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はじめに(pdf)

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Academic year: 2021

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main : 2013/4/8(11:48)

は じ め に

この第6巻『量子ビーム物質科学』が扱う対象は ,第5巻と同じく私たちの 身のまわりにある物体,すなわちアボガド ロ数に相当する1023個という膨大な 数の原子・分子が集まって構成させる物質世界である.私たちはふだん ,身近 にある物質がこのような「原子・分子の凝集体」であることを意識することな く,銅やアルミといった金属が電気を流し ,あるいは水晶やガラスが光を透過 する,といった性質を経験的に知っている.これら目に見える性質は「巨視的 な物性」と呼ばれるが ,物質科学を体系的に理解しようとする場合,この巨視 的な性質で対象物質を整理し ,それぞれの性質がどのようなメカニズムで現れ るかを ,量子力学を使って原子レベルから解き明かす,というのが最もオーソ ド ックスなやり方であり,第5巻『物質科学の基礎』においても,ある程度そ のような構成が踏襲されている. 一方で ,特に実験科学としての物質科学を学ぶ別の切り口として ,実験研究 の手段・手法に着目し ,それらを使ってどのような情報を引き出すことができ るか ,という視点から物質科学を眺めてみることも,この分野の理解にとって 有効であろう.本書では ,そのような意図に基づいて ,加速器をベースにして 得られる量子ビームを網羅的に取り上げ ,それらが実際どのように物質研究に 用いられているのかを具体的に詳述している.これらの手法はいわば先端技術 を駆使した「飛び道具」であり,大学の研究室で可能な ,比熱,磁化,電気抵 抗測定といった巨視的性質を測る実験手法と比べると大掛かりで ,必ずしも日 常的に使えるというものではないが ,原子スケールでの情報を直接的かつ高精 度で得ることができるという点で極めて重要であり,これらの手法を自在に使 いこなすことができれば ,より深いレベルで物質の性質や機能を理解すること が可能となる. ところで ,本書を手に取った後に ,読者がこれらの手法を実際に使ってみた

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main : 2013/4/8(11:48) iv は じ め に いと思った時にはど うすればよいだろうか? 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では ,ここで取り上げられた量子ビー ムすべてを「大学共同利用」という形で ,大学およびそれに準じた研究機関の 研究者に公開している.実験課題の募集は毎年一,二回定期的に行われており, 応募された課題は専門家による審査を受けて採否が決まるが ,採択された実験 の実施に際しては旅費も含めてKEKからの実験支援システムが整えられてい る.したがって,基本的に量子ビームを使う「よいアイデア」(=課題審査をパ スするような)さえあれば ,誰でも利用可能になっているのである.読者の皆 さんが ,本書にふれたことを機会にこれら量子ビームを自らの研究に使ってみ よう,という気になって頂ければ筆者全員の本望とするところである. なお,末筆になったが ,本書の成立に際しては第6巻と同様に高エネルギー 加速器研究機構 物質構造科学研究所 元所長(同名誉教授)の木村嘉孝先生,お よび共立出版編集部の吉村修司になみなみならぬご尽力を賜ったことを特記し , この場を借りて執筆者一同に代わり深く感謝申し上げる次第である. 2013年2月   執筆者を代表して  門 野 良 典  

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