*1きよせの森総合病院(Kiyosenomori Hospital) *2聖路加看護大学(St Luke's College of Nursing)
2012年5月11日受付 2013年1月23日採用
資 料
出産後の母親の精神的,身体的健康増進を
目指すプログラムの評価
Evaluation of program to improve mental and physical health
今 野 友 美(Tomomi IMANO)
*1堀 内 成 子(Shigeko HORIUCHI)
*2 抄 録 目 的 出産後の女性の健康増進を目指す出産後プログラムに参加した母親の参加前後の精神的,身体的健康 の変化からプログラムの評価を行った。 研究方法 対象はA団体の出産後プログラムに参加する産後2か月∼6か月の母親135人である。プログラムの内 容は,有酸素運動,コミュニケーションスキル向上のためのワーク,セルフケアであり,週に1回2時間, 4週継続して行った。測定用具は精神的健康増進の指標として日本版エジンバラ産後うつ病自己評価票 (EPDS),主観的幸福感尺度,身体的健康増進の指標として研究者作成の身体的不調,参加動機等であ る。調査はプログラム初回,プログラム4回目,終了後1か月の3時点で行った。3時点での変化につい てはrepeated ANOVAを行った。 結 果 プログラム4回目まで進んだ者は112人(有効回答率83.0%),終了後1か月までフォローできた者は90 人(回収率80.4%)であった。 身体的不調の総合得点の変化には有意差がみられ(p<.001),プログラム4回目で改善し,その効果 は終了後1か月まで持続していた。主観的幸福感の総合得点の変化に有意差がみられ(p=.002),調査 時期毎に得点が上昇した。抑うつ度を示すEPDS得点の変化に有意差がみられ(p<.001),プログラム 4回目で抑うつ度は軽減し,その状態は終了後1か月まで続いていた。EPDS9点以上の割合は,プログ ラム初回では23人(20.5%)であったのに対し,プログラム4回目では11人(9.8%)であり,有意に割合 は減少していた(p=.025)。 結 論 プログラムの参加により,身体の不調は改善し,主観的幸福感は高まり,抑うつ度は軽減されており, それはプログラム終了後1か月でも持続していた。今後の課題として,対照群をおいたプログラムの評 価が必要である。 キーワード:母親,健康増進,産後うつ,プログラム,評価Abstract Purpose
This study evaluated women's mental and physical health during the postpartum period and after they had par-ticipated in a program designed to improve women's health.
Methods
The subjects were 135 mothers two-six months after delivery who participated in a post-partum program. The two-hour weekly program, included: aerobic exercise, communication skills, and self-care, and lasted four consecu-tive weeks. The measurement tools included the Edinb-urg Postnatal Depression scale (EPDS), subjecconsecu-tive well-being scale, andauthor created question such as participants' motives, degree of satis-faction, and poor physical condition. The survey was conducted three times: 1st and 4th week of the program, and one month after program-completion. Repeated ANOVA was performed for the three survey poin-ts.
Results
There were 112 (83.0%) women continuing to program completion, followed 90 (80.4%) women one month after program completion. Participation motives were high for physical needs, and low for needs related to mental or social aspects. Needs related to mental and social aspects were satisfied by participation in the program. There was statistical significance (p<.001) for changes in total points for poor physical condition, improvement at the 4th ses-sion, and the effect continued until one month after program completion.
A significant difference (p=.002) was found for changes in total points for subjective well-being, with the score increasing at each survey. Change in the EPDS score indicating the degree of depression was significant (p<.001), with the degree of depression reduced at the 4th session, and that condition continued at the one month comple-tion. The proportion of EPDS scores of 9 points (indicating depression) or higher was 23 mothers (20.5%) at the first session of the program, compared to 11 mothers (9.8%) at the 4th session of the program, indicating a significant decrease (p<.025).
Conclusions
Participants who completed in the program improved poor physical condition, increased subjective well-being, and reduced the degree of depression, and these changes continued at one month after program completion. It is possible the postpartum program contributed to improve in the mother' physical and mental health, and postpartum depression. The next step is repeat the program using a control group.
Key words: health promotion, mothers, postpartum depression, program, evaluation
Ⅰ.は じ め に
孤立した子育ては産後うつとの関連が指摘されてい る。産後うつである初めて子育てを経験する母親は産 後うつでない母親と比べ孤立感得点が高いと報告さ れている(大野,2008)。また,子育て初体験の母親は, 産後1か月時より産後3か月時の方が孤立感を強く感 じており(名取,2010),育児中の母親は孤立して「孤 育て」していることが伺える。 海外での産後うつの1年以内の発生率は15%前後 (O'Hara & Swan, 1997; Buist, Ellwood, Brooks, et al.,2008),国内の「健やか健康21」の報告では2003年の ベースライン値は13.4%,2005年は12.8%,2009年は 10.3%と減少傾向にある。産後うつは子どもの発達の 予後に影響があり(吉田,2006),乳児虐待のリスクフ ァクターの1つ(Cadzow, 1999)であるともいわれてい る。そのため可能な限り早期からのスクリーニングと 介入が勧められている(吉田,2006)。 出産後の母親は精神的な不調を訴える一方,身体的 な不調も訴えている。産後3か月から4か月の母親は 自分の健康状態が良好と答えていてもほとんどの母親 が肩こり,つかれなどの身体不調を訴えていた(浜岡 ・藤丸,2009)。子育て中の母親は育児に追われ子ど も優先となり,母親自身の身体的健康,精神的健康に ついて周囲からの理解はなかなかされにくい。 出産後の母親自身の精神的健康増進を目的としたプ ログラムには運動プログラムがある。出産後の運動は 母親やその子どもに対して効果的かというシステマテ ィックレビュー(Larson-meyer, 2002)では,身体活動 は不安や産後うつを抑え,肯定的な感情やwell-being が向上していた。また,有酸素運動と専門家によるセ ッションを受けた介入群は育児情報を受けた対照群 に比べ,心理的well-beingは上昇し,産後うつの指標 であるEPDS(Edinburgh Postnatal Depression Scale) は低くなっていた(Norman, Serburn, Osborne, et al., 2010)。国内の出産後プログラムの効果を検討したラ
準偏差は3.5と仮定しα=0.05,power=80%とした ところ,必要とするサンプル数は49人と算出された。 本研究はプログラム初回とプログラム4回目の終了直 後に質問紙を配布し,プログラム終了後1か月に郵送 で質問紙を依頼した。プログラム4回目までの脱落を 2割,終了後1か月までの脱落を5割と見積もり,150 人を本研究でのサンプル数とした。 データ収集期間は,2011年6月7日から12月15日ま でであった。 3.プログラムの内容(表1)(写真1) プログラムの目標には①体力の回復と,健康増進, ②コミュニケーションスキルの向上,③セルフケア能 力の獲得が組み込まれており,これらの目標に対して プログラムが構成されている。①については,バラン スボールを使った有酸素運動を約60分行う。児が泣 いても抱っこをして一緒に運動できるような内容にな っている。②については,思いを語ったり,他人の語 りを傾聴したりすることで,自分を見つめ直し,自己 表現力や傾聴力を高めることが狙いである。③につい ては,プログラム終了後でも自身の健康管理が行える よう,育児をしながら日常の生活の中でも行えるよう な内容となっている。 プログラムは,週に1回120分構成,4週続きである。 プログラムへの参加は6か月以下の乳児は同伴が可能 になっている。基本的に4回のプログラムは同一のイ ンストラクター1人が行う。 4.測定用具 1 ) プログラムの評価尺度 プログラム初回,プログラム4回目,終了後1か月 ンダム比較試験(RCT)では,産後3か月から5か月の 母親に対して全4回にわたるバランスボールエクササ イズとセルフケア法のプログラムを週1回,4週継続し て行った。介入群は対照群に比べプログラム参加後に 自尊感情が上昇していた(春名,2008)という報告があ る。しかし,母親の精神的,身体的の両側面の健康増 進を指標としたその他の研究は少ない。精神的な不調 と身体的な不調を抱える母親に対して精神的健康増進, 身体的健康増進へのアプローチが必要であると考える。 本研究の目的は,出産後の健康の回復と増進を目指 す出産後プログラムに参加した母親の参加前後の精神 的健康,身体的健康,セルフケア能力の変化からプロ グラムの評価を行うことである。 【用語の定義】 精神的健康増進:ネガティブな精神状態を表す抑うつ 症状が改善され,様々な日常生活の事柄をポジティ ブに感じられる主観的幸福感が高まること。 身体的健康増進:出産後の女性が自覚する身体不調が 改善すること。 抑うつ度:EPDSによって評価されたうつ状態である 者に限定しない抑うつ症状の程度。 セルフケア:身体的な不調の改善となるようなケア。
Ⅱ.研 究 方 法
1.研究デザイン 対照群を置かない前後比較研究である。 2.研究の対象と期間 対象は,産後2か月から6か月の母親を対象とした 東京,埼玉,神奈川の11会場でA団体が開催する出 産後プログラムに参加した者で,研究に同意の得られ た日本語の理解のできる母親とした。A団体は,出産 後の母親を対象としたプログラムを行っているNPO 法人であり,子育て中の母親の精神面,身体面からの サポートを行っている。首都圏を中心に全国9都道県, 43教室にわたって展開している。A団体のインストラ クターの多くはA団体のプログラムに参加した母親達 である。独自のインストラクター養成コースを修了し, 「産後セルフケアインストラクター」という立場でプ ログラムの普及に貢献している。 サ ン プ ル サ イ ズ は, 春 名(2008),Norman, Sherburn, Osborne, et al.(2010)の研究を参考に,プ ログラム開始前後のEPDSの平均得点の差が2点,標写真1 バランスボールエクササイズ
エクササイズ中児を抱っこしながらエクササイズを行う ことができるような抱っこの指導も行っている
の3時点で質問した。 (1)精神的健康 ①「主観的幸福感尺度」 心理的健康を測定するための尺度である(伊藤・ 相良・池田他,2003)。世界保健機関(WHO)によ って開発された心の健康自己評価質問紙Subjective Well-Being Inventory(SUBI)の 結果としての健康 観 を表現していると判定された5領域,「人生に対 する前向きな気持ち」,「達成感」,「自信」,「至福感」, 「人生に対する失望感」(逆転項目)で構成されてい る。本研究では「至福感」を除いた4領域を用いた。 質問項目は12項目から構成され,4件法での回答で ある。1∼4点の配点で,点数が高いほど主観的幸福 感が高くなっている。信頼性,妥当性についてはす でに確認されている(伊藤・相良・池田他,2003)。 ②日本版エジンバラ産後うつ病自己評価票「EPDS」
(Edinburgh Postnatal Depression Scale)
1987年にCoxらによって産後うつ病のスクリーニ ングを目的として開発された。日本版は岡野らが作 成し,その信頼性妥当性は確認されている(岡野・ 村田・増地他,1996)。質問項目は10項目であり,0 ∼3点の4件法で採点される。点数が高いほど産後 うつ傾向が高いことを示す。日本でのカットオフポ イントは9点であり,本研究でもカットオフポイン トは9点とした。本研究ではうつ病の診断は行わな いためEPDS9点以上の場合は,うつ状態と表現する。 (2)身体的健康 「身体的不調」 A団体の参加終了後の身体症状についての調査結果 (吉岡,2009),個人の疲労レベルの把握を目的とした 「自覚症調べ」の尺度(井谷,2002)をもとに研究者が 作成した。7項目から構成され,「とてもあてはまる(4 点)」から「まったくあてはまらない(1点)」の4段階の リッカート尺度を用いた。得点が高いほど身体症状に 不調がある。信頼性について,α係数は0.55であった。 (3)「セルフケア能力の向上」 (1)「セルフケアの実施頻度」 「セルフケアの実施を行っているか」に対して「よく 行う(4点)」から「ほとんど行わない(1点)」の4段階の リッカート尺度を用いた。 (2)「規則正しい生活の実施に対する自己評価」 「規則的な生活を送ることができているか」に対し て「そう思う(4点)」から「思わない(4点)」の4段階の リッカート尺度を用いた。 (4)「コミュニケーションスキルの向上」 すでに行われているA団体の調査での自由記載より (吉岡,2009),プログラム参加前はパートナーとの満 足な会話ができないがために生じるパートナーに対す る不満が生じていた。また,プログラム参加後は半数 以上の参加者がパートナーとの関係が良くなったと答 えていた。これらの結果より,プログラムの内容の1 つであるコミュニケーションスキルの向上のワークが 表1 プログラムの内容 プログラムの教授内容 時間 1週目 ・インストラクターのあいさつ ・参加者の10秒自己紹介(名前,住んでいる地域) ・バランスボールエクササイズa ・テーマ(自分を振り返る)に沿った参加者同士の話し合いb ・腹筋を意識し,姿勢を整える 60分 40分 15分 2週目 ・1回目のプログラム後の自分について10秒で発表 ・バランスボールエクササイズ ・テーマ(人生,仕事,パートナーシップ)に沿った参加者同士の話し合い ・自分で行う肩こり解消法 60分 45分 15分 3週目 ・骨盤の動きと呼吸とを連動させた骨盤呼吸法の実践(予習) ・バランスボールエクササイズ ・テーマ(人生,仕事,パートナーシップ)に沿った参加者同士の話し合い ・骨盤呼吸法の実践(クールダウン) 60分 45分 15分 4週目 ・骨盤呼吸法の復習 ・バランスボールエクササイズ ・テーマ(人生,仕事,パートナーシップ,5年後の私)に沿った参加者同士の話し合い ・骨盤を意識した美しい歩き方 60分 45分 15分 a:バランスボールでのエクササイズは週を追うごとにエクササイズの種類が増え,運動強度が増していく。 b:毎回2人1組になり,各々テーマを1つ選ぶ。聞き手と話し手とに分かれ,話し手は決められた時間内でテー マに沿って自由に語る。聞き手は話し手の内容を決められた時間内に要約して発表する。
自己表現力や傾聴力の向上の獲得となり,それが身近 にいるパートナーとの関係との改善に関係しているの かを,「パートナーとの会話頻度」,「パートナーとの会 話内容の変化」として尋ねた。 「パートナーとの会話の頻度」について「ほとんど行 わない(4点)」から「よく行う(4点)」の4段階のリッ カート尺度を用いた。またプログラム4回目に,「パー トナーとの会話内容の変化」の有無を質問した。 2 ) プログラムへの参加動機 プログラム初回で用いた。7項目あり,「とてもあて はまる(4点)」から「まったくあてはまらない」の4段 階リッカート尺度とした。 3 ) デモグラフィックデータ 調査項目は,母親の年齢,出産回数,産後日数,分 娩様式,他の運動プログラムの参加の有無の5項目で ある。 5.調査手順 本研究は,プログラム1回目終了後(プログラム初 回テスト),プログラム4回目終了後(プログラム4回 目テスト),プログラム終了後1か月の3時点での自己 記載により回答を求めた。プログラム初回テストでは, 1回目のプログラム終了直後に本研究の説明書,同意 書,質問紙を配布し,説明をした上でこれらの回答を 依頼し回収した。プログラム4回目テストは,4回目の プログラム終了直後に質問紙をプログラム実施会場で 研究者が配布し回収した。プログラム初回テスト,プ ログラム4回目テストとも,その場での回答が困難な 者に対しては返信用封筒を渡し,後日郵送するよう依 頼した。プログラム終了後1か月テストは,プログラ ム終了後1か月に質問紙を直接プログラム参加者に郵 送し,郵送回収とした。 6.分析方法 プログラムの評価尺度に関して,プログラム初回, プログラム4回目,終了後1か月の3時点での各尺度の 変化は,繰り返しのある一元配置分散分析を行った。 うつ状態である割合の差の分析にはχ2検定を行った。 統計ソフトSPSS version19.0を使用し,有意水準5% の両側検定とした。 7.倫理的配慮 プログラム参加者には事前にインストラクターを通 じて研究者がアンケートのお願いをすることを伝えて もらった。 研究対象者には,本研究の趣旨と内容,研究への協 力は自由意思であること,得られたデータは研究以外 には使用しないこと,特定の個人情報は遺漏しないよ うコード化し連結させ自宅への質問紙発送後には破棄 すること,論文公表後3年間はデータを保存しその後 破棄することを研究説明文に明記して渡すとともに口 頭でも説明した。本研究に取り組むにあたり聖路加看 護大学研究倫理審査委員会において承認を受けた(承 認番号11-021)。 また,質問紙では心の状態について問う尺度があり, 回答することで回答者自身が心の状態について不安を 抱くことが考えられる。その場合は,研究者が回答者 に相談窓口を紹介する旨を記載した。また相談窓口を 研究説明書に掲載し,回答者が誰でも閲覧し連絡でき るようにした。実際の調査会場では,不安を抱く場合 などあった場合には研究者にご相談いただく旨を口頭 でも伝えた。
Ⅲ.結 果
1.対象者の概要(図1,表2,図2参照) 図1に示すように,プログラム初回にプログラム参 加者136名をリクルートし,研究に同意の得られた 135名に質問紙を配布した。プログラム4回目までの 対象者は112名であった(有効回答率83.0%)。プログ ラム全課程4回のうち,すべてに出席したものは102名, 3回の出席は10名であった。プログラム4回目までの 脱落の理由は対象期間外,欠席,質問紙未回収,回答 不備であった。プログラム終了後1か月の郵送による 回収数は90名であった(回収率80.4%)。 表2に示すように,対象者112名の年齢の範囲は24 歳∼44歳で,平均年齢は33.4歳(SD=3.5)であった。 年齢別にみると,30∼34歳までが59人(52.7%),次 い で35∼40歳 が37人(33.0%)で あ っ た。 産 後 時 期 は,産後2か月,3か月,4か月それぞれの対象者の割 合は25%前後であり,2か月∼4か月の対象者が全体 の73.2%を占めた。分娩歴については,76人(67.9%) が初産婦,36人(32.1%)が経産婦であった。分娩様式 は経腟分娩が106人(94.6%)で,帝王切開は6人(5.4%) であった。運動プログラムへの参加は,初めての参加 が93人(83.0%),すでに参加経験のある対象者は19 人(17.0%)であった。その内容は「ヨガ」,「ピラティス」, 「アフタービクス」,「A団体のプログラムの参加が2回目以降」などであった。 図2に示すように,プログラム初回での「参加動機」 のうち,身体に関する項目は平均点3.5点以上であり ニーズとして高かった。「運動不足だから」3.8点(SD =0.42),「体型が気になっていた」3.7点(SD=0.57), 「体調を整えたかった」3.7点(SD=0.50)であった。 一方,社会とのかかわり,精神面に関するニーズは 低かった。「参加動機」のうち平均点3.5点未満の項目は, 「外出のきっかけが欲しかった」3.2点(SD=0.79),「友 達作りのきっかけになればと思った」3.2点(SD=0.66), 「体重が気になっていた」3.1点(SD=0.99),「気分が なんとなくすっきりしない」2.9点(SD=0.89)であった。 2.プログラムの評価尺度に対するベースライン特性 と,プログラム初回,プログラム4回目,終了後1 か月の継時的変化(表3参照) 1 ) 精神的健康「主観的幸福感尺度」 (1)ベースライン特性 「主観的幸福感尺度」の総合得点の得点範囲は27∼ 47点に分布し,最頻値は39点,平均点は37.7点(SD =4.1)であった。下位項目別の平均点で最も得点の高 かった項目は「人生に対する前向きの気持ち」10.7点 (SD=1.3)であった。以下「自信」9.2点(SD=1.3),「達 成感」9.0点(SD=1.3)「人生に対する失望感」(逆転項 目)8.8点(SD=1.6)の順となった。 産後時期別にみた総合得点は,産後2か月(n=30) は36.3点(SD=4.1),産後3か月(n=26)は38.4点(SD =3.6),産後4か月(n=26)は37.4点(SD=4.5),産 後5・6か月は38.3点(SD=4.3)であった。産後時期 別での総合得点に有意差はみられなかった。また,初 産婦,経産婦との間に総合得点の有意差はなかった。 プログラム参加者 136人 研究に同意を得られた 参加者135人 プログラム1回目 132人 プログラム初回テスト プログラム2回目 プログラム3回目 プログラム4回目 112人 90人 ・プログラム4回目欠席 14人 ・質問し未回収 4人 ・回答不備 2人 1週後 1週後 1週後 1か月後自宅へ郵送 プログラム4回目テスト 終了後1か月テスト 未回収 15人 対象期間外 3人 終了後1か月テスト 拒否 7人 図1 調査のフローチャート 表2 対象者の概要(n=112) n (%) 年齢 30歳未満 30∼34歳 35∼40歳 41歳以上 12 59 37 4 (10.7) (52.7) (33.0) ( 3.6) 産後時期 2か月 3か月 4か月 5か月 6か月 30 26 26 19 11 (26.8) (23.2) (23.2) (17.0) ( 9.8) 分娩歴 初産婦 経産婦 76 36 (67.9)(32.1) 分娩様式 経腟分娩 帝王切開 106 6 (94.6)( 5.4) 運動プログラム 初回参加 参加経験あり 93 19 (83.0)(17.0) 運動不足だから 体型が気になっていた 体調を整えたかった 体重が気になっていた 外出のきっかけが 欲しかった 気分がなんとなく すっきりしない 友達作りのきっかけに なればと思った まったく あてはまらない あてはまるとても 1 2 3 4 図2 プログラムへの参加動機(n=112)
(2)3時点の変化 総合得点は,プログラム初回37.7点(SD=4.1),プ ログラム4回目38.3点(SD=3.8),終了後1か月38.7点 (SD=4.3)となり,プログラム初回からプログラム4 回目,終了後1か月の調査時期毎に得点が上昇した(F (2,178)=6.6,p=.002)。多重比較の結果,プログラ ム初回よりプログラム4回目,プログラム初回より終 了後1か月で得点は有意に上昇し,幸福感は高まって いた。 「主観的幸福感尺度」の下位尺度について,「自信」と 「人生に対する失望感」(逆転項目)は3時点での有意な 得点変化が認められた。多重比較の結果,「自信」「人 生に対する失望感」(逆転項目)はプログラム初回より もプログラム終了後1か月で有意に得点は高くなって いた。「達成感」と「人生に対する前向の気持ち」につ いては,変化はみられなかった。 3 ) 精神的健康「EPDS」(日本版エジンバラ産後うつ 病自己評価票) (1)対象者全体の「EPDS」得点の継時的な変化 プログラム初回での「EPDS」得点は0∼21点に分布 していた。平均点は5.3点(SD=3.6),最頻値は4点で あった。 3時点の変化は,プログラム初回5.3点(SD=3.6 ), プログラム4回目3.2点(SD=3.1),終了後1か月3.5点 (SD=3.7)で得点変化に有意な差がみられた(F(178,2) = 27.7,p<.001)。多重比較を行った結果,プログラ ム初回よりプログラム4回目,プログラム初回より終 了後1か月で有意に得点は下降し,抑うつ度が軽減さ れていた。 (2)うつ状態(EPDS9点以上)であった者の推移(表4 参照) プログラム初回でうつ状態と判定された者は全体の 112名に対して23人(20.5%)であった。産後時期別で 表3 プログラム初回,プログラム4回目,終了後1か月の各尺度の継時的変化(n=90) 調査時期 F p プログラム初回
mean±SD プログラム4回目mean±SD 終了後1か月mean±SD
〈身体的健康増進〉 身体的不調 17.3 3.4 14.6 3.4 15.0 3.9 35.3 <0.001 疲れやすい 3.0 0.80 2.4 0.80 2.6 0.82 22.4 <0.001 肩がこる 3.4 0.85 2.9 0.88 3.1 0.93 16.3 <0.001 腰が痛い 2.9 1.0 2.4 1.0 2.5 0.93 13.6 <0.001 股関節が痛い 1.9 0.88 1.6 0.84 1.4 0.60 14.1 <0.001 尿漏れがある 1.8 0.94 1.5 0.67 1.7 0.87 11.1 <0.001 膝が痛い 2.2 1.1 2.0 1.0 2.0 1.0 3.1 0.046 頭痛がする 1.9 0.97 1.8 0.88 1.9 0.87 0.93 0.396 〈精神的健康増進〉 主観的幸福感尺度 37.7 4.1 38.3 3.8 38.7 4.3 6.6 0.002 自信 9.2 1.3 9.5 1.2 9.5 1.2 5.3 0.006 人生に対する失望感(逆転項目) 8.8 1.6 9.0 1.5 9.2 1.3 3.3 0.039 達成感 9.0 1.3 9.1 1.1 9.2 1.3 1.2 0.290 人生に対する前向きの気持ち 10.7 1.3 10.8 1.2 10.8 1.2 0.47 0.628 EPDS(日本版エジンバラ産後うつ病自己評価票) 5.3 3.6 3.2 3.1 3.5 3.7 27.7 <0.001 〈セルフケア能力の向上〉 セルフケアの実施頻度 2.7 0.85 3.0 0.67 3.1 0.70 12.1 <0.001 規則正しい生活の実施に対する自己評価 3.2 0.82 3.3 0.81 3.3 0.80 0.94 0.391 〈コミュニケーションスキルの向上〉 パートナーとの会話頻度 3.6 0.63 3.6 0.58 3.7 0.62 0.79 0.458 *:p<.05,**:p<.01,Bonferroniの多重比較 ** ** ** ** ** * ** ** ** ** * * ** ** ** ** ** ** * ** *
みると,産後2か月では30人中11人(36.7%)がうつ状 態であった。同様に産後3か月では26人中2人(7.6%), 産後4か月では26人中5人(19.2%),産後5および6か 月では30人中5人(16.7%)がうつ状態であった。 うつ状態の割合(表4)は,プログラム初回とプログ ラム4回目の2時点での回答者112名で分析すると,プ ログラム初回で23人(20.5%),プログラム4回目で11 人(9.8%)となり,有意に割合は減少していた(χ2(1) =5.0,p=.025)。プログラム初回,プログラム4回 目,終了後1か月の3時点での回答者90名で分析する と,うつ状態である回答者の割合は,プログラム初回 は18人(20.0%),プログラム4回目は8人(8.9%),終 了後1か月では7人(7.8%)となり,有意に割合は減少 していた(χ(2)=7.7,p=.022)。2 2 ) 身体的健康「身体的不調」 (1)ベースライン特性 「身体的不調」の総合得点の得点範囲は10∼27点に 分布し,平均点は17.3点(SD=3.4)であった。各項 目あたりの平均点は1.8∼3.4点と幅広かった。身体の 不調の各項目の上位であったものは「肩がこる」3.4点 (SD=0.85)「疲れやすい」3.0点(SD=0.80)で,これ らの項目の平均点は「とてもあてはまる(4点)」から「少 しあてはまる(3点)」に位置していた。反対に平均点 が「あまりあてはまらない(2点)」から「まったくあて はまらない(1点)」に位置していた項目は,「尿漏れが ある」1.8点(SD=0.94),「股関節が痛い」1.9点(SD= 0.88)であった。 産後時期別(2か月から6か月)での「身体的不調」の プログラム初回での総合得点の平均点は産後2か月(n =30)が17.8点(SD=3.1),産後3か月(n=26)が16.9 点(SD=3.0),産後4か月(n=26)が17.8点(SD=3.7), 産後5・6か月(n=30)が16.8点(SD=3.8)であった。 産後時期別での総合得点の有意差はみられなかった。 また,初産婦,経産婦との総合得点の有意差もなかっ た。 (2)3時点の変化 プログラム初回の総合得点は17.3点(SD=3.4),プ ログラム4回目は14.6点(SD=3.4),終了後1か月は 15.0点(SD=3.9)であり,得点変化に有意な差がみ られた(F(2,178)=35.3,p<.001)。多重比較の結果, プログラム初回よりプログラム4回目,プログラム初 回より終了後1か月で得点は有意に下降し,不調は改 善していた。 また,身体的不調の各項目については,「疲れやす い」(F(2,178)=22.4,p<.001),「肩がこる」(F(2,178) =16.3,p<.001),「腰 が 痛 い 」(F(2,178)=13.6,p <.001),「尿漏れがある」(F(2,178)=11.1,p<.001), 「股関節が痛い」(F(2,178)=14.1,p<.001),「膝が 痛い」(F(2,178)=3.1,p=.046)の6項目に得点の有 意な変化がみられた。多重比較の結果,「疲れやすい」, 「肩がこる」,「腰が痛い」,「股関節が痛い」はプログラ ム初回よりプログラム4回目,プログラム初回より終 了後1か月で症状は改善していた。「頭痛がある」につ いては,変化はみられなかった。 3 ) セルフケア能力の向上 (1)「セルフケア能力の獲得」(表3参照) プログラム初回での「セルフケアの実施頻度」の平 均点は2.7点(SD=0.85)であり,「たまに行う(3点)」 から「あまり行わない(2点)」に位置していた。 3時点での変化は,プログラム初回2.7点(SD=0.85), プログラム4回目3.0点(SD=0.67),終了後1か月3.1 点(SD=0.70)であり,有意に得点が上昇しており(F (2,178)=12.1,p<.001),継続的にセルフケアを行 うようになっていた。「規則正しい生活の実施に対す る自己評価」は得点の変化に有意差はなかった。 表4 調査時期別にみたうつ状態(EPDS9点以上)である推移 n プログラム 初回 プログラム4回目 終了後1か月 χ2 p n(%) n(%) n(%) 112* EPDS9点以上 23(20.5) 11( 9.8) ̶ 5.0 0.025 EPDS8点以下 89(79.5) 101(90.2) 90** EPDS9点以上 18(20.0) 8( 8.9) 7( 7.8) 7.7 0.022 EPDS8点以下 72(80.0) 82(91.9) 83(92.2) *:プログラム初回とプログラム4回目での質問紙に回答した対象者 **:プログラム初回とプログラム4回目と終了後1か月での質問紙に回答した対象者
4 ) 「コミュニケーションスキルの向上」 (1)「パートナーとの会話頻度」(表3参照) プログラム初回での「パートナーとの会話頻度」の 平均点は3.6点(SD=0.63)であり,「している(4点)」 から「少しはしている(3点)」に位置していた。3時点 での得点の変化に有意な差はみられず,プログラムに 参加したことによるパートナーとの会話頻度の変化は なかった。 (2)「パートナーとの会話内容」の変化 プログラム4回目で「パートナーとの会話内容に変 化があったのか」について,「あった」と答えた対象者 84人(75.7%)はプログラムに参加したことでパート ナーとの会話内容に変化を感じていた。変化の内容を 複数回答として尋ねたところ,「思いやりの気持ちを 持って話すことがあった」49人(58.3%),「会話する内 容が広がった」43人(51.2%),「会話の時間が増えた」 28人(33.3%)の順となった。
Ⅳ.考 察
1.プログラムの評価 1 ) 精神的健康 精神的健康の変化として主観的幸福感は,調査時期 毎に得点が上昇し,EPDSはプログラム4回目,終了 後1か月でプログラム初回よりも得点は下降し,抑う つ度は軽減され終了後1か月まで持続していた。 Norman, Sherburn, Osborne, et al.(2010)の行った RCTでは,有酸素運動と教育セッションのプログラム に参加した産後の女性には,育児情報を手紙で受ける 対照群に比べ精神的健康に向上がみられた。プログ ラム終了直後にはpositive moodの指標であるPositive Affect Balance Scaleの得点が上昇し,negative mood の指標であるEPDSは下降し,それはプログラム終 了後4週まで持続していた。本研究のプログラムも positive moodの指標である主観的幸福感の得点は上昇 し,negative moodであるEPDSは下降しており,精神 的健康増進に寄与していることはNorman, Sherburn, Osborne, et al.(2010)と同様の結果であった。 以上よりプログラムに参加したことが精神的健康増 進に寄与していることがわかった。しかし有酸素運動 だけではなく本研究のプログラムの内容であるコミュ ニケーションスキル向上のためのワークも精神的健康 増進に寄与しているものと思われる。澤田(2006)の 研究では,夫との会話時間の長いことが母親の主観的 幸福感を高めるのではなく,母親は夫と会話をするこ とで夫からのサポートとして感じるようになり,その 結果夫婦関係を肯定的に捉え,主観的幸福感の向上 に影響していた。本研究では夫婦の会話時間をパー トナーとの会話頻度として問うたが,プログラム初 回,プログラム4回目,終了後1か月を通してその頻 度に変化はなかった。しかし,プログラム4回目では 75.7%の者がパートナーとの会話内容の変化を感じて いた。本研究でのプログラムの内容であるコミュニ ケーションスキル向上のためのワークは,与えられた テーマついて自分自身のことを語ったり,話を聞いた りする内容である。そのテーマの1つにパートナーシ ップがある。パートナーシップについて語ることをき っかけに夫婦関係についての新たな認識を持つように なり,その結果会話の内容が変化し,充実したものと なっていったと考えられる。パートナーとの会話が充 実することで,夫からのサポートを感じるようになり, 結果夫婦関係を肯定的な認識として捉えるようになり, プログラム初回,プログラム4回目,終了後1か月を 通して主観的幸福感(精神的健康)が向上したことに 関与している可能性があるのだろう。 2 ) うつ状態(EPDS9点以上)の母親に対するプログ ラムの評価 プログラム初回にうつ状態(EPDS9点以上)であっ た割合は全体の112名に対して23人(20.5%)であり, 健やか健康21の中間報告の産後120日以内のEPDS9 点以上の割合である10.3%よりも多かった。また,産 後時期別でのうつ状態である割合は,産後2か月で 36.7%,産後3か月で7.6%,産後4か月で19.2%,産 後5および6か月で16.7%であった。うつ状態である 母親の割合は産後1か月が13.5%,産後2か月が11.5%, 産後3か月が9.0%(鈴宮・山下・吉田,2004)と月齢を 追うごとに自然に減少する。本研究の対象者の特性と して産後時期別にみたうつ状態の割合はプログラム初 回では必ずしも月齢を追うごとに割合は減少しておら ずばらつきがあった。 本研究で使用したうつ状態のスクリーニング尺度 であるEPDSのカットオフポイントは国により異な る。日本と同じアジア圏である台湾のカットオフポイ ントは10点と日本の9点と近い。産後うつ状態である 台湾女性を対象とした3か月間の少人数(4∼6人)の グループでの運動プログラムの介入によるRCT(Heh, Huang, Ho, et al., 2008)では,プログラム会場で有酸 素運動を45分間週1回行い,その他自宅でも週2回のエクササイズを行った。プログラム終了後介入群は, うつ状態である者の割合は低下していた。本研究で もうつ状態である者の割合はプログラム初回の23人 からプログラム4回目の11人と約半数に減少していた。 本研究でのうつ状態の割合が低下した要因として,有 酸素運動を行うことも含めコミュニケーションスキル 向上のためのワーク,プログラムに参加するための週 1回の外出,プログラム会場に集まり他の母親との会 話といったこともうつ状態の改善に寄与していると言 えるだろう。 3 ) 身体的健康 身体の不調の内容としては,肩こり,身体のつかれ, 腰痛(浜脇・藤丸,2009),があげられており,本研究 においても特に「肩がこる」,「腰痛がある」といったこ とを多くの人が感じていた。本研究での対象となっ たA団体の有酸素運動はバランスボールを用いて主に 座位で弾む運動を行っている。成人男性を対象とした バランスボールを使ったトレーニングで週4回の頻度 で3週にわたる研究(扇谷,2010)では,姿勢の改善や 平衡機能の保持にはたらき,トレーニング終了3週後 まで効果は持続していた。本研究とは運動頻度の違い, 対象者の違いがあるため結果の比較は難しいが,本研 究での身体の不調であった「肩がこる」,「腰痛がある」 の症状は,扇谷(2010)の結果と同様にバランスボー ルエクササイズによる姿勢の改善や平衡機能の保持の 向上の結果改善され,プログラム終了後1か月まで効 果は持続していたことが示唆された。 2.助産実践への提言 助産師が企画する出産前プログラムとして,病産院 での母親,両親学級が開催されている。しかし,出産 後は,子育て教室や栄養指導など子どもを対象とした プログラムは開催されているが,母親自身にターゲッ トをあてたプログラムは少ない。助産師基礎教育テキ スト(前原,2009;佐々木,2009)をみても,出産前教 育についての記載は14ページにわたり紹介されてい るが,出産後の母親自身を対象とした教室の記載はみ られない。これらより,助産師の認識として出産後プ ログラムは出産前に比べ高くないものと思われる。精 神的,身体的な不調を訴える母親に対して,出産前, 分娩時の関わりだけでなく,出産後を見据えた助産師 の関わりが重要である。本研究ではプログラムに参加 した母親たちがインストラクターとして活躍する出産 後プログラムの有用性が示された。本研究は,出産後 プログラムを出産後支援の1つとして認識を持ち,か つ他職種の連携を見据えた上での出産後支援の在り方 を助産師が認識することの一助となるのではないかと 考える。 3.本研究の限界と今後の課題 本研究は対照群を置かないプログラム評価であるた め,プログラムに参加しない対照群をおいた比較研究 が必要である。 質問の内容として,日常生活における運動量や身体 活動量については問わなかった。精神的,身体的健康 との関連性をみるために次の研究で必要となる項目で ある。 今回評価に使用したものは質問紙によるものだけで あった。プログラムの更なる質の向上のために,フ ォーカスグループを取り入れた質的な評価法も取り入 れプログラム参加者のニーズにあったプログラムにな るようにしていくことが今後の課題である。
Ⅴ.結 論
出産後プログラムに参加した産後2か月から6か月 の母親は,身体の不調が改善し身体的健康増進が図ら れた。また幸福感が高まり,抑うつ度は軽減され,精 神的健康増進が図られた。その効果はプログラム終了 後1か月まで持続していた。また,うつ状態である割 合は有意に低下していた。今後の課題として対照群を おいたプログラムの評価が必要である。 謝 辞 本研究を行うにあたり,快く承諾くださいました NPO法人マドレボニータの代表吉岡マコさん,事務 局の吉田紫磨子さんをはじめとした産後セルフケアイ ンストラクターの皆様に,ご協力くださったお母様方 に深く感謝いたします。 本研究は,2011年度聖路加看護大学大学院修士論文 の一部を加筆,訂正したものでる。なお,本研究の一 部は第30回東京母性衛生学会において発表した。また, 科学研究費補助金(基盤B 23390511 研究代表者堀内 成子)の助成を受けたものである。 文 献Buist, E.A., Austin, V.M., Hayes, A.B., Speelman, C., Bilszta, J., Gemmill, W.A., et al. (2008). Postnatal mental health
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