著者
阿部 尚人
学位授与機関
Tohoku University
修士論文
CVD
グラフェンの伝導特性
東北大学大学院理学研究科
物理学専攻
阿部 尚人
平成
24
年
i
目次
第1章 序論 1 第2章 グラフェンの基礎物性 3 2.1 バンド構造. . . 3 2.1.1 グラフェンの結晶構造 . . . 3 2.1.2 タイトバインディング近似 . . . 4 2.1.3 k点近傍でのバンド構造∼k· p摂動法を用いて∼ . . . 7 2.2 量子ホール効果 . . . 9 2.2.1 磁場中の2次元電子の古典的な運動 . . . 9 2.2.2 ランダウ準位と量子ホール効果∼一般の二次元半導体において∼ . 10 2.2.3 ランダウ準位と量子ホール効果∼単層グラフェンの場合∼ . . . 13 第3章 CVDグラフェンの特徴と微細加工 17 3.1 CVDグラフェンの特徴 . . . 17 3.2 微細加工 . . . 18 3.3 プロセスの問題点 . . . 21 3.3.1 バックゲートリークの原因 . . . 21 3.3.2 プロセスの成功率 . . . 22 3.3.3 オーミックチェック . . . 23 第4章 低温測定 25 4.1 測定方法 . . . 25 4.2 キャリア密度と移動度 . . . 26 4.3 量子ホール効果 . . . 29 第5章 原子間力顕微鏡によるグラフェン表面の不純物の除去 31 5.1 原理、先行研究 . . . 315.2 グラフェンクリーニングのテスト . . . 32 5.3 低温測定後の試料を用いたグラフェンのクリーニング . . . 34
第6章 結論 37
謝辞 39
1
第
1
章
序論
2004年にアンドレ・ガイム氏、コンスタンチン・ノボセロフ氏らが、スコッチテープ を用いて高配向性結晶黒鉛(HOPG)からグラフェンを取り出す方法[1]を発見して以来、 グラフェンの研究が非常に活発に行われている。 グラフェンは、分散関係が線形であり、逆格子空間のK点近傍において伝導帯と価電 子帯が接する。これはゼロギャップの半導体であり、質量ゼロのディラック粒子と考える ことができる。この特異な電子状態を反映して、電気伝導特性、光学特性において、興味 深い物性を示している。特に電気伝導特性では、2005年の報告[2, 3] よると、量子ホール 効果におけるホールプラトーの値が半整数ずれる、いわば“半整数”量子ホール効果とい う特異な性質が観測されている。また、室温における量子ホール効果の観測[4] や、中空 状態にあるグラフェンにおける分数量子ホール効果の観測[5]など非常に興味深い報告が なされている。このような物理的な観点からだけでなく、電子デバイス応用の面でも、室 温での移動度が100,000 cm2/V·s[6](原理的には電子も正孔も同じ値を取りうる。)にも達 し、シリコンの移動度(電子移動度:∼1,400 cm2/V·s、正孔移動度:∼400 cm2/V·s[7])を 大きく上回るので、次世代の半導体材料としても期待されている。 ガイムらによって発見されたスコッチテープを用いてグラフェンを取り出す方法[1]で は、デバイス応用の観点からは、量産性や大面積化の困難という問題がある。近年では、 他にもいくつかの単層グラフェンを得る方法が開発されており、その一つとして化学気相 成長法(CVD法)がある。CVD法におけるグラフェン(CVDグラフェン)形成の試み は、1960年代に化学的に薄層グラファイトを合成する方法の報告[8]から始まり、最近に なって、銅触媒を用いることによって基板全体に単層グラフェンを形成する方法[9]が確 立し、量子ホール効果も報告されている[10]。銅触媒を用いるCVD法であれば、スコッチ テープ法に比べて移動度の面では劣るものの、量産化・大面積化が可能になる。これは、 デバイス応用上の利点というだけでなく、物性研究を行うサンプルの作製にあたっても、 形状の異なるホールバーや量子ポイントコンタクト、量子ドットなど様々な構造を自由にデザインし、物性を調べることが可能になるという利点になる。また、単結晶性を保つグ レインサイズは有限であり、応用上は問題となるものの、グレイン境界がグラフェンの電 子状態に与える影響は興味深く、電気伝導特性、光学特性、磁気特性など多くの理論的な 研究 [11] が行われている。よって、CVDグラフェンを用いることによって、グレイン境 界を選択的にサンプルに組み込むことで、グレイン境界が電子状態に与える影響について 研究することも可能となる。 このような背景から、本研究では、まずCVDグラフェンを電気的に測定が可能となる 構造に加工し、グラフェンにおける最も特異な性質の1つである量子ホール効果を観測す ることを目的として研究を行った。また、移動度を改善するために、ごく最近報告のあっ た原子間力顕微鏡(AFM)を用いたグラフェン表面の不純物を機械的に除去する方法[12] を試みた。 本論文は、以下の構成になっている。第1章で本研究における背景と目的を述べる。第 2章では、本研究を行う上で重要なグラフェンのバンド構造と量子ホール効果について述 べる。第3章では、本研究で用いた試料の作製方法及び問題点について述べる。第4、5 章では、本研究で得られた実験結果について述べる。第6章では、本研究のまとめと今後 の課題について述べる。
3
第
2
章
グラフェンの基礎物性
本章では、一般の半導体と異なるとされるグラフェンのバンド構造と、それに起因する 特異な量子ホール効果について記述する。2.1
バンド構造
2.1.1
グラフェンの結晶構造
グラフェンの結晶構造は、図2.1のように、炭素原子が蜂の巣状をなして2次元に並ん でいる。単位胞は2つの炭素原子からなりA原子、B原子とする。B原子
A原子
Real space
Reciprocal lattice space
k
xk
yb
1b
2a
1a
2t
1t
2t
3 図2.1 グラフェンの結晶構造 グラフェンの結晶構造における基本並進ベクトルをa、逆格子ベクトルを b、最近接のA、B原子間の飛び移りを tとすると、格子定数aを 用いて a1 = a(1, 0) a2 = a −12, √ 3 2 b1 = 2π a ( 1, √1 3 ) b2 = 2π a ( 0, √2 3 ) t1 = a ( 0, √1 3 ) t2 = a ( −1 2, − 1 2√3 ) t3 = a ( 1 2, − 1 2√3 ) である。
2.1.2
タイトバインディング近似
タイトバインディング近似を適用するにあたって、結晶の並進対称性に関する重要な定 理がある。それがブロッホの定理である。ブロッホの定理は、位置ベクトルを r、波数ベ クトルを k、波動関数をΨk(r)、ブロッホ関数をuk(r)として、 Ψk(r) = eik·ru k(r) (2.1) であらわされる。タイトバインディング近似による波動関数は、それぞれのサイトにおけ る原子軌道の波動関数ϕ(r)の線形結合であらわされる。単位胞の数をN、格子ベクトル*1 をRとすると、 Ψk(r) = √1 N ∑ R eik·R [Aϕ(r − R − t1)+ Bϕ(r − R)] (2.2) となる。ただし、A,Bは定数である。式(2.1)、(2.2)より、ブロッホ関数を以下のように 定義する。 uk(r) = Au(A)k (r)+ Bu(B) k (r) u(A) k (r)= 1 √ N ∑ R eik·(r−R)ϕ(r − R − t1) (2.3) u(B) k (r)= 1 √ N ∑ R eik·(r−R)ϕ(r − R) (2.4) 一方、ハミルトニアンは、運動量を p、電子の質量を m、結晶ポテンシャル*2をV0(r)と して、 H = p 2 2m + ∑ R [V0(r− R − t1)+ V0(r− R)] (2.5) *1基本並進ベクトルの整数和:R= n1a1+ n2a2+ n3a3(n1、n2、n3は整数) *2位置rにある電子が、位置Rにある原子から受けるポテンシャルをV0(r− R)とする。2.1 バンド構造 5 である。これを変形すると H = p 2 2m + ∑ R [V0(r− R − t1)+ V0(r− R)] = [ p2 2m + V0(r− t1)+ V0(r) ] + ∑ R,0 [V0(r− R − t1)+ V0(r− R)] = [ p2 2m + V0(r) ] +{V0(r− t1)+ ∑ R,0 [V0(r− R − t1)+ V0(r− R)] } となる。ここで、 ∆VB= V0(r− t1)+ ∑ R,0 [V0(r− R − t1)+ V0(r− R)] とすると、 Hϕ(r) = ∆VBϕ(r) 同様に ∆VA= V0(r)+ ∑ R,0 [V0(r− R − t1)+ V0(r− R)] とすると、 Hϕ(r − t1)= ∆VAϕ(r − t1) である。式(2.3)、(2.4)を基底とした行列表示より ( HAA− E HBA− ESBA HAB− ESAB HAA− E ) ( A B ) = 0 (2.6) となる。これを最近接サイトからの寄与のみの近似で考えると HAA= ⟨uA|H| uA⟩ = 3 ∑ j ⟨ ϕ(r − tj)V0(r− (tj − t1))ϕ(r− tj) ⟩ = 3 ⟨ϕ(r) |V0(r− t1)| ϕ(r)⟩ ≡ σ (2.7) HAB = ⟨uA|H| uB⟩ = 3 ∑ j eik·(tj−t1)⟨ϕ(r − t 1)V0(r− tj)ϕ(r− (tj − t1)) ⟩ ={1+ eik·(t2−t1)+ eik·(t3−t1) } ⟨ϕ(r − t1)|V0(r− t1)| ϕ(r)⟩ ≡ α(k)γ (2.8)
SAB = ⟨uA| uB⟩ = 3 ∑ j eik·(tj−t1)⟨ϕ(r − t 1)| ϕ(r − (tj− t1)) ⟩ ={1+ eik·(t2−t1)+ eik·(t3−t1) } ⟨ϕ(r − t1)| ϕ(r)⟩ ≡ α(k)s (2.9) 同様にして、 HBB ≡ σ (2.10) HBA ≡ α∗(k)γ (2.11) SBA ≡ α∗(k)s (2.12) (2.7)∼(2.12)を(2.6)に代入して、 ( σ − E α∗(k)(γ − Es) α(k)(γ − Es) σ − E ) ( A B ) = 0 (2.13) これが(A, B) , 0の解をもつので、 (σ − E)2− |α(k)|2(γ − Es)2 = 0 s≪ γから近似して、 E(k)= σ ± γ|α(k)| (2.14) |α(k)|2 ={ 1+ e−ik·(t2−t1)+ e−ik·(t3−t1) } { 1+ eik·(t2−t1) + eik·(t3−t1) } = 3 + ∑ i, j(i, j) e−ik·(ti−tj) = 3 + 2 3 ∑ i=1 cos (k· (ti+1− ti)) = 3 + 2[cos ( −1 2kxa− √ 3kya ) + cos (−kxa)+ cos ( −1 2kxa+ √ 3kya )] = 3 + 4 cos(1 2kxa ) cos ( √3 2 kya ) + 2 cos (kxa) = 1 + 4 cos2(1 2kxa ) + 4 cos(1 2kxa ) cos ( √3 2 kya ) したがって、 E(k)= σ ± γ √ 1+ 4 cos2 (1 2kxa ) + 4 cos(1 2kxa ) cos ( √3 2 kya ) (2.15) となる。(2.15)より、グラフェンのバンド構造はK、K’点で価電子帯と伝導帯が接してい ることがわかる。グラフに表したものを図2.2に示す。
2.1 バンド構造 7 K' K' K K' K K 図2.2 グラフェンのバンド構造
2.1.3
k
点近傍でのバンド構造∼
k
· p
摂動法を用いて∼
次に、このK点近傍でのバンド構造を、k· p摂動法を用いて考えてみる。ブロッホ関 数をシュレディンガー方程式に導入して、 [ −ℏ2 2m∆ + V(r) ] eik·ruk(r) = Eeik·ruk(r) となる。ここで、ℏ = h/2πはプランク定数である。各項を計算すると、 ∆(eik·ruk(r) ) = (ik)2eik·ruk + 2ikeik·r∇uk + eik·r∆uk = eik·r [ −k2− k· p ℏ − p2 ℏ2 ] uk − ℏ2 2m∆ ( eik·ruk(r) ) = eik·r [ ℏ2k2 2m + ℏ mk· p + p2 2m ] uk であるから、 {[ p2 2m + V(r) ] + [ ℏ mk· p + ℏ2k2 2m ]} uk = Euk (2.16) K点の位置をK、そこからの微小の変位を q(K ≫ q)として、k= K + qとおく。また、 kはqの関数となるので、ブロッホ関数はuqとする。 {[ p2 2m + V(r) ] + [ ℏ mK· p + ℏ2K2 2m ] + ℏ mq· (p + ℏK) + ℏ2q2 2m } uq = Euq (2.17) ここで、q2の値は無視できる。(2.6)をこの形のハミルトニアンから計算すると、 HAA = ⟨ u(A)|H| u(A)⟩ = ϵ + ℏ mq· (pAA+ ℏK)
HBB= ϵ + ℏ mq· (pBB+ ℏK) HAB= ϵ ⟨ u(A)|u(B)⟩+ ℏ mq· (pAB+ ℏKSAB) = ℏ mq· pAB HBA= ℏ mq· pBA であるから*3、 ℏ mq ( pAA+ ℏK pBA pAB pBB+ ℏK ) ( Aq Bq ) = Eq ( Aq Bq ) (2.18) となる。各成分を計算すると、pAA、pBBは、 pAA= pBB= −ℏKx (2.19) pAB、pBAは最近接サイトからの寄与のみ計算して pAB= −iℏ1 N ∑ R,R′ e−iK·(R−R′)⟨ϕ(r − R′− t1)|∇ϕ(r − R′) ⟩ = −iℏ∑ R e−iK·R ⟨ϕ(r − t1)|∇ϕ(r − R)⟩ = −iℏ 3 ∑ l=1 e−iK·(t1−tl)⟨ϕ(r − t 1)|∇ϕ(r − t1+ tl)⟩ = −iℏ 3 ∑ l=1 e−iK·(t1−tl) {⟨ ϕ(r − t1)ϕ(r − t1)+ tl ∂ ∂rϕ(r − t1) ⟩} = −iℏ 3 ∑ l=1 e−iK·(t1−tl)t lλ = √ 3ℏλ 2 (ex− iey) (2.20) pBA= √ 3ℏλ 2 (ex+ iey) (2.21) となる。λは最近接サイトの相互作用である。(2.19)、(2.20)、(2.21)を(2.18)に代入して ℏ m √ 3ℏλ 2 ( 0 qx− iqy qx+ iqy 0 ) ( Aq Bq ) = Eq ( Aq Bq ) (2.22) *3近接サイトの重なり積分は微小として無視している。(SAB≈ 0、SBA ≈ 0)
2.2 量子ホール効果 9 となるので Eq = ± √ 3 2 ℏλ mℏ|q| = ℏc∗|q| (2.23) である。ここで、c∗ は有効速度である。これにより、K点近傍でのバンド構造が円錐型 となることがわかる。このエネルギー構造が、自由粒子のディラック方程式のエネルギー E = √(ℏc)2+ (mc2)2(cは光速)において質量ゼロの極限をとった式の形に一致している ことから、massless Dirac fermionとよばれている。
E ky kx 図2.3 分散関係 まとめると、半導体と異なるグラフェンの大きな特徴は、 1. 価電子帯と伝導帯のバンドが K、K’ 点において接する。 (半導体の場合はギャップがある。) 2. バンドの底の関数が線形になる。(半導体の場合は放物線 になる。) である。
2.2
量子ホール効果
2.2.1
磁場中の
2
次元電子の古典的な運動
一様な磁場Bの中で、電流が2次元面内で x方向に流れているとする。この時、電子 は頻度1/τで衝突しながら運動している。運動方程式は、速度をv、電場をEとすると、 m ( d dt + 1 τ ) v= −e (E + v × B) (2.24) であるから、各成分に分けて考えると、 m˙vx+ m τvx= −eEx− evyB m˙vy+ m τvy = −eEy+ evxB (2.25) 定常状態では、 vvyx= −µE= −µEyx+ ω− ωccτvτvxy (2.26) となる。ここで、ωc = eB/mはサイクロトロン振動数、µ = eτ/mは移動度*4である。 電子は、ローレンツ力を受けて −y 側の端にたまっていき、結果ローレンツ力を打ち消 *4移動度:固体中の電子の移動のしやすさを表す。すように電場を生じる。これがホール電場である。この状態ではvy = 0であるから、式 (2.26)に代入して、 Ey = − eBτ m Ex = −µBEx (2.27) となる。また、この時の電流 jxは jx = −nevxであらわされるので、 jx = −ne−eτ m Ex= neµEx (2.28) となる。式(2.27)、(2.28)から抵抗率ρを計算すると、 ρxx = Ex jx = 1 neµ (2.29) ρxy = −ρyx = Ey jx = B ne (2.30)
2.2.2
ランダウ準位と量子ホール効果∼一般の二次元半導体において∼
先ほどの運動を量子力学的に考えてみる。このときのハミルトニアンはベクトルポテン シャルを Aとして、 H = 1 2m( p− eA) 2+ V z (2.31) であらわされる。いま、A= (−By, 0, 0)、B= (0, 0, B)であるから、 Hz= 1 2mpz 2+ V(z) Hxy = 1 2m(px− eBy) 2+ p y2 (2.32) となる。x方向についての並進対称性よりΨ(x, y) = eikxxη(y)とおくと、 HxyΨ = [ 1 2mpy 2 + 1 2mωc 2( y− lc2kx )2] η(y) = Eη(y) (2.33) となる。ここでlc = √ ℏ/eBは磁気長と呼ばれるパラメータである。このハミルトニアン の形は、y= lc2kxを中心とした調和振動子の形であるので、エネルギー固有値と対応する 波動関数は、 EN = ℏωc ( N+ 1 2 ) |N⟩ = √1 N! ( a†)N|0⟩ (2.34)2.2 量子ホール効果 11 となる。Nは整数、a†は生成演算子*5である。 このE N をランダウ準位という。また、各 準位はスピン縮退を起こしているが、磁場によって分離することができる。それをゼーマ ン分離という。そのときの準位は E±N = ℏωc ( N+ 1 2 ) ± 1 2gµBB (2.35) である。ここで、gはg因子、µBはボーア磁子である。 局在状態 非局在状態 E D 図2.4 ランダウ準位 では、実際の系ではどうなっているだろうか。2次元電 子ガスに不純物が添加されると、ポテンシャルに山や谷 ができる。すると、電子はポテンシャルの山や谷のまわ りをサイクロトロン運動する(局在状態)。一方、山や谷 でないところにある電子は、局在せずに自由に動く(非局 在状態)。結果、不純物によって局在状態電子と非局在状 態電子が混在した状態になり、ランダウ準位は局在状態 電子によってある程度広がった形になる。もともとの準 位にある電子は非局在状態をとる(図 2.4)。フェルミ準 位がランダウ準位の局在状態にあり、その下にあるランダウ準位の非局在状態がすべて電 子で満たされているとき、ホール抵抗の量子化がおこる。 次に、この状態について、ラフリンの思考実験を用いて具体的に考えてみる。ラフリン の思考実験では、2次元面を半径Rの円筒形に丸め、その円筒の軸に磁束Φ が流れてい る系を考える。(図2.5) Φ x y B B B B 2次元面 図2.5 ラフリンの思考実験 ベクトルポテンシャルは、 Ay = Bx − Φ 2πR となる。Φ′ = Φ + ∆Φとして、ゲージ変換*6を行うと、 A′y = Bx − Φ + ∆Φ 2πR = Ay− ∆Φ 2πR ⇒ χ(r) = −∆Φ 2πRy したがって、波動関数は ˜ ϕ(x, y) = ϕ(x, y) exp [ ie ℏ ( −∆Φ 2πRy )] (2.36) *5a†= √lc 2ℏ(πx+ iπy) (π = p − eA) *6観測量が変わらないようにベクトルポテンシャルのとりかたを変換すること。 A′→ A′+ ∇χ(r)、ϕ(r) = ϕ(r) exp[ieχ(r)/ℏ]˜
となる。非局在状態では、周期境界条件が成り立つため、 ˜ ϕ(x, y + 2πR) = ϕ(x, y + 2πR) exp [ ie ℏ { −∆Φ 2πR(y+ 2πR) }] = ϕ(x, y) exp [ ie ℏ ( −∆Φ 2πRy+ ∆Φ )] = ϕ(x, y) exp [ ie ℏ ( −∆Φ 2πRy )] exp [ −ieℏ∆Φ] = ˜ϕ(x, y) exp[−ie ℏ∆Φ ] ⇒ exp[−ieℏ∆Φ] = 1 ⇒ ℏe∆Φ = 2πl ここでlは整数である。したがって、 ∆Φ = h el (2.37) となり、許されるゲージ変換は離散的となる。この場合、 A′y= B ( x− Φ + ∆Φ 2πRB ) = B ( x− ∆Φ 2πRB − Φ 2πRB ) = B ( x′− Φ 2πRB ) であるから、 ∆x = ∆Φ 2πRB (2.38) と等価である。この状態で∆Φ = h/eだけ変化させると、すべての非局在状態電子が∆x だけ移動する。このとき、電位差Vがあると∆E = eVvのエネルギー変化が生じる。ホー ル電流密度 jyを計算すると、キャリア密度をnとして、 jy = −e ⟨ nvy ⟩ = −e ⟨ 1 2πRL ∑ i 1 mπ (i) y ⟩ = 1 L ∂⟨H⟩ ∂Φ = e2 hν V L = e2 hνEx (2.39)
2.2 量子ホール効果 13 となる。ここで、νはランダウ準位占有率である。*7したがって、 σxy = e2 h ν (2.40) である。これが量子ホール効果である。 一般にスピン縮退を起こしている場合、一つの準位に2つの状態が占有する(ν = 2N)。 したがって、 σxy = 2e2 h N (2.41) である(N = 1, 2, · · ·)。
2.2.3
ランダウ準位と量子ホール効果∼単層グラフェンの場合∼
グラフェンの場合、通常の2次元半導体とは異なる量子ホール効果を示す。まず、グラ フェンのランダウ準位を考える。グラフェンの主要な飛び移り積分はAB格子間にのみ存 在する。σをパウリ行列とすると*8、この性質からグラフェンではγ = σ3として、 {γ, H} = 0 が成り立つ。これをグラフェンのカイラル対称性という。この性質と、ハミルトニアンの エルミート性により、 H= R · σ (2.42) と展開できる。ここで、R、Hは R= (R1, R2, R3) H = ( R3 R1− iR2 R1+ iR2 R3 ) である。一方、 R= ∂R ∂kx δkx+ ∂R ∂ky δky *7 ∂⟨H⟩ ∂Φ = ∂ ∂Φ ⟨∑ i 1 2mπ (i)2 ⟩ =⟨∑ i ∑ j=1,2 π(i) j m ∂π(i) j ∂Φ ⟩ =⟨∑ i πy m e 2πR ⟩ 1 L ∂⟨H⟩ ∂Φ = 1 L ∂E ∂Φ = 1 L ∆E ∆Φ = 1 L eVν h/e = e2 hν V L *8 σ = (σ1, σ2, σ3), σ1= ( 0 1 1 0 ) , σ2= ( 0 −i i 0 ) , σ3= ( 1 0 0 −1 )であるから、X= ∂R/∂kx、Y = ∂R/∂kyとして H = (X · σ) δkx+ (Y · σ) δky となる*9。磁場中の有効ハミルトニアンをゲージ不変な形で取り入れると、 H = 1 ℏ { (X· σ) πx+ (Y · σ) πy } H2 = 1 ℏ2 { (X· σ) πx+ (Y · σ) πy }2
= ℏ12 [X2πx2+ Y2πy2 + π†xπy{(X · Y) + iσ · (X × Y)} + π†yπx{(Y · X) + iσ · (Y × X)}
] = ℏ12 [X2πx2+ Y2πy2 + {πx, πy} (X · Y) + i[πx, πy]σ · (X × Y) ] = 1 ℏ2 [ π†( X2 X· Y X· Y Y2 ) π + i · (iℏeB) ·(χ (ℏc)2γ)] = ℏ12π† ( X2 X· Y X· Y Y2 ) π − χ(eBℏc2)γ となる。χはγの固有値である。ここで、 Ξ = 1 (ℏc)2 ( X2 X· Y X· Y Y2 ) (2.43) として、その対角化行列をV、固有値をξX、ξY、また、Π = Vπとすると、 H2 = c2π†Ξπ − χ(eBℏc2)γ = c2π† V†ΞVπ − χ(eBℏc2)γ = c2Π† ( ξX 0 0 ξY ) Π − χ(eBℏc2)γ = c2(ξ X2ΠX2+ ξY2ΠY2)− χ ( eBℏc2)γ 第一項は質量が(1/2c2ξX, 1/2c2ξY)の異方的サイクロトロン運動と同じである。運動方程 式を考えると、 ( ˙vx 2c2ξ X + ˙vy 2c2ξ y ) = −e (v × B) (2.44) であるから 1 2c2ξ X ˙vx = −eBvx 1 2c2ξ Y ˙vy= eBvy (2.45) *9δk = k − k0
2.2 量子ホール効果 15 これを解くと、サイクロトロン振動数は ω = 2c2 eB√ξXξY = 2c2eB (2.46) したがって、第一項からくる固有値は ϵ12 = 2eBℏc2 ( N+ 1 2 ) (2.47) となる。一方、第二項をみてみると、γの固有値はχであるから、 ϵ22 = −eBℏc2χ2 = −eBℏc2 (2.48) となる。したがって、 EN = ± √ ϵ12+ ϵ22 = ±c √ 2eBℏ|N| (2.49) このことから、グラフェンのランダウ準位は、通常の2次元半導体におけるランダウ準位 (2.34)とは異なりnの平方根に比例することがわかる。また、バンド構造とともに考えて みると、N = 0にも準位を持つことが可能である。 では、これが量子ホール効果にどう影響してくるだろうか。グラフェンの場合、スピン 縮退に加えて、フェルミオンダブリングによる縮退があるので、全部で4つの縮退を起こ している。また、N = 0では、電子と正孔が半分ずつ準位を占有しているので、電子だけ でみると2つの状態が占有していることになる。したがって、グラフェンの場合の量子 ホール効果は σxy = e2 hν (2.50) ν = 2, 6, 10, · · · (2.51) となる。したがって、 σxy = 4e2 h ( N+ 1 2 ) (2.52) である(N = 0, 1, 2, · · · )。この1/2の因子によってグラフェンの量子ホール効果は半整数 量子ホール効果と呼ばれている。2層グラフェンの場合も量子ホール効果が起きるが、そ の量子化値は通常の2次元半導体と同様に σxy = 4e2 h N (2.53) となる(N = ±1, ±2, ±3, · · ·)。したがって半整数量子ホール効果は”単層”グラフェン特有 の性質である。
ν=4
ν=8
ν=12
ν=16
σ
xyσ
xyN=0
N=1 N=2 N=3
N=1 N=2 N=3
E
E
D
D
E
E
E
E
k
Fk
F 図2.6 ランダウ準位と量子ホール効果。左が一般の半導体の場合、右がグラフェンの 場合。下からバンド構造、ランダウ準位、量子ホール効果である。17
第
3
章
CVD
グラフェンの特徴と微細加工
グラフェンの作製方法にはいくつかあり、スコッチテープを用いてグラファイトから 機械的に取り出す方法 [1]、CVD法(化学気相成長法)を用いて合成する方法[9]、シリコ ンカーバイド(SiC)の熱分解によりエピタキシャル成長させる方法[13]などがある。我々 は、独立行政法人産業技術総合研究所の横山直樹氏のグループとの共同研究により、CVD 法により合成されたグラフェンを提供していただき、微細加工および物性の評価を行っ た。本章では、CVDグラフェンの特徴を簡単に述べた後、我々が行った微細加工につい てとプロセス上の問題点について記述する。3.1
CVD
グラフェンの特徴
CVD法とは、さまざまな物質の薄膜を形成する蒸着法のひとつで、石英などで出来た 反応管内で加熱した基板物質上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板 表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する方法である。化学反応の制御に何を用 いるかによってさらに分類され、熱CVD、光CVD、プラズマCVDなどがある。我々が 使用したグラフェンは、熱CVD法を用いて合成されており、その合成手順を簡単に示す。 1. 金属触媒として銅薄膜を酸化膜付きシリコン基板にスパッタ法により堆積する。 2. アルゴン・水素混合ガスにて基板をアニールする。 3. 原料ガスとしてエチレンを導入し、化学反応させる。 といったものである。詳細は産総研の佐藤信太郎氏の文献[7] を参照していただきたい。 我々は、上記の方法により合成されたグラフェンを酸化膜付きシリコン基板に転写した状 態で提供していただいた。この方法により合成されたグラフェンの特徴を、スコッチテー プを用いて取り出されたグラフェンと比較する形で表3.1に示す。スコッチテープ CVD 量産性[7] 再現性・量産化は困難 大面積・量産化が可能 移動度(cm2/V·s) < 15,000 @10K[2] 1,000∼3,000 @0.6K[10] 表3.1 グラフェンの特徴 CVD用いた場合、スコッチテープを用いる場合と比べて、大面積のグラフェンを作る ことができる。しかし、シリコン基板に転写して用いる場合には、転写の際にグラフェン に亀裂やしわが入ってしまう。CVDグラフェンの基礎的な物性を調べる上で、我々には、 これらの亀裂やしわを避ける形で加工を行うために、精度の良い加工が求められた。
3.2
微細加工
我々は提供していただいた試料を、4端子法にて評価するためにホールバーと呼ばれる 形に加工した。 大まかな手順は、1. ボンディングパッド、ウエハーマークの作製(Photo lithography & Ti/Au Deposition) 2. チップマークの作製(EB lithography & Ti/Au Deposition)
3. 描画パターンの設計
4. グラフェンのホールバー加工(EB lithography & Plasma etching) 5. 導線の形成(EB lithography & Ti/Au Deposition)
6. ワイヤーボンディング である。模式図を図3.1に示し、各プロセスの詳細について述べる。
1
2
5
6
3,4
図3.1 プロセス3.2 微細加工 19 リソグラフィー 我々は2種類の描画方法を利用した。フォトリソグラフィーと電子ビーム(EB)リ ソグラフィーである。 • フォトリソグラフィー 描画したいパターンをマスクとしてかぶせ、光を上から当ててレジストを感光 させる。フォトリソグラフィーは、一度マスクを作ってしまえば短時間で大面 積の描画が可能であるが、サンプル毎にパターンが異なる場合や回折限界を超 える細かいサイズでの描画には向かない。我々の実験環境では、線幅10µm前 後の描画が限界である。フォトリソグラフィーのレジストとしてS1813Gを、 リムーバーとしてアセトンを用いた。 light 図3.2 フォトリソグラフィー • EBリソグラフィー 設計したパターンの通り電子ビームを移動させながら試料に照射してレジス トを感光させる。EBリソグラフィーは、細かいサイズの描画もでき、毎回パ ターンを設計することができるが、大面積の描画の場合非常に時間がかかって しまう。我々の実験環境では、線幅200 nm程度まで描画することができる。 EBリソグラフィーのレジストとして950 PMMA A6をリムーバーとしてアセ トンを用いた。 図3.3 EBリソグラフィー EBリソグラフィーは、装置の特徴上、設計したパターンを600µm角に分割し(こ
れをチップという)、チップ内のパターンをビームの偏光により描画したあと、ス テージを動かして隣のチップの描画を行うという作業を繰り返す。この際、位置合 わせは、まずウエハーマークを用いてステージの位置及び回転を補正し、次に各 チップでチップマークを用いてビームの偏光を補正する。我々は、描画時間との兼 ね合いを考慮し、高精度の位置合わせが必要なホールバー付近の描画のみ(図3.3 でいう3つ目のフェーズ)、チップマークによる位置合わせを行い、他のチップで は設計に余裕を持たせて誤差を吸収する方法をとった。また、本研究で用いた試料 は、グラフェンに入る亀裂の位置がランダムなので、サンプル毎に毎回パターンを 設計する必要がある。しかし、パターン全てをEBリソグラフィーで行なってしま うと、描画に1ヶ月近くかかってしまうことになり現実的ではない。したがって、 ワイヤーボンディングを行うためのパッドをフォトリソグラフィー、残りをEBリ ソグラフィーにすることとした。 金属蒸着 電子ビーム蒸着装置を用いてTiとAuをそれぞれ5 nm、100 nm蒸着した。 プラズマエッチング Ar、O2(O2 rate:16 SCCM)の混合気体中でRF powerが50 Wのプラズマを6秒 当ててエッチングを行った。 ワイヤーボンディング 直径20µmのAlワイヤーを超音波を用いてパッドにボンディングした。 完成した試料の光学顕微鏡写真を図3.4、3.5に示す。 図3.4 光学顕微鏡写真(全体図)
5μm
P doped Si 285nm SiO2 Ti 5nm / Au 100nm Al wire φ=20μm L=3μm, W=1μmHallbar
図3.5 光学顕微鏡写真(拡大図)3.3 プロセスの問題点 21 グラフェンのホールバーは幅L = 3 µm、長さW = 1 µmである。金属端子として、Tiを 5 nm、Auを100 nm蒸着し、直径20µmのAlをボンディングした。
3.3
プロセスの問題点
3.3.1
バックゲートリークの原因
グラフェンは、キャリアを操作するために、外場により電子状態を励起する必要があ る。そのため、SiO2を絶縁膜としてバックゲート電圧をかけて、キャリアを励起する。し かし、この方法により試料を作製したところ、バックゲートリークが見られグラフェンの キャリア密度を操作することができなかった。そのため、この原因を特定するために以下 の実験を行った。1∼4はグラフェンを転写する前の基板を用いている。 1.フォトリソ、金属蒸着のテスト フォトリソグラフィーにてボンディングパッドのパターンを描画し、EB蒸着にて Ti/Auを蒸着した。その後プローバー*1をパッドの上にあて、電圧をかけた。 図3.6 プローバー 2.ワイヤーボンディングのテスト 1で、プローバーの代わりにワイヤーボンディングを行った。 3. EBリソグラフィーのテスト EBリソグラフィーにてボンディングパッドを作製し、ワイヤーボンディングを 行った。 4.プラズマエッチングのテスト EBリソグラフィーにてボンディングパッドを描画し、プラズマエッチングを行っ *1プローバー:ボンディングパッドに導電性の探針をあて、2端子抵抗を測定することができる装置。ワイ ヤーボンディングを用いずに簡易的に測定できるという利点がある。た後、金属を蒸着した。 5.グラフェンの転写のテスト グラフェンを転写後の基板にボンディングパッドを作製し、ワイヤーボンディング を行った。 SiO2 の理論的な絶縁破壊電圧は Vbg/tS iO2 = 0.5 V/nmである [14] から、膜厚90 nmでは リーク発生電圧が Vbgleak < 30 V、膜厚285 nmでは Vbgleak < 100 Vの場合に、プロセス によりSiO2がダメージを受けていると判断する。結果を図3.7、3.8、表3.2に示す。 0 10 20 30 0 5 10 I ( n A ) V bg (V) 図3.7 リークが起きていない場合(90 nm) 0 5 10 0 5 10 I ( n A ) V bg (V) 図3.8 リークが起きている場合(90 nm) プロセス 90nm 285nm 1. フォトリソ、金属蒸着 ○ ○ 2. ワイヤーボンディング ○ ○ 3. EBリソグラフィー ○ ○ 4. プラズマエッチング ○ ○ 5. グラフェンの転写 × -表3.2 プロセスによる絶縁破壊の有無 表3.2に示すように、グラフェンを転写した後の基板を用いた場合にリークが見られた。 したがって、グラフェンの転写の際にSiO2 を破壊してしまう可能性があることがわかっ た。我々は絶縁破壊が確率的な問題であると考え、プロセスの効率化によりたくさんの試 料を作り、リークのないサンプルを探すこととした。
3.3.2
プロセスの成功率
表3.3にプロセスの結果について示し、続けて主な改善点について述べる。3.3 プロセスの問題点 23 基板No 完成日 ホールバーの数 ※1 ※2 ※3 ※4 A 2011/12/27 8 8 0 - -B 2011/12/27 8 8 1 1 0 C 2012/06/20 16 16 2 0 -D 2012/08/22 30 19 0 - -E 2012/10/25 12 11 0 - -F 2012/11/28 14 12 1 1 1 ※1描画の成功数(全端子の導通がなかったものを失敗とみなす。) ※2バックゲート操作の成功数(ゲート操作ができなかったものを失敗とみなす。) ※3アセンブル*2の成功数 ※4端子の導通の成功数(6つの端子全てに導通があったものを成功とみなす。) 表3.3 プロセス結果 B→C プローバーによりゲートチェックし、リークがなかったものをアセンブルする方 針に変更。これにより1枚により多くのホールバーを作ることが可能になった。 C→D 設計の見直しにより描画面積を縮小。短時間でより多くのホールバーを描画する ことが可能になった。 E グラフェンの面積が小さく多くのホールバーを作製することができなかった。 E→F 絶縁膜となるSiO2 の膜厚を90 nmから 285 nmに変更すると同時にSiの厚さが 薄くカットしやすいものに変更。(後述) 大半のサンプルにおいてゲート操作ができず、リーク電流が発生した。 基板Fでは、SiO2 の膜厚が厚いほうが、一定のサージ電圧がかかった時に絶縁破壊が起 こりにくいと考え、膜厚 285 nmのものを使用した。同時に Siの厚さが薄い基板を選び より細かくカットしやすいものに変更した。これによりプローバーによるチェックを行わ ず、すべてのホールバーをアセンブルできるようにした。 膜厚を厚くしたことによるものであるかは今回の実験結果だけではわからないものの、 ゲート操作が可能で、かつ6つの端子に導通がある試料を作製することができた。
3.3.3
オーミックチェック
先ほどの試料の物性評価の準備として、低温(T = 1.6 K)における端子の導通のテスト を行った。導通テストは、バックゲート電圧をVbg = 0 V、磁場をB= 0 Tに固定し、各 *2アセンブル:基板のカット及びワイヤボンディング端子をソース端子として、ドレイン端子との2端子抵抗を電圧を0 Vから100 mVまで変 化させながら測定することで行った。結果を図3.9に示す。 0 20 40 60 80 100 0 100 200 300 400 500 600 I ( n A ) V (mV) I sd I 1d I 2d I 3d I 4d 図3.9 オーミックチェック I-V特性に非線形性があり、同時に抵抗値が数百kΩと非常に大きな値を示していた。こ れは、グラフェン表面と金属端子との間に、プロセスで使用されたレジストの残渣などが 残ってしまっているためであると考えられる。 この大きな接触抵抗は雑音の影響となりうるものの、抵抗変化の様子から4端子測定 を用いて電気伝導特性を測ることは可能であると考えた。次章では、本試料の物性評価を 行ったので、その結果について記述する。
25
第
4
章
低温測定
4.1
測定方法
試料の物性評価は、4端子法を用いて行った。Vxx、Vxy、Isd、L、W を図4.1のように 定義する。また、各端子をS,D,1∼4とラベル付けする。 Vxx Vxy Isd Vsd L WS
D
2
1
3
4
図4.1 ホールバーを用いた4端子測定 ホールバー測定において、抵抗率ρの各成分は次のように計算される。 ρxx = Vxx/W Isd/L = R xx W L (4.1) ρxy = Vxy/L Isd/L = R xy (4.2) 伝導率σは抵抗率の逆行列であるから、 σ = 1 ρxxρyy− ρxyρyx ( ρyy ρyx ρxy ρxx ) (4.3)対称性により ρxx = ρyy ρxy = −ρyx (4.4) であるから、 σxx= ρ xx ρxx2+ ρxy2 (4.5) σxy = − ρxy ρxx2+ ρxy2 (4.6) となる。
4.2
キャリア密度と移動度
古典領域における物性の評価として、キャリア密度と移動度を調べるため以下の実験を 行った。 実験 ソースドレイン電圧をVsd = 100 mVに固定し、バックゲート電圧Vbgを-20 Vか ら20 Vまで0.5 Vずつ変化させながら、磁場をB= −1∼1 Tに変化させて抵抗率 ρを測定した。 横抵抗率ρxy は、磁場Bに対して線形に変化していた。各バックゲート電圧におけるそ の傾きをフィッティングから求めグラフに表したものを図4.2に示す。また、この結果か ら、(2.30)式を用いてキャリア密度を計算したものが図4.3である。 -20 -10 0 10 20 -6 -3 0 3 6 x y / B ( k ) V bg (V) 図4.2 ρxy/Bのバックゲート電圧依存性4.2 キャリア密度と移動度 27 図4.2をみると、Vbg = 5 Vを境に反比例していることがわかる。Vbg < 5 Vが正孔キャ リアによる電気伝導、Vbg > 5 Vが電子キャリアによる電気伝導である。このことから、 本試料では、グラフェン表面の不純物により、ディラックポイントがVbg = 5 Vにずれて いると考えられる。 キャリア密度は、図4.3からわかるように、バックゲート電圧に対して線形に変化して いた。 -20 -10 0 10 20 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 n ( 1 0 1 2 c m -2 ) V bg (V) n n fitting 図4.3 キャリア密度のバックゲート電圧依存性 これを線形フィッティングしたところ、傾きがn/∆Vbg= (7.61 ± 0.17) × 1010cm−2/Vと なった。これを、SiO2を誘電体としたときの電荷Qの関係式、 Q= ne = ϵϵ0 d (Vbg− V 0 bg) (4.7) と比較してみると、SiO2 の比誘電率 ϵ = 3.9、膜厚 d = 285 nm、真空の誘電率 ϵ0 = 8.85 × 10−12F/mを代入して、Cbg/e = n/∆Vbg= 7.57 × 1010cm−2/Vとなる。したがって、 フィッティングの結果は、この理論的な計算に合っていると考えることができ、正しく ゲート操作ができていることがわかった。 次に、ゼロ磁場における縦伝導率から、サンプルの移動度を評価する。図4.4が縦伝導 率、図4.5が移動度である。図4.5において、黒いドットはフィット前のキャリア密度を、 赤い折れ線はフィット後のキャリア密度を用いている。 グラフェンは、その分散関係の特徴から考えるとフェルミエネルギーがちょうどデイ ラック点にあるとき状態密度がゼロとなり、電気伝導をしないはずである。しかし、実際 には伝導率がゼロとならず有限の最小値をとることがわかっている。これは、ディラック 点付近においては電子と正孔が共存し2バンド系を作るためであると考えられている[6]。
-20 -10 0 10 20 0.0 0.5 1.0 x x ( 1 0 -3 ) V bg (V) 図4.4 B=0 Tにおける伝導率 本実験においても、図4.4においてディラックポイント付近において有限の最小値をとっ ており、他の実験結果と同様であることを確認した。 -20 -10 0 10 20 0 5,000 10,000 ( c m 2 / V s ) V bg (V) from calculated n 図4.5 移動度のバックゲート電圧依存性 また、揺らぎが大きく詳細な議論は難しいものの、我々がゲート操作した領域において は、正孔移動度がµh = 2500∼8000 cm2/V·s、電子移動度がµe = 3000∼8000 cm2/V·sで あることがわかった。この結果は、他の文献[9, 10] と比較しても同等かそれ以上であると いえる。
4.3 量子ホール効果 29
4.3
量子ホール効果
次に、強磁場領域での物性評価を行うため、次の実験を行った。 実験 ソースドレイン電圧をVsd = 100 mV、磁場をB= 11 Tに固定し、バックゲート電 圧Vbgを-20 Vから20 Vまで変化させながら、抵抗率ρ及び伝導率σを測定した。 結果を図4.6 及び4.7 に示す。 フォンクリッティング定数はRH = h/e2 = 25813 Ωであ -20 -10 0 10 20 -0.5 0.0 0.5 = -2 = -6 = 2 R H R H = h / e 2 R H ( ) V bg (V) xx xy 図4.6 抵抗率のバックゲート電圧依存性 -20 -10 0 10 20 0.0 0.5 1.0 1.5 = -2 = 2 /R H /R H /R H R H = h / e 2 xx xy V bg (V) -8 -4 0 4 x x ( 1 0 -4 -1 ) x y ( -1 ) 図4.7 伝導率のバックゲート電圧依存性る。縦抵抗率がディラック点の両側で対称に ρxx = 0となっていると同時に、横抵抗率 はホールプラトーを観測した。この量子化値は、式(2.52)の占有率ν = ±2, −6 に従って いる。 実験 ソースドレイン電圧をVsd = 100 mVに固定し、磁場 Bを15 Tから 1 Tまで2 T ずつ変化させながら、バックゲート電圧Vbgを-25 Vから25 Vまで変化させて、抵 抗率ρを測定した。 この結果から、縦軸を磁場、横軸をバックゲート電圧としたときの縦抵抗率の2次元 プロットを行い、ランダウファン図を作成した。それが図4.8である。図中の直線は、式 -20 -10 0 10 20 5 10 15
= 2
= 6
V bg (V) B ( T ) 0.000 2500 5000 図4.8 縦抵抗率の2次元プロット (2.30)、(2.50)、(4.7)より、 B= Cbgh νe2 ∆V (4.8) として、ν = 2l (l = ±1, ±2, · · · , ±5)の場合をプロットしたものである。この結果から、量 子ホール状態の広がりが式(4.8)に従っていることがわかる。 縦抵抗率において、谷が観測されたのは、ν = ±2でB ≥ 3 T、ν = −6でB ≥ 7 Tであ り、ρxx = 0が実現されるのは、占有率ν = −6, −2, 2でB≥ 7 Tの領域であった。 これら2つの実験結果から、本試料では、B≥ 7 Tの領域において、単層グラフェン特 有の半整数量子ホール効果が発現していると考えられる。31
第
5
章
原子間力顕微鏡によるグラフェン表
面の不純物の除去
5.1
原理、先行研究
原子間力顕微鏡(AFM)は、走査型プローブ顕微鏡の1種で、試料と探針の原子間に働 く力を検出してイメージを得る装置である。探針はてこになっており、先端と試料表面と の力学的相互作用によりてこがたわむ。そのたわみを電気信号として検出する仕組みであ る。図5.1は使用したAFMの装置のマニュアルから引用した装置の概略図である。 図5.1 原子間力顕微鏡 AFM には2種類の測定方法があり、一つはタッピングモード、もう一つはコンタクト モードである。タッピングモードは、てこを共振周波数付近で振動させ、試料表面を断続 的に接触しながら走査するモードである。この方法では、試料へのダメージが少なく、柔 らかい試料の測定に適している。一方、コンタクトモードはてこを振動させず、静的な状 態で常に接触させながら、試料表面をスキャンするモードである。試料表面に探針が接触 するので、柔らかい試料の測定には向いていない。比較的硬い試料であれば、より高解像度の像を得ることができる。 グラフェンは、プロセスの都合上、表面にレジスト残渣などの不純物が残る。しかし、グ ラフェン表面と不純物の接着がそれほど強くないため、AFMのコンタクトモードを用い ることによって除去できることが報告されている[12]。また、ディラックポイントが変化 するという現象や、移動度が向上するという現象が観測されている[12]。我々は、これを 参考にし、グラフェンの不純物が量子ホール効果にどう影響を与えるかを調べるため実験 を行った。
5.2
グラフェンクリーニングのテスト
まず、テストサンプルを用いて、我々の実験環境において表面不純物の除去ができるか どうかを調べたのでその結果を記述する。図5.2はタッピングモードを用いてサンプルの 全体像をイメージしたものである。 図5.2 テストサンプルのAFM像(タッピングモード) 外側に伸びているのは金属端子である。金属端子の端の左側が白くなっているのは、グラ フェン表面の凹凸がわかるように条件を合わせたために大きな段差をきれいにイメージで きなかったためである。グラフェンの表面に小さな円状のものがあるがこれが不純物であ ると考えられる。次に、コンタクトモードによる描画を行う前と行った後のグラフェン表 面のイメージを図5.3、5.4に示す。ともにタッピングモードによる描画である。5.2 グラフェンクリーニングのテスト 33 図5.3 クリーニング前のAFM像(タッ ピングモード) 図5.4 クリーニング後の AFM像(タッ ピングモード) 図5.3 を見てわかるとおり、グラフェンの表面に無数の不純物がついていることがわか る。この不純物を除去するために、コンタクトモードで探針の触圧を23nNにして、表面 を複数回スキャンした。より強い触圧でもクリーニングできたのだが、一部でグラフェン の破壊が見られたので、クリーニングは弱い触圧で複数回行ったほうが、グラフェンへの ダメージが少ないと考えた。クリーニング後のタッピングモードによる画像が図5.4であ る。表面が平たんになっていることがわかる。グラフェンの端がぼけているように見える のは、探針に不純物が付着したため、解像度が落ちているためであると考えられる。最後 にクリーニング後のグラフェンのイメージを、コンタクトモードを用いて作成したので図 5.5に示す。 図5.5 クリーニング後のAFM像(コンタクトモード) グラフェン表面に観察できる線状のものはグラフェンの転写時に発生したしわであると考 えられる。このようにして、グラフェン表面をクリーニングできることを確認した。
5.3
低温測定後の試料を用いたグラフェンのクリーニング
移動度の向上を目的として、前章で用いた試料 Fのホールバーのクリーニングを行っ た。まず、低温測定後の試料の光学顕微鏡によるイメージを図5.6に示す。 Hallbar 図5.6 低温測定後の試料(光学顕微鏡) 低温測定前の画像(図3.5)と比べて、表面が汚染されていることがわかる。これは低温測 定後の試料引き上げ時に付着したものであると考えられる。また、ホールバーの部分を タッピングモードにて観察したものを図5.7に示す。 図5.7 低温測定後の試料のAFM像(タッピングモード) ホールバーの境界が分からなくなるほど表面が汚染されていた。(場所の特定は周囲の 金属端子を参考に行った。)そのため、先ほどのテスト時と同じ条件でクリーニングを数 回行った。図5.8∼図5.11にクリーニングの過程におけるコンタクトモードのイメージを5.3 低温測定後の試料を用いたグラフェンのクリーニング 35 示す。クリーニングを行うにつれて、少しずつグラフェンの表面が観察できるようになっ 図5.8 スキャン2回目(コンタクトモード) 図5.9 スキャン3回目(コンタクトモード) 図5.10 スキャン5回目(コンタクトモード) 図5.11 スキャン6回目(コンタクトモード) ていることがわかる。水平方向に走っている直線は不純物が移動しているときにイメージ として写るものである。最後にクリーニング完了後のコンタクトモードによるイメージを 図5.12に示す。グラフェンの表面が平たんになっていることがわかる。したがって、グ 図5.12 クリーニング後(コンタクトモード) ラフェン表面の汚染を除去できていると考えられる。 しかし、再び伝導特性を評価しようとしたが、すべての端子において導通が見られな かった。これは、試料引き上げの際にグラフェンと金属端子が接触不良を起こしたか、ク リーニングの際にグラフェンを破壊してしまったのではないかと考えられる。
37
第
6
章
結論
本研究では、CVDグラフェンにおける量子ホール効果を観測することを目的として、 試料の微細加工及び低温における電気伝導特性について評価した。また、移動度を改善す るためにAFMによるグラフェン表面のクリーニングについて検討した。 キャリア密度操作について 低磁場領域における、横伝導率の磁場依存性からキャリア密度を評価した結果、実 験値から計算したキャリア密度とバックゲート電圧との関係式は、SiO2 をコンデ ンサーとして理論的に計算した式に一致した。これはバックゲート電圧によりキャ リアが正しく励起されているということを意味している。 移動度について ゼロ磁場における、縦伝導率のキャリア密度依存性から移動度を評価した結果、本 試料では我々がゲート操作を行った領域においてµ = 2500∼8000 cm2/V·sである ことがわかった。この値は、SiO2 の上にあるCVDグラフェンの移動度としては、 他の文献値[9, 10] と比べて同等かそれ以上であるといえる。 量子ホール効果について 強磁場領域において抵抗率のバックゲート電圧依存性を測定した結果、縦抵抗率に 関してディラック点の両側で対称にρxx = 0が実現され、横抵抗率に関して占有率 ν = ±2, −6のホールプラトーを観測した。また、縦軸をB、横軸をVbgとしたとき の縦抵抗率ρxxの2次元プロットは、占有率ν = −6, −2, 2においてρxxが極小値を とっており、ランダウファンを表していた。これらの2つの実験結果より、単層グ ラフェン特有の半整数量子ホール効果を確認することができた。 AFMによるクリーニングについて AFMのコンタクトモードを用いてグラフェン表面の不純物を除去する方法を検討 した結果、強い触圧で一度に不純物を取り除こうとするよりも、弱い触圧で複数回行うほうが適していることを確認した。この方法により、グラフェン表面の不純物 をほぼ除去することに成功した。 以上のように、本研究では単層CVDグラフェンの低温における古典的な電気特性及び量 子ホール効果を評価することができた。また、AFMによって表面の不純物を取り除くこ とができることを確認した。しかし、端子が導通不良となったため、AFMによる不純物 除去後の移動度の変化を評価することはできなかった。その原因として、金属-グラフェ ン間の接触不良及びクリーニングの際のグラフェンの破壊の可能性が考えられる。これら の問題を、試料作製条件の最適化によって解決することにより、CVDグラフェンの利点 を生かしたさらなる物性探索が期待される。
39
謝辞
平山祥郎教授には、指導教官として、学生の自主性を重んじたご指導をいただきまし た。私が自分で考えた案に関しては支えていただき、また時には研究方針に関する提案や 叱咤激励をいただきました。先生のご指導により、自ら考え行動する力を養うことができ ました。心よりお礼申し上げます。 遊佐剛准教授には、セミナー等様々な機会において、貴重なご指導をいただきました。 山口浩司教授、高橋隆教授、越野幹人准教授には、審査委員として本研究に対し、有益な 助言をいただきました。橋本克之助教には、様々な実験装置の使い方についてご指導をい ただきました。心よりお礼申し上げます。 産業技術総合研究所の横山直樹氏、佐藤信太郎氏、山田綾香氏、林賢二郎氏には、本研 究の遂行において欠かせない、CVDグラフェンの試料を提供していただきました。心よ りお礼申し上げます。 新井田佳孝氏には、直属の先輩として、物理的なものの考え方、研究の方針、研究に対 する姿勢、装置の扱い方に至るまで丁寧なご指導をいただきました。また、お忙しいにも かかわらず、卒業された後も私の進路に関することも含めて、小さな疑問でも親身に答え ていただきました。心よりお礼申し上げます。 秋葉圭一郎氏には、特に本論文における実験の解釈、実験の進め方について丁寧なご指 導をいただきました。心よりお礼申し上げます。また、私の理解不足のせいで、夜遅くま で時間を割いてしまったことを心よりお詫び申し上げます。 長瀬勝美氏には、試料作製技術に関して、装置の使い方など一から丁寧にご指導いただ きました。また、プロセス条件の最適化に関して様々な面で有益な助言をいただきまし た。心よりお礼申し上げます。 冨松透氏、Amin Vakhsouri氏には、原子間力顕微鏡装置の使い方について、原理を含め て細かいところまでご指導いただきました。誠に感謝しております。 Karim Snoussi氏には、同じカーボン系の研究を行っていたこともあり、プロセス方法 について様々な議論をさせていただきました。英語力の向上にもつながり、誠に感謝して おります。羽田野剛司氏、渡辺信嗣氏、宮本聡氏、劉洪武氏、楊凱鋒氏には、研究進捗報告会など において有益なご指摘をいただきました。誠に感謝しております。 佐藤健氏には、技術職員として実験環境の整備などの面でご協力いただきました。井上 美恵子氏には、研究室秘書として事務手続きなどの面でご協力いただきました。誠に感謝 しております。 一ノ倉聖氏、岩田晃氏、山口薫氏には、研究室の同期として、物理の話から世の中の話 に至るまで様々な内容で熱い議論をさせていただきました。また、本研究が研究室で皆が 扱う物質と異なることもあり、セミナーの際に私の理解不足で足を引っ張ってしまったこ とをお詫び申し上げます。
学生部屋の同僚であるMohammad Hamzah Fauzi氏、Md. Mohi Uddin氏、Lea Hilde-brandt Rossander氏、発地暁氏、大図将人氏、二宮駿也氏、堀込康隆氏のおかげで、研究 室において毎日楽しく有意義に送ることができました。特に堀込康隆氏とは、共通の趣味 もあり、熱い議論を交わすことができました。
最後に、両親には大学生活における経済的援助はもちろんのこと、生まれてから本日に 至るまで育てていただき心より感謝しております。
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参考文献
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1「総論 グラフェンの特異な光電子物性と広がる応用研究」尾辻泰一
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