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(201S) Carcin%gica/ Socie砂ofJapanヒメヒライソモドキの静岡県における生息地の記録
First record of p砂chognathu, scapillidigitatus(Crustacea: Decapoda: Varunidae) inShizuoka Prefecture,
Japan横岡博之
l・柚原
剛
2本
・田頭亮臣
lHiro戸水iYokooka
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Takeshi Yuhara and Ryoshin Tagashira. は じ め に ヒメヒライソモドキPtychognathuscapil/idigitatus Takeda, 1984は, 河口域転石潮間帯の下部周辺に生 息する小型のモクズガニ科の一種であり,日本ベン トス学会による干潟の絶滅危倶動物図鑑では,準絶 滅危倶と評価されている(和田, 2012).本種の模 式産地は和歌山県 白 浜町の富田川であり (Takeda, 1984),日本国内においては,南西諸島から三重県 までに分布しているとされる (Komaiet a/., 2004 ; 山本ら, 2005;和田, 2012;締次, 2014). 著者らは20日年6月から2014年11月にかけて静 岡県内の河口汽水域を調査し, 9調査地で本穫の生 息を確認した.これは本種の静岡県内での初記録で あり,分布の東限記録であると考えられるので,採 集地の状況とともに報告する.また,本種と同所的 に生息していたタイワンヒライソモドキPtychogna -thus ishii Sakai, 1939を含め,他のカニ類の生息状況 lいであ株式会社環境創造研究所 〒421-0212 静岡県焼津市利右衛門1334-5 JDEA Consultants, lnc. lnstitute of Environmental Ecolo -gy, 1334-5 Riemon, Yaizu, Shizuoka421-0212, Japan E-mail: [email protected]・JP 2静岡県立下回高等学校 干415-8527 静岡県下回市蓮台寺152 ShimodaHigh School, 152 Rendaiji, Shimoda, Shizuoka 415-8527, Japan *現所属(Presentaddress):東北大学大学院生命科学研 究科 干980--8578 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 Tohoku University Graduate School ofLife Science, 6-3 Aoba, Aramaki, Aoba-ku, Sendai, Miyagi 980--8578, Japan についてもあわせて報告する. . 調 査 地 と 方 法 調査は 2013年 6月より 2014年11月にかけて,静 岡県の太平洋沿岸の9河川の河口汽水域で実施し た.調査日と調査地の概要およびその景観を表,1 図lおよび図2に示す.各調査地において,干潮時 にl人もしくは2人で約2時聞から4時間河口汽水域 を踏査し,タモ網を用いてヒメヒライソモドキを含 むカニ類を探索した.採集したカニ類からヒメヒラ イソモドキと思われるカニの有無を目視で確認し, 各調査地で数個体を標本として採集した.その他に 特筆すべきカニ類いた場合も一緒に採集した.持ち 帰った標本は,一度冷凍したのち,90%ア ル コ ー ル で固定した.固定標本は実体顕微鏡下 (01"刊,fPUS 社 製 :SZX10) で精査するとともに,ノギスを用い て甲幅と甲長を測定した.標本は,大阪市立自然史 博物館に保管・登録され,ヒメヒライソモドキには 登録番号0~-Ar9757~9767が(表 2) ,その他特 筆すべきカニ類にはOMNH-Ar9768~9780が付記さ れた(表3).
.
語 果
各調査地で採集した個体について精査した結果, 形態的特徴は概ね以下の通りであった.甲の形状 は,甲幅甲長比が1.2
程度で甲幅がやや長い四角形 である.額は眼柄とほぼ同長で,中央が浅く窪み, 日本甲殻頭学会R
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横閤博之・柚原剛・凹頭亮臣 表1. 各調査地の概要. 調査地 図 緯度 経度 伊東市 伊東大川 図1A,2A 34058'19"N 139006'01 "E 南伊豆町 青野川 図18,28 34038'51"N 138052'37"E 沼津市 陰野川 図1C,2C 35001'04"N 138053'15"E 沼津市 西浦河内川 図10,20 35001'09明 138052'42"E 静岡市清水区 波多打川 図1E,2E 35002'38"N 138030'29"E 静岡市清水区 庵原川 図1F,2F 35002'II"N 138030'00"E 焼津市 瀬戸川 図1G,2G 34052'克 明 138019'32"E 牧之原市 勝間田川 図1H,2H 34043'43"N 138013'06"E 浜松市 遠州灘海浜公園脇水路 図,Il 21 34040'05"N 137044'50"E
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20km ~高石d 遠 州 灘 E138.E
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駿 河 湾 E139. 図1.本調査の調査地. AーIは調査地を示す. その前縁部はl
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Jlの頼粒列からなる.甲の前側縁に は眼寓外歯を含めて 3歯あり,眼寓外歯聞が最大甲 幅となる個体が多かったが,第 2歯がほぼ並列にあ る個体も確認された.続く第 3歯は第 2歯より内側 にあり,小さく明際でない.第 3顎脚の長節は座節 と水平に関節し,外縁は外側に大きく膨らむ.外肢 の幅は著しく広く,座節幅の約1.5倍である.雄の 錯脚両指部の外面には軟毛が認められ,可動指の軟 毛は基部付近のみで,不動指の軟毛は先端付近まで 生えている.掌部は平滑で,不動指側の軟毛の生え 際下部には頼粒列がある.両指部先端には剛毛が生 えており,不動指の方が顕著である.雌の形態的特 徴で雄と異なる点は,両錯脚は雄に比べると小さ く,両指の外面には雄にみられる軟毛はみられない が,短剛毛が生えている.両指部外面および掌部下 面には小頼粒がみられる.これらの特徴について, Takeda (1984)およびKomaiet al.(1994)における ヒメヒライソモドキの記載内容と比較したところ, 概ね一致した(図3・1-2).近似種であるタイワン ヒライソモドキ(図 3-3) とは,甲面は甲面前側縁 に眼寓外歯を含め2歯であること,最大甲幅部が第 2歯間であることなど、から区別した.以上の結果か ら,本調査によってヒメヒライソモドキは静岡県内 の9調査地においてが確認された.E
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以下に各生息地の状況を記し,各生息地で得られ たヒメヒライソモドキの概要を表2に, 同所的に得 られた他の特筆すべきカニ類の概要を表 3に,得ら れた標本を図3に示す. 伊東市の伊東大川では,河口部に架かる渚橋から 40m程度上流までの範囲の右岸寄りで確認された (図IA,2A). ここは調査前の2014年春頃まで護岸40
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図 2. ヒメヒライソモドキPtychognathuscapillidigita似sTakeda, 1984 生息場所の景観.各アルファベットは調 査地(表lおよび図 l参照)を示す. 図 3. 採集されたヒメヒライソモドキおよび特筆すべきカニ類. 1. ヒメヒライソモドキの雄個体, 2. ヒメヒライソモドキの雌個体, 3. タイワンヒライソモドキ, 4. カワスナ ガ、ニ, 5. トゲfアシヒライソガニモドキ, 6 アリアケモドキ. 41表 2. 採集されたヒメヒライソモドキの概要. 採集場所 調査年月日 登録番号 性別(個体数);甲幅/甲長 採集者 伊東大川河口 2014年 9月23日 OMNH-Ar9757 ♂ (2) ; 4.5~5.9 mm/3.8~5.0 m m, HY ♀(3); 4 .3 ~6.1 mm!3.6~5.1 m m 青野川河口 2014年 5月31日 O札。~H-Ar9758 ♂ (2) ; 6.9~7.7 mm/5.6~6.1 m m, HY,TY ♀(1); 5.2 mm/4目5mm 陰野川河口 2014年11月22日 OMNH-Ar9759 ♂ (3) ; 3 .4 ~8.4 mm/2.9~7 .l m m, HY,RT ♀(5) ; 3 .4 ~7.2 mm/2.7~6.2 m m 西浦河内川河口 2014年 3月21日 OMNH-Ar9760 ♂ (3) ; 2.5~8.5 mm/2.2~6.8 mm, HY,RT ♀(3); 3 .3 ~6.5 mm/2.7~5.0 mm 波多打川河口 20日年 6月 9日 OMl'サH-Ar9761 ♂ (2); 4.9~6.6 mm/3.9~5.4 mm, HY ♀(2); 5.6~6.8 mm!4.6~5.3 mm 庵原川河口 20日年 6月23日 OMl'lli-Ar9762 ♂ (1) ; 9.5mm!7.8 mm, HY ♀(1) ; 6.4mm/5.4mm 2013年12月 4日 0乱1NH-Ar9763 平(3); 5.6~8.5 mm/4.7~7.0 mm HY 2014年 4月13日 0孔⑪.JH-Ar9764 ♂ (2) ; 5.5~8.5 mm/4.7~7 .3 mm, HY ♀(2); 7.7 ~8.6 mm/6.2~7.0 mm 瀬戸川河口 2014年 5月 4日 0孔⑪.JH-Ar9765 ♂ (3); 4.0~7.2 mm/3 .4 ~5.9 m m, HY 平(1); 4.5 mm/3.7 mm 勝間田川河口 2014年 5月 4日 O恥⑪.JH-Ar9766 ♂ (2) ; 5.2~7.1 mm/4.3~5.8 mm, HY ♀(1) ; 6.0mm/4.9mm 遠州灘海浜公園脇水路 2014年 5月 6日 01¥骨-rH-Ar9767 ♂ (2); 6.0~7.3 mm/4.9~6.0 mm, HY ♀(1) ; 4.4mm/3.8 mm 注.採集者のHYは横向博之, TYは柚原 岡JI,RTは田頭亮臣を示す. 部の改修工事が行われていた経緯がある.本種が確 認された場所はその工事範囲内であったが,抱卵雌 を含め10個体程度が確認された.また,改修され た護岸部の石積の隙聞にはタイワンヒライソモドキ が多数確認された. 南伊豆町の青野川では,河口から約2.5krn付近 (宮前橋の下流)の左岸に干出する場所で抱卵雌を 含め20個体程度が確認された(図lB,2B).同所的 にカワスナガニDeiratonotusjaponicum(Sakai, 1934) が確認された(図3-4).本調査地の右岸ではタイワ ンヒライソモドキ,ケフサイソカ、ニHemigrapsus penicillatus(de Haan, 1835)が多数確認された.また, 本種は本調査地よりも下流にある弓ヶ浜大橋付近な ど,本河川河口域において広範囲で生息が認められ ている(柚原ら,投稿準備中). 沼津市の陰野川では,河口部に架かる城下橋から 30m程 度 下 流 ま で の 範 囲 で 確 認 さ れ た ( 図1C, 2C).本種の確認できる範囲は広くなかったが, 30 個体以上が確認され,生息密度が高かった.同所的 にケフサイソガニ,タイワンヒライソモドキが確認 された.また,護岸のカキ礁からはトゲアシヒライ ソガニモドキParapyxidognathusdeianira(de Man, 1888) 42 が確認された(図3-5). 沼津市の西浦河内川では,河口部に架かる吉妻橋 の直下から数メートル上流側の狭い範囲で10個体 程度確認された(図1D, 2D). 静岡市清水区の波多打川では,河口部に架かる清 見橋から数メートル下流で確認された(図 1E,2E). 清見橋より約10m上流の転石帯では,タイワンヒ ライソモドキが確認された. 静岡市清水区の庵原川では,河口より約 150~ 300 m上流の一葉橋までの範囲で確認された(図1F, 2F). 2013年6月, 12月, 2014年4月 の3回 調 査 を 実施し, 2013年6月の調査時には抱卵雌も含めて20 個体程度が確認された.一葉橋の下流側で多くの個 体が確認され,そこではタイワンヒライソモドキ, ケフサイソガニおよびモクズガニEriocheirjaponica (deHaan, 1835)の幼体が同時に採集された.2013年 12月調査で訪れた際には, 一葉橋の橋脚補強工事 が行われており,河道部が大幅に改変されていた. 2014年4月には一葉橋直下で本種を確認できた場所 は完全に消失していた (2014年12月に通りかかっ た際には工事前の状態に戻っていた). 焼津市の瀬戸川では, JR東海道本線の鉄橋から
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表3.その他特筆すべきカニ類の概要. 採集場所 調査年月日 種名 登録番号 性別(個体数);甲幅/甲長 採集者 伊東大川河口 2014年 9月23日 タイワンヒライソ O~心ffi-Ar9768 ♂ (1) ; 8.0mmJ6.6 mm, HY モドキ ♀(1) ; 11.3mmJ9.3 mm 青野川河口 2014年 5月31日 タイワンヒライソ ON仏旧-Ar9769 ♂(2) ; 9.2 ~13 .3 mmJ HY,TY モドキ 7.6~10.8mm カワスナガニ Ol'v伺'ffi-Ar977 0 ♂(2); 5.7~6.2 mm/ HY,TY 4.9~5.4mm, ♀(1) ; 6.0mml5.5 m m 陰野川河口 2014年II月22日 タイワンヒライソ OMNH-Ar9771 ♂(1) ; 7.0mml5.9 mm HY,RT モドキ 卜ゲアシヒライソ OMNH-Ar9772 ♀(1) ; 5.6 mml4.1 mm HY,RT カ、ニモドキ 西浦河内川│河口 20日年 3月21日 タイワンヒライソ OMNH-Ar9773 ♂(1) ; 5.2 mml4.2 m m, HY,RT モドキ ♀(1) ; 7.5 mm!6.1 m m 波多打川河口 2013年 6月 9日 タイワンヒライソ OMNH-Ar9774 ♂(1) ; 9.2mml7.5 mm HY モドキ 庵原川河口 2014年 6月23日 タイワンヒライソ O Mト任I-Ar9775 平 (1); 10.1mm!8.2 mm HY モドキ 瀬戸川河口 2014年 5月 4日 タイワンヒライソ O恥仔"H-Ar9776 ♂(1) ; 6.2mmJ5.0 mm, HY モドキ ♀(1) ; 7.6mm!5.7 mm 勝間田川河口 2014年 5月 4日 タイワンヒライソ OMNH-Ar9777 ♂(1) ; 10.4 mmJ8.4 mm HY モドキ アリアケモドキ OMNH-Ar9778 ♂(1) ; 7.5mm15.6 mm, HY ♀(1) ; 10.0mm17.5 m m 遠州灘海浜公園 2014年 5月 6日 タイワンヒライソ OMNH-Ar9779 ♂(1) ; 10.1 mml8.4mm, HY 脇水路 モドキ ♀(1) ; 9.1 mm!7.5 mm アリアケモドキ 0肘lNH-Ar9780 ♀(2) ; 7.3~10.2 mm/ HY 5.0-7.1m m 注.採集者のHYは横岡博之, TYは柚原 岡IJ,RTは田頭亮臣を示す. 前後10m程度の範囲で確認された(図1G,2G).近 傍の転石下ではタイワンヒライソモドキが確認され た. 牧之原市の勝間田川では,河口から約800m上流 の左岸に干出する場所で確認され(図lH,2H),同 所 的 に ア リ ア ケ モ ド キDeiratonotuscristatum (de Man, 1895)が確認された(図3-6).近傍の転石下で は,タイワンヒライソモドキやケフサイソガ、ニが確 認された. 浜松市の遠州灘海浜公園(中田島北地区)は(図 11, 21), 馬込川と芳川の合流地点に挟まれた場所で ある.馬込川の公園脇がワンドになっており,そこ に公園下の暗渠から淡水が流入している.その暗渠 の出口部に1.5m四方程度の転石帯があり,本種は この狭い範囲のみで確認された.同所的にアリアケ モドキ, タイワンヒライソモ ドキおよびケフサイソ ガニが確認された. 本報告で確認されたヒメヒライソモドキの生息地 のうち,青野川以外はいずれも狭い範囲に限定され ていた.また, 青野川と陰野川以外は確認個体数も 少なかった. ヒメヒライソモドキの確認された各調 査地の底質状況は主に小磯で,こぶし大からOK
サ イン大の平たい磯底をタモ網で法った時に確認され た. ヒメヒライソモドキが確認された全ての調査地に おいて,同所的にタイワンヒライソモドキが確認さ れた.この両種が,干出している場所にある同ーの 転石下で一緒に確認されることは無かったが,タモ 網による採集では両種が同時に確認されることが多 かった.また,両種が同一河川汽水域で確認される 報告は多く,共存する河川ではヒメヒライソモドキ の 分 布 が 下 流側 に 偏る と さ れ て い る (F叫ωi& Wada, 1986 ;野元ら, 1999;山本ら,2005;和田, 2012 ;締次, 2014).また, ヒメヒライソモドキはこぶし大程度の比較的小型の転石下に多く生息する のに対し,タイワンヒライソモドキは人頭大以上の 比較的大型の転石下を好むとされている(野元ら, 1999).各生息地においても,既往の報告と概ね同 様の生息状況であったが,勝間田川では本種の分布 域は非常に狭く,タイワンヒライソモドキの分布域 が本種の分布域を挟んで上流側から下流側まで広 がっていた. . 分布記録について これまでヒメヒライソモドキは日本国内のみで確 認されており,その分布東限は三重県とされていた が (Komaiet al., 2004 ;締次, 2014),本調査結果に よって既知の分布範囲が東進し,遠州灘,駿河湾奥 部,相撲灘を含む静岡県内に広く分布していること が明らかになった. これまで田中ら (2004)や環境アセスメン トセン ター (2009) は,青野川の汽水域を含んだ範囲で水 生生物調査結果を報告しているが,本種は記録され ていなかった.また瀬戸川では,本種が約15年前 に既に確認されていたという情報があり(唐津・岡 村,私信),この生息情報に基づき調査をした結果, 本種が確認された(瀬戸川のかつての生息情報は, 標 本 も 現 存 せ ず,未発表であった).一方, トゲ アシヒライソガ、ニモ ドキ,タイワンヒライソモド キ,ヒメヤマ トオサガニMacrophthalmus(Mareotis) banzaiWada & Sakai, 1989, シオマネキUca(Tubuca) arcuata(de Haan, 1835),ハ ク セ ン シ オ マ ネ キ Uca (Austruca) lactea (de Haan, 1835)など紀伊半島以西が 分布生息域とされていたカニ類について,2000年 以降に分布域の北進および東進が報告され,静岡県 や房総半島で生息が確認されている(工藤・山田, 2000 ;田中ら, 2004;朝倉・森上,2007;伊藤・根 本, 2012;横岡・野元, 2013). 以上のことから,静岡県内の分布記録について, 本種が近年徐々に分布東限を拡大させてきたのか, 元々静岡県内に生息していたが未調査あるいは調査 が実施されていても,本種が小型種かっ希少なため 生息が確認されなかったのかは,本調査結果から判 断することは難しい.また,先述のようにタイワン ヒライソモドキはヒメヒライソモドキと同一河川汽 水域同所的に生息していることが多く,現在,神奈 川県の相模川河口が分布東限とされている(伊藤・ 根本, 2012).本調査により,ヒメヒライソモドキ は伊豆半島東部の相模灘にも生息していることが明 らかとなったので,今後の詳細な調査によって相模 川河口をはじめ,神奈川県内の河川においても本種 が確認される可能性がある. 園 おわりに 静岡県レッドデータブック(静岡県,2004) には 海水・汽水産の十脚目甲殻類は含まれていない.静 岡県では干潟生物を含む十脚目甲殻類の調査記録自 体が少ないが,既往の報告および本調査の結果から 環境省レッドデータブック(環境省,2014)および 干 潟 の 絶 滅 危 倶 動 物 図 鑑 ( 日 本 ベ ン トス学会, 2012) に記載されている絶滅危倶種のシオマネキ, ハクセンシオマネキ,カワスナガニ,アリアケモド キ,ヒメヤマトオサガニ, ヒメヒライソモドキ,タ イワンヒライソモドキ, トゲ、アシヒライソガニモド キなどの生息が明らかとなった(田中ら,2004;和 田,2007;横 岡・野 元,2013;伊藤, 2014).本調 査を含めたこれらの報告は,静岡県内における希少 な十脚目甲殻類の生息分布の現状を示す重要な記録 であるといえ,今後静岡県レッドデータブックを改 訂する際にも重要な資料となるべきものである.
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語 辞
標本の登録・管理にご協力頂いた大阪市立自然史 博物館の石田 惣氏,瀬戸川におけるヒメヒライソ モドキの生息地の情報を提供していただいた,元い であ株式会社の唐津恒夫氏並びにいであ株式会社の 岡村哲郎氏に厚くお礼申し上ける.園
支 献
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