香 川 大 学 経 済 論 叢 第72巻 第2号 1999年9月 3-84
香川県下の市町における予算編成と
議員の役割について(第 2回調益)
)
(
1
)
↑
西 山 一 郎
目 次 多忙な方のための簡潔な要約 はじめに II 調査の概要 III 回答者のプロフィールと回答の分析の方法 IV 予算編成をめぐる議員の行動形態(問1の回答の分析) V 選挙公約について(問2と問3の回答の分析) VI 公約等をどのようにして予算案に盛り込んだか(問4から問7までの 回答の分析) VII首長の予算編成に対する議会の影響力(問8の回答の分析) ““"以上が本号掲載分 VIII 議会における予算案の審議(問9から問14までの回答の分析) 以下は次号掲載 (1) この調査も,前回同様,成功裏に行うことが出来た。それは,何よりも,きわめて多忙 であるにもかかわらず,このような学術調査に真撃に協カして下さった県下の市町議会 議員の方々のご協力の賜であり,議員諸氏に心から感謝する。また,今回の調査にあたっ て特別にお世話になった方々(肩書きは当時のもの)は,香川県町村議会議長会常務理事 兼事務局長・寒川博吉氏,高松市議会事務局庶務課長・岡康幸氏,香川大学経済学部教授・ 大薮和雄氏,経済学部助手・木村住校さんであり,心からお礼を申し上げる。なお,回答 の集計は,木村さんがその大部分を担当して下さった。4- 香川!大学経済論叢
I
X
予算編成における住民との関係(問1
5
と問1
6
の回答の分析) X むすび 資料1 r⑫香川県下の市・町における予算編成と議員の役割についての調 査」 資料2 単純集計表 資 料3
クロス集計表(第1
表 第1
6
表) 多忙な方のための簡潔な要約 312 Oこの調査は,香川県下の市町議会議員が市町の予算編成にどのように関 係し,住民の要望をどのようにくみ取って予算編成に反映しているかを 検証し,わが国の地方自治体の予算編成における地方議員の行動形態を 明らかにしようとするものである。なお,この調査は,1
9
9
2
年の同種の 調査につづく第 2回目のものである。 O調査は,香川県下の5市3
8
町の市町議会議員全員(
7
1
4
名)を対象に1
9
問からなる調査票を郵送し,1
9
9
6
年1
0
月下旬から1
9
9
7
年2
月初旬まで に実施された。回収された有効な調査票は,5
4
3
通であり,回収率は7
6
.
.
1
%
である。 O議員が予算編成をめぐる諸問題に対応する際にどのような形で行動する かをたずねたが,常に1人の議員として行動するという回答が第1位で,4
4
“2%
であった。第2
位は,ある時には会派の一員としてある時には1
人の議員として行動するという回答で,37.0%
であった。詳しくは,第 1図をご覧いただきたい。 0議員と住民ないし住民団体の関係を見るため,選挙公約に予算や財政に 関する項目があったかどうかをたずねた。その結果,予算や財政に関す る公約が時々あったという回答がもっとも多く,2
8
.
.
7
%
,第2
位は,予 算や財政に関する公約が常にあったという回答で,2
6
.
.
7
%
,第3
位は, 予算や財政に関する公約がたいていあったという回答で,2
0
.
.
6
%
であっ313 香川県下の市町における予算編成と議員の役割jについて(第2回調査)(1) - 5 た。したがって,ほとんどの場合に予算や財政に関する公約を掲げると いう議員は,第2位の回答と第 3位の回答を合わせると,全体の 47..3% である。詳しくは,第6図をご覧いただきたい。 O議員の選挙公約はどのような項目が多いかをたずねたところ,回答者の うち支持した人数の割合の多い順に並べると,第I位は道路対策,第2 位は老人福祉対策,第3位は環境・衛生(ごみ・し尿)対策,第4位は 下水・河川の整備,第5位は学校教育の振興,第6位は産業の振興であっ た。これらが議員の
6
大公約である。詳しくは,第9
表をご覧いただき たい。 O議員はそのような公約ないし要望を予算案に盛り込むように努力したこ とがあるかどうかをたずねたところ,公約や要望を盛り込むように常に 努力してきたという回答が第1
位で,611%
,第2
位は,時々はそうい うことを行ったことがあるという回答で, 24.,1%
であった。詳しくは, 第1
6
図をご覧いただきたい。 O公約や要望を予算案に盛り込むように「常に」ないし「時々」努力した と答えた議員に,それではどのような方法で執行部に申し入れるのかを たずねた。議員はいろいろなルートをあげたが,最も重要なノレートは3 つ,すなわち,係長や課長に直接会い要望する(691%)
,議会での代表 質問や一般質問において執行部に要望する(58,1%)
,1
人の議員として 首長に直接要望する(510%)
という方法である。詳しくは,第2
1
図を ご覧いただきたい。 o r常に」ないし「時々」要望を予算案に盛り込むように努力したと答え た議員に,それは予算編成のどのような段階においてであるかをたずね た。その結果,公約や要望を予算案に盛り込むように働きかける際によ く利用する段階は4つ,つまり,予算編成方針を策定する段階 (48,2%), 事業担当課が要求を提出する段階(41.0%)
,実施計画や基本計画を策定 する段階(
3
56%)
,そして,予算編成の時期以外(
2
3
,1%)
である。詳 しくは,第2
7
図をご覧いただきたい。-6ー 香川大学経済論叢 314 。議員の予算要求は予算案に盛り込まれたかどうかをたずねたところ, 時々盛り込まれたという回答が51,0%,ほとんどの場合に盛り込まれた という回答が369%,常に盛り込まれたという回答が5,,6%であった。 したがって,後の
2
つの回答を合わせると,4
割以上の議員が彼等の予 算要求が首長の予算にかなりな程度盛り込まれたと思っていることが分 かった。詳しくは,第32図をご覧いただきたい。 。議会が首長の予算編成に対してどの程度の影響を与えているかをたずね た。その結果,首長の予算編成に対してはある程度の影響を及ぼしてい るという回答が47,,5%であった。第2位は,首長の予算編成に対しては かなりな影響を及ぼしているという回答であり,2
5
,,6%であった。また, 首長の予算編成に対しては非常に大きな影響を及ぼしているという回答 は, 9,,0%であった。他方,首長の予算編成に対してはあまり影響を及ぽ していないと思うという回答が14,,9%であった。したがって,それらの 回答を総合すれば,首長の予算編成に対する議会の影響力について高く 評価する議員はあまり多くないといえるであろう。詳しくは,第3
7
図を ご覧いただきたい。 O当初予算案に関する全員協議会の開催の有無についてたずねた。その結 果,当初予算案に関する全員協議会の開催を認める議員は,ほぽ半数の 477%であった。詳しくは,第42図をご覧いただきたい。 O当初予算案に関する全員協議会の開催を認める議員に対してその意義を たずねた。その結果,もっとも多い回答は,予算の内容がよく理解でき, 議会での審議にも役に立つという回答で, 66,,0%であった。第2
位は, 予算の円滑な議会通過には不可欠であるという回答で, 40,,5%,第3位 は,議会の予算審議が形式的になる欠陥はあるが,得るところがあり, やむを得ないという回答で, 36,,7%であった。したがって,当初予算案 に関する全員協議会の開催の意義を認める議員は,第1位と第2位の回 答を合わせると, 100,,6%となり,回答者総数にほぽ相当する。詳しくは, 第47図をご覧いただきたい。315 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -7 0補正予算案に関する全員協議会の開催の有無についてたずねた。その結 果,補正予算案に関する全員協議会の開催を認める議員は
4
2
.
.
5
%
であ り,当初予算案に関する全員協議会の開催を認める議員の割合よりやや 少ない。詳しくは,第5
2
図をご覧いただきたい。 。補正予算案に関する全員協議会の開催を認めた議員に対して,開催の意 義についてたずねた。その結果,当初予算案に関する全員協議会の開催 の意義の場合とほとんど同じであった。つまり,もっとも多い回答は, 予算の内容がよく理解でき,議会での審議にも役に立つという回答で,7
1
ド4%
であった。第2
位は,予算の円滑な議会通過には不可欠であると いう回答で,3
5
.
.
1
%
,第3
位は,議会の予算審議が形式的になる欠陥は あるが,得るところがあり,やむを得ないという回答で,33.3%
であっ た。詳しくは,第5
5
図をご覧いただきたい。 O最近の5か年聞において議会が首長によって提案された当初予算案また は補正予算案を修正したことがあるかどうかをたずねた。その結果,全 く無かったという回答が4
8
.
.
8
%
,1
,2
度あったという回答が3
1
“7%
, ほとんど毎年あったという回答が1“8%
であった。詳しくは,第5
9
図を ご覧いただきたい。 O当初予算案または補正予算案を修正したことがないと答えた,ほぽ半数 の議員に対して,まったく修正がなかった理由をたずねた。もっとも多 い回答は,前回の調査と同様に,理事者と議会が事前の調整をしている からであるというもので,5
8
.
.
9
%
であった。第2
位は,かなり小さくな るが,予算案が住民の要望を反映しているからであるという回答で,2
0
“4%
であった。詳しくは,第6
3
図をご覧いただきたい。 O議員がこれまで住民または住民団体から予算や財政に関する要望を受け たことがあるかどうかをたずねた。その結果,もっとも多い回答は,予 算や財政に関する要望を時々受けているという回答で,3
9
.
.
8
%
,第2
位 は,予算や財政に関する要望を毎年受けているという回答で,2
3
.
.
0
%
, 第3
位は,予算や財政に関する要望をたいていの年度において受けてい- 8 香川大学経済論叢 316 るという回答で, 18..0%であった。したがって,予算や財政に関する要 望をよく受けている議員は,第2位と第3位の回答を合わせると 410% となる。詳しくは,第
7
0
図をご覧いただきたい。 。最後に,予算が住民の要望をどの程度反映しているのかをたずねた。そ の結果,ある程度は反映していると思うという回答が圧倒的に多く, 75..5%であった。第2位は,ぐっと少なくなるが,あまり反映していな いという回答で, 14.7%である。第3位は,十分に反映しているという 回答で,6.6%
である。そして,前回の調査に比較して,十分に反映して いるという回答が減り,あまり反映していないという回答が増え,その 結果,両者の格差が増大した。その原因の1
つは,最近の地方財政の一 層の悪化であろうと思われる。詳しくは,第7
6
図をご覧いただきたい。o
1
9
9
2
年と1
9
9
6
年における2
回の調査の結果,香川県下の市岡の予算編 成における議員の行動形態がかなり明らかになり,それに基づきいくつ かの行動仮説の提示を行った。I
は じ め に この報告は,1
9
9
2
年に行った同種の調査から4
年後の1
9
9
6
年に行った調査 に関するものである。 この調査の目的は,前回の調査と同様である。すなわち,二元代表制という わが国の地方自治制度の下で議員がどのように自治体の予算編成と議会の審議 に参加し,住民の要望をどの程度くみ取ってそれを予算編成に反映しているか を検証しようとするものである。 (2 ) これについては,拙稿「香川県下の市町における予算編成と議員の役割について-1992 年の調査一J, ,.香川大学経済論叢』第67巻第2号, 1994年10月,を参照。 (3) 4年後に調査を行った理由は,地方議員の大規模な選挙が4年ごとに行われるためで ある。つまり,近時では,市町議員選挙が1991(平成3)年の春と 1995(平成7)年の 春に行われたため,その翌年が議員の移動が一番少なししたがって,調査対象者が安定 した状況にあるといえる。317 香川県下の市町における予算編成と議員の役割jについて(第2回調査)(1) -9-ところで, 1992年以降この分野の研究に関して何か状況の変化があったかど うかであるが,期間が短いため大きな研究上の進展があったようにはみえない。 自治体に対するアンケート調査では,管見にふれた限りでいうと,遠藤宏一 教授が1995年12月から翌年の1月にかけて長野県下の全市町村の首長,ス タップ部門,ライン部門に対して行った地方行財政に関する調査と,共同通信 社が1997年10月から 11月にかけて,都道府県知事,市町村長,東京23区の 区長の合計, 3,302人に対して自治体の町づくりについて質問した調査がある が,それらは,いずれも地方議員は対象外である。 地方議員を対象にした調査では,全国の20都市におげる市区議会議員全員 を対象に東京市政調査会が1995年8月に行った議員の行動と役割に関する調 査がある。この調査は,拙稿でも言及した黒田展之教授らによる, 24市区町の 940名の議員を対象にして 1980年7月に行われた調査を範としており,その 点,今回の拙稿の分析に関連する有益な事項があると思われる。 私自身の研究の進展に関していえば, 1996年6月に武蔵大学で開催された日 本地方財政学会の第
4
回大会で,自治体の予算編成に関するこれまでの調査に 基づき r市町村の予算編成過程における民意吸収の実態」と題する報告を行っ た。討論者として,岡山大学の坂本忠次教授と慶応大学の深谷昌弘教授が登壇 し,適切なコメントを行って下さった。 私にとってとりわけ有益であったのは,深谷教授のコメントであった。それ (4 ) 遠藤宏一,<資料〉市町村関係者に対する農村地域振興と農村行財政に関するアンケー ト調査結果J,W経営研究.J (大阪市立大学),第48巻第2号, 1997年7月。なお,宮本憲 一・遠藤宏一編著『地域経営と内発的発展ー農村と都市の共生をもとめてー』農山漁村文 化協会, 1998年, 219~245 ページ,も参照。 ( 5 ) 共同通信社内政部編『全国自治体トップアンケート '98~3 , 302 人の首長が描く等身大 の日本~.J共同通信社, 1998年。なお,アンケート結果は, 1998年1月元旦(集計結果 の全容), 5日(外国人参政権問題), 26日(首長が選ぶ元気な自治体)の加盟各地方紙に 配信された(例えば四国新聞.Jl998年1月1日 月5日。ただし 1月26日の配信 が『四国新聞』に掲載されたかどうかは未確認)。 (6 ) 東京市政調査会研究部『都市議員の研究ー全国市・区議会議員アンケート調査報告一』 東京市政調査会, 1996年。 (7) 報告の要旨については r日本地方財政学会第4回大会報告要旨.j(1996年6月),49~54 ページ,を参照。10ー 香川大学経済論議 318 は,予算編成における「民意の形成J をどのようにとらえるかということであ る。教授によれば,予算編成を公共意志形成の一つの側面ととらえると,予算 編成における民意の形成は双方向性があるであろう。確かに,住民が議員にい ろいろ要望をするということはあるであろうが,議員(ないし首長) は選挙と いうプロセスを通じて住民に働きかけ,住民の意向を感じ取り予算編成に関す る態度を決定ないし変化させているはずであるが, その点をどのように見てい るかという質問であった。 このコメントは私の研究の盲点、をつくものであった。 というのは, それまで の私には,選挙と議員の関連という問題意識が希薄であったからである。私は, 予算編成は毎年の事柄であるが,選挙は4年に 1回という限定されたものであ るから両者の関連はあまりないであろうと考えたため, そのような設聞が私の 調査票では欠けていたのである。毎年の予算編成とある期間ごとの選挙との間 にどの程度の相関関係があるのかは定かでないが,両者の聞に何らかの関係が あることを否定することは出来ないであろう。私は深谷教授のコメントによっ てその点に気づき, 今回の調査では,選挙と議員の行動との関連をたずねる設 聞をイ乍ることにした。 II 調査の概要 今回の調査の概要について簡単に述べる。前回, 回答者を若干とまどわせる 事項が調査票にあったことや, 上記で述べた深谷教授のコメント等をふまえ, 今回の調査葉町では,若干の改良を加えた。 調査票は,香川県下の
5
市3
8
町の市町議会議員全員の7
1
4
名に対して,1
9
9
6
(8 ) 調査察については,次号掲載予定の巻末の資料しを見よ。 (9) 1996年 7月末の市町議員定数は, 721名であったが,それまでに6名が死亡し, 1名が 辞職したため,対象議員は714名となった。なお, 5市の市議会議員名簿は,高松市議会 事務局に調査の趣旨を説明してコピーしていただいた。町議会議員については,香川県町 村議長会事務局にお願いして氏名,住所,電話番号を記載した, 577名の名簿(平成8年 2月20日現在)を特別に作成してもらった。お世話になった関係各位に心からお礼を申 し上げたい。319 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -11-年10月 21日に郵送された。締め切りは,同年 11月 8日としたが, 11月 21日 までに回収された調査票は, 307通(回収率は, 43 0%) であったので, 11月 25日と 1997年 1月 6日に督促を行った。そして, 1997年 2月 7日に 546通目 が到着したのをもって回収をうち切った。回収率は, 765%であったが, 546通 の内,支離滅裂な回答をした者が1名,辞退が1名,病気のために回答が出来 ないという者が1名であった。したがって,実質回収数は 543通,回収率は, 76..1%となる。以下の分析は,この 543名を対象に行う。 ところで,今回の実質回収率, 76引1%は,前回の 79..2%に比較するとやや低 くなったが,それでも 4人の内3人が調査票を返送してくれたわけであり,今 回の調査も成功であったと思う。 回収をうち切った後,回収された調査票の審査に入った。回収された調査票 の中には,未記入の箇所や指示通りの回答でないものなどがあったので,木村 住枝助手と手分けをして電話や郵便により問い合わせを行った。結局,問い合 わせを行った議員は,全部で104名に達した。問い合わせの作業は, 1997年 9 月初旬に打ち切った。どうしても問い合わせが出来ない3名の議員の調査票の 回答に関しては,単純集計では当該項目において「回答なし」として処理する ことにした。なお,若干の回答者については,問い合わせを行ったが,回答を いただけない場合があった。その際には r回答なし」として処理したが,その 場合には回答欄が空欄となるので,クロス集計の計算においては除外して計算 した。したがって,クロス集計の場合には,例えば,全員が答える設聞におい ても合計が必ずしも 543名にならない場合が出てくる。各設問の回答者数 r回 答なし」の者の数,そしてクロス集計の回答者数を示せば,第1表の通りであ る。 (10) この聞に死亡した議員は, 4名に達した。そのうち,回答をいただいた方は2名である。 物故者の方々にたいしては,心からご冥福をお祈りする。 (11) 前回の回答者のうち今回も回答して下さった議員は320名であり,今回の回答者, 543 名の58.9%に達する。
-12ー 香川大学経済論議A 320 第1表 単 純 集 計 と ク ロ ス 集 計 の 回 答 者 数 問 単純集計回答者総数(人) 左欄の内 r回答なし」の者 クロス集計回答者 (A) (人)(B) 総数(人)(A)一(B) 1 543 2 541 2 543 6 537 3 413 2 411 4 543 10 533 5 463
。
463 6 463 8 455 7 463 9 454 8 543 1 542 9 543 2 541 10 259。
259 11 543 6 537 12 231。
231 13 543 6 537 14 265 3 262 15 543 5 538 16 543 2 541 III 回答者のプロフィールと回答の分析の方法 回答者のプロフィーノレを少し見ておく。まず,市町別に見ると, 543名の内, 回答をくれた市議会議員は105名である。市議会議員の総数は, 140名であるか ら,市議会議員の回収率は, 75..0%である。他方,回答をくれた町議会議員は, 438名である。町議会議員の総数は, 574名であるから,町議会議員の回収率は, 76..3%となる。したがって,市議会議員と町議会議員の回収率は,ほぽ同じで ある。 当選回数別に回答者の内訳を見ると,市町議会議員全体では,第2表の通り である。これは,調査票の問17の「議員として現在何期目ですか。」という問 の回答を整理し, 1992年とあわせて示したものである。今回も,当選1回の議 員が25..6%ともっとも多い。そして,当選1固から当選4固までの議員の割合 は, 75..6%であり,前回同様に全体の4分の3を占める。当選5回以上の議員 は, 24.5%で,ほぽ4人に1人である。 政党別の回答者の内訳を見ると,第3表のようである。これは,間18の所属321 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -13ー 第2表 回答議員の当選回数別分布 当選回数 1992年 1996年 議員数(人) 構成比(%) 議員数(人) 構成比(%) 1回 141 24..7 139 25.6 2回 109 19 1 114 210 3回 99 17.4 98 18..0 4回 80 14..0 60 110 5回 51 8.9 44 8 1 6回 46 8.1 34 6.3 7回 18 3..2 33 6..1 8回 13 2 3 9 1 7 9回 3 0.5 8 15 10回 5
。
.9 2 0..4 11回 4 0..7 12回 1 0..2 2 0..4 合 計 570 100..0 543 100.0 〔注〕 構成比は,小数点以下第2位を四捨五入したために,合計が100.0%にならない。 第 3表 回答議員の政党別分布 政 党 名 1992年 1996年 議員数(人) 構成比(%) 議員数(人) 有毒成比(%) 公明 25 4..6 公明党 25 4.4 革新系無所属 22 3 9 自由民主党 191 33..5 235 43..3 社会民主党 19 3..5 諸 派 4o
7 3 0..6 新進党 6 1.1 日本共産党 33 5..8 28 5..2 日本社会党 33 5 8 保守系無所属 254 44..6 民社党 2 0.4 2 0..4 無所属 222 40..9 その他 6 1 1 3。
..6 合 計 570 100.0 543 100..0 〔注) 構成比は,小数点以下第2位を四捨五入したために,合計が1000%にならない。 政党に関する回答を集計したものである。 まず,政党の分類であるが,前回の経験から r無所属」は「保守系無所属」 と「革新系無所属」に簡単には分類できないということが分かったので,今回-14ー 香川大学経済論叢 322 は,単に「無所属」とした。また,
1
9
9
2
年以降,政党の再編成があり r公明党」 は「公明」に r日本社会党」は「社会民主党」になった。 第3
表を見ると,1
9
9
6
年度の場合,回答議員の政党別内訳で最も多いのは, 「自由民主党」で,4
3
.
.
3
%
,第2
位は r無所属」の4
0
.
.
9
%
である。その後に続 くのは r日本共産党」の5
.
.
2
%
,r公明」の4
れ6%
,r社会民主党」の3
.
.
5
%
,r新 進党」のL1%
,r諸派」と「その他」のO
“6%
,r民社党」の0
..4%である。 前回も指摘したが,このような所属政党は,回答者が自ら記載したものであ り,その信濃性はかなり高いであろう。そして,今回の調査結果からいえば, 香川県下の市町議会議員の政党化率,すなわち,全議員にしめる自由民主党か ら諸派までの議員の割合は5
8
.
.
7
%
となり,4
年前の5
0
.
.
6
%
から8
.
.
1
ポイント増 力日した。 前回と比較した場合,所属政党の変化の第1は,無所属議員の減少である (もっとも,回答者総数が前回の5
7
0
名から5
4
3
名へと若干(
4
.
7
%
J
減少して いることを考慮する必要がある)01
9
9
2
年の調査では,保守系無所属と革新系無 所属を合わせると,無所属が2
7
6
名,48.5%
と,ほぽ半数であったが,今回は 無所属が2
2
2
名となり,5
4
名も減少し,その比率は409%
になった。 第2
に,自由民主党が前回は1
9
1
名,3
3
.
.
5
%
であったのが,今回は2
3
5
名,4
3
.
.
3
%
となり,大幅に増加したことである。前回,私は,議員の政党別分布を 検討した際に r保守系無所属議員の中にも若干の自民党員がいるではないかと0
.
0
.
"
.
推測している。」と書いたが,その推測が当たっていたのである。つまり, 前回,保守系無所属と回答した議員の一部の者が今回「自由民主党」と回答し たのであろう。 第3
に,前回の日本社会党,今日の社会民主党が議員数では3
3
名,5
.
.
8
%
か ら,1
9
名,3
.
.
5
%
へと減少したことである。 公明(公明党),日本共産党,民社党には大きな変化がない。 (12) 拙稿, 36ページ。 (13) ある議員は自民党」を選択した後,注記して但し,表面には出していません。表 面は保守系無所属です。」という。323 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -15-回答議員を前回同様に,市議会議員と町議会議員に分けて見ると,第4表と 第 5表の通りである。 市議会議員は,第4表のように, 1992年の調査では,保守系無所属とその他 をあわせると,全議員の21..5%となり,政党化率は78..5%であったが,今回も, 無所属とその他をあわせると 20..0%である。したがって,1996年の政党化率は 80.0%となり,前回とほとんど変わらない。 町議会議員を見ると,第5表のように, 1992年の調査では,保守系無所属, 革新系無所属,その他の3者をあわせると, 56..5%であり,政党化率は43..5% であった。ところが,今回の調査では,無所属とその他をあわせた場合,それ は46..5%と な れ 政 党 化 率 は53..5%となる。したがって,町議会議員の場合に も過半の議員がいずれかの政党に所属していることが明らかになった。 町議会議員の場合,特に注目すべきことは,自由民主党所属の議員が30
.
4
%
から 41
.
8%へと,11
.
4ポイントも増加したことである。その大きな原因は,1992 第4表 回答議員の政党別分布(市議会議員) 政 党 名 1992年 1996年 議員数(人) 構成比(%) 議員数(人) 構成比(%) 公明 10 9..5 公明党 10 8..6 革新系無所属 自由民主党 53 45..7 52 49..5 社会民主党 7 6.7 諸派 2 17 3 0..6 新進党 1 2れ9 日本共産党 9 7..8 10 9.5 日本社会党 16 13..8 保守系無所属 21 18..1 民社党 l 0..9 1 1.0 無所属 19 18.1 その他 4 3..4 2 19 合 計 116 100.0 105 100..0 〔注〕 構成比は,小数点以下第2位を四捨五入したために,合計が 100..0%にならない。 (14) r都市議員の研究』によれば,20都市におげる回答者のうちの無所属とその他の割合は, 444名中 119名で, 26引8%である(東京市政調査会研究部,前掲書, 9ぺ!ージ)。16 香川大学経済論叢 324 第5表 回答議員の政党別分布(町議会議員) 政 党 名 1992年 1996年 議員数(人) 構成比(%) 議員数(人) 構成比(%) 公明 15 3.4 公 明 党 15 3..3 革新系無所属 22 4..8 自由民主党 138 30..4 183 41恥8 社会民主党 12 2..7 諸 派 2 0.4 新 進 党 5 L1 日本共産党 24 5.3 18 4 1 日本社会党 17 3..7 保守系無所属 233 5L3 民社党 1
o
2 1 0.2 無所属 203 46..3 その他 2 3 4 1 0.2 合 計 454 100..0 438 100..。
(注〕 構成比は,小数点以下第2{立を四捨五入したために,合計が1000%にならない。 年の調査では,保守系無所属が 233名であったのに対して,今回は無所属が 203 名となり, 30名も減少したことであろう。これは,すでに書いたが,保守系無 所属と称していた議員が自由民主党員として名乗りを上げたためではないかと 思う。 ここで香川県選挙管理委員会の調べによる,届け出政党別分布を見る。それ を両年について見れば,第 B表の通りである。この分布は,直近に行われた選 挙において立候補者が立候補に際して届け出た政党による分類である。1996年 の数値は,1995年 12月末における調べであり,直近において行われた選挙とは 大部分が1995年春の選挙をさすが,一部の選挙は 1993年に行われた。この表 で興味深いのは,両年とも無所属議員が80%前後となり,圧倒的な比率を占め ていることである。届け出別政党分布ではやはり通説がいうように無所属が圧 倒的である。しかし,前回も指摘したが,実際はそうではないのである。香川 県下の市町議会議員についてみると,すでに指摘したように,実際の無所属議 員の数は届け出時の約半分になるのである。 つぎに,問19でたずねた議長や副議長の経験の有無を,前回と比較して示せ325 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -17ー 第B表香川県下の市町議会議員の届け出政党別分布 政 党 名 1992年 1996年 議員数(人) 構成比(%) 議員数(人) 構成比(%) 公明 29 4..0 公明党 29 4 0 自由民主党 48 6..6 36 5..0 日本共産党 37 5..1 32 4 5 日本社会党 29 4..0 21 2..9 民社党 2 0..3 1 0.1 諸派 1 0..1 無所属 578 79..9 599 83..4 合 計 724 100..0 718 100..
。
〔注1) 香川県選挙管理委員会調べ。なお,届け出別政党の集計は, 1992年の場合には,1992 年12月末の調べであり, 1996年の場合は1995年12月末の調べである。 〔注21 1992年12月末の定員は734名であり, 10名の欠員があった。1995年12月末の定員 は723名であり 5名の欠員があった。 (注31 1996年においても「日本社会党」となっているが,この調べが行われたのは1995年 12月末であり,香川県下において「日本社会党」が「社会民主党」になったのは, 1996 年3月である。 〔注4) 構成比は,小数点以下第2位を四捨五入したために,合計が必ずしも 1000%になら ない。 ば第7
表の通りである。議長も副議長も経験していないという回答は7
0
.
.
0
%
で あり,前回とほとんど同じである。少し付言すれば,前回は rいずれの経験も ない」という回答を作り,該当者にそれを選んでもらったが,今回は「いずれ の経験もない」という回答を作らず,現在議長である者,現在副議長である者, そして両者を,またはいずれかを経験した者の回答総数を543名から引き算を して rいずれの経験もない」という回答数を算出した。 第 7表議長・副議長の経験の有無 1992年 1996年 議員数(人) 構成比(%) 議員数(人) 構成比(%) いずれの経験もない 398 69 8 380 70 0 議長を経験した 63 1L1 54 9..9 副議長を経験した 78 13..7 81 14..9 現在,議長である 34 6..。
34 6.3 現在,副議長である 29 5..1 34 6..3 ぷ口』 計 570 100.0 543 100..。
〔注〕 複数回答であるので,構成比は, 100.0%にならない。-18ー 香川大学経済論叢 326 回答の分析の方法について書く。今回も,回答の分析は単純集計とクロス集 計を組み合わせて行う。クロス集計は,回答者を,第1に,市(105人)と町(438 人)に区分し,第 2に,回答者の人数が片寄らないように,回答者が所属する 議会のある市町の人口数によって4段階に区分する。すなわち, 3,736人以上 8,000人未満(1l3人), 8,000人以上 14,000人未満(146人), 14,000人以上 23,000人未満(128人), 23,000人以上 330,337人 (156人)である。この区分 は前回とは異なる。第3に,市町の平成7年度財政力指数によって,これも回 答者数をにらみながら4段階に区分した。すなわち, L176以上0,4000未満 (139人), 0,.4000以上0,,5000未満(141人), 0,,5000以上0,,6000未満(122人), 0,6000以上1“016未満 (141人)である。この区分も前回とはやや異なる。第 4は,今回新しいクロス集計の指標として平成8年度普通会計歳出決算額によ る区分を作り,回答者数をにらみながら 4段階に区分した。すなわち, 27億 8,676万 4千円以上40億円未満(126人), 40億円以上64億円未満 (152人), 64億円以上 110億円未満 (139人), 110億円以上1,214億5,509万 5千円(126 人)である。第5は,当選回数によって4つのグループに区分した。すなわち, 当選1回の議員を第Iのグループ(139人),当選2回と3回の議員を第2のグ ノレープ(212人),当選4回と 5回の議員を第3のグループ (103人),当選6回 以上を第4のグループ(89人)とした。この区分は前回と同様である。第6は, 政党別である。すなわち,すでに示したように,日本共産党(28人),公明(25 人),自由民主党 (235人),社会民主党(19人),諸派(3人),新進党(6人), 民 社 党 (2人),無所属 (222人), そ の 他 (3人),とした。最後の第7の指標 は,議長・副議長の経験の有無である。これは,現職の議長・副議長である者 (68人),過去に議長・副議長を経験した者 (95人),いままで議長・副議長の (15) 香川県総務部地方課編『香川県市町行財政要覧』平成10年1月,による。なお,人口 は,平成 8年3月末の住民基本台帳人口である。 (16) 向上書。但し,過去3年間の単年度の数値の平均である。 (17) 彼らの中には,過去に議長や副議長を経験した者もいるが,現職であることを優先し Tこ。
327 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -19-経験のない者(380人)の3つのグループに区分した。この区分も前回と同様で ある。
I
V
予算編成をめぐる議員の行動形態(問1
の回答の分析) 間 1 議員が予算編成をめぐる諸問題に対応する際にどのような形で行動す るのかをたず、ねた。この設問の回答は複数回答で答えてもらった。この設問の 回答は前回と全く同様でトあるので,並べて示せば,第1図のようである。今回 の回答の分布は,やはり I常に一人の議員として行動する」という回答が最も 多く, 44..2%であり,第2は Iある時には会派の一員として,ある時には一人 の議員として行動する」という回答で, 37.0%である。その他はかなり小さく なる。「ある時には党員の一人として,ある時には一人の議員として行動する」 という回答が,第3位で, 13 3%, I常に会派の一員として行動する」という回 答が9..6%,I常に党員の一人として行動する」という回答が5..3%である。第 1図は, 1992年の単純集計をもあわせて示しているが,ご覧のように回答の分 布は両年ともほとんど同じである。したがって I県下の市町議会議員の場合, 予算編成をめぐる行動形態としては,概括的に言えば,一人の議員として行動 するというのが中心で,それに続くのが会派の一員ないし一人の議員として行 第1図 予算編成をめぐる議員の行動形態(問1) 回答なし その他 会派の←員ないし 一人の議員として 党の一員ないし 一人の議員として 常に一人の議員として 常に会派の一員として 常に党員の一人として w ~w
~ ~ ~ ~ ~ ~閲 図1996年 圏1992年20 香川大学経済論叢 328 動すると言うことである。」という前回の調査の知見が確認される。 政党化率との関連についていえば,すでにのべたように,全議員にしめる自 由民主党から諸派までの政党所属議員の割合は市町をあわせて
5
8
.
.
7
%
となり, 前回より若干増加しているが,それでも無所属議員は4
1.3%
であり,一人の議 員として行動できる余地が依然としてあるということであろう。 予算編成をめぐる議員の行動形態をいくつかのクロス集計によりみる。まず, 市町別に見ると,第2図のようである。これを見ると,その傾向は前回とほぽ 同様に r市と町では対照的になっている」のである。つまり,市議会議員の場 合には rある時には会派の一員として,ある時には一人の議員として行動する」 というのが最も多く, 51.4%であるのに対して r常に一人の議員として行動す る」という回答は1
9
.
.
0
%
にすぎない。他方,町議会議員の方は「常に一人の議 員として行動する」というのが第1
位で,5
0
.
.
5
%
であり rある時には会派の一 員として,ある時には一人の議員として行動する」という,第 2位の回答は3
3
.
.
7
%
である。市議会議員の回答の第2
位は r常に会派の一員として行動する」 という回答で,2
6
.
.
7
%
であるのに対して,町議会議員の方はわずか5
.
.
5
%
にすぎ ない。 第2図 予算編成をめぐる議員の行動形態(問1)(市・町) その他 会派の一員ないし 一人の議員として 党の一員ないし 一人の議員として 常に一人の議員として 常に会派の一員として 常に党員の一人として (18) 拙稿, 40ページ。 (19) 拙稿, 41ページ。 塁 率 … 51 4 50 5 ro m aw
~ MOO 区富市議会議員 圏町議会議員329 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -21ー したがって,市議会議員の場合には,一人の議員として行動するという回答 が今回はやや増えたが,それでも 19.0%であれ大多数の議員は会派の一員と して行動するというのに対して,町議会議員の場合には,一人の議員として行 動する傾向の大きいことが分かった。このような傾向は,第4表と第5表を見 た際に指摘したが,市議会議員の場合には無所属が18..1%であるのに対して, 町議会議員の場合にはそれが46..3%と,半数近くに達していることから説明で きるであろう。したがって,予算編成をめぐる議員の行動形態は,政党化率と 関係しているといえるであろう。 人口規模については,すでにのべたように,今回の人口区分が前回と異なり 簡単には比較できないのでここでは取り上げない。 当選回数別に見れば,第3図のようである。この図で興味を引くのは,今回 の調査では「常に一人の議員として行動する」という回答が当選回数の多くな るにしたがって減少していることである。つまり,当選1回の議員で,その回 答を選んだ者が48..6%とほぼ半数近くに達しているのに対して,当選6回以上 の古参議員の場合には39..8%となっているのである。このような傾向は,前回 自 由 とは逆になっている。 第 3図 予算編成をめぐる議員の行動形態(問1)(当選回数) そのf也 会派の一員ないし 一人の議員として 党の一員ないし 一人の議員として 常に一人の議員として 常に会派の一員として 常に党員の一人として ro w w ~ ~ ~OO 翻1回 瞳2回。3回 圏4回・5
阻口
6回以上-22 香川大学経済論叢 330 第4図は,議長・副議長の経験の有無をたずねたクロス集計の表である。こ れによると,-常に一人の議員として行動する」という回答では,現職の議長と 副議長が53,,7%となり, かつての経験者や未経験者に比較して多くなってい る。常に一人の議員として行動するのが現職の議長と副議長に多いというのは, その地位と職責上から判断して理解できる。 政党別に見ると,予算編成をめぐる諸問題に対応する際の議員の行動形態は どのようになっているであろうか。第5図をご覧いただきたい。 この図の説明 に入る前に1つ断っておきたいことがある。前回は,政党が自由民主党, 日本 社会党,公明党, 日本共産党の4つであったが,今回はすでに見たように, 日 本共産党(回答者が
2
8
名,以下同じ),公明(
2
5
名), 自由民主党 (235名), 社会民主党(19名),新進党(6名),民社党(2名)の6つになっているうえ, 回答者の少ない新進党と民社党については,分母が小さいため少ない回答で も%がかなり大きくなる。また,諸派(3名), そのf
也(3名)もあり, これら を全部図において表示すると, かえって全体の傾向を的確に把握できない。 そ 第4図 予算編成をめぐる議員の行動形態(問1)(議長・副議長の経験の有無) その他 会派の一員ないし 一人の議員として 党の一員ないし 一人の議員として 常に一人の議員として 常に会派の一員として 常に党員の一人として 53 '7w
w
~ ~ ~ MOO 口議長・副議長の未経験者堅調議長・副議長の経験者図現職の議長・副議長 (20) 拙稿, 103ページ,第l表を見よ。「常に一人の議員として行動する」という回答は,当 選1回の議員が39,0%であるのに対して当選6回以上の議員の場合には, 50,0%となっ ている。なぜ今回,逆の結果になったのかは分からない。331 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -23-こで, 10名以下の新進党,民担党,諸派,その他は省いて,作図をする。いう までもないが,すべての政党等の回答の分布は巻末の資料3のクロス集計表に 出ており,それによって適宜本文で言及する。なお,無所属は,議員数が多い ので,参考までに
4
政党と並べて作図する。 さて,日本共産党は,前回同様に r常に党員の一人として行動する」という 回答が格段に大きく, 60..7%であり,他の政党を大きく引き離している。この 回答を選んだ第2位の政党は公明であるが, 12..0%である。日本共産党の議員 の回答で次に多いのは r常に会派の一員として行動する」という回答で25.0% である。第3位は「ある時は党の一員として,ある時は一人の議員として行動 する」という回答で, 14..3%である。「常に会派の一員として行動する」という 回答も政党としてまとまって行動するものと考えれば,党として行動する割合 は, 85..7%となり,日本共産党は党員ないし党として行動するという顕著な特 徴を持つ。もちろん r常に一人の議員として行動する」という回答は日本共産 党の場合には皆無である。 第5図 予算編成をめぐる議員の行動形態(問1)(政党別) そのf也 会派の一員ないし 一人の議員として 党の一員ないし 一人の議員として 常に一人の議員として 常に会派の一員として 常に党員の一人として 43 8 60 7 10 20 30 40 50 60 70(%) 盤 日 本 共 産 党 圏 公 明 図 自 由 民 主 党 国 社 会 民 主 党 口 無 所 属24 香川大学経済論叢 332 公明は rある時には党の一員として,ある時には一人の議員として行動する」 という回答が最も多く, 36刷0%であり,それにつづくのは r常に一人の議員と して行動する」という回答と「ある時には会派の一員として,ある時には一人 の議員として行動する」という回答で,ともに24..0%である。したがって,公 明の議員はまとまって行動する場合が多いが,それは日本共産党ほどではなく, 一人の議員として行動することもある。 自由民主党は, 235名と最も回答者が多い。「ある時には会派の一員として, ある時には一人の議員として行動する」という回答が最も多く, 43.8%であり, 第2位は r常に一人の議員として行動する」という回答で, 39.5%である。第
3
位は rある時には党の一員として,ある時には一人の議員として行動すhる」 という回答で, 16ゎ7%であり,かなり小さくなる。したがって,自由民主党の 特徴は,会派ないし一人の議員として行動するということであろう。 社会民主党の回答の第1
位は rある時には党の一員として,ある時には一人 の議員として行動する」という回答で, 579%である。第2位は r常に一人の 議員として行動する」という回答で, 26..3%である。したがって,前目指摘し たように,党の一員ないし一人の議員として行動するというのが社会民主党の 特徴であろう。 新進党は,回答者がすでにのべたように6名であり,そのうちの4名が「常 に一人の議員として行動する」という回答を選び,その割合は66..7%となる。 第2位は r常に一人の議員として行動する」という回答で, 33旬3%である。 民社党は回答者が2名であるが,全員が「常に一人の議員として行動する」 という回答を選び, 1000%となっている。 諸派の回答は3名であるが,うち 2名が「常に一人の議員として行動する」 という回答を選び, 66..7%となっている。 最後に,無所属議員の行動を見れば,最も多いのが,やはり「常に一人の議 員として行動する」という回答で, 59..0%である。第2位は rある時には会派 の一員として,ある時には一人の議員として行動する」という回答で, 36.9% である。したがって,無所属議員はかなりの者が一人の議員として行動するが,333 香川県下の市町における予算編成と議員の役割jについて(第2回調査)(1) -25ー 若干の議員は会派と行動をともにするのである。 V 選挙公約について(間2と問3の回答の分析) 間
2
,-はじめに」において紹介したように,深谷教授の示唆により,議員が 選挙を通じて「公約」という形でどのように住民に訴えているのかを調査する 必要があると考え,この設聞を作った。問2
は,-あなたのこれまでの選挙公約, またはあなたの党のこれまでの選挙公約には,予算や財政に関する項目があり ましたか。」である。これは,議員から住民に働きかけるベクトノレを意味する。 なお,後の問1
5
は,逆に,住民が議員に働きかけるベクトルの内容についてた ずねる設問である。 回答の単純集計の結果は,第6図のようである。「予算や財政に関する公約は, 時々あった」という回答が最も多く, 28..7%,第2位は,-予算や財政に関する 公約は,常にあった」という回答で, 26..7%,第3イ立は,-予算や財政に関する 公約は,たいていあった」という回答で, 20.6%である。したがって,-常にあっ た」または「たいていあった」というように,ほとんどの場合において予算や 財政に関する公約を掲げるという議員は全体の47.3%で,ほぽ半数である。他 方,-予算や財政に関する公約は,これまでまったくなかった」という回答が 14..2%, ,-これまで選挙公約を掲げたことがない」という回答が6..4%, ,-その他」 が1.8%,以上の回答以外の回答が0..2%,,-回答なし」が1.1%であった。 第6図 予算や財政に関する選挙公約の有無(間2) 下 記 以 外 の 回 答 目0.2 30 35(%)-26ー 香川大学経済論議 334 したがって,-常にJ,,-たいていJ,,-時々」とその掲げ方の程度には差がある が,とにかく予算や財政に関する公約をこれまでに掲げたことがある議員は, 合計で,
7
6
“0%
となり4
人に3
人が掲げている。他方,予算や財政に関する 公約がないという議員は,全体の20れ6%であり, 5人に1人である。このよう な調査結果についてそれが多いか少ないかは,現時点では比較をする基準がな いので判断を留保せざるをえない。 以上のような単純集計の回答をクロス集計で見れば,次のようである。まず, 予算や財政に関する選挙公約の有無を市議会議員と町議会議員に分けてみる と,第7図のようである。「予算や財政に関する公約は,常にあった」という回 答は,市議会議員が371%であり,町議会議員の245%を大きく引き離してい る。したがって,予算や財政に関する公約を常に掲げるというのが市議会議員 の特徴であろう。他方,町議会議員の場合には,予算や財政に関する公約を掲 げる場合を見ると,-予算や財政に関する公約は,時々あった」という回答が 29.4%で,第1位となっている。比較的ではあるが,町議会議員の場合には, 予算や財政に関する公約を時々掲げ,常には掲げないようである。 予算や財政に関する公約を掲げないという回答を見ると,-予算や財政に関す 第7図 予算や財政に関する選挙公約の有無(問2) (市・町) 下 記 以 外 の 回 答 そのイ也 選 挙 公 約 は 掲 げ た こ と が な い 選 挙 公 約 は ま っ た く な か っ た 選 挙 公 約 は 時 々 あ っ た 選 挙 公 約 は た い て い あ っ た 選 挙 公 約 は 常 に あ っ た.
o ro ffi a ~ ~ 図市議会議員 鶴町議会議員 37 1 35 40仰 (21) 公約を掲げない「その他」の理由として r無投票当選であった」と脅いた議員もいた。335 香川県下の市町における予算編成と議員の役割jについて(第2回調査)(1) -27ー る公約は,これまでまったくなかった」という回答が,町議会議員の場合には
16.0%
となり,市議会議員の7
.
.
6
%
の2
倍以上になっている。また rこれまで 選挙公約を掲げたことがない」という回答は,町議会議員の場合には,7
.4%と なり,これも市議会議員の2
.
.
9
%
の2
倍以上となっている。したがって,同議会 議員の場合には,予算や財政に関する公約をあまり掲げないというのが特徴で あろう。 予算や財政に関する選挙公約を財政力指数とクロスさせると,第8図のよう である。この図から興味を号│く事柄は r予算や財政に関する公約は,常にあっ た」という回答が財政力指数の増大に比例しているということである。財政力 指数がO
引1
7
6
以上0
.
.
4
0
0
未満の自治体の議員の場合には1
9
.
.
6
%
であるが,財政 力指数が0
.
.
6
0
0
以上1.0
1
6
以下の自治体の議員の場合には,3
4
.
.
0
%
となってい る。つまり,財政力に比較的恵まれている自治体の選挙においては,候補者は, 予算や財政に関する公約を掲げることが出来ると推測される。その逆に rこれ まで選挙公約を掲げたことがない」という回答は,財政カ指数が小さくなるほ 第 8図 予算や財政に関する選挙公約の有無(問 2) (財政力指数) 下記以外の回答 その他 選挙公約は 掲げたことがない 選挙公約は まったくなかった 選挙公約は 時々あった 選挙公約は たいていあった 選挙公約は 常にあった 10 15 20 25 30 35 40(%) 閤0.176以 上 0.400未 満 盟o
400以上o
500未 満 圏0.500以上 0.600未 満口
0..600以上 1.016以下-28- 香川大学経済論叢 336 どにその割合が増大していることである。財政力指数が
0
.
.
1
7
6
以上0
.
.
4
0
0
未満 の自治体の議員の場合には94%
であるが,財政力指数が0
.
.
6
0
0
以上1.0
1
6
以 下の自治体の議員の場合には, 3..5%となっている。つまり,-これまで選挙公 約を掲げたことがない」という回答は財政力指数に反比例しているのである。 第g図をご覧いただきたい。これは,予算や財政に関する公約の有無を当選 回数で見た場合である。この図から 2つの興味ある現象がうかがえる。 1つは, 「予算や財政に関する公約は,常にあった」という回答の場合,当選回数が増え るにしたがってその割合が増加しているということである。すなわち,予算や 財政に関する選挙公約を掲げる者は,当選1回の者が18..2%であるのに対し て,当選が2回ないし3回の者は25“8%,4固ないし5回の者は343%,当選 6回以上の者は34“8%となり,当選6回以上の議員は当選1回の議員の2倍近 くになっているのである。当選4回以上の議員では, 3人に 1人が常に予算や 財政に関する公約を掲げていることになる。 他方,-予算や財政に関する公約は,これまでまったくなかった」という回答 下記以外の回答 第g図 予算や財政に関する選挙公約の有無(問 2) (当選回数) その{也 選挙公約は 掲げたことがない 選挙公約は まったくなかった 選挙公約は 時々あった 選挙公約は たいていあった 選挙公約は 常にあった 5 国 4 1 34.8 3 w ~w
~w
~ ~(約 圏 1回 盟 2回・ 3回 圏 4回・ 5回 口 6回以上337 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -29 は当選1回の者が26..3%であり rこれまで予算や財政に関する公約を掲げた ことがない」という回答も,当選1回の者が10.2%となりかなり多くなってい る。そのような回答は,前者の場合,当選6回以上の者が6“7%,後者の場合, 同じく当選6回以上の者が3.4%であり,当選回数6回以上の者に比較すると, 当選1回の者の割合は 3倍ないし 4倍も多いのである。さらに,当選回数 1回 の者と 2固ないし3回の者の割合を合計すると,前者の回答が40..7%,後者の 回答が17.4%となり,当選3回くらいまでの議員は,予算や財政に関する公約 を掲げない場合が多いということである。逆にいえば,当選回数が多くならな いと,予算や財政に関する公約を常に掲げることができないということかもし ω れない。 第10図をご覧いただきたい。これは,予算や財政に関する選挙公約の有無を 第 10図 予算や財政に関する選挙公約の有無(問 2) (政党別) 下記以外の回答 その他 選挙公約は 掲げたことがない 選挙公約は まったくなかった 選挙公約は 時々あった 選挙公約は たいていあった 選挙公約は 常にあった o 5 44 0 w a w w ~ w ro M 00 ~C幼 騒 日 本 共 産 党 盟 公 明 図 自 由 民 主 党 国 社 会 民 主 党 口 無 所 属 (22) 問 2の回答欄の余白に文章で記入してくれた 1期目の議員のコメントを少し紹介する と,つぎのようなものがある。「仙 引地元の要請を断りきれずに立候補し,“当選しま した。ですから,公約らしきものは特に掲げませんでした。J,r現在1期日(1年6ヶ月) であるので具体的な財政についての公約はしなかった。J,r一年生議員のため,予算や財 政に関する公約は現時点においてはしていない。」
-30← 香川 !大学経済論叢 338 政党別に見たものである。この図では,すでに説明したように, 10人以下の政 党等を省いてある。 まず,-予算や財政に関する公約は,常にあった」という回答は,日本共産党 が92ゎ9%で,公明以下の3党を大きく引き離している。また,-予算や財政に関 する公約は,たいていあった」という回答は日本共産党が7..1%である。日本共 産党の場合,この2つの回答で100れ0%であるから,日本共産党の顕著な特徴 は,予算や財政に関する公約を常に,ないしはたいてい掲げるということであ ろう。 「予算や財政に関する公約は,常にあった」という回答の第
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位は,社会民主 党の3L6%である。担会民主党の場合,もっとも多いのは「予算や財政に関す る公約は,たいていあった」という回答で, 42..1%である。「予算や財政に関す る公約は,時々あった」という回答は第3位で, 2L1%である。したがって, 予算や財政に関する公約を常に,ないしはたいてい掲げる割合は, 73..7%とな る。なお,社会民主党の場合,-予算や財政に関する公約は,これまでにまった くなかった」という回答は53%である。もちろん日本共産党はこの回答が皆無 である。 公明は,もっとも多い回答が,-予算や財政に関する公約は,時々あった」と いう回答で, 44..0%である。第2位は,-予算や財政に関する公約は,常にあっ た」という回答で, 28..0%であり,第3位は,-予算や財政に関する公約は,た いていあった」という回答で, 24.0%である。第2位と第3位を合わせると, 52.0%となる。したがって,公明の場合は,予算や財政に関する公約を比較的 よく掲げる者とそうでない者が半々というところであろうか。 自由民主党は,-予算や財政に関する公約は,常にあった」という回答が 24..2%で, 4人に 1人である。自由民主党の場合,-予算や財政に関する公約は, たいていあった」という回答が20..3%であり,両者を合計すれば,予算や財政 に関する公約を常に,ないしはたいてい掲げる割合が44..5%となり,半分を割 る。自由民主党の場合,-予算や財政に関する公約は,時々あった」という回答 が31..6%でもっとも多い。また,-予算や財政に関する公約は,これまでまった339 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -31ー くなかった」という回答が160%であり,無所属議員の回答の16..8%とほぽ同 じである。また,-これまで選挙公約を掲げたことがない」という回答が5.2% であり,これら 2つで21,,2%となる。したがっ、て,自由民主党の議員の場合, 予算や財政に関する公約は,あまり掲げないということであろう。 なお,無所属議員を見ると,-予算や財政に関する公約は,時々あった」とい う回答がもっとも多く, 27.7%である。「予算や財政に関する公約は,常にあっ た」という回答は, 209%で 4党と較べてもっとも小さい。 第10図において省いてある民社党は,回答者2名が「予算や財政に関する公 約は,時々あった」という回答を選び, 100..0%である。 新進党は,
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名の内4
名が「予算や財政に関する公約は,時々あった」と いう回答を選び, 83“3%である。なお,新進党の場合,-予算や財政に関する公 約は,常にあった」という回答は皆無である。 最後に,問 2の回答を議長・副議長の経験の有無で見ると,第 11図のようで ある。この図から 2つの興味深い事柄が読みとれる。まず,第1は,-予算や財 政に関する公約は,常にあった」という回答は,現職の議長・副議長がもっと 第11図 予算や財政に関する選挙公約の有無(問2)(議長・副議長の経験の有無) 下記以外の回答 そのf也 選挙公約は 掲げたことがない 選挙公約は まったくなかった 選挙公約は 時々あった 選挙公約は たいていあった 選挙公約は 常 に あ っ た い 十 州 路 ω:緑 樹J泌 総 秘 縦 記 長 語i ぬ 場 主 占 拠 持 率 主 主 主 主 ! 出8 10 15 20 25 30 35 40 45 C幼 口議長・副議長の未経験者瞳議長・副議長の経験者圏現職の議長・副議長-32ー 香川大学経済論叢 340 も多く, 35..8%であり,かつて議長・副議長であった者が29.8%,そして議長・ 副議長の未経験者が24.7%ともっとも少ないということである。掲げる公約が 空手形であっては意味がないから,現職の議長・副議長は常に予算や財政に関 する公約を掲げ,それを実現するか,ないしは実現に努力しているということ を意味するのであろう。 第2は i予算や財政に関する公約は,これまでまったくなかった」という回 答では,議長・副議長の未経験者が17..8%と現職の議長・副議長やそれらの経 験者を大きく引き離していることである。議長・副議長の未経験者は公約を掲 げることをまったくしていない者が比較的多いという特徴をもっ。 ここで市町村議会議員が選挙に際して掲げる公約の意味について考える。そ も そ も 選 挙 に お け る 「 公 約 」 と は 何 で あ ろ う か 。 古 い 文 献 で あ る が 政 治 学 事 邸) 典』によれば i公約」とは i選挙に際して,立候補者が自己の政策について 公共の場において行った約束。」である。つまり,公約とは,候補者個人が選挙 に際して有権者に対して掲げる公の約束である。これが,多分,原義であろう。 しかし,今日の政党政治の下では i大抵の立候補者は政党に所属するから立候 補者の公約はその所属する政党の政策にもとづくもの」であり,それは,党大 会において決定される。したがって,今日の政党政治の下では i公約」は,所 属する政党の政策 i綱領」となる。したがって,これが政党政治の下における, 今日的な公約の意味であろう。 (23) ~政治学事典』平凡社, 1960年, 411ページ。なお,この事典は,専門家の聞では「有 名J (~書斎の窓~ 1999年9月,第487号, 50ページ)とのことである。その後の文献で は,阿部費・寄本勝美編著『地方自治の現代用語』学陽書房, 1988年, 172~173 ページ; 阿部費・大久保婚生・寄本勝美編著『【新版】地方自治の現代用語』学陽書房, 1996年, 62ページ,があるが,その定義と解説は政治学事典」とほとんど変らない。ちなみに, 『【新版]地方自治の現代用語』の「選挙公約」の定義を挙げると選挙の際に候補者が 当選後とるべき政策に関して公共の場で行う約束。」である。最近の文献である,阿部費 他編『現代政治学小辞典【新版]j(有斐閣, 1999年)は r候補者や政党が有権者に対し て行う政策上の約束。J(136ページ)という。しかし,これでは,候補者個人から政党へ と公約の意味が変った歴史的変遷がはっきりしない。 (24) r綱領」とは r政党にとって本質的なものを意味し,その政党がよって立つところの基 本的綱領ばかりでなく,とくに議会主義政党においては選挙において勝利をうるために 状況変化に応ずる具体的な綱領をもつことが要求される。J(~政治学事典j , 414ページ)
341 香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第2回調査)(1) -33-このような定義を今回の調査に当てはめると i公約」の原義においては,確 かに県下の市町議会議員の「公約」にも当てはまる。しかし,今日の市町議会 においても政党化が進行しており,すでに見たように,市町議会議員の政党化 率は