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表1‐4/表1‐4 背幅4.0ミリ   (3)Y◎

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ク リ ニ シ ア ン 6 0 8 号 認 知 症 新 時 代 へ の 挑 戦 2012年5月1日発行(年間10回発行) 発行 東京都文京区小石川4−6−10 発行人 直江 登 印刷 ひでじま 59巻4・5合併号(通巻608号) 認知症新時代への挑戦 認知症新時代への挑戦 ………鳥取大学医学部 脳神経医科学講座脳神経内科学分野教授 中島健二(2) 座談会:認知症を抱える本人の視点 ………(6) 座長:筑波大学 医学医療系臨床医学域精神医学教授 朝田 隆 川崎医科大学 神経内科特任准教授 認知症疾患医療センター副センター長 片山禎夫 こだまクリニック 院長 木之下 徹 独立行政法人国立長寿医療研究センター 第二脳機能診療科医長 武田章敬 オブザーバー:厚生労働省 老健局局長 宮島俊彦 インタビュー:本人からのメッセージ ………佐藤雅彦(21) 認知症のパラダイムシフト ・認知症の人の生活を知る 認知症の人の生活機能障害 ………札幌医科大学医学部 リハビリテーション医学講座教授 石合純夫(26) 帰宅願望ともの盗られ妄想 ………愛媛大学大学院医学系研究科 脳とこころの医学准教授 谷向 知(31) 脱抑制行動、常同行動………熊本大学医学部附属病院 神経精神科講師 橋本 衛(37) 易怒性 ………岩手医科大学医学部 災害医学講座特命教授 高橋 智(42) 幻覚・妄想・誤認 ………滋賀県立成人病センター 老年内科副部長 長濱康弘(48) 本人視点からアリセプト! を再考する ドネペジル(アリセプト!は!興奮"させる薬剤か? ………首都大学東京 大学院人間健康科学研究科教授 繁田雅弘(56) ・アリセプト!の投与意義 ナーシングホームデータから言えること………大阪赤十字病院 神経内科副部長 金田大太(60) ドネペジル塩酸塩の効果をどうみるか? ………ねぎし内科・神経内科クリニック 院長 根岸輝彦(67) 認知症治療の真のエンドポイントを考える ……医療法人社団こだま会 こだまクリニック 臨床心理士 安田朝子(77) MCI で抗認知症薬を投与すべきか?…………神戸大学大学院医学研究科 神経内科学分野准教授 古和久朋(83) これからの認知症で果たすべき役割 アリセプト!の登場は患者の受診行動にどのような変化を与えたか? ∼受診行動からの検討∼ ………三重大学大学院医学系研究科 認知症医療学講座准教授 佐藤正之ほか(89) 認知症診療10年の変遷と地域連携 …三重大学大学院医学系研究科 認知症医療学講座助教 木田博隆ほか(94) 認知症診療でかかりつけ医に期待する役割………岡山大学 脳神経内科教授 阿部康二(99) 認知症診療でかかりつけ医が果たすべきこと ………弓倉医院 院長 弓倉 整(106) 抗認知症薬の服薬継続の意義と薬剤師の役割 ……愛知学院大学薬学部 臨床薬剤学講座教授 山村恵子(111) 高齢者にやさしい剤形選択 ………昭和大学薬学部 薬物療法学講座 薬剤学部門准教授 倉田なおみ(117) 私の座右銘(第399回) ………鳥取大学医学部 脳神経医科学講座脳神経内科学分野教授 中島健二(表2) 連載 GP のためのセミナー 先端医学トレンド127……大阪大学産学連携本部 脳神経制御外科学特任教授 齋藤洋一(73) 新連載 住み慣れた地域で誰もがいきいきと暮らせるまちづくり ………認知症介護研究・研修東京センター 研究部副部長 永田久美子(124) 連載 1/ f ………聖路加国際病院 小児科部長 副院長 細谷亮太(134) 表紙 鳥取大学医学部 脳神経医科学講座脳神経内科学分野教授 中島健二先生 CODE CN(1)608

no.

608 vol.59 no.608 クリニシアン 認知症

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認知症新時代への挑戦

2 2001122年年44・・55月月号号((年年間間1100回回発発行行)) ISSN 0387-1541 ク リ ニ シ ア ン 6 0 8 号 認 知 症 新 時 代 へ の 挑 戦 2012年5月1日発行(年間10回発行) 発行 東京都文京区小石川4−6−10 発行人 直江 登 印刷 ひでじま 59巻4・5合併号(通巻608号) 認知症新時代への挑戦 認知症新時代への挑戦 ………鳥取大学医学部 脳神経医科学講座脳神経内科学分野教授 中島健二(2) 座談会:認知症を抱える本人の視点 ………(6) 座長:筑波大学 医学医療系臨床医学域精神医学教授 朝田 隆 川崎医科大学 神経内科特任准教授 認知症疾患医療センター副センター長 片山禎夫 こだまクリニック 院長 木之下 徹 独立行政法人国立長寿医療研究センター 第二脳機能診療科医長 武田章敬 オブザーバー:厚生労働省 老健局局長 宮島俊彦 インタビュー:本人からのメッセージ ………佐藤雅彦(21) 認知症のパラダイムシフト ・認知症の人の生活を知る 認知症の人の生活機能障害 ………札幌医科大学医学部 リハビリテーション医学講座教授 石合純夫(26) 帰宅願望ともの盗られ妄想 ………愛媛大学大学院医学系研究科 脳とこころの医学准教授 谷向 知(31) 脱抑制行動、常同行動………熊本大学医学部附属病院 神経精神科講師 橋本 衛(37) 易怒性 ………岩手医科大学医学部 災害医学講座特命教授 高橋 智(42) 幻覚・妄想・誤認 ………滋賀県立成人病センター 老年内科副部長 長濱康弘(48) 本人視点からアリセプト! を再考する ドネペジル(アリセプト!は!興奮"させる薬剤か? ………首都大学東京 大学院人間健康科学研究科教授 繁田雅弘(56) ・アリセプト!の投与意義 ナーシングホームデータから言えること………大阪赤十字病院 神経内科副部長 金田大太(60) ドネペジル塩酸塩の効果をどうみるか? ………ねぎし内科・神経内科クリニック 院長 根岸輝彦(67) 認知症治療の真のエンドポイントを考える ……医療法人社団こだま会 こだまクリニック 臨床心理士 安田朝子(77) MCI で抗認知症薬を投与すべきか?…………神戸大学大学院医学研究科 神経内科学分野准教授 古和久朋(83) これからの認知症で果たすべき役割 アリセプト!の登場は患者の受診行動にどのような変化を与えたか? ∼受診行動からの検討∼ ………三重大学大学院医学系研究科 認知症医療学講座准教授 佐藤正之ほか(89) 認知症診療10年の変遷と地域連携 …三重大学大学院医学系研究科 認知症医療学講座助教 木田博隆ほか(94) 認知症診療でかかりつけ医に期待する役割………岡山大学 脳神経内科教授 阿部康二(99) 認知症診療でかかりつけ医が果たすべきこと ………弓倉医院 院長 弓倉 整(106) 抗認知症薬の服薬継続の意義と薬剤師の役割 ……愛知学院大学薬学部 臨床薬剤学講座教授 山村恵子(111) 高齢者にやさしい剤形選択 ………昭和大学薬学部 薬物療法学講座 薬剤学部門准教授 倉田なおみ(117) 私の座右銘(第399回) ………鳥取大学医学部 脳神経医科学講座脳神経内科学分野教授 中島健二(表2) 連載 GP のためのセミナー 先端医学トレンド127……大阪大学産学連携本部 脳神経制御外科学特任教授 齋藤洋一(73) 新連載 住み慣れた地域で誰もがいきいきと暮らせるまちづくり ………認知症介護研究・研修東京センター 研究部副部長 永田久美子(124) 連載 1/ f ………聖路加国際病院 小児科部長 副院長 細谷亮太(134) 表紙 鳥取大学医学部 脳神経医科学講座脳神経内科学分野教授 中島健二先生 CODE CN(1)608 no.

608

vol.59 エーザイ/クリニシアン608 表1‐4 20120427 (3)Y 背幅4.0mm

no.

608 vol.59 no.608 クリニシアン 認知症

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〝 座 右 の 銘 〟 の 執 筆 依 頼 を 受 け 、 自 分 に は そ の よ う な 確 固 た る 言 葉 は な い こ と に 今 更 の よ う に 気 付 か さ れ た 。 あ ま り 形 に 捉 わ れ ず に 生 き て き た た め で も あ ろ う 。 た だ 、 好 き な 言 葉 と い う か 、 自 分 を 戒 め て み た り 、 鼓 舞 し よ う と し て み た り す る よ う な と き な ど に 、 ふ っ と 思 い 浮 か べ る 言 葉 は い く つ か あ る 。 例 え ば 、 〝 知 足 〟 、 〝 温 故 知 新 〟 、 〝 塞 翁 が 馬 〟 な ど と い っ た 言 葉 で あ る 。 〝 塞 翁 が 馬 〟 の 塞 は 砦 を 意 味 し 、 〝 塞 翁 〟 は 防 御 の た め に 設 け ら れ た 砦 に 住 む 老 人 を 指 す 。 塞 翁 が 飼 っ て い た 馬 が 逃 げ て し ま う が 、 後 日 、 そ の 逃 げ た 馬 が 駿 馬 を 連 れ て 帰 っ て 来 る 。 そ の 駿 馬 に 息 子 が 乗 っ て い た と こ ろ 、 馬 か ら 落 ち て 骨 折 す る 。 隣 国 と の 戦 争 が 起 こ っ て 周 辺 の 若 者 は 徴 集 さ れ て 戦 争 に 駆 り 出 さ れ る が 、 塞 翁 の 息 子 は 骨 折 し て い た た め に 出 征 を 免 れ る 。 出 征 し た 若 者 の ほ と ん ど は 戦 死 し て し ま う け れ ど 、 塞 翁 の 息 子 は 命 を 永 ら え る こ と が で き た 、 と い う よ く 知 ら れ た 故 事 で あ る 。 幸 と 不 幸 は 紙 一 重 の 差 で あ り 、 〝 禍 福 は 糾 え る 縄 の 如 し 〟 、 〝 禍 転 じ て 福 と 為 す 〟 と い っ た 言 葉 も 類 似 の こ と を 指 す と 思 わ れ る 。 不 幸 が 続 く と 言 い な が ら く よ く よ す る ば か り で は 発 展 で き ず 、 現 状 を 受 け 入 れ 、 そ の 上 で 、 努 力 を 続 け て い く こ と に よ っ て 以 後 の 展 望 が 開 け る も の と 思 わ れ る 。 鳥 取 大 学 脳 神 経 内 科 は 昭 和 37 年 に 始 ま り 、 初 代 の 教 授 は 下 田 又 季 雄 先 生 で あ る 。 脳 波 を 中 心 に 研 究 を 進 め ら れ 、 付 随 す る 脳 波 異 常 に 基 づ い て い く つ か の 疾 患 の 主 座 を 間 脳 に 求 め ら れ 、 間 脳 症 の 概 表 紙 の 人 私の座右銘 第399回

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念 を 提 唱 さ れ た 。 昭 和 52 年 に 高 橋 和 郎 先 生 が 第 二 代 教 授 に 就 任 さ れ 、 広 く 神 経 疾 患 全 体 に つ い て 診 察 ・ 教 育 ・ 研 究 を 展 開 さ れ た 。 社 会 は 右 肩 上 が り の 高 度 成 長 が 続 き 、 そ れ ま で 治 療 法 の 少 な か っ た 神 経 疾 患 に お い て も 、 徐 々 に で は あ る が 治 療 薬 が 増 え て い っ た 。 教 室 の 医 師 数 も 増 え 、 診 療 ・ 研 究 の 範 囲 も 広 が っ て 、 関 連 病 院 も 増 え て い っ た 。 平 成 7 年 に 小 生 が 第 三 代 教 授 に 就 任 し た が 、 そ の 後 は 、 社 会 的 に も 多 く の 激 変 が 生 じ た 。 急 に 国 家 公 務 員 の 倫 理 規 定 が 厳 し く な り 、 研 究 費 な ど の 管 理 が 厳 正 に 求 め ら れ る よ う に な っ た り 、 い く つ か の 薬 剤 の 承 認 が 突 然 取 り 消 さ れ る 事 態 も 生 じ 、 臨 床 治 験 の 対 応 も 厳 し く な っ た 。 研 修 制 度 の 変 化 も 関 与 し 、 医 療 体 制 も 大 き く 変 化 し た 。 地 方 の 国 立 大 学 法 人 の 附 属 病 院 で は 、 新 入 局 員 が 減 少 し て 教 室 員 が 減 り 、 地 域 の 医 療 に 変 化 を 生 じ ざ る を 得 な く な っ た 。 診 療 へ の 多 く の 貢 献 を 強 く 追 求 さ れ る よ う に な り 、 診 療 に 多 く の 時 間 を 割 く よ う に な っ て 、 研 究 力 が 低 下 し た 。 そ れ で も 、 あ ま り 悲 観 的 に な り 過 ぎ な い よ う に 考 え 、 診 療 や 教 育 に 努 力 す る と と も に 、 可 能 な 範 囲 で は あ る が 教 室 の 研 究 も 進 め て き た 。 現 状 が 必 ず し も 期 待 し て い る 状 況 で は な く て も 、 努 力 を し 続 け て い れ ば 次 の 展 開 に つ な が っ て い く も の と 信 じ て こ れ か ら も 努 力 し て い き た い と 思 う 。 ︵ 鳥 取 大 学 医 学 部 脳 神 経 医 科 学 講 座 脳 神 経 内 科 学 分 野 教 授 ︶ 表紙の人 中島 健二 ナカシマ ケンジ

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認知症新時代への挑戦

認 知 症 医 療 は 、 長 く 有 効 な 治 療 法 が な く 、 軽 視 さ れ て き た 傾 向 が あ る 。 最 近 、 社 会 的 に も 認 知 症 へ の 関 心 が 増 大 し て い る 。 そ れ に は い く つ か の 要 因 が あ る 。 ま ず 、 認 知 症 者 数 の 急 速 な 増 加 が あ る 。 こ の 増 加 に は 、 高 齢 化 に よ る 高 齢 者 の 増 加 、 認 知 症 発 症 の 増 加 、 認 知 症 へ の 関 心 が 高 ま っ て こ れ ま で 見 過 ご さ れ て い た 軽 度 の 認 知 症 の 早 期 診 断 が 進 歩 し た こ と 、 と い っ た 可 能 性 が 影 響 し て い る と 考 え ら れ る 。 最 近 の 調 査 で は 、 認 知 症 の な か で も 軽 度 の 認 知 症 の 増 加 が 指 摘 さ れ て い る 。 多 数 の 認 知 症 患 者 に 対 応 す る に は 専 門 医 が 少 な 過 ぎ る た め 、 日 本 認 知 症 学 会 や 日 本 老 年 精 神 医 学 会 で は 、 専 門 医 制 度 を 設 け て 認 知 症 診 療 を 担 う 専 門 医 育 成 に 取 り 組 ん で い る 。 ち な み に 、 日 本 認 知 症 学 会 に お け る 専 門 医 は 、 2 0 1 1 年 度 末 に お い て 7 0 7 人 で あ る 。 ま だ ま だ 不 足 は 明 ら か で 、 一 層 の 専 門 医 育 成 が 求 め ら れ る 。 認 知 症 医 療 は 、 神 経 内 科 医 、 精 神 科 医 、 老 年 科 医 CLINICIAN ’12 NO. 608 2 (328)

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な ど 、 幅 広 い 領 域 の 医 師 が 参 画 し な い と 対 応 で き ず 、 ま た 、 医 師 の み な ら ず 他 職 種 の 参 画 も 必 要 で あ る 。 治 療 薬 に 関 す る 話 題 も 増 え て い る 。 認 知 症 の 大 部 分 を 占 め る ア ル ツ ハ イ マ ー 病 で は 、 脳 の ア セ チ ル コ リ ン が 低 下 し て い る 。 ア セ チ ル コ リ ン を 増 加 さ せ る た め に 薬 剤 開 発 研 究 が 進 め ら れ 、 ア セ チ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 薬 が 開 発 さ れ た 。 現 在 、 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 治 療 薬 と し て 国 際 的 に も 最 も 使 用 さ れ て い る ア セ チ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 薬 は ド ネ ペ ジ ル で あ る 。 ド ネ ペ ジ ル は 、 1 9 9 9 年 に わ が 国 で も 使 用 可 能 と な っ た 。 そ れ ま で 全 く 治 療 薬 の な か っ た ア ル ツ ハ イ マ ー 病 に お い て 初 め て の 治 療 薬 の 登 場 で あ り 、 画 期 的 な 治 療 薬 の 登 場 で あ っ た 。 す で に 、 13 年 間 の 使 用 経 験 が 積 み 重 ね ら れ 、 種 々 の 臨 床 的 な 工 夫 が 検 討 さ れ て き た 。 米 国 で は 、 23 ! 製 剤 も 認 可 さ れ て い る 。 一 方 、 ド ネ ペ ジ ル に よ り 改 善 が 明 確 で な い ノ ン レ ス ポ ン ダ ー の 存 在 が 、 ド ネ ペ ジ ル に よ る 治 療 に お け る 課 題 の 一 つ と し て 指 摘 さ れ て き た 。 そ の よ う な な か 、 2 0 1 1 年 に な っ て 、 ガ ラ ン タ ミ ン 、 リ バ ス チ グ ミ ン 、 メ マ ン チ ン と い う 3 種 類 の 新 た な ア ル ツ ハ イ マ ー 病 治 療 薬 が わ が 国 の 臨 床 現 場 に 登 場 し た 。 ガ ラ ン タ ミ ン は 、 ア セ チ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 作 用 の み な ら ず 、 ニ コ チ ン 性 ア セ チ ル コ リ ン 受 容 体 へ の ア ロ ス テ リ ッ ク な 増 強 作 用 を 有 す 。 こ の ア ロ ス テ リ ッ ク 作 用 と い う の は 、 ア セ チ ル コ リ ン 結 合 部 位 と は 異 な る 部 位 に 結 合 し て 受 容 体 の 感 受 性 を 高 め る 作 用 で あ る 。 リ バ ス チ グ ミ ン は 、 ア セ チ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 作 用 と ブ チ リ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 作 用 を 併 せ 持 つ 。 ま た 、 パ ッ チ 剤 と い う 特 徴 を 有 し 、 吸 収 や 血 中 濃 度 の 上 昇 が 緩 徐 で あ る メ リ ッ ト が 期 待 さ れ る と と も に 、 介 護 者 が 貼 付 状 況 を 目 で 確 認 で き る と い う 特 徴 を 有 す 。 メ マ ン チ ン は 、 他 の 抗 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 治 療 (329) 3 CLINICIAN ’12 NO. 608

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薬 と 異 な っ て 、 N M D A 受 容 体 拮 抗 作 用 を 示 す 薬 剤 で あ る 。 N M D A 受 容 体 は 、 グ ル タ ミ ン 酸 受 容 体 サ ブ タ イ プ の 一 つ で あ り 、 過 剰 な グ ル タ ミ ン 酸 は 神 経 細 胞 毒 性 を 示 し 、 記 憶 や 学 習 障 害 を 生 じ る 。 メ マ ン チ ン は 、 過 剰 な N M D A 受 容 体 の 活 性 化 を 抑 制 し て 神 経 細 胞 を 保 護 し 、 記 憶 ・ 学 習 障 害 を 抑 制 す る 。 作 用 機 序 が 異 な る と こ ろ か ら 、 ア セ チ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 薬 と の 併 用 も 可 能 で あ る 。 ま た 、 ア セ チ ル コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 薬 の 効 果 が 認 め ら れ な く な っ た 段 階 で も そ の 効 果 が 期 待 さ れ る 。 さ ら に 、 こ れ ら の ア ル ツ ハ イ マ ー 病 治 療 薬 に は 神 経 保 護 的 な 作 用 も 推 定 さ れ て い る 。 ア ミ ロ イ ド ワ ク チ ン な ど 、 こ れ ま でdisease modifying therapy と し て 開 発 さ れ て き た 薬 剤 の 臨 床 試 験 が 必 ず し も う ま く 進 ん で い な い 現 状 か ら 、 こ れ ら の す で に 市 販 さ れ て い る 薬 剤 に も 神 経 保 護 的 作 用 が あ る こ と は 、 興 味 あ る こ と と 思 わ れ る 。 3 種 類 の ア ル ツ ハ イ マ ー 病 治 療 薬 が 加 わ る こ と に よ り 、 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 治 療 に お い て 、 そ れ ら の 使 い 分 け や 併 用 療 法 な ど も 課 題 に な っ て き て い る 。 こ れ ら の 薬 剤 の 投 与 や 選 択 に あ た っ て は 、 患 者 ・ 家 族 に 疾 患 や 治 療 の 必 要 性 、 薬 剤 の 特 徴 、 副 作 用 な ど に つ い て 十 分 に 説 明 し 、 よ く 相 談 し な が ら 選 択 し て い く こ と が 重 要 で あ る と 思 わ れ る 。 認 知 症 の 治 療 に は 、 薬 物 療 法 の み な ら ず 、 ケ ア や リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 、 介 護 な ど も 含 め た ト ー タ ル 的 な 医 療 が 求 め ら れ る 。 こ れ ら の 認 知 症 に お け る 非 薬 物 治 療 の 重 要 性 は こ れ ま で も 強 調 さ れ て き て い る と こ ろ で あ る が 、 そ れ ら の エ ビ デ ン ス レ ベ ル は 高 く な い 。 今 後 、 非 薬 物 治 療 の よ り 高 い エ ビ デ ン ス を 作 り な が ら 、 薬 物 療 法 の み な ら ず よ り 有 効 な 非 薬 物 療 法 を 確 立 し て い く 必 要 が あ る 。 一 方 、 地 域 に お い て は 、 地 域 連 携 や 地 域 で 取 り 組 む 認 知 症 対 応 も 大 切 で あ る 。 行 政 に 頼 る だ け で な く 、 地 域 に 適 し た 、 地 域 に よ る 、 地 域 の CLINICIAN ’12 NO. 608 4 (330)

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た め の 地 域 連 携 を 構 築 し て 認 知 症 へ の 対 応 を 行 っ て い く こ と も 重 要 と 思 わ れ る 。 認 知 症 者 個 人 に と っ て 、 真 に 安 心 し て 生 活 で き る 地 域 を 形 成 し て い く 努 力 が 求 め ら れ よ う 。 4 種 類 の ア ル ツ ハ イ マ ー 病 治 療 薬 が 使 用 可 能 と な り 、 認 知 症 医 療 は 新 た な 時 代 に 入 っ た と 言 え る 。 今 後 、 臨 床 現 場 で の 抗 認 知 症 薬 の 使 用 経 験 が 蓄 積 さ れ 、 よ り 有 用 な 使 用 法 、 使 い 分 け な ど が 明 ら か に な っ て い く も の と 期 待 さ れ る 。 こ う い っ た 観 点 か ら も 、 今 後 ま す ま す 認 知 症 者 の 立 場 に 立 脚 し た 医 療 が 求 め ら れ て く る と 思 わ れ る 。 わ が 国 に お け る 認 知 症 診 療 の 一 層 の 発 展 を 期 待 し た い 。 ︵ 鳥 取 大 学 医 学 部 脳 神 経 医 科 学 講 座 脳 神 経 内 科 学 分 野 教 授 ︶ (331) 5 CLINICIAN ’12 NO. 608

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○座談会○

認知症を抱える本人の視点

朝田

筑波大学 医学医療系臨床医学域精神医学教授

片山

禎夫

川崎医科大学 神経内科特任准教授 認知症疾患医療センター副センター長

木之下

こだまクリニック 院長

武田

章敬

独立行政法人国立長寿医療研究センター 第二脳機能診療科医長

宮島

俊彦

厚生労働省 老健局局長 (50音順) 座長 オブザーバー CLINICIAN ’12 NO. 608 6 (332)

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1. 平 成 25 年 度 以 降 の 医 療 計 画 に 記 載 す べ き 疾 患 に 、 精 神 疾 患 を 追 加 し た ﹁ 5 疾 病 5 事 業 ﹂ を 盛 り 込 む こ と が 決 ま り 、 認 知 症 医 療 は 新 た な 局 面 を 迎 え る こ と に な り ま す 。 精 神 疾 患 で 医 療 機 関 に か か っ て い る 患 者 数 が 近 年 大 幅 に 増 加 し 、 平 成 14 年 か ら は が ん 、 脳 卒 中 、 心 筋 梗 塞 、 糖 尿 病 の 4 疾 病 を 上 回 っ て い ま す 。 な か で も 平 成 22 年 の 時 点 で す で に 2 0 0 万 人 を 超 え て い る 認 知 症 は 、 わ が 国 が 最 優 先 に 取 り 組 む べ き 重 要 課 題 の 一 つ と 位 置 づ け ら れ て い ま す 。 こ の よ う な 背 景 を 踏 ま え 、 本 日 は 認 知 症 医 療 の 根 本 を 改 め て み つ め 、 あ る べ き 姿 に つ い て 話 し 合 っ て い き た い と 思 い ま す 。 認 知 症 は 加 齢 と と も に 増 加 し て い く“co mmo n d isease” で あ る 、 と い う 認 識 が 定 着 し て い ま す 。 で は 、 認 知 症 を 抱 え る 本 人 か ら み た 医 療 の 現 実 は ど う な の で し ょ う か 。 認 知 症 に な る と 通 常 の 医 療 が 受 け ら れ な い と い っ た 声 も 聞 か れ ま す が 、 日 常 で の 経 験 な ど を 最 初 に お 聞 か せ く だ さ い 。 以 前 厚 生 労 働 省 班 研 究 に 参 加 し 、 認 知 症 の 人 々 が 家 族 や 医 療 者 な ど か ら ど の よ う な 扱 い を 受 け て い る の か 調 べ た こ と が あ り ま す 。 す る と 、 例 え ば 糖 尿 病 に 罹 患 し て い て も B P S D ︵be ha v-io ra l and ps yc hol ogi ca l sy mpt o ms of de me nt ia ︶ が あ る と 適 切 な 治 療 が 受 け ら れ な い 、 あ る い は 大 腸 が ん の 検 査 す ら 受 け ら れ な い 、 と い っ た 心 痛 ま し い 現 実 が 浮 か び 上 が っ て き ま し た 。 少 な く と も 私 が 話 し て い る と き に は 穏 や か で 理 知 的 な 方 で も 、 そ う い う 現 実 が あ り ま し た 。 ま た 、 あ る 歯 科 衛 生 士 が 口 腔 ケ ア で 訪 問 し た 際 、 認 知 症 の 人 に ﹁ お 歌 は 何 が 好 き で す か ﹂ と 尋 ね た ん で す 。 す る と 突 然 本 人 は ﹁ 私 を 何 だ と 思 っ て い る ん だ ﹂ と 怒 り 始 め た 。 歯 科 衛 生 士 は 親 切 心 の つ も り で 接 し た の で す 。 し か し 、 認 知 症 と 診 断 さ れ て 以 降 、 認 知 症 と い う ス テ ィ グ マ 、 あ る い は ラ ベ ル 化 と い う 事 態 を 日 常 的 に 経 験 す る 不 幸 が 続 い て い る と 本 人 が 感 じ た た め 、 怒 っ た の で し ょ う 。 ﹁ 自 分 ご と ﹂ と す れ ば 当 た り 前 な 話 で す 。 そ の 方 は 子 ど も 扱 い さ れ た と 受 け 取 ら れ (333) 7 CLINICIAN ’12 NO. 608

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た わ け で す ね 。 片 山 先 生 は * 元 国 立 病 院 機 構 の 認 知 症 治 療 医 と し て 、 こ の よ う な 問 題 を 経 験 さ れ た こ と は あ り ま す か 。 私 が 以 前 勤 め て い た 施 設 で は 認 知 症 を 抱 え て い て も 、 例 え ば 大 腸 が ん 手 術 な ど が き ち ん と 受 け ら れ る 環 境 を 整 え て い ま す が 、 入 院 の と き や 検 査 を 受 け る 際 に も ﹁ そ の 人 ら し さ ﹂ に 配 慮 し た 対 応 が で き る よ う に 看 護 師 や そ の 他 医 療 従 事 者 に 指 導 す る こ と が 重 要 だ と 思 い ま す 。 木 之 下 先 生 が 紹 介 さ れ た 事 例 は あ る 歯 科 衛 生 士 の 認 知 症 の 人 に 対 す る 理 解 不 足 か ら 生 じ た 問 題 の よ う で す が 、 む し ろ 認 知 症 の 人 と 介 護 家 族 に 病 気 の 理 解 を 促 す た め の 教 育 ・ 指 導 が 不 足 し て い る 場 合 も 多 い 。 本 人 の 心 の 動 き 、 精 神 状 態 が 穏 や か に 保 て る た め の 工 夫 、 本 人 と 家 族 の 接 し 方 を 指 導 し た り 、 相 互 に 理 解 し 合 え る よ う に 手 助 け す る こ と が 大 切 だ と 思 い ま す 。 ま た 、 認 知 症 の 人 が 地 域 社 会 で 生 活 し て い く に は 、 近 所 の 人 や 地 域 住 民 に も 認 知 症 の 知 識 が な い と 本 人 を 傷 つ け る こ と も 考 え ら れ ま す ね 。 な る ほ ど 。 認 知 症 の 人 に や さ し さ の 手 を 差 し 伸 べ る と き 、 親 切 に は 二 面 性 が あ る こ と を 忘 れ て は い け な い と い う こ と で す ね 。 本 人 が そ の 行 為 に ﹁ う れ し い 。 あ り が と う ﹂ と 感 じ る 反 面 、 ﹁ 自 分 に は で き な い と 思 っ て 手 を 貸 し た ん で し ょ ﹂ や ﹁ な さ け な い ﹂ と 感 じ ら れ る 面 も あ る 。 武 田 先 生 は こ の よ う な ケ ア の 二 面 性 に ど の よ う に 折 り 合 い を つ け て い ま す か 。 ま ず は 本 人 の 状 況 や 状 態 を し っ か り 把 握 し て お か な い と 、 先 ほ ど の ﹁ お 歌 ﹂ の 事 例 の よ う に 認 知 症 の 人 を 傷 つ け る 可 能 性 が あ る と 思 い ま す 。 た だ 、 本 人 が ど こ ま で わ か っ て い る の か 、 で き る の か を 評 価 す る こ と 自 体 が 傷 つ け る お そ れ も あ り 朝田 隆先生 (*元国立病院機構広島西医療センター 認知機能疾患科医長) CLINICIAN ’12 NO. 608 8 (334)

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ま す 。 そ こ が 診 療 で は 一 番 難 し い と こ ろ だ と 感 じ て い ま す 。 外 来 診 療 で 家 族 が ﹁ わ か っ て い な い こ と 、 で き な い こ と ﹂ を 指 摘 し た と き に 、 私 が 本 人 に ﹁ こ の 部 分 は し っ か り わ か っ て い ま す よ ね ﹂ と 話 す と 、 ﹁ わ か っ て く れ て い る の だ ﹂ と い う 安 堵 の 表 情 を さ れ る 場 面 も 少 な く あ り ま せ ん 。 ﹁ わ か っ て い る こ と 、 わ か っ て い な い こ と ﹂ を き ち ん と 把 握 す る の が 医 療 者 の 務 め で は な い か と 思 い ま す 。 ﹁ わ か っ て い る が 、 で き て い な い と こ ろ ﹂ の 見 極 め が 大 切 と い う こ と で す ね 。 武 田 先 生 が 指 摘 さ れ た 問 題 は 、 認 知 症 の 中 に お け る 認 知 機 能 の 低 下 は 、 症 状 と い う 形 で は 現 れ な い 、 つ ま り 認 知 症 の 苦 悩 の 根 源 は 内 在 化 し て い る こ と に 関 係 し て い る の で は な い か と 思 い ま す 。 医 療 者 が 本 人 に 病 気 や 状 態 の こ と を 伝 え る と き は 、 ﹁ で き る こ と ﹂ と い う 能 力 を 前 向 き に と ら え て 、 そ れ を 周 り の 人 々 と 共 有 す る こ と が 大 事 な の だ ろ う と 思 い ま す 。 先 ほ ど 朝 田 先 生 が 言 わ れ た ケ ア の 二 面 性 で す が 、 う ち の ス タ ッ フ が あ る 施 設 で こ ん な 経 験 を し て い ま す 。 高 度 ア ル ツ ハ イ マ ー 型 認 知 症 の 人 か ら ﹁ 親 切 と お 世 話 に は 涙 が 出 ま す 。 で も 、 涙 の 出 る 場 所 が 違 う ん で す ﹂ と 言 わ れ た そ う で す 。 親 切 に は 感 謝 の 気 持 ち か ら 涙 が 出 る け れ ど も 、 お 世 話 に は ﹁ お 世 話 に な る 自 分 が 悔 し い ﹂ と い う 意 味 で す ね 。 そ う で す 。 ﹁ 配 慮 ﹂ に は う れ し い が 、 ﹁ 対 応 ﹂ は 平 等 な 価 値 を 有 す る 人 と し て 毀 損 さ れ た 気 持 ち が し た の で し ょ う 。 対 応 は 悪 い こ と に 対 し て 行 わ れ る よ う な イ メ ー ジ も あ り ま す 。 傷 つ く か ど う か の 判 断 は 、 ﹁ 自 分 ご と ﹂ と し て 置 き 換 え て 考 え る と わ か り や す い の で は な い か と 思 っ て い ま す 。 そ う で す ね 。 ﹁ ○ ○ を し て あ げ る ﹂ 、 ﹁ ○ ○ は で き な い で し ょ う ﹂ と い っ た 言 葉 遣 い 、 あ る い は 様 々 な 支 援 を 含 め 、 周 囲 の 人 々 の 接 し 方 に 対 し て 、 そ れ ぞ れ 本 人 が ﹁ う れ し い ﹂ と 思 う の か 、 ﹁ う れ し く な い ﹂ と 思 う の か 、 心 の 動 き を つ か む こ と が 認 知 症 診 療 の 基 本 に あ る と 思 い ま す 。 糖 尿 病 に な れ ば 多 く の 患 者 さ ん は 病 気 を 克 服 し よ う と 努 力 さ れ ま す 。 で も 認 知 症 の 場 合 、 そ う し (335) 9 CLINICIAN ’12 NO. 608

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た 努 力 が 周 り の 人 か ら 評 価 さ れ な い 方 向 に 向 か っ て し ま う こ と が 多 い 。 そ の こ と を 理 解 せ ず に 、 周 り の 人 が そ う し た 努 力 を 否 定 し た り 、 ﹁ で き な い で し ょ う ﹂ と 言 う と 、 認 知 症 の ご 本 人 は 傷 つ い て し ま う と 思 い ま す 。 宮 島 局 長 は 、 臨 床 医 の 先 生 方 の お 話 を 聞 か れ て 、 認 知 症 の 人 と の 接 し 方 に つ い て ど の よ う な ご 意 見 を お 持 ち で す か 。 私 自 身 は 臨 床 の 経 験 が な い の で す が 、 実 は 一 人 暮 ら し の 義 理 の 母 に 認 知 症 が あ り 、 料 理 な ど の 日 常 生 活 を 手 伝 っ て い ま す 。 そ の 経 験 を 通 し て 感 じ て い る の は 、 本 人 は 自 分 の こ と が 意 外 と わ か っ て い る 、 病 識 が あ る と い う こ と で す 。 も う 一 つ は 、 周 り の 人 が 認 知 症 の 方 と 良 好 な 人 間 関 係 を 作 っ て い く 工 夫 が 大 切 だ と い う こ と で す 。 例 え ば 、 本 人 は 洗 濯 や 料 理 を や り た い け れ ど も 手 順 が わ か ら な く な っ て い る 。 そ う い う 場 合 で も 、 本 人 が 手 伝 え る パ ー ト を 見 つ け て 、 一 緒 に 作 業 す る と と て も 喜 ん で く れ ま す 。 周 り の 手 助 け が 認 知 症 の 方 を 傷 つ け て し ま う と い う 問 題 は 、 介 護 保 険 制 度 で 掲 げ て い る 基 本 理 念 の ﹁ 尊 厳 の 保 持 ﹂ と ﹁ 自 立 支 援 ﹂ と も 関 係 し て く る の で は な い で し ょ う か 。 こ れ ら は 認 知 症 の 方 を 含 め た 高 齢 者 ケ ア 全 体 に 適 用 さ れ う る 普 遍 的 な 目 的 だ と 思 っ て い ま す の で 、 認 知 症 の 医 療 者 も こ の 理 念 を ど の よ う に 実 現 す る か が 今 後 大 事 に な っ て く る の で は な い か と 考 え て い ま す 。 ﹁ 尊 厳 の 保 持 ﹂ は 認 知 症 の 人 が 傷 つ か ず プ ラ イ ド を 保 つ 、 ﹁ 自 立 支 援 ﹂ は ケ ア あ る い は 手 助 け と い う 意 味 で 、 理 念 と し て 共 通 性 が あ る こ と が よ く わ か り ま し た 。 食 事 が う ま く で き な い 、 服 が 着 ら れ な い 、 ト イ レ の 水 を 流 す の を 忘 れ る と い っ た 症 状 は 、 B P S D で は な く 、 生 活 機 能 障 害 と い え る で し ょ う 。 こ れ に 指 導 を さ れ た ら 誰 し も い や な 気 持 ち に な り ま す 。 尊 厳 を 保 持 し な が ら 、 い か に 自 立 を 支 援 す る か と い う 具 体 的 な 話 に な る と 、 そ れ は 心 の 問 題 で は な く 、 む し ろ 技 術 論 へ と 進 ん で ゆ く と 思 い ま す 。 CLINICIAN ’12 NO. 608 10 (336)

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ト ム ・ キ ッ ト ウ ッ ド が 1 9 9 0 年 代 に 新 た な 認 知 症 ケ ア モ デ ル と し て ﹁ パ ー ソ ン ・ セ ン タ ー ド ・ ケ ア ﹂ を 提 唱 し 、 日 本 で も そ の 概 念 に 基 づ く 取 り 組 み が 行 わ れ て お り ま す 。 皆 さ ん は 、 日 常 臨 床 に お い て こ の 考 え 方 を ど の よ う な イ メ ー ジ で と ら え て い ま す か 。 こ れ は 木 之 下 先 生 か ら 教 わ っ た こ と で す が 、 認 知 症 は 誰 で も な る 可 能 性 が あ り 、 ﹁ 自 分 が 認 知 症 に な っ た 場 合 の こ と ﹂ を 忘 れ な い よ う 診 療 を 行 う こ と を 心 が け て お り ま す 。 厚 生 労 働 省 在 職 中 に 若 年 性 認 知 症 施 策 に 携 わ っ た と き も 、 チ ー ム の メ ン バ ー と ﹁ 自 分 た ち が 若 年 性 認 知 症 に な っ た こ と を 想 定 し て 考 え よ う ﹂ を 合 言 葉 と し て 、 必 要 な 支 援 や サ ー ビ ス 、 体 制 を 検 討 し た こ と を 憶 え て い ま す 。 自 分 が そ の 立 場 に な っ た ら ﹁ ど う し て ほ し い の か ﹂ 、 こ れ に 尽 き る と い う こ と で す ね 。 片 山 先 生 の ご 意 見 は い か が で す か 。 認 知 症 の 人 は 機 能 の 低 下 や 症 状 を そ の 人 な り に 乗 り 越 え よ う と 努 力 し て い る の に 、 勘 違 い を し た り 、 夕 方 な の に 外 出 し た り 、 入 院 中 に 帰 宅 す る と い っ た 行 動 を と っ て し ま う 。 本 人 は 頑 張 っ て や っ た こ と な の に 周 り は 理 解 で き な い 。 パ ー ソ ン ・ セ ン タ ー ド ・ ケ ア で は 、 本 人 と 周 り の 人 に 認 知 症 の 理 解 を 促 し 、 こ の よ う な 努 力 行 為 の 意 味 を わ か っ て も ら う こ と 、 そ し て 勘 違 い を し な い た め の 工 夫 を 図 る こ と が 必 要 だ と 思 い ま す 。 パ ー ソ ン ・ セ ン タ ー ド ・ ケ ア の 基 本 は 、 本 来 で き て い た こ と が で き な く な っ た か ら 周 り の 人 が 代 わ り に す る の で は な く 、 一 緒 に す る こ と に よ っ て 、 部 分 的 に で も 同 じ こ と が で き る よ う に な る 。 本 人 が う れ し 片山禎夫先生 (337) 11 CLINICIAN ’12 NO. 608

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い 、 楽 し い と 感 じ る の は 、 同 じ 立 場 で 周 り の 人 と 一 緒 に 何 か を す る 、 ほ か の 人 に 何 か し て あ げ る こ と で は な い か と 思 い ま す 。 必 要 と し て く れ る 人 が い る こ と 、 楽 し い と い う 気 持 ち を 持 て る よ う に 指 導 し て い く こ と が 大 切 で す 。 お っ し ゃ る と お り 、 自 分 が 周 り か ら 必 要 と さ れ て い る と 感 じ る こ と は 、 人 間 が 尊 厳 を 持 っ て 生 き て い く う え で の 原 動 力 だ と 思 い ま す 。 何 か を 一 緒 に す る こ と で 喜 び を 感 じ た り 、 自 分 の 存 在 理 由 を 認 め て く れ る 人 が 周 り に い る と 、 認 知 症 の 人 が 生 き る う え で 大 き な 力 に な る と い う こ と で す ね 。 ト ム ・ キ ッ ト ウ ッ ド の 後 継 者 で あ る ド ー ン ・ ブ ル ッ カ ー は 、 2 0 0 7 年 に パ ー ソ ン ・ セ ン タ ー ド ・ ケ ア の 概 念 を V I P S と い う 4 つ の 要 素 に 整 理 し て い ま す 。 V は ﹁Va lu es pe opl e ﹂ ︵ 人 の 価 値 ︶ 、 I は ﹁Tr ea t pe opl e as Indi vi dua ls ﹂ ︵ そ の 人 の た め の 治 療 ︶ 、 P は ﹁Persp ectiv e o f serv ice u ser ﹂ ︵ サ ー ビ ス 受 益 者 の 視 点 ︶ 、 最 後 の S は ﹁Suppor tiv e soc ia l ps yc hol ogy ﹂ ︵ 社 会 心 理 面 で の サ ポ ー ト ︶ で 、 私 が こ の 要 素 の 中 で 好 き な 言 葉 で す 。 仮 に 局 所 的 に 言 う と 人 間 関 係 、 も う 少 し 拡 大 す る と そ れ が 織 り な す 文 化 あ る い は 社 会 が 形 作 っ て い る 価 値 観 だ と 思 い ま す 。 パ ー ソ ン ・ セ ン タ ー ド ・ ケ ア は ﹁ そ の 人 中 心 の 視 点 に 立 っ た ケ ア ﹂ と 誤 解 さ れ や す い の で す が 、 実 際 は 、 ス タ ッ フ も 医 師 も 何 ら か の 動 機 や 理 由 が あ っ て ケ ア に 関 わ っ て い る し 、 楽 し み も 悲 し み も 感 じ る 人 間 で す 。 ﹁ そ の 人 中 心 の 視 点 ﹂ の み で と ら え て し ま う と 、 極 端 に 言 え ば V I P S の 〝 P 〟 ︵ サ ー ビ ス 受 益 者 の 視 点 ︶ だ け に な っ て し ま う 。 片 山 先 生 、 朝 田 先 生 が 言 わ れ た ﹁ 私 を 必 要 と す る 人 が い る ん だ ﹂ と い う 思 い は 〝 S 〟 ︵ 社 木之下 徹先生 CLINICIAN ’12 NO. 608 12 (338)

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会 心 理 ︶ に 含 ま れ る 。 こ の 要 素 が 社 会 全 体 に 関 わ っ て く る 問 題 で あ り 、 ﹁ 自 分 を 必 要 と し て く れ る 存 在 ﹂ が 感 じ ら れ る 文 化 に 成 長 し て い か な い と 、 人 と し て 扱 わ れ な い 瞬 間 が た く さ ん 生 じ る の で は な い で し ょ う か 。 2. 地 域 あ る い は 在 宅 に お け る 認 知 症 医 療 で は 、 B P S D を ど の よ う に 扱 う か が 重 要 な 課 題 に な っ て い ま す 。 B P S D は 幻 覚 、 妄 想 、 徘 徊 、 易 怒 的 で 暴 言 を 吐 く 、 暴 力 を ふ る う 、 不 穏 で 落 ち 着 き が な い 、 落 ち 込 み 、 無 気 力 、 受 診 を 拒 む な ど の 症 状 を 包 括 し た 幅 広 い 概 念 で す 。 こ れ を 論 じ る う え で は 、 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 や ピ ッ ク 病 と い っ た 原 因 疾 患 と そ の 疾 患 の ス テ ー ジ 、 そ し て 対 応 も し く は 、 脳 病 変 の 程 度 の バ ラ ン ス と い う 三 つ の 切 り 口 か ら と ら え る と 理 解 し や す い と 思 い ま す 。 B P S D は な ぜ 生 じ る の で し ょ う か 。 認 知 症 の 日 常 診 療 や 生 活 の 観 察 か ら 気 づ い た 理 由 や 背 景 、 あ る い は 具 体 的 な 対 応 に つ い て ご 意 見 を 聞 か せ て く だ さ い 。 疾 患 ご と に そ の 中 核 症 状 以 外 が 周 辺 症 状 で あ る と 考 え る 限 り 、 周 辺 症 状 は 脳 の 変 化 が 直 結 し な い 症 状 と い う こ と に な り ま す 。 一 方 、 B P S D は 疾 患 と は 独 立 な 概 念 で 、 認 知 機 能 の 低 下 以 外 の 行 動 ・ 心 理 の 症 状 の 全 般 を 指 す も の と 理 解 し て い ま す 。 せ ん 妄 の よ う に 医 療 的 介 入 に よ っ て 改 善 さ れ る 症 状 と 、 中 核 症 状 以 外 の 症 状 が 、 B P S D に は 混 在 し て い る よ う に 思 い ま す 。 こ こ で い う 中 核 症 状 以 外 の 症 状 と は 、 脳 の 変 化 と 直 結 し な い 様 々 な 要 因 が 関 わ っ て い て 、 暴 言 や 暴 力 に は 誘 因 と な る 事 情 が あ る の で は な い か と 考 え て い ま す 。 B P S D と は 、 ﹁ 周 り が 困 っ た 症 状 ﹂ と し て 語 ら れ る こ と が 多 い 。 し か し 認 知 症 を 抱 え る 本 人 の 視 点 に 立 て ば 、 ﹁ 本 人 が 困 っ て い る 症 状 ﹂ も あ る 、 と 言 い た い 。 た だ 、 介 護 家 族 の 状 況 が 抜 き 差 し な ら ぬ と こ ろ ま で 陥 っ て い る 場 合 、 抗 精 神 病 薬 を 使 う こ と も あ り ま す 。 し か し 、 何 の た め に 使 っ て い る の か 、 そ の 是 非 を 判 断 す る の は 難 し く 、 本 人 を (339) 13 CLINICIAN ’12 NO. 608

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害 す る 治 療 で あ る と い う 罪 悪 感 は 拭 え ま せ ん 。 認 知 症 の 介 護 者 に と っ て 負 担 の 最 も 大 き い 問 題 は B P S D で あ る と い わ れ て い ま す 。 本 来 治 療 は 本 人 の 利 益 に な る は ず で す が 、 介 護 者 中 心 の 視 点 で 行 わ れ る こ と に 矛 盾 を 感 じ る と い う こ と で す ね 。 医 師 は 家 族 の 話 に 耳 を 傾 け が ち で 、 う ま く 話 せ ず 表 現 で き な い 本 人 の 意 見 は 切 り 落 と さ れ て い る こ と が 多 い 。 口 が 閉 ざ さ れ た 本 人 の 視 点 か ら い え ば 、 ﹁ た ま ら な い ﹂ 介 入 が 行 わ れ て い る 現 実 が あ る と 思 い ま す 。 宮 島 局 長 に 伺 い た い の で す が 、 高 齢 者 医 療 や 福 祉 の 行 政 に 関 わ っ て こ ら れ た 経 験 か ら 、 B P S D は ど の よ う に 位 置 づ け て い ま す か 。 有 効 な 予 防 法 や 根 治 的 治 療 法 が 未 だ 確 立 し て い な い 現 在 、 認 知 症 は い わ く 言 い が た い 位 置 づ け に あ る よ う に 思 い ま す 。 が ん 治 療 の よ う に “ cu re ” を 目 指 す ア プ ロ ー チ を と っ て し ま う と 間 違 っ た 方 向 に 行 く の で は な い か と い う 懸 念 を 感 じ ま す 。 む し ろ 、 障 害 者 基 本 法 が 定 め て い る 基 本 理 念 の よ う に 、 治 癒 は 期 待 で き な い に し て も 、 本 人 の 尊 厳 や 権 利 を 保 護 し な が ら 、 ノ ー マ ラ イ ゼ ー シ ョ ン の た め の 社 会 的 ・ 医 学 的 な サ ポ ー ト が 必 要 な の で は な い か と 思 い ま す 。 ま た 、 先 ほ ど ﹁ 喜 ん で も ら え る ﹂ サ ポ ー ト の 重 要 性 が 強 調 さ れ て い ま し た が 、 福 祉 の 関 係 で い う と 介 助 は ﹁ お 世 話 ﹂ に な っ て し ま う 。 生 活 援 助 で あ る 料 理 、 食 事 、 洗 濯 、 身 体 介 護 に 相 当 す る 食 事 、 入 浴 、 排 泄 、 移 動 の 介 助 、 ﹁ す べ て お 世 話 し ま し ょ う ﹂ と 言 っ て も 、 認 知 症 の 方 に は 必 ず し も 喜 ん で も ら え な い 。 そ の 理 由 は 、 自 分 で で き る こ と は 自 分 で や り た い 、 社 会 の 中 で 役 割 を 持 ち た い 、 家 族 関 係 の 中 で 自 分 の 立 ち 位 置 を し っ か り 持 っ て い た い 、 と い う 意 識 が あ る の だ と 思 い ま す 。 そ の と こ ろ を 汲 み 取 っ て 対 応 し な い と 、 B P S D が 亢 進 し た り 、 悪 循 環 に 陥 る 可 能 性 も あ る で し ょ う 。 つ ま り 、 生 活 機 能 障 害 に 関 連 し た 葛 藤 や CLINICIAN ’12 NO. 608 14 (340)

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不 満 が た ま っ た と き に B P S D が 現 れ る と い う 解 釈 で す ね 。 尊 厳 の 話 が 出 ま し た が 、 周 り の 人 に 何 か 言 わ れ た り 扱 い を 受 け て 傷 つ き 、 行 動 ・ 心 理 の 症 状 が 現 れ た り 、 落 ち 込 む と い う 症 状 が 生 じ る の か も し れ ま せ ん ね 。 B P S D に は 困 っ た 症 状 と い う 要 素 が 多 い 、 で も 困 っ た 症 状 が す べ て B P S D で は な い 。 医 療 者 は 困 っ た 症 状 を B P S D と し て と ら え が ち で す が 、 ﹁ 自 分 ご と ﹂ と し て 洞 察 し て い か な い と 解 決 の 糸 口 を 見 つ け る の は 難 し い と 思 い ま す 。 片 山 先 生 は B P S D を ど の よ う に と ら え て い ま す か 。 B P S D が 脳 の 変 性 に 起 因 す る 疾 患 固 有 の 症 状 な の か 、 そ れ と も 周 囲 の 人 が 正 し く 理 解 し て い な い た め に 本 人 に ス ト レ ス が た ま っ て 出 現 す る 症 状 な の か 。 お そ ら く 、 両 方 の 要 因 が 関 わ っ て い る の だ と 思 い ま す 。 で は 、 臨 床 医 と し て B P S D に 取 り 組 む と き は ど こ に 目 を 向 け る べ き か 。 ま ず は 、 認 知 症 の 人 が 家 庭 、 地 域 、 あ る い は 福 祉 施 設 で ど の よ う な 生 活 を し て い る の か 、 人 間 関 係 は ど う な の か 、 そ う し た 状 況 を き ち ん と 把 握 す る こ と で す 。 そ の 理 解 が な い と 、 適 切 な 治 療 は で き ま せ ん 。 例 え ば 、 外 来 で 診 る と 普 通 に 会 話 が で き て し っ か り さ れ て い る 認 知 症 の 方 で も 、 自 宅 で は 夜 間 徘 徊 し て 家 族 を 起 こ す こ と も あ る 。 そ う い っ た 日 常 の 様 子 、 介 護 家 族 の 位 置 関 係 も 知 り な が ら 、 ご 本 人 が 周 り の 人 か ら ど れ く ら い 理 解 さ れ て い る の か も 確 認 し た う え で 治 療 し て い き ま す 。 発 症 の 初 期 に 失 認 や 失 行 が 現 れ て ト イ レ で ズ ボ ン の フ ァ ス ナ ー を 上 げ ら れ な か っ た り 、 環 境 の 変 化 で 混 乱 が 起 き る 場 合 も あ り ま す の で 、 周 り の 人 が そ う し 武田章敬先生 (341) 15 CLINICIAN ’12 NO. 608

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た 症 状 を 理 解 ・ 予 想 し て 、 本 人 が 戸 惑 わ な い よ う に み ん な で 工 夫 し て い く 。 一 緒 に ト イ レ に 行 っ て ⋮ 、 そ ん な 笑 い 合 え る よ う な 姿 が B P S D へ の 対 応 に 好 ま し い 関 係 で は な い か と 思 い ま す 。 し か し 、 周 囲 の 環 境 が よ く て も 、 病 気 固 有 の B P S D は 本 人 も 辛 い で す か ら 、 ケ ア だ け で は な く 、 人 間 関 係 も 考 慮 し な が ら 最 適 な 薬 物 療 法 を 探 す こ と も 必 要 で す 。 家 族 の 訴 え に 応 じ て 安 易 に 処 方 す る と 、 デ イ サ ー ビ ス の 施 設 に 行 っ た と き に 薬 の 影 響 で 寝 て し ま い 食 事 も 取 れ な い こ と も あ り ま す の で 、 薬 剤 は 慎 重 に 選 択 し て い ま す 。 B P S D に は 薬 物 で 治 療 で き る も の と 治 療 で き な い も の が あ り ま す 。 小 澤 勲 先 生 は ﹁ 周 辺 症 状 と は 理 解 す べ き 対 象 で あ る ﹂ 、 ﹁ ど う い う 理 由 で そ れ が 起 き て い る の か 介 護 す る 人 に 教 え る だ け で 、 周 り の 人 が 少 し は 楽 に な る こ と も あ る ﹂ と 述 べ ら れ て お り 、 何 故 B P S D が 起 き て い る か を 理 解 す る こ と が 最 も 重 要 だ と 思 い ま す 。 た だ 、 現 実 の 場 面 で は 、 B P S D の 起 き て い る 原 因 や 背 景 を 十 分 理 解 で き な い こ と も 多 く 、 差 し 迫 っ た 状 況 で は 、 ﹁ 理 解 が 届 か な く て 申 し 訳 な い け れ ど も 、 周 り と の 関 係 も 考 え て 薬 を 使 わ ざ る を 得 な い か ら ご め ん ね ﹂ と い う 思 い で 薬 物 で 治 療 す る こ と も あ り ま す 。 ま た 、 周 囲 と の 関 係 性 の 中 で 出 現 す る B P S D も 多 く み ら れ る の で 、 本 人 が 孤 独 感 や 無 力 感 に 陥 ら な い よ う に す る 対 応 も 大 切 で す 。 も の 忘 れ 外 来 で は 、 本 人 に 声 を か け て 話 を よ く 聞 く こ と 、 家 族 側 の 対 応 に 問 題 が あ る 場 合 に は ﹁ そ の よ う な 接 し 方 を 続 け る と 、 本 人 の ス ト レ ス が た ま っ て い き ま す よ ﹂ と い っ た 指 導 を 行 う こ と で 、 将 来 起 こ り う る B P S D を 未 然 に 防 ぐ 、 そ う い う 意 識 を 持 っ て 宮島俊彦氏 CLINICIAN ’12 NO. 608 16 (342)

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診 療 に 臨 ん で い ま す 。 単 に 視 点 に つ い て 指 摘 す れ ば 、 小 澤 勲 先 生 が 言 わ れ た ﹁ 理 解 す べ き 対 象 ﹂ と い う の も 実 は 周 り の 視 点 で す よ ね 。 精 神 科 医 ヴ ィ ク ト ー ル ・ フ ラ ン ク ル は 著 書 ﹃ 夜 と 霧 ﹄ で ﹁ 異 常 な 状 況 で は 異 常 な 反 応 を 示 す の が 正 常 な の だ ﹂ と 述 べ て い ま す が 、 こ れ こ そ が 、 本 人 の 視 点 で は な い か と 思 い ま す 。 な る ほ ど 。 こ こ で B P S D に つ い て の 論 点 を 変 え て 宮 島 局 長 に 伺 い た い の で す が 、 行 政 の 視 点 か ら B P S D あ る い は 認 知 症 全 般 へ の 認 識 や 対 応 は ど の よ う に 変 遷 し て き た の で し ょ う か 。 認 知 症 医 療 の 歴 史 を 振 り 返 る と 、 最 初 は 認 知 症 の 人 を 〝 異 次 元 の 人 〟 と と ら え る 見 方 が 主 流 だ っ た と 思 い ま す 。 そ の 後 、 精 神 病 院 の 入 所 対 象 者 と な り 、 介 護 保 険 制 度 が 導 入 さ れ て か ら は サ ー ビ ス が 受 け ら れ る よ う に な り ま し た 。 認 知 症 へ の 理 解 は か な り 進 ん で き た と 思 い ま す が 、 最 後 は 病 院 や 介 護 施 設 に 受 け 入 れ て も ら う し か な い と い う 認 識 が 未 だ に 根 強 い と 感 じ ま す 。 本 来 、 認 知 症 の 方 は 自 分 の こ と が わ か っ て い る し 、 日 常 生 活 も 自 分 で 何 と か し た い と い う 意 欲 を 持 っ て い る 人 も 多 い 。 そ の よ う な 方 が 施 設 に 入 所 し て し ま う 回 転 に 歯 止 め を か け 、 な る べ く 地 域 で 生 活 し て 近 所 の 人 々 と 関 わ り を 持 ち な が ら 、 医 療 や ケ ア の 専 門 家 が 支 え て い く 体 制 を 確 立 し な く て は な ら な い と 思 い ま す 。 認 知 症 と 最 初 に 診 断 さ れ た 時 点 で 、 ど の よ う な 治 療 ・ ケ ア の 選 択 肢 が あ る の か 、 介 護 サ ー ビ ス は ど の 時 点 で 提 供 す る の か 、 そ う し た 医 療 の 流 れ の 全 体 像 が 本 人 と 家 族 に わ か る 仕 組 み を 整 備 す る 必 要 性 が あ る 。“common d isease ” へ の 取 り 組 み と い う の は 、 そ う い う も の だ と 思 い ま す 。 そ う で す ね 。 時 代 や 新 た な 制 度 の 登 場 と と も に 、 B P S D に 対 す る 世 間 の 見 方 も 明 ら か に 変 化 し て い る と 感 じ ま す 。 医 療 の 必 要 性 も 大 き い が 、 十 分 な 支 援 を 行 え ば 地 域 の 中 で 普 通 に 生 活 し て い け る 方 も 多 い と い う お 考 え で す ね 。 (343) 17 CLINICIAN ’12 NO. 608

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人 数 の 問 題 か ら そ の よ う な 体 制 が 必 要 と 言 っ て い る の で は な く 、 疾 患 の 特 性 を 踏 ま え る と 、 認 知 症 の 方 で も 地 域 で 何 と か 生 活 し て い け る ん だ 、 と い う 認 識 を 一 般 に 広 め て い く こ と が 大 事 だ と 思 っ て い ま す 。 ま さ に 本 座 談 会 の キ ー セ ン テ ン ス に な る お 考 え で す ね 。 3. 厚 生 労 働 省 の 班 研 究 で 認 知 症 の 医 療 基 盤 を 調 査 し て 浮 き 彫 り に な っ た の は 、 病 診 連 携 や 病 病 連 携 の 構 築 、 認 知 症 に 心 筋 梗 塞 や 脳 卒 中 、 が ん と い っ た 命 に 関 わ る 合 併 症 へ の 対 応 、 も う 一 つ は B P S D が 重 度 の 場 合 に ど の よ う に 連 携 す る か と い う 問 題 で す 。 最 初 に 、 武 田 先 生 の 施 設 で は 重 篤 な 身 体 合 併 症 に 対 し て ど の よ う な 連 携 体 制 で 臨 ん で い ま す か 。 国 立 長 寿 医 療 研 究 セ ン タ ー の ﹁ も の 忘 れ セ ン タ ー ﹂ の 病 棟 に は 、 B P S D や 身 体 合 併 症 を 有 す る 認 知 症 の 人 が 入 院 さ れ ま す 。 認 知 症 の 人 が 身 体 合 併 症 を 来 し て も ﹁ 普 通 に ﹂ 治 療 が 受 け ら れ る こ と が 重 要 で す 。 認 知 症 の あ る 人 の 身 体 合 併 症 に 対 し て 消 極 的 な 対 応 を と る 医 療 機 関 も あ り ま す が 、 実 際 に は 落 ち 着 い て 治 療 を 受 け ら れ る 認 知 症 の 人 も 多 い の で 、 認 知 症 と い う ラ ベ ル を は ら ず 、 冷 静 に 状 態 を 把 握 し た う え で 対 応 を 考 え る 必 要 が あ る と 思 い ま す 。 当 院 で は 、 例 え ば 認 知 症 の 人 が 消 化 器 疾 患 を 合 併 し た 場 合 、 も の 忘 れ セ ン タ ー の 外 来 を 担 当 す る 医 師 と 消 化 器 科 の 医 師 が 一 緒 に 診 療 に あ た り ま す の で 、 消 化 器 科 の 医 師 も 安 心 し て 診 療 に あ た れ る の で は な い か と 思 い ま す 。 身 体 合 併 症 に よ る 入 院 で は 比 較 的 短 い 期 間 で 退 院 す る こ と が 多 い の で す が 、 退 院 後 は か か り つ け 医 や 訪 問 診 療 医 と 連 携 し な が ら き め 細 か く フ ォ ロ ー ア ッ プ し て い き ま す 。 た い て い は 現 状 の 体 制 で 対 応 で き て い ま す 。 ま た 、 身 体 合 併 症 治 療 の た め の 入 院 中 に B P S D が 現 れ た 場 合 も 、 帰 宅 す る と B P S D が す べ て 治 ま っ て し ま う こ と も あ り ま す の で 、 住 み 慣 れ た 場 所 で 治 療 を 受 け た い と い う 本 人 の 希 望 CLINICIAN ’12 NO. 608 18 (344)

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も か な え ら れ る よ う に 在 宅 医 療 の 選 択 肢 も 可 能 と な る 体 制 の 整 備 が ポ イ ン ト で は な い か と 思 い ま す 。 高 度 な 医 療 技 術 に よ り 合 併 症 を 管 理 す る 場 合 で も 、 利 用 可 能 な リ ソ ー ス を 最 大 限 に 活 用 す れ ば 、 在 宅 医 療 に 移 行 し て 地 域 で 生 活 で き る 可 能 性 が あ る と い う こ と で す ね 。 認 知 症 の 人 が 入 院 さ れ る 場 合 、 片 山 先 生 は ど の よ う な 点 に 配 慮 し て い ま す か 。 認 知 症 の 人 が 身 体 合 併 症 の 治 療 で 入 院 す る と 医 療 が 基 本 に な っ て し ま い 、 日 常 生 活 の 行 為 が で き な く な る こ と が あ り ま す 。 そ れ を 回 避 す る に は 、 入 院 中 の 生 活 支 援 に も 力 を 入 れ る こ と で す 。 例 え ば 、 歯 磨 き を 一 緒 に 楽 し ん で や っ て く れ る 人 、 そ ば に 寄 り 添 っ て く れ る 人 が い る 環 境 作 り で す 。 認 知 症 の 人 は 周 り の 人 が 入 れ 替 わ る と 混 乱 し や す い の で 、 在 宅 あ る い は 福 祉 施 設 へ ス ム ー ズ に 移 行 す る こ と も 視 野 に 入 れ る と 、 で き る だ け 同 じ 人 が 寄 り 添 っ て 援 助 で き る 制 度 が 望 ま し い と 思 い ま す 。 宮 島 局 長 が 先 ほ ど 家 族 負 担 の 問 題 を 指 摘 さ れ ま し た が 、 少 子 高 齢 化 が 進 む こ の 国 に お い て 、 ケ ア を 担 う 人 的 資 源 の 問 題 は 避 け て 通 れ ま せ ん 。 ﹁ 日 本 の 隠 れ た 最 大 の 介 護 力 は 家 族 に あ り ﹂ と 言 わ れ た 時 代 か ら す っ か り 西 欧 型 に 変 容 し 、 家 族 に よ る 介 護 は ま す ま す 難 し く な る と 予 想 さ れ ま す 。 最 後 に 、 今 後 の 認 知 症 介 護 に は 医 療 政 策 を 含 め て ど の よ う な ア プ ロ ー チ が 必 要 な の か 、 宮 島 局 長 の ビ ジ ョ ン を お 聞 か せ く だ さ い 。 こ の 問 題 は 三 つ の 視 点 で と ら え る こ と が で き ま す 。 一 つ 目 は 、 認 知 症 の 方 を ケ ア す る 家 族 に 対 し て ど の よ う な サ ポ ー ト を 提 供 し て い く か で す 。 現 実 に は 家 族 間 の ト ラ ブ ル も 少 な く は あ り ま せ ん 。 例 え ば 、 介 護 家 族 を サ ポ ー ト で き る セ ン タ ー を 整 備 し 、 認 知 症 に つ い て 正 し い 理 解 を 持 っ て も ら う 、 家 族 同 士 で 話 し 合 え る 、 あ る い は カ ウ ン セ ラ ー と 相 談 で き る よ う な 環 境 の 提 供 で す 。 二 つ 目 は 、 認 知 症 を 抱 え て い る 独 居 者 あ る い は 認 知 症 の 方 が い る 老 老 世 帯 を ど の よ う に 支 え て い く の か と い う 問 題 で す 。 介 護 保 険 制 度 で は 今 年 ︵ 平 成 24 年 度 ︶ 4 月 か ら ﹁ 定 期 巡 回 ・ 随 時 対 応 型 訪 問 介 護 看 護 ﹂ を 創 設 し ま し た 。 ヘ ル パ ー や 看 護 師 が (345) 19 CLINICIAN ’12 NO. 608

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密 接 に 連 携 し な が ら 、 小 規 模 多 機 能 型 の 訪 問 サ ー ビ ス や シ ョ ー ト ス テ イ な ど を 提 供 す る 体 制 を 整 備 し て い ま す が 、 介 護 保 険 の 給 付 の み で は 限 界 が あ り ま す 。 や は り 、 地 域 レ ベ ル で 認 知 症 へ の 理 解 を 深 め て も ら い 、 例 え ば 徘 徊 し た と き に 地 域 の 人 々 が そ の 方 を 発 見 し 安 全 に 保 護 す る 仕 組 み 、 地 域 で 見 守 っ て い く 体 制 が な い と 認 知 症 の 方 が 地 域 社 会 で そ の 人 ら し く 生 き る 環 境 を 作 る の は 難 し い 。 介 護 保 険 制 度 と 地 域 社 会 の 支 援 体 制 を い か に 効 果 的 に 組 み 合 わ せ る か が 重 要 な 鍵 と な る と 思 い ま す 。 三 つ 目 は 、 医 師 、 看 護 師 、 ケ ア マ ネ ジ ャ ー 、 ヘ ル パ ー が 職 種 横 断 的 な チ ー ム を 作 り 、 初 期 段 階 か ら 共 通 認 識 に 立 っ て 認 知 症 に 関 わ っ て い く 体 制 の 構 築 で す 。 家 族 も 交 え た ケ ア プ ラ ン の 検 討 会 を 開 く こ と も や っ て も ら う 。 そ う し た 活 動 を 通 じ て 、 本 人 と 家 族 が 安 心 し て 暮 ら せ る 仕 組 み を 考 え て い く 必 要 が あ る と 思 い ま す 。 な る ほ ど 、 同 居 家 族 を ピ ア カ ウ ン セ リ ン グ な ど で 支 え る 、 老 老 介 護 や 認 認 介 護 と い っ た 新 し い 介 護 形 態 に 対 す る 社 会 的 な サ ポ ー ト の 充 実 、 医 療 と 介 護 の 境 界 を 乗 り 越 え た 共 同 作 業 に よ る 支 援 、 こ の 三 つ が 新 た な 局 面 を 迎 え る 認 知 症 医 療 ・ 介 護 の 大 き な 柱 に な る と い う ご 意 見 を 賜 り 、 今 後 の 課 題 と 展 望 が 明 ら か に な り ま し た 。 本 日 は 皆 様 か ら の 活 発 な ご 討 議 に お 礼 申 し 上 げ ま す 。 CLINICIAN ’12 NO. 608 20 (346)

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インタビュー

本人からのメッセージ

佐藤雅彦さん

お医者さんには、私たちのそばに

お医者さんには、私たちのそばに

いつもいてくれるような存在であってほしい

いつもいてくれるような存在であってほしい

お医者さんには、私たちのそばに

いつもいてくれるような存在であってほしい

── 佐 藤 さ ん は 51 歳 の と き に 認 知 症 と 診 断 さ れ た そ う で す が 、 受 診 の き っ か け は 何 だ っ た の で す か 。 も と も と シ ス テ ム エ ン ジ ニ ア を し て い た の で す が 多 忙 を 極 め 、 体 調 を 崩 し た た め 事 務 職 に 配 置 転 換 と な り ま し た 。 そ の 後 、 再 び 体 調 が 悪 く な り 2 年 間 休 職 し た の ち 、 配 送 係 と し て 復 職 し ま し た 。 配 送 中 に 車 を 駐 車 し た 場 所 が わ か ら な く な っ た り 、 納 品 場 所 を 探 す の に 時 間 が か か る よ う に な っ た り し た た め 、 精 神 科 を 受 診 し ま し た 。 そ の 際 に 脳 の 萎 縮 が み ら れ 、 認 知 症 と 診 断 さ れ ま し た 。 そ の 頃 の 私 は 認 知 症 に な っ た ら 何 も わ か ら な く な る と い う イ メ ー ジ を も っ て い た の で 、 先 生 ︵ 医 師 ︶ か ら 認 知 症 と 告 げ ら れ た と き に は と て も シ ョ ッ ク で 、 何 も 質 問 す る こ と が で き ま せ ん で し た 。 ── そ う し た お 気 持 ち を ど の よ う に 乗 り 越 え て い か れ た の で し ょ う か 。 (347) 21 CLINICIAN ’12 NO. 608

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認 知 症 に な っ た ら 記 憶 に 障 害 が 起 き る こ と が わ か っ て い た の で 、 自 分 の 行 動 を 毎 日 記 録 し は じ め ま し た 。 と こ ろ が 最 初 は ﹁ お 風 呂 に 入 る の を 忘 れ た ﹂ ﹁ 郵 便 物 を ど こ に 置 い た か わ か ら な く な っ た ﹂ な ど マ イ ナ ス の こ と ば か り を 記 録 し て い た の で 、 不 安 が 不 安 を 呼 び 、 さ ら に 落 ち 込 ん で し ま い ま し た 。 そ こ で 楽 し い こ と だ け を 記 録 す る こ と に し ま し た 。 失 っ た 機 能 で は な く 、 残 っ て い る 機 能 を 大 切 に し よ う と 考 え た の で す 。 そ れ か ら で す ね 、 前 向 き に 生 き て い け る よ う に な っ た の は 。 ── 佐 藤 さ ん を マ イ ナ ス 思 考 か ら プ ラ ス 思 考 に 変 え さ せ た も の は 何 で し ょ う か 。 私 は 事 務 職 に 配 置 転 換 に な っ た と き 、 人 生 の 目 的 を 失 い か け て 、 そ の 答 え を 探 し 求 め る 中 で キ リ ス ト 教 と 出 会 い ま し た 。 ﹃ 新 約 聖 書 ﹄ の 中 に 、 ﹁ 神 様 は 耐 え る こ と の で き な い よ う な 試 練 に あ わ せ る こ と は し な い 。 試 練 と と も に 脱 出 の 道 も 備 え て く だ さ る ﹂ と い う 言 葉 が あ り ま す 。 認 知 症 と い う 試 練 は 私 と い う 人 格 を 磨 く た め に 神 様 が く だ さ っ た の だ と 確 信 す る よ う に な っ た こ と が 大 き か っ た と 思 い ま す 。 ── 前 向 き に 生 き る た め に ど ん な 工 夫 を し て い ま す か 。 日 常 生 活 の 工 夫 と し て は 、 ﹁ 火 を 使 う と き は 他 の こ と は 絶 対 に し な い で 火 の そ ば に い る ﹂ ﹁ 食 事 前 に イ ン ス リ ン を 打 つ の を 忘 れ な い よ う に 携 帯 電 話 の ア ラ ー ム 機 能 で 知 ら せ る ﹂ と い っ た 工 夫 を し て い ま す 。 ま た 、 楽 し み を た く さ ん つ く る 工 夫 も し て い ま す 。 私 は 音 楽 が 大 好 き で 、 図 書 館 か ら 音 楽 C D を 借 り て き て パ ソ コ ン に 取 り 込 み 、 そ の 日 の 気 分 で 好 き な 楽 曲 を 聴 い た り 、 讃 美 歌 や 歌 を 聴 い た り し ま す 。 も と も と パ ソ コ ン は 会 社 で 使 っ て い ま し た の で な ん と か で き ま す 。 ち ょ っ と ト ラ ブ る と 立 ち 往 生 す る こ と も し ば し ば で す が ⋮ ⋮ 。 CLINICIAN ’12 NO. 608 22 (348)

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家 の す ぐ そ ば に あ る 荒 川 土 手 が 私 の 散 歩 コ ー ス で 、 春 は 菜 の 花 、 秋 は コ ス モ ス が 咲 き ま す 。 そ う し た 花 々 を 見 て 、 ﹁ あ あ 、 き れ い だ な ﹂ と 思 っ た と き 、 生 き て い る と 強 く 感 じ ま す 。 ま た 、 新 宿 御 苑 な ど 美 し い 庭 園 を 訪 ね た り 、 若 年 性 認 知 症 の 会 の 人 た ち と 旅 行 し た り 、 お い し い も の を 食 べ に 行 っ た り す る の も 大 き な 楽 し み で す 。 ── 〝 生 き て い る 〟 と い う 充 実 感 は 、 人 間 に と っ て 大 切 な こ と で す ね 。 目 標 を 立 て て 人 生 を 前 向 き に 歩 も う と 考 え て い ま す 。 今 年 の 目 標 は 、 毎 日 7 、 0 0 0 歩 を 歩 き 、 聖 書 を 毎 日 20 ペ ー ジ 読 ん で 1 年 間 で 2 度 通 読 す る こ と で す 。 毎 日 実 践 し 、 歩 数 な ど は パ ソ コ ン に 記 録 し て い ま す 。 以 前 、 旧 約 聖 書 1 、 5 0 0 ペ ー ジ を 1 カ 月 で 読 み 終 え る こ と を 目 標 に し ま し た が 、 そ れ を 達 成 し た と き は 、 大 き な 充 実 感 、 満 足 感 が 得 ら れ 、 〝 生 き て い る 〟 と 実 感 し ま し た 。 ── 認 知 症 と い う 病 気 を 抱 え る 一 人 と し て 、 介 護 ス タ ッ フ に 望 む こ と は ? 私 自 身 は 前 向 き に 生 き て い ま す が 、 認 知 症 の 人 み ん な が そ う で き て い る わ け で は あ り ま せ ん 。 む し ろ 、 以 前 の 私 の よ う に 、 マ イ ナ ス 面 に ば か り 目 が 向 い て い る 人 の ほ う が お そ ら く 多 い で し ょ う 。 介 護 ス タ ッ フ に は 、 そ う し た 人 が 前 向 き で 充 実 し た 人 生 を 送 れ る よ う に 、 ア イ デ ア や ヒ ン ト を ど ん ど ん 出 し て ほ し い 。 ﹁ そ う は 言 っ て も ﹂ と 認 知 症 の 人 が 言 っ た ら 、 ﹁ 体 に ま だ 力 が あ る 。 一 緒 に 体 を 気 持 ち よ く 動 か し ま し ょ う ﹂ ﹁ ヘ ル パ ー が 付 き 添 い ま す の で ス ー パ ー に 好 き な も の を 買 い に 行 き ま し ょ う ﹂ 、 こ う 言 っ て く れ る だ け で 、 認 知 症 の 人 は 気 持 ち に 張 り 合 い が 出 る も の で す 。 そ の 人 が 旅 好 き だ っ た ら 、 ﹁ 何 日 の 何 時 か ら 何 チ ャ ン ネ ル で 旅 番 組 を や り ま す よ ﹂ と メ モ を 書 い て 渡 し て く れ る の も い い で す ね 。 映 画 好 き (349) 23 CLINICIAN ’12 NO. 608

参照

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○ 発熱や呼吸器症状等により感染が疑われる職員等については、 「「 新型コロナ ウイルス 感染症についての相談・受診の目安」の改訂について」

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