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句の中核部を形成するハワイ語の機能語 : ‘anaと方向詞を中心に

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Academic year: 2021

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審査の結果の要旨

氏名 岩﨑 加奈絵 本論文は、19 世紀から 20 世紀初頭にかけての、まだ自然継承がおこなわれていた時期のハワ イ語(「自然継承期ハワイ語」)における、いずれも文の中核部に含まれる ‘ana および方向詞の働 きについて考察したものである。 第1章では、ハワイ語の先行研究を紹介しつつ、19 世紀から 20 世紀初頭にかけての記録資料 をデータとする理由が述べられる。

第2章では、ハワイ語の概要・系統などが紹介された後に、小辞 ‘ana および方向詞 aku, mai, a‘e, iho が現れる内容語句(動詞句、名詞句、‘ana 句)の内部構造について詳細な検討がおこな われる。そのなかで、特に ‘ana の分析にとって重要な、「動詞」や「名詞」といった語彙的カテゴリ の妥当性が議論され、本論文の立場として、「動詞」や「名詞」は語彙的なカテゴリとしては設定で きず、統語的カテゴリとしてのみ有効であることが示される。 第3章では、ハワイ語の文法研究の変遷を辿りつつ、ハワイ語の記述研究が抱える問題が指摘 される。 第4章では、分析の準備に関する最後の章として、本論文が対象とした主要データ5編、補足デ ータ2編の文献が紹介された後、それらをコーパス化する手順、さらにコンコーダンスを作成する手 順、分析のために用例にラベルを付す手順などが紹介される。 第5章は本論文の中核をなす。句に現れる機能語が整理された後、‘ana が現れる条件が、共 起する機能語や内容語の偏りを手掛かりに、コーパス化された全てのデータを使って検討される。 その結果、‘ana の出現を、共起する機能語や内容語から予測することが不可能であること、ただし、 祈祷文では ‘ana の出現数が著しく低いことが主張される。本章後半は方向詞の分析に当てられ る。その結果、従来方向詞について判明している特徴に加えて、書き手が聞き手を具体的に意識 している場合に方向詞の使用が促進される可能性が明らかにされる。 第6章では、本論文で対象とした自然継承期ハワイ語と、本論文で扱わなかった現代ハワイ語と を比較しつつ、威信変種である英語が現代ハワイ語の規範形成に影響を与えている可能性が検 討される。第7章では、本論文の結論と今後の課題が示される。 従来より定説とされてきた ‘ana や方向詞の説明の不備を発見し、膨大なデータを丁寧に観察・ 分析した本論文は、自然な継承が終焉を迎える直前のハワイ語の混沌とした状況を活き活きと描 写する。特に ‘ana については、名詞化辞とする従来の記述を書き換えた点で、重要な貢献であり、 高く評価されるべきである。しかし一方で、先行研究への対案を提示しようとした本論文の企ては、 著者も認めるように、一部が達成されないまま残されている。また、議論の前提となる「中核部」の定 義にも改良の余地が見られる。しかし、提示された議論は具体的で説得力があり、これまでのハワ イ語の記述に再検討を強く迫るものである。 以上の理由により、審査委員会は、本論文が博士(文学)の学位を授与するに十分値するものと 判断する。

参照

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