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物質現象解明のための先端光分析技術雑感

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Academic year: 2021

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201(1) 物質現象の解明に挑む光計測・分析技術

巻頭言

物質現象解明のための先端光分析技術雑感

中 野 秀 俊

(東洋大学)  筆者のような者が雑誌の巻頭に寄稿するなぞ,おこがましく,頼まれてみたものの 何を書いたものかと無策に時を過ごしているうち,大揺れに襲われた.東北地方太平 洋沖地震である.本震発生以来,すでに 1 か月以上になるが,余震が続いている.ま ずは,このたびの東日本大震災とその後の事故によって被災された地域の皆様,関係 の方々に心よりお見舞い申し上げ,被災地の一日も早い復旧・復興を心からお祈りい たします.  一連の大災害と大事故は,自然科学関連業務に携わる者に科学技術の価値,責任な ど多くのことを考えさせる契機になっていると思うのだが,ここで論じるべきではあ るまい.さて,震災が誘発した事故では,深刻な環境への影響が懸念され,放出され た物質量計測に高い関心が示されている.こうした時期に刊行される本号で,「物質 現象の解明に挑む光計測・分析技術」が特集されている.偶然にも時宜を得た特集に なったといえなくもないが ….  軟 X 線レーザー,X 線自由電子レーザーに代表される短パルスコヒーレント X 線光 源の開発が,微小物質の原子・分子スケールでの応答特性,構造変化の様を分析可能 にしようとしている.この種の研究の萌芽は 20 世紀末からみられ,上述した高性能光 源の実現が,高度な技術への昇華を促そうとしているといえよう.筆者も前職場 (NTT 物性科学基礎研究所)にてレーザープラズマ X 線を用いた結像型の時間分解軟 X 線吸収分光技術の研究に携わっており,こうした分野に一時若干のかかわりを持っ ていたため,興味のある技術分野ではある.筆者はもっぱら技術的な関心から取り組 んでいたため,計測技術を適用するに値する物質の重要性,将来性などについての知 識は欠如しており,この特集の巻頭を飾るような気の利いた論を披瀝することはでき ない.ただ,一般論として,物質の動的構造変化を詳細に分析する技術は,知的好奇 心を十分に満たすものであろうことは間違いあるまい.また,月並みなことだが,詳 細な物質理解が新規の機能物質合成に繋がり,高性能なデバイス開発へと進展すると いうシナリオも期待し続けたい.本特集号が,計測・分析技術の枠にとどまらず,そ の結果から抽出される物質現象にかかわる詳細情報の価値を議論する一助ともなるこ とを期待したい.

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