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学校におけるピア・サポート実践の展開と課題 : 紙上相談とオンライン・ピア・サポート・ネット

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(1)

学校 にお ける ピア・サ ポー ト実践 の展 開 と課題

一 紙上相談 とオ ンライ ン・ ピア・サ ポー ト・ ネ ッ トー

戸 田

一キ

1

Peer Support i its]Development in Japanese Schools and some lssues

to be Concerned

Yuichi TODA*1

キーワー ド:ピア・サポー ト

,学

,紙

上相談 「こんなことは

,カ

ウンセラーに相談するほどでもない し……J 「同じ経験がある人に聴いてもらいたいなJ そのようなときに

,頼

りになる先輩や仲間にちょつと相談 してみるという「普通」のことが

,な

かなかできない場合 もある。その先輩や仲間への相談を

,あ

る集団のなかで容易にするための手法 の一つが

,ピ

ァ・サポー ト(peer support)で ある。 本論では

,ま

,そ

のピア・サポー トの定義 と近年の実践の拡が りの背景にふれ

,次

,ピ

ア・ サポー トの効用や日本での先駆的実践を概観 したあとで, ピア・サポー ト実践 を構想するうえでの 基本的枠組みや実践上の課題について考察 してい きたい。それらに加えて

,鳥

取県内全小中学校の 養護教論 を対象に行 ったピア・サポー トに関する調査の結果 を提示 し

,筆

者がかかわつているピ ア・サポー トを含む相談システムについて紹介する。

1.ピ

ア・ サ ポ ー トの 定 義 と学 校 へ の 導 入 ピア・サポー トとは

,広

義 には

,支

援 を受ける側 と

,年

齢や社会的な条件が似通 つている者 (ピ ア・サポーター

)に

よる

,社

会的支援 (ソーシャル・サポー ト

)で

ある。 ピア・サポー トの歴史 を振 り返 つてみると, 日本では1990年代 になってか ら

,学

校 におけるい じ め対策等の手法 として注 目を集めて きているが

,す

でに1960∼70年代 に

,国

内外

,そ

して さまざま な分野で ピア・サポー トの取組みが始 まっている。「病院全体 を舞台 と したサ イコ ドラマが治療共 同体である

Jと

い う観点か らの取組みや

,ポ

リオによる障害者の組織での ピア・カウンセ リングな どがそれにあたる (増野,2000)。 日本での1967年の身体障害者相談員制度 に も

,ピ

ア・サポー ト の枠組みが見いだせ る (丸山,1999)。 特別 な教育的ニーズ をもつ子 どもや青年の ピア・サポー ト *ユ 鳥取大学荻育地域科学部 人間教育講座

(2)

60

戸 田有一:学校 における ピア・サポー ト実践 の展 開 と課題 については

,森

定 (未公干

J)が

詳 しい。 また

,ペ

ア・セラピイいや コゥ・ヵゥンセ リング②と学校 での ピア・サポー トとは

,対

象 とす る人々や関係 の構造 などにおいて違い もみ られるが

,専

門家の みによる対応 とい う枠組みにとどまらない とい う共通の指向性 をもっている。 ここか らは

,小

中学校 などでの

,児

童 ・生徒 同士のピア・サポー トに限定 して論 をすすめたい。 学校教育のなかでは

,ピ

ア・サポー トとは,「子 どもが子 どもの手助 けを した り子 ども同士が支 え 合 ってい く関係 を意識的につ くりだす こと

,そ

して

,子

どもにふ りかかるさまざまな問題 を子 ども たち自身の力で乗 り越 えてい くように しむけてい くこと

,そ

のために

,必

要 となる諸能力 を教師や カウンセラーが訓練 。開発 してい くこと

,と

いった一連の活動や カ リキュラム」 を意味 している (滝,1999)。 ピァ・サポーターは

,通

,あ

らか じめ トレーエ ングを受け

,必

要に応 じて

,ス

ーパー ビジ ョン の もとで支援 を行 う。 したがつて

,そ

の ような トレーニ ング等の準備やバ ックア ップ体制のない, 日常の仲 間関係の中で行 われてい る社会的支援 を

,

ピア・サポー トと呼ぶ ことはない。一方で

,ピ

ア・サポー トと呼ばれていな くとも

,実

質的にピア・サポー トと同 じシステムが運用 されている場 合 もある。 また

,ピ

ア・サポー トには

,さ

まざまな実施の形態がある。仲間による学習支援

,友

達関係づ く り

,同

輩 によるカウンセ リング的対応 な ど

,多

様 である

(Cowie&Sharp,199Q Sharp&Cowie,

1998)。 用語 としては

,か

つては面談 によるピア・サポー トと同義で ピア・カゥンセ リングとい う 言葉が使 われていたが

,カ

ウンセ リングとい う言葉 に深刻なひび きがあるので

,サ

ポー トと言い換 えた との ことである0。 学校での ピア・サポー トは食生活 におけるビタミン剤の ようなもの (滝

,2000)で

,子

どもたち の仲 間関係 の近年の変化 にともない

,子

どもたちの仲間関係 を活性化す る触媒 として

,集

団の中に 意図的に取 り込むことが

,と

きに必要 になって きた ものである0。 また

,嶋

(1996)が

,1980年

代 か らのソーシャル・サポー ト研究の増加の背景 として指摘す ることは

,学

校への ピア・サポー ト導 入の背景 ともパ ラレルであると思 われる。その背景 を簡略 に示すな らば

,そ

れは「 白我資源だけで はな く

,社

会的資源 も」 そ して「専 門家だけではな く

,非

専 門家 も」活用 し,「治療的働 きかけだ けではな く

,予

防的働 きかけ も」 目指そ うとする動 きである。

IBピ

ア・ サ ポ ー トの 効 用

1)い

じめ対策 として い じめ紺策 ・予防の一環 としての ピア・サポー トは

,英

国やカナダなどで展 開されて きた。 た とえば

,1990年

代初頭 に英国中部の工業都市 シェフイール ドで行 われたい じめ対策 プロジェク ト(Smith&Sharp,199■ Smith,1997)に おいては

,全

校的反い じめ指針 ・対策0の策定 だけは, プロジェク トに参加 したすべ ての学校で求め られたが

,ピ

ア・サポー トを含む個別具体 的な対応策 は

,各

校で最適 と思われる組み合 わせ を選択 した ものであった。各校 は

,カ

リキュラムの中で

,ビ

デオ

,演

,文

学作品

,ク

ォリテイ・サークル活動 をさまざまな組み合わせで活用す ることがで き た。子 どもたちとの活動のメニューには

,い

じめ られる立場 になった ときに役立つ と思われる自己 主張訓練

,い

じめっ子 に対す る非叱責法

,い

じめ裁判 とともに

,ピ

ア・サポー ト(当時 は

,ピ

ア・ カウンセ リングと呼んでいた

)も

含 まれていた。 しか しなが ら

,ピ

ア・サポー トが実施 されたのは 23校 中

2校

のみで

,自

己主張訓練 は

7校

,い

じめっ子への非叱責的対応 は

5校

で採用 されたのに比

(3)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 ・人文科学 第

2巻

2号 (2001) 61

べ ると

,少

なかった ように思 える。 これは

,そ

の後 の英国での ピア・サポー トの拡が りを考 えると 意外 だが

,ピ

ア・サポー トのシステムを短期 間に立 ち上げることが簡単ではないこと等 による と思 われる。 1990年代後半 になると

,Helen Cowie教

授 らの主催するピア・サポー トのワークシ ヨップ0に, 中等学校 の教師

,教

育行政の担当者

,カ

ウンセラー

,海

外か らの研究者や学生などが参加 し

,そ

れ ぞれの現場で ピア・サポー トを導入す るための研修 に参加す るようになった。 また

,そ

の ような ワークシ ョップに参加せず とも

,他

校 の実践 に学 んで ピア・サポー トを導入する中等学校 もみ られ た (戸田,1999)。 い じめ対策 としての ピア・サポー トの有効性 については

,主

,次

の ような根拠が挙 げ られてい る

(Cowie&Sharp,1996i Sharp&Cowie,1998)。

1つめは

,仲

間への相談の しやす さゆえである。 さまざまな調査 において

,中

等学校 の生徒 は初 等学校の子 どもたちに比べ

,い

じめ られているとい う事実 を教師などのお となに伝 えない とい う現 実がある (た とえば

,Smith&Sharp,1994)。

日本 で も,「ち くり

Jと

い うことばは

,仲

問集 団内 の規範 よ りも集団外 の規範 を優先 した行為への非難 を含意するが

,英

国では

,警

察への密告者 ・情 報提供者 とい うことば (grassers)0が

,教

師 に「相談」「告 げ口

Jを

す る子 に対 して も投 げつ け ら れる とのことである。 また

,教

師に伝 えた事実が教師の叱責 によつて結果的にい じめっ子 たちに伝 わ り,「仕返 し

Jに

よ りひどい目にあつた とい う経験 を聞 くことは

,珍

しくはない。 ピア・サ ポー トは,「先輩や仲 間に相談す る」かたちであるため に

,幾

分かで も

,子

ども集団の規範 (それが不 適切 なものであって も

)に

反することへの後 ろめたさや

,仕

返 しへのおそれを低減 させ

,相

談 をし やす くす るであろう。少 な くとも

,相

談先の選択肢 は増 える。

2つ

めは

,傍

観者 を支援者 にす るためである (Cowie&Wallace,2000)③ 。やや緻密 に述べ るな らば

,い

じめの被害者 にとつては加害者側 に立 っているように見 えた傍観者 を

,支

援者 として立 ち 現れるようにす るためである。い じめ られている中学生の声 を聞 くと,「クラスの8害 Jが敵

Jな

ど と感 じられてい ることがある。 しか し

,傍

観者 の立場 であ った大学生 の回顧 には,「止 め た い と 思ったが

,止

めた ら次 は自分がい じめ られるか もしれない と思 うと

,な

にもで きなかった」 とい う 声 も少 なか らずある。 このか くれた支援者の声 を

,

ピア・サポー トはかたちにで きる。い じめ られ る立場の子 は,「味方 もた くさんいる

Jと

感 じられるであろう。 い ままでの実践 においては

,ピ

ア・サポー トは

,必

ず しも不登校への対処 をね らった ものではな いが

,不

登校 の背景 にい じめが存在する場合 には

,

ピア・サポー トはい じめの解決 を通 して

,学

校 に行 きに くかった状況 を改善 しうるであろう。 さらに

,こ

こで触 れておかな くてはならないのは,「誰 をサポー トするのか」とい う問題である。 サ ポー トは

,い

じめ られる根Iだけではな く

,い

じめる狽1に も必要である。い じめ っ子 の なか に も

,抑

圧的な環境 な どのために苦 しんでいる子がいると推測 されることが

,そ

の理由のひとつであ る。た とえば

,フ

ィンラン ドの中等学校の生徒約16,000人 (14歳∼16歳

)を

対象 に した調査 (1995 年か ら毎年行 われている学校保健促進研究の一環)において

,強

い 自殺念慮(自殺する計画があ る, あるいは

,チ

ャンスがあった ら自殺するとい う回答

)を

持 っている生徒 の比率は

,い

じめへ の関与

の度合いごとに集計す ると

,表

1の ようになっている (Kaltial″Heino,RimpeЙ ,Marttunen,Rim―

pelh&Rantanen,1999)。 このように

,い

じめっ子 の中にも

,実

はおいつめ られている子が高率 で

いる可能性があることに

,留

意 してお く必要があろ う。 また,「かつてのい じめっ子」 もピア・サ

(4)

62

戸 田有一 :学 校 における ピア ・サ ポー ト実践 の展 開 と課題 の説得や支援 は

,特

に効果があるのではないだろうか。 表

1

い じめへの関与度別の 自殺念慮率 (単位 :O/。 ) 関与 な し

週 に 1回 未満

週1回以上

週 1回 以上 い じめorいじめ られ い じめのみ

い じめ られのみ 週 1回 以上 い じめandい じめ られ 女子生徒 男子生徒 1 3 (55/4418)(93/3159)

1 1

(23/2395) (56/4480) 8 (16/196) 8 (55/705) 8 (29/373) 4 (18/464) 8 (4/50) 11 (18/170)

注:Kaltial「Heino,Rimpel占 ,Marttunen,Rimpel占

&Rantanen(1999)よ

り写1用。

い じめへの関与は, 1月始めか ら5月 末 までの期 間について尋ねた もの。

( )内

,実

数で比 を示 したもの。

2)力

の濫用 か ら

]力

の共有 と協 同的利用 ヘ ピア ・サ ポー トは

,い

じめ対 策のためだけで はな く

,学

校 の雰 囲気づ くりに資す るため

,公

民権 意識 を育 むため等 と期待 されている

(COwie&Sharp,199a Sharp&COwie,1998)。

そ れ は,「 力 の意図的・継続的な濫用」

(Smith&Sharp,1994)で

あるい じめの予防・対策 としてのピア・サポー トには

,教

師などのおとなの権限を子 どもたちに委譲するという側面があ り

,共

同で問題解決 にあ たることを通 して「力の共有 と協同的利用」

(Toda, 1999)へ

の指向性が強まることと

,関

連 して いる。そこでは

,子

どもたちは

,お

となによって支援 される側であると同時に

,仲

間を支援 しうる 存在 として

,さ

らには

,

ともに問題解決を行 う共同体の重要な成員 として尊重されるのである。 よ り具体的に言 うならば,「おとなが子 どもの問題 を解決する

Jの

ではな く,「おとなと子 どもが協力 しあつて問題 を解決する。その際に

,子

どもの問題 に対 して子どもが発揮 しうる力を最大限に尊重 するようにお となが支援する

Jと

いう態度が示 されているようである。 一方

,ピ

ア・サポー トを導入する過程は

,お

となにとっても新鮮なものであ りうる。子 どもたち の有能 さへの信頼感

(Cowie&Sharp, 1996)や

,そ

れまでおとなの視点だけで介入 しようとして いたことに対する気づ きや

,お

となたち自身の側の問題の自覚なども

,そ

の過程でもたらされるの ではないだろうか。 そ して

,ピ

ア・サポー トは

,本

論文の冒頭に書いた「普通」を「あた りまえ」 と思ってしまうメ ンタリティを揺 さぶる実践なのでもあろう。気軽に相談できる人にとっては

,そ

の相談 という行為 は

,あ

らためて「導入」する必要などない「あた りまえ」のことであるのかもしれない。けれども , ちよっとした相談が「あた りまえ」にはできない場にとって

,ピ

ァ・サポー トのような実践の導入 は

,大

きな意義をもつのではないだろうか。 ここで

,お

となと子 どもの以上のような関係について考えるための

,簡

単な図式を示 してお きた い。おとなであるカウンセラーや養護教諭

,子

どもにとっては同輩であるピア・サポーターゃ友だ ちの関係 を整理するためには

,図

1の ように

,訓

練の度合いも含めた

2軸

上に表現すると便利であ ろう0。 ただ し

,こ

の図 1で は

,面

談によるピア・サポー トを行 うピア・サポーターを想定 した位 置づけを行 ってお り

,他

の方式でのピア・サポーターの位置づけは

,こ

れ とは異なる可能性があ る。 友 だ ちの 中 には

,や

や年上 や年下の友 だち もい るが

,図

中の他 の グルー プに比べ る とほぼ同年齢

(5)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 。人文科学 第

2巻

2号

(2001) 訓 練 の度 合 い 図

1

ツーシャル・サポー ト提供のための社会的資源の分布平面 とピア・サポーターの位置づけ で

,傾

聴 のス キル な どにつ い ての訓練 の度合 い は

,多

くは低 い とい え よ う。 その対極 にあ るのが カ ウ ンセ ラーで

,子

ど もたち に とつてほぼ同年齢 であ るこ とは まず無 く

,訓

練 の度 合 い は高 い とい え よう。パラ・カウンセラーと位置づけられることもある養護教諭等 も

QO,年

上である。面談による ピア・サポー トを行 うピア・サポーターは

,年

齢的には同じか少 し上で

,訓

練の度合いは中程度に 位置するであろう。描 く位置については異論 もあると思われるが

, 2つ

の軸によつて示されるこの ような平面には

,子

どもたちにソーシヤル・サポー トを提供できる人々の多様性の一側面を

,平

面 上の分布 として描 きうる。この図式は

,あ

る学校においてはどのような分布が期待 され

,そ

の期待 に応えるためにはどのような取組みをしてい くのか等について

,構

想 。議論するための材料 となり うる。また

,教

育相談にかかわる教師の位置づけや

,子

どもたちの学習指導や話 し相手 をボラン ティアでつとめる大学生など°1)の位置づけも

,こ

のような平面のうえで議論できるであろう。 Ⅲ

.日

本 の 学 校 に お け る ピア・ サ ポ ー ト実 践 の 展 開 ここまで述べてきたように

,ピ

ア・サポー トには

,さ

まざまな効果が期待で きそ うなのである が

,英

国やカナダのピア・サポー トをそのまま日本に導入することは

,い

わば

,木

に竹 を接 ぐよう なものであろう。たとえば

,英

国の中等学校で実施されているピア・サポー トを, 日本の中学校や 高等学校でそのまま実践するのは

,校

内の生徒の年齢幅の違いなどか ら

,困

難 と思われる。む し ろ

,新

しいシステムの導入に際 しては

,す

でにある取 り組みを活かす という方が

,賢

明な選択であ ろう。ここでは

,日

本の子 どもたちが自主的にたちあげたピア・サポー ト実践 に関す る新聞報道 や

,資

料が入手可能ない くつかの先駆的な実践について概観 したうえで

,そ

れらの実践のもつ可能 性について論 じたい。

1)ピ

ア・サポー ドの事例―新聞報道等 よリー た とえば

,幼

児教育での「縦割 り保育」

,小

学校 の登下校時や清掃時 における「縦害Jり班

Jの

中 に ア と も

,ピ

ア・サポー ト的な関係がで きている場合があるか もしれないが

,そ

れ らの取組みには

,ピ

・サポー トに比べ ると

,よ

り広範な目的や活動の要素が含 まれてお り

,先

述の ビタミン剤 の比喩 同様のた とえでは,「果物

Jと

いった位置づけになろうか。 「縦割 り

Jの

活動 ほどには多 くないか もしれないが

,ピ

ア・サポー トといえる実践 を子 どもたち カウンセラー

(6)

64

戸 田有一:学校 における ピア・サポー ト実践 の展 開 と課題 が自主的に行つたという記録が

,新

聞記事で散見できるl121こ とは興味深い。 ・卒業記念に

6年

生が下級生相手に「なんでも相談室」をオープン

/「

教師が立ち入 らないところ で

,上

級生と下級生の交流が生 まれている」 と校長先生

/栃

木県足利市北郷小学校 (朝日 全地方 版 (栃木

)96.2.21)

「い じめ相談室」児童会が開設

/児

童会が 自主的にスター トさせた

/子

供だけでは解決で きない 問題は児童会顧間の教師にア ドバイスを求める

/ア

ンケー トで実態調査 も実施

/愛

知県小坂井東小 学校 (毎日 (名古屋

)夕

96,2.1)

遅 くとも1996年頃にはこのような活動が行われ

,そ

れにメディアが着 目していたわけであるが, 子 どもたちが自主的にスター トさせたという点を特筆すべ きであろう。記事を読む限 りでは

,教

師 の支援 も

,放

任でも過度の介入 をするわけでもな く

,適

切なようである。 このような事実は興味深いが

,こ

の時期 よりも前に子 ども同士の相談活動が国内で展開されてい たのかどうかについて詳細に検索を行つた資料は

,筆

者はまだ見いだ し得ていない。今後の研究課 題の一つであろう。

2)国

内での先駆的実践 横浜市の本郷中学校では

,全

校生徒の誰でも参加できるピア・サポー ト委員会の中で

,生

徒たち は

,ロ

ールプレーなどを通 して「素晴らしい聞き手」 として成長 しているようだ。そこでは

,カ

ンセリング的な場の設定まで行わなくとも,「『野に放った』ピア・サポー ト委員の生徒たちが,『草 の根』的に子 どもたちの間の雰囲気や関係 を良 くす る核 となるこ と」が期待 されている (酒 井,2000)。 また,「学級 という狭い範囲の取 り組みではな く

,少

な くとも学年や学校全体 を範囲に 入れた『広が り』のある取 り組み」であ り

,か

つ「子どもたちが将来にわた り

,ど

のような集団に 所属 しようとも好ましい人間関係 をつ くりだせるように

,と

いう『見通 し』」をもった「段階的な 取 り組み

Jと

なるように構想 されている (滝,2000)。 滝 (1999)は

,本

郷中学校の実践のたちあ げの経緯などについて活 き活 きと記 してお り

,そ

こには

,ピ

ア・サポー ト実践をたちあげ運用する 際のこころがまえとして貴重な示唆 も多 く含 まれている。本郷中学校の取組みは

,横

浜 ピア・サ ポー ト研究会の実践 として共有 され

,さ

らに日本全国に広が りつつある。 金沢大学教育学部附属中学校では

,養

護教論の支援のもとで

,保

健委員会の活動 としてのピア・ カウンセリングの実践が平成

6年

度か ら展開されてきた(以下

,こ

の実践を「金沢実践Jと記す)。 まずは

,心

の相談室が開設され

,そ

のあとで『心の相談箱』紙上での意見交換や支え合いがスター トした。保健委員会の活動の中で

, 3年

生男子の発案に仲間が賛同したことが きっかけであるそう だが

,そ

のような自主性 を培 う活動が まず行 われていたようだ (河

,1996;河

,1997,河

田, 1998)。 金沢実践は

,子

どもの側の提案でス ター トし

,紙

上相談 よ りも相談室が先行 し

,長

期 間続いてい る。その紙上相談 も

,一

つの相談 に対 して

,委

員会の複数のメンバ ーがそれぞれ多様 な回答 を準備 していることで

,相

談者 に事態の解釈や対応策 を押 しつけない結果 になっていると思 われる。 しか しなが ら

,生

徒 の中には「仕方がないか もしれないが理想的す ぎる。 もう少 し詳 しく書 いて欲 しい」 (河田が実施 したア ンケー トヘ の回答 よ り

)と

い う意見 もあった (河田,1999)。 どこまで実態 に 即 して

,ど

こまで詳細 に書 けるのかは

,紙

上相談 ゆえの限界がある と思 われるが,「本音 で しか も ていねいなア ドバ イス」 を目指す生徒 と教職員の声 には

,前

向 きな姿勢が感 じられる。 河田は

,そ

の後

,複

数の公立中学校での紙上相談実践の展開に参与 し

,そ

の経験か ら貴重な知見

(7)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第

2巻

2号

(2001) 65

を提示 してい る (河田

,2000)が ,そ

れ は下記 の

3つ

に集約 され る。 ① ピア・カウンセ リング開始の きっかけには

,生

徒 の提案 と教師か らの働 きかけの両者があるが, いずれの場合で もス ター ト可能である。 ②教師か らの働 きかけで開始する場合 に

,カ

ウンセ リングとい う言葉 よりも相談 とい う言葉 を使 う 方が

,生

徒 にとっては身近 に感 じ受け入れやすい。 ③心の悩み相談か らは じめるよ りも

,体

に関す る質問や相談 か らは じめる方が

,生

徒 の活動 がス ター トしやすい。 また

,久

しぶ りに訪ねてきた卒業生が

,河

田 との語 らいの中で「私たちつて

,す

ごい ことしてい たんだね」 と感慨深 く語 つたそ うであるが

,

ピア・サポー トの効果 を考 える際 には

,何

年か後 の回 顧 による評価 も考慮 に入れる必要があるのか もしれない。 これ らの国内での ピア・サポー ト実践 は

,そ

れぞれの現場 に即 した多様性 を示 してい る と同時 に

,英

国などの実践で指摘 されて きた問題点 を解決す る糸口を示 して もいる。 英国での実践か らの報告

(Cowie&Sharp,1996)を

概観す ると

,面

談 によるピア・サ ポー ト導 入時 には

,少

な くとも次のような問題がある。

A.ピ

ア・サポーター志願者の確保 (ピア・サポーターヘの志願者が少 ない

,性

別が偏 る等)

B.ト

レーニ ング時間の確保

C.志

願者の適性 による処遇 (志願者のすべ てをす ぐに「よい聴 き手」 にで きるとは限 らない)

D.援

助的関係 と友 だち関係の線引 き (傾聴 と普通の会話の切 り替 えが可能なのか どうか) 本郷 中学校 を含 む横浜 ピア・サポー ト研 究会の現段階での取 り組みは

,一

言で言 えば

,

ピア・サ ポー ト・ トレーエ ングは行 うが

,特

別 な面談場面 を設定 しない ピア・サ ポー トであ り

,A・

CoD

の問題点 を回避で きる ものである。 もちろん

,

トレーニ ング参加者 は多い方がいいであろ うし

,性

別 も偏 つていない方が好 ましい と思われるが

,

ピア・サポーターを一定数確保することを迫 られる ことはないのである。 また

,総

合的な学習の時間の活用 を考 えているようであるので(滝,2000), Bの 問題 も解決可能であろう。 紙上相談 ピア・サポー トも

,ス

ーパー ビジ ヨンを相談 と同時進行 で行 えることで

,B,Cの

問題 点にある程度対応で きる。 また

,匿

名 ・ペ ンネームでのや りとりが中心 なので

,友

だち関係 との線 引 きが比較的容易 にで き

,Dの

問題 に も対応 で きる。

Aの

問題点 は残 るが

,面

談 に よる ピア・サ ポー トを実施 しに くい場合や

,そ

の前段階 として有用であると思われる (Toda,1999)。

Ⅳ日今後の ビア・ サポー トの実施枠組 み

い ままでに述べ て きたい くつかの先駆的実践 をふ まえ

,今

,ピ

ア・サポー ト実践 を学校 で構想 する場合の

,基

本的な枠組みを提案 したい (図2)。 もともとの ピア・カウンセ リングや

,面

談 によるピア・サポー トには

,い

くつかの困難 な課題が 伴 うので

,そ

れ を回避す ることが可能 な横浜方式 の ピア・サ ポー ト●Dや紙上相談 ピア・サ ポー ト を

,い

ずれか

,あ

るいは両方実施す ることが

,開

始時の一つの大 きな選択肢 であろう。 もちろん, その他 の方式の ピア・サポー ト

,た

とえば

,電

子 メール を用 いての相談方式で も

,面

談 に よる ピ ア・サポー トの もっ課題 を回避で きる可能性がある。 また

,横

浜方式の ピア・サポー トや紙上相談 ピア・サポー トをするの と同時並行で

,面

談 による ピァ・サポー トの トレーニ ングや

,ピ

ア・サポーターの道性の判断 をすることも可能であろう。 ピ

(8)

戸 田有一 :学 校 における ピア・サ ポー ト実践 の展 開 と課題 図

2

ピア・ サポー トの種類 と関係性 注 :面 談によるピア・サポー トが高度です ぐれた もの と位置づ くのではな く

,図

の上下は

,サ

ポー ター や利用者の範囲の違いを示す ものと考えていただきたい。 ア・サポーターの応談体制が十分にできた場合には

,横

浜方式 と面談

,あ

るいは紙上相談 と面談, というような組み合わせでの実施 も構想できよう。増野 (2000)│ま

,実

際のカウンセリングの場面 にスーパーバイザーが同席 して行 うライブスーパービジョンについても「クライエン トの同意が得 られれば考えても良い」 と述べているが

,子

どもが行 う面談によるピア・サポー トにおいても

,養

護教論やスクールカウンセラーが寄 り添つたかたちで実施することが

,導

入初期の実施形態の一つ の選択肢 として考慮 されてもいいのかもしれない。 要するに

,図

2に 示 したい くつかのタイプのピア・サポー トは

,さ

まざまな組合せでの実施が構 想可能であるのだが

,そ

れぞれの組合せのそれぞれの現場への適否

,そ

れぞれの組合せの実施順序 や実施時期に関する的確な判断が

,実

施の際に求められるであろう。

V.ピ

ア・ サ ポ ー ト実 施 上 の 課 題 ピァ・サポー ト実践や研究は

,ま

だまだ多 くはない。実践のたちあげや運用に際 しての知見の蓄 積 も必要であろうし

,効

果の実証的研究や

,他

の実践 との整合性に関する俯隊的議論などが

,今

後 の課題であろう。

1)ピ

ア・サポー トをたちあげる主体の問題 金沢での実践は

,男

子中学生の提案で始 まっていることが興味深いが

,こ

のような実践の場合に は

,子

どもの側からの「盛 り上が り

Jは

必須であろう。 もちろん

,お

となの側の働 きかけに子 ども たちが呼応 したのではいけないということではなく

,二

人三脚の呼吸のような相互への配慮がある かどうか

,モ

ニターする努力が求められるのであろう。 そのような努力の必要性 を痛感 させ られるのは

,不

登校の子のためのクラスメー トなどによるメ ンタルフレン ド実践が

,の

ちに「心が痛い

J記

憶 として想起 されることに出会 って きたためであ る(D。 「いい実践」や教師の仕事の省力化のために子 どもたちが使役 されてしまっては絶対 にいけ ないが,「働 きかけ」 と「待ち」のバランスは非常 に難 しいように思える。 また

,地

域の文化や個々の学校の実践の積み上げとの関係 を考慮することも必要であろう。佐藤 (1998)が 指摘するように

,特

定の「す ぐれた実践」 を特権化 し

,教

師の実践の多様性 と特異性 を 剥奪 して しまっては

,元

も子 もない。その場のニーズやたちあげの労力に関する健全な判断が求め られるであろう。 もちろん

,実

践形態に関する選択肢が少ない状態であって もいけないであろうか ら

,情

報提供 や

,様

々な選択肢 を提供することは必要であろうし

,選

択後 もある程度の試行錯誤が可能であるこ

(9)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育,人文科学 第

2巻

2号

(2001) 67

とが望 ま しい と思われる。 ピア・サポー トは

,一

人の努力で導入で きる実践ではな く

,ま

,責

任 の所在 を明 らかにする必要 もあ り

,中

心 になる実践者 と

,そ

れを支 えるネッ トワークの存在が必須 であろう。養護教諭が中心の場合

,ス

クールカウンセラーが中心の場合

,教

育相談担当の教師が中 心の場合 など

,そ

れぞれのメリッ ト・デメリッ トを検討する必要 もあろう。

2)ピ

ア・サポー トの効果測定の問題 ピア・サポー トの効用 については

,先

述 したように

,い

じめについては

,お

となに言 えないこと で も仲 間には言 える

,傍

観者やかつてのい じめっ子 も支援す る側 になることがで きる

,い

じめ防止 の明確 な意志表示 ともなる

,な

どがある。 しか し

,そ

の結果の有効性 を量的に示す ことはかな り難 しいことである (Cowie&01attson, 2000)。 た とえば

,い

じめの報告件数 な どを指標 に して

,実

践導入の事前事後比較 を して しまうと

,い

じめへの気づ きや報告 しやす さの向上か ら

,か

えって件 数は増加することがあ りうる。 先述 したピア・サポー トのワークシ ヨップに筆者が参加 した際 には

,ピ

ア・サ ポー トの導入 に よって学校の「何か」 を変 えることを提案 し補助金 をとるロールプ レーを行 った。 グループに分か れて相談 し

, 2つ

のグループが相対 して申請役や審査役 を した。そ こでは,「親か らの クレームの 程度」「保護者の示す信頼度指標」 聯日かい もの も含めて

,学

校内で記録 された生徒 間の トラブル」 などが

,介

入効果測定指標 として提案 され

,ロ

ールプレーが行 われた。 また

,い

じめがあった場合 の「報告の しやす さ」 も

,介

入効果測定指標 として有用であると思われる。 ヴイゴツキーの学習理論や状況的認知 (学習

)論

か らの視点で ピア・サポー トを評価する意欲的 な論考 (有元

,1999)も

なされているが

,そ

のような視点か ら

,成

功の度合い等 をみ とることも, 今後の課題の一つであろう。

3)学

校 とい う共同体の漸進的再構築 として ピァ・サポー トは

,よ

り俯跛的な視点か らは

,学

校 とい う共同体 における

,す

べ ての成員の より よい関係 の構築のためのツールであると言 えよう。た とえば

,滝

(1999)は

,ピ

ア・サポ‐ 卜の導 入を

,無

理や強制 を しな くとも着実 に学校 を変 えてい く大 きな取組みの中に位置づけているように 思える。 さらには

,今

後,「い じめ裁判」や「テイー ンコー ト」°9等の実践 と

,

ピア・サポー トは, 補完的な関係 になるのか どうか

,ど

ちらを先 に導入す る方が適切 なのか

,等

,結

論への収東 を緩 くさせつつ

,議

論 を重ねたい。 Ⅵ

.鳥

取 県 内 の ピア・ サ ポ ー ト実 践 Ⅲの

1)で

触れたように

,ピ

ア・サポー トとい う呼称で呼ばれていなかっただけで

,実

質はピ ア・サポー トにあたる活動は

,全

国各地に見いだ しうるのではないだろうか。鳥取県内において も

,同

様の実践がなされている可能性がある。そこで

,筆

者は

,鳥

取県内の全小中学校の養護教諭 を対象に

,ピ

ア・サポー ト的な実践の実態に関する調査 を行 つた。

1)目

的 鳥取県 内の小 中学校 にお け る ピア ・サ ポ ー ト実践 の実態 と

,ピ

ア・サ ポー ト実践 に対 す る養護教 論 の関心 についての資料 を得 るこ とが 目的である。養護教諭 に尋 ねたのは

,金

沢 実践 が養 護教諭 に

(10)

68

戸 田有一 :学校 におけるピア・サポー ト実践の展開と課題 よつて保健委員会の活動 として展 開されていたことと

,保

健室が子 どもたちの居場所 として位置づ いていることがあ り

,そ

こで「傾聴」の実践が展 開されていることが予測 されたためである。 しか

.

しなが ら

,他

の教員が積極 的 に ピア・サ ポー トを推進 してい る可能性 もあ るこ とか ら,「生徒指 導・教育相談担当の先生」等 とも連絡 をとっての回答が望 ま しい ことも

,依

頼文の中に付記 した。

2)方

法 調査時期 :2000年 9月 に実施 した。 調査方法 :各 小 中学校 の養護教諭宛郵送 による依頼。回答 は

,FAX・

郵送 ・電子 メールのいず れかでお願い した。 調査対象 :鳥 取県内の全4↓ヽ中学校の養護教諭 (学校 によっては養護助教諭)。 調査 内容 :ピ ア・サポー トに該当す る取組みの実施状況

,ピ

ア・サポー トに関する情報の必要性 について。 留意事項 :情 幸R提供型 の調査 とす るために

,郵

送時に, ピア・サポー トに関す る新聞記事や

,レ

ジュメを同封 した。

3)結

果 回収率 は

,小

学校 も中学校 もともに

60%(小

学校 は168校中108校

,中

学校 は62校 中37校

)と

い う 高い ものであった。回答用紙が

A4版

1枚で

,質

問項 目も極 めて少 な く

,FAXで

の回答 が可能で あったためではないか と思 われる。

9割

以上力▼

AXに

よる回答 であった。教育相談担 当の教員 か らの回答 は

, 2つ

の中学校 か らあった。 本論文では

,取

組みの実態 に関す る部分 についてのみ

,結

果 を報告す る。「先生の学校 では

,ピ

ア・サポー トに該当す る取 り組みは行 われていますで しょうか。下記の うち

,あ

てはまるものすべ てに

,○

印をつけて ください」 との問いに対 し

,選

択肢 として

,次

の6つを挙 げた。

1.ピ

ァ・ヵゥンセ リング (傾聴の技法 などの トレーニ ングをうけた児童・生徒が

,仲

間の相談 を うける取組み

)を

実施 している。(面談方式 と略記。以下

,同

様)

2.横

浜式の ピア・サポー ト(希望者 にピア・サポー トの トレーニ ングを しているが

,時

間や場所 を限定 しての面談は しない

)を

実施 している。(横浜方式)

3.紙

上相談 ピア・サポー ト(学年だより

,学

級だ より

,保

健 だよ りなどで

,児

童 。生徒 の悩み相 談 に

,児

童 。生徒が回答す る

)を

実施 している。(紙上相談) 4。 その他のかたちの ピア・サポー ト(具体的にご記入 ください

)を

実施 している。(その他) 5。 ピア・サポー ト的な取組みを

,今

は していないが

,今

後行いたい と考 えている。(行いたい)

6.ピ

ア・サポー ト的な取組みは していない し

,今

後 も行 う予定 はない。(行う予定無) 回答の集計結果 は

,表

2の

とお りである。 小学校 と中学校のいずれ も

,面

談 によるピア・サポー トや横浜方式の ピア・サポー トに

Oを

つけ 表

2

鳥取県内の小中学校におけるピア・サポー ト実施状況 (単位 :校) 面談方式

横浜方式

紙上相談

その他

行いたい 行 う予定無

計 /1ヽ1浄オ吏 0 0 1 3 60 44 108 中学校

0 0 o 2 19 16 37

(11)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第

2巻

2号

(2001) 69

た回答はなかったが

,自

由記述部分 を読むと「紙上相談」「交換ノー ト」「複数での面談」などがあ り

,

どれに該当するのか判別できないまま「その他」あるいは「紙上相談

Jに

Oを

つけたようであ る。それらの回答の具体的な記述は

,次

のようなものであった (文章表現は

,内

容 を変えない範囲 で順番を変えるなどした)。 「一時期

,保

健だよりを通 してF紙上相談 ピア・サポー ト』のようなものをしていたことがある。 現在はしていない」(中学校) 「保健室用のふれあいノー トの活用による交換ノー ト形式の心のサポー ト(ノー トの文面を読ん で

,感

じた生徒が返信を返 してい く

)を

かつて していた

J(中

学校) 「保健室で受けた相談について

,本

人の了解 をとり

,本

人 との信頼関係にある友達がオロ談 を受け る。養護教諭 も支援。不定期。」(小学校) 「保健室に来た時

,子

ども同士で相談にのるように

,働

きかけています。休憩・放課後などを利 用。あらためて相談 というのでな くても

,来

室時にワイワイ話 している中で

,出

た話題 に対 してあ なたならどうするかと聞いた りすることもあ ります」1/1ヽ学校) また,「たてわ り班 (異学年集団

)で

の活動 を多 くとりいれ

,仲

間づ くりをするなかで

,自

然に サポー ト的な役割が果たせたらと思 つている」(小学校

)と

いう回答 もあった。小学校での実施に 関 しては

,さ

まざまな意見があつた。「/1ヽ学校なので

,無

理ではないで しょうか。将来的には考え るか もしれませんが

,と

りあえず今のところは……」という意見 も,「今後行いたい。 ピア・サポー トつて面白そうだなって思つていました。関心はあるんですけど……」 という意見 も

,そ

れぞれの 学校での児童の実態や教師の準備状況を反映 してのものであろう。 また,「教育相談 として

,週

1回 実施 しているが

,生

徒対教師だけの取 り組みです。仲間同士の カウンセリングは, とても有効であるが

,自

分 自身が勉強不足だ し

,学

校体制を

,そ

ういうかたち にもってい くことがたいへんかなと思いました

Jと

の意見には

,ピ

ア・サポー トを

,滝

(2000)が 指摘するような学校単位での取組みとして意識できていることがうかがえる。 全体 としては

,日

常の中から自然にたちあがるような試みとして実施 し

,必

要性が薄れた りした 場合にはや らな くなるという

,無

理のない実施の様子が うかがえる。無理をして継続 させるような ことがないことはたいへんに好ましいと思われるが

,小

学校用のピア・サポー ト実践 プログラムが その時点で利用可能であったならばどうであつたのか等

,今

,よ

り詳細な聞き取 りを可能な範囲 で行 う必要があろう・ °。 Ⅶ

!筆

者 が 関 与 して い る

2つ

の ピア・ サ ポ ー ト 筆者は

,蔦

取において

,ピ

ア・サポー トを含む相談システムのたちあげに

,い

くつかかかわって いる。いずれも

,本

格的な運用に向けてたちあげつつある段階であるが

,現

段階での様子や今後の 構想について紹介 しておきたい。

1)鳥

取大学教育地域科学部附属小・中学校での紙上相談 を中心 とした実践 一つ目は

,鳥

取大学教育地域科学部附属小・中学校での実践である。1999年の7月 か ら

PTCC委

員会°つで構想を練 り,2000年 4月 にスター トした。基本的活動 としては

,子

どもたちや保護者の相 談に

,カ

ウンセラーや教師が紙上で回答 をしているが

,電

話相談や面接

,専

門機関の紹介 も行 って いる。月に 1回 発行 される『小 さな相談』紙上には

,児

童・生徒の紙上相談 ピア・サポーターとし

(12)

70

戸 田有一i学校 における ピア ・サ ポー ト実践 の展 開 と課題 ての参加 も可能であるが

,あ

る相談に対するカウンセラーの回答の仕方に対 しての要望があった程 度で

,ま

,本

格的なピア・サポー トが始まっているとはいえない。 最近になって

,鳥

取大学教育地域科学部で開催 されたピア・サポー トのシンポジウムに参加 した 生徒たちのなかか ら

,ピ

ア・サポー トを行いたい という声があるので

,金

沢実践の ような取組み が

,今

後行われる可能性がある。 また,F/Jヽさな相談』紙上には

,子

どもたちだけではな く保護者や教師も

,匿

名・ペ ンネームで 参加することが可能であ り

,さ

まざまなかたちでの支え合いが行われる可能性をもっている。

2)オ

ンライン・ ピア・サポー ト・ネッ ト もう一つは

,鳥

取大学学生相談室の設置 に伴 う

,オ

ンラインでの ピア・サポー ト・ネッ トであ る。 この ような実践 は

,最

近の学生生活上のニーズに対応 し

,全

国の大学で さまざまな実践が行 われ ているなか

,鳥

取大学で も試験運用 に向けて準備 中の学生相談 システムの一環 として準備が なされ ているものである。 文部省の調査研究協力者会議の一つである「大学 における学生生活の充実 に関す る調査研究会J の報告 (2000年6月

)で

も,「これ まで

,学

生相談機関は

,問

題 のある一部の特別 な学生が行 くと ころとい うイメージが根強 くあったが

,本

,学

生相談は全 ての学生 を対象 として

,学

生 の様 々な 悩みに応 えることにより

,そ

の人間的な成長 を図る もの」 とし,「何で も相談窓口」 の設置や,「カ ウンセラーを目指す学生 などを起用す ること」 に論及 している。杉渓 (1997)によれば,「い くつ かの大学ではスチューデ ン ト・カウンセラー とい う名称で

,学

生 どう しの援助活動 が行 われてい る」そ うである。広 島大学では

,平

成12年4月か ら学生ボランティアが学生の相談 に応 じる ピア・ サポー ト・ルームを

,全

国にさきがけて開設 した。 鳥取大学では

,学

生相談 システムが

,平

成12年10月か ら試験運用 され

,平

13年4月 よ り本運用 される予定である。電話 ・電子 メール・来談 などであ らゆる内容の相談 を受け付 け

,最

適 の相談先 を紹介す るとともに

,特

定の教職員 に過度の負担がかか らない ように

,よ

り多 くの教職員 と学生・ 院生が相互 に支 えあえるように

,シ

ステム全体が設計 されている。 精神科医等 によるケアが必要な場合 には

,今

までの ように

,保

健管理セ ンターで対応が なされる と思われるが

,比

較的軽い ものに関 しては

,担

当の教職員 と学生 ピア・サポー ターを中心 に

,多

く の教職員 ・学生 ・院生 によって

,情

報提供や心理的な支援が行 われる予定である。 この ような取組み を開始するに際 しては

,す

でにその萌芽がみ られたことも

,導

入へ の大 きな動 機づけとなった。た とえば

,毎

週の講義内容 について受講者相互の意見交換 を活発 にす る目的で設 け られた′心理学教室用の電子掲示板上■0で

,大

学生がペ ンネームで相談 しあつた り

,た

また ま訪れ て書 きこみを していった不登校の中学生 に大学生が温かい回答 を返 した りしていた。その際の「常 連」が

,ピ

ア・サポー ト,ネ ッ トを支 えるボランテ ィアの ピア・サポーターに応募 して きている。 ピア・サポーターは

,今

,教

職員 とともに精神科医等 による枡4多やスーパー ビジ ョンをうけな が ら

,回

答 を してい く予定である。主たるサポー トが修学・進路 などについての情報提供 に関す る 場合 は

,電

子掲示板上でや りとりを行 い

,そ

の結果 を「よ くある質問集」 に蓄積 してい く。対人関 係 ・生活・精神衛生 。心理的な悩み について は

,電

子 メール等 で回答 を してい く。 ピア・サ ポー ターに志願 した学生の一部は

,す

でに自分で運用 しているホームページで

,同

種 の悩 み ご と相談の 掲示板 を開設 してお り

,今

,そ

れ らのホームページは

,大

学の学生相談 ホームページに

,順

次 リ

(13)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 。人文科学 第

2巻

2号

(2001) 7ユ

ンクされてい く予定である。 上記のような実践は

,こ

れからの運用の試行錯誤の中で

,よ

り使いやすいシステムに変更されて い くことが予想 されるが

,こ

れらの実践がどのような効果をもたらし, どのような課題をはらむも のであったのかを

,継

続的に記録する必要があろう。

(1)ペア・セラピイ (par theraoy)は

,セ

ルマ ンとシュルツ (1996)に よれば,「関係が成立 していない 2人の仲間と1人の大人 という構造 をもつ治療」であ り,「社会的お よび1青緒的な成長 をうながすために, 子 どもたちふた りのあいだや

,子

ども一人ひとりとセラピス トとの

,発

展する関係 の経過 を用 いる長期 的な治療」である。面談 によるピア・サポー トにおいて,ライブスーパー ビジ ョンを行 った場合 には, その場面はペア・セラピイと同様の構造 を持つことになると思われる。 (2)コウ・カウンセ リング (cO―counseling)と は

,ピ

ア・カウンセ リングをする際に,カ ウンセ ラーがオロ 手のことをクライア ン トとしてではな く,あ くまで共通の経験 をもつ仲 間 として接する際の姿勢 を示す ことばとして使 われ

,障

害者の 自立支援 のための さまざまな活動 を行 っている ヒューマ ンケア協会等 に おけるピア・カウンセ リングの基本的な方法論 となっている (この件 に関 しては

,信

州大学の立岩真也 氏のホームページを参考にした)。 い じめ対策におけるピア・サポー トよりも

,支

援一被支援 の関係が よ り訳方向的であ り,よ り対称的な関係 を表現することばの ように思 える。 (3)1999年11月 にPauI Naylor博 士 にこの点について尋ねたところ,「カウンセ リングとい う言葉か ら

,精

神疾患 をイメージされることがある」 との回答であった。 14)同様の指摘 は

,数

多 く見 られる。たとえば

,横

浜 ピア・サポー ト研究会専任 トレーナーの松 田 (2000) は,「6年生だか ら1年生の面倒 を見 られるだろうとか, 6年生 だか らリーダー シップをとれるだろうと い う

,昔

だった ら当た り前 に思われて」いたことが「そ うではな くなっているJと述べ ている。 また, 千葉県松戸市や大阪市の街 なかにある小 さな相談・生活空間『フレン ド・スペース』の相談ス タッフと しての経験か ら

,富

田 (1996)は

,子

どもたちのなかに「人間関係の “修復能力

"に

自信 が な く

,新

た な関係 を築 くまでの “あい まいさ

"に

耐 えきれず

,知

的に割 り切 ろうとして感情 を軽視する」傾向があ ることを指摘する。そ して

,そ

の子 どもたちの声 を代弁 している。「人間関係が社会のシステムの中に組 み込 まれ [当た り前』に獲得で きていた時代 は終わ り,自分 たちは『学ぶ』時代 に生 まれたにもかかわ らず

,そ

のチ ャンスを親世代か ら与えてもらえずに育 ったJと。 ピア・サポー トは

,人

間関係 を学ぶ機 会 というビタミン剤 であるか ら

,摂

取の必要が無いに越 した ことはない し

,過

剰摂取 もよ くないが

,必

要な場合 に忌遇することもないのではなかろうか。 (51 単 なるス ローガ ンではな く

,い

じめが起 きた際の対応や処遇 を

,子

ども・保護者 ・教師が話 し合 つて 合意 したもの。

(6)3日

間にわたるワークシ ョップで

,各

セ ッシ ヨンの内容は,「ピア・サポー トの理論」「ピア・サポー ト・プログラムの展開」「限界

,倫

理問題,スーパー ビジョン」「ピア・サポー トによる介入の効果」「活 動/練 習」等であった。関連する情報については,httpプ /www.peersupport,co.uk/ を参照。 (7)「 誰か を困難に陥れようという意図をもって報告をする人」という意味で

,そ

の他 にも,snitcherやdob―

berと いった言葉が子 どもたちの間で使われているとのことである (Paul Naylor博士談)。

(8)この著書の副題 (From Bystanding to Standing by:傍 観か ら寄 り添いへ

)に ,そ

れが明確 に示 され ている。

19)こ の「訓練の度合い」の軸は

,滝

川 (1998)が,さ まざまな精神療法の技法性や特異性を「日常の手 立てや関わり」に共通の基盤を持つものとして図式化する際の,「プロ的―アマ的」「限局的 (焦点的)

(14)

72

戸田有一 :学校におけるピア・サポー ト実践の展開と課題 軸の右側にい くにつれて

,そ

の訓練 は分化 し

,複

数の特異な先端 に多様化するであろう。

10

杉渓 (1997)は

,養

護教諭や「いのちの電話」カウンセラーを,カ ウンセラーに準 じた仕事を行 う「パ ラ・カウンセラー」 と位置づけ,「ピア・カウンセラー

Jを

「プロ」で も「パ ラ」で もない第三の役割 と している。

10

メンタルフレン ドは,さ まざまな文脈の中で使われてきた言葉 である。ご く最近では

,児

童相談所の 指導の一環である「ひきこもり・不登校児童対策モデル事業」によ り派遣 される学生ボランテイアが, メンタルフレン ドと呼ばれている (伊藤 ・酒井,2000)。 注10の メンタルフレン ドは,この事業 とは関係 のない ものである。 住〕 ニホン・ミック「切抜 き速報教育版」 より。 住

9

滝 (2000)は

,海

外 の取組みの安易 な導入を避ける必要 を強調 しつつ

,本

郷 中での実践等 を「 日本の ピァ・サポー ト

Jと

呼 んでいる。「紙上相談 ピア・サポー ト」 も「 日本の ピア・サポー ト」の一環 と言え るか もしれないが

,こ

こでは

,横

浜 ピア・サポー ト研究会の取組みを「横浜方式のピア・サポー ト」 と

,一

応の区別をした。 l141 い じめや不登校 についての筆者の講義の一環 として

,紙

上や電子掲示板上で受講者が匿名あるいはペ ンネームで語 り合 うシステムをもうけているが

,学

生の中か ら女のような語 りも出て きた。「中学生の時 に

,私

とは違 う小学校か ら来た人の『メンタル・フレン ド』のようなことをしていた。登校↓E否 ぎみだっ たので

,朝

毎 日誘 つてお母 さんの話 を先生 に伝 えた り

,学

校か らの連絡 を伝 えた りしていた。先生 と話 し合ったりもしたが

,私

はその子のメンタル・フレン ドにはな りきれなかった。 と今で もその時のこと を考えると

,心

が痛い。それは,自分があ くまで も『傍観者』だったか らだ と思 う。 もっと気 を強 くも てていたらと今は思 うが

,そ

の ときはで きなかった」。あるいは別の学生は,「実際

,小

学校 の時,自分 自身メンタルフレン ド的な役割を先生から頼 まれ

,

よ く学校 を休む子の家へ しょっちゅう行 つていたが, だんだんと嫌 になった。『なぜ

,私

が行かなければならないのか。先生が行 けばいいのに』 と思ったJと 述べている。 もちろん,このような否定的な思い出だけではな く

,次

の ような語 りもある。「最初,なん となく先生 によって一緒 にされた『メンタルフレン ド』だったけれ ど

,そ

の子 と過 ご しているうちに, とて も仲良 くなった。実 は私 たちは

,気

の合 う二人だった。先生 はそれを見抜いていた ような気がす るJ。 しか しなが ら

,結

果的によかった らいいとい うもので もな く,これ らの取組み とかな り共通 した構 造 (おとなの支援の もとでの

,子

どもによる

,子

どものための活動)をもつ ピア・サポー トの実践にも, 運用面での配慮が求め られるのであろう。

19

テイーンコー トとは

,山

口(1999)に よれば

,北

米で広が っている

,い

わば陪審制度の一種であ り,「少 年が少年を立ち直 らせ る裁判Jと して「非行性が深化 していない早期 の段階で仲 間の影響力 によって更 正 させるところ」に特徴がある。運営全体 を把握するお となのコーディネータだけではな く

,ボ

ランティ ア・ス タッフやボランティアの少年 によって支えられている。テ ィー ンコー トを日本で導入 した場合の 効果 として,「対象少年 も含めた少年 自身による少年司法への主体的参加が確保 される道」 を開 くことや 「 コミュニティを動員することによって非行対策問題 を社会のメインス トリームヘ もち込む」 ことがで きるのではないかと期待 されている。

10

この実態調査 に関 しては

,鳥

取大学教育地域科学部4年生前田輝刀氏が,このあ とを引 き継いで卒業 論文の一環 として

,聞

取 り調査 を実施 してい く予定である。前 田氏は,ここで述べた質問紙調査 にも協 力 し

,そ

のデータを共有 している。質問紙調査のより詳細 な集計や考察 も

,氏

の卒業論文の中で行われ るであろう。 10 Parent,Teacher,Child,Counselorの 頭文字 をつなげると

PTCCに

なる。 10 httpプ/wwwimilk fed.tottor卜u.acip/∼shinri/keiziban.html

(15)

鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 ・人文科学 第

2巻

2号 (2001) 73

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,い

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Q&A

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テイー ンコー ト 少年が少年 を立ち直 らせる裁判 現代人文社 謝 辞 本論文の執筆 に際 しては

,文

部省 フレン ドシ ップ事業 シンポジウム「子 どもたちのこころの可能性 をひ らく一学校 カウンセ リングとピア・サポー トー」 を鳥取大学教育地域科学部 にて開催す るに際 して,コー デ イネータをつ とめさせていただいたことが

,大

きな きっかけとな りました。話題提供 を して くださつた 河田史宝先生

,伊

藤美奈子先生

,長

谷高 ひとみ先生

,そ

して

,本

シンポジウムを運営 された教育地域科学 部及び附属学校の教職員の皆 さま

,院

生 ・学生の皆 さんに

,記

して感謝申し上げます。 (2000年10月 19日受理)

ABSTRACT

Formerly,peer support was only kno、 vn as a sel王■help method for persOns with disabilities or severe illness A/1ore recently, it has been adapted for use in sch001s. Peer support methods, which enhance children's natural、 vilingness to help one another, have been found to improve tlle emotional chmate of schools and also to be erective for tackhng bunying.

After its cOnsiderable success in the UK and other cOuntries,sOme」 apanese schools began to irnplement the systena in modiied versions that see to be more apprOpriate for the Japanese culture.One of these verslons cOuld be called the `Yokohama method',which trains(hopefully) all pupils withOut providing a speciat roonl for one―to―one discussiOn of a problem and without

having a specialst team of peer supporters. Ths method nurtures a supportive chmate in

schools and alsO sets the scene for the development Of more counseⅡ ing一based approaches,A

second versiOn cOuld be known as `on paper method'.This equally useftll method was devel―

(17)

鳥取大学教育地域科学部紀1要 教育・人文科学 第

2巻

2号 12001)

ously w4deF the protection of a pttudonym.ThrOugh ths systtn SupervisiOn can be done at

the editing stage and― all pupils can‐Share in the geneFal iquestion alld answer' seSslons hat are

generated Thtt method can aにo lay the lgroundwork foF Otter types Of peeF SuppOFt SuCh as

counselinすbased apprOachest

After dttcusSng ine effectiveness of iれ ese sy載(耳ns and sOme issues that arise Froln themi the

paper prttents he FeSults of a lquesion■ 五re study Of peeF飩lppOrt輯ミt飩礎 fadita俺―d by scllool allrs蟹 Ⅲ in TOttoFi Finally,pe(ォ suppoFt interVenti釘 ls i4 which ine authoF dと eCuy paFticiOated

(18)

参照

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