性と詩的想像力 : W.B.イェイツをめぐって
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部A) 第45巻 第2号. 平成7年3月. fEduca i Se i I lo f Hokka i do Un i i t t t j ver on( c onIA)VO ourna s yo .45 .2 , No. March , 1995. 性 と 詩 的想 像力. --W. B. イ エイ ツ をめ ぐっ て-- 川. 上. 武. 志. イ エイ ツが後年 ( 50才過ぎ) 書き残した 『回顧録』 (MB “ ⑦“鴛) には, 若い時分の性的経験を率直に語って { 1 }しかも 詩 人 が特 に目 か らの 青 少 年 時代 の 性 につ いて 書 き残 した唯 一の 文章 と思 わ れる いる 部 分 がある. ‐ , こ れ には彼 は27才 になる ま で, キス はおろ か女 性 との 性 的交 渉を 一切 持 たな か っ たとあ る‐ 先 ず, ヴィ ク ト. リア朝期 という時代背景と詩人の属する階級が, その性意識を反映しているものと考える. そこでイ エイツ の家系を見ると, 父方の先祖 (祖父と曾祖父) は二代に渡って国教会 (福音教会派) の牧師を努めている. 初 め 弁 護 士 志 望 であ っ た 父も, プロ テス タ ン ト子 弟 の 最 高 教 育 機 関 であ る トリ ニ ティ ・ カ レ ッ ジ (Tr i i t n y ) に学 んで いる. ミ ル (J ) に傾倒 する な ど, 自 由主 義 的な気 質 と 合理 的精神 の持主 であ っ た Co l l l l ege .S ‐Mi よう である. も っ とも, 父か らのイ エ イ ツ に対する この方 面 での思 想 的影響 は, 大き いも の とは 言 えな い.. その父は後に著名な画家となるのであるが, イ エイ ツ家はある程度裕福なプロテスタント系の中産階級に属 していた‐ ヴィク トリア朝後期に青年時代を過ごした詩人は, この期の中産階級に顕著な性的抑圧に悩まさ れた と告 白する. 果 して ヴィ ク トリ ア朝 期 が, 全面 的 に性 を抑 圧 した時代 であ っ た か どう か につ いて は, 種. 々意見がある‐ しかし少なくとも, 中産階級およびその予備軍といわれる新興階級については首肯されるだ ろう‐ ま た庶 民 向 けの ピ ュ ーリ タ ニ ズ ム と言 わ れるメ ソ ジス ト派 は, 新 しい社 会 秩序 の 条件 である 労働 者 階. 級を支配するには, その性生活の鎮静がとりわけ必要であると考えた‐ これには下層階級にあっては, 既に 2 )と つ き 合 わす 18世 紀 末 か ら (第 一 次) 性 革 命 が始 ま っ て い た と す る E. シ ョ ー タ ー (E ) の 指 摘( t r e ‐shor くだり. ことができる‐ 『回顧録』 での情婦を持ち売春婦を買う友人達の行状を語る下は, 時代特有の性の二重規範 (doubl ) を 垣 間み せ る‐ さ ら に少年 時代 か らの 自 慰体 験, そ れ に伴う 疲 労感 と 嫌悪 感 を赤 裸々 t es anda rds. に語る 箇 所 は, S‐A‐D‐テ ッ ソ に始 まる 学 説- - マス タ ー ベ ー シ ョ ン が体力 を弱め, 生殖 器や 腸 に重 大な. ( 3 )広く浸透していた時代 の性道徳を反映しているとも言 障害をもたらすという意見とその忌避への警告が, えよう‐ しかし着目すべきは, 詩人が 「或る一人の女性への愛が自分を欺賄的な禁欲に落ちいらせている」 と 語る と こ ろ で あ る‐ そ の 当 の 女 性 “永 遠 の 女ず空’ と例 え ら れる モ ー ド. ゴ ン (Maud Gonne ) に出 会っ , た の は, イ エ イ ツ23才 (モー ド22才) の 時であ っ た‐ イ エ イ ツ と彼女 と の関係 は 実 際 生 涯 に渡る 片 想 い , , と も 言 える も の で, そ の 意 味 で モ ー ドはロ マ ン主 義 の 伝 統 で ある 「宿 命の 女」 ( f ) に相 当 する‐ l t emmef a a e. そして詩人は若くしてその探求に向かうことになる‐. 一般にヴィクトリア朝期の詩人達の性的対象 (女性) のとり扱い方は, 性の二重規範の表の部分--殊に 道徳面における強調を伴っ て, 極端に女性崇拝的であり理想化する傾向をもっていた‐ また彼等は, それに ( )女 性達 は 生 身 の 肉 体 を 持 た な い も の と して いまし 4 伴 っ て 非 常 にロ マ ンテ ッ ク な 性 概 念 を抱 く の である‐ , 81.
(3) . 川 上 武 志. ば描かれる. ヴィクトリア朝後期にその文学活動を初めるイ エイ ツの初期の詩も, 唯美的・ラファエル前派 風に味付けされており, 多分にこのことが当 てはまる. 例え ば詩集 『蕎薮 鋤 (T脳 Ro s g ,1893年) の な か の ‘The Whi t i eB rd は, モ ー ドと 一 緒 に 白 鳥 に変 身 して 現 実 か ら逃 れる と い っ た調 子 であ り, そ も そ も この. 詩集の ”書薮” そのものも, 全てを超越した永遠の美の象徴であり, モー ドの美と重ね合わされる. ike a dream ? Wrho dreamed that beauty passes 1 ide i l l the ips For these red l th a r mournful pr , ,wi Mournful that no new wonder may betide, Troy passed away in one high funeral gleam,. ldren di And Usnas chi ed .. ing world are passing by 帆′ e and the labour Amid meds souls, that waver and give place i l Like the pa ers in the r wintry race, e wat Under the passing stars, foam of the sky , Lives on this lonely face .. i dim abode: Bow down, archangels , n your h t b t Before you were , or any earts o ea,. ingered by Hi 帆′ s seat; eary and kind one l ld to be a grassy road He made the wor. ing feet Bef ore her wander ‐ 5 ) ’ ‘The Rose ofthe wor )( id (. 1894年) になって, 初めて女性と性的関係 を持つ‐ 小説家でもあり, 当時ライマーズ・ イ エイ ツは28才 ( ) と いう 女 i i ) に出 入り して い た, オリ ヴィ ア ・ シ ェ イ クス ピ ア (0l r v a Shakespea 1 ク ラ ブ (Rhyme rs C ub. 性がその相手であっ た‐ 彼女と従妹関係にあったライオネル ・ ジ ョ ン ソ ン. (Li ) よ っ て紹 介 さ lj one ohns on. れるのであるが, オリヴィアは裕福な家庭の人妻であり, 夫との離婚を望んでいた. イ エイ ツと彼女との関 係 は一 年程 続く のである が, イ エ イ ツ はそ の 間, モ ー ドの事 を忘 れてい た 訳 ではな か っ た. 詩 集 『葦 間の 風』. (T卿 wf郷 A粥朔g. い 書 か れ た 詩 が 三 篇 あ る‐ モ ー ドへ の 思 物8 Re ed s ,1899年) に は, オ リ ヴィ ア につ て. The Lover いを含む三角関係とも言える様子は,‘ i Pale brows i l l hands and dim ha t r ,s , i i ful f l had a beaut r end ld despa i And dreamed thatthe o r 汎rould end in love in the end: She looked in my heart one day And saw your image was there; ( 6 }. She has gone weeping away‐. 82. ’ mourns f or the Loss of Lov e. に描 か れる‐.
(4) . 性と詩的想像力. この 詩 は恋 する 女 (オリ ヴィ ア) が, 詩 の主 人公 である男 (イ エ イ ツ) の心 の 中 に他 の女 (モー ド) の姿 を. 見い出して, 泣きながら去るといった内容である. いずれにせよ, この詩集全体も象徴的な手法に彩られて お り, 実 生 活の ヴィ ヴィ ドな 体 験 は, ロ ゼ ツ ティ 風なス タイ ル によ っ て夢幻 的世界 に退 かさ れてお り, 読 者 はロ マ ン的な 雰 囲 気 しか感 じえ ない‐ や はり, イ エ イ ツ はこ の面 で ヴィ ク トリ ア朝 詩 人の 範祷 に納 ま っ てい. る と言えよう‐. 世 紀 の代 わ り 目 か らイ エ イ ツ は, 1904年 の ア ベイ 座 (Abbey Thea ) の 開場 に努力 する な ど, 演劇 活動 t r e に力 を 入 れる‐ そ れと 共 に, 演劇 を 通 じて モ ー ドと の 友 情 関係 も 依 然 と して 続 け ている. (劇 『キ ャ ス リ ー ン. 二 ・ フ ーリ ハ ン』 (C鯛期β れ 欄 息o煽す膨れ 1902年) は, モ ー ドを 主 役 に構成 さ れ, ま た彼 女 によ っ て演 e じら れ た.) イ エ イ ツ が 現 実 詩 人 に 変 化 し始 め た と い わ れ る 詩 集 『七 つ の 森 に て』 (腐 す脳 se健% Woods , ‘ 1904年) には, モー ド・ ゴン・ サイ ク ル と いう モー ドにつ い て 書 か れた詩 が多 数ある. The Fo l l y of being Comf t or ed は, 堅 実 なリ アリ ズ ム の 手 法 で モ ー ドを 描 い てお り, ‘The Arrow で も や は り モ ー ドの 美 しさ を讃美 して いる が, イ エ イ ツ は こ の ”矢” に, こ っ そり と彼女 に対する 性的欲望 の 意 味を忍 び入ま せ ている.. l thought of your beauty and this arrow , , Made out of a wi ld thought is in my marrow. , ’ There s no man may look upon her lo man, ,1 As when newly grown to be woman ,. Ta l l and nobl e but with face and bosom Del icate in colour as apple blossom‐ This beautys kinder yet for a reason , ( 7 ) l could weep that the old is out of season.. ‘Ad ’ am s. Cur se にみ ら れる が, 1900年 夏イ エ イ ツ は, モー ドに四度 目 の 求 婚を する‐ しか しモ ー ドは, 「あ. なたは私と結婚できないという不幸から正さに美しい詩を書けるのです‐ 世界の人は, あなたと結婚しなか ( 8 }こ の エ ピ ソ ー ドが示 す よ っ た 事 を 私 に感 謝 してく れる で しょ う」 と 言 っ て, そ の 求 婚 を 退 ける の であ る‐ う に, この 時期, イ エ イ ツ の モー ドへ の満 さ れな い愛 (欲望) がその詩 材 にな っ てお り, ま た 同時 に詩 作の 原 動力 にな っ て いる‐ イ エ イ ツ の こ の 求 婚ま でず っ と秘 密 に してい た の である が, モ ー ドは若 い 頃か ら ルシ ‐ ア ン ・ ミ ー ル ヴ ァ (Luc i ) と いう フラ ンス 軍 人 と 愛 人関係 にあ り, 既 に女子イ ー ズ ル ト ( l l ) l en Mi evoye l t s eu. を儲 けてい た. モ ー ドはこ の愛 人 と疎遠 になる につ れ, 性 的 交渉を 嫌う よう にな っ た という. こ れには 彼 , 女 がカ トリ ッ ク に改宗 した こ と が原 因 して いる かも しれな い‐ イ エ イ ツ 自 身 は こ れ が彼 女 が激 しい社 会 運 , 動 や 婦 人解 放運動 へ 身 を挺する 要因 にな っ て いる と 考え て い た‐ い ず れ に しても, 彼女 は1903年 に ボー ア戦. 争の勇士である J. マー ) と 結 婚 す る‐ こ の結 婚 はイ エ イ ツ に 大変 な シ ョ ッ ク を i de ッ ク ブライ ド (I Ma cBr 与 えた が, かえ っ て 彼 の禁 欲主 義 を解 放 したよう である- と いう の は, この 後 イ エ イ ツ は シ ェ クス ピ ア夫 , 人との 関係 も 回復 させ てお り, ま た 他 の女 性達 とも 関係 する よう になる‐ そ して詩 作上 での 性的 テ ー マ も , 徐々 にそ の ベー ル が取り 除か れる よう にな っ た. と ころ が, モ ー ドと マ ッ ク ブライ ドとの仲 はう まく い かず ,. 宗教上の理由から離婚にまでは至らなかったが, 二人の別居が認められるということになった ( 190 5年) ‐ こ れらの 一連 の 出 来事 があ っ た後, イ エ イ ツ はモ ー ドと ごく 短い期 間である が ( 1907年 終り ~1908年初 め 83.
(5) . 川 上 武 志. “ 頃), 肉体 関係 を 持つ. しか しその後す ぐに, 二 人はい わ ゆる “精神 的結 婚” の 関係 に戻 っ て いる‐ この 精. 18 98年) に遡る が, 二人が結婚するという夢を同時に見たという話 (両 神的結婚” というのは, 十年程前 ( 者の オカ ル ティ ズ ム へ の 心 酔 からの 影響 による もの) が基 にな っ てい て, 性 的関係 を持 た な い両 人の 交友 関 係 を 意 味する もの である‐ 二 人の性 的 関係 の 直 後 に, モー ドをモ デル に した詩 が, 詩 集 『み どり の ヘ ルメ ッ 数 あ る. ‘A Woman トとそ の他 の詩』 (T脳 G似れ 飽z粥勿 αれd ot脳γ Pog創s , 1910年) に 篇. Homer sung, ‘NO. Second Tr oゾ な どがそう であ る が, 主 にモ ー ドを トロイ の ヘ レ ン に讐 え て, 彼 女 の 美 しさ を 讃 え て いる 詩. 群 である. “Words” で は, 失 恋の苦悩 が詩 人と して の エネ ル ギー にな っ ている と再 び述べる.. l l had thi e ago s thought a whi , ‘M dar l ing cannot understand y ▽vhat l have done, or what would do ’ ln thi ind bi t t er land s bl .. And l grew weary of the sun Unt i l my thoughts cleared up again, Remembering that the best l have done. in; Wras done to make it pla. ‘ h i That every year l have cr eng ; ed , Atl l l l ing understands it a My dar , Because l have come into my streng;h, And words obey my calr;. That had she done so who can say. Wrhat would have shaken from the sieve? l might have thrown poor words away ( 9 ) ive And been content to l .. 詩風からみる と, 完全に現代詩人に変貌を遂げている とはいえ, 女性の神秘化・神話化という点において, Ki ng という作品の最終部では, 前 世 紀 の 詩 人の 残 津 を留 め て いる と 言 えよう‐ と ころ が, ‘ ng and NO Ki. モー ドとの肉体関係のことが尻めかされる‐ イ エイツが, ようやくモー ドとの性的関係の甘美さを大胆に回 Fr i α郷,1914年) の な かの ‘ l b i z ends-と いう‐詩 にお い て である. (な 顧するのは, 次の詩集 『責任』 (Reゆo%s お この詩 の 冒頭 に は, オリ ヴィ ア と の 関係 も 合わせ て歌 わ れている) さ ら に時代 も 下 っ て, 1926年 ~27年 に ) という 連 作 で は, イ エ イ ツ 自 身の 過 ぎ去 d 書 か れ た 「若 いと き と老 い たと き の男」 (A Mαれ 恥“鰹 卿α 0z ’ という 詩 で は モ ー ドと の1907年 頃の 関係 i Hi e s s Memor っ た恋愛体験全般が回想される が, そのなかの ‘ ,. が歌われており, ヘレンと称されるモー ドとのあからさまの性行為の場面が現れる. ibe lay there l 1the t The f i r rst of a And did such pl easure take-- She who had brought great Hecter down 84.
(6) . 性と詩的想像力. And put al I Troy to wreck--. That she cried into this ear, ‘St ike me i f l shriek’⑩ r ‐. このよう に20世紀 になる と, イ エ イ ツ とモー ドとの 関係 の詩 をとう しても, ヴィ ク トリ ア期 (中産 階級) く の が見 て と れる‐ こ れは19世紀 にお い て, 深い と ころ で徐々 に進 の禁 欲的な 性意 識 が, 次第 に薄ま っ て い-. 行していた下層階級の性革命が, 中産階級にも浸透していった結果である と考えられる. 特にこの流れを決 定づけたのは, 第一次大戦であっ た. 大量の女性達が, 戦場に旅立っていった男達に代ってその職場に立つ ことになった. 女性の社会進出は, 性解放の流れを増大させる. また医学 (避妊) 技術の向上は, この方向 をさらに加速させた‐ 結果, 反動として, 20年代に性的抑制が再び叫けばれるが, 大きなうねりに逆らうべ く も な か っ た. 我々 は, こ の 意 味で 正 しく 「肉 体 の 時代」⑪に置 か れ て いる と 言 える が, 20世 紀 の 詩 人 の 性. のとり扱い方は地上的・世俗的であり, ヴィクトリア朝期の詩人のような女性崇拝的.理想的.ロマン的な 傾 向は み ら れな い. こ の こ と は, 当 然19世紀 か ら今世紀 へ の性概 念の 変化 とも 一 致する. ここ で, イ エ イ ツ がモ ー ドとの ”精神 的結 婚” の状 態 に戻 っ た 頃の日 記 ( 1909年1月) を 見 てみよう‐. それらは一体どういう結果になるのだろう. 私はその事を, 彼女と私自身のために恐れるのだ. 彼女は 私の全てを持っている‐ 私は今ほど強く彼女を愛した事はなかったが, おのれの (肉体的) 欲望の害悪 から逃 れる ため に, 私 は別 の と ころ (女) へ と 向 か わな け れ ばな らな い. 私 達 を 分っ ごた ごたを 私 は ,. たえず恐れている. 私は, いつも彼女が私を作り, 私が彼女を作っ たと思っている‐ 彼女は私の純真で あり, 私は彼女の英知なのだ, 昔は彼女は不死鳥で, 私は彼女を恐れていたが, 今は彼女は私の恋人と a いう よ り, 私 の子供 な の だ‐Q. この引用 にはイ エイツがモー ドに対する肉体的欲望に絶えず悩まされている様子が窺われるが それを逸す , た め の ”別 の とこ ろ (女)” の 一 人 にM‐ デ ッ キ ンソ ンと いう 女 性 がい た 彼女 は イ エ イ ツ の 子 供 を妊 娠 ‐ , した と 知 ら せ て く る. 詩 集 『責 任』 の な か の ”Begga B t と 定 う 作 品 は, そ の 時 の も よ う i い r o eggar cre. --自分の性欲に対する幻滅が, アイロニカルに語られる. ‘And fe and house get a comfortable wi. To r id me ofthe devi lin my shoes/ Beg考αγ ゎ b l ggg解 けl ed タ唯 おぼれ砂‐財物cた , bg , ‘A d th 1 that is between my thighsノ ◎ n e worse deVi. ’ と いう 詩 では 人 形 造り の お かみ さ んの最 後 の コミ カ ルな 台詞 「ま あ ま た ‘The Do l l s ,. あ んた. ほ ん とう. ‘My dear my dear o dear /lt was an こう な っ ち ゃ た の よ」 ( ) も, こ の 件 を扱 i den ノ t a c c , , , っ て いる‐ イ エ イ ツ は, こ の 時ク ー ル に滞 在 して い た の で, 直 ち に グ レ ゴリ ー 夫 人 (Lady Gregory) に こ に. ま ぐれ で. の事を相談した‐ 夫人はイ エイ ツを早く結婚させねば, また同じ失敗を繰り返すかも知れないと考えたよう である‐ こ こ で, 全く 同 時期 の 日 記 ( 1909年 1月) を, 今一 度 覗い てみる‐. 今 日P‐エ‐A.L‐ (=モ ー ド) は, 本当 は 決 して私 の 計画 や 性 格や 考 え を理解 して いな い と いう 思 い が 浮 か ん だ‐ そ れ か ら次のよう に思 っ た- - かまう も の か‐ 私 の事 を彼 女 に説 明する こ とこ そ が 私 がこ , 85.
(7) . 川. 上 武 志. れ迄してきた, そして今もしている最上の事ではないか‐ もし彼女が私を理解したならば, 私はものを 書く理由を失ってしまうだろう‐ そして普通, こんな骨折りな事をするのに, そんなにたくさんの理由 少 を見 い 出せ な い もの なの だ.Q ここ で は, モー ドがイ エ イ ツ を理解 し受 け入 れた ら, 詩作 の 理 由を失 っ て しまう 旨の 事 が書 か れている が,. 1900年の時の求婚の際のモー ドの拒絶の言葉と比べてみると, 今度はイエイツの方が, 二人の悲劇的 (対立) ) ake 関係 を,詩 作 へ の エネ ル ギーへ と 積 極 的 に転換 しよう と して いる こと がわ かる.早く か ら ブレイ ク(W.B1. や東洋思想に親しんでいた詩人の根本哲学の一つは, 自伝で述べているように 「全ての創造は闘争から生ず セツクス. る‐」㈱という も の であ っ た. 性 は正 に対 立 がそ の 基盤 と な っ て いる‐ イ エ イ ツ の モー ドへ の執 勘 な 求愛 は,. その対照的性ネ各÷÷イ ェイ ッは本来内向的, モー ドの方は外向的性格にもその要因が醜、められようが, もし ) が得 ら れた と したな ら ば, i i t ng イ エ イ ツ が望 むよう に, 二 人の結 婚 に よ っ て対 立 が解 決 し統 一 (Un y of Be. いみじくも自身認めるように, 詩作の理由 (エネルギー) を失うことになっていたかもしれない. ) の失 敗 によ っ て, モー ドの 夫 マ ッ ク ブライ ドが処刑 さ れ i 1916年 に起き たイ ース ター 蜂 起 (Ba t r Ri ng s e s た. そこ でイ エ イ ツ は モ ー ドに最 後 の求 婚 をする. 彼 女 に拒 絶 さ れる と, (グ レ ゴリ ー 夫 人の 勧 めも あ っ た z d sw鰯s g wl が) す ぐに今度 は, 娘のイ ー ズ ル トに結 婚 を 申 し込 むの である. 詩 集 『クー ル湖 の 白鳥』 (Tれ i i ー ズ ル トにつ い て 書 か れ た詩 がいく つ かあ る が, 例 え ば, ‘The L v ng Beauty z 鯖 Co o e ,1919年) に は, イ. は, 彼女を題材にして対立するテーマである若さ - 老, 肉体 - 英知の問題が考えられ, その解決として硬 ‘ n ium の 黄 金 の ナイ チ ン ゲー ル に 具 現 す る 美) に 向 かおう とす る. しか し, ‘Me 質の美 ( Sa i l i ng to Byzant. では, 老年に差し掛りつつある 詩人自身を表わす大理石の男人魚 (トリトン) は To a Young Girr で は, イ ー ズ ル トを 通 して モ ー ドと の 愛 の 様 相 が 肉体の美に強く憧れ嘆息する‐ また ‘. th the Y Improve wi rぎ e a. 語 られる が, イ エ イ ツ はイ ー ズ ル トとモ ー ドの姿 を重 ね 合わせる. イ ー ズ ル トがこの 結 婚 に乗り気 で な か っ た 事 と, 両 者 の星 の相 が合わ ない と の 理 由で, この 結婚 は成立 しな か っ た‐ 結局, イ エ イ ツ は直ち に ジ ョ ー t so i c廿 ) と結 婚 す る‐㈱結 婚 愛 につ い て は, ‘ omon and the wi i ジ ィ ・ ハ イ ド ; リ ー ス (Georg e Hyd e s e‐Le on womad と いう 詩 を み にみ ら れる の だ が, 結 婚 に先 立 つ 数年 前 の ソロ モ ンと シ バ の 関係 を 題 材 に した ‘. る と (恐らくモー ドとの性的経験を基にして構想されたのであろうが), イ ヱイツは性愛を男女の対立を解 t So l c甘 で は, ソ ロ モ ン は イ エ イ omon and the Wi 決する 象 徴 と して描 い て い た‐ しか し結 婚 後 に書 か れた ‘. ツ夫人として登場するシバとの性愛 (の極点) は, 対立の一瞬の解消にしか過ぎず, 「新婚の床は絶望をも ‘ ) と述 べる の である. こ れはイ エ イ ツ が かつ て 日記 に書 い た 「愛 ings d ide‐bed br i た らす」 ( / the br r s espa. は仮面を創る」 という言葉を思い起こさせる. ソロモンはさらに 「恋人同士がそれぞれ, 想像による心像を ‘ For each もち こ み, その 床 にお い て実 像 を見 い だす か ら な の だ‐」 (. ) h a real image t r e:’ e. inds ings/ And f ined image br an imag. と続ける. これらはイ エイ ツ 夫妻の新婚生活が, 当初うまく行かなかっ た事を物語. ) に, イ エ イ ツ は大 い に驚 か さ れる こ i i i t t t ng る が, とも あ れそ の直 後, 夫 人 が始 め た 自動 書記 ( au oma c wr ) へ の集 体成 につ な が っ て いく の であ る が, イ エ イ ツ l と に なる‐ そ れ は 晦 渋 な哲 学 書 『幻 想 録』 (A 湾s れ 。 ) と考 える な ど, 「性」 と 「愛」 と 「オカ ル ト」 を混 ぜ 合わせ て 考 えて い は 男 女 を対 立す る ガイ ア ー ( s e gyr る.. イ エイツを今世紀の最 も偉大な詩人の一人である との評価を決定 づ ける 詩集は, 1928年出版の 『塔』 (T脳 T鰯 である が, その前年から既に60才も過ぎた詩人と病との戦が始まっ ていた‐ 肺充血と吐血に 86.
(8) . 性と詩的想像力. は じま っ て, 1928年 にはマ ルタ 熱 に犯 さ れ- - 一時, 生 死 を訪う - -各 地 で療養 を重 ねる. しか し次 に出さ ‘ れ た 『螺 旋 階 段 と そ の 他 の 詩』 (Tれ g w初飾れg 瀞α” αれα α 脳γ Pog朔s , 1933 年) の Words. for Mus i c. Perhaps に は, 性 的 で しかも 非 常 に濃 雑 な 詩 がみ ら れる. こ の 詩 群 は療 養地 であ る イ タリ ア の ラ パ ロ で 書 か れたの であ る が, ダブリ ン に戻 っ て か ら, シ ェ クス ピ ア 夫人 に次の 様 な 手紙 を 送 っ ている‐ 「い か れ ジ ェ ー ン (℃raz j e n) 」 y a. の詩とその後に続く愛の詩は, 刺激的な風変わりな詩だと自分でも 思います. 性的禁欲が, これらの詩に火をつけたのです‐ …私は病い に犯されながら, なおも性欲に満 ちていました. ときに私のもち得る最大の知的興奮を覚えながら書いたのです‐靭 ℃razy lane and the Jack theJ ourneyman という 詩 には, 死 後, 神 の も とへ 向か わ ず 一 人 ぼっ ち で地上 をさ. 迷うジャックの霊と性的結合を強く求める老婆ジェーンの姿がある‐ I KNOUV l though when l ooks meet ,a l tremble to the bone , The more l leave the door unlatched The sooner love is gone , For love is but a skein unwound Between はl e dark and dawn‐. A 1onely ghost the ghost is l come; That to God shal ’ 1一--love s skein upon the ground, My body in the tomb一--. i Sha l ll eap int o the l ght lost ln my mothers womb‐. But were l lef ie a lone t to l ln an empty bed , The skein so bound us ghost to ghost. vvhen he turned hi s head Passing on the road that night , Q◎ Mine must walk when dead‐. イ エイツの哲学による と, 地上で激しい性愛を体験する男女は, 死後に再び肉化してその経験を再現 (再生) さ せ る か ら である‐ (こ れを Dr eami ng Ba ck と呼ぶ) また, 性は男女の対立に基づいてその矛盾を解決する. ものとするが, 性愛はさらに魂と対立する. ここにおいてイ エイ ツは地上的なものつまり肉体に決定的に傾 い て いく. 1930年も 過 ぎる と, グ レ ゴリ ー 夫 人の死 ( 1932年) による 落 胆も重 な っ て, イ エ イ ツのイ ンス ピ レー シ ョ ン が 全 く 枯 渇 す る と い う 事 態 が 生 じ た‐ こ の 時 イ エ イ ツ は, 自 ら 進 ん で ス タ イ ナ ッ ハ 手 術 ( S i t e na ch ) - -生 殖 器 に施 す 一 種 の 回 春 手 術 であ り, 現 在 そ の 効 果 は 全く な い も の と さ れ て いろ i t ra ope on. を受 87.
(9) . 川. 上 武 志. ける‐ 多 分, イ エ イ ツ は だいぶ 以 前 から性 的不 能 (イ ン ポ テ ンツ) に陥 っ て い たも の と思 わ れる‐ そ の例 の 一つ と して, 詩 集 『塔』 の な かの 長 詩 ‘The Tower をみると, この塔 (バリリー塔) はイ エイ ツの知的象. 徴ともされるが, 一方塔の頂上の部分が実際壊われていたことから, 性的不能・不妊の象徴と解釈するしか たがある‐◎詩人はこの塔に件んで, 必死に想像力の回復 を試み, 次のように語りかける. l the most ion dwel Does the imaginat ‐ woman lost?蜘 UpOn a woman won ol. この女がモー ドを指すことは言う迄もない. さてイ エイツの手術であるが, 担当した医師が, 彼の性的能力 の回復はとう てい望むべくもないと漏したという事実がある. しかし手術は, イ エイツに精神面でその効力 1936年6月) に は, ) へ の手 紙 ( l l l を発揮 した‐ D‐ ウ ェ ル ズ リ ー (D.We ey e s. 手術がわたしにもたらした奇妙な第二の青春期はこのところ肉体的脆弱を進行させているようではあり ますが, わたしの想像力のほう はたぎりたつ発酵状態にあります. これからさきわたしの書く詩はこれ までのとは似ても似つかぬものとなりましょう 回 と述 べ ている. こ れを 証 明す る かの よう に, 詩 集 『最 後の詩 集』 (卿” Po g粥s ,1938一1939年) で は, 露骨 な. 性描写がみられ, 老人の色情が歌われる. イエイツは性欲と詩作は非常に密接な関係にある と考えていたよ うで, 一方が衰えるともう片方も衰えるものと思っていた‐ 『幻想録』 を説明しているシェクス ビア夫人宛の手紙のなかに, イエイツの性に対する考え方の根拠がみ られる. 彼はこの本で, 月の28相の満ち欠けを用いて歴史の盛衰を解説している が, ここ2千年間の人類の 歴史も四分割--古代・中世・ルネサンスに初まる近世・20世紀現代--さ れ各時代に四大元素 が当てら れ, また人体の各器官が振り分けられている. Wat h t ers under the e ar. Theb ow由 欲,. }. The Ear th. 加 吻t. The wrater. = The blood and the sex organ. Pαssのれ. The Air. l thought = The lungs logica ,. Tれ○“gZ 士 z. The Fire. =. So“Z. The Earth. 1 = Bvery ear1y nature-dominated ciVi 1sat lon. ‐ The VVatel. 7 il h F i hi l t l age = An armed sexua , c vary, ro ssar s c ron c es. The Air. = From the Renaissance to t he end ofthe l9th Century. The Fi re. l i i ivi = The Pur on by our hatred sat き りng away of our c. ◎ ( on these two . have a poem) (L825‐5). そして四分割された各時代 は, 年周期でいう春・夏・秋・冬にも一致し, また人間の一生 (幼年・青年・大 人. 老 人) にも 一 致 して いる. この 表 か ら 分かる こ とである が, イ エ イ ツ は性 器を 人間の 一生 で の青 春 時代,. 文明では彼が最も好んだルネッサンスへとつながる騎士の時代へと照応させている. 次に. 88.
(10) . 性と詩的想像力. 四つの抗争 第1相では…………倫理的 ノ情動 的 第8相 で は…… …・ ・ 第15相 で は……・…・ ・肉体 的. 第2 2相では…………精神的, 超感覚的 憤怒, 空想など 一憤怒 第8相 から 第12相 ま で… ……・ ・. 第12相から第15相まで……精神的ないし超感覚的憤怒 第15相 か ら第19相 ま で … … 空想 D 第19相 か ら第22相 ま で … …権力解. この表は 『幻想録』 からのものであるが, イ エイ ツが性的なものと情熱 (晩年には激情・憤怒) とを関係づ けた理由が, 彼の哲学体系からも理解される‐ 先のシェクス ピア夫人への手紙でも, 「私達は文明の最後の 四 分 の 一期 に入 り つ つ あ り, 魂 の戦 は 肉 体 の 回復 に 終わる こ と になる で し ょ う.」 と 述べ, 時代 の周 期 が- 順 する こ と を予 想 している. こ の 様 に, イ エ イ ツ は そ の 晩 年, 性 欲 を 詩 作 の 源 泉 と 考 え た の で あ る が, そ の 好 例 と な る の が ‘ The Spur. という短詩 であろう‐. You think i t horrible that lust and rage Should dance at ion upon my old age; tent They were not such a plague when l was young;. 回 VVhat else have 工 to spur m ー e into song?. イ エ イ ツ は色 欲 と 激情 が詩 作 の拍動 とな っ ている と高 言 している の であ る が こ の詩 はD. ウ ェ ル ズ リ ー 宛 ,. の手紙( 1 93 6年12月)に同封される‐ そして手紙の最後に,「私の詩は全て激情と色欲から成り立っている(と あ な た に以 前 お 話 し しま した)-」㈱と付 け加 えて いる- イ エ イ ツ の 晩年 の若 い 婦 人達 (D. ウ ェ ル ズ リ ー M. , ラ ド ッ ク, E‐. S. ヒールドなど) との交際も, 性的能力ひいては想像力の回復手段であったよう に思えて. な ら な い‐ そ して, イ エ イ ツ は死 の 数ケ自 前 の 詩 ‘ Po l i i t cs にお い ても, 政治 の 話 よ り 「でも ねえ私 はああ も 一度 若 がえり. ‘But o that l あ の 娘 を こ の胸 に抱 き しめ た い !」 (. in/ And he ld her in were young aga. ) と 歌う 程 であ っ た. 幸 いこ れ らの 事 は, 彼 の創 作へ の原 動力 にな っ たよう であ り その想 像力 my a rmsl’ , は死 の直 前ま で続 い た の である‐ そ して, な によ りもイ エ イ ツ は 最 後ま で詩 人 であり た か っ た の である , .. 1 } Den ( i s Donoghue ,ed「. ) 71一 2. l l W B.Ye解srM8醐 鴛 (London;Macmi an ,1972. ( 2 ) エドワー ド・ショーター 『近代家族の形成』 田中俊宏他訳 (昭和堂 19 8 7年) 第三章二っの性革命を参照のこと‐ ) バーン&ポニー・プーロー 『売春の社会 劇 香川檀他訳 (筑摩書房 1 ( 3 9 9 1年)36 9 ‐-37 0 ‐. 偲 ). Wende l ISJohnson l ha t l I U.P)256一 6‐ xαれd MQ“勿解 “ ⑦ %防げlme pばか ( ca &London:Come , Se. ) Ri ( 5 l )37. t l nneran chardJ s T膨 Fo e偶 (London:Macmi an .Fi ‐Yea ,ed W‐B ,1983 ( 6 ) ぁ“・61.. 89.
(11) . 川. 上 武 志. ( 7 ) 坊“・77‐. 7年)6 4 ( 8 ) 大浦幸男 『イエイツをめぐる女性たち』 (山口書店 198 ‐ ) Fi ( 9 nneran 90. . 77年) を参照‐ 回 スティーヴン・カーン 『肉体の文化~鞠 喜多迅腐他訳 (文化放送 19 回. ) 202‐ Vi i i t rk:oc agon r n a Moore g ,1973 , T脳 び””‘醐 (New Yo. ⑩. Fi nneran 114.. ) 230. i 回 los t n rmondswor憶:Pengu o s ヱ865一939 (Ha eph Hone .Y8 ,1971 , WB ) 473. l l ㈱ W.B.Yea t an s ,1964 , A%勧めgmPれ復s (London:Macmi 鰯 イエイツがこの結婚を急いだ理由は占星術による. 10月が結婚に適している とされた.. 肋 A1 f W B. 物α鳶 (New York:octagon,1980) 814‐ a n wade ,ed「 T脳 L鑑定鴛 q Qゆ Fi nne r a L n 258‐ ” ) 1959 i ft he Towerr rw姻 擁す れC Q9 sara Youngb l e“如け 茄彰m卿γ e5 ( ead ng o ood , A Rer 回. Fi nne ran l97‐. 例. 2 9 93年)5 リ チ ャ ー ド・ エ ルマ ン 『ダ ブリ ンの 4 飼 大淫正佳訳 (岩波書店 1 ‐. 物 Wa 23-5. d e8 2-3. 80年)12 ㈱ W.B.イエ イツ 『ヴィ ジョン』 鈴木弘訳 (北星堂 19 鈎 ・Finneran 312‐. ㈱ Wa d e871‐. Yー. 90.
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