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第3学年 道徳科学習指導案
1 主題名 崇高な人生を目指し、よりよく生きることに喜びを見いだす [D-22 よりよく生きる喜び] 「前へ-夢があれば壁は乗り越えられる-」(自作) 2 指導観 ○ 本学級の生徒達は、これまで、人間には自らの良心を基に弱さや醜さを克服して強さや気高く生きようとする心をもつ ことが分かるようになってきている。また、自分の良心にしたがって人間としての誇りや人間愛をもって生きる喜びにつ いて見いだそうと意識するようになってきている。しかし、意識と行為が必ずしも一致しているとは言えず、「他人の幸 せを素直に喜べず妬んだり恨んだりしてしまう」、「自分の過ちに気付きながらも責任を他に転嫁したり相手を攻撃したり して自分を正当化しようとしてしまう」などの行為が見られ、自分も含めて人間であれば誰でも弱さや醜さをもっている ことを認める意識が希薄である。また、「困難な条件の中で自分の限界に挑戦する」、「人の目のつかないところで奉仕活 動に努める」などの強さや気高さを誰に対しても見いだしていこうとする意識に未熟も面が見られる。そこで、決して人 間に絶望することなく、誰に対しても人間としてのよさを見いだそうとするとともに、自分、他者、社会と関連させてよ りよく生きることについて考えることができるようになるこの期に本主題を取り上げる。そして人間として共に生きる喜 びについて、人間は他者や社会に支えられながら志を基に困難を克服してよりよい生き方を求める素晴らしさがあること を考えさせる。このことはよりよく生きる喜びを見いだす生徒を育てる上からも意義深い。 ○ よりよく生きる喜びとは、人間として自らの良心に照らして弱さや醜さと向き合い、希望をもって関連する道徳的価値 を取り入れ、試行錯誤しながら強さや気高さを基により高い目標を設定し、自分を見つめながら定めた目標に向かって着 実にやり遂げることで弱さや醜さを克服することができることを理解し、崇高な人生を目指して、人間としてよりよく生 きることに喜びを見いだすことである。「よりよく」とは、望ましい自己の実現を求める状態のことである。「生きる喜び」 とは、「生きること」そのものへの深い喜びである。「良心」とは、人間として誰しもが求めているよりよい考えや行為の 快さのことである。「弱さ」とは、利己や快楽を求める人間が本質的にもつ一面的な心の在り様のことである。「醜さ」とは、 人間として客観的に見たときに羞恥や過ちと感じられる心の在り様のことである。「希望」とは、より高い目標の達成に向 けてよりよい自分の状態の実現を求める気持ちや自ら思い描いたありたい自己の姿に対する明るい見通しのことである。 「強さ」とは、憧れ、可能性、理想、志を基に弱さや醜さを克服するいきいきとした心のもち方のことである。「気高さ」と は、憧れ、可能性、理想、志を基に弱さや醜さを克服する美しい心のもち方のことである。「より高い目標を設定」とは、 困難や失敗に立ち向かいよりよく生きていこうとする気持ちから見通しや方策をつくることである。「着実」とは、目標 達成に向けて一貫して一つ一つ物事を確実に行う様である。「やり遂げる」とは、目標が達成できるかできないかに関わ らず自分で評価できる形になるまで決着を付けて終えることである。「崇高な人生」とは、自らの弱さや醜さを克服する強 さや気高さをもって志を高くして生きることである。「生きることに喜び」とは生きることそのものへの快い感情である。 本主題に関しては、第2学年で、人間として自らの良心に照らして弱さや醜さと向き合い、関連する道徳的価値を取り入 れながら理想を基に弱さや醜さを克服する強さや気高さがあることに気付き、誇りある人生を目指して、人間としてより よく生きることに喜びを見いだすことについて学習している。これらの上に立って、人間として試行錯誤しながら志を基 に克服することができることに気付かせ、崇高な人生を目指して人間としてよりよく生きることに喜びを見いださせる。 ○ 本主題の指導にあたっては、主人公の心情を感動的に読み進めたり、人間としてよりよく生きる喜びについて同質間の 話合い、異質間の話合い、まとめに向けた話合いという一連の話合い活動を行ったりして、人間は他者に支えられながら 志を基に困難を克服してよりよい生き方を求める素晴らしさがあることに気付き、崇高な人生を目指し自分をかけがえの ない存在と感じて生きることに喜びを見いだす態度を育てる。そのために教材として「前へ-夢さえあれば壁は乗り越え られる-」を取り上げる。主人公の〇〇さんはパラリンピック金メダリストである。パラリンピックで金メダルを手にし たものの、膝を損傷し人生最大の挫折をするが、トライアスロンに出会い、努力を重ねて世界選手権で優勝する話である。 人間には希望をもって試行錯誤しながら強さや気高さを基に自分を見つめ定めた目標に向かって着実にやり遂げること で弱さや醜さを克服することができることに気付き、崇高な人生を目指して人間としてよりよく生きることに喜びを感じ 取らせることができる。そこで導入部分では本時学習の方向性をつかむことができるように前時までに作成しておいた 「わたしの目標」のマップ図を生徒同士で紹介し合う。展開部分ではよりよく生きる喜びの価値を明らかにすることがで きるように、まず主人公である〇〇さんの生き方の感動理由について同じ立場のもの同士で話し合う(同質間の話合い)。 次に異なる考えに分かれて感動理由の共通点を基に主人公の生き方について話し合う(異質間の話合い)。最後に、マッ プ図を基に自分の目標を達成するために大切なことついて全体で意見を調整しながら話し合う(まとめに向けた話合い)。 終末部分では、自己の生き方を見つめ実践への意欲を高めることができるように自分の体験を振り返り、今後の生き方を 道徳シートに記述させる。2 3 ねらい ○ 人間は他者や社会に支えられながら志を基に困難を克服してよりよい生き方を求める素晴らしさがあることに気付き、 崇高な人生を目指して生きていこうとする態度を育てる。 ○ 主人公の心情を感動的に捉え、同質間の話合い、異質間の話合い、まとめに向けた話合いという一連の話合い活動を行 い、よりよく生きる喜びの価値を意欲的に追求できるようにする。 4 準備 読み物教材、場面絵、言葉カード、学習ノート 5 本時学習過程 段階 学 習 活 動 指導上の留意点 つ か む 見 い だ す 1 「わたしの目標」のマップ図を基に本時学習のめあてについて話し合 う。 ・目標を達成したい ・あきらめずに困難を乗り越えていきたい 2 教材「前へ-夢があれば壁は乗り越えられる-」を基に、主人公で ある〇〇さんの心情や行為について話し合い、よりよく生きる喜びの価 値について話し合う。 (1)教材「前へ-夢があれば壁は乗り越えられる-」について状況図を基 に振り返り、〇〇さんの生き方で最も感動した場面と感動した理由につ いて話し合う。 (感動場面) (感動理由) ○「わたしの目標」のマップ図を掲示す ることで、目標の達成に向けてあきら めずに困難を乗り越えるという人間 の姿から本時学習の方向性をつかむ ことができるようにする。 ○話合いの手順カードを用いることで 話合いを円滑に進めることができる ようにする。 【めあて】人間とはどのような存在か、考えよう。 〇〇さんの生き方で最も感動した場面はどこですか。また、どうしてその 場面に感動したのですか。 掲示したマップ図は、どんな気持ちが込められていると思いますか。 【話合いの手順カード】 ①(自分が)考えを伝える。 「私は( )だと思います。」 ②(他の人が)考えを尋ねる。 「なぜ( )だと思ったのですか。」 ③(自分が)尋ねられたことについて答える。 「私は( )だと思ったからです。」 ④(他の人が)考えを聞いて、感想を伝える。 「( )だと思いました(感じました)。」 ⑤班での話し合いが終わったら、班の友達 の取り入れたい考えや話し合いを通し て書き変えたい考えを学習プリントに 記入する。 ・一つ一つ目標を設定して猛練習を重ねたところ ・雨の日も風の日も練習を続けたところ ・意識がもうろうろとしたり、転倒したりして伴走者が励ましている ところ ・膝を痛めても走るのをやめなかったところ ・挫折してもトライアスロンに挑戦したところ ・トライアスロン中に伴走者に対して感謝しているところ ・自分の人生を振り返っているところ ・目標を乗り越えると大きな喜びがあると感じることができたから ・パラリンピックで入賞を果たしてもそれで終わらずに優勝したいと 粘り強く努力しているから ・自分もきついはずなのに、一緒に苦しさを乗り越えているから ・プラス思考で走るのをやめるという選択肢がないから ・失敗を繰り返しても自分の目標に向かってできる努力をして自分の 限界に挑戦しているから ・伴走者や応援してくれている人達のために感謝しながら競技に取り 組む姿が素晴らしいから ・自分の目標が達成できたのは、自分だけの努力とは考えず、周りの 人に感謝の気持ちをもっているから
3 見 つ め る (2)〇〇さんの生き方の感動理由を基に、〇〇さんは次のパラリンピック のトライアスロン競技に挑戦すると思うか、挑戦しないと思うか、班で話 し合う。 (3)「わたしの目標」のマップ図に書き加えたいことを基に、これから目 指す生き方について話し合う。 3 これから目指す自分の生き方について実践への意欲を高める。 ○感動理由を基に議題を明確にし、議論 の仕方を提示する。また、議論により 出てきた多様な考えを分類すること ができるようにマトリクス表を用い て分類することができるようにする。 〇「わたしの目標」のマップ図を基に人 間のもつ素晴らしさについて考えるこ とで、自己の道徳的価値観を高め、よ りよく生きる考えを見いだすことが できるようにする。 ○これまでの一連の話合い活動振り返 ることで、これから目指す自分の生き 方について実践への意欲を高めるこ とができるようにする。 世界トライアスロン選手権大会で優勝した〇〇さんは、この後、今年 行われた次のパラリンピックを見据えて挑戦したと思いますか。挑戦 しなかったと思いますか。 これから目指す自分の生き方について考えてみましょう。 【まとめ】人間は周りの人や社会から支えられながら、心に決めた目 標に向かってよりよく生きることを求める素晴らしい存在。 【議論のしかた】 ○自分の経験を述べる。 ○自分にはあるが、相手にはないものを考 え、伝える。 ○相手に質問の意味を聞かずに理由を聞 く。 ○相手の理由を関連付けたり、比較したり する。 ○相手の立場に入って批判する。 ○時間的(過去・現在・未来)・空間的(自 分・他者・集団や社会)な視点から自分の 考えを述べたり、相手を批判したりする。 挑戦する 挑戦しない + - ・夢や希望をもって生き続けられる ・自分を成長できる ・すごい自分になれる ・感謝の気持ちがもてる ・世界中の人に勇気を与えられる ・ケガや病気につながる ・自分の気持ちだけで行動するのは わがまま、身勝手 ・周りに迷惑をかける ・無謀 ・新しい目標をもつことができる ・自分を見つめる時間が増える ・毎日を健康的に過ごせる ・たくさんの人に出会える ・新しいスポーツのクラブに入れる ・寂しい、切ない ・毎日をただ何となく過ごす ・この後、ずっと後悔する ・生きる望みがなくなる ・目標を見失うことが一番の不安 話し合いを通して、最初の感動理由に付け加えるとしたら、どんなこ とを付け加えたいですか。 「わたしの目標」のマップ図に、話合いや図を参考にして、描き加え たいことは何ですか。 私は今まで自分の能力に合わせて生きていくことが大切だと思ってい ました。でも今日の授業を通して、人間にはあきらめずに努力したり挑 戦したりすることで自分の可能性を伸ばして、自分では想像もつかない ような力を発揮することができることに気付きました。今は志望校を決 める大切な時期だけど、〇〇さんのように強い意志をもって目標に向か って頑張っていきたいと思うし、これからの残り少ない中学校生活を精 一杯過ごしていきたいです。 ・僕は周りの人や学校を書き入れたいと思います。なぜならば、これから 目標に向かって進んでいく時に、自分の力だけではなく、周りの人や社 会に支えてもらうと思うからです。 ・私は目標の先に道を書き入れたいと思います。目標の先にもまた新らし い目標があって、その目標に向かって進んでいくことが大切だと思うか らです。 ・〇〇さんが限界まで可能性を伸ばそうと目標をたくさんもつところ ・〇〇さんが普通の人にはなかなかまねすることができないものす ごく強い意志をもっているところ ・〇〇さんの周りの人にも勇気を与えて生きようとしているところ
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【教材文】自作資料
「 前へ ‐夢があれば壁は乗り越えられる‐ 」
「マラソンと出会い、走れるようになってから、僕は考え方がプラス思考になりました。」 これはパラリンピック金メダリストの言葉です。〇〇さんは幼い頃に失明してしまい、盲学校卒業後、鍼灸院を開 業しています。友人から誘われてマラソン大会に出場したのがきっかけで、〇〇さんはマラソンと出会いました。 「マラソンは大嫌いだったけど、短い距離だったら僕でも走れるだろうと思って挑戦しました。この大会で、僕はも のすごく時間がかかってゴールしました。だけど、すごい速さで走り切った視覚障害者の方がいて、詳しく話を聞 いてみると、僕よりもかなり年配の方だったんです。僕より年上、しかも全然目が見えないことに、僕はショック を受けました。『どうやって速く走れるようになったんだろう』という関心がわいてきて、その方の所に話を聞きに 行きました。そしたら円周走という、目の見えない人でもできる練習方法を教えてくれたんです。」 円周走とは、まず、運動場の真ん中に杭を打って杭に長さ20mのロープを縛ります。次にロープを自分の腰に巻き ます。そしてスタート地点にはラジオを置き、最初の1周は杖をついて、安全を確認できたら走り始めるものです。 ラジオでタイムを確認しながら、1周で125m、8周で1㎞を走ります。 「この方はこの練習でホノルルマラソンに出場したんです。『すごいな!僕でも練習したらホノルルマラソンに出場で きますか』と聞いてみたら、その方は『私より若いのにできないわけがない』といって僕の背中を押してくれまし た。」 〇〇さんは目標をホノルルマラソン出場に設定しました。実際にこの練習法で走ってみたら、初めは12周、1500m しか走れませんでした。しかし、「今月は1500mでいい。来月は3000mにしよう。」と思って気持ちを切り替えたそう です。そして四カ月後、〇〇さんは10㎞を走れるようになっていました。10㎞を走れるようになったら、ロードレー スに出場したいと思うようになった〇〇さんは、その後ホノルルマラソンにも出場することができました。 それから〇〇さんは、目標を定めては乗り越え一つ一つステップアップしていきました。そして、ついにパラリン ピックに出場することになります。この年のパラリンピックでは6位入賞を果たしますが、〇〇さんには悔しさだけ が残りました。「次こそは、何が何でも金メダルを取りたい!」。そこから猛練習の日々が始まり、雨の日も風の日も 休まず練習に励みました。やり残したことがないように。悔いを残さないように。 ついにパラリンピック男子マラソン大会の日がやってきました。気温は35℃。アップダウンの激しいロード。過酷 な環境の中で、途中棄権者が何人も出ましたが、〇〇さんは走り続けました。30㎞を過ぎて、一度転倒しましたが、 すぐに起き上がり、走り続けました。脱水症状でもうろうとする意識の中にいる〇〇さんを伴走者は何度も何度も励 まし続けました。 そして、マラソン大会優勝、金メダルを手にしました。 「ゴールしたときは嬉しいというより、ホッとしました。喜びがこみ上げてきたのは、表彰台に上がったときですね。 国歌が流れるのを聞いて、国旗が掲揚されるのを感じて、これまで支えてくれた、たくさんの人達のことを一人一 人思い出しました。これまでの練習の重みが身体にしみてきて、今まで味わったことのない喜びを感じました。」 それから四年後のパラリンピックでは、練習のやり過ぎによる疲労が原因で六位に順位を落としました。その四年 後のパラリンピックで、もう一度優勝して金メダルを手にしたい〇〇さんは、再起をかけ、そこから猛練習を始めま した。しかし、合宿中のプールトレーニングで転倒。左足の半月板を損傷し、フルマラソンなどの長い距離を走れな くなってしまいました。このため、パラリンピックに出場はできなくなりました。 「悔しくて涙が止まりませんでした。目標を見失うことがこれほど悲しいこととは思いませんでした。」 〇〇さんは、このとき人生で最大の挫折をしました。 目標を見失い、不安な気持ちで落ち込む日々が続きました。そんな中でも走ることだけは続けたいと思い、練習を 続けてはいたものの、次のパラリンピックを目指すのは非常に厳しい状況でした。そんな時に、ある競技をしている 人と出会います。その競技がトライアスロンでした。 「長い距離を走るのが駄目なら、水泳、自転車、マラソンと三つの種目で勝負できるトライアスロンがあると気付い たんです。このとき、僕の新しい目標はトライアスロンになりました。」5 トライアスロンに目標を設定し、新しい挑戦を始めた〇〇さんでしたが、次々と困難なことに出会います。 最大の問題は伴走者が見つからないことでした。目の見えない〇〇さんにとって、伴走者はまさに命綱です。伴走 者がいなければ本番のレースだけでなく練習もできません。しかも、トライアスロンはマラソンと違い三つの競技が あるため三人の伴走者を探さなくてはなりません。伴走者はなかなか見つかりませんでした。 「伴走者が見つからなければ、トライアスロンを諦めようと思っていました。しかし、小学校の運動場で一人練習し ていると、小学校の先生や県庁の職員さんが一緒に練習に付き合ってくれるようになりました。そこから、次々と 練習に手伝ってくれる人が出てきて、トライアスロンの伴走者が見つかりました。不思議なことに、希望をもって 一生懸命やっていれば、必ず誰かが手を差し伸べてくれました。」 トライアスロンは水泳、自転車、マラソンの三つの競技で競い合うスポーツです。水泳は、伴走者とゴムひもで身 体をつないで泳ぎます。二人乗りの自転車は、伴走者が前に乗り、ギア変則や右左折、カーブの指示、路面状況など の情報を伝えます。マラソンは、ロープを握って走ります。〇〇さんだけでなく、伴走者の負担も大きいスポーツで す。しかし、〇〇さんにはたくさんの伴走者が必ず応援に駆け付けます。伴走者の一人はこう話します。 「〇〇さんの前向きな姿勢や心から湧き出す情熱にふれると、私達、伴走者の気分も高まってきます。私も〇〇さん とともに夢に向かい、困難に挑戦することができるので、充実した人生を過ごすことができています。」 トライアスロンに出場できるようになった〇〇さんは、初めは出場してもリタイアやタイムオーバーの連続でした。 失敗を繰り返す度に悔しい思いを何度も何度も経験しました。しかし、「トライアスロンの完走ができたら、次は上位 入賞、そして優勝を目指す」と一つ一つ目標を設定し、猛練習を重ねました。自分と一緒に走ってくれる伴走者のた めに。そして自分の夢を手伝ってくれるたくさんの人達のために。 日本国内のトライアスロン大会で次々と優勝していった〇〇さんは、ついに世界トライアスロン選手権大会に出場 します。 大会は水泳4㎞、自転車110㎞、マラソン30㎞の過酷なレースです。好スタートを切った〇〇さんでしたが、自転車 では高低差が600m、山の山頂まで10㎞の登りを含む難コース。ギアの調子が悪く、登りの途中で痛めた左足がけいれ んするなどのアクシデントが続きました。 「やめたらそれで終わり。一緒に頑張ってくれている伴走者のためにも絶対にあきらめたくはありませんでした。」と 不屈の闘志で乗り切りました。最後のマラソンも伴走者と励まし合いながら、ゴール。ついに夢であった世界選手権 大会で金メダル獲得しました。 「足のけいれんや自転車の不調など、たくさんの困難を乗り越えて伴走者と一緒に優勝することができました。伴走 者と励まし合ってきたその分だけ喜びがこみ上げてきました。」 世界選手権を終えて、〇〇さんは、これまでの人生を次のように振り返っています。 「パラリンピックの練習で半月板を損傷したとき、僕は人生で最大の挫折をしました。しかし、その挫折が僕をトラ イアスロンに導いてくれました。 そして、たくさんの人に出会い、たくさんの人に支えられて目標をもつことができました。私は一人では大会に 参加することができません。泳ぐ時、自転車をこぐ時、走る時、そしてゴールする時も伴走者が必ず私のそばにい て、励ましてくれます。その励ましの声一つ一つが私を前へ進ませてくれる生きる力になっています。たくさんの 人との支え合いで目標が達成でき、夢は叶っていきました。感謝の言葉では足りないくらいの思いで毎日を過ごし ています。 人は、いきなり目が見えなくなると絶望します。どうやって生きていけばいいのか分からなくなるからです。目 は見えなくても、たくさんの人に支えられながら夢は見ることができます。光はなくとも人生は明るいのです。そ れぞれの目標に向かって、自分ができることを一つずつやっていく。すると、不可能が可能になってくる。階段を 少しずつ上がると想像もしないとんでもない所にたどり着くことができます。だから、途中であきらめることが一 番悲しいことだと思っています。 僕は、目は見えないけれど、夢はたくさん見ることができます。光は失ったけれど、人生は輝いています。」 〇〇さんは今日も夢を求めて、挑戦を続けています。