三島が鏡花について柑き残したものは意外なことに非常に少な い o r作家給の中の 「尾崎紅葉・泉鏡花」の文章は、 三島がr日 本の文学4』に歯かれた「尾脩紅葉・泉競花」についての解説と 全く同じであり、 これは、 昭和四十四年一月に術かれたものであ る。 この文章は、 泉鋭花について書かれた三島の最後のものであ り、 又唯一泉鋭花について組め上げたものであろうと考える。そ の他には、 r文章誼本 J の「小説の文章」で、 悶外と列記して、 閲外の「寒山拾得」に対し て、 鏡花の「日本橋」を採り上げた< らいで ある。 r作家論』の中の「泉鋭花」で、「『棲紅新草」(昭和十四年七 月「中央公論」)については、「私に個人的な思ひ出がある 。 祖 母 が鐙花きちがひで、幼時から、鋭花の初版本を瞥視する機会があっ た私には、 その新作を買ふことは当然のことに思はれて、 渋谷の 本屋で、 r棲紅新草を下さい」と言って、 店貝に呆れ顔で笑はれ
はじめに
三島のオノマトペアと泉鏡花
たおぽえがある。」とあって、 三島が幼時から、 直接的にせよ、 間接的にせよ、 鋭花の作品に接することが多かったことは疑いの 余地はない。 三島が鏡花の芳作を全て読み通していたかどうかは定かではな いが、 r定本 三島由紀夫審誌』 に基づくと鏡花に関する文献は つぎのようなものが記戟されている。 総合的なものとして、 r泉鏡花篇』(明治大正文学全集十二)〔春賜 堂、 昭和三年〕 『鏡花全集』(+七)〔岩波世店、 昭和十七年〕 r泉鏡花集」(現代文栄名作全集十五)盆河出僭房、 昭和二十八 年〕 単行本では、 以下のものを載せている。 「黒百合」〔春陽堂、 明治三十五年版〕 「三枚績」〔春陽堂、 明治三十五年版〕 「風流線」〔春陽堂、 明治三十七年版〕 「組風流線」〔春陽裳、 明治三十八年版〕 「無憂樹」〔日高有倫堂、 明治三十九年版〕下河部
子4 1輝
2
「誓の巻」〔日高有倫 症、 明治三十九年版〕 「式部小路」〔隆文館、 明治四十年版〕 「婦系図」〔春陽堂、 明治四十一年版〕 「参寓日記」[春賜堂ヽ 大正三年版〕 「日本検」〔干章館、 大正三年版〕 r高野型」(代表的名作選集十)〔新潮社、 大正十四年版〕 「斧琴菊」〔昭和街房、 昭和九年版〕 「照菜狂言」(蓑徳殻也)〔狡徳社、 昭和二十年版〕 ただ、 これは「図宙の一部である」と記されているので、 これ らの蔵継が三島の説破した鏡花の作品のすべてであるとは言いが たいのではないかと考える。 r作家論』の中でも、 上述のように、 「線紅新草」を買い求めたこと などを記しているので、 他に数多 く目を通していたのではないかと考えられるのである。三島のオノマトペと鵡外
以前『国語学研究』26に、「三島由紀夫のオノマトペ」と題し て小論を発表した際、 『文章照本』の中の「文章技巧」で、「この 閉外に卑んで私は、 かへって小説を掛くときには、 努めて人稲を はぶくやうに氣をつける場合があります。 次に私が森閉外に學ん だの は擬音詞(オノマトペ)を節約す る事であります。」 という この文章を引いたが、 深く考えると、 三烏が船外の文章について 何時から意識的にその良さを取り入れようとしたかを十分に検討 していないことに気がついたのである。 『文章設本」の出版は、 昭和三十四年六月ということになっているの で、 いうまでもなく 戦後であり、 戦前においてはどうで あったのであろうかという思 いが念頭を離れない。そこで、 三島が関外のことに文体と合わせ て触れているのは、「自己改造の試み」と題して、副題として「阻 い文骰と悶外への傾倒」を付したエッセイがある。その中で次の ような文が ある。「私の感受性への憎悪愛が極端になったのは『仮 面の告白』であって、 その混乱した文盟は、 さういふ和神状態を 語ってゐる。悶外の消滋な知的文開は、 私への救ひとして現はれ た。郎外には感受性の一卜かけらもなく、 あるひはそれが完全に 抑歴されてゐた。 そこで私は閉外の文證模潟によって自分を改造 しようとした。」 この文章はのちに「組は兎に追ひつくか」とい う題で、 刊行したものに収められるが、 ともに昭和三十一年で六 月と八月とのニヶ月の差に過ぎない。 とにかく戦後である。 『文 存限本」よりは三年ほど早いだけである。その中で 、 作 品「日曜 日」の文体 についてその影需は、「はっ きりと(1.)森悶外」と 断言しているが、「日曜日」は昭和二十五年、「俄面の告白」は昭 和二十三年から二十四年の間において執節されてい るので、 三島 の表現をそのまま受け入れれ ば、 賂外について は、 戦後であると いうことになる。 三島はこの 「自己改造の試み」では、 泉鋭花のことは一言も触 れていないが、 鏡花の著作を読んだことは紛れもない事実であり、3
三島自身もそう謡っているわけで、 初期の三島の文章に鏡花の彩 はないとは断酋出来ないのではないか。 ここで、 比較的悶外の影 響のもとで、 言明しているr擬音語・擬態語」について、 鋭花は 感党的に的確に使用しているので、 この要紫が三島に反映してい るかどうかを検討してみたい。三島と鏡花のオノマトペ
ここで両者を比較する楊合、 そのテキストの選択が難しい。両 者の全作品を対象とするのであれば問題はそれほど複雑ではない . が 、 三島における初期の影響となる と、 鋭花が亡くなったのは昭 和十四年九月十日で興味があるのは、 この年、 r棲紅新草」を三 烏は貿い求めている。 三島における作品の選定は、 先述したよう に、 開外の 影聾の比較的ない時代の作品ということで、「骰面の 告白」以前ということになる。問題は鏡花の作品をどの様な観点 で選ぶぺきであるかと言うことになるが 、 三 島が鏡花について書 き残した文章に従って主たるものを選んでみようと思う。 三島がr日本の文学』(4)の「尾崎紅葉・泉競花」の解説で、 「さて、 本全集の限られた頁数に、 鋭花の厖大な作品の中から何 . を 選ぶかについてはまった<苦慇した。 どの全集にも必ず頻を出 す作品ばかりを選んでも意味がない。そこで比較的めずらしいr黙 . 百 合」を初期作品から選ぴ、 次に r 高野型」をもって、 短編小説 を、『天守物語」をもって戯曲を代表せしめ、晩年の作品からr線 紅新草」を執ったが、 この四篇で鏡花の全貌を窺わせることはと ても不可能だとわかっている。」と言うように、 三島とのOOわり で選択しようと思えばさらに難し い。 ただ三島が十六歳にして出 発したと考えれば、 鋭花の死去が昭和十匹年 なので、 全作品が対 象となるが、 その中から鏡花の作家としての地位を築いた「高野 型」を採り、戯011としては小説「日本橋」に基づき作者自身によっ て戯曲化された「日本梢」を選ぼう。 これは三島も『文章讀本』 の中で採り上げており、 鋭花もこの作品はよく錬り上げたものと 言えよう。ほかにr婦系図』の一部(道學先生まで)と戯曲のr夜 叉ケ池」を加えて 、 比 較を試みる。 3 — 1 三 島と鏡花のオノマトペの実態 三島の用例は基本的にr国語学研究:26所載のものである。従っ て、 その用例数は千四百一例にな る。 そして異なり語は四百四十 例である。 これに 対して鏡花の用例数は、 上記の作品であるのだ が、 延べで千三八十0例、 異なり語で四一九語である。 三島の作 品は、「座禅物語」からr訃音」まで五十六箭で、新潮社でのr-――
島由紀夫全集」本で頁数はのべ千三百八十頁、 一頁の字数は七七 四字と見倣しうるので、 ほぼ百六万八千百二十字となる。 一方鋭 花の場合、 岩波柑店版の『鋭花全集」では上記の作品は、 四百十 七頁、 一頁の字数はほぼ六四五字としうるので、 二十六万八千九 百六十五字ということになる。 当然空白野箇所や行空け等は無視 した形になるので、 あくまでも凡その数である。 三島の字数は鋭まず三島の用例を基準として、 多用されるものから、 用例の少 ないものへと順に示して見る。 三六%強が一致したものであるが、 日本語の基本的なオノマトベの基準は今のところないが、 研究が 進めば日本語の基本栢批のように、 オノマトペの表現基本語北の ようなものがあってもよい。 一致しないものは、 現時点での両者 それぞれのものとなる。 一致しないものは、 紙糀の都合上割愛せ ざるを得ないが機会を見て諭じたい。
4
_島と鏡花との共通したオノマトペ
花 の 約 四倍 弱 と な るの で 、 こ れ を 考 え れ ば 、 単純 計 算 で は あ る が 、 三島 の 異 な り語 、 四 百 四十 例 に た い し て の 鏡 花 の 四 一 九甜は 、 そ の オ ノ マト ペ の 用法 が 、 使用例は鋭花 の 方が極め て 三 島よりも 多 い こ と を 物 語 っ て い る 。 こ の 三島 と 鋭花 と の 語放 で 共 通 し て い る のは 百 六十語である 。 両 者 の全 作品を 対 象と すれ ば さら に 培 加す る ことは確実 で あ る。 番号 三島用例 用例数(会話) RI· 鋭花用例 m例数(会話) 計 l じっと 88(0) 88 じっと 30(10) 30 2 はっきり・と 53.32(0.0) 85 はっきり・と・する 3.3.1 (2.3.1) 7 3 ゆっくり・と・な 44.14.1(0.0.0) 59 ゆっくり・と 3.2(1. l) 5 4 ぽんやり・と 44.10(0.0) 54 ぽんやり・と・する 1.1.3(1.1.2) I 5すっかり 46(0) 46 すっかり 1 (1) 2 6 そっくり・な・に 33 · 6 · 3(0.0.0) 12 そっくり 2(1) 2 7 きらきら ・と 21.11(5.0) 32 きらきら・と O.l (O.l) ] 8 ちらちら・と 19.11 (1.0) 30 ちらちら・と・する 5.5.1 (3.3.1) l l 9 ひっそり・と 13.10(0.0) 23 ひっそり・と・する 0.1.1(0.0.0) 2 10 びっくり 22(0) 22 ぴっくり・する 3.12(2.9) 15 11 そっと 21(0) 21 そっと 15(9) ] 5 l2 ずっと 19(0) 19 ずっと 12(8) 12 13 そはそは・と 14.4(0.0) 18 そはそはする 1(1) 1 14 しっかり・と 10.5(0.0) 15 しっかり・する 2.3(2.3) 5 15 はっと 15(0) ]5 はっと ]] (3) JI 16 だんだん・と ·に 10.2.2(0.0.0) 14 だんだん・と I.I (I.I) 2 17 ぱたばた・と 8. 6(1.2) 14 ばたばた・と 0.2(0.1) 2 18 ふと l�(O) 14 ふと 11 (9) 11 19 にこにこ・と 10.3(4.0) 13 にこにこ ・と・する 2.1.2(0.0.2) 520 つと 21 まじまじと 22 くるくる・と 23 さらさら・と 24 そろそろ・と 25 うっとりと 26 ほっと 27 じろじろ・と 28そそくさ・と 29 どんどん 30 ぴったり・と 31 うっかり 32 しっとりと 33すれすれ・に 34ぞっと 35 どんより・と 36 はらはら・と 37ゆらゆらと 38 きっと 39 ぐらぐら・と 40すっと 41 すらすらと 42 ちらりと 43 ひらひら・と 44 かさかさ・と 45 ぐるぐる 46すっくと 47するりと 48 ぴくぴ< •と 49 ひたひた・と 50ふっと 51 すたすた・と 52 するすると 53ぞろぞろ・と 54 もぢもぢ 55 やっと 56 ゆったりと 57おづおづと 58かたかた・と 59がらんと 60 きちんと 12(0) 12(0) 6.5(0.0) 6.5(1.0) 7.4(0.0) 10(0) 10(1} 7.2(0.0) 5.4(0.0) 8(0) 5.3(0.0) 70) 7(0) 4.3(0.0) 7(0) �.3(0.0} 4.3(0.0) 7(0) 6(0〉 5.1(1.0) 6(0) 6(0) 6(1) 4.2(0.0) 4.1(2.0) 5(0) 5(0) 5(0) 4.1 (0.0) 3.2(0.0) 5(0) 3.1(0.0 4(0) 3.1(0.0) 4 (1) 4(0) 4(0) 3(0) 2.1(1.l) 3(0) 3(1) 12 つと 12 まじまじする l] くるくる・と 11 さらさら・と 11 そろそろ 10 うっとり・と 10 ほっ•と 9 じろじろ・と 9 そそくさ 8 どんどん 8 びったり・と 7 うっかり・と 7 しっとり 7 すれすれ・に 7ぞっと 7 どんよりする 7 はらはら・と 7ゆらゆらと 6 きっと 6 ぐらぐら・と 6すっと 6すらすらと 6 ちらりと 6 ひらひら・と 5 かさかさ・と 5 ぐるぐる・と 5すっくと 5するりと 5 ぴくぴ< •と 5 ひたひた・と 5 ふっと 4すたすた・と 4 するする・と 4 ぞろぞろ・と 4 もぢもぢ 4 やっと 4 ゆったり 3おづおづ・の 3 かたかた 3がらん 3 きちん・と 20(4) 1(1) 0.2(0.0) 1.3(1.2) 2(2) l.5(1.2) 3(0) 4.1(1.1) 1(0) 2(1) l.1(1.1) 3.2(1.2) 2(2) 0.1(0.l) 5(5) 1 (l) 0.5(0.2) 2(0) 35(16) 0.2(0.2) 11 (I) 2(1) 2(1) l.5(0.3) 0.2(0.2) 0.2(0.1) 7(0) 3(0) 0.1(0.l) 0.1(0.1) 5(3) 4.5(4,3) l.5(1.5) 0.1(0.1) l (I) I (1) 1(0) 1.1(1.0) 3(0) 1(1) 0.6(0.4) 201 2 4 2 6 3 5 1 2 2 5 2 1 5 1 5 2 35 2 11 2 2 6 2 2 7 3 1 1 5 9 6 1 1 1 1 2 3 1 6
61 ざっしりと 62 ぐいぐいと 63 ぐったり・と 64 しくしく·と 65すっぽり・と 66 たじたじと・に 67 ちゃんと 68 はたと 69 はたはたと 70 ばちばち·と 71 ばらばらと・な 72 ひしと 73 ひょいと 74 ぶるぶる・と 75 めちゃくちゃに 76 わなわな 77 きりきり・と 78 さっさと 79 さっと 80 しょんぼり 81 すやすやと 82すらりと 83ずるずると 糾 せいせい 85せっせと 86 たっぶり 87 It.がらだら 88 ちょっと 89 つかつかと 90 どっと 91 にやりと 92 はっはっと 93 ひやりと 94 ひらりと 95 ほんのりと 96 むらむらと 97 めりめりと 98 やっばり 99 あっと 100 いそいそと 101 うかうか・と 3(0) 3(0) 2.1(0.0) 2.1(0.0) 2.1(0.0) 2.1(0.0) 3(0) 3(2) 3(0) 2,1(0.1) 2.1(0.0) 3(0) 3(0) 2.1(0.0) 3(0) 3(0) 1.1(0.0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2 (1) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 2(0) 1(0) 0.1(0.0) 3 ぎっしりと 3 ぐいぐい 3 ぐったり・と 3 しくしく 3すっぼり・と 3 たじたじと 3 ちゃんと 31 Iわたと 3はたはたと 3 ばちばち・と 3ばらばら・と 3 ひしと 3 ひょいと 3 ぶるぶる・と 3めちゃくちゃ 3 わなわなと 2 きりきり・と 2 さっさと 2 さっと 2 しょんほり・と・する 2すやすやと 2すらりと 2ずるずると 2せいせい 2せっせ 2たっぶり 2 だらだら・と 2 ちょっと 2つかつかと 2 どっと 2 にやりと 2 はっはっと 2 ひやりと 2 ひらり・と 2 ほんのり・と 2 むらむらと 2めりめりと 2やっばり 1、 あっと 1 いそいそ 1 うかうか·と 1(1) l(O) 0.1 (0.1) l (1) 1.1(0.1) 1(0) 19 (16) 6(0) 1(0) 1.1(0,1) 2.9(1.2) 2(0) 9(4) 0.1(0.0) 1 (l) l(O) 0.1(0.1) 2(1) 11 (2) I. 1.1 (1.1.1) 1 (I) 3(0) 4(4) 1 (1) 1 (0) I (I) 1.1(1.0) 24(22) 7(3) 6(3) 4(1) 1(0) 4(4) I. 7(0.3) 1.1 (0.1) 2(1) 1 (I) 11 (11) 2(2) 2(0) 0.5(0.5) 1 1 1 1 2 1 9 6 1 2 1 2 9 1 1 1 1 2 1 3 1 3 4 1 1 1 2 4 7 6 4 1 4 8 2 2 1 1 2 2 5 1 1 1 2
'102 うんと 103 がたがた 104 かちかちと 105 かちりと 106 かっと 107 からりと 108 かんかん 109 ぎらりと IJO きりりと lll ぐいと 1J2 I <くと 113 ぐづぐづ 114 くつくっと )15 ぐっと 116 けろりと )17 こっこっと ll8 ころころと )19 ざっと 120 さめざめと 121 じろりと 122 しんみりと 123 すくすくと 124 すはと 125 ちぴりちびり 126 ちょいちょい 127 つくづく 128 つんつん 129 どきどき 130 どさりと 131 どしんと 132 どたばたと 133 とたんに 134 とろりと 135 どんと 136 のそのそ 137 ひいひいと 138 ひかびか 139 ぴくと 140 ぴ<ぴく 141 ひしひしと 142 ひたと 1(0) 1 (I) 1 (1) 1 (1) 1(0) 1(0) 1(1) 1(0) 1(0) 1(0) 1 (I) l (0) I (0) 1(0) l (0) I (0) I (I) I (0) I (0) I (0) I (0) I (0) I (0) I (0) 1(0) 1(0) 1(0) 1(0) 1(0) I (1) l(O) 1(0) l(O) l (0) 1(0) ] (]) ] (]) 1 (I) ] (]) I (I) I (0) I うんと 1 がたがた・ーと 1 かちかちと 1 かちりと 1 かっと 1 からりと 1 かんかん l ぎらりと l きりりと l ぐいと l くくと l ぐづぐづ・する l くつくっと l ぐっと l けろりと 1 こっこっと 1 ころころと l ざっと l さめざめと l じろりと I しんみり l すくすく・と lすはと 1 ちぴりちぴり l ちょいちょい・と 1 つくづく 1 つんつん l どきどきと・する l どさり l どしんと j どたばた l とたんに 1 とろりと l どん・と 1 のそのそ l ひいひいと l ひかぴかと l ぴくとも l ぴくぴくする l ひしひしと l ひたと 3(3) 0.J (0.1) 1(0) l (l) 2(2) 2(0) l (l) l(O) 2(0) 8(3) l.3(1.0) 0.1(0.1) 2(1) 5(0) 4 (I) l (0) 2(0) 4(3) l (0) 2(1) l (J) 1.4 (I. 2) 1(0) 2(2) 2.1 (2.1) 2(2) l (1) 2.1 (2.l) 1(1) 3(2) 2(0) 1 (0) l (l) 1.3(1.l) 1(0) 1(1) l (I) 2(2) I (l) 1 (1) I (J) 3 ] 1 1 2 2 1 1 2 8 4 1 2 5 4 1 2 4 1 2 1 5 2 3 2 1 3 1 3 2 1 1 4 1 1 1 2 l l l ー
H3 ぴたりと l (0) J ぴたりと 4(2) 4 144 ひやひゃ 1(0) 1 ひやひや I (I) l 145 ひょっと 1 (0) 1 ひょっと 2(2) . 2 l46 ひょろひょろと 1(0) 1 ひょろひょろ·と 1.2(0.0) 3 147 ひらりひらりと 1(0) l ひらりひらりと I (I) I 148 ぶつりと 1(0) ] ぷつりと (1) l 149 ふはふはと 1(0) 1 ふはふはと I (0) I 150 ふらふら 1(0) 1 ふらふら・と 2.5(1.1) 7 l51 ぷらりと l(O) 1 ぶらり ・ と J.4(1.3) 5 152 ほろりと l (0) J ほろりと 3(1) 3 153 ぼんと 1(0) 1 ぼんと 2(0) 2 154 むしゃむしゃ 1(0) J むしゃむしゃ 1(1) l 155 めっきり 1(0) 1 めっきり 1(1) l 156 もじゃもじゃ I (0) l もじゃもじャと I (I) 1 157 よたよた 1(0) 1 よたよた I (l) I 158 よろよろと 1 (0) 1 よろよろ・と l.2(0.2) 3 159 わあわあ 1(0) l わあわあ I (l) I 160 わっと 1(0) 1 わっと 3(2) 3 ()は会話文中の用例を示す。⑱は無いことを表す。 また中 黒によるものは、〔にこにこ・と・する] は、 「にこにこ」rにこにこと」「にこにこする」の三つを一まと めにしたもので、 それぞれに対応して数字を理解されたい。 両者の用法で、 三島は動詞化することは余りなく、 鋭花は其れ に対して動問化が多い。また副詞化で三島は「1と」の用法が多 く、 それに対して鋭花は、 三島に比較して少ない。 形容動詞化は 三島に多く、 鏡花には極めて稀である。 三島が形容動詞を多用す る領向があり、 オノマトベにもそれが見られるものと考える。 こ れらのうち、三島の10語以上の多用語を示すと、次のようになる。 (鋭花の湯合は三島に合わせた) 三凡の多川簡 じっと(88) はっきり・と{85) ゆっくりと・な (59) ぼんやり:と(51) すっかり(46) そっくりな・10(12) きらさら・と (32) ららちら・と(30) ひっそり・と(23) びっくり (22) そっと (21) ずっと(g そはそは.と(18) 椅の多川甜 さっと(35) じっと(30) ちょっと (U) っと (20) ちゃんと(19) びっくり·する(15) そっと(15) ずっと(12) ちららら·と・する(JI) はっと(11) ふと(11) すっと(11) ばらばら·と(11) ― -K2 の多川甜 しっかり・と(15) はっと(15) だんだん・と・に(M) ばたばた・と(M) ふと(M) にこにこ・と (13) っと(12) まじまじと(12) くるくる・と(11) さらさら・と(11) そるそろ·と(II) うっとりと (10) はっと (10) 泣花の多m糾 さっと(11) やっばり(11) すたすた'と(9) ひょいと (9) ひらり'と(8) ぐいと (8) はっさり・と'する(7) すっくと(1) つかつかと(1) ふらふら・と(7) うっとり・と(6) ひらひら・と(6) するする·と(6)
鋭 花 島 10五 カタカナ カタカナ 九一八 三島の多用語と鏡花の多用栢とは10語以上では11語の一致であ る。 祗の多少を問わないと三島には次のように下位の順番にある。 きっと(6)ちょっ と((2)ちゃんと(3)すっと(5)さっと(2) やっ ば り(2)すたすた・ と( 3)ひょい と(3) ひらり・ と (2)ぐいと(1)すっくと(5)ふらふら・と(1)ひらひら・と (4)するする・ と(4)「括弧内は頻度数 L ただ三島の「きっと」 は「必ず」の意味であるが、 鏡花は確定の意味だけでなく「屹と 呪む L のように動作の瞬間的なゆるみのないさまの用法がある。 .―――写例のうち、「屹と快復をさせて見せる」(日本橋)のように「確 実さ」を示すのは12例である。
三島と鏡花のオノマトペの表記
両者の大きな相迎は、 漢字表記されるかどうかである。 そこで 両者の語紐の表記而から観察し てみると、 次のように時代差を含 めて次のようになる。―
1110八 三五七 巡� 字 7 ニニ八〇 ひらかな 合 計 八七 一四〇 ひらかな 漢 字 合 計5
6
三島の場合、 淡字表記は、 明治は昭和の時代の趨勢もあり、 ま た戦中ということもあって、 古典に素材を依存したものが多いと いう事梢もあって、使用しなかったということになる。僅かに、「凝 と ( じっと)」「素破と(すはと)」「呆んやり(ぼんやり」の三語 のみである。 これらの漢字に対する鏡花の表記は、 それぞれ次の ように種類が多い。「凝と、 沈と、 熟と」(じっと)「鵞破と L (す はと)」「茫然する」「茫乎する」(ぼんやりする」 である。 カタカ ナの楊合も共通するものはわずかに形式的に八器であり、 意味を 加味すれば七語になる。 それらは 「カサカサ」rカタカタと」(鏡 花はカタカタ)「カチカチと」「ククと」(鏡花はクク)「コロコロ と L 「チラリと」rハクと」である。「カンカンに L (三島)「カン カン」(鏡花)の場合、三島は〔怒りの表現)鋭花は(鐘の嗚る音) である。鏡花のオノマトペの影響
三島はオノマトベに関し て、 即外からの影響については述べて いる が、 鏡花からについては一切触れていない。 三島は初期の作 品の製作に関しては、 鏡花との関わりがないとは酋えない。 そこ でこれは大変難しいことであるが、 オノマトペの明治的なものと、 昭和的なものとのしつかりした区別が出来ていない現時点では明 確な判断は出来ない。 従って、 三島と鏡花との共通したオノマト ベは l つの資科提示であって、 今後の課題への材科でもある。10