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Academic year: 2021

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1 コミュニティ福祉学研究科紀要 第 15 号(2017)

巻頭言

本紀要は今号で第15号になる。第1号は2003 年 3 月に発行されている。同号には出発したば かりのコミュニティ福祉学研究科の前期課程 1 年次の学生たちにより執筆された6本の論文、2 本の研究ノート、2 本の翻訳が掲載されている。

当時の研究科委員長の坂田周一教授による巻頭 言には「コミュニティ福祉研究科がスタートし て 1 年が過ぎ、その成果が『研究紀要』に結実 したことを喜びたいと思います。そして、しり 込みをする人もいるなかで、果敢に成果を発表 した投稿者諸君の勇気を讃えたいと思います。

論文を発表することは学問の発展に一石を投じ るばかりでなく、その当人にとっては、自分を 客観的にみつめることであり、他者による検討 に身を委ね、他者からの批判を活かすことであ り、自らを相対化することであり、自分の思考 を今よりも前に進めることです」と記されてい る。

本紀要には毎年ほぼ10本前後の論稿を掲載し 続けて来ており、15 号目を迎えた本号にも投稿 者諸氏が果敢に成果を発表している。過去の号 の目次のタイトルを見てみても多彩なテーマに 院生諸君が取り組んできていることが分かる。

研究を進めていく上で大切なのは、当然のこと ではあるが、何を明らかにするためにその研究 を行うかということである。そのことを知る手 掛かりが論文のタイトルである。それだけにタ イトルは、論文の内容を明確かつ正確に示すよ うに工夫する必要がある。

タイトルを決めるプロセスは、著者にとって は自分がその論考で述べようとしていることを 自覚化していく過程にもなる。しかしこの確認 作業が十分になされないまま執筆を始めてしま

うと読み手には論文の目的がどこにあるのかが 伝わらないことにもなる。私たちが研究に取り 組む際には、いくつかのレベルでのテーマ設定 が求められる。1冊の著作や博士論文などのよう に長期の時間をかけながら独自の視点から新た な課題に切り込んでいくという意味での大きな テーマ設定のレベルのものがひとつである。し かし、いきなり大きなテーマにアプローチする ことは難しい。大きなテーマをいくつかに切り 分けて下位のテーマを設け、それを博士論文や 著作でいえば部あるいは章ごとのテーマとして 設定する。論文でいえばまさにタイトルがそれ にあたる。

論文の内容を明確に伝えるためには、タイト ルとともに論文の構図を事前に描くことが大切 である。論文を執筆する背景にはどのようなこ とがあるのか、研究目的を達成するための手段 はどのようなものかなどの見通しを持つ必要が ある。科研費の申請書の書式はこの点で参考に なる。申請書式の「研究目的」では、研究の全 体構想及びその中での当該研究の具体的な目的 について概要を簡潔にまとめて記述することが 求められ、さらに①研究に関連する国内・国外 の研究動向及び位置づけ、着想に至った経緯な どの学術的背景、②研究期間内に何をどこまで 明らかにしようとするのか、③研究の学術的な 特色・独創的な点及び予想される結果と意義が 求められる。

どんなに独創的だと思ってもそれが独り善が りでは困る。そうならないためには先行研究に あたり、研究動向を確認したうえで自分の進め ようとしている研究を位置づける必要がある。

また課題に独創性があってもその課題を研究す

試行錯誤による成果

コミュニティ福祉学研究科委員長 三本松 政之

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試行錯誤による成果

るための具体的な方法が必要となる。申請書式 では「研究計画・方法」で、「研究を遂行する上 での具体的な工夫(効果的に研究を進める上で のアイディア、効率的に研究を進めるための研 究協力者からの支援等)についても、焦点を絞 り、明確に記述してください」としている。研 究の実践には、限られた研究期間内に当該研究 において何をどこまで明らかにしようとするの かという具体性が求められる。論文執筆で言え

ば、何を明らかにしようとしているのかを明確 に示す必要がある。そして書き上げた論文にそ れが明確に示されているか確認し、推敲する作 業が求められる。

本号に掲載された論稿もそのような試行錯誤 の成果であろう。論文を書き上げることで次の 課題が明らかになる。本号での果敢な取り組み が執筆者諸氏の次の成果につながることを期待 したい。

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