1 1
自閉症スペクトラムが
自閉症スペクトラムが
アレキシサイミア傾向に
アレキシサイミア傾向に
与える影響
与える影響
後藤和史
後藤和史
(愛知みずほ大学人間科学部)
(愛知みずほ大学人間科学部)
一般研究発表 一般研究発表一般研究発表一般研究発表 1EV0611EV0611EV0611EV061
キーワード
2 2
問題①
問題①
近年,アスペルガー障害を含む自閉症スペク
近年,アスペルガー障害を含む自閉症スペク
トラムとアレキシサイミアとの間には概念的な
トラムとアレキシサイミアとの間には概念的な
オーバーラップがあることが議論されている。
オーバーラップがあることが議論されている。
Fitzgerald & Bellgrove (2006)
Fitzgerald & Bellgrove (2006)
福島・高須
3 3
問題②
問題②
身体疾患からみた類似性
身体疾患からみた類似性
1. 1.アレキシサイミアと「心身症」
アレキシサイミアと「心身症」
Marty et al. (1963)Marty et al. (1963) ““penspenséée ope opéératoireratoire”” 「機械的思考」「機械的思考」
アレキシサイミアの先駆概念。心身症患者に特有の思考形式
アレキシサイミアの先駆概念。心身症患者に特有の思考形式
Nemiah & Sifneos(1970)
Nemiah & Sifneos(1970),,Sifneos(1973)Sifneos(1973)などなど
「心身症」患者にアレキシサイミア的特徴がある。
「心身症」患者にアレキシサイミア的特徴がある。
2.
2.
自閉症スペクトラム障害と消化器系症状
自閉症スペクトラム障害と消化器系症状
・
・
障害
障害
Horvath et al.(1999), Chandler et al.(2013)Horvath et al.(1999), Chandler et al.(2013)などなど
自閉症スペクトラム障害をもつ子どもに胃腸症状が多い。 自閉症スペクトラム障害をもつ子どもに胃腸症状が多い。 「心身症」と分類される/されてきた 「心身症」と分類される/されてきた障害障害(逆流性食道炎など)もあ(逆流性食道炎など)もあ る。 る。 もしかすると もしかするともしかすると
もしかすると,,,Nemiah,NemiahNemiahNemiahややSifneosややSifneosSifneosSifneosがががが臨床報告臨床報告臨床報告臨床報告 したような したようなしたような したようなアレキシサイミアアレキシサイミアアレキシサイミア的印象アレキシサイミア的印象的印象的印象はは,はは,,,今今今今でででで いう いういう いう自閉症自閉症自閉症自閉症スペクトラムスペクトラムスペクトラムだったのではスペクトラムだったのではだったのではだったのでは????
4 4
本研究の目的
本研究の目的
自閉症スペクトラムがアレキシサイミア傾向
自閉症スペクトラムがアレキシサイミア傾向
に与える影響を検討する
に与える影響を検討する
。
。
5 5
方法
方法
1. 1.参加者
参加者
大学生 大学生160160名(男性名(男性5252名,女性名,女性108108名)名) 2. 2.質問紙構成
質問紙構成
1. 1. アレキシサイミア傾向アレキシサイミア傾向Gotow Alexithymia Questionnaire (GALEX;
Gotow Alexithymia Questionnaire (GALEX; 後藤ら後藤ら, 1999), 1999)
2. 2. 自閉症スペクトラム自閉症スペクトラム AQ日本語版 AQ日本語版((若林若林, 2003; , 2003; 若林ら若林ら, 2004), 2004) 3. 3.
調査手続き
調査手続き
講義中に質問紙を配布,簡単な質問紙の説明をし,同 講義中に質問紙を配布,簡単な質問紙の説明をし,同 意を得た上で回答を 意を得た上で回答を指示指示,講義終了時に回収した。,講義終了時に回収した。6 6
結果①
結果①
指標の処理
指標の処理
それぞれの質問紙をオリジナルにしたがって合
それぞれの質問紙をオリジナルにしたがって合
計点を算出した。
計点を算出した。
相関分析
相関分析
アレキシサイミア傾向とAQの下位概念間の関連
アレキシサイミア傾向とAQの下位概念間の関連
を検討するために相関係数を算出した。
を検討するために相関係数を算出した。
7 7
アレキシサイミア傾向とAQとの相関
アレキシサイミア傾向とAQとの相関
.000 .538 .003 .299 .178 .455 p .395 .395.395 .395 .052 -.247 -.087 .112 .063 空想内省 困難 .305 .000 .016 .000 .001 .000 p .086 .480 .480 .480 .480 .200 .466 .466 .466 .466 .285 .480 .480 .480 .480 感情認識 言語化困難 想像力 (の問題) コミュニ ケーション (の問題) 細部への 注意 注意の 切り替え (の問題) 社会的 スキル (の問題) 自閉症 スペクトラム8 8
アレキシサイミア傾向とAQとの相関
アレキシサイミア傾向とAQとの相関
.000 .538 .003 .299 .178 .455 p .395 .395.395 .395 .052 -.247 -.087 .112 .063 空想内省 困難 .305 .000 .016 .000 .001 .000 p .086 .480 .480 .480 .480 .200 .466 .466 .466 .466 .285 .480 .480 .480 .480 感情認識 言語化困難 想像力 (の問題) コミュニ ケーション (の問題) 細部への 注意 注意の 切り替え (の問題) 社会的 スキル (の問題) 自閉症 スペクトラム 中程度 中程度中程度 中程度のののの 正 正正 正のののの相関相関相関相関 弱 弱 弱 弱~~~~中程度中程度中程度の中程度ののの 正 正 正 正のののの相関相関相関相関9 9
結果②
結果②
構造方程式モデリング
構造方程式モデリング
AQがアレキシサイミア傾向に与える影響を検討
AQがアレキシサイミア傾向に与える影響を検討
するために,構造方程式モデリングを用いて分析
するために,構造方程式モデリングを用いて分析
を行った。
を行った。
【 【 【 【 【 【 【 【検討検討検討検討モデル検討モデル検討検討検討モデルモデルモデルモデルモデルモデル】】】】】】】】 モデル① モデル① AQ因子を推定AQ因子を推定 モデル② モデル② AQ因子の等値制約AQ因子の等値制約 モデル③ モデル③ AQ因子の独自因子間相関の探索的検討AQ因子の独自因子間相関の探索的検討 モデル④ モデル④ 独自因子間相関の因子化(最終モデル)独自因子間相関の因子化(最終モデル)10 10
モ
デ
ル
①
モ
デ
ル
①
A
Q
因
子
A
Q
因
子
空想内省 感情言語 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 e1 .72 注意の切り 替え の問題 e2 .7 5 細部への注意 e3 .00 コミュニケーション の問題 e4 .83 想像力 の問題 e5 .3 6 .53 .1 1 e7 e6 - .2711 11
モ
デ
ル
①
モ
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①
A
Q
因
子
A
Q
因
子
空想内省 感情言語 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 e1 .72 注意の切り 替え の問題 e2 .7 5 細部への注意 e3 .00 コミュニケーション の問題 e4 .83 想像力 の問題 e5 .3 6 .53 .1 1 e7 e6 - .27 パス パスパス パス係数係数係数係数がほぼがほぼがほぼがほぼ0000 ↓ ↓ ↓ ↓ 当該因子 当該因子 当該因子 当該因子のののの 概念的妥当性 概念的妥当性概念的妥当性 概念的妥当性ががが不十分が不十分不十分不十分 RMSEA=.15112 12 空想内省 感情言語 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 e1 .53 注意の切り 替え の問題 e2 .6 2 細部への注意 e3 .48 コミュニケーション の問題 e4 .64 想像力 の問題 e5 .5 8 .57 .1 2 e7 e6 - .30
モ
デ
ル
②
モ
デ
ル
②
等
値
制
約
等
値
制
約
RMSEA=.221 空想内省 感情言語 0, 1 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 0, e1 a 1 注意の切り替え の問題 0, e2 a 1 コミュニケーション の問題 0, e3 a 1 細部 への注意 0, e4 a 1 想像力 の問題 0, e 5 a 1 0, e7 1 0, e6 1 ここのパスを等値制約13 13 空想内省 感情言語 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 e1 .53 注意の切り 替え の問題 e2 .6 2 細部への注意 e3 .48 コミュニケーション の問題 e4 .64 想像力 の問題 e5 .5 8 .57 .1 2 e7 e6 - .30
モ
デ
ル
②
モ
デ
ル
②
等
値
制
約
等
値
制
約
概念的妥当性 概念的妥当性 概念的妥当性 概念的妥当性にににに添添添添うううう形形形形でででで パス パスパス パス係数係数係数係数ははは改善は改善改善改善したがしたがしたが,したが,,, 適合度指標 適合度指標 適合度指標 適合度指標ががが低が低低低すぎるすぎるすぎるすぎる RMSEA=.221 空想内省 感情言語 0, 1 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 0, e1 a 1 注意の切り替え の問題 0, e2 a 1 コミュニケーション の問題 0, e3 a 1 細部 への注意 0, e4 a 1 想像力 の問題 0, e 5 a 1 0, e7 1 0, e6 1 ここの ここのここの ここのパスパスパスパスをををを等値制約等値制約等値制約等値制約14 14
モ
デ
ル
③
モ
デ
ル
③
独
自
因
子
間
相
関
独
自
因
子
間
相
関
空想内省 感情言語 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 e1 .26 注意の切り 替え の問題 e2 .31 コミュニケーション の問題 e3 .3 2 細部 への注意 e4 .29 想像力 の問題 e5 .33 .86 .2 2 e7 e6 -.7 2 .49 .52 .5 2 空想内省 感情言語 0, 1 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 0 , e 1 a 1 注意の切り替え の問題 0, e 2 a 1 コミュニケーション の問題 0, e 3 a 1 細部 への注意 0 , e 4 a 1 想像力 の問題 0, e 5 a 1 0 , e 7 1 0 , e 6 1 BIC, RMSEAが 最低値のモデル 検討モデル 探索的 探索的 探索的 探索的 モデル モデルモデル モデル 特定化 特定化 特定化 特定化15 15
モ
デ
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③
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デ
ル
③
独
自
因
子
間
相
関
独
自
因
子
間
相
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空想内省 感情言語 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 e1 .26 注意の切り 替え の問題 e2 .31 コミュニケーション の問題 e3 .3 2 細部 への注意 e4 .29 想像力 の問題 e5 .33 .86 .2 2 e7 e6 -.7 2 .49 .52 .5 2 空想内省 感情言語 0, 1 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 0 , e 1 a 1 注意の切り替え の問題 0, e 2 a 1 コミュニケーション の問題 0, e 3 a 1 細部 への注意 0 , e 4 a 1 想像力 の問題 0, e 5 a 1 0 , e 7 1 0 , e 6 1 BIC, RMSEAが 最低値のモデル 検討モデル 探索的 探索的 探索的 探索的 モデル モデルモデル モデル 特定化 特定化 特定化 特定化 「 「 「 「コミュニケーションコミュニケーションコミュニケーション不安コミュニケーション不安不安不安」」」」としてとしてとしてとして 因子化 因子化 因子化 因子化できるできるできるできる可能性可能性可能性可能性 RMSEA=0.17416 16
モ
デ
ル
④
(
最
終
モ
デ
ル
)
モ
デ
ル
④
(
最
終
モ
デ
ル
)
自閉症 スペクトラム コミュニケーション の問題 e4 .39 注意 の切り替え の問題 e3 .38 想像力 の問題 e2 .46 細部 への注意 e1 .33 社会的 スキル の問題 e5 .33 感情認識 言語化困難 .33 空想内省 困難 コミュニケーション 不安 .74 .74 .56 e6 e7 -.50 -.43 .60 .50 ※考察には影響しませんが,抄録と一部モデルが異なります17 17
モ
デ
ル
④
(
最
終
モ
デ
ル
)
モ
デ
ル
④
(
最
終
モ
デ
ル
)
自閉症 スペクトラム コミュニケーション の問題 e4 .39 注意 の切り替え の問題 e3 .38 想像力 の問題 e2 .46 細部 への注意 e1 .33 社会的 スキル の問題 e5 .33 感情認識 言語化困難 .33 空想内省 困難 コミュニケーション 不安 .74 .74 .56 e6 e7 -.50 -.43 .60 .50 ※考察には影響しませんが,抄録と一部モデルが異なります 自閉症 自閉症 自閉症 自閉症スペクトラムスペクトラムスペクトラムスペクトラムがががが アレキシサイミア アレキシサイミア アレキシサイミア アレキシサイミア傾向傾向傾向傾向ののの2の22側面2側面側面側面にににに 対 対 対 対してしてして正して正正正のののの影響影響を影響影響ををを与与与えている与えているえているえている RMSEA=0.18418 18 自閉症 ス ペクトラム コミュニケーション 不安 -1 -0.5 0 0.5 1 -1 -0.5 0 0.5 1 空想内省 困難 感 情 認 識 言 語 化 困 難
ア
レ
キ
シ
サ
イ
ミ
ア
空
間
布
置
ア
レ
キ
シ
サ
イ
ミ
ア
空
間
布
置
アレキシサイミア (ヒステリー)神経症 体験化症状 マインドフルネス?19 19
考察①
考察①
自閉症スペクトラムはアレキシサイミア傾向の2側
自閉症スペクトラムはアレキシサイミア傾向の2側
面に対して正の影響を与えていることが見出された。
面に対して正の影響を与えていることが見出された。
これは相関分析から示唆される単純な下位概念間
これは相関分析から示唆される単純な下位概念間
のオーバーラップのみならず,自閉症スペクトラム
のオーバーラップのみならず,自閉症スペクトラム
がアレキシサイミアの背景にあることを示唆している。
がアレキシサイミアの背景にあることを示唆している。
身体疾患の臨床報告・研究から示唆される「アレキシサイ 身体疾患の臨床報告・研究から示唆される「アレキシサイ ミア≒自閉症スペクトラム」仮説を支持する結果。 ミア≒自閉症スペクトラム」仮説を支持する結果。 自閉症 スペクトラム コミュニケーション の問題 e4 .3 9 注意 の切り替え の問題 e3 .3 8 想像力 の問題 e2 .4 6 細部 への注意 e1 .3 3 社会的 スキル の問題 e5 .3 3 感情認識 言語化困難 .33 空想内省 困難 コミュニケーション 不安 .74 .7 4 .5 6 e6 e7 - .50 -.4 3 .60 .5020 20
考察②
考察②
アレキシサイミア空間上では, アレキシサイミア空間上では, 自閉症スペクトラムは,第 自閉症スペクトラムは,第11象限(右上)象限(右上) 「コミュニケーション不安」は,第 「コミュニケーション不安」は,第44象限(右下)象限(右下) … …に布置される。に布置される。 これは,AQ質問紙が自閉症スペクトラムを測定するとともに, これは,AQ質問紙が自閉症スペクトラムを測定するとともに, コミュニケーション不安に代表される対人恐怖・社交不安障 コミュニケーション不安に代表される対人恐怖・社交不安障 害的な側面を捉えている可能性を示唆している。 害的な側面を捉えている可能性を示唆している。 若林 若林(2004)(2004)では,健常/障害間の弁別的妥当性は検討されているが,では,健常/障害間の弁別的妥当性は検討されているが, 障害/障害間の弁別的妥当性は検討されていない。 障害/障害間の弁別的妥当性は検討されていない。 本研究の最終モデルのようなAQ質問紙のモデル化が解決の糸口に 本研究の最終モデルのようなAQ質問紙のモデル化が解決の糸口に なるかもしれない。 なるかもしれない。 自閉症 ス ペクトラム コミュニケーション 不安 -1 -0.5 0 0.5 1 -1 -0.5 0 0.5 1 空想内省 困難 感 情 認 識 言 語 化 困 難21 21
考察③
考察③
AQの因子構造 AQの因子構造についてについて Hoekstra et al.(2008) Hoekstra et al.(2008) →→ AQの因子分析的検討AQの因子分析的検討 Hoekstra et al.(20 Hoekstra et al.(201111)) →→ AQ短縮版の作成AQ短縮版の作成 「細部への注意」が他の4側面とは独立していること 「細部への注意」が他の4側面とは独立していることがが示唆示唆され,され, 「細「細 部への注意」 部への注意」単独で因子を構成するようにモデル化。単独で因子を構成するようにモデル化。 本研究のモデル①と類似した結果 本研究のモデル①と類似した結果 本研究ではAQの1次元性を維持しつつ,各側面が均等に影 本研究ではAQの1次元性を維持しつつ,各側面が均等に影 響するように,等値制約を用いてモデル化を行い,妥当な結 響するように,等値制約を用いてモデル化を行い,妥当な結 果が得られたが,他の場合でも同様の処理が必要かはわか 果が得られたが,他の場合でも同様の処理が必要かはわか らない。 らない。 さらなる研究の必要性 さらなる研究の必要性 自 閉ス ペ 社会的 スキル の問題 e1 .72 注意の切り 替え の問題 e2 .75 細部への注意 e3 .00 コミュニケーション の問題 e4 .8 3 想像力 の問題 e5 .3 622
22
図 Hoekstra (2008)のAQ因子構造
【参考】
23 23
以上です
以上です
ご清聴ありがとうございました
ご清聴ありがとうございました
24 24
等値制約をしないと
等値制約をしないと
…
…
モデル①
モデル①
´
´
「AQ」因子の概念的妥当性が 疑わしいのは変わらない。25 25