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Microsoft Word - 実践記録

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Academic year: 2021

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平成26年度 教科リーダー養成講座(高等学校)実践記録

グループ・ディスカッションによる思考の深化を目指して

~小説「羅生門」の指導から~

新潟県立柏崎工業高等学校 授業者 教諭 阪本 寛子 1 日時 平成26年11月11日(火) 第5校時 13:45~14:40 2 対象 工業科 1年1組 40人(男子36人、女子4人) 3 実施場所 1年1組教室 4 実施科目 国語総合 5 使用教科書 『明解 国語総合』(三省堂) 6 単元・教材 小説 芥川 龍之介「羅生門」 7 本教材の目標 (1)グループ活動に意欲的に参加し、本文の読解に基づいて自らの意見を深めようとする。ま た、伝え合う力を高めるとともに、言語文化に対する関心を深め、向上を図る。(関心・意 欲・態度) (2)人物、情景、心情について場面の展開や表現に即して読み、場面の推移や人物の心情の変 化を把握することを通して、描写の意味するものを説明する。(読む能力) (3)本文で用いられている慣用的な語句や比喩などの表現技巧を文脈の中で理解し、日常的に 適切に活用することで思考力や想像力を伸ばし、言語感覚を磨く。(知識・理解) 8 生徒の実態 7月に三浦哲郎の小説「とんかつ」を学習した。生徒が自分の考えを積極的に表現し、他者の考え と比較検討することで主体的に考える力を身に付けさせるためにグループ学習を取り入れ、人物の人 間関係から主題を考えさせた。約半数の生徒が「楽しかった。」「納得できる意見や違うと思った意見 を聞き、理解が深まった。」などという理由で「積極的に参加できた。」と自己評価をした一方、「自分 の意見を伝えることができなかった。」「班員の意見をまとめることが難しかった。」など、「積極的に 参加できなかった。」と評価した生徒も多くいた。この結果から、グループ学習を通して生徒の学習意 欲が高まっているとともに、更なる学習スキルの向上が必要であると生徒が感じていることが分かっ た。そこで、再度、小説の学習において学習活動の内容を吟味し、グループ学習の取り入れ方を工夫 することで「生徒が他者との関わりの中で、自分の考えを深め、的確に伝える力」を育てたい。

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9 教材について 羅生門の主人公である「下人」は、家も仕事もお金も何も持たず、ただ太刀だけを持たされ、永年 勤めた主人から解雇された。「羅生門」を、すべてを失った若者が人間性や人間社会の「意味」を問い 返す現代の物語として生徒自身の変革の物語と位置づけて読ませたい。そして、下人や老婆の細かな 人物描写を一つ一つ確実に捉えることで人物像や心情の変化を的確に読み取り、それを自分自身の考 え方や生き方に重ねて作品を読み深める力を身に付けさせたい。そのために、授業にグループ学習を 取り入れ、言語活動の充実を図り、他者に触発されながら課題解決に至る経験をさせていきたい。 10 単元の評価規準 ア 関心・意欲・態度 イ 読む能力 ウ 知識・理解 ①場面の推移に従って下人と老 婆の行動や心情がどのように変 化しているかを理解しようとし ている。 ②グループ学習で積極的に話し 合おうとしている。 ①人物の考え方とその変化、そ れが意味するものが何であるか を結びつけて説明している。 ②グループ学習で他者の考えと の共通点や相違点を意識して自 分の考えを深めている。 ①文章の構成を捉え、重要語句 の意味や比喩などの表現技巧を 文脈の中で理解している。 ②教材の学習や調べ学習を通し て教材と作者との関連を理解し ている。 11 指導と評価の計画(全16時間) 時 各時間の目標 学習活動 評価規準 評価方法 1・2 ・作品のおおまか なイメージをつか む。 ・作品の構成と場 面 設 定 を 理 解 す る。 ・朗読 CD を聞いて全文を通 読する。 ・初発の感想を発表する。 ・小説の構成と場面設定を 考える。 ア① ウ① 観察 付箋の点検 ワークシートの点検 3・4・5 第一段の読解 ・下人のおかれて いる状況とその心 情を理解する。 ・漢字の読みの小テストを 行う。 ・重要語句の意味調べをす る。 ・羅生門(羅城門)につい て図書館の資料で調べる。 ・ペアで音読する。 ・羅生門の下で雨やみを待 つ下人が置かれている状況 とその心情についてペア・ デ ィ ス カ ッ シ ョ ン で 考 え る。 イ①② 観察 小テストの点検 ワークシートの点検 付箋の点検

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6・7・8 第二段の読解 老婆に出会うまで の下人の心情の変 化を理解する。 ・漢字の読みの小テストを 行う。 ・ペアで音読する。 ・重要語句の意味調べをす る。 ・はしごの中段や上段から 下人が目にしたものによっ て下人の心情がどのように 変化したかを整理する。 ・下人の心情の変化の根拠 をグループ・ディスカッシ ョンで考える。 ・比喩表現の効果を考える。 イ①② 観察 小テストの点検 ワークシートの点検 付箋の点検 9・10・ 11(本時) 第三段の読解 老婆との交渉を通 じて変化する下人 の思考や心情を理 解する。 ・漢字の読みの小テストを 行う。 ・ペアで音読する。 ・重要語句の意味調べをす る。 ・老婆を捕えるまでの下人 の心情の変化を考える。 ・老婆が死人の髪の毛を抜 く理由を聞いた下人の心情 を ・比喩表現の効果を考える。 ・老婆の弁明の論理を整理 し、それに対する下人の思 考や心情をロールプレイ・ デ ィ ス カ ッ シ ョ ン で 考 え る。 イ①② 観察 小テストの点検 ワークシートの点検 付箋の点検 12・13 第四段の読解 老婆との出会いを 通して変貌した下 人について理解す る。 ・漢字の読みの小テストを 行う。 ・ペアで音読する。 ・重要語句の意味調べをす る。 ・前時で学習した老婆の弁 明に対する生徒自身の考え と第四段の下人の言動とを 比較しながら、引剥ぎに至 る下人の心理を考える。 ・下人が去った後の老婆の イ①② 観察 小テストの点検 ワークシートの点検 付箋の点検

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心情をペア・ディスカッシ ョンで考える。 14・15・16 ・作品の主題を考 える。 ・作品世界を広げ る。 ・作品全体を通して、下人 の変貌の意味をグループ・ デ ィ ス カ ッ シ ョ ン で 考 え る。 ・下人のその後を五コマ目 として作品を漫画にする。 ・作者について DVD を鑑賞 して、作品との関連につい て考察する。 ・学習活動全体を通して自 己評価をする。 イ② ウ② 観察 ワークシートの点検 付箋の点検 12 本時の計画(全16時間中の11時間目) (1) 目標 ・老婆との交渉を通じて変化する下人の思考や心情を理解する。 ・ロールプレイ・ディスカッションに意欲的に取り組み、本文の読解に基づいて自ら の考えを深める。 (2) 展開 時間 学習活動 指導上の留意点 評価の実際 導入 15分 1、前時を振り返り、 本 時 の 学 習 内 容 を 提 示する。 2、第三段(P180,4~ P181,11)を音読する。 ・ペアでワークシートから出題さ せる。 ・本時の学習目標、学習活動、評 価の観点をパワーポイントで提示 する。 ・ペアで一文ずつ交替して音読さ せる。 ア① ・発問に対する応答の様子を 確認することで評価する。 ・机間指導をしながら、音読 の様子(漢字の読み、会話文) を観察することで評価する。 展開1 15分 老 婆 が 死 人 の 髪 を 抜 く 理 由 を 聞 い た 下 人 の心情を説明する。 ・老婆が死人の髪を抜く理由を聞 いた下人の心情について語句の意 味を辞書で確認しながら考えさせ る。 ア①、イ①② ・発問に対する応答の様子を 確認することで評価する。 ・机間指導をしながら、話し 合いの様子やワークシート の記述内容を観察すること で評価する。

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展開2 20分 1、老婆の弁明の論理 を整理して説明する。 2、老婆の弁明に対す る 下 人 の 思 考 や 心 情 に つ い て ロ ー ル プ レ イ・ディスカッション を通して考える。 ・死人の髪を抜く老婆の考えとそ の理由を接続詞に注目しながら考 えさせる。 ・老婆の弁明に対する下人の心情 と生徒自身どう捉えるかを予めワ ークシートに記入させ、ロールプ レイ後の気づきを記入させる。 ・ロールプレイの目的や役割を明 確にして話し合いをさせる。 ・結論の収束は求めず、生徒の相 互理解のための自由な話し合いの 場を設定する。 ア①、イ①② ・発問に対する応答の様子を 確認することで評価する。 ・机間指導をしながら、話し 合いの様子やワークシート の記述内容を観察すること で評価する。 まとめ 5分 本時を振り返る。 ・ワークシートに本時の学習内容 を整理させ、学習目標が達成され たか評価する。 ・本時の読解が第四段の下人の行 動と関連することを予告する。 ・次回の課題(漢字の読みの小テ スト)を指示する。 ア① ・机間指導をしながら、ワー クシートの記述内容を観察 することで評価する。 (3) 評価 本時の評価規準 「努力を要するとされる」状況の例 具体的な指導の手立て ①老婆の弁明を論理的に 説明している。 ②ロールプレイ・ディス カッションで他者の考え との共通点や相違点を意 識して自分の考えを深め ている。 ①老婆の言葉の意味やそれが発せられ た経緯について文脈を追いながら確認 することができない。 ②ロールプレイ・ディスカッションで 自分の意見を述べることができない。 ①本文を拡大して示し、接続詞に アンダーラインを引かせ、論理の 展開図を示したワークシートに 空欄補充をさせる。 ②ロールプレイでの気づきにつ いて相互に質問し合うことを指 示する。 【研究授業実施後の反省点と感想】 1 はじめに 今回の研究授業は、協同学習において言語活動の充実を図り、活発な意見交流をすることで生徒一 人一人が自分の考えを深化させ、課題を解決する力を身に付けることを目的として行った。生徒が課 題解決の責任感や当事者意識を高めるためにはペアワークが最も効果的であると考え、段落ごとの音 読や下人や老婆の心情の考察、復習問題の出題など、毎時間、計画的に導入して数多くの経験を積ま せてきた。その中で、グループワークにより作品の理解を示した生徒も多くいた。また、下人や老婆 を演じ、人物の心情に迫ったロールプレイ・ディスカッションでは生徒が新たな角度から作品の理解 を深めることができたと実感した。

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音読 ペア・ディスカッション 2 実践の振り返り 「羅生門」の学習の全体を通して次の反省点が得られた。 1)学習活動に時間がかかり、授業時数が予定を大幅に超えてしまった。 2)本文を全体的に見渡して思考する力を身に付けさせられず、既習の内容を振り返らせることが できなかった。 3)比喩表現を通して人物の様子や心情を分かりやすくイメージさせることができなかった。 4)グループ・ディスカッションの活性化を図ることができなかった。 5)グループワークの評価を的確に行えなかった。 グループ・ディスカッション 3 授業改善の方策と今後の展望 反省を踏まえて、次のように今後の授業改善の方策を考えた。 1)生徒の学習活動に見通しを立て、指示や発問は簡潔に行う。 2)出来事や人物の心情について本文から確実に読み取る時間を十分に与え、読解法を生徒自ら考 えさせる。 3)本文の語句や生徒の言葉一つ一つの意味を正確に捉えさせる。 4)グループ・ディスカッションの目的を提示し、他者の考えとの比較検討の方法やグループ・デ ィスカッションのまとめ方を指示する。

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5)授業の初めに評価の観点を提示し、グループワークの後には必ず発表と評価の場を設ける。 生徒の思考力も教師の資質も不断の努力によって培われるものである。今回の研修を契機に今後 も私自身、教材を深く読み込み、生徒の「国語力」が「生きる力」となるような授業法の開発に努 めていこうと思う。 ○ロールプレイ・ディスカッションについて ~生徒の自己評価を生かした改善案~ 研究授業当日は、老婆の弁明に対する下人の心情についてロールプレイ・ディスカッションを通し て考えさせた。(ワークシート【第三段落】②を参照)生徒の自己評価は次の通りである。 理由 A よくできた 楽しくできた。 深く理解することができたから。 下人の気持ちが揺れてきたことに理解できた。 B まあまあできた 登場人物になりきることができた。 ワークシートなどでしっかりと取り組めたから。 実際にしてわからないところが少しあったから。 うまく会話ができず、一方的だった。 しっかりできたが、少しおしゃべりをしてしまった。 C あまりできなかった よくわからなかった。 ロールプレイ・ディスカッションとは、様々な役割演技をしながらディスカッションをすることに よって、様々な立場による物事に対する捉え方の違いを検討したり、思考の枠組みの在り方について 検討したりするためのディスカッションの一形態である。私自身初めての試みであり事前にトレーニ ングを行ったが、研究授業の展開の計画に無理があり、予定通りに進めることができなかった。特に、 37% 45% 5% 0% 5% 8%

ロールプレイ・ディスカッション

《テーマ》「老婆の弁明に対する下人の心情」

A よくできた B まあまあできた C あまりできなかった D 全くできなかった 無回答 未提出

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ロールプレイの後に行うシェアリングにおいて、弁明をする老婆の心情の分析やそれを聞いた下人の 心情の分析から立場や考え方の違いによる多角的な視点を気付かせる時間を十分に与えられなかった ことは大いに反省すべき点である。しかし、生徒の評価からもわかる通り、ロールプレイ・ディスカ ッションは人物の心情を考えることに効果を示し、その機能性を活かして授業開発を行うことで生徒 の思考の深化拡充が期待できると考える。したがって、学習活動にロールプレイ・ディスカッション を取り入れる際には次のことに留意して授業開発を行っていきたい。 1)1時間をかけて取り組ませる。 2)ロールプレイ・ディスカッションの主たる目的は、シェアリングであることを認識させる。 3)活用する場面を吟味する。(例えば、【第二段落】の死骸の髪を抜く老婆を追及する下人に対して 老婆が執拗く黙っている場面において二人の心情を考えさせる、など。) 今後もこのロールプレイ・ディスカッションの汎用性を高めながら生徒の学習活動を充実させて行 きたい。

参照

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