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Medical Journal of Aizawa Hospital

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(1)

社会医療法人財団

慈泉会 相澤病院

Medical Journal of Aizawa Hospital

ISSN 1882

ー

0565

相 澤 病 院 医 学 雑 誌   第 6 巻   別 冊   相 澤 病 院 看 護 部 講 演 集 社 会 医 療 法 人 財 団 慈 泉 会 相 澤 病 院

相澤病院看護部講演集

(2)

社会医療法人財団

慈泉会

相澤病院

Medical Journal of Aizawa Hospital

6

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巻頭言………伊藤紀子

看護研究

脳卒中患者における転倒・転落の傾向と転倒予防に関する研究………黄 碩 他 1 救急病棟における身体抑制に関するアセスメントシート作成に関する研究………羽根田 泉 他 5 手術室の BGM についての効果と有用性に関する検討 ………川上和起 9 救命救急センターでの待ち時間における患者・家族の気持ち ―アテンディングナース導入の影響― ……… 澤 玲 他 11 直接授乳確立に向けての援助 ―ニップルシードの使用により直接授乳に拒否的となった初産婦への看護を通して― ………小倉佳奈 15 当院における糖尿病教育入院時アンケートの患者の傾向分析………竹内結実子 他 17 ダブルセットアップとなった産婦への看護に関する検討 ―産婦の心理に焦点をあてて― ………藤本理沙 21 外来・病棟にて行われる CT 検査説明の現状と今後の課題 ―看護師へ認識調査を行ってみて― ………浦野紗家子 他 23 内視鏡治療を受ける患者への説明 ―大腸ポリープ切除術を受ける患者への調査を試みて― ………小畑亜弥 他 27 アンケート調査による業務改善 ―上部消化管内視鏡検査における外来患者の満足度調査― ………大滝奈弥 他 33 穿刺時間の改善による快適性と安全性の検討………田中美樹 他 37 当院 ICU・CCU における緊急入院時に行うオリエンテーションに対する 家族の想いについて………都留拓也 41 身体抑制に対する看護師の意識調査と今後の展望 ―急性期の脳外科・神経内科病棟における身体抑制― ………小島圭太 他 45 入院患者が気になる騒音について ―より快適な療養環境の提供に向けて― ………竹内 忍 他 47 嚥下障害のある患者に対する水分摂取の進め方………倪 秀芸 他 49 大腿骨近位部骨折患者に対する退院マネジメントの検討………野中雅代 他 51

社会医療法人財団

慈泉会

相澤病院

相澤病院医学雑誌

Medical Journal of Aizawa Hospital

第6巻

別冊

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冠動脈バイパス術を受ける患者の周手術期看護 ―身体的・心理的看護援助の事例検討― ………安田好江 他 53 HCU 病棟での看護についての一考察 ―夜間入院時の看護を中心に― ………北島由賀子 55 褥婦が入院生活に求めるもの………徳泉沙耶 59 外来化学療法における標準治療導入後の看護師の役割の変化についての検討……中澤こずゑ 他 61 Walk-in(独歩受診患者)を対象とするトリアージマニュアルの作成 ………松澤隆之 他 63

事例検討

終末期の患者と家族との関わりを通して学んだこと………両角美雪 71 ターミナル期患者の傍に寄り添うことの意味 ―患者と自分の関わりを振り返って― ………池亀沙織 73 ターミナル期にある患者との関わりを通じて………小林希与子 75 終末期にある患者との関わりを通して学んだこと………中山 幸 77 在宅医療を必要とする患者・家族への関わりから学んだこと………唐澤陽子 79 患者・家族との関わりをとおして学んだこと………唐澤千寿子 81 ADL の援助が必要な患者から学んだ事 ………待井 恵 83 終末期患者との関わりを通して学んだこと………養田美夏 85

(5)

相澤病院医学雑誌 別冊

「看護研究・症例」発刊にあたり

社会医療法人財団慈泉会相澤病院 院長補佐(看護部病棟担当) 看護部教育委員長

伊藤

紀子

看護職の成長を考える上で,看護職2年目での看護研究・症例検討は大変意味のあるものだと考え,平成 19年度看護部看護研究・症例検討発表会を開催いたしました. 看護職となり1年が経過し,いわゆる日常の看護業務には,慣れてきた頃です.看護業務は,本来一つひ とつの看護の積み重ねです.例えば,同じ処置や看護技術を考えるとき,病棟の決まりごとや慣例として実 施することは業務,患者さんの状態を観察し,個別性を考え実施することが看護だと思います.この違いに より,必然的に患者さんに看護ケアを提供するときの思いが変わってきます.思いの違いが行動に現れ,当 然その結果も変わってきます. 看護職1年目は,日々忙しいため,仕事に慣れることに精一杯です.効率的に実施することを考えるあま り,看護の積み重ねの部分を考える余裕が無く,日常業務を中心に考えがちです.本来,どんな看護を行い たいと思っていたのか,自分が行いたかった・大切にしたい看護とは何であったのかが薄れてしまっている 現状にあると思います. 看護職2年目となり,日常の看護業務にはさほど困らなくなってきた今だからこそ,今一度,患者さんや ご家族と向き合うことに意味があります.これまで提供した看護のまとめを行い,今後目指すべき看護の方 向性,そして何より自分自身の看護観をみつめて欲しいと思います. 今回,看護研究や症例検討をまとめることや,文献検索や同期・様々な先輩と意見を交わすことで,自分 の意見が明確となり,学びも得たことと思います.また指導にあたった先輩看護職の皆さんも学びを深める 良い機会となったと思います.その体験や学び・思いを今後の糧として,看護の実践者として成長して欲し いと思います. 当院の看護教育システムは,スタッフ全員が参加し,お互いの成長を高めあうことができる教育体制で す.看護職2年目のみならず,お互いの成長を高めあうような関わりができるように,看護部の皆さん全員 のご協力をお願いいたします. 平成21年3月

巻 頭 言

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看護研究

脳卒中患者における転倒・転落の傾向と

転倒予防に関する研究

黄

碩,北原布紗子,甲斐千尋,加藤潔香

小林あゆみ,青柳千代子

Key words:脳卒中,転倒転落,予防 はじめに 入院患者における転倒・転落事故は,患者自身に おける身体的・精神的外傷の大きな原因となると共 に,その身体的・精神的外傷が身体活動へと悪影響 を及ぼし,合併症などを生じて予期せぬ結果を招く ことがある.当科は脳卒中疾患の患者が多く,転 倒・転落事故が多い傾向がある.そのため,原則と して入院・転科した時点で入院時評価を行い,転 倒・転落事故のリスクを判断した上で必要に応じ 様々な対策を行っているが,実際には予防しきれず 転倒・転落事故へとつながった症例も少なからず経 験している.当科において発生した転倒・転落事故 症例を通し当科における転倒・転落事故の傾向を検 討すると共に,転倒・転落事故後に行った予防策の 効果と有用性について,検討を行った. 研究方法 平成19年6月1日∼平成19年8月31日までの3ヵ 月間に5A病棟に入院した脳卒中患者78名中,入院 時の評価(転倒・転落アセスメント)において転 倒・転落事故の高リスク症例と判断されたため転倒 予防策を行った33名を対象とした.これらの症例に おける年齢・病名・麻痺の有無・高次脳機能障害の 有無・転倒歴・転倒場所・時間・自立度・事故まで の入院日数ならびに実際に行われていた対策に関し て分析を行った. 結 果 当科においては,入院時に評価を行い,表1にあ げる危険因子を持つ症例を「転倒・転落事故の高リ スク症例」と判断し,症例に応じた対策を行うこと にしている.当科において転倒予防策として行われ ている対策を表2に,対象となった33例に対し実際 に行われた対策を図1に示す.転倒・転落予防策と しては,表2に示すようなベッド周囲の環境設定の 他に,これまでの経験より尿意に伴う行動が転倒・ 転落事故につながることが多いため,一定時間でト 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 5A病棟(リハビリテーション科) 表1 転倒・転落の危険因子 ①見当識障害・せん妄・不穏等の意識障害 ②判断力・記憶力・理解力の低下 ③失行・失認・失語・半側空間無視などの高次機能障害 ④筋力低下・関節可動域制限 ⑤運動麻痺 ⑥移動に介助が必要。装具や器具使用 ⑦めまい・ふらつきなどの起立障害 ⑧皮膚感覚異常・視力や聴力障害 ⑨睡眠剤・安定剤の使用 ⑩夜間トイレに行く.トイレ介助が必要

Medical Journal of Aizawa Hospital Vol. 6 Suppl. 1 (2008) 相澤病院医学雑誌 第6巻 別冊1:1−3(2008)

図1 当病棟での転倒予防策

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イレ誘導等も行った.対象患者33名の内,実際に転 倒・転落事故に至った患者は13名あり,その後新た な転倒予防策を追加しても,尚転倒した症例が3例 あった.転倒を繰り返す症例においては,集計した 情報以外にも転倒のリスクとなる原因があるのでは ないかと考え検討を行ったところ,転倒した13名の うち高次脳機能障害である注意障害を伴う患者が12 名あり,さらに非利き手側に麻痺を認める患者が7 名あった(表3).この結果より,転倒・転落事故 に至る原因,特に繰り返して転倒・転落事故を起こ す原因として,麻痺の存在以外に高次脳機能障害 (表4)特に注意障害・記憶障害・視空間機能障害 が関与すると考えられた. また,SCU(脳卒中ケアーユニット)又は5B(脳 外科病棟)から転科後一週間以内での転倒が多い傾 向があり,高齢・環境の変化・せん妄状態といった ことが原因となり,転倒が起こったのではないかと 考える. 考 察 脳卒中により日常生活動作(ADL)が低下した 患者は,脳卒中という疾患とともに多くが高齢者で あり,体力の低下を来しやすい.また,今まで日常 的に容易に行なってきた事が出来なくなり,少しで も自分自身でやりたいという思いがありながらも, 他者の介助を受けなければならないと言った心理的 ジレンマが生じる.リハビリが進み ADL が回復す るに従って,心理面においても「この程度であれば 自分で出来るだろう」という思いへと変わり,そこ へ注意障害や視空間無視といった高次脳機能障害が 加わると転倒・転落へとつながる危険行動へとつな がると考えられた.特に,利き手ではない側の片麻 痺の患者は高次脳機能障害の中でも非優位半球の障 害に伴う病態失認といった障害を伴うことも多く, 麻痺を忘れて行動してしまいやすい.このような高 次脳機能障害の存在が,転倒リスクを高くしている と考えられた. 実際,今回13名の転倒・転落患者の内3名が再転 倒したが,その内2名の転倒の原因としては,高次 脳機能障害(視空間認知や注意障害など)が密接に 関わっていたと考えられた.またもう1名は,不穏 状態であったため看護師の予測を超えた行動の末に 起こった転倒であった. まとめ リハビリテーションを主体とする当科における患 者看護においては,患者の ADL も認知レベルも病 状の変化とともに徐々に変化するため,随時リハビ リスタッフと連携をとり,介入策の見直しをしてい くことが重要である. また,高次脳機能障害のある患者に対しては,注 意事項を毎日繰り返して言葉に出して言ってもら う,ベッドサイドに目に入るように図2を掲示して 潜在学習を行うといった方法を用いて脳の活性化を 促し,意識付けしていくような介入がリハビリテー ション的には有用であるとされている.転倒・転落 表2 一般的対策 ①ベッドの位置(ベッド壁付け):降りる場所を減らすため ②ベッドの高さ(低床ベッド):転落時の衝撃,損傷が少な いように立ち上がりやベッドへの腰掛けが,スムー ズに行えるよう,患者の体格にあったベッドの高さ とする. (膝を直角に曲げて腰をかけた時に,両足底が平ら に床に付く状態を目安にする) ③柵の数:3点柵→立位保持・歩行可能な人 Ns コール使用可能,又は曖昧な人 認知障害があり,自力座位可能な人 4点柵→体動が激しい人.自力座位・立位保持 が不可能な人 上記に該当する人で Ns コール使用理 解が曖昧な人 ④柵固定:自力座位が取れない人で,柵外しによる転落を 防止するため ⑤床マット:転落時の外傷を防ぐため ⑥センサーマット設置:認知障害があり,Ns コールの使 用ができず独歩することにより転倒の危険がある人 ⑦トイレ誘導 表3 麻痺,高次脳機能障害,その他の因子と転倒転 落との因果関係 ・片麻痺による起立不安定や視空間認知障害にて,ベッド より転倒・転落を起こす ・せん妄や不穏状態に視空間機能障害により,危険認識の 低さから転倒 ・片麻痺による起立不安定+注意障害により,一人で行動 し転倒 ・失調や危険認識の低下からの転倒 表4 高次脳機能障害とは? ・言語障害:話せない.話しにくい.聞いて理解できな い. ・注意障害:注意が散漫になる.同時に幾つかの事が出来 なくなる. ・失行:物の使い方が分からなくなる. ・失認:目に映る空間認識ができない. ・記憶障害:短期記憶が難しい. ・遂行機能障害:行動の見通しを立てられない. ・視空間機能障害:半側空間無視 2 黄 碩 他

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事故を防ぐためにはベッド周囲の環境設定といった 一般的対策に加え,リハビリテーションスタッフの みでなく長い時間患者と関わる看護師もこのような 高次脳機能障害を意識して接することで注意障害・ 記憶障害の改善につなげる事が重要であると考えら れた. 引用,参考文献 1)原寛美監修,相澤病院総合リハビリテーションセ ンター執筆:脳卒中リハビリテーションポケット マニュアル.東京:医歯薬出版,2007 図2 脳卒中患者における転倒・転落の傾向と転倒予防に関する研究 3

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看護研究

救急病棟における身体抑制に関する

アセスメントシート作成に関する研究

羽根田

泉,丸山真由美,山本なぎさ,大塚のぞみ

田中里美,谷こづえ

Key words:身体抑制,身体拘束,アセスメント Ⅰ.緒 論 老後生活最大の不安である介護を社会全体で支 え,高齢者の自立を支援することを目的とした介護 保険制度が2000年4月より施行された.それに伴 い,2001年3月には厚生労働省より「身体拘束ゼロ への手引き」1)が公表されたが,医療・看護の現場 における身体拘束は手術後の患者や精神・知的能力 に障害がある患者に対する看護技術の一つとして, 安全を確保する目的から必要に応じて行われてい る.患者 の 身 体 拘 束 は 当 院 で は「身 体 抑 制」(以 下,抑制とする)の名称のもと,その適応条件が定 められているとともに,実施時には患者・家族の同 意を得る必要があるなど,厳密にマニュアル化され ている.しかし,実際の抑制の適応・不適応や開 始・解除時期などについての判断は担当看護師に依 存しており,看護師個人の経験や看護感によりその 判断には個人差があり,時に不必要あるいは過剰な 抑制の実施といった結果を招く事がある.また,安 易な抑制は身体機能の低下につながるばかりでな く,意欲低下や睡眠障害,食欲低下など患者の回復 を阻害する結果を引き起こす恐れもある.以上のこ とを踏まえ,抑制の実施に至るまでの3C病棟にお ける統一された判断基準の確立を目指し,独自のア セスメントシートを作成し実際に病棟に於いて使用 した.本アセスメントシートの作成ならびにその妥 当性と使用に伴う効果に関する検討結果を報告す る. Ⅱ.研究方法 1.アセスメントシートの作成 アセスメントシートは,本研究の研究期間より以 前に3C 病棟に入院し,かつ抑制を実施されていた 4名の患者の経時的看護記録をもとに病状経過と抑 制の必要性などを検証し,その結果を基に抑制が必 要となる状況を抽出し,それらの項目を抑制の必要 度に応じて点数化し,表1のような抑制アセスメン トシートを作成した.アセスメントシートの作成に 当たっては,当院の看護手順における抑制の適応用 件(表2)ならびに「身体抑制ゼロへの手引き」に 記載されている切迫用件(利用者本人,または他の 利用者などの清明または身体が危険に曝される可能 性が著しく高い)などを参考に,項目の選定を行っ た. 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 3C病棟(総合診療科) 表1 抑制アセスメントシート ①意識障害がある (グラスゴーコーマスケールで10∼14点) 3点 ②気管内挿管・気管切開後1週間 3点 ③ドレーン留置中 3点 ④自傷・他傷行為がある 3点 ⑤末梢点滴の自己抜去が1勤務内2回以上 2点 ⑥せん妄スケールに1つでも該当がある 2点 ⑦酸素・CV・経管チューブ・胃瘻の自己抜去がある 2点 ⑧上記項目のチューブ類が挿入されている 1点 ⑨転倒・転落の危険性がある 1点 ⑩創部感染の恐れがある 1点 上記項目の合計点が6点以上の患者に対し抑制の必要性を検討 し,判定

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2.アセスメントシートの使用 平成19年6月4日から7月17日までの約1ヵ月半 に3C病棟に入院した患者全員を対象として,入院 時ならびに入院3日目の看護要約記載時にアセスメ ントシートを使用して評価を行った.アセスメント シートにおける評価が6点以上となった患者に対し ては看護師間でのカンファレンスを行い,抑制実施 の必要性ならびに適切な抑制方法についての検討を 行った.また抑制の実施にあたっては,抑制の必要 性・実施理由に関して評価結果を基に明確な説明を するとともに,抑制によるリスクも説明した上で, 本人あるいは家族に理解が得られた場合にのみ実施 することとした. 3.アセスメントシートの見直しと妥当性の検討 研究期間中に対象となった症例のアセスメントの 結果と入院経過に関して検討を行い,本アセスメン トシートの妥当性の検討を行い,その結果をもとに アセスメントシートの見直しを行った. Ⅲ.結 果 期間中にアセスメントシートを使用して評価を 行った患者数は80名で,そのうち入院時の評価にお いて点数が6点以上となった患者数は7名(9%) であった.その後のカンファレンスの結果抑制が必 要と判断されたのは5名で,残りの2名は初期段階 では抑制は不必要と判断された.また,入院3日目 に行った第2回目の評価まで3C病棟に入院中で あった患者はこれらのうち25名で,1回目の評価で 6点以上であった7名の患者に加えて第2回目の評 価で新たに5名が6点以上と判定され,合計12名 (48%)が6点以上の結果であった.これら入院時 評価では6点未満で抑制の適応がないと判断された が第2回目の評価にて6点以上となった5名におい ては,その全員に対して抑制の必要性があると判断 され,なんらかの抑制が実施された.この結果,入 院時の評価において6点以上であった患者のうち実 際に抑制を行った患者は7名中5名(71%)であっ たが,3日目の評価の結果抑制を行った患者は12名 中10名(83%)と抑制が必要と判断される率も上昇 していた(表3). 典型的事例を呈示する.患者は84歳女性,平成19 年6月6日に肺炎,左胸水貯留にて3C病棟に入院 となった.入院時の意識レベルはグラスゴーコーマ スケール14点(E4V4M6)で,場所・名前などの簡 単な質問には答えられたが認知症があり,辻褄の合 わない発言があった.また以前に入所していた施設 においてベッド柵を外し転落する事故歴があるとの 情報があり,当院救急外来においても点滴の自己抜 去がみられていたため,入院時の評価・カンファレ 表2 身体抑制対象と抑制期間 1.絶対適応:絶対に抜かれては困るので必ず抑制する 1)気管内挿管チューブ……1週間 2)気切………1週間 3)ドレーン 膵管チューブ…………1週間 胆管チューブ…………1週間 腸瘻………1週間 脳外ドレーン…………安静解除まで 4)ENBD チューブ…………安静解除まで 5)CHF………実施中は継続 2.相対適応:時と場合によっては抑制が必要 1)CV ………痴呆・了解不能・多動は対象 とする 意識がない・体動がない人は 対象外とする 2)バ ル ン カ テ ー テ ル…疾 患 的 に 再 挿 入 困 難 な 場 合 で,1)のような人 3)末梢ライン………血管を確保困難な人で持続点 滴の必要な場合 4)EF チューブ …………1)の状態の人で経管栄養注 入中 5)Aライン………血管を確保しにくい人で血圧 の持続監視の必要な場合 6)社会的適応………主治医が判断し決定 7)絶対適応以外の外科ドレーン 相澤病院 抑制に関するマニュアルより抜粋 表3 抑制アセスメントシート使用症例数 n アセスメントシート使用患者数 80 1回目の評価で6点以上だった人数 7 6点以上の患者で抑制実施した人数 5 2回目の評価まで至った人数 25 2回目評価で初めて6点以上となった人数 5 アセスメント使用患者のうち合計6点以上となった患者の 割合 n(%) 1回目評価 (入院時) 2回目評価 (3日目) アセスメント使用人数 80(100) 25(25) 合計6点以上の患者数 7(8.75) 10(40) 合計6点以上となった患者のうち実際に抑制実施した割合 n(%) 1回目評価 2回目評価 6点以上だった患者数 7(100) 12(100) 抑制実施した患者数 5(71.4) 10(83.3) 6 羽根田 泉 他

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ンスの結果抑制が必要であると判断された.本患者 においては,ベッドを壁に付け,2点柵による転落 防止と転落時の身体損傷を防ぐためにマットレスを 設置することとした.その後中心静脈カテーテル (CV)挿入となり自己抜去の危険があると判断さ れたため,両上肢のリムホルダーを用いた抑制を 行った.しかし本人の抑制に対する強い拒否があ り,抑制の実施に伴い精神的に興奮することがあっ たため,本人の精神状態を観察しつつ頻回に訪室し て抑制の実施と解除を繰りかえすなどの対応をして いたが,抑制未実施時に CV を引きちぎってしまう という事故が発生した. Ⅳ.考察および結論 1.アセスメント対象者と実施時期について 入院時の評価においては抑制対象外と判断された 患者であっても第2回目の評価で6点以上と評価さ れる患者が多数存在したこと,患者全体に対する6 点以上の評価となった患者の割合が入院時の評価よ りも第2回目の評価において多かったことから,入 院時のみならず入院3日目にも評価を実施すること が必要であると考えられた. 2.アセスメントシートの妥当性について 評価結果で6点以上となった患者の全てにおいて アセスメントシートにおける項目①(意識障害)は 該当している結果であった.一方,項目④(せん妄 状態)に該当する患者においてはせん妄状態となり 精神的に興奮していたり,不安定であったりする場 合グラスゴーコーマスケールにおいて言語反応は4 と評価され,合計は14点以下となることを考慮する と,この項目は独立した項目である必要がないと考 えられた.この結果より,意識レベルがグラスゴー コーマスケールで合計10点以上15点未満の患者はす べて評価の対象になると考えられた.また研究期間 中に3C 病棟においては気管内挿管や気管切開を実 施した患者が入院していなかったこと,外科的な処 置後や褥瘡形成のある患者がいなかったことから, 項目②(気管挿管・気管切開)と項目⑩(創部感 染)の該当患者はなかったが,救急病棟であると いった病棟の特色を考慮すると本項目は抑制を実施 するか否かの検討をするのに必要であると考える. 意識レベル:GCS で合計点が10点以上14点以下 NO YES ①気管内挿管・気管切開後1週間 ②自傷・他害行為がある ③創部汚染の恐れがある ④ドレーン留置中、CV 挿入中 ⑤持 続 末 梢 点 滴 実 施 中、EF チ ュ ー ブ・膀胱留置カテーテル挿入中、酸素 投与中 NO YES YES ⑥膀胱留 置 カ テ ー テ ル や EF チ ュ ー ブ、点滴ルート、酸素マスク・カヌラ いじりがある YES NO 不要 ⑦経管栄養実施中 ⑧点滴ルート、EF チュー ブ、膀胱留置カテーテル、 CV の自己抜去歴がある NO 医療行為・療養・介護介入に支障がある。 抑制の必要性と適切な実施方法を検討し、必要と判断した場合は患者・家族にその利 点・欠点を説明し、同意のもとで抑制を実施する。 図1 抑制アセスメントシート ver.2 救急病棟における身体抑制に関するアセスメントシート作成に関する研究 7

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項 目⑨に つ い て は,転 倒・転 落 に い た る 程 度 の ADL や体動がある患者に対しては,抑制ではなく ベッドを壁に付けたうえで2点柵を設置する,転落 時の身体損傷を防ぐためにマットレスを設置する, コールマットを設置するといった別の対策が必要で あると考えられる.また,抑制が必要か否かの判断 については紹介事例からも分かるように,抑制に伴 い患者が興奮状態となってしまうことや,不適切な 抑制の実施によって患者が逆に身体損傷の危険にさ らされる場合もあることから,最終的には個々の患 者の身体・精神状態を観察・評価し,看護師間でカ ンファレンスを開き,抑制の必要性と実施方法を検 討していくこととなるため点数制にこだわる必要は ないと考えられた. 以上の結果よりアセスメントシートを見直し,当 初は全10項目から成り立つ点数制としたが,新たに 8項目に絞ったフローチャート式のアセスメント シートを作成した(図1). まとめ 人道的・倫理的な観点から抑制は本来望ましいこ とではないが,医療の現場においては安全の確保等 のために抑制を実施せざるを得ない場面がある.一 方で,抑制を解除する時期については判断が難し く,一旦抑制を開始すると継続的に抑制を行う状態 となってしまうことも少なくない.今回,抑制に関 するアセスメントシートを作成・使用し,その結果 をもとに新たなアセスメントシートを作成したが, 不適切・過剰な抑制の実施を少しでも減らすために も今後もその妥当性を引き続き検討する必要がある と考える.またこの研究の結果が,一度開始した抑 制の中止時期の判断にも今後役立てる事が出来たら 良いと考える. 参考文献 1)身体拘束ゼロへの手引き:高齢者ケアに関わるす べての人に.厚生労働省「身体拘束廃止ゼロ作戦 推進会議」発行,東京,2001 8 羽根田 泉 他

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看護研究

手術室の BGM についての効果と有用性に関する検討

川上和起

Key words:手術,音楽療法,BGM はじめに 手術を受ける患者は,様々な不安を抱えている. 特に意識下で行われる局所麻酔下の手術において は,入室から退室まで医療スタッフの声や器械の音 に患者は非常に敏感となる.そのための精神的スト レスは計り知れず,心拍数や血圧の上昇などといっ た身体的影響も少なくない.患者の精神的ストレス を少しでも軽減するために,当院手術センターは天 井から音楽(バックグランドミュージック,以下 BGM とする)を流せるように作られており,任意 の曲がかけられるよう各手術室には CD デッキが設 置してある.これを利用し,当手術センターでは全 身麻酔から意識下の手術を受ける患者のすべてに対 して精神的援助として BGM を流している.同様の 試みは他の病院でも多く取り入れられているが,本 当に患者に対して有効であるかの評価はこれまで当 病院では行われていない.今回,当センターにおい て意識下での手術を受ける患者に,BGM 聴取によ る精神的ストレスの軽減効果と有用性について検討 を行った. 方 法 対象者および方法 対象期間に当センターにて手術を受けた患者のう ち,伝達麻酔・局所麻酔または腰椎麻酔下にて透析 用内シャント造設術,四肢の骨折治療,内視鏡的尿 道形成術などの手術時間1時間以上の手術を受けた 患者のうち,難聴や理解力が極端に乏しいといった 理由で十分なアンケート調査の回答を得ることが困 難と予測される患者をのぞいた患者19名を対象とし た.手術中に流す BGM の選択は,患者の希望を聞 いて,出来る限り希望に添った曲を流す事を原則と し,手術後の精神的身体的落ちついた後にアンケー ト調査を依頼した.またアンケートの評価を行う際 の資料として,対象患者の手術の担当看護師にも調 査票による調査を行った. 本研究に当たっては倫理的配慮に留意し,すべて の対象者に研究主旨を説明したうえで同意が得られ た場合に回答を依頼した.また,対象者のプライバ シーを保護するためにすべて無記名にした.

また,統計的解析には windows Office Excel を 使用した. 患者に対するアンケートの内容を表1に,担当看 護師に対する調査票の内容を表2に示す. 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 手術センター看護科 表1 患者に対するアンケート 1.年齢(年代別) 2.性別 3.麻酔の既往 4.麻酔の既往があった場合,前回の手術室での BGM の 有無 5.前回の手術室での BGM 有の場合,その時の BGM の 感想 6.今回の術中の BGM の感想(4択) 7.希望曲 8.手術室の感想 表2 担当看護師に対する調査票 1.日付 2.手術時間 3.麻酔方法 4.患者に選曲してもらったかの有無 5.術式

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結 果 アンケートならびに看護師の調査票の結果を図1 ∼5に示す.年齢は50代が多く,性別では男性が多 かった.手術の既往の有無については,既往のある 患者が11名,既往の無い患者が8名であった.手術 の既往がある患者で前回も BGM が流れていたかの 有無については,2人だけがあると回答した.その 時の感想として,2人ともリラックスできたと答え ている.手術時間は2時間以内が45%であり,続い て1時間以内と2時間以内が22%であった.選曲の 有無については,無回答を除くと同数であった. BGM の 希 望 曲 は70歳 代,80歳 代 で は 演 歌 が 多 かったが,それ以外の年代では希望は特に無いとい う患者が多かったため,こういった場合にはヒーリ ングミュージックやクラシックを選択した.感想と しては,リラックスできたとの回答が83%あり,次 にどちらともいえないとの回答が11%であった.ど ちらともいえないと回答した理由としては,痛みや 緊張があげられた. 考察および結論 今回の研究を行い手術室の環境と患者の関係,看 護のあり方について改めて考えさせられた. BGM による個人の効果の影響内容,程度は多様 であり明確にしにくいことがあるが,BGM は音楽 療法の一部であり,その効果として心身の安定化作 用,情動の発散作用,交流の促進作用などがあると されている.今回のアンケートの結果では,意識下 の手術中に BGM を取り入れたことで,術中の精神 的ストレスの軽減やリラックスを得ることに関し一 定の効果があったと考えられた.また,個人により 曲の嗜好が異なるため曲を選択して貰う事で効果が 増幅されるのではないかと考えたが,BGM に使用 する曲に対しに希望がないという患者も比較的多 く,こ れ は 手 術 と い う 緊 張 し た 場 面 に お い て は BGM を選択するといった精神的余裕がないといっ た心理状態を反映したものと考えられた.今回の研 究は比較的少数患者を対象としたものであったが, 多くの患者を対象として検討を行うことで手術室に おける BGM のより有効な活用法が確立可能と考え る.手術室看護師として,患者にとってストレスの 少ないよりよい手術環境を作る事を目指し,今後も 研究の継続を行うことが重要であると考える. 図1 年齢(単位:人) 図2 性別(単位:人) 図3 選曲の有無(単位:人) 図4 手術時間(単位:人) 図5 今回の BGM の感想(単位:人) 10 川上和起

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看護研究

救命救急センターでの待ち時間における患者・家族の気持ち

―アテンディングナース導入の影響―

澤

玲,百瀬

歩

Key words:アテンディングナース,待ち時間,患者・家族の気持ち はじめに 当院救命救急センター(以下 当センター)は1 次から3次までの救急患者を24時間体制で受け入れ ている.時間に関係なく救急患者が来院するため受 診者数が非常に多く,また,緊急度の高い患者の診 察や処置を優先せざるを得ないため比較的軽症の患 者の待ち時間が長くなることがあり,その結果とし ての不満の声が聞かれることが多い. 1次から3次までの全ての救急患者を受け入れて いるため,特に歩行来院(ウォークイン)の患者に 対しては聴取した病歴などより看護師がある程度の トリアージを行い診療の優先度を判定する必要があ るが,受診する患者や家族は突然の発症や受傷で来 院し,不安や緊張を抱えていることも多いため,ど のような理由であっても待ち時間が長いことは非常 な苦痛となる.そこで当センターでは,平成19年9 月より,病歴の聴取などによるトリアージを行うの みでなく,重傷症例の対応やトリアージの結果待ち 時間が長くなっている患者や患者家族に対する精神 的ケアなどを行い,待ち時間の苦痛を軽減すること を業務とする専任看護師(アテンディングナース) 制度を導入した.アテンディングナース制度は他院 にはない独自のものであるため,その導入初期の影 響と効果について,導入前後のアンケート調査を通 して検討を行った. 方 法 平成19年9月のアテンディングナース導入前の平 成19年8月ならびに導入初期の期間が経過し安定し て稼働されるようになった平成19年9月末から10月 の期間で,研究者が調査に専任できた下記の日にア ンケート調査を行った. 導入前調査期:8月7∼11,13,17∼19,21,22, 25,26日 導入後調査期:9月24,29,10月8,14,16,18, 27日 調査は,上記期間の8時から17時に当センターに 救急車以外で受診し,診察や処置(検査や点滴等) を行った結果,帰宅することになった患者とその家 族(年齢・男女・症状問わず)を対象とした. 方法は質問形式のアンケート用紙を用い,その結 果を単純に集計するとともに,アテンディングナー ス制度導入前後で比較を行った.アンケート調査の 方法は,診察終了後調査目的などの説明をした上 で,調査の同意が得られた場合に無記名のアンケー トを配布し,設置箱に投函されたものを回収した. 質問項目は,受付から診察までの待ち時間,診察 から帰るまでの時間,看護師の対応,看護師の説 明,医師の対応,医師の説明で,これら6項目につ いて不満・やや不満・普通・やや満足・満足の5段 階で回答し,そこに自由にコメントが記入できる形 式とした. 結 果 回収されたアンケートの数はアテンディングナー ス制度導入前が142,導入後が125であった.受付か ら診察までの待ち時間は,導入前が約30分,導入後 が約27分と大きな変化は見られなかった.患者一人 当たりの滞在時間は,導入前が約85分,導入後が約 73分であった.診察までの待ち時間の満足度に関す るアンケート結果は,図1に示す様に満足とする回 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 救命救急センター看護科

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答が導入前32%,導入後29%,一方不満足とする回 答は導入前3%,導入後5%で,診療終了から帰宅 までの待ち時間の満足度に関する結果は,図2に示 す様に満足とする回答が導入前35%,導入後37%, 一方不満足とする回答が導入前5%,導入後5%と 本制度導入の前後であまり大きな差がない結果で あった. 一方,看護師の対応の満足度に関するアンケート 結果は,図3に示す様に満足とする回答が導入前 40%に対して導入後47%,看護師の説明の満足度に 関するアンケート結果は,図4に示す様に満足とす る回答が導入前38%に対して導入後42%と本制度の 導入に伴い満足とする回答がやや増加した結果で あった. 考 察 アンケート調査の結果,診察までの待ち時間に関 して満足とする回答はアテンディングナース導入前 に比べ3%減少した.その一方看護師の対応に対し て満足とする回答は7%増加している.本研究を開 始する以前は,待ち時間が長くなるほど患者の不満 は増加し,看護師に対する満足感も低下することが 予測されたが,本結果からは医療従事者の対応に よって患者の気持ちに影響を与え,満足感を高める ことが出来ることが示された.佐々木ら8)による と,「診察を待つ時間に看護師の介入があった家族 は症状への不安はなく気がかりな事も少なかった」 と報告しているが,アテンディングナースの存在に より症状を話すとともに漠然とした不安を表出でき る環境を作ることができた事が安心感につながった と考えられる. 看護師の説明に関して満足とする回答は,アテン ディングナース導入後に4%上昇している.患者か らの具体的なコメントも,導入前と比べ「対応が悪 い」といったネガティブな意見が減少し「対応や説 明が丁寧」といったポジティブな意見が増加してい る傾向があり,待合室における個々の患者や家族に 対する直接的な声かけが増えた結果と考える.アテ ンディングナースが常に待合室にいる事により,よ り気軽に声がかけられる様になり,それが不安の軽 減につながったのではないかと考える. 終わりに アテンディングナースが導入となり待合室で積極 的な声かけを行なった結果,医療従事者の対応に よって患者の気持ちの変化を引き起こし,待ち時間 に変化がなくとも満足度を上昇させることが可能で あることが示された.今後もアテンディングナース 制度を継続しつつその内容を充実させていく事で, 患者に寄り添った救急看護に配慮していくことが重 ・導入前 ・導入後 不満 1 やや不満 2 普通 3 やや満足 4 満足 5 未記入 6 図1 アテンディングナース導入前後の満足度の変化 (診察までの待ち時間) ・導入前 ・導入後 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 図2 アテンディングナース導入前後の満足度の変化 (診察終了後から帰るまでの時間) ・導入前 ・導入後 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 図3 アテンディングナース導入前後の満足度の変化 (看護師の対応) ・導入前 ・導入後 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 図4 アテンディングナース導入前後の満足度の変化 (看護師の説明) 12 澤 玲 他

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要であると考える. 参考・引用文献 1)湊谷辰枝:「再考,外来での待ち時間1」,外来看 護から在宅ケア2,日総研出版,名古屋,1997 2)川上千普美,松岡緑,瀧健治:救急外来受診患者 の家族の不安に影響を及ぼす要因に関する研究, 福岡医学雑誌 9(3) : p. 73―79,福岡,2004 3)名取三恵,小山さつき,井上英子,石川智世,萩 原真実,山中浩代:「外来待ち時間中の心理的時 間を規定する要因と看護師の関わり」,山梨看護学 会誌,甲府,2004 4)嶋田猛,曽我辺洋子,太田さよ子,他:救命救急 センターでの待ち時間に対す る 患 者 の 受 け と め 方,千葉県看護協会看護研究 9 : p. 40―43,千葉, 1991 5)清水千穂,高橋淑子,濱口あさ子,他:三次救急 病院における救急外来の実態―患者の待ち時間を 通して―,Emergency Nursing 9(4) : p. 369,東 京,1996 6)宮崎正代,福森明美,多辺田勝一,他:救急外来 における看護サービスを考える,Emergency Nurs-ing 9(4) : p. 367,東京,1996 7)近藤明子,北側亜希,中谷美保子,横井彰子,高 野裕子,小松仁美:救急外来における患者の待ち 時間についての実態調査,和歌山医学会 56(4) : p. 265,和歌山,2005 8)佐々木千鶴子,佐藤明実,古田志津江,磯辺潮, 横田由佳:1次救急患者に付き添う家族の思い, 日本救急看護学会雑誌 8(1) : p. 212,大阪,2006 9)佐藤美幸:救急外来を受診する患者家族の心理的 状況に関する研究:1次,2次救急で受診した患 者の家族へのインタビューから,山口県立大学看 護学部紀要 (4) : p. 64―73, 2000 救命救急センターでの待ち時間における患者・家族の気持ち 13

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看護研究

直接授乳確立に向けての援助

―ニップルシールドの使用により直接授乳に拒否的となった

初産婦への看護を通して―

小倉佳奈

Key words:産後,直接授乳,ニップルシールド,思い はじめに 母乳育児を行っていくうえで,授乳時の乳頭の痛 みは母親にとってとても辛いものであり,乳頭保護 器(ニップルシールド)の使用は一見その苦痛が軽 減されたように思える反面,その使用が母乳育児確 立を阻害すると言った弊害も指摘されている.今 回,母乳育児支援を行う中で,褥婦が乳頭損傷・乳 頭痛に苦痛を感じ,ニップルシールドを使用したこ とで最終的に直接授乳を行っていくことが困難と なってしまった事例に関わった.この事例から,母 乳育児支援では母親の気持ちを考えながらケアする ことの大切さや,退院後も母乳育児を継続できるよ うに援助していくことの重要性を再認識した.当院 でこれまで行ってきた研究をもとに本事例を分析 し,ニップルシールドの使用の是非と直接授乳確立 に向けた具体的な援助方法を検討する. 事 例 36歳,初産婦.できれば母乳育児の希望あり.乳 房Ⅱb 型.扁平乳頭.乳輪柔らかく伸展良好. 方 法 当院入院中の看護記録,出産記録等を元に,患者 の心理的状態,身体的状態,特に乳房の変化・児の 様子・思いを分析し,スタッフの行った看護につい て検討した. 結 果 産褥経過:児は生後数日まで活気がなく開口が小さ めであり吸着が浅くなりやすかった.産褥2日目よ り乳頭に創ができ哺乳痛が出現した.母乳分泌は良 好で乳房緊満も出現し始めたため,前搾りを行いな がら授乳介助を行った.産褥4日目,ニップルシー ルドの使用を強く希望され,ニップルシールドを使 用して授乳を行ったところ,哺乳痛が軽減し直接授 乳ではなくても母乳を飲ませられることに満足とい う発言が聞かれた.以降ニップルシールドなしでの 授乳に拒否的な様子が見られるようになり,その 後,直接授乳には取り組むことができずに退院を迎 えてしまった. 退院後4日目に電話にて状況を確認したところ, 乳頭創は改善傾向にあるがニップルシールドを使用 しても哺乳痛が出現し,電動搾乳器を購入して搾乳 中心で授乳をしている様子であった.しかし1ヵ月 健診で来院された時には直接授乳は哺乳痛があり, 疲労も蓄積したことにより搾乳も辛くなり,混合栄 養となっていた. 考 察 直接授乳による母乳栄養での育児は,栄養学的メ リット,受動免疫による免疫学的メリットのみなら ず,直接授乳に伴うスキンシップにより良好な母子 関係の構築が可能といった数多くのメリットがある ことが広く知られている.授乳に伴う哺乳痛の出現 は直接授乳の継続を妨げる大きな要因の一つであ 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 3B病棟(産婦人科)

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り,原因を見つけ,まずはポジショニング(授乳姿 勢,抱き方)やラッチ・オン(吸着,含ませ方,吸 い付かせ方)の評価を行なうなど何らかの問題解決 の介入が必要となる.時にはクリームによるスキン ケアや児の乳房への吸着を助けるためのニップル シールドなどのサポート用品が使われることもあ る.しかし,ニップルシールドは根本的な原因の解 決にはならないうえに,母乳分泌を徐々に抑制させ るきっかけとなり母親が母乳育児を諦める選択につ ながる可能性があるため個々の事例に合わせた介入 が重要とされている. 本事例において母乳育児を希望していたにもかか わらず直接授乳を継続できなかった原因として,直 接授乳の時に哺乳痛が身体的・精神的苦痛として強 く生じ,母親が母乳育児への熱意を喪失したと考え られる.本事例の経過を振り返り,どのような援助 が必要であったか改めて検討を行った. 本事例の問題点は,入院中早期よりニップルシー ルドに依存し,ニップルシールドを使わない直接授 乳の確立がなされないまま退院に至ってしまったこ とである.そして,退院後はニップルシールドを用 いた授乳でも哺乳痛が生じたことで,児を乳房へ吸 着させることが出来なくなり,搾乳に加えて人工乳 を使用し,母乳育児が継続困難となってしまった. 本事例において,褥婦にとって最も苦痛となってい る哺乳痛への対処としてどのような方法をとるかを 早期よりよく相談し,ニップルシールドの導入のみ でなく様々な選択肢を提供していく必要があったと 考える.たとえば,直接授乳をするときに看護ス タッフが付き添いポジショニングやラッチ・オンを 確認することで哺乳痛を和らげて創の改善につなが るように援助する,どうしても直接授乳が辛いとき は創がよくなるまでは搾乳中心で対応し無理をさせ ないといった指導が大切である.本事例において は,褥婦はナースコールで看護師を呼ぶことが少な く一人で頑張っている印象があったので,このよう な傾向を認めた場合には頃合いを見て訪室する,休 息を促していくといった声かけの工夫も大切であ る. また,本事例のように入院中授乳がうまくいかず 難航している褥婦に対してこそ,看護スタッフと褥 婦の関係をどのように築いていくかということが非 常に重要である.そのためには,褥婦の母乳栄養へ の思い・意思を確認するとともに褥婦の性格を把握 し,個々に応じてどのように支援していくことが一 番良い方法であるか褥婦と共に考え,解決してゆ く.これは,褥婦にも様々なタイプがあり,本事例 のように授乳の時に看護スタッフを呼ぶことに対し て遠慮をして効果的に授乳を行う手技を獲得できな いまま自己流で授乳をすすめてしまう褥婦もいれ ば,痛くても我慢強く浅い吸着のまま授乳を続けて しまう褥婦もいるので,褥婦各々の個性に合わせて 指導を行ってゆくことが重要だからである. ニップルシールドの使用については,母乳育児確 立を阻害したり母乳分泌を減らしたりする可能性が あるため,使用を考える場合は他の方法を十分試し た上で適切に使用し,安易に使用することは避ける ようにする必要がある.また,使用する場合は使用 法とともにその離脱のために必要な知識や対策など についても十分な説明を行うといった,褥婦の側に 寄り添った援助をしていくことが重要である. 産後の褥婦達は,短い入院期間の間に授乳の練習 などを通して育児技術を獲得していくことが必要と なる.この期間に十分な技術の獲得が得られないま ま自宅へ退院すると,今回の事例のように自宅に 戻ってから問題が解決できず,母乳育児を諦めてし まう結果につながる.褥婦と関わり教育や指導をす ることができる期間が短いからこそ,その短期間を いかに密に関わっていくかということがとても重要 となる.その時,褥婦が感じていること・難しいと 思っていること・ストレスになっていることなどに 対して,1つ1つ丁寧に関わり,その解決のために 適宜スタッフ間でカンファレンスを行い,ケアの方 向性を確認しつつ,1人1人の褥婦に関わっていく ことが大切であると考える. 参考文献 1)橋本武夫:UNISEF/WHO「母乳育児支援ガイド」. 医学書院,東京,2003 2)ラ・レ ー チ ェ・リ ー グ・イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル: 「だれでもできる母乳育児」改訂版,メディカ出 版,吹田市,2000 16 小倉佳奈

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看護研究

当院における糖尿病教育入院時アンケートの

患者の傾向分析

竹内結実子・萩元紋子・皆川理穂

Key words:糖尿病教育入院,患者背景,患者アンケート はじめに 糖尿病患者に対する教育入院は,患者の行動変容 を促す目的で行われている.教育入院にあたって, 看護師は患者の個性や背景を理解し,患者の個別性 に合わせたサポートをしていく必要がある.当院で は,患者の生活背景を理解し,生活指導の参考とす るために,糖尿病に対する教育入院患者に対し入院 時にアンケートを行っている. 当院における糖尿病患者の生活背景の傾向を把握 し,今後の介入の中で患者をよりよく理解するとと もに,患者の個別性に合った介入を行う参考にする ことを目的に,このアンケートの分析を行った. 方 法 相澤病院5S病棟では,糖尿病の教育入院目的で 入院する患者に対して,生活や糖尿病治療に関する アンケートを入院前に配布し,入院時に回収して指 導の参考としてきた.アンケートの内容を表1に示 す.本研究においては,平成18年10月から平成19年 9月までの一年間に糖尿病の教育入院目的にて5S 病棟に入院した患者のうち95例のアンケートを無作 為に抽出し,①性別 ②HbA1c など26項目を分析 し,その傾向について検討を行った. アンケート用紙にはその目的とプライバシーの保 護についての記載がされており,アンケートへの記 入は任意とされているため,記入を以て同意を得た ものとした. 結 果 抽出された95例の内訳は,男性52名(55%),女 性43名(45%)であった.患者の性別,年齢別分布 を図1に示すが,全体の約8割が50歳代から70歳代 に集中している結果であった. 「なぜ糖尿病になったと思うか」として患者が挙 げた要因は,食生活36%,次いで運動不足,遺伝, 各15%,生活が不規則10%であった.また,「治療 にあたって難しいと思うこと」として患者が挙げた 項目としては,食事療法36%,運動療法16%,イン シュリン注射13%,自己血糖測定8%の順で高かっ た(図2). 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 5S病棟(糖尿病・呼吸器内科) 表1 1)性別 2)年齢 3)入院時血糖値 4)入院時 HbA1c 5)病歴 6)家族歴 7)現在内服中の糖尿病薬の有無 8)インスリン自己注射の有無 9)血糖測定の有無 10)自分の HbA1c の値を知っているか 11)低血糖の経験の有無 12)普段の一日の過ごし方 13)普段の運動の有無 14)現在,高血圧・糖尿病合併症の有無 15)糖尿病の治療を受けるにあたり難しいと思うこと 16)糖尿病と診断されてどう思うか 17)なぜ糖尿病になったと思うか 18)インスリン注射に対するイメージはどのようなものか 19)民間療法(薬草茶など)や漢方の使用経験 20)主な食事の調理者 21)外食の有無 22)間食の有無 23)栄養指導を受けた経験の有無 24)普段食事で注意していることは何か 25)食事療法を難しいと感じるか 26)教育入院に際しての目標

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病歴とインシュリンの自己注射に関する質問の結 果,入院時にインシュリン自己注射を行っていない 患者は36%,インシュリン自己注射が導入されてい た患者は27%と,インシュリンの自己注射が導入さ れていない患者の方が多い結果であった.インシュ リン自己注射は,病歴が7年を超えると入院時にす でに導入されている傾向にあった. インシュリン自己注射に対するイメージに関して は,過去にインシュリンの自己注射を経験していな い患者は「恐怖感」を持っている割合が大きいのに 対し,現在インシュリン自己注射をしている患者は 肯定的なイメージを持っている割合が大きい傾向に あった.また,過去に自己注射を行った経験がある 患者は,肯定的なイメージと共に恐ろしい・面倒と いった否定的なイメージも持っている結果であった (図3). 「食事について気をつけていること」の質問の結 果は,「カロリー」「バランス」に関しては男女とも 同様に気をつけている結果であったが,男性は「食 事時間」に気を付けている患者が多く,女性は「調 理方法」に気をつけている患者が多いといったよう に,気を付けている項目に男女間の差が見られるも のもあった(図4). 考 察 「なぜ糖尿病になったと思うか」,「糖尿病の治療 にあたって難しいと思うこと」の設問の結果では, 食事や運動,セルフケアについての問題が多く挙 がっている.これは,生活習慣の中でより具体的で あり患者が注目しやすいためであると考えられる. 患者の注目度が高いと言うことは看護介入の中で積 極的に教育を行ってゆきやすく,教育の手がかりと なる点であると考えられるが,一方「難しい」と感 じるように,患者の生活の中に変化を起こし,最終 的に定着させることが難しい要素でもある. 「インシュリン自己注射に関する質問」において 「め ん ど う」,「恐 ろ し い」,「痛 い」,「難 し い」と いった回答がインシュリン自己注射歴のない患者に 多く,入院時初めてインシュリン自己注射を開始す 図3 図1 図2 図4 18 竹内結実子 他

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る患者が多い現状と合わせ,針を刺し医療行為を自 分で行う事に対し,多くの患者が恐怖心を持ってい る結果と考えられた.さらに,低血糖を経験したこ とのある患者では,低血糖に対する恐怖心がイン シュリン自己注射に対する恐怖心につながっている と考えられた.この結果から,現在の私たちの病棟 における教育入院のプログラムにおいては,入院初 日または翌日からインシュリン自己注射を開始して いるため,入院早期から患者の恐怖心を正しくアセ スメントすることで,個々の患者の心情や現状に あった看護介入が可能になると考えられた. 「食事について気を付けていること」に関して は,男性では「食事時間」,女性は「調理方法」と 差がみられた.これは社会背景として,男性は労働 者が多く,食事が不規則になりがちで,自分では食 事を作らない,外食が多いなどの食事管理に困難な 要素が多い中で,「食事時間」は比較的管理しやす い要素であると考えられる.また,女性においては 自ら料理をするため,「調理方法」が比較的管理し やすい要素であると考えられる.どちらも,食事療 法について身近に取り組める内容であり,教育の際 の足がかりになると考えられた. おわりに 糖尿病教育入院の目的は,いかに患者自身が自己 の生活を振り返り,入院中に自分で出来る管理方法 を学び,退院後の行動変容に繋げる動機づけにあ る.患者の背景を理解することが看護の一歩と考 え,本研究の結果を今後の看護に繋げていきたい. 当院における糖尿病教育入院時アンケートの患者の傾向分析 19

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看護研究

ダブルセットアップとなった産婦への看護に関する検討

―産婦の心理に焦点をあてて―

藤本理沙

Key words:ダブルセットアップ,産婦,心理 はじめに 助産業務に携わるなかで,胎児は健康で生まれて くると思われがちな出産という場面において,母子 へのリスクからいつでも帝王切開ができる体制のも とで経膣分娩に臨む「ダブルセットアップ」で出産 に臨む産婦は必ずしも珍しくないのが実情である. そのようなリスクを抱える産婦に対する適切な看護 とはどのようなものか?産婦の抱えるリスクや心情 に対してどのように看護を行えば良いものか?と悩 む場面が少なからずある.そこで,当院においてダ ブルセットアップにて出産となった産婦に対して後 ろ向きにアンケート調査を行い,産婦の心情や不 安,看護への期待を分析することで,ダブルセット アップとなった産婦に対する有効な看護について検 討を行った. 研究方法 2007年1月から2007年8月に相澤病院で出産した 357名の産婦のうち,何らかの理由でダブルセット アップでの出産となった13名を対象に,無記名自己 記入式のアンケートを郵送した.回収されたデータ を類似した意味ごとにカテゴリー化し,検討を行っ た. 結 果 産婦6名(回収率46.1%)からアンケートを回収 することができた.13名の対象者のうちダブルセッ トアップとなった要因としては,胎児仮死が最も多 く8例,次いで VBAC(前回帝王切開後の経膣分 娩)2例,羊水過少症3例であった. 送付したアンケートの内容を表1に示す. 回収されたアンケートの回答を集計し,ダブルセッ トアップとなった産婦に対する看護師の対応の効果 的であった点,問題点に関して分析を行った.その 結果,1)ダブルセットアップとなった産婦への対 応で良かったことは,①『分娩状況の説明』と②『共 感する声掛けとタッチング』の2カテゴリーに分類 される結果であった.また,2)ダブルセットアッ プとなった産婦への対応で産婦が不安になったこと としては,『孤独』の1カテゴリーが挙げられた. 考 察 ダブルセットアップとなった産婦に対する看護師 の対応において,分娩進行状況が分からない産婦 は,「今 の 状 況 で き ち ん と 分 娩 は 進 ん で い る の か?」,「胎児の状態は大丈夫か?」など,多くの不 安を抱いていることがアンケートの結果より分かっ た.だからこそ,看護師はそのような不安を少しで も軽減することを念頭に置いて関わる必要がある. 産婦にわかりやすい言葉や用語を使って現在の状況 を説明したり,産婦が知りたいことはないか,分か らないことはないか頻回に聞いたりと,産婦の声に 耳を傾けると同時に分娩進行状況の説明を丁寧に行 なう『分娩状況の説明』が大切であることが分かっ 社会医療法人慈泉会財団相澤病院 3B病棟(産婦人科) 表1 アンケートの内容 1)ダブルセットアップ(もしかしたら帝王切開になるか もしれない)となった時,スタッフの対応で良かった ことはどんなことですか. 2)ダブルセットアップ(もしかしたら帝王切開になるか もしれない)となった時,スタッフの対応で不安に なったことはどんなことですか.

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た.また,今回のアンケートの結果より,産婦が不 安な気持ちに陥ったときの看護師の声かけや動作が 産婦の心情に大きな影響を与えたという意見も得ら れた.産婦に危険がある状況の看護に関し,武田ら 1)は「医療者の行為・言動が不安を増強させない よう,安心感をもたらす対応が重要であり,そのた めにはスキンシップや緊張感をときほぐすような落 ち着いた行動・穏やかで自信のある態度・声を掛け やすい雰囲気で接する必要がある」と述べている. 人と人との関わりである看護にとって,産婦の気持 ちに寄り添うことで,不安な気持ちを軽減し分娩を 前向きに頑張ろうと思えるよう関わっていく『共感 する声掛けとタッチング』が重要であると考える. ダブルセットアップとなった産婦への対応で産婦 が不安になったこととしては,『孤独』の1カテゴ リーが挙げられた.分娩は安全なものであり,何事 もなく無事に元気な赤ちゃんが生まれるものだとい う概念のある社会において,胎児の状態が良くない という事実を説明された産婦やその家族の不安は計 り知れず,感情が混乱すると共に看護師に対しても いつにも増して依存する状態となるのも無理のない ことである.しかし,他患者への対応などの理由 で,担当看護師が常に産婦の元に付き添い,必要に 応じて声掛けやタッチングを行うことができない状 況もあるのが現状である.武田ら1)が「苦しいとき に目を離すことなく傍に付き添い,声掛け・タッチ ング・安心して任せられる態度で接する必要があ る」と述べているように,リスクのある産婦だから こそ頻回に産婦の元へ行き状況の説明や声掛け・ タッチング等行なっていくことで,産婦に『孤独』 を意識させないことを心がける必要があると考えら れる. 結 論 本研究を通してダブルセットアップとなった産婦 の不安は非常に大きいものがあり,頻回に産婦の元 へ行き,現在の状況を分りやすく説明したり,産婦 の頑張りに共感する声掛けやタッチングを行ったり することで,産婦の不安をできるだけ軽減すること を念頭に置いた看護に心がける必要があるというこ とが示唆された. 引用文献 1)武田美枝,川上聖子,吉村あゆみ,奥山慶子:母 体搬送後緊急帝王切開となった産婦の危機対処へ の介入についての考察.日本看護協会論文集第35 回母性看護,184―186, 2004 22 藤本理沙

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看護研究

外来・病棟にて行われる CT 検査説明の現状と今後の課題

―看護師へ認識調査を行ってみて―

浦野紗家子,和田優子,池田さやか

Key words:問診票,看護師の認識,今後の課題 はじめに 当院においては,造影 CT,尿路系造影検査,血 管造影検査,造影 MRI など造影剤を使用する検査 が数多く行われている.造影剤を使用する検査にお いては,「非イオン性造影剤の使用により造影剤の 副作用の頻度は著しく減少したが,依然造影剤によ る副作用発現の可能性がある.その危険をできるだ け避けるためには,投与前に確認すべき事項があ る.」と片山ら1)が述べているように,造影剤を使 用する検査における説明と問診は重要である.しか し,当院において造影 CT 検査は月に約500件と非 常に多く,造影検査時の問診票の記入不十分による 主治医や外来・病棟への確認などに時間を要してし まい,検査が円滑に行えないなどの問題が生じるこ とも多い.また,検査の際に患者から「どんな検査 なのか不安で眠れなかった」「検査にどのくらい時 間がかかるのか聞いていなかった」などの不安言動 も多く聞かれた.そこで,円滑な造影検査の実施と 患者に安心・安全な検査を受けてもらうために,現 在行われている問診票の記入現状と CT 検査の説明 方法,説明している看護師の認識の現状調査を行う ことで,今後の課題の検討を行った. 研究方法 平成19年6月25日から平成19年7月28日の期間に 当センターで行った造影 CT 検査の際に提出された 造影剤の問診票を収集し,その記入状況についての 現状調査を行うと共に,平成19年6月末に当院に在 職していた看護師509名に対してアンケート調査を 行い,造影剤を使用した CT 検査のリスクなどに関 する認識についての調査を行い,その結果を分析し た.これまで使用されてきた問診票の内容,ならび に看護師に対して行われたアンケートの内容を表 1,表2に示す. 結 果 研究期間に行われた造影 CT 検査の総数は,外来 506件,入院81件の587件であった.これらの検査の ために回収された問診票の記入状況を検討したとこ ろ,検査日・時間,記入者,問診内容の項目に記入 漏れが多い結果であった.各項目の記入漏れの割合 は,外来看護師が記入する外来検査の問診票では検 査日・時間の記入漏れが56%,記入者の記入漏れが 38%,問診内容の記入漏れが24%であったのに対 し,病棟看護師が問診票を記入している入院検査に お い て は,そ れ ぞ れ の 項 目 の 記 入 漏 れ が96%, 66%,30%と非常に高い傾向があり,病棟看護師の 造影剤の問診票に対する重要性の認識が特に低いこ とが推測される結果であった. また,平成19年6月末に当院に在籍していた常 勤,非常勤を含む全ての看護師509名に対して行っ た造影剤使用に関するアンケートの結果は,473件 が回収され,回収率は93%であった.アンケートの 結果によると,食止めなどの業務に直結する内容や 排泄や副作用といった項目に関する理解が深い変 面,投与法や目的などといったことに関する理解が 比較的少ない結果であった.また,放射線科検査に ついての勉強会の開催や,回答がほしいという希望 が,具体的に挙げられていた.アンケート結果の詳 細を表3に示す. 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 放射線画像診断センター看護科

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