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ウリ類の雌花分化に関する研究 II 西洋カボチャ, スイカにおける温度反応について-香川大学学術情報リポジトリ

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彿21巻 通巻第48弓(1970) 23

ウリ類の雌花分化に関する研究

Ⅱ 西洋カボチャ、スイカに.おける温度反応について

倉 田 久 男 クリ類は,雌性化のために多くの種類,品種で多少にかかわらず短日とか低温の影響を受けており,日本カボチャに ついては日長の反応する時期(photoperiodicinductionを中心として),短日の回数,明期または暗期の時間,反応K・ 必要な最低菜面積(苗の大きさ)などについで第1報で報苦した(7)。しかし,温度については短日反応のような誘起的で ほないし,これらの作物がた、だ雌花節紋を下げるとか,雌花数を多ぐすることだけが栽培の目的にはならないことか ら,生育や結実,収穫物の品質などからみて望ましい結実節位を考え,それにもってこゆく能率的な管理作兼体系を前提 として,温度と雌花分化との関係をあき・らかにすることを基盤に.おく必要がある小 多くのクリ類の雌花分化紅は温度と日長の両方の影響を受けている場合が多い”しかし春の栽培,とく紅早熟栽培で ほ幼宙期に.短日の誘起的働きを自然のうちに.受けているので,日長的紅は充足されている場合が大部分であるり 従っ て,あとは温度反応だけを考えて管理すればよい.とく紅日長反応より温度反応が強くあらわれる種類,品種で鱒当然 である. その意味で,雌花分化に温度反応を強くうけ易い作物のうち,比較的早く雌花分化の必黎な西洋カボチャと比較的お そ・く雌花分化してさしつかえないスイカを用い,上述の栽培管理の能率化を基盤において雌花分化に及ばす温度の働き 方を分析した。そのために.は花の分化,発簡stageを解剖調査して,温度環境の変化によって−動く節他の関係を,その 面から捕えることが基礎的条件として必要なことは当然と考える一. Ⅰ 材料および方法 西洋カボチャは品種,芳香または赤皮甘栗を用い,温床に設定した高温区(目標最高温度300C,最低温度14∼160C), 低温区(目標最高温度20∼250C,最低温度8∼120C)に.時期別に.移動した… スイカは品種富久光を用い,均一桑件で育苗した本葉3.5∼4枚展開した箇を定植した後,135Cmポリエチレンの†ソネ ルを密閉した高温区(晴天の日中,最高気温50∼520C)からトンネルの裾を開放した低温区(日中25∼300C)紅時期別 に変えた. 西洋カボチャ,スイカとも紅苗の発育段階別および温度転換時における花の分化,発育状況を解剖調査し,つるが仲 良してから調査した雌花節泣から推察して,温度変化紅よって雌性化される花の分化,発育stageとの関係,酋の大き さと影響される節泣との関係などについて,共通的基礎条件をあきらかにするようにつとめた… 多くの場合1区10本とし,2∼3年反覆調査したが,同一傾向を確認できたので代表的1カ年の成績を示した一 別に,西洋カボチャについて日長反応(短日8時間,長日16時間になるよう遮光,竃燈照明で設定した)についても 比較した。. Ⅱ 実 験 結 果 A 西洋カボチャについて (1)温度と日長の組合せについて(1957) 木葉1枚展開苗から温度の異なる条件で短日と長日条件を与え,親づる第1雌花の動きをみ.ると籍1表の通りで ある〃 算1雌花に対する影響ほ,日長の働きほ温度の働きより小さい,即ち,日長両区の差は比較的低温で第1雌花節位が 11前後の場合には認められず,第1雌花が12∼14節の頃5%レベルで認められ,それより高温でほまた認められないu しかし温度の場合は,3.70Cの差でも日長両区とも差が明瞭であり,とくに最低気温が200C以上の場合ほ最低気温が10 ∼1370Cの場合より平均10節以上高くなり,館1雌花が20節以下に.ついたものはなかった.

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香川大学農学部学術報告 (1957) 24 籍1表 芳香甘栗の育商環境と雌花のつき方 a:b,e:fは差は認めない。a:C,C:dの差は5%L/ペルで,b:d,C‥e,d‥fの差ほ1%レベルで有意 (2)高温から低温匿移した場合について(1955) 2月9日発芽した赤皮甘栗について,始め高温におき順次低温に移し,その時の花の分化状況を記録した(算2未). 高温,低温区の最高,最低気温ほ第1図の通りであった.4月13日定植して発育した親づるの雌花の着生状況(寛3表, 籍2図)をみると,雌花のつき始める節位は温度魔換時期の早晩と−・致しているが,つき始めて以降の雌花密皮(算4 表)は,温度転換時期がおそく温度が暖かくなったE区を除き,あきらかな差は認められない.雌花のつき始めた節位 を温度転換時の花の分化・発育状況と比べると,C区の9∼10節(平均ほ10‖8),D区の11∼12節(平均ほ12.9)は温度 転換時紅花のpI−imof′diaよりやや進んだガタの初年∼形成段階,花ペン初ヰ前の節泣に相当していたことがあきらかで ある… 第2表 温度転換時紅おける調査(親づる) 花の分化・発育 ・・・∴油川1h  ̄一 二_て 20 0.0築 0い2 2.1 3ハ7 5−0 ⊥節 度 3∼4 10 10 13∼14 2月15日 2月25日 3月2日 3月24日 館1図 処理期間中の温度(実線高温区,点線適温区■) 節位別雌花のつき方(親づる) 表 9 3 第 8 l\

7完44

一 丁 6 仙 8

10 1112 13 14 15 16 17 18 19 201年均

41 50 58 50 17 67 34 33 44 11 22 22 23 − 50 83 67 83 17 17 17 38 13 38 50 25 0 13 14 0 0 56 14 14 0 7 3 .4 5 6 3 ?U 2 0 3 0 5 5 3 FU 2 7 3 9 3 6 3 6 1 3 2 4 3 2 3 3 1 7 3 1 1 8 2 5 2 A B C D E 3.219.4 51り622い6 3。2 50小0 12.525.012‖5 16..716“7 33。3 33.3 12.537.512い525.012り5 8.0 8.5 10.8 12.9 17.7 仙雌花節付% 22節 14.3 42.914い314。3143

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籍21巻 通巻第4蛸(1970) 25 発4表 雌花数,雌花密度 雌花間節数 20節まで雌花数 1 分 布】平 均 i茎.一ニー 、 − − − − − 、 均 9 2 8 ウ︼ 5 0 2 0 2 4 A 1 4{′10 6日8 4.0 5り4 2り4 10 寛2図 高温より低温に.移した場合の雌花のつき方 (3)薗の発育と葉,花の分化節 位 比較的高温下で生育した蔑に. ついて大きさを本葉展開枚数で あらわした場合,濁の発育と 葉,花の分化最上位との関係は 辣3図のようになったこの関 係から(2)の実験に.よって温度転 換に.より動く節泣をあてほめる と,望ましい雌花節位を得るた めの温度転換時期を決定するこ とができる.. (4)定植後の温度の影響につい て(1955) 雌花のよくついた本葉4枚曲 を定植した後,高温に.おいた場 合(最高平均30.10C,最低平均 10..lOC,最高の極380C,舞4 図点線)と適温に.おいた場合 (最高平均2390C,最低平均 8い60C,最高の極3lOC,第4図 実線)についで比較すると,雌 花着生数(第4図,何れも太 線)ほ定植前に分化したであろ う6∼15節の範囲では.差がない が,以降はあきらかに高温区が 減少しているい即ち,この雌花 節位の動きほ第3区Ⅰから推察 して,本葉4枚展開蔑の花の pI・imoIdia節泣のすぐ下に相当 していて,前述の高温から低温 位

2 4 6 8 10

苗の大きさ(展開菓数)

雄3医l甫の発育と葉・花の分化(高温区)

6 81012141618 20 22

節 位 発4図 定植後の温度が雌花の分化,発育に.及ばす影響

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に移した場合と極めて■近似している・また,雌花着生数のうち完全開花数(第4図,何れも細線)を量ると,適温区紅 比し高温区は6∼14節までが著しく減少し,とくに6∼10節放では凡て落蕾している,すでに花または雌花として発育 を始めた花でも,高温がその発育紅不良環境であることを示している B スイカについて (1)葉腋諸機関の分化発育について(図版) 展開辛から18←ノ19節位,生長点から2∼3節下った処では柴腋分裂組織の突起だけである(図版(1)),その1節下位 でははば2分して:(図版(2))枝と花に独立し,花の方は急速に発育して諸器智を分化し,花の分化から26∼28日(温度 が高くなると21日位)で開花するい枝は,花がガク形成の頃(図版(5))枝の生長点の下部に巻ヒゲを,花を隔てた反対 側に.竃を分化し,側枝の薬を分化するのほ花が花ペンを初生する頃(図版(7))である小 (2)高温から低温に移した場合に・ついて 育苗条件の均一・な本葉4枚展開宙を1964年4月14日紅定植し,燈さ0り03御Z,巾135仇のポリエチレンのトンネルを密 閉し, A区 定植から4月25日まで密閉,以後昼夜共開放 B区 〝 5月5日 〝 〝 C区 〝 5月15日 ” 〝 の3区を設け,5月18日トンネ ルを除去,雌花開花状況,節 位,結実状況などを調査したl 密閉期間中の最高,最低気温は 策5図の通りで,晴天の日中ほ 最高気温500Cを若干越えてい る. 州 雌花開花,結実状況 10株当りの雌花開花,着果状 況を時期別に累剤グラフにあら わすと(舘6図),早くから換気 したAl云.が最も早く開花し,次 いでB,Cの順に.なってこいて雌 花開花傾向ほ温度転換の時期と 溶接的な関係が認められる牒 ∴柁開花数はつる数と比例する(8) ところから,おそくまで高温化 おいた区はど,つる数が多くな って雌花が捕って多数開花す る.果実の結実傾向はほは雌花 の開花傾向と一・致している・ (ロ)雌花の節位調査 子づるについて,温度転換時 に.おける展開葉の節位を起点と して,雌花開花節位の分布をみ ると(第7図),A区ほ9∼10 節,B区は7節,C区は1′−−4 節というつき方と,各区共通紅 12∼17節に集中してつくものと

7 21 25 29 3 71115

5月 籍5図 密閉トンネル内の気温 5月 6月 箆6図 雌花数,果実数調査(各10株当り)

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緒21巻 通巻算48号(1970)

区 換気前

展開乗数 27 換気後分化 第1雌花平均

節 位

A 2.1

14.3

B 4.2 C

ll.0

15.5

換気時展開葉からの節位0 2 4 6 8 10121416 18 20 22

換気時、花の分化発育状況〝−一 決定一 C −K −P −G、P 籍7図 節位別 雌花開花と換気時の分化,発簡との関係 G.P:つるの生長点 P:P工・imoIdia K:ガク初生 C:花ベン初生 がみられる小前者のつき方は,その節数に換気前に既紅展開していた柴数を加えると,A区は11∼12,B区は11.2,C l基は12∼15節となってはぼ−・定の節位を示すことから,温度変化とは別に子づるの着花習性に従って本質的に分化,発 脅したものであろう.それを除き後者のつき方紅ついてみると,温度転換時の展開柴から12∼17節(平均値では14い3∼ 15.5節)に共通に.ついていて,これを温度転換時の花の分化,発育段階と比較すると,ガク初生を中心とする前後1∼ 2節の範凱に.該当し(図版で(4トr61,仰以上に.は相当しない),西洋カボチャの場合とほとんど同一・のStageと認めら れる. 各1真の温度転換暗から雌 花開花,着果の最盛期まで の日数,雌花着生までの平 均節数をまとめると館5表 の通りであるハ H 果実調査 A,B,C3区について 収鼠および果実を調査した 結果ほ箆6表の通りで,お そくまで密閉した区はど, 果実数が多いため収星は多 いが果実やや腰高で平均壷 は小さく,硬度,糖度が平 均して低下する傾向があ る小 【31高温処理実験 トンネル密閉条件下心南 箆5表 雌花開花,着果期,踊花節欄 換気後分化第1雌花迄節数 雌 花 最 盛 着 果 最 盛 換気後平均】全葉数平均 換気後26∼30日 芦 14い3菓 換気後28∼38日 26′−・34 16“4菓 19、6 24∼29 21∼27 19∼24 15い5 26り5 籍6表 収量,果実調査 」 ̄一 ̄ ̄

吋盲扇嘉1嘉壷斎丁亮妄議

1 10株収患l果蚤3K !真】平均頚 7い57 t lO.85

6湖Fl。。.25

6.07 9.95 … l (1)果形指数ほ縦径/横径 (2)果実硬皮は三木式果実硬度計(直径6 mm)

(6)

温障害のあらわれ方把ついて2つの補足実験を行った(1965−68)○ (イ)ガラス張り定温器を用い,本葉4枚苗(実生苗でジ−フィポット直径900鉢植)を48−54◇Cに1日4時間づつ2 日間処理して葉に対する障害を調査した(策7表)・この場合,定温器月を比較的乾したものと,温水盤を入れて:可及的 多湿においた両区についてみると,あきらかに・多湿区が高温下でも安全で,520Cでほはとんと健康であったが540Cで ほ−・部紅日焼け状高温障害があらわれた・別の実験で本葉4枚路ほ 55⊃Cで枯死している処からこの附近が限界と考えられる(ゴノ\葉展 開当時でほほば55〇Cまで耐えられる)い (ロ)本菜4枚宙を定植した叫・般杓な栽培条件で,トンネル材料に よる高温障害のあらわれ方をみると(第8表),新しいポリ志チレ ン,とく紅有孔(3Cm平方当り直径2郡の孔があいている)が最も 安全で,古いポリエチレンまたは光の透過盛のよいビニールは危険 である.これは被覆材科内面庭.おける水滴のつき方,それによる光 の強さに.よるものであろう(t3),とくにノ−ゼ.エ∴−スでは寒が黄∼ 白色化し,つるの発育ほ極めて慈るかったり 舘7表 高温処理(ポット試験) 乾 燥 区 1湿 潤】g 温 度 健 健 ほぼ健 柴の1部障害 480C 50 52 54 健 葉の1部障害 薬の1部障害 枯死 温度処理1日4時間づつ2日処理 第8表 密閉無換支もの場合・トンネル材料とスイカの発育 5月5日 障 害 5月9日 障 害

5 月 24 日 調 査

材 料 1株生態壷l親づる昆】子づる数 仔づる長平嘲菓の大きさ + ﹁■ − 有孔ポリ 新 無孔ポリ 新 〝 古 ノ−・ビ、ェ.−ヌ新 4.0 43 3 7 4.3 はとんど無= 197 甚 多 甚 多

品種 富久光,4月25日定植,トンネル「恒35C郡,マルチングなし Ⅲ 考 察 西洋カボチャは勿論,スイカでも短日の影響は受けている(8・12)ことほ間違いない,しかし,温度の彪皆の方がより大 きく実用的な結央目標節位を考えると温度に・よる動きの範囲で処理できることはあきらかである..その場合,始実目標 節位が西澤カボチャとスイカとでは異なる処から,基本的には共通していても具体的な栽培管理の能率的な方法は異な ってくる. 基本的には,これらクリ類の雌花分化紅対する温度の働き方は,荏の発育即ち花の分化発育する節位の動きと恐按的 な関係をもっていて,日長の誘起的働き方(7)と本質的紅異なるものである.従ってクリ類の雌花分化に「短日低温」が 望ましいといっでも,「短日」という日長と「低温」という温度とはその働き方,従ってその与え方が本質的紅異なる ものと解釈すべきである. 温度変化によって雌・雄花の動く筋位,即ち温度変化時に・おける花の分化,発育段階は,その節の花がpIimordiaか らガク形成までの段階にあることほ共通で,花の分化・発育が無性一両性一躍性と移行する比較的早い鯉性段階,しか し花としては独立した時期であることを示している.従って温度変化によって雌・雄花の動く節位とほその時の花の発 育が該当する節位の動きとして捕えることが正しいと考える.キュクリについて伊衆ら(さ)ほ10日後処理で4節から,20 日後処理で7節から雌花がついているが,10日処理苗が本葉1,0柴酋,花のpT・imoIdiaは5−7銑l,20日処理ほ本 葉2,3葉で花のpIimoIdiaは9−10節であったことからみて,本報の西洋カボチャ,スイカの場合と極めて近似し ていることを示している. 西洋カボチャ芳香でほ.,額づる結実の第1春男の大きさは基数(節数に.比例する)×菓面積,即ち積界合計葉面積匿 支配されている,即ち現地栽培開場の調査から,巽南積を8∼13節の菓の縦径×横径であらわした場合,第1番果の果 蛮と葉面積とは′=+0」509(1%レベルで有志),.γ=247い6−ト1り7.方(但しγは果歪ダ,.芳は葉面積1菓平均ぷ)から,800ダ

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第21巻 通巻第亜号(1970) 29 の果実をとるには其の径平均1800になること, 欝1番果の栗東と着果節位とはこデ=・十0小316(1%レベルで有意),2番果が胎実した場合で.γ=96.5.方−457,5(但し .γは果歪ダ,方は節位)から12節の果実が平均700タ, 果実の商品性から考えてこの程度が望ましい基礎条件と考えられる小 従って,葉の大きさが確保される条件(苗の質と定植後の管理に負う処が大きい)で親づるの12節泣から結実させて ゆくために10∼11節から雌花がつくことが望ましいい この観点に立て−は本葉2枚展開の箇令から雌花分花適温匿.おくこ とが大切で,それ以前ほ雌花分化より蔑の健康な発育を考えやや高温に屑でてさしつかいない∫従って育苗中鉢上げ移 植をする場合は.,本案1い2{一1,5葉で鉢上げしてやや高温匿おき,完全に活着してから雌花分化適温に.降ろすことが能率 的であろう. 更庭.西洋カボチャでほ第1雌花より多くの花が分化・発簡した苗でも,その時分化する節位の花の性ほその時の温度 条件に漁接的な影響をもっていて,ある宙の大きさ,あるいほ雌性化体制になればあと高温でも雌花のつき方が動かな いキュウリの場合(2)とは異なっているこれは雌性化体制,節成性のちがいに.よるものであろう..また雌花として発育を 進めても途中で過高温紅おくと蕾の発育を停止する.との場合相当大きい暫が強く影響を受ける.定植後のトンネルの温 度管理が大切なことほ.当然である1. スイカでほ低節位の結実は果実の品質,収魔の確保の両面からみて望ましくない(8).この場合低節位という節数につ いてほ栽培条件によって動くものである..即ち,花および果実の発育条件は温度(とくに早熟栽培では大切で,地温が 影響し易い),養水分の吸収能力と植物体の大きさ(節位)との均衡に立つもので,温度や養水分が吸収しに.くい条件で は結実節位ほ高いことが要求され,環境がよくなると節位ほ比較的低くてもよい.この観点からトン.ネルを用いた早熟 栽培ではかなり節位をあげて(親づるで20節以上,早く発生した子づるで16節以上)着果数を確保し,凡ての果実の品 質を向上させる条件を,栽培管理の面から能率よく設定することが大切である小 本菓4枚展開程度の酋を定植する−・般的な早熟栽培でほ甫の時代にほ 発9表 苗の発育と柴・花の分化

.∴・・・・∴・.ユ・

収穫を目的とする花ほ分化しておらず(発9表),定植後暫くして分化す る花が目的となる.従って定植して暫くは高温において初期発育を旺盛 にし(つる数増加と斉−・な発育),収穫目的の花が分化する時期から雌 花分化適温において健康で有効な雌花を準備することが望ましい。これ ほ同時に不必要な低節位結実を防止し,トンネル管理の省力化にも合致 することになる.. この場合,高温の程度と期間が問題になるが,高温はノ共に対する高温 障害,日焼けがトンネル内の湿度,光の強さに.関係していることを考慮

子づる】 1 1 19 − 15

すべきであるい即ら,トンネル内面に水滴が附著して曇った場合直接光 線を秋らげて(13)トンネルほ無換気,密閉に.してさしつかえなかった.このような高湿皮条件では最高520Cまで耐えら れると考え.る.また換気始めがその地方の晩稲の必配のない時期になるであろうから(最低気温平均90C前後)換気は昼 夜共開放する方法でよく,密閉一問放という最も省力的管理が可能である.. 高温期間は長い程(換気がおくれる程)結実節位が上昇して雌花数一果実数は増加するが,開花・収穫期がおくれ果 実ほ小形化して品質紅も影替してくる.従って早い子づるが2∼3碁歴関する程度(即ち平均雌花節位が17∼18節檻な る),本葉4枚苗を植え.て10∼15日間位が適当と考えられる..その程度で目標収穫期に合致する雌花開花期が得られる よう定植期を設定してゆくことが能率的である(9)と考える、 スイカでこのような省力的トンネル管理ができるのは,スイカが相当高温に強いこと,目標雌花節位が他のクリ類に 比べて高いことに鹿閻するものであるが,孫づるに結実させる蕗地メロンまたはマクワウリもとれに近い考え方が成り 立つものと考える. Ⅳ 摘 要 1発育の始めは高温匿おき,その後低温に移した場合の第1雌花節位の動き紅ついて調べた. 2 西洋カボチャについてほ,湿度をかえた時の宙令と第1雌花節泣の関係ほ第3囲のようで,経済的紅ほ10∼12節か ら雌花がつくことが望ましいことから本葉1.5∼2..0其まで高温(最高気温25∼300C,最低気温18∼200C)におき,

(8)

その後低温(最高20、】220C,最低10∼130C)にすることが適当である. 3 スイカについては,本葉4枚展開位で定植する栽培でほ定植前紅分化する雌花ほ収穫の目的にはならない.定植後 10∼15日位高温(最高30∼520C)多湿に.おき,その後自然温度にすることが,果実の収鼠,品質からみて適当と考え るい 4 温度を変えることによって弟1雌花となる節位における,温度をかえた時の花芽の大きさほ花の始源体からガク片 初生の段階紅あたっていた. 参 考 文 献 (1)藤井健雄,高橋秀勝;胡瓜の雌雄花の発生に関する研究,京大園芸研究集録,6,97∼103(1953). (2)−−「板木利隆;仙,(第3報)宙の大きさと定植後の温度及び日長の影響,農及園,29(5j669∼671(1954)小

(3)Hopp R.J‖:Studies of sex ratioin Butternut squash(Cucurbiiamoschata,PoIR.,)Proc.Amer.Soc.

肋タ才〝5cメ」8D,473∼480(1962). (4)伊東秀夫,加藤 徹,榎本適次,斉藤 隆:胡瓜の雌花,雄花,両全花の分花を支配する条件の研究(第2報) 胡瓜の花の性の決定並.びに転化に関する解剖学的研究,園芸雉,23(2)65∼70(1954)・・ (5)叫−−・,斉藤 隆:−(貨6報)筒の発育時期別紅見た日長と夜温の影響,閲芸稚26(1)1∼7(1957)。 (6)倉田久男:赤皮甘栗南瓜の雌花着生に及ぼす温度の影響,昭30,秋園芸学会要旨,(1955)い 仰】・:南瓜の雌花分花紅関する研究,(第1報)日本商用に・おける日長反応についで,番犬農学報,11168∼ 172(1959). (8)一鵬−:西周の早熟栽培に・おける増産技術,農及園,35(4,5)677∼679,829∼832(1960)い (9)…−:スイカの早熟栽培,農および園,44(12)1861∼1866(1969).

(10)NITCH T..R,ⅩuRTZ E・B,LIVERMANJ… L,WENr F・W∴ The development of sexexpressionin cucurbit flowers,Amer..r.Botl39(l)32∼43(1952)…

(11)ScoTIG.W・:Sexratios and fmit production studiesin bush pumpkins”Proc.Amer。Soc..Hort.、

5‘よ√′30520∼525(1934).

(12)渋谷 茂,木下患介,逸見浩昭‥スイカ栽培における環境条件と性の表現,時化日ぷ及び温度の影響につい て,農及閻,42(1α1557∼1558(1967).

(13)杉山直儀,高橋和臥李 柄蒔田フイルムの種類を異にんたトンネル内の温度条件に潤する研究,l誼芸雑,36

(2)186∼194(1967)u

(14)WHrTA王(ER TいWh,DAVIS GI・N∴Cucurbits,130∼141,New Yozk,Inte工SCience Publishers(1962)小

STUDIES ON THE FORMATION OF A PISTIl,LATE F工′OWERIN CUCURBITS

II.Effect of temperature on the formation of a pistillate

flowerin winter squash(Cucurbita maximaDucHESNE) and water melon(Ciiru肋svuなarゐScHRAD.)

Hisao KuRALTA

S11mmary

l)An experiment was carried out toinvestigate the effect ofchanging temperature from high tolow

On the numbeIOfnodes preceding the ncdebeaIing the first pistillate flower ofwizlterSquaSh(CucuYIbiia

2naXi7na DUCIIESNE)and water melon(Citrullus vulgaYIis ScHRAD”)seedlings

2)In the winter squash,it was desirable commerciauy that the first pistillate flower was formed on

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第21巻 通巻算48号(1970)

18−20Oq)untilthel.5−2,01eavesLare fuま1yLeつ【panded・and thereafteratlow temperature(maximun20−22OC, minimumlO・130C)is most recommended.

3)In the water melon,When the seedlings were planted to the field at the stage of the4thleaf was fu11y expanded,a generalpracticein this district,the pistillate flowers differentiated before planting did not developinto a highquality fruit,Judging from the yiqld and quality,keeping the deedlings at hightemperature(maximum30−52◇C)and humid condition forlOq15days afterplantingand returning them to natural conditionis most desirable.

4)By changing the temperatuIe,the floralprimordium by the stage of differentiatinga sepalprimor” dium seems to developinto a pistillate flower

(1969年12月23日受理)

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香川大学農学部学術報告 32 (2)花と枝とに分化 (1)菜腋分裂細織 (4)花:ガク初生 (3)(2)の発育 図版 菓腋機関の分化,発育(スイカ) P:花の姶源体 F:花 G一、P:枝の生長点

(11)

算21巻 通巻算48号(1970) 33 (5)花:ガクの発育 萄,巻ヒゲの初生 (6)(5)の発育 (7)花:花ベン初生 枝:葉の分化 竃,巻ヒゲ:発育 (8)完成した機関 図版 葉腋機関の分化,発育(スイカ)つづき F:花 C:巻ヒゲ B:萄 G.P:彼の生長点

参照

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