的に抗菌性蛋白質リゾチームの濃度を上げる ことは、臨床的に歯のう蝕予防や治療に有益であると考えている。またリゾチ ー ム は 、 別 の 報 告 に よ る と Candida albicans (C. albicans)Actinobacillus actinomycetemcomitans (A. actinomycetemcomitans), Porphyromonas gingivalis (P.

gingivalis)、Prevotella intermedia (P. intermedia) に対しても抗菌効果を示したとあ る (Ito H-O et al. 1997; Kamaya T. 1970; Marquis G et al. 1982)。C. albicans は義歯

(41)

性 口 内 炎 を 引 き 起 こ し (Arendorf TM and Walker DM. 1987) 、 A.

actinomycetemcomitansP. gingivalisP. intermedia は 歯 周 病 を 引 き 起 こ す

(Socransky SS and Haffajee AD. 1983)。それ故に、さらなる研究としてGICs同様 に他の歯科材料に陽イオン交換樹脂を応用することによりこれらの細菌に対し て抗菌効果を持つような材料開発を行っていくべきだと考えている。

(42)

(a)

(b)

   

Figure 9.

Tp含有GICsのリゾチーム結合試験

(a) リゾチームの吸光度 (OD280), (b) Tp含有GICsのリゾチーム結合量 試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(43)

(a) 24hr

(b) 48hr

(44)

(c) 24hr

(d) 48hr

Figure 10.

Tp含有GICsのS. mutansに対する抗菌試験

(a) 24時間後の濁度測定, (b) 48時間後の濁度測定, (c) 24時間後の培養法, (d) 48 時間後の培養法 

試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(45)

(a)

(b)

 

Figure 11.

Tp含有GICsの強度試験 (a) 圧縮強度, (b) 引張り強度

試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(46)

(a)

    (b)

 

Figure 12.

細胞毒性試験

(a) 3日間培養, (b) 7日間培養

(47)

(a) (b)

(c) (d)

(e) (f)

(48)

(g)

Figure 13.

Tp含有GICs溶出液にて培養した線維芽細胞の細胞像 (3日間培養)

(a) Eluate 0%, (b) Eluate 40% (Tp 0wt%), (c) Eluate 40% (Tp 1wt%), (d) Eluate 40%

(Tp 3wt%), (e) Eluate 80% (Tp 0wt%), (f) Eluate 80% (Tp 1wt%), (g) Eluate 80%(Tp 3wt%)

(49)

(a) (b)

(c) (d)

(e) (f)

(50)

(g)

 

Figure 14.

Tp含有GICs溶出液にて培養した線維芽細胞の細胞像 (7日間培養)

(a) Eluate 0%, (b) Eluate 40% (Tp 0wt%), (c) Eluate 40% (Tp 1wt%), (d) Eluate 40%

(Tp 3wt%), (e) Eluate 80% (Tp 0wt%), (f) Eluate 80% (Tp 1wt%), (g) Eluate 80%(Tp 3wt%)

(51)

第 3 章 - 陽イオン交換樹脂のコンポジットレジンへの応用 -

Ⅲ- 1 . 序論

歯科疾患の代表の 1 つにう蝕がある。う蝕により歯質は実質欠損を作り、欠 損歯質を人工材料で置換する治療法が行われてきた。う蝕罹患歯質を外科的に 除去し、窩洞内に材料を充填する。このときに現在、臨床的に使用されている 材料の中にコンポジットレジンがある。このコンポジットレジンの基礎を築い

たのは米国のBowenであり、Bowenは1960年代のはじめにBis-GMAという新 しいレジンモノマーを合成し、シランカップリング処理をしたシリカフィラー をレジンと化学的に結合したコンポジットレジンを開発した。その後、コンポ ジットレジン自身の組成の改良、光重合法の導入、歯質接着材の開発などの大 きな進歩があり、コンポジットレジンは前歯部のみならず、特にわが国では臼 歯部の成形修復材料として、日常臨床で頻用されている。近年、抗菌物質添加

コンポジットレジンとして報告されている中の 1 つに第 4 アンモニウム分子を 添加したものがある (Beyth N et al. 2006) が、高い抗菌性と極めて生体親和性の

優れた歯科材料の開発を行うために、第 3 章ではコンポジットレジンに陽イオ ン交換樹脂を応用し研究を行った。

Ⅲ- 2 . 目的

Tp をコンポジットレジンに応用した場合のリゾチームの結合量、抗菌性、強

(52)

度、毒性を評価することである。

Ⅲ- 3 . 実験方法と材料

Ⅲ- 3-1. 歯科用コンポジットレジン

歯科充填用コンポジットレジンであるSOLARE (GC, Tokyo, Japan)を使用した。

(以下CRとする)。

Ⅲ- 3-2.   試料作製

凍結乾燥したTp をCRに添加し、テフロンモールド使用にてISO 7489  に基

づき直径3 mm×高さ6 mmの円柱に成型し光照射にて十分に硬化させた。Tp を

含有しないレジン試料をコントロール試料とした。 

(第1章、第2章 実験方法と材料 参照)

Ⅲ- 4. 評価項目

Ⅲ- 4-1. リゾチーム結合試験

CRに凍結乾燥したTp を1wt%、3wt%で加え光照射にて硬化させた。硬化した

試料を800 µg/mlのリゾチーム溶液1 ml中に入れ、恒温槽 (25℃) にて24時間浸

漬しTp にリゾチームを結合させ、リゾチーム溶液の吸光度測定 (OD280) を行っ た。リゾチーム溶液の吸光度の減少からリゾチーム結合量を算定した。Tpを含 有しないレジン試料をコントロールとした。

(53)

Ⅲ- 4-2. 抗菌試験

前記のリゾチームを結合させたCR (以下、リゾチーム結合CR) をBHI液体培地

にて12時間前培養したS. mutans菌液1 ml中に浸漬し、37℃、24時間・48時間 インキュベート [5% CO2(v/v)] した。インキュベート後に菌液の濁度測定

(OD600) と生菌コロニー数をカウント (CFU, colony forming unit)した。PBS 1 ml 中に浸漬しリゾチームを結合させていないCRをコントロールとした。

Ⅲ- 4-3. 強度試験

1wt%及び3wt% Tp を含有したCR試料を光照射にて硬化させた後、蒸留水中

に24時間浸漬し、引張圧縮試験機(SV-301, Shimazu, Kyoto, Japan)にてクロス ヘッドスピード1 mm/minで圧縮破壊試験と引張り強度試験を行った。Tp を含 有しないレジン試料をコントロールとした。

Ⅲ- 4-4. 細胞毒性試験

細胞毒性試験はThe methylterazolium test (以下、MTT test とする) に従って行

った (Yang Y et al. 2002)。 CRに凍結乾燥したTpを0wt%、1wt%、3wt%で加え光 照射にて硬化させた。これらを70%エタノールとPBSで洗った。試料を24穴プ レートに2 mlのDulbecco’s Modified Eagle Media (DMEM) を入れ、37℃、3日間

インキュベート [5% CO2(v/v)] した溶出液を調製し、MTT test に用いる培 養液とした。表面のボリューム率を 0.541cm2/mlとしISO規格 (0.5~6.0 cm2/ml)

(54)

(Wataha JC et al. 1999) に従った。Balb/c 3T3 mouse fibroblast cell (1×104個) を96 穴プレートにて10% fetal bovine serum (FBS) と100 U/ml penicillinを含む100 µl のDMEMで37℃、24時間インキュベート [5% CO2(v/v)] してMTT testに用い た。各wellから培養液を吸引し、前述の各溶出液を 0%, 40%, 80% 含む培養液 Eluate 0% (DMEM 100 µlのみ)、Eluate 40% (DMEM 60 µlに溶出液40 µlを加えた もの)、Eluate 80% (DMEM 20 µlに溶出液80 µlを加えたもの) を調製し3,7日間培 養によるMTT testを行った。培養後それぞれのwellにCell Counting Kit-8溶液を

10 µlずつ添加しCO2インキュベータ内で1〜4時間呈色反応を行った。呈色反応

後wellそれぞれの上清を 96 穴プレートに移し替え、オートプレートリーダー (ImmunoMini, Inter Med, Japan) を用い吸光度測定 (OD450) を行った。

Ⅲ- 4-5. 統計

全てのデータは ANOVA とシェッフェ多重比較検定法を用い解析し、p<0.05 を有意差とした。

(55)

Ⅲ- 5. 結果

Ⅲ- 5-1 . リゾチーム結合試験

Fig.15-(a) はTp 含有CR試料をリゾチーム溶液に浸漬し、インキュベートした

後のリゾチーム溶液の吸光度を示す。吸光度測定において、OD280がそれぞれ

controlは1.90 ± 0.01、1wt%は1.83 ± 0.02、3wt%は1.83 ± 0.03 を示しTp 含有CR 試料はcontrolとの間に有意差を認めた (p<0.05)。Fig.15-(b) はTp 含有CR 試料の リゾチーム結合量を示す。結合量が3wt% は42.1 ± 9.8 µg、1wt%は36.9 ± 7.5 µg、

controlは14.6 ± 3.8 µg を示し、Tp 含有CR 試料はcontrolとの間に有意差を認め た (p<0.05)。このことによりCRへのTpの含有率が高いほどより多くのリゾチー ムがCRに結合することがわかった。

Ⅲ- 5-2. 抗菌試験

Fig.16-(a),(b) はリゾチーム溶液に浸漬したCR試料と浸漬していないCR試料

の抗菌活性をOD600で測定した結果を示す。24時間インキュベート条件の(a)につ いて、OD600は1wt% in PBSが0.750 ±0.0054、1wt% in Lyzが0.690 ± 0.0112、3wt%

in PBSが0.752 ± 0.0107、3wt% in Lyzが0.679 ± 0.0036 を示した。また48時間イ ンキュベート条件の(b)について、OD600は1wt% in PBSが0.590 ± 0.0151、 1wt% in Lyz が0.569 ± 0.0038、3wt% in PBSが0.589 ± 0.0141、3wt% in Lyz が0.546 ± 0.0072を示し、いずれも1wt% in PBSと1wt% in Lyz 間、および3wt% in PBSと

(56)

3wt% in Lyz 間、1wt% in Lyzと3wt% in Lyz 間に有意差を認めた (p< 0.05)。

次にFig.16-(c),(d) はリゾチーム溶液に浸漬したCR試料と浸漬していないCR 試料の抗菌活性をCFUにて調べた結果である。24 時間インキュベート条件の(c)

について CFUは 1wt% in PBSが6.65×108 ± 4.0×107 CFU/ml、 1wt% in Lyz が 4.87×108 ± 7.7×107 CFU/ml、3wt% in PBS が6.32×108 ± 9.2×107 CFU/ml、3wt% in Lyz が3.50×108 ± 3.8×107 CFU/mlを示した。また48時間インキュベート条件の(d) について CFUは 1wt% in PBSが 1.46×108 ± 3.4×107 CFU/ml、1wt% in Lyz が 1.07×10 8 ± 1.5×107 CFU/ml、3wt% in PBSが1.52×108 ± 3.0×107 CFU/ml、3wt% in Lyz が0.73×108 ± 2.3×107 CFU/mlを示し、いずれも1wt% in PBSと1wt% in Lyz 間、

および3wt% in PBSと3wt% in Lyz 間、1wt% in Lyzと3wt% in Lyz 間に有意差を 認めた (p< 0.05)。以上よりCRへのTpの含有率が高いほどリゾチームの結合量が

多くS. mutansに対する抗菌性が高まることが確認できた。一方、PBSに浸漬した だけのCRはTpの含有率に関係なくS. mutansに対して抗菌性を示さなかった。

Ⅲ- 5-3. 強度試験

Fig.17は強度試験の結果を示す。強度試験においてTp含有レジン試料は圧縮

強度、引張り強度共にcontrolと比較して有意差を認めた (p<0.05)。

Ⅲ- 5-4. 細胞毒性試験

(57)

Fig.18は7日間における細胞毒性試験の結果を示す。controlと比較して0wt%、

1wt%、3wt%のEluate 40%、Eluate 80%どちらにおいても細胞毒性を示さなかっ

た。

また細胞組織像についても Eluate 0% と比べてどのレジン試料においても大 きな変化は見られなかった (Fig. 19)。

(58)

Ⅲ- 6. 考察

第3章にて用いたCRを第2章のGICと比較すると、リゾチームの結合試験、

抗菌試験、強度試験、細胞毒性試験、全ての結果 (Fig.15〜Fig.19) において大き な相違はなかった。これは、用いた材料が異なっていてもTp とリゾチームの結

合の仕方は変わらず、Tp とのリゾチームの結合部位は正電荷であるLys-1, Arg-5,

Lys-13, Arg-14, Arg-128であると考えられる。またリゾチームの抗菌活性部位で

ある Glu-35, Asp-52 は Tp の結合部位と反対側に存在し S. mutans に対しても GICs同様に抗菌性を示したと考えられる。

このように、CRに陽イオン交換樹脂を応用し唾液に含まれるリゾチームを陽 イオン交換樹脂に結合させ局所的に抗菌性蛋白質リゾチームの濃度を上げるこ とは、GICs同様にCR修復においてう蝕予防や治療に有益であると考えている。

(59)

(a)

(b)

 

Figure 15.

Tp含有CRのリゾチーム結合試験

(a) リゾチームの吸光度 (OD280), (b) Tp含有CRのリゾチーム結合量 試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(60)

(a) 24hr

(b) 48hr

(61)

(c) 24hr

(d) 48hr

Figure 16.

Tp含有CRのS. mutansに対する抗菌試験

(a) 24時間後の濁度測定, (b) 48時間後の濁度測定, (c) 24時間後の培養法, (d) 48 時間後の培養法 

試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(62)

(a)

(b)

 

Figure 17.

Tp含有CRの強度試験 (a) 圧縮強度, (b) 引張り強度 試料間の有意差を*で示す (p<0.05)

(63)

Figure 18.

細胞毒性試験 (7日間培養)

(64)

(a) (b)

(c) (d)

(e) (f)

(65)

(g)

Figure 19.

Tp含有CR溶出液にて培養した線維芽細胞の細胞像 (7日間培養)

(a) Eluate 0%, (b) Eluate 40% (Tp 0wt%), (c) Eluate 40% (Tp 1wt%), (d) Eluate 40%

(Tp 3wt%), (e) Eluate 80% (Tp 0wt%), (f) Eluate 80% (Tp 1wt%), (g) Eluate 80%(Tp 3wt%)

(66)

.

結論

これらの結果より、グラスアイオノマーセメントやコンポジットレジンの陽 イオン交換樹脂の含有率の増加によりリゾチームの結合量は増加し、それと共

S. mutans に対する抗菌性も効果的に影響することが示唆された。細胞毒性に

ついては in vitro の条件下で陽イオン交換樹脂含有グラスアイオノマーセメン

トとコンポジットレジンは従来のものと比較して毒性を示さなかった。また強 度試験において、陽イオン交換樹脂含有グラスアイオノマーセメントおよびコ ンポジットレジンは口腔内において使用できる可能性が示唆された。

故に、グラスアイオノマーセメントとコンポジットレジンに陽イオン交換樹 脂を臨床的に応用することは、口腔内において局所的な抗菌性蛋白質の集中を 促し、う蝕の予防や治療に有用であると考えられる。

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謝辞

本稿を終えるにあたり、御指導と御校閲を賜りました

九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座  寺田  善博  教授 九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座  永留  初實  先生 に深く感謝致します。また実験方法について御助言を賜りました 九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座  篠原  義憲  先生 はじめ教室員の皆様に心より御礼申し上げます。 

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Figure 2. リゾチームの 3 次構造
Figure 7.  生菌コロニー数計測試験
Figure 9.  Tp 含有 GICs のリゾチーム結合試験
Figure 10.  Tp 含有 GICs の S. mutans に対する抗菌試験
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