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神経変性疾患の病理
東京都健康長寿医療センター
神経内科・バイオリソースセンター・
高齢者ブレインバンク(神経病理)
村山繁雄
2018
徳島大学講義
客員教授:徳島大学、大阪大学、広島大学、東京医科大学、同志社大学 ; 非常勤講師:東京大学、北里大学、帝京大学、東京農工大学、名古屋市立大学; 神経病理コンサルタント:国立国際医療研究センター、国立病院機構東京病院・静 岡てんかん神経医療センター・広島西医療センター・下志津病院・沖縄病院、虎ノ 門病院、NTT東日本関東病院、国立福祉大学三田病院、横浜労災病院、亀田総合病 院、近森病院東京都健康長寿 医療センター
病 院
診療部門 中央診療部門 臨床研究 部門 高齢者 ブレインバンク 高齢者 バイオバンク 研究所 老年病理学 研究グループ 経営企画局 国立長寿医療 研究センター東京都健康長寿医療センター
高齢者ブレインバンク
ブレインバンクは疾患克服のための、 患者・医療関係者・研究者による市 民運動である。 神経内科 今堀和知 東大名誉教授 2016年5月 本登録 三つの輪は、患者・ 医師・研究者を表 す、高齢者ブレイン バンクのシンボル 診断病理部 テーマ神経病理 現在の機構図です。高齢者ブレインバンクは東京都健康長寿医療センターの事業とし て行われています。ブレインバンクは疾患克服のための患者・医療関係者・研究者によ る市民運動であるとする、UCLAブレインバンク創始者Tourtelotte教授の理念に基づき 、三つの輪をシンボルとしています。 23
A. センター例
1.
高齢者コホートリソース
連続開頭剖検例 (1972.5-):
7,418
例
臨床・画像・病理所見はデータベース化
>2. ゲノムリソース
(1995.1-):
2,415
例
凍結部分脳・ゲノム研究への資源
>3. 凍結半脳リソース
(2001.7-):
1,102
例
神経科学全般への資源
→臨床縦断研究と結合(アルツハイマー病・パーキンソン病パス)
B. 外部登録例
オールジャパン稀少疾患デポジトリー
高齢者ブレインバンクプロジェクト
コホート連続開頭剖検例研究資源
構築と前方視的臨床縦断研究+
稀少神経疾患バンキング
(http://www.mci.gr.jp/BrainBank) 最良 剖検は死因解明・病態解明・ 次世代への貢献を目的とする 高齢者ブレインバンクプロジェクトは臨床縦断研究を経てブレインバンク登録を行うこと を目指しています。これまでの蓄積数は1972年センター開設以来の病理検体、1995 年からのゲノム、2001年からの欧米のブレインバンクの標準とされる凍結半脳蓄積より なります。凍結半脳が1,000例を越え、国際的に遜色ないかたちとなりました。4 80歳没、 センター名誉 院長 2003年5月 本登録 デスノート 遺言: 「私の体で役立つものは全て採取・保 存し、医学の進歩・発展に役立てろ。 患者の病気を治せないなら、医学 の進歩に貢献したいという、患者の 希望をかなえるのも臨床医の役割」
生前献脳ドナー登録
創始者: 故豊倉康夫 東大名誉教授 ブレインバンクドナー登録システムの創設者は豊倉康夫東京大学医学部神経内科初 代教授・名誉教授、東京都健康長寿医療センター名誉院長です。高齢者ブレインバン ク現責任者の恩師で、上記が死ぬ前日に残されたメモです。村山先生、老人研(東京 都健康長寿医療センター研究所の旧名)の後に、本人のかかった病気が列挙されてお り、これらの病気の解明に自分の体を役立てろとのメッセージを残されました。生前・剖検時同意 診断・症例情報の登録 研究者 症例データ管理システム 研究リソースのチョイス テーラーメード方式 東京都健康長寿医療センター リソース内容の登録 国立精神・神経医療研究センター 教育資源・研究資源の公開 福祉村病院 美原記念病院
日本神経科学ブレインバンクネットワーク
ブレインバンクネットワーク 東京大学;徳島大学;広島大学;東京医科大 学;北里大学;帝京大学;香川大学;国立国 際医療研究センター;国立東京・下志津・相 模原・琉球病院;静岡てんかん神経医療セン ター・広島西医療センター;虎ノ門・横浜労 災・亀田・JR東日本関東・近森病院 日本神経病理学会ブレインバンク委員会 国立長寿医療研究センター 東京逓信病院 NHO東埼玉病院 福島県立医大 推進 認 定 文科省新学術 コホート・生体試料支援プラットフォーム 井原康夫東大名誉教授 高齢者ブレインバンクドナー登録者 日本神経科学ブレインバンクネットワークを文部科学省新学術領域研究費をいただい て構築しています。オープンリソース、ブレインバンクドナー登録システムを持つこと、前 方視縦断研究の枠組みを持つこと、リソースの品質管理を行い研究者に呈示できると いう四点を必須事項としています。井原康夫博士は当センターOBで、当施設死後脳リ ソースを含むアルツハイマー病脳を用いた研究で、アルツハイマー病の解明を行い、根 本治療の開発への道を作られた方です。高齢者ブレインバンクの立ち上げ時より一貫 して援助をして下さっており、ブレインバンクドナー登録をしていただいています。 5@国立精神・神経医療研究センター 生 物 学 的 精 神 医 学 会 ・ 認 知 症 学 会 ・ 日 本 神 経 学 会 ・ 日 本 神 経 病 理 学 会 ・ 日 本 病 理 学 会 国立精神神経医療研究 センター(齊藤) 福島医大精神疾患BB (矢部・國井) 精 神 疾 患 名古屋大学精神科コ ンソーシアム(入谷) 岡山大学精神科リ ソース(寺田・横田) 老 化 ・ 認 知 症 都健康長寿医療セン ター高齢者ブレインバ ンク[国立長寿医療研 究センター委託] (村山) 神 経 疾 患 新潟大学 脳研究所(柿田) [ゲノム(池内)] 愛知医科大学 加齢研(吉田) リソース申請 アルツハイマー病 1000例 パーキンソン病 250例 統合失調症 100例 日本ブレインバンクネット(JBBN) 研究者 検体情報一括管理 (共通Data Base) 外部評価委員会 (関連学会代表者・ 法医学担当者) 倫 理 委 員 会 ( 各 施 設) 倫 理 委 員 会 ( 各 施 設) 日本神経病理学会(ブレインバンク委員会) (運営の評価・助言) (協力) (施設認定・診断の標準化・品質管理) 事 務 局 JBBN 学術審査委員会 運営委員会 融合脳支援オールジャパン包括死後脳リソース 研究代表者:齊藤祐子 都立松沢病院(大島) 倫理アドバイザリーボード(井上) 統計アドバイザリーボード(田中) バイオバンク連携(後藤) AMED融合脳 日本神経病理学会・生物学的精神 医学会合同ブレインバンク倫理指針 金澤一郎天皇侍医 2016年2月本登録 水澤英洋国立精神神経医療 研究センター理事長の指導 オールジャパンのブレインバンクネットワーク構築が、高齢者ブレインバンク立ち上げ時 の原動力だった齊藤祐子博士が国立精神・神経医療研究センターブレインバンク責任 者として統括するかたちで、2016年度より日本医学研究開発機構に採択されました。高 齢者ブレインバンクは老化・認知症を担当します。この日本ブレインバンクネットは、 2016年1月に亡くなられた天皇侍医、東京大学名誉教授金澤一郎博士の夢であり、彼 は自らを高齢者ブレインバンクに登録して下さることで、最後の貢献をして下さいました 。1999年に主任研究者が高齢者ブレインバンクを創設した時の最初の超低温槽は、彼 の支援による購入でした。齊藤祐子は2017年度より兼務として高齢者ブレインバンク病 理コアを引き受けています。
6
7 ブレインバンクネットワーク 施設 臨床/ 病理 2012/ 2013/ 2014/ 2015/ 2016/ 2017 高齢者ブレインバンク 村山繁雄 63/ 39/ 39/ 45/ 64/ 52 国立精神・神経医療研究センター 村田美穂/齊藤祐子 10/ 10/ 11/ 9/ 13/ 18 美原記念病院 美原盤/ 高尾昌樹 29/ 26/ 15/ 19/ 23/ 16 東京大学医学部附属病院 清水潤/ 池村雅子 28/ 23/ 22/ 25/ 26 15 国立国際医療研究センター 竹内壮介/ 猪狩亨 23/ 16/ 17/ 27/ 17 17 国立東京病院 小宮正/ 蛇澤晃 4/ 3/ 1/ 4/ 3 0 静岡てんかん神経医療センター 小尾智一 1/ 2/ 2/ 4/ 6 6 国立下志津病院 本吉慶史 1/ 2/ 1/ 0/ 0 0 横浜労災病院 今福一郎/ 角田幸雄 1/ 6/ 6/ 8/ 8 4 亀田総合病院 福武敏夫/ 竹内亮子 12/ 10/ 6/ 9/ 12 10/2 福祉村病院 赤津裕康/ 橋詰良夫 36/ 31/ 27/ 25/ 25 21 北里大学病院 西山和利/ 一戸昌明 7/ 9/ 5/ 4/ 2 6 徳島大学病院 和泉唯信/ 常山幸一 1/ 3/ 5/ 10/ 4 12 国際福祉大学三田病院 岩田信恵/ 相田真介 2/ 3/ 2/ 0/ 2 0 香川大学病院 鎌田正紀/ 上野正樹 2/ 4/ 3/ 1 1/1 虎ノ門病院 上坂義和/ 伊藤慎治 3/ 1/ 2/ 2 3 帝京大学病院 園生雅弘/ 宇於崎宏 3/ 2/ 2/ 0 4 東京逓信病院 椎尾康/岸田由起子 5/ 2/ 2/ 3/ 5 東京医科大学 相澤仁志/ 黒田雅彦 1/ 0/ 0 国立広島西医療センター(広大) 渡辺千種/立山義朗 3/ 4/ 4 大阪市立大学 伊藤義彰/ 大澤雅彦 1/ 1/ 1/ 1 大阪大学 望月秀樹/ 森井英一 3/ 4 国立相模原病院 長谷川一子/ 柳下三郎 8/ 10/. 18 その他 1/ 2 2 オープンリソース計 140/ 109/ 100/ 110/ 156 155 施設蓄積 (文部科研、AMED、国立長寿、国立精神・神経) 79/ 85/ 84/ 105/ 74/ 69 医学生、神経内科・病理研修医、神経科学大学院生教育 我々はブレインバンクネットワークを形成し、神経病理診断の共有化とリソース構築をお こなっています。施設臨床・病理部門との連携が前提です。東京大学大学院医学系研 究科神経内科外部研修先病院は全て含まれており、後期研修医教育に組み込まれて います。
本授業での習得期待知識
• 神経変性疾患の概念
• アルツハイマー病の神経病理
• パーキンソン病の神経病理
• 筋萎縮性側索硬化症の神経病理
8
9
神経変性疾患
• 歴史的に原因が分からず、神経細胞が脱落し
ていく疾患の総称で、神経内科と精神科の分
離の根拠となった疾患群。
• 分子病理学的手法で病因解明が進んでいる。
• 翻訳後異常蛋白蓄積が病因の症例が多くを占
め、神経ネットワークを通じ拡がるタンパク伝搬
仮説が提唱されている。
• 原因解明に、ブレインバンクプロジェクトで収集
された死後脳リソースが大きな役割を果たして
いる。
10
1. アミロイドベータ蛋白: 老人斑、アミロイドアンギオパ
チーの構成成分→
アルツハイマー病
2. タウ:微小管関連蛋白のひとつ。アルツハイマー神経
原線維の主要構成物質。他の神経細胞・グリア内封入
体形成にも関与→
アルツハイマー病、
ピック病
3. アルファシヌクレイン:シナプス前構造に存在。レビー
小体・多系統萎縮症封入体の主要構成成分。遺伝子
変異は、常染色体優性Parkinson病の原因となる→
パーキンソン病、
多系統萎縮症
4. TDP43:前頭・側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症の
原因蛋白として分離されたが、老化にも関係すること
が判明→
筋萎縮性側索硬化症
翻訳後異常蛋白の種類と疾患
11
アルツハイマー病
• 認知症での頻度が最も高い。
• 進行性である。
• アミロイド仮説
→アミロイドb蛋白の沈着が、タウ蛋白の沈着
を誘導する。
•
b & g 切断酵素が アミロイド前駆蛋白 (APP)
を異常切断し、アミロイド
b蛋白を生成する。
• APP遺伝子変異は家族性アルツハイマー病を
きたすが、タウ遺伝子変異はアルツハイマー
病の病型をとらない。
12
図10. 加齢による脳萎縮。左は16歳、見は80歳の正常脳。下面から見た外表所見。脳 溝の拡大がはっきり認められるだけでなく、側頭極の萎縮、シルビウス裂の拡大等が顕 著である。小脳のフォリアの開大も明らかである。
アルツハイマー病の神経病理
• 老人班 と神経原線維変化
(3+4リピートタウオ
パチー
)の進行性蓄積。
• 認知機能障害の域値設定により病理診断基準
自体が影響を受ける。
15
16
ブラークのアルツハイマー病ステージ分類
神経原線維変化ステージ
17 17
0
I
II
III
IV
V
VI
計
0
66.334
314
75.8102
81.846
85.612
85.41
81.00
-509
77.5A
75.516
350
78.0149
83.674
86.223
88.61
99.00
-613
80.6B
76.18
169
79.991
82.870
85.623
91.22
82.01
94.0364
82.4C
76.03
50
79.451
83.080
84.580
86.6100
86.440
83.9404
84.4計
70.561
883
77.7393
82.9270
85.4138
87.6104
86.441
84.11890
80.9DNAリソース (1,890 例)
Braak
神経原線維変化/ 老人班 嗅内野 辺縁系 新皮質 連合野 海馬 一次野 アルツハイマー変化 =極初期アルツハイマー病 老人班優位老年性変化/ 病的老化 = 発症前アルツハイマー病 高齢者 タウオパチー 高齢者ブレインバンクDNAリソース。Braakの神経原線維変化と老人斑のステージ分類 の連続性変化を研究対象にすることが可能です。この中で、アルツハイマー病と病理形 態学的診断しているのは、Braak 神経原線維変化ステージ IV以上、老人斑ステージC であり、全剖検例に占める割合は、11.6%です。18
NFT STAGE
0
I
II
III IV V VI
S
P
0
(49.9%)
MSC
(8.0%)
NFTC
A
B
PSC
(21.9%)
C
MSC:minimal senile change; NFTC:NFT dominant change
PSC:plaque- dominant change; ADC:Alzheimer disease change
ADC
(20.1%)
Categorization based on Braak’s Staging
Braak神経原線維変化ステージ NFT Stage IIとIII、老人班ステージ B とCで分けると, MSC, NFTC, PSCとADCに分けられます。
19 50 6 0 7 0 8 0
病理学的にはずっと以前から発症している
神経原線維変化 神経細胞脱落 アミロイド 臨床的に正常 痴呆 歳 軽度認知障害 NFT Neuronal lossSenile
plaque
Alzheimer
Dementia
FDGPIB
SPECT/ MRIAlzheimer Disease (2011- )
CSFAb
Prodromal
AD =
ADC
Preclinical
AD =
PSC
Cognitively normal Early MCI Late MCI
2014 IWC asymptomatic at risk for AD typical and atypical AD
2011 NIA- AA臨床診断基準により、 Alzheimer病(AD), PDC (plaque- dominant senile change)はpreclinical ADに, and ADC (Alzheimer disease change) は prodromal ADに相当します。以前のADはAlzheimer dementiaに改称しました。 The 2014 IWG (International Working Group of Alzheimer disease) 基準は、AD dementia and prodromal ADをADに、 preclinicalを asymptomatic at risk for AD と分類しています。
冠状MRI画像では、海馬の萎縮が臨床診断アルツハイマー病の方では海馬萎縮が明 らかだが、認知機能正常者では萎縮がない。
AD Control
アルツハイマー病(格様)では海馬が萎縮しているが、正常(光子様)では萎縮はない。
22
22 87女、認知症、MMSE=18/30Z score 2.2 ↑
症例1アルツハイマー病
VSRADは今最もアルツハイマー病診断に用いられている統計画像診断手法です。アルツハイマー病 コントロール
アミロイド
(
11
C- PIB) PET
夫 妻高齢者ブレインバンク事前登録者
アミロイドPETでは、アルツハイマー病(格様)では蓄積を認めるが、正常(光子様)では 皮質(外側)には蓄積を認めない。23
AD Control
アルツハイマー病(格様)の海馬は萎縮しているだけでなく、古典型老人斑(茶色で芯 があるもの)が多数蓄積している。正常者(光子様)ではごく少量のびまん性老人斑を認 めるのみである。
25
髄液バイオマーカー
• リン酸化タウのみ保険収載
• タウ、アミロイドβ蛋白を加えた三つを測定す
るのが国際標準
• アルツハイマー病診断で、特異度・感度が90%
程度
• コストパーフォーマンスがよい
• 侵襲性が問題(背中に針を刺す)
髄液バイオマーカーは今最もコストパーフォーマンスが高いとされている診断手法です。26
髄液バイオマーカー
タウ リン酸化タウ Aβ
HVA
5HIAA
アルツハイマー病
↑
↑
↓
→
→
パーキンソン病
→
→
→
↓
↓
レビー小体型認知症
→
→
↓
↓
↓
進行性核上性麻痺
→
→
→
↓
↓
皮質基底核変性症
→
→
→
→
→
神経原線維変化
↗
↗
→
→
→
優位型認知症
嗜銀顆粒性認知症
↗
↗
→
→
→
ヤコブ病
↑
→
→
→
→
1997~ 剖検130例/ 3,778検体
私達は、髄液バイオマーカーによる診断を重視しています。国際的にはアミロイドβ蛋白 が、アルツハイマー病診断においては最重要とされていますが、保険は通っていませ ん。我々のところの集積は現時点で3,778例で、開頭剖検を130例で得ています。アルツハイマー病のまとめ
• 年齢依存性であるアルツハイマー病変化(神経
原線維変化と老人斑)が原因である。
• 高齢者ブレインバンク(平均死亡年齢82.5歳)で
1/4の頻度で病理所見上認められる。
• 高齢化とともに増加している。
• 英国から、生活習慣病の克服で、頻度的に減少
しているとの報告がある。
• 生活環境の改善で、同じ年齢層をみると、脳は
若返っている可能性があるとの報告が注目され
ている。
アルツハイマー病のまとめです。27
パーキンソン病
• 高齢者の運動障害を来す疾患として、脳血管
障害、骨疾患に次ぐ。
• 治療法(抗パーキンソン薬)がある。
• レビー小体の出現が孤発性の全て、家族性
のいくつかで特徴的所見である。
• レビー小体の主成分であるαシヌクレインが
中枢神経系外に沈着し、それが中枢神経系
に進展することで、症状を出す蛋白伝搬仮説
が提唱されている。
パーキンソン病のキーセンテンスです。28
蛋白伝搬仮説 異常蛋白が神経回路網に沿って進展していくことが、神経変性疾患の基本 N PrpScのように、立体構造が異常な蛋白が、 正常蛋白を異常構造に変換し、拡がっていく。 異常蛋白は細胞から細胞 へと伝搬していく N N N N N アミロイド様異常 蛋白 正常 N N N N 伝搬を防御出来れば、病変の進行を食い止められる 病変拡大
I would like to comment briefly on our hypothesis.
I think that, like prion protein, virus or cancer cells, intracellular amyloid-like proteins propagate from cell to cell, and this propagation is the cause of disease progression. From this point of view, I propose that neurodegenerative diseases with amyloid-like proteins can be regarded as ”protein cancers”.
Like PrpSc, intracellular amyloid-like protein interacts with normal protein and converts
it to the same abnormal conformation.
The amplified abnormal amyloid-like proteins are transmitted from cell to cell, probably through synapses, and propagate to various brain regions. As a result, the same abnormal protein pathology expands gradually, and clinical manifestations that are associated with affected brain regions become more marked because of the transmission and propagation of the abnormal proteins.
Therefore, it is important to regulate the propagation of abnormal proteins for clinical therapy.
レビー小体病(
LBD)
黒質 線条体 Meynert基底核 迷走神経 背側核 辺縁系 大脳新皮質自律神経不全症
レビー小体型認知症
パーキンソン病
末梢自律神経系 脊髄中間 外側核 青斑核 レビー小体の出現に関連 した神経変性を原因とす る疾患の総称全身病理をベースにしないと正しい把握はできない
扁桃核 嗅球 交感神経節 視床下部 副腎 腸管 心臓神経束 抗リン酸化α-シヌクレイン抗体 免疫染色(Saito Y et al, 2003) 皮膚 (Kosaka K. 1984) 嗅粘膜 レビー小体病(以下LBD)は、レビー小体の出現に関連した神経変性を原因とする疾 患の総称です。Lewy小体はHE染色でハローを伴う好酸性の神経細胞内円形封入体 で、抗リン酸化α synuclein抗体で最高の感度・特異度で検出されることを、我々は報告 しました。パーキンソン病は、黒質線条体型、レビー小体型認知症は大脳新皮質・辺縁 系に病変の首座を有する報告は多数ありますが、自律神経不全症の病理については、 末梢自律神経系の検索が困難であることが障害になっています。31
32
33
34
35
129
LB509
AYEMPSEEGYQ
Ser129
リン酸化αシヌクレイン特異抗
体 (#64)
124
134
PO
3
H
2
1
140
A30P A53TP
129
E46K G51DThis is the structure of alpha-synuclein. Alpha-synuclein is phosphorylated at Ser 129 and accumulates into Lewy bodies. We synthesized sequence,
36
Progression from pre-Lewy body to pale body and Lewy body is visualized with this antibody in substantia nigra. Gradual phorphorylation of alpha-synuclein, forming focal aggregates and finally typical Lewy body is evident.
37
BBAR Lewy Body Stage
Saito Y et al: J Neuropath Exp Neurol (2004)
Stage SN LB Dement PA Loss of pigment ANS (preG) SN/ Stri Limb./ NeoCx. LB Score 0
-
-
-
-
0 0.5-
+/-
+/-
+/-
0 I-
+/-
+/-
+/-
0-10 II+
+/-
+
+/-
0-10-
-III+
+
+
+
0-2(10)-
+
IV+
+
+
+
3-6+
+/-V+
+
+
+
7-10+
+/-Incidental subclinical PD w/o D PDD/DLBL PDD/DLBNLewy body pathology is evaluated in all cases. We classify “incidental Lewy body disease” into incidental and subclinical, the latter showing loss of pigmentation in substantia nigra at brain cutting or macroscopic examination. SN: substantia nigra; LB: Lewy body pathology, ANS: autonomic nervous system; preG: preganglionic
sympathetic nerves (spinal cord); Stri: striatrum; Limb: limbic; NeroCX: neocortex; Dement: dementia; PA: Parkinsonism
レビー小体病脳です。萎縮は明瞭でないですが、嗅球の萎縮が報告されています。
39
嗅球にのみレビー小体を認めた純粋例
=他の老年性変化僅少
青斑核
扁桃核
海馬
CA2
嗅球
*
嗅球には明らかなLBを認めます。*が前嗅核ですが、辺縁優位な症例です。 一方、脳幹の橋青班核、扁桃核ではわずかにdot,neuriteを認めるのみ。海馬CA2も神 経細胞内に顆粒状に染まる極軽度のレビー小体病理しか認めませんでした。Th8
左胸正中外側核
pSyn
交感神経節前神経細胞にレビー小体を認めることが知られています。
41
Psyn
交感神経節
食道
IML
食道胃接合部を含み吻側
3cmを採取。
胃食道接合部は腸管でのレビー小体の好発部位です。
Meissner粘膜下
神経叢
Auerbach
筋間神経叢
レビー小体は神経叢に出現します。43
Auerbach神経叢内のLewy小体
Auerbach神経叢内のレビー小体です。
リン酸化α-synucleinを用いた免疫染色
抗リン酸化αシヌクレイン抗体を用いた免疫染色で、レビー小体病理が検出されます。
46
皮膚に認められる抗リン酸化αシヌクレイン抗体陽性所見
レビー小体病では、皮膚真皮・皮下組織に分布する神経束に抗リン酸化α-シヌ クレイン抗体陽性となる類円形、線状の陽性構造を認める。PSer129 (polyclonal)
Lewy小体病では皮膚真皮・皮下組織に分布する神経束に
抗リン酸化αシヌクレイン抗体陽性となる類円形の陽性所見や
線状の陽性所見を認めます。
47
MIBG心筋シンチグラフィー
早期像
H/M=1.58
psyn #64 免疫組織化学
PD/ PDD/ DLB 5/6, PSP:0/1例,
MSA:0/1
Mitsui et al J Neurol Sci 2006
MIBG心筋シンチグラフィーの低下例では、今までのところ、左室前壁無髄線維軸索内 に、リン酸化アルファシヌクレイン抗体免疫染色で陽性所見を見いだしておりますが、現 在症例を蓄積中です。
48
黒質,青斑核, 迷走神経背側核 辺縁系 (扁桃核) 新皮質 脳幹 辺縁型 新皮質型 嗅球 扁桃核 レビー小体病脳幹上行仮説 嗅球・扁桃核進展仮説 (辺縁 系) 新皮質 前嗅核 辺縁 PNS 末梢神経系 タウ, Ab 脊髄 黒質,青斑核, 迷走神経背側核We also sample olfactory bulb and with distribution of
synucleinopathy, we observe olfactory- amygdal
extension of Lewy body pathology is independent from
Braak’s rostal extension paradigm
パーキンソン病(まとめ)
• 神経病理学的黒質変性と、抗パーキンソン病薬
が効果を持つことが必須事項。
• レビー小体の出現が、遺伝性の一部を除き必須
事項。
• 中枢・末梢神経系両方に病態が存在する全身疾
患である。
• 欠乏トランスミッター補充療法で、予後が劇的に
改善した。
• 蛋白伝搬仮説に基づく抗体治療法開発が現在脚
光を浴びている。
パーキンソン病のまとめです。49
50
筋萎縮性側索硬化症
1. 進行性筋萎縮と筋力低下が主症状である。
2. TDP43蛋白蓄積症が孤発例の原因として頻度
が最も高い。
3. 病原性TDP43遺伝子変異は筋萎縮性側索硬
化症の病型をとる。
3. 呼吸不全が死因となる。
4. 運動ニューロンだけに限局する型と、広汎に拡
がる型があり、後者の場合認知症を呈すること
がある。
筋萎縮性側索硬化症についてです。51
横隔膜
横隔神経
右
左
コントロール
200 µm 200 µm 横隔神経は有髄線維が減少しています。52
53
54
55
Ubiquitin
TDP-43
スケイン様封入体(脊髄前角)
25μm Skein-like inclusionは、TDP-43免疫染色では、ユビキチン免疫染色と同様に糸くず状 の陽性構造物として認められ、それを持つ前角細胞の核の染色性は著しく低下してい ます。56
Ubiquitin
TDP-43
25μm円形封入体 (脊髄前角)
round inclusionは、TDP-43免疫染色では、ユビキチン免疫染色と同様に類円形の陽 性構造物として認められます。
57
CD68はphagosomeの構成蛋白で、活性型ミクログリア・マクロファージを認識します。前 角細胞貪食が検出されます。
58
ブニナ小体
59
Betz細胞貪食
冠状断では海馬支脚の評価が重要です。
61
Ubiquitin
TDP-43
ユビキチン陽性細胞質内封入体(海馬歯状回)
25μmユビキチン陽性細胞
質内封入体は、TDP-43免疫染色でも、細
胞質内に同様の形態
として認められ、そ
れらを持つ細胞の核
の染色性は、著しく
低下している。
62
62 75 – 50 – 37 – 25 – 20 – -26 -24 -23 -19 -18TDP-43 蛋白蓄積症各病型における
抗リン酸化TDP43抗体免疫ブロットとC末断片パターン
15 % polyacrylamide gelPrec = precentral; L = lumbar; MND = motor neuron disease; mPGRN = mutations of progranulin gene
Scheme
Prec L Prec L Prec L (kDa) 25 20 症例 1 症例 2 症例 3 10 % polyacrylamide gel (kDa) リン酸 化 TDP43 C末断片 リン酸化TDP43とC末断片が認識される. サルコシル不溶性画分の イムノブロット ALS例の解析 ALSでは 中心前回と脊髄で 共通のパターンを示す. TDP-43 proteinopathyの病型に より異なる.(Ann Neurol 2008) (kDa) 25 20 TDP43蓄積病型の病理所見と蛋白分解酵素処理後の免疫ブロットのパターンはお互 い一致します。
63
FTLD-TDPサブタイプと臨床病型
Type A
プログラニュリン変異
前頭側頭型認知症
Type B
運動ニューロン疾患
Type C
意味性認知症
Type D
VCP
変異
TDPの免疫ブロットのパターンと臨床病型は相関します。14 1 2 19 SOD1 TARDBP FUS Unknown
ALSにおける遺伝子変異
Familial ALS
Familial ALS
SOD1
38.9%
TARDBP
2.8%
(M337V)
FUS
5.6% (2/36)
c9FTD/ ALS 0%
孤発性ALS遺伝子変異の内訳
孤発性ALS遺伝子変異の内訳
SOD1
3
TARDBP
1
c9FGD/ ALS 0
FUS
2
ANG
1
合計
7/ 200
東大神経内科での家族性ALSの遺伝子別頻度です。SOD1が最多です。 64c9FTD/ ALS
• Hexarepeat (GGGGCC) exapansion (2-23 to
more than 700) of intron of C9ORF72 gene,
forming RNA foci and aberrant expression.
• TDP 43 proteinopathy with Bunina bodies.
• TDP 43- negative, ubiquitin, p62, C9
transcript- positive neuronal intracytoplasmic
and intranuclear inclusions in cerebellar
granular cells and star- like inclusions in
hippocampal pyramidal cells.
• C9- transcript precedes TDP43 deposition.
• Quite rare in Japanese
C9関連ALSの特徴を示します。