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<FOCUS> 目先は悪化リスク抱える経済指標 脆弱さ残る金融市場足元の金融市場は徐々にだが落ち着きを取り戻しつつある リーマン ショック以来の急落を示した S&P 指数は 直近ピークから約 17% 下落した後 先週 9 日の FOMC における追加緩和策 1 もあって足元は約 6% 値を戻している

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Academic year: 2021

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BTMU Focus USA Weekly/ August 16, 2011 Page 1

三菱東京UFJ銀行 経済調査室ニューヨーク駐在情報

The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd. Economic Research Group (New York) Toshiki Iwaoka 岩岡 聰樹 Managing Director & Chief Economist +1(212)782-5701, tiwaoka@us.mufg.jp 来週の Weekly は出張等のため休刊 とさせて頂きます。よろしくお願い 申し上げます。 August 16, 2011 目先は悪化リスク抱える経済指標  足元の金融市場は徐々に落ち着きを取り戻しつつあるが、LIBOR 金利が上昇傾向を辿るな ど、短期金融市場における流動性はタイト化した状況が続いている。グローバルな景気失 速や欧州債務危機に対する懸念が燻るなか引き続き脆弱さを抱えていると言える。  当面は、追加緩和や財政出動の有無など政策対応が焦点になるが多くは期待し難いように 思われる。一方、肝心のファンダメンタルズ面においても、今後公表される経済指標、特 に 8 月以降の指標については一段と悪化するリスクも見ておく必要がありそうだ。  雇用面では、株式市場を中心とした先行き不透明感の強まりは、企業の雇用スタンスを冷 え込ませる可能性がある。VIX 指数が急上昇した局面では、若干のラグを伴って新規失業 保険申請件数が増加を余儀なくされている。企業による雇用の増減はかなり弾力的に行わ れている。  また、消費マインドの悪化が目立っている点にも注意が必要。急激な消費マインドの悪化 は、過去の景気後退局面の初期に起きているケースが多い。  もちろん、金融市場混乱の悪影響が軽微なものに止まる可能性もあるが、グローバルに金 融市場の混乱が拡大したことや、仮に米国経済が二番底に向かう事態となれば、2000 年代 以降の日本が経験したようにデフレ・リスクが本格的に高まる虞があることも踏まえると、 当面は慎重に経済指標を確認していくことが必要であろう。  今後、金融市場の緊張が続き、経済指標が更なる景気失速を示唆するような動きとなれば、 バーナンキ議長率いる FRB は追加緩和に踏み切る可能性が高まろうが、今回の株価急落 局面においてエネルギー関連株の調整幅が大きくなっていることに鑑みるに、歴史的な金 融緩和と資源高を背景とした株価上昇による景気押し上げには限界もあることが確認さ れたようにも思われる。 <FOCUS>

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BTMU Focus USA Weekly/ August 16, 2011 Page 2 <FOCUS> 目先は悪化リスク抱える経済指標 脆弱さ残る金融市場 足元の金融市場は徐々にだが落ち着きを取り戻しつつある。リーマン・ショック以来の急落 を示したS&P500 指数は、直近ピークから約 17%下落した後、先週 9 日のFOMCにおける追加 緩和策1もあって足元は約 6%値を戻しているほか(第 1 図)、一時、2.1%を割り込んだ米国 10 年債利回りも、ここ数日は 2.2%台での揉み合いとなっている。 ただ、LIBOR 金利が低水準ながら上昇傾 向を辿るなど、短期金融市場の流動性はタ イト化した状況が続いている(同図)。S&P による米国格下げを一つのきっかけとした 金融市場の緊張は総じてみれば緩和する方 向にあるものの、グローバルな景気失速や 欧州債務危機に対する懸念が燻るなか、金 融市場は引き続き脆弱さを抱えた状況にあ ると言える。 第1図:株価/短期金利の推移 1000 1100 1200 1300 1400 11/1 11/2 11/3 11/4 11/5 11/6 11/7 11/8 (年/月) (指 数 ) 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 (% ) S&P500(左目盛) Libor3M(右目盛) Libor1M(右目盛) (資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 8 月以降の経済指標は失速感強まるリスク 当面は、追加緩和や財政出動の有無など 政策対応の行方が引き続き焦点になるとみ られるが、インフレの動向や財政健全化論 議の加速など、これまでの経緯を踏まえる と両者に多くは期待し難いように思われる。 他方、肝心のファンダメンタルズ面にお いても、今後公表される経済指標、特に 8 月以降の指標については一段と悪化するリ スクも見ておく必要がありそうだ。先週の Weekly で指摘したように、今般の金融市場 の混乱は自己実現的に実体経済を冷え込ま せる可能性が相応に高いためである。 第2図:VIX指数と新規失業保険申請件数 10 20 30 40 50 60 70 80 07 08 09 10 11 (年) (指 数 ) 300 350 400 450 500 550 600 650 700 (千 人 ) VIX指数 新規失業保険申請件数(右目盛) (注)新規失業保険申請件数を8週間遅行させて表示。 (資料)労働省資料、Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 リーマン・ショック ギリシャ危機 東日本大震災 世界株安 まず、雇用面においては、株式市場を中 心とした先行き不透明感の強まりは、企業 の雇用スタンスを冷え込ませる可能性があ る。ボラティリティを表す VIX 指数を金融 市場における不透明感として捉えると、過 去、同指数が急上昇した局面では、若干の ラグを伴って新規失業保険申請件数が増加 を余儀なくされている(第 2 図)。企業に よる雇用の増減はかなり弾力的に行われて いると言えるだろう。 1 8 月 9 日付 Topics ご参照。

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注意要する消費マインドの急落 第3図:ミシガン大学・消費者センチメント 50 60 70 80 90 100 110 120 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 (年) (注)振れの小さい現況指数を表示。シャドー部分はリセッション期。 (資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 また、消費マインドの悪化が目立ってい る点にも注意が必要であろう。先週公表さ れた 8 月のミシガン大学・消費者センチメ ントは、現況が 69.3 ポイントと、前回景気 後退局面以来の急落を示している(第 3 図)。 もともと振れの大きい統計である点は割り 引く必要はあるが、急激な消費マインドの 悪化は、過去の景気後退局面の初期に起き ており、消費マインドが米国個人消費に及 ぼす影響が極めて大きいことを示唆してい る。 実際、1990 年以降について仔細に見ると、 消費マインドが大幅な悪化を示した局面で は、個人消費が失速ないしは減少を余儀な くされているケースが多い(第 4 図)。既 に 4~6 月期の個人消費は急減速している ため、ここからさらに落ち込むかどうかは 読み難いが、これまでの個人消費失速はエ ネルギー高による購買力低下が主因であっ たとすれば、7~9 月期の個人消費が今度は 株安に伴うマインド悪化により下押しされ るリスクも否定は出来ないであろう。今後、 株式市場を中心に金融市場の先行き不透明 感が強い状況が継続してしまった場合には、 株価に対する感応度の高い耐久消費財を中 心に個人消費が抑制されるリスクもみてお く必要があるように思われる(第 5 図)。 第4図:消費者センチメントと実質個人消費 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 (年) ( 前期比 年率 、 %) 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 個人消費(左目盛) 消費者センチメント(現況、右目盛) (資料)商務省統計、Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 今回の世界株安が示唆するもの 第5図:株価に対する個人消費の弾性値 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 耐久財 非耐久財 個人消費全体 サービス (ポ イ ン ト ) (注)株価と個人消費の変動率を単回帰したもの。    計測期間は過去2年間、サービスのみ2四半期ラグ。 (資料)商務省資料、Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 もちろん、金融市場の調整に伴う経済へ の悪影響がごく軽微なものに止まる可能性 も残っている。今後の政策対応等により、 金融市場の不透明感が急速に払拭される展 開となれば、例えば 2005 年のハリケーン・ カトリーナ襲来時のように、消費マインド 悪化の影響が、一時的かつ限定的なものと なることが期待できる(前掲第 3・4 図)。 また、既に足元の金融市場は今後の景気後 退リスクまで織り込んでおり、今後、経済 指標が悪化してもネガティブに反応しない 可能性もあるだろう。

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ただ、グローバルな景気減速や、欧州の債務危機拡大に、無用とも言える米国の債務上限問 題を巡る混乱や格下げが重なることで金融市場の混乱が拡大してしまっただけに、足元で見え つつあったエネルギー高の緩和や震災後のサプライ・チェーンの復旧といった景気持ち直し要 因が相殺されるリスクについて、当面は慎重に確認していくことが求められる。 また、上述した消費者センチメントが再び歴史的低水準に落ち込むなど、米国経済の長期停 滞リスクを示唆する指標も増えている。仮に、景気回復期に入って 2 年足らずの米国経済がデ フレ・ギャップを抱えたまま二番底に向かう状況となれば、2000 年代以降の日本が経験した ようにデフレ・リスクが本格的に高まる可能性があることも踏まえる必要がある2 なお、金融市場においては、FRB による量的緩和の強化を期待する向きも多く、実際、金 融市場の緊張が続き、上に見たように経済指標が更なる景気失速を示唆するような動きとなれ ば、バーナンキ議長率いる FRB は追加緩和に踏み切る可能性が高まろう。しかし、今般の株 価急落局面においては、エネルギー関連株の調整幅が大きくなっている(第 6 図)。5 月 18 日付 Weekly で指摘した通り、今次景気回復局面では、歴史的な金融緩和が続くなか、資源高 を背景としたエネルギー関連株の上昇が景気を押し上げていた面があった。今回の金融市場の 混乱はあくまで複合的な要因によるものだが、雇用・所得環境の本格回復を伴わないなかでの 資源高・株高に持続性はなく、結果的に景気の自律回復を遅らせることが確認されたと捉える ことも出来るように思われる。 <FOCUS> 第6図:業種別S&P500の推移 0 100 200 300 400 500 600 700 06 07 08 09 10 11 (指 数 ) 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 (指 数 ) エネルギー 情報技術 ヘルスケア 資本財・サービス 金融 S&P500(右目盛) (注)直近は8月16日終値。時価総額上位5業種を表示。 (資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 2 1 月 4 日付 Topics ご参照。

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BTMU Focus USA Weekly August 16, 2011 Page 5 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、金融商品の売買や投資など何らかの行動を勧誘す るものではありません。ご利用に関しては、すべてお客様御自身でご判断下さいますよう、宜しくお願い申し 上げます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当室はその正確性を保証する ものではありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。また、当資料は著 作物であり、著作権法により保護されております。全文または一部を転載する場合は出所を明記してください。 The information herein is provided for information purposes only, and is not to be used or considered as an offer or the solicitation of an offer to sell or to buy or subscribe for securities or other financial instruments. Neither this nor any other communication prepared by The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd. (collectively with its various offices and affiliates, "BTMU") is or should be construed as investment advice, a recommendation to enter into a particular transaction or pursue a particular strategy, or any statement as to the likelihood that a particular transaction or strategy will be effective in light of your business objectives or operations. Before entering into any particular transaction, you are advised to obtain such independent financial, legal, accounting and other advice as may be appropriate under the circumstances. In any event, any decision to enter into a transaction will be yours alone, not based on information prepared or provided by BTMU. BTMU hereby disclaims any responsibility to you concerning the characterization or identification of terms, conditions, and legal or accounting or other issues or risks that may arise in connection with any particular transaction or business strategy. While BTMU believes that any relevant factual statements herein and any assumptions on which information herein are based, are in each case accurate, BTMU makes no representation or warranty regarding such accuracy and shall not be responsible for any inaccuracy in such statements or assumptions. Note that BTMU may have issued, and may in the future issue, other reports that are inconsistent with or that reach conclusions different from the information set forth herein. Such other reports, if any, reflect the different assumptions, views and/or analytical methods of the analysts who prepared them, and BTMU is under no obligation to ensure that such other reports are brought to your attention.

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