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2019 年度秋季人権週間プログラム講演会
日時:2019年 12月 12日(木) 17:30~19:30 会場:立教大学 池袋キャンパス 14号館 D501教室
『就活生への
セクシュアル・ハラスメント』
講師 竹下 郁子氏 (Business Insider Japan 記者)
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○竹下:私は、BUSINESS INSIDER という、ア メリカ、イギリスなど世界 17 カ国に展開し ているウエブメディアで記者をしています。
経済ニュースを中心に、政治やライフスタイ ルなど、さまざまなことを取り扱っておりま す。経済メディアなので、日本でも就職活動 や働く女性の問題、セクハラ、賃金格差など を中心に取材をしていますが、その中でも、
この就活セクハラの問題はすごく深刻だな と思っております。早速、報告に移ります。
<就活セクハラの実態>
この就職活動中の学生へのセクハラ「就活セクハラ」は、報道やニュースなどで見たり聞 いたりしたことがあるという方は、どのくらいいらっしゃいますか。皆さん来てくださって いる方はご関心がありますね。今ちょうど法改正があったり、この前も学生の当事者が記者 会見をして、国の姿勢がちょっとぬるいんじゃないかということを訴えたり、いろいろと動 いております。テレビ新聞でも広く取り上げられているので、知っていらっしゃる方も多い かなと思います。
私たちが取材を始めたのは、今年 2019 年の1月からでした。取材のきっかけですが、私 の会社は渋谷にあり、道玄坂、109 をちょっと上っていったところで、まわりにカフェがた くさんあって、私も時々気分転換ということで、オフィスではなくてカフェにパソコンを持 ち込んで仕事をすることがあるのですが、そこで OB 訪問の様子を見ることが多くありまし た。
OB 訪問って、皆さんだいたいどのような内容かわかりますか。自分が就職活動で志望す るような企業だったり、業界の方とか、自分の大学出身の先輩に、いわゆるオフィシャルな 企業説明会などでは聞けないような情報を、ざっくばらんに知りたいということで、例えば、
カフェで1対1で、本当に働きやすいのかなどを聞いたり、エントリーシートの添削をして もらったりというのが OB 訪問です。
私が渋谷のカフェで仕事をしているときにも、いわゆる OB 訪問の光景を見ることが多く、
リクルートスーツを着ているような女子の学生さんと、若手の男性社員の方、社会人の方が 1 対 1 で向かい合って話していて、ちょっとその会話が聞こえると、いかにも OB 訪問とい うことで、働き方についてや、キャリアのこと、エントリーシートをどのようにしたらいい か、面接の指導などまじめな話も聞こえてくるのですが、一方で、耳をそばだててみると、
「彼氏いるの?」「これまでの経験人数は何人?」だったり、ちょっと手を重ねたりとか、
もうあからさまなセクハラというのが行われていたのです。結構 OB 訪問というのは、働い ている社会人の方の時間に合わせて、オフィスアワーの終わった後、夜の飲み会だとか、そ ういったところで行われることも多いので、「昼間のカフェで白昼堂々こんな状態だという ことは、夜ではもっとひどいことになっているのではないか」と思い、取材を始めたのがき っかけでした。このような光景を、ビジネス・インサイダー・ジャパン編集部の女性の編集
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部員がかなり複数回目撃したというのが、本当に取材のきっかけでした。
実際に被害に遭った学生の方から声を集めて、まず1回目の記事を出したのが 2019 年 2 月 12 日でした。そこには OB 訪問で被害に遭ったり、インターンシップで被害に遭った女 性の声を取り上げたのですが、その記事の末尾に『就活セクハラ緊急アンケート』と題して アンケートを実施しました。その結果に沿ってこれからご報告をさせていただきます。
2月から始めて、今までに 764 人の方にご回答いただいています。女性 593 人、男性 155 人。年齢が 20~24 歳の方が 6 割で、職業は学生が5割以上、女性の方が多く、学生さんや、
就活終わって勤め始めて 1~3 年の若い社会人の方が主にご回答いただきました。その中で 実際に就職活動中にセクハラ被害に遭ったことがあると回答された方は、754 人中 376 人。
「ない」と回答された方が 378 人と、約半数の方が被害に遭っているというような状況でし た。就活セクハラって言っても、どういうことかあまり想像できない方も多いかもしれない のですが、これは日本労働弁護団という、働いている方のセクハラやパワハラ、などの相談 にしっかりのってくださる弁護士の方々の団体がパンフレットを出していて、2018 年ぐら いから積極的に啓発活動をされています。(P.32<別紙.1>)
そこに書いてある例では、就職活動中のセクハラでは、面接中に「結婚や出産の予定は?」
と聞かれたり、「女性はすぐ辞める」「君には男らしさ、女らしさが足りないね」「彼氏はい るの?」といった、仕事の話ではなく個人的なことを聞かれるということが例として挙げら れています。ほかにも、例えば、不必要に夜遅い時間に2人きりで呼び出されたり、「僕の 誘いを断ると採用試験に通らないよ」などと示唆されたり、お酒を飲まされホテルに連れ込 まれそうになる、こういう深刻なケースも例として挙げられています。まさに私も取材で、
この 750 人を超える方々のアンケートの回答や、実際に電話や対面で 50 人以上の女性、男 性に話を聞かせていただいたのですが、同じように面接中にこのような言動や、深刻な被害
「就活セクハラ緊急アンケート」調査結果の報告
・ 調査期間:2019 年 2 月 12 日〜12 月 11 日
・ 調査方法:記事末尾にアンケートフォームを掲載
・ 回答者数:764 人(女性 593 人、男性 155 人、その他 16 人/年齢は 20-24 歳が約 6 割(489 人、
64%)で、職業は学生が 5 割以上(428 人、56%、会社員・団体職員が 232 人、30.4% 約 3 割)
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就職活動中にセクハラにあったことがある 376 人(49.9%)、ない 378 人(50.1%)と、約半数が被 害に(回答者数 754 人)。■
セクハラ被害にあったシチュエーションとして最も多かったのは「OB 訪問」173 人(45.8%)。次 は「面接中」119 人(31.5%)、「インターンシップ」90 人(23.8%)(複数回答可)。具体的なハラスメントの内容としては、「パートナーの有無を聞かれた」「胸を触る・キスをされるな どの身体的な接触を受けた」「セックスを強要された」という人が多かった。
アンケートのほか、約 40 人に対面・電話で取材。深刻な被害のケースは、カフェで ES(エントリー シート)の添削など→レストランや居酒屋に移動して飲酒→その後社会人から自宅やホテルに誘われ るケースが多かった。
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セクハラの被害に遭ったシチュエーションとして最も多かったのが OB 訪問で、173 人。
次が面接中の 119 人、インターンシップの 90 人でした。具体的なハラスメントの内容とし ては、パートナーの有無を聞かれたということのほかにも、例えば、胸を触ったりキスをさ れたりといった身体的な接触を受けた、セックスを強要されたなど、本当に深刻な被害も多 くありました。結構、深刻な被害のパターンとしては、本当に皆さん共通点が多いと思った のですが、例えば、カフェで、エントリーシートの添削だったり、面接の相談にだいたい1
~2時間ぐらい。その後、レストランや居酒屋に移動して、たくさんお酒を飲まされて、そ の後、社会人の方から自宅やホテルに誘われるというケースがとても多かったのです。取材 をしていて思ったのは、最初にカフェなどで1~2時間しっかり就職の相談にのってもら えるということで信頼関係を築いて、そこから無理やりセクハラをしているという人が多 いのではないかということでした。アンケートに寄せられた事例を幾つかご紹介させてい ただきます。
このような声がありました。OB 訪問での被害って本当に多いですね。
■ 寄せられた事例
<OB 訪問>
「『エントリーシート通ったら合コン、選考に通ったら体』と言われた」(女性、20〜24 歳、学生)
「『これ以上はピロートークじゃないと話せないよ』と言われ、飲食店でその方の性器を触るよう要求 された。個室のトイレに連れて行かれそうにも。店を出た後に肩を組まれ、胸を触られた。ホテルに行 こうと言われたので断ると激昂し、突然踵を返しどこかへ去って行った」(女性、20〜24 歳、会社員・
団体職員)
「総合商社は OBOG 訪問した時にリクルーターが付ける点数も加点になると言われた。夜しか空いてな いとのことだったので、あるかどうかも分からない点数を稼ぐために食事に行った。2 次会の誘いを断 ると『そもそも OB 訪問に色気のないストッキングで来るな!黒のデニール数が低いストッキングで来 いよ。分かってないな〜』と罵倒された。結局振り切って電車に乗ったが、悪い評判を書かれたらどう しようと不安で仕方なかった」 (女性、20〜24 歳、会社員・団体職員)
「就活の時のノートを見せるという口実で家に誘われてそのまま大量に酒を飲まされた。意識がはっき りしない状態で体を触られ、体に点数をつけられ、人格を否定するような言葉もたくさん言われ……。
このセクハラが原因でまともに就活できなかった。何度死にたいと思ったことか、ここまで死にたい と思ったことはない。彼のせいで私はその志望業界にもう関わりたくないと思った。夢がひとつ潰され た思い」(女性、20〜24 歳、学生)
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この他に多いのが、インターンシップです。いわゆる見習いといいますか、その職業をち ょっと体験するというような形で、短期だったり長期だったり、職場に行っていろいろな体 験するということですが、今、泊まり込みのインターンシップも増えており、そこで実際に 被害に遭ったという方にも詳しく話を聞いたことがあります。
また、面接中の言動もとても多かったです。
「恋人、性体験の有無を聞かれた」。これ、本当に多かったですね。あと、見た目につい て「体型について言及された」「きみ、とてもきれいだね」などももちろんセクハラなので 駄目ですが、話をきいているとこういうことがすごく多かったです。
このような就活セクハラが、社会問題としても大きく取り上げられるようになり、だいぶ 企業側もしっかりしなければという意識がついてきたのかなと、人事の方と話していても 思います。しかし、この面接中の言動というのはまだまだ今年に入っても被害の報告は続い ています。しっかり本当に、企業側には研修をしてくださいと強く思っています。
このほかにも、「交際を迫る LINE メッセージが来る」「毎週、夜に飲み会に呼び出される」
というような事例もありました。
<就活セクハラに関する事件>
この就活セクハラですが、大きく社会問題化したきっかけになったのが、大手の社員が逮 捕されたということが報道されたのが1つ大きかったと思います。2019 年 2 月、ゼネコン 大手の大林組の男性社員が、強制わいせつの疑いで逮捕されました。これは、OB 訪問のた め会いに来た女子大学生に、自宅マンションでわいせつな行為をした疑いです。この就活セ
<インターンシップ>
「『愛人関係にならないか』と言われた」 (女性、20〜24 歳、学生)
「インターンの後、人事に『就活相談に乗ってあげる』と呼び出された。なぜか夜の 10 時開始、ホテ ル 1 階のカフェだった。行きたくなかったが、内定のことを思うと行かざるを得なかった。途中から 部屋に行くよう誘われたが断った。結局、選考は辞退した。 誰に何を相談しろというのか? 自分自 身がさらし者になることが目に見えている」(女性、25〜29 歳、会社員・団体職員)
<面接>
「恋人、性体験の有無を聞かれた」(女性、20〜24 歳、会社員・団体職員)
「体型について言及された」(女性、20〜24 歳、学生)
「どのような人と一緒に働きたいですかと質問した際に、『スカートの短い人と一緒に働きたいです』
と言われた」(女性、20〜24 歳、学生)
「面接中に突然『料理は出来る?』と聞かれ(業務内容には関係ない)、そこそこですと言うと続けて
『じゃあ得意料理は?』と聞かれ、答えると『いいなぁ、僕も君みたいなお嫁さんが欲しいよ』と言 われた。しつこく下の名前を呼び捨てにされ、私が強く言えない、困り笑いで流すのをニヤニヤ笑っ て見ている感じがとても不快だった」(女性、20〜24 歳、学生)
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クハラの原因の1つになっていた、“OB 訪問のためのマッチングアプリ”というのが1つの 原因になっていると思われますが、この社会人と学生をつなぐアプリを通じて女子大学生 と知り合い、この日に本社近くの喫茶店で会い、「パソコンを見ながら仕事の説明をしたほ うがいい、面接の指導をする」などと言って連れ込んだと報道されています。結構、マッチ ングアプリで知り合って、喫茶店でしっかり OB 訪問、就職の相談にのり、その後自宅に誘 うという、就活セクハラ被害の典型的なケースだと思います。これは不起訴になっています。
次に 2019 年 3 月、大手商社の住友商事元社員の男性が準強制性交と窃盗などの疑いで逮 捕された事件も大きく報道されました。これもとても深刻なケースです。これは、OB 訪問 を希望した 20 代の女子大学生を都内の居酒屋に誘い、酒の一気飲みを強要、泥酔させ、地 方から上京していた女子大学生が予約していたホテルの部屋に送り届けるのですが、その 際に部屋のカードキーを盗み、いったん立ち去った後、キーを使って部屋に侵入し、性的暴 行を加えた疑いです。こちらは今、裁判中ですね。
実際に、地方から東京や、ほかの地域など、泊りがけでホテルを予約して就職活動をする 学生さんがとても多いと思いますが、それを利用してセクハラをするというケースも、私も 何件も聞きました。ホテルに泊まっているということを、OB 訪問を受ける社会人もわかっ ているので、無理矢理にそのホテルに何とか自分も一緒に行こうとする男性が結構多かっ たです。
<就活セクハラの背景>
この就活セクハラの背景として幾つかあると思いますが、やはり一番大きいのは、OB 訪 問や就職採用選考のこの過程がブラックボックス化していることだと思います。これまで なら、企業の人事担当者と就活生というのは、会社の公認の元、会うことが多かったと思い ますが、OB 訪問では、全く会社のオフィシャルではない場所や、会社の目の届かないとこ ろで学生と社員がやりとりする機会が増えるため、そこでセクハラ被害に遭うケースが多 いと思います。もちろん会社の目の届かないところであっても、セクハラは全くやってはい けないことなので、これは本当に加害者側の人権意識が欠如しているということで、学生の 皆さんには本当に何も非はないところですが、その原因の 1 つとして、そういった OB 訪問 であったり、インターシップであったり、就職活動自体が複雑化しているということがある のではないかと思います。
実際に私もたくさん学生の方からお話を聞いたのですが、セクハラの被害に遭った学生 の方の多くが、OB 訪問しないとなかなか内定がもらえないということや、加害者がリクル ートの権限を持っていると聞いていたから、逆らえなかったとおっしゃっている方が多い ですね。もともと学生の方と、学生が就職を希望しているような企業でもうすでに働いてい る方だったら、圧倒的な権力差です。そういう圧倒的な力関係を利用して関係を迫る人がと ても多く、本当に卑怯だなと思います。本当に何度も言いますが、絶対に学生の方は悪くな いですからね。
あとは、多様化するインターンシップです。最近では、全員で泊まり込みで行うインター ンシップも増えてきているようで、その宿泊先のホテルで被害に遭ったという学生の方の 話も聞きました。インターンシップで、ホテルなどに泊りがけでグループワークなどをした
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後に、その振り返りをしようと社員から指定された場所が、なぜかその男性のホテルの個室 だったのです。そこでいろいろな過去のトラウマを引き出すようなことを言われて、体を触 られたというケースがありました。このトラウマということとも少し関係はあるのかもし れないのですが、就活セクハラの構造的な問題の 1 つとして、その精神的なシェアがすごく 生じやすい構造があるのではないかと思います。学生と社会人、希望する企業ですでに働い ているというだけでも、権力関係、力関係は歴然としたものがあると思うのですが、さらに エントリーシートの添削であったり、自己分析のサポートであったり、面接の練習と称して、
その学生の個人情報を引き出したり、「きみはどういう人なの?」と、自己分析の中で聞い ていき、それに答えると、「おまえはそうだから駄目なんだよ」等と言われてしまう。そし て学生も、志望する企業ですでに働いている人から言われたら信じてしまう。そういう構造 的に精神的なシェアがとても生じやすいというのはとても大きな問題だと思いました。こ れについての解決策は、なかなか難しいと思いますが、特にこういう構造的な問題があると いうことは、みなさんにもしっかりわかっていてほしいなと思います。実際に、「きみはそ うだから駄目なんだ」と言われ、そのまま支配されていってしまい、性的関係を求められて もなかなか断れなかったっていう方も結構いらっしゃいました。
ほかにも、例えば自己分析を手伝ってもらう過程で、自分の過去のことなど結構話します よね。「小さいときは自分はこういう人間で、家族構成はこうで、こういうことに打ち込ん できて」と、あまりにもその個人情報を話しすぎて、それを握られているという恐怖から逆 らえず、セクハラを受け入れたという学生もいました。これも本当に構造的な問題だと思い ます。
先ほどのゼネコン大手の大林組の男性社員が逮捕されたケースもですが、OB 訪問マッチ ングアプリの普及というのも大きいと思いました。ここに書いているのは今年 2019 年 2 月 時点でのことで、今は各社かなり改善がありますが、当時は企業の公認などがなく、社会人 が匿名で登録して利用できるアプリもありました。きちんとした身分証明もなく利用して いるというような状況で、例えば最初はそのマッチングアプリ上でやりとりをしますが、す ぐに LINE の ID を聞いて、LINE でのやりとりになり、そこからセクハラが始まったという 学生がとても多かったのです。ある OB 訪問マッチングアプリの登録者では、学生男性6割 女性4割と、あまり偏りはないのですが、社会人では男性8割女性2割と、圧倒的に男性が 多く、男女比にかなり偏りがありました。実際に寄せられた声として、『OB 訪問マッチング サイトで何度か相談していた人に、「おれが人事だったら絶対に取る。見せるつもりのなか った会社の資料が家にある。きみになら見せてもいい」と家に来るように誘われた。このチ ャンスはどうしても逃してはいけないとついていき、その資料を見ながら体の関係を求め られた。その後、その人が会社を半年前に辞めて独立準備中だということを知らされ、どう しようもなくなった』このように、身分確認が曖昧だったので、実際にその企業で働いてい ないということが後からわかったということも何人かいました。被害に遭った女子学生の 数名から私も話を聞いたのですが、「社会人の方はこの OB 訪問マッチングアプリのサイト を、いわゆる出会い系のように考えているんじゃないか」と言っている方もいらっしゃいま した。女子学生の顔写真も出ますが、そういうのはセクハラをしていい理由、言い訳にはな らないのです。
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<就活セクハラの深刻な現状>
就活セクハラの被害が本当に深刻だと思ったのが、就職活動後もセクハラが続いている ということです。就活支援している企業もたくさんあり、幾つか皆さんも思い浮かぶと思う のですが、そこで実際にコンサルタントとして働いている社員が加害者になったというケ ースもありました。ある女性が学生時代に就活をコンサルティングしてもらった担当者か ら、「おめでとう、久しぶりに飲もうよ」ということで飲んだときに、自宅にも上がり込ま れて体を触られたりと、かなり深刻な被害でした。その女性は、会社も自宅も知られてしま った怖さから、就職が決まった会社を退職してしまい、今は誰も知り合いのいない地方で暮 らしています。
このように、本当に就活セクハラは人の一生を左右するというか、これで人生が大きく狂 わされたという人もたくさんいると思います。でも、こんなに深刻な被害が起きているのに、
なぜ今年になるまでこんなに大きく社会問題化しなかったのか。これはなかなか被害者が 声を上げられない状況にあるというのがすごく大きいと思います。実際に私達のアンケー トによると、被害に遭った方の 7 割以上が、例えば関連機関への告発はもちろん、誰にも、
身近な人、友人、家族、彼氏、彼女、パートナーなどにも相談してないと回答しています。
その理由としては、やはり圧倒的な企業との力関係があって、「相談したら何をされるかわ からなくて怖かった」「そもそもその相談窓口、どこに相談すればいいのかわからなかった、
知らなかった」という方や、ハラスメントについての知識がないために、被害だとすら認識 できなかったという方、また、幼少期から、例えば痴漢被害だったり、性被害をずっと受け 続けていて、声を上げることへの無力感だったり、大学に相談しようと思っても、「いつも 内定率ばかり気にしているような大学が、相談にのってくれるはずとも思えずあきらめて しまった」という方など、背景は本当にさまざまでした。幾つか声を紹介します。
・内定がもらえなくなるかもと、怖くて誰にも言えなかった。(女性、20〜24 歳、会社員・団体職員)
・大学が本当に学生の味方なのか分からない。いつも就職率ばかり気にしているキャリアセンターが 企業に抗議してくれるとは考えにくい。(女性、20〜24 歳、学生 )
・社会的な立場が圧倒的に低い自分にとって相談することで何が起こるか想像できず、報復も怖かっ た(女性、25-29 歳、会社員・団体職員)
・当時はハラスメント関連の知識も薄く、どこに相談したらいいかわからなかった。(女性、20〜24 歳、
会社員・団体職員)
・OB 訪問をしたのは自分なので、自分で責任を背負わなければと思った。そもそも OB 訪問で家に誘わ れたり、『女だから〜』と言われることがセクハラだという認識も持っていなかった。(女性、20〜24 歳、学生 )
・証拠もなかったし、『たかがそれくらい』と言われそうで相談できなかった。内定は辞退した。(女 性、20〜24 歳、会社員・団体職員)
・就活中あまりにも疲れてたしストレスもかかっていて、そこに時間を取られたくなかった。波風を 立てたくなかったし、なめられる自分が悪いのだと思ってしまった。就活が終わった今すごく悔し いと思っている。就職したあともこんなことが続くと思うと不安。(女性、20〜24 歳、学生 )
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私も話を聞いていて、このような意見が結構多くありました。昔は、OB 訪問というと、
大学のキャリアセンターや就職課に、「OB 訪問したいので OB 紹介してください」とお願い して、大学が窓口に立ってやることが多かったのですが、今は、マッチングアプリや、自分 でサークルの伝手だったり、もう1年生からどんどん進めている子も多く、OB 訪問やイン ターンシップと大学が切り離されてしまっているということも1つの問題かなと思います。
自分で全部やったことだから、全部、自分が責任を取らなければいけないと思っている学生 の方はすごく多かったのですが、今の文科大臣も、この就活セクハラは本当に深刻な問題だ と受けとめていて、解決するためにはやっぱり大学の対策っていうのは必ず欠かせないと 言っているので、ぜひぜひ大学に相談したり頼ったりしてほしいと思います。本当に自分だ けで抱え込まないでほしいなと思いますね。
<男性の被害の実態>
セクハラといっても、もちろん女性だけではありません。男性特有の被害にも配慮が必要 だと思います。労働組合の中央機関の調査によると、就活セクハラ被害に遭ったと回答した 割合が最も高かったのが 20 代男性でした。私も実際に、男性の被害者からも声を聞いたの ですが、例えば、面接で「彼女いない歴イコール年齢であることを告白させられた」という 方や、「女性経験の有無をしつこく尋ねられ、曖昧にしたら、今から風俗に連れて行ってや ると言われた。男性に対するそうした言動は世間ではセクハラではないと思われているた め相談できなかった」など、いわゆる童貞いじりみたいなことをされてすごくつらかったと いう方いらっしゃいました。男性もこのように被害に遭っているっていうことで、このこと は社会でも認識していかないといけないなと思います。
<国や企業、大学の対応について>
実際にこういう就活中のセクハラ被害に遭った学生で、私も話を聞いた方々、多くが、誰 でも知っているような大企業にもう内定が決まっていたり、5次選考とか、かなりいい選考 まで行っていても、セクハラ被害に遭ったということで、その企業の選考だったり、インタ ーンシップだったり、内定そのものを辞退したという方がとても多くいました。中にはその 業界ごと、もう失望して志望から外したり、ショックで就活自体できなくなった方も本当に 複数いらっしゃいました。
でも、なかなか難しいですよね。それで就活自体をやめて浪人して、今また再チャレンジ している学生もいるのですが、去年どうしてその就活を続けられなかったのかという理由 を聞かれた場合、何と言ったらいいかわからないという方もいて、本当に学生のみんなの一 生を左右する問題だということを大学関係者の方にもちゃんと認識してほしいと思います。
ちょうどこの1年間、広く報道されたり、国が企業に対する「セクハラやパワハラを防い
・40〜50 代の男性にはよく触られるので、その年代の男性は皆そのようなものかと思った。相談して 自意識過剰と思われたくなかった。(女性、25-29 歳、会社員・団体職員)
・高校生のときから痴漢等の性犯罪にあっていて、抵抗しても意味がないことを知っていたから。(女 性、20〜24 歳、会社員・団体職員)
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でください、こういう対策をとってください」というガイドラインを今、話し合っていたり、
法改正もあり、いろいろな面で取り組みが進んでいます。例えば、企業も様々な改善策を打 ち出してきていて、就活セクハラのステーションとして多かった OB 訪問についても、マッ チングアプリを利用すること自体を禁止したり、絶対飲酒禁止ですね。また、OB 訪問を行 うのは原則的に平日 13 時から 18 時までで、社内の施設、個室は NG、事前に上司や会社に 報告をするというルールを定めた企業も出てきました。また、社内に就活セクハラ用の相談 窓口を設けたり、企業も対策をとっています。
OB 訪問のマッチングアプリも、先ほど身分照会が微妙だとお伝えしましたが、社会人の 登録者に社員証や身分証、写真画像の登録を求めて、学生が検索する際には登録済みかどう かちゃんと確認できるようにしたり、メッセージのやりとりを自動で解析・抽出する機能を 追加し、利用規約やガイドラインに沿わないやりとりは運営事務局が注意喚起や利用制限 をするなど、いろいろな対策が進んでおります。機能としてできるところはきちんとやろう ということだと思います。でも、根本的には本当にハラスメント研修というか、人権意識を 高めてもらうしかないと思います。その他では、女性専用の OB 訪問のサイト等も登場して います。対面しなくてもウェブ上でもやりとりが完結するようなものもあり、これは便利だ なと思いました。
そして、大学も今日私をここに呼んでいただいたように、法学部の授業やシンポジウムな ど、いろいろな大学に呼んでいただいてお話をしておりまして、皆さんどの大学も対策をと らなければというような意識は非常に感じます。ただ、「どういう対策をとったらいいのか わからない」と、大学から相談を受けることもあります。記事でも取り上げたのですが、私 がいいなと思った例は、ある大学の就職課で学生から相談を受けて、その学生さんを矢面に 立たせずに、大学が企業に抗議したというケースがありました。それは企業の担当人事の男 性が、学生に対しメール等でしつこく誘い、直接的に性交渉を持ちかけるような文言をメー ルで送っていたというのも大きかったと思いますが、大学の担当者がそういった証拠をき ちんと持って、企業に要望をしに行きました。その要望は①その男性が今回の被害学生だけ でなく、全ての就職活動を行う学生に同様の行為をしないような配慮。②メールや電話も毎 日、深夜かかってくるほどしつこく、学生が恐れていたこともあり、ストーカー行為に発展 する懸念があるため、今回の相談を本人に知られないように対応して欲しい。この2点を大 学から企業に要望しました。それに対し、企業も全くはねつけることはなく、事実確認をす ぐに行い、大学に対し、きちんと書面で謝罪も含め対策を報告してきました。その男性を要 望どおり採用担当から外すことや、被害に遭っていた女子学生の履歴書のシュレッダー処 理、電話番号などもその男性の携帯から消去させて、連絡先がわからないようにしたり、そ の男性が全ての採用情報にアクセスできないようにしました。そしてこれが大事ですが、再 発防止策として、そのグループ全体で同じことがないようにハラスメント研修などの対策 をしっかりとるということを約束したそうです。
実際に声をあげた被害者の方々は、この学生も含め、自分はその企業はもう志望しない、
進路を曲げるというか業界も志望しなくなるのですが、もう自分とは直接の関係はなくて も、「後輩には同じ思いをしてほしくない」ということで声を上げる学生さんがとても多く いました。
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<今後の課題>
文科省もこういった就活セクハラについては調査しているのですが、就活採用活動にお けるセクハラについて、学生から相談を受けたことがあると回答した大学は全体のわずか 5.2%でした。9割がないと回答していて、4.5%は無回答でした。先日、文教委員会で共産 党の議員が質問していましたが、文科省も大学がどのようにハラスメント対策をしている のか、就活セクハラについて各大学が対策をとっているのかという実態把握が、まだまだ進 んでないということが、今後の課題だと思います。
先ほど声を上げられなかった7割の意見を紹介しましたが、そこにも相談窓口がわから なかった、知らなかったという方もいらっしゃいました。実際に私も大学が相談窓口を設置 していることを知らなかったいう声を聞いたことあります。「今は多くの大学がハラスメン トの相談窓口は設置しています」と回答していますが、どのように学生に周知しているのか。
きちんとメールで知らせているのか、それともポスター1枚貼って終わりなのか、きちんと ガイダンスにいれているのか、ハラスメントの専門家が配置されているかどうかなども、文 科省は把握していないのです。今後はこうした実態把握も含めて、文科省も関係省庁と連携 して取り組んでいくと答弁をしています。
<さまざまな団体の活動と今後について>
このほかにも、民間団体『#WeToo JAPAN』や、元ヤフー知恵袋のスタッフの女性たちが立 ち上げた、差別やハラスメントの相談プラットフォームで『QCCCA』というものがあり、そ ういう民間団体も「就活セクハラをなくしてください」という署名を集めて厚労省に要望書 を提出したりしています。
また、これもつい先日ですが、東大、早稲田、慶應、上智、創価、ICU の学生らによる団 体が、当事者として実効性のある就活セクハラ対策を求める緊急声明を公表し、文科省にも 対策を要望しています。
今、国が企業等に「セクハラやパワハラなどの対策をしっかりしてください、具体的にこ ういうことをしてください」「指針、ガイドラインを考えてください」といったことを話し 合う会議で、指針の案ができてきたのですが、なかなか就活生が守られていないということ で、それに対する抗議の声明です。
就活生はこれまで労働者ではないとして保護されていませんでした。ちょうど法の谷間、
狭間に落ちていたというか、例えば企業にセクハラ対策を義務付ける男女雇用機会均等法 などの対象ではなかったのです。しかし、2019 年国会で大きく社会問題化して、たくさん
ハラスメント相談プラットフォーム「QCCCA(キュカ)」が共同で署名キャンペーンを実施。
厚労省に要望書を提出し、企業に「就活ハラスメントゼロ宣言」を促す。
(署名:#就活ハラスメントをなくしてください!
キャンペーン · #就活ハラスメントをなくしてください! · Change.org
☞参考 URL: 実効性ある「就活セクハラ」対策を求める大学生からの緊急声明
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の野党議員が、「これはしっかり対策をとってください」と訴え、法改正までは至らなかっ たのですが、自社の労働者が就職活動中の学生などに行ったハラスメントも雇用管理上の 配慮が求められるとか、就活活動中の学生も男女雇用機会均等法に基づく指針等で必要な 対策を講ずることなどが何とか付帯決議に盛り込まれました。2019 年にやっと社会問題化 したということを考えると、5~6月の国会でこのようにしっかり付帯決議に盛り込まれ たということはとても大きな一歩だと思います。
しかし、実際に企業、厚労省がまとめた、企業にハラスメント対策などを求める指針案に は、「企業がとることが望ましい取り組み」として明記されるだけで、いわゆる労働者の方々 に対しての義務付けというようなはっきりした明確な措置には至りませんでした。例えば、
就業規則などで就活生のセクハラパワハラを行ってはならないという方針を明確化し、社 内報、パンフレット、ホームページ、研修などで周知することが望ましい取り組みとして明 記されたことは、大きな一歩だと思いますが、望ましいというだけでは実効性が低いのでは ないかということで、先ほど紹介したの学生団体も、詳しくこういうところが問題だと批判 しているので、ぜひ後でホームページ等を見てほしいと思います。例えば、労働者に対して、
相談窓口を設置して周知することや、相談した際も不利益な扱いをしないようにすること、
プライバシーの保護や、懲戒規定を設けるなど、いろいろな義務付けがあるのですが、そう いうものが今のところないということです。
そんな中、進歩もあります。就活生といっても、内定者は事業主が雇用する労働者に当た るため、いわゆる普通の労働者と同じようにハラスメント防止の措置義務の対象になるの で、相談などを行った場合の不利益な取り扱いの禁止というような答弁も出ています。これ は私もまだ記事を書けていないのですが、ぜひ皆さんに知らせてください。私も就活セクハ ラの取材をしていて、内定者懇親会等で、セクハラの被害に遭ったという声も聞いたのです が、これは完全に NG です。指針とかそういうものに関係なく、措置義務の対象になります。
ですので、内定者の方は、ハラスメント被害を受けたら、どんどん企業に相談をしてくださ い。企業も速やかに対応することが必要ですし、事実関係が認められれば、その行為者はき ちんと処罰されることになると思います。このようにきちんと対策しなかった企業は行政 指導を受けることもあり、内定者の方は措置義務の対象ということなので、皆さんこれはぜ ひどこか持ち帰ってください。
やはり指針案にうまく就活生の保護が盛り込まれなかったのは本当に悲しいです。私も その指針を話し合う労働政策審議会を傍聴していて、労働側と経営側の委員会が話し合う のですが、労働者側は、「就活生をもっとしっかり守ってください」と意見するのですが、
やはり経営側、いわゆる企業側の方たちは、雇用関係にない方にどこまで事実関係の確認が できるのか難しいため、労働者の対策を企業が負うような措置義務の内容を一律に設ける のは難しいというように難色を示していました。しかし、これはちょっとおかしいですよね。
そういう事実関係が確認できるような仕組みを整えるのが、社員を受け入れる企業として の姿勢だと思うので、今の指針では不十分かなと思っております。
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最後にもう一度お伝えします。皆さんも、例えば先ほど紹介した学生の団体や QCCCA 等が 出している厚労省への要望書だったり、いろいろ見ていただいて、何か今のままではちょっ とおかしいんじゃないかと思ったら、ぜひ意見を届けてみてください。今回、やっと社会問 題化したという中で、ここまで国会でも大きく取り上げられたというのは、本当に報道の力 だけでなく、実際に声を上げてくださった方々がいたということがとても大きくて、それを 国会に届ける政治家の人もいたわけです。本当に皆さんの声はすごく力があるので、ぜひぜ ひ現状おかしいなと思ったら、パブリックコメント等も利用して、国に皆さんの声をしっか り聞かせてあげてください。
○司会:竹下さん、どうもありがとうございました。次は立教大学のキャリアセンター部長 の神山さんから、立教大学の取り組みについてお話いただきます。
<立教大学の取り組みについて>
○キャリアセンター神山:竹下さん、どうもありがとうございました。私は立教大学キャリ アセンターの神山と申します。立教大学のこれまでの事例、考え方について皆さんにお伝え したいと思います。
これまでに、実は就職活動中にセクシャル・ハラスメントに遭ったという訴えが、正直なと ころ年に1件あるかないかというようなのが実情です。今、竹下さんのほうからお話いただ
■政治にも動き
・都道府県労働局・総合労働相談コーナーで就活生からの相談も受け付けるように。
・就活生は労働者ではないとして保護されていなかった(企業にセクハラ対策などを求める男女雇用 機会均等法などの措置義務の対象ではなかった)が、今年の国会で大きく社会問題化。
参議院「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決 議」に「自社の労働者が(中略)就職活動中の学生等に対して行ったハラスメントも雇用管理上の配 慮が求められる」「フリーランス、就職活動中の学生、教育実習生等に対するハラスメント等を防止 するため、男女雇用機会均等法に基づく指針等で必要な対策を講ずること」などが盛り込まれた。
厚労省がまとめた企業にハラスメント対策などを求める指針案には「就業規則などで就活生へのセク ハラ・パワハラを行ってはならないという方針を明確化し、社内報、パンフレット、ホームページ、
研修などで周知すること」が、企業が取ることが「望ましい」取り組みとして明記された。
・就活生も内定が出た時点で事業主が雇用する労働者にあたるため、ハラスメント防止の措置義務の 対象になり、相談などを行った場合の不利益な取り扱いも禁止と厚労省が答弁(11 月 28 日参議院・
厚労委員会)。つまり、
→内定者懇談会など内定後のハラスメントは措置義務の対象。
→もしハラスメント被害を受けたら企業に相談を。
→企業は事実確認など速やかな対応が必要。事実が認められれば行為者は異動・懲戒なども。
→これらを守らなかった企業は行政指導を受ける。
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いたように、そういう意味ではどこに相談していいのかわからなかったというところ、また 耳の痛い話でもあるんですが、就職率とか、有名企業に勤める率ということを気にしている 大学のキャリアセンターが、そのようなものに対応してくれるとは思えなかったというと ころ、これは私たちも本当に反省しないといけない点だと思っています。
まず、学生の皆さんが就職活動を行うことは学生生活の1つですので、それに対応するの は大学の責任だと私たちは考えています。ですので、もし就職活動中にハラスメントに遭う ということがあれば、それは大学のキャリアセンター、または本学であれば人権・ハラスメ ント対策センターがありますので、そちらがきちっと対応させていただく案件だと考えて います。
もう一方で、数少ない事例ではありますが、就活ハラスメントに関して企業の方と対応し たこともあります。企業にとっても、そのような社員がいて、そういったハラスメント行為 を行うということは大変マイナスになることです。立教大学での過去の例でいうと、それが 多くの学生が志望する企業であっても、その企業をお呼びして事実関係を確認しながら対 応します。それは、その企業に伝えないことは、企業にとっても大変なマイナスになるとも 考えているからです。立教大学では本学の学生をきちっと守るということが前提で、その就 職活動中に起こったことに、きちっと対応するということが前提だと考えています。
そして2点目、対策として、今、本学で一番大事だと思っているのは、100%は防げない と思いますが、未然にそういうものに遭わないように、できるだけ学生に注意点を伝えてい くということだと思っています。実は昨年まで OBOG 訪問で、ガイダンスまたはいろいろな ガイドブックで学生の皆さんに伝えていたのは、社会人の方を相手にしたときにマナーを 守ってくださいということを中心に伝えていました。これまで、OBOG 訪問でハラスメント に遭ったという被害届というのは大変少なく、逆に学生が社会人と会うときのマナーの中 で、いろいろなメールでのやりとりやお礼に関して、逆に OBOG の方からクレームをいただ くことが多かったので、ガイドブックやガイダンスでは、その点に注意をしてくださいとい うことを、キャリアセンターからは伝えていて、このハラスメントに対する対応というのは、
実は今年のガイダンスから取り入れるようになりました。ガイダンスで行っていることは、
被害に遭わないための注意喚起をしています。まず①名刺を必ずもらうようにするという ことです。先ほどマッチングアプリについて話がありましたが、これまで届けられた被害の 中でも、リクルーターの被害と、マッチングアプリを使った被害が届けられています。だい ぶ改善されたようですが、マッチングアプリの場合は、なりすましてその社員になっていて もわからないという状況がありましたので、必ず名刺をもらうということを伝えています。
その他ガイダンスでの注意喚起している内容は、
②夜遅い時間、または飲食の伴う訪問は避ける。
③LINE など個人連絡先の交換は避け、企業と大学のメールアドレスでやりとりをする。
④選考で有利になるといった言葉は信じない。
⑤困ったことがあれば、キャリアセンターに相談をしてください。
また、キャリアセンターの中に、立教大学の OBOG の訪問するための検索パソコンがあり ますので、そこでも実際の事例を示しながら注意喚起をしています。実際に相談のあった事 例ですが、時期や内容は個人情報にかかわりますので、この場では避けさせていただきます
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が、実際に企業の方をお呼びして対応しました。そのとき、キャリアセンターとしては、ま ず①対応者が管理職の者と申し立てた学生と同性の者の2名、複数名で対応するというこ とを前提にしています。そして、②学生の対応希望を聞きます。その方に謝罪をしてほしい のか、または同じようなことを繰り返さないでほしいのか。そういったことを聞きながら、
学生の申し出について、希望する形で対応しています。そして③学生から事実を確認する。
同意をとった上で、関連する記録、名刺や SNS の記録があれば、それを提供していただきま す。そして、④企業人事担当者に連絡して、ハラスメントの可能性がある旨を伝えた上でお 越しいただいて、学生の申し出内容を伝えるようにします。次に、⑥企業による内部調査を 依頼します。その際、二次被害を防止するために、当該の社員と申し出の学生の接触を企業 として禁止するという約束をとります。そして、⑦必要に応じて、企業と学生のヒアリング を設定します。その際はキャリアセンター担当者も必ず同席をするようにしています。物理 的な証拠がある場合は、比較的企業にも伝えやすいのですが、どうしても対面の中で起こる ことですので、言った言わない、行われた行われないということが出てしまいますので、ヒ アリングが必要になるケースもありました。最終的には、⑧事実の確認をした上で、企業の 調査結果によって、謝罪、再発防止、報告書の提出を求めるというようにしています。そう いうヒアリング等々、改めて、当時起こったことを思い出さなければならない、企業の方に お話しなければならないということもあり、学生にとっても負担が大きいため、できるだけ そういったことに合わないような指導を前提としています。
企業の方とお会いする場合、だいたいは人事とその会社のコンプライアンス部門の方、ま たはハラスメント対応部門の方が同席して対応しますので、学生が何かそのヒアリングで 大きな負担を負うということは、今まで私どもが行った経験の中ではありませんでした。ま た逆に、そのようなことがヒアリングであるようであれば、大学がそれをとめるためにも同 席をしています。
そういう意味では、今年はこのような刑事事件が起きたということもありますし、これか らそういうことに遭わないということが、キャリアセンターとして一番大事だと考えてい ますので、まず未然に防ぐということでいろいろな注意喚起を行っているというのが現状 です。個々の対応ですが、行われたハラスメントの程度、学生が求める希望内容によって対 応が変わってきますので、それは個々のケースに応じて対応していくということになると 思います。冒頭の繰り返しになりますが、学生生活の中で行われる就職活動、そこで行われ るハラスメントに関しては、大学が責任を持って対応するものであると考えています。
以上になります。
○山内:ありがとうございます。立教大学のキャリアセンターから大学の立場についてお話 いただきました。
では、『#KuToo』や、女性だけ眼鏡禁止などの身だしなみについて、また竹下さんにお話 いただきますので、よろしくお願いします。
○竹下:先ほどの立教大学の取り組みも聞かせていただいて、かなりしっかり取り組んでら っしゃるということで、すごく心強く感じました。本当に学校生活の中で起きたことは大学 が対応するということなので、ぜひ皆さん大学を頼ってください。就活セクハラが、最近テ レビ等でも取り上げられて、結構 SNS を見ていると、「そんな会社行かなきゃいいじゃない
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か」「学生にもは落ち度があったんじゃないか」のような、いわゆるセカンドレイプ発言の ようなものも見られますが、本当にそういうことは全くないですし、学生は全く悪くないの で、それだけはしっかり覚えていてください。
今の文科大臣の萩生田文科相も答弁をしていますので、そのまま読み上げます。
学生が安心して就職活動できる環境を整えることが重要であり、そのために大学におけ る適切な対応が不可欠であると言っています。大臣もこのように答弁しているので、皆さん しっかり、心強く思ってください。文科省も、大学の取り組みの実態把握を始めとして関係 省庁と連携して今後もしっかり取り組んでいくと言っています。
<企業の職場の身だしなみ規定の現状について>
それでは次に、『#KuToo』や眼鏡禁止などの、職場の身だしなみ規定の報道について、私 がこれまで取材してきたことを元にお話させていただきます。
今日は石川さんも来てくださっていて、ありがとうございます。『#KuToo』は、今年 2019 年の新語流行語大賞トップテンにも選出されましたので、皆さん知っていらっしゃる方も 多いかと思います。
『#KuToo』について、皆さんご覧になったことありますか。
12 月にも法規制などを厚労省に求める要望書を提出されて、記者会見もされていました。
今これについても、パワハラの指針、ガイドラインになんとか入れてほしいということで、
パブリックコメントなどでも皆さん一生懸命呼びかけています。また、ユーキャンの 2019 年新語流行語大賞トップテンに選出されたり、石川さん個人もイギリス BBC の 100 人の女 性に選出されるなどして、本当に大きな社会運動になっています。
私も石川さんが声を上げられたのをきっかけに取材を始め、職場のハイヒール・パンプス 着用緊急アンケートと題して、2019 年 6 月から、記事の末尾にアンケートフォームをつけ て取材を続けてきました。12 月 12 日現在、3,271 人の方にご回答いただいています。(アン ケート結果は P.33<別紙.2>参照)女性 2,892 名、男性 306 人、その他 66 人。女性が多く、
会社員の方や、学生のみなさんからも、就活でパンプスで悩んだと多く回答をいただきまし た。職場や就活などでハイヒール、パンプスを強制された、もしくは強制されているのを見
『#KuToo』とは?
グラビア女優の石川優実さんが展開した、職場で女性にのみパンプスやヒールを指定する のは性差別だとし、抗議する運動。靴と苦痛、そして『#MeToo』の意味を込めた「#KuToo」の ハッシュタグは広く共感を集め、これまでに集めた署名は 3 万 1000 筆を超える。12 月に 法規制などを求める要望書を厚生労働省に提出、パワハラ指針への記載などを求めてパブ コメを呼びかけている。『#KuToo はユーキャンの 2019 年新語・流行語大賞トップ 10 に、
石川さんはイギリス BBC「100 人の女性」に選出された。
「セクハラは被害者の尊厳や人格を傷つけるあってはならない行為だが、特に就職活動中と いう立場的に弱い学生に対するそうした行為は決して許されない。そういう就活セクハラか らなどによって学生が進路を変えたり、夢をあきらめるようなことがあってはならない」
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たことがあると回答された方が 2,026 人、だいたい6割ぐらいいて、結構多いという印象で す。もちろんこの問題に興味があるという方がご回答いただいたということもありますが、
それでも高い数字だと思います。強制をされていた、もしくは強制されているのを見たこと があるという方の背景として、慣習になっていたという方が 1,147 人。マナー講座などで指 導を受けそれに従っていたという方が 1,115 人。上司などから口頭で指示を受けたという 方が 796 人。また、就業規則などに明記されていたという方も 720 人いらっしゃいました。
私もこの取材の中で、いろいろな方から直接お話を聞いたのですが、各企業の身だしなみに 関する小冊子みたいなものがあり、パンプスの写真と、ヒールの高さ等が指定されていると ころがとても多かったです。あと、パンプスはこういうものを履きなさいということや、メ イクはこのようにしなさいと写真が添えてあるものもあり、髪の毛の色も日本ヘアカラー 協会のカラースケールが入っていて、1 番から 5 番までだったり、写真付きで前髪はこのよ うに流すなど、本当に細かい身だしなみ規定が、チェック項目のように一覧になっているも のを、社員の方に配布している企業も結構あり、びっくりしました。私がいるメディア業界 では、本当に服装などは自由で、アクセサリーも自由にしていいので、このように身だしな み規定がかなり厳しく設けている企業があるということに、まず私は驚きました。石川さん が声を上げるまでそれに気づかなかったという、報道としての問題、また社会の一員として もかなり問題があったというのはすごく反省するところです。
アンケート結果をみていきますと、「強制されたことがある、見たことがある」と回答し た方のうち、そのことをネガティブに感じていらっしゃるのが7割以上いらっしゃいまし た。意見をちょっと紹介します。「男性はヒールなしでも何も失礼ではないのに、女性には ヒールを履かないと失礼と言うのはなんだかモヤモヤを感じます。災害時にヒールで避難 や移動するのは不安でもあります」。次は学生の方ですね。結構、学生の方も就活中のリク ルートスーツもそうですが、「アルバイトをしている中で、パンプスやヒールを指定されて すごく困っています」という方も多かったです。例えば劇場とか、そういうところでヒール やパンプスを指定されたという方も何人かいらっしゃいました。あとは就活中ですね。「就 活中にマナー講師から指示され、パンプスを買い、足に合わないと思いながら使い続けた経 験があります。フィッティングの時点ではいけると思うけど、実際、一日中履き続けたら痛 くなるのがパンプスの厄介なところだと思います。道中で履き替えろという人もいますが、
それだけで荷物は増えるし、なぜ女性だけがそんな苦労をしなくてはいけないのか」「フォ ーマルに合いそうな靴ならほかにもあるのに、なぜ女性はヒールなのか疑問だった。女性差 別では」「接客業、営業職だったのだが、歩き回る仕事なのにヒールを実質強制する合理性 を感じなかった。きつい言い方をすると、普段ヒールを履かない、履いたことのない人間に よる女らしさの押し付けじゃないかと思った」という方もいらっしゃいました。なぜ男性に は課されていないヒールやパンプスというものが、女性にだけ課されるのかということに すごく疑問や憤りを感じていらっしゃる方が多くて、女性差別ではないのか、ハラスメント ではないのか等、いわゆる見た目に対しての決まりや清潔感プラス美しさのようなものが、
女性だけに求められていることが納得いかないという意見がとても多くみられました。
実際にヒールやパンプスを指定されている方々の多くが、靴ずれであったり、外反母趾、
あと爪が割れる、腰痛などの健康被害に悩まされていました。そういうヒールやパンプスの
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規定を設けている企業が、例えばその例外として認める場合、パンプス以外のものを履いて もいいと企業が許可する条件として、医師の診断書の提出が必要だったり、しかもひと月に 1回診断書を提出しないといけない等、厳しいところもあって、なかなか本当に厄介なルー ルだなと思いました。「靴ずれや締め付けが原因でしびれがとれなくなった。2年ほどしび れ続けている」「指先に負担がかかり爪の内部が出血したり、長時間着用後は素足でも歩行 が困難なほどに足裏に激痛が走る。ひどいときは痛みによる寒気や吐き気も覚える」「ハイ ヒールで滑って階段から落ちた」「湿気で足の裏の皮がめくれ、かかとの靴と接する部分か ら流血。それをかばうためにおかしな歩き方になった」等、ヒールを履く足をかばうために、
腰痛だったりおかしな歩き方になったという方は多かったですね。あと、「今も定期的に通 院しながら何とかパンプス、ヒールを履いています」という方もいらっしゃいました。
このようにつらい思いをしながらヒールやパンプスを履き続けている方々ですが、よく この『#KuToo』の SNS であったり社会の反応見ていると、「それならば、その会社に抗議す ればいいじゃないか」と言う方も結構いるのですが、実際にアンケートを見たり、直接会っ て取材したりしていても、やはりなかなか会社には言えないのです。会社に抗議したという 方は本当にほとんどいらっしゃらなくて、これは後でしっかりした数字も出そうと思って いますが、靴ずれしたところに絆創膏貼ったり、靴を履き替える等、本来ならばしなくても いいはずの、男性はしていないような工夫をしながら、なんとかやり過ごしているというの が現状です。
実際に、例えば会社に声を上げても無視されたり、そのことを理由に、その後の風当たり が冷たくなった、きつくなったという方もいらっしゃいました。中には、こうした身だしな み規定がもうつらくて、そのことを理由に転職したり、その仕事自体をあきらめるという方 も本当に複数人いらっしゃいました。私が話を聞いた中でも、新卒で入っても、これがきつ くてすぐ辞めましたという方も本当に何人かいらっしゃいました。
また幾つか声を紹介しますね。「本部にパンプスの強制をやめるように投書したが変わら なかった」これ、すごく多かったです。「会社側に掛け合ったが、マナーだからと一蹴され た」こういう声も本当にたくさんありました。「履き慣れていないのでまともに歩けず、相 談したが、わがままと捉えられた。足の変形と頭痛、腰痛発症で仕事をあきらめた。血まみ れの足で歩くのがマナーなのかとショックを受けた」「ヒールは素敵だが、営業先が喜ぶと ピンヒールを与えられたのはプレッシャーだった。上司は社長でもあったので、好みの押し つけに耐えられず、最終的に仕事を離れた」「マナーと言われれば何も言えなかった。つら いことがわかっていて選択することはできなかったので、ヒールやパンプスを履かなくて いい仕事に就いた」等。例えば、就活ですでにヒールやパンプスに悩んでいるという学生さ んのお話を聞きましたが、そういう方々は、企業の面接、合同面接会でも、「そこに来てい る女性の方の足元に注目しています」という方がいらっしゃいました。就活の時点では、そ の会社がどういう身だしなみ規定を設けているのか開示していないところがほとんどなの で、実際にその面接などに来ている女性の方の社員が、ヒールやパンプスを履いていたので あきらめましたという就活生もいらっしゃいました。
あと、私も記事にした時に直接聞いたのは、いわゆるコンサルティング会社に入社して、
その内定式のときに、先ほど説明したような身だしなみのパンフレットをもらって、それに