• 検索結果がありません。

時間~本と私~・・・奈良希愛

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "時間~本と私~・・・奈良希愛"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)289 2015・. 小学生時代の愛読書の一つに ‘漢字成り立ち辞典〟が. 書館は ‘楽しみ〟の場所から ‘研究〟のそれへと姿を変えて. 今ではたくさんの日本人作家の作品が海外で翻訳され. いったのだ。. 売られている。私自身も吉本ばなな作品、村上春樹作品、. あった。学年ごとに習う漢字の成り立ちを説明するもの だ。なぜかそれがとても面白く思え、小学一年生の一学. とした翻訳が付いていて、ブレはないのだけど、それで. 川端康成作品をドイツ語で購入した。さすがにしっかり. もやはり私はできれば本は ‘原語〟で読みたいタイプ。言. 期の合間に小学校で習う漢字の全六学年の辞典を、学校 その後 ‘赤川次郎作品〟にはまり、学校から借りては読. の図書館から繰り返し何度も借りた記憶が懐かしい。 んでいる私に対し、純文学を好む両親は「夏目漱石を読. 言葉はやはり面白い。ただ印刷された文字のはずなの. 葉の綾が、なんとも言えぬ快感を私に呼び起こすからだ。. に、そこから著者の性格、感性がひしひしと伝わって来. まないか?森鴎外なんてどうだい?」と色々紹介してく. る。その感性の波が刺激的な作品を、私はその時そのと. れたのだが、思ったより私が安部公房や遠藤周作の ‘沈 黙〟に興味を示しているのを見て、「あなたは面白いタイ. なっている一人だ。. 自 身 常 に 電 子 辞 書 を 持 ち 歩 き、 そ の 便 利 さ に お 世 話 に. 昨今電子書籍も出てきて、世の中は便利になった。私. きで、勝手に選ぶのだと思う。. プね」と驚かれた。 音楽の世界を目指すようになってからは、しばらくあ 弾いていた。大学時代は‘楽譜を借りに〟、‘音源を聴きに〟. まり図書館に通わず、時間を見つけてはずっとピアノを 図書館に通っていたのだが、書籍は本屋さんで手っ取り ただ、本当にピアノ一筋だったので、本を楽しむ余裕. のだ。だから私は、やっぱり本を探しにいく。時代はど. 書籍で感じる脳みその部分の方が、心に残ることが多い. その場所が違うことも感じている。私にとっては、紙の. ただ、電子書籍で私が反応する ‘脳〟と、紙の書籍での. が で き た の は、 留 学 し て か ら だ っ た。 母 が 三 島 由 紀 夫、. 早く、好きな文庫本を手に入れていた。. 太宰治の作品の本をダンボールで二箱、がばっとSAL. 私自身の生活も学生時代とは大きく変わり、電車の中. んなに変化していても、私にとって ‘読みたい本〟は、手. では足りない睡眠を必死で取り戻し、なかなかゆっくり. にとって重みを感じられるそれ、なのかもしれない。 はなくなり、またゆっくりと本を読むようになった。私. と本を読む時間がとれないのだが、海外にも拠点を持っ. 便で送ってくれたのだ。日本の自宅では、二十四時間ピ. 自身、山崎豊子、曽根綾子、三浦綾子作品にも興味を持. ているので、長時間飛行機に乗ることも多い。. アノを練習する環境だったのが、留学してからその環境. ち出し、今尚ベルリンの我が家の本棚は、その時代に集. んびりさが、私は好き。その贅沢な時間が、好きなのだ。. その生活自体は慌ただしくあれど、本を読むというの. なった。. その中では、必ず本を持ち込んで、静かに読むように. めた文庫本がぎっしり。 一日外国語を使った頭を、夜寝る前にゆっくりと ‘日 留学時代は、試験勉強、楽譜の研究のために図書館に. 本〟に戻す楽しみに、本があった。 一日居座ることも多かった。いつしか、私にとって、図.  な ら きあい 本学准教授 (ピアノ) . 1. 〜本と私〜. 時間. 奈良 希愛.

(2)

参照

関連したドキュメント

[r]

[r]

湖水をわたりとんねるをくぐり 日が照っても雨のふる 汽車に乗って

日露戦争は明治国家にとっても,日本資本主義にとってもきわめて貴重な

日本の生活習慣・伝統文化に触れ,日本語の理解を深める

[r]

 ファミリーホームとは家庭に問題がある子ど

彼らの九十パーセントが日本で生まれ育った二世三世であるということである︒このように長期間にわたって外国に