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ケアカンファレンスを構成する因子構造の探索

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Academic year: 2021

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日本福祉大学社会福祉論集 第 115 号 2006 年 8 月

はじめに

ケアマネジメントの普及にともない, ケアカンファレンスの必要性が注目されるようになった. ケアマネジメント関係のテキストでは, 「ケアカンファレンスを抜きにしてケアマネジメントの 有効な活用は期待できない」(1) といわれている. しかし, ケアマネジメントに関する研究は, ケ アマネジメントの実践過程を明らかにしようとするもの(2), ケアマネジメントの技術評価や研修 効果に焦点を当てたもの(3, 4), カンファレンスの実践を重視した論考(5∼8)などはあるが, ケアカ ンファレンスの実証的研究は見当たらない. リハビリテーション領域で, 定期的なカンファレン スと ADL 改善度の関連について示唆する研究(9)はあったが, カンファレンスの中身については 言及されていなかった. 野村が指摘するように, ケアカンファレンスは 「理論・実践の両面でほ とんど検討されていない概念」(10) であり, 実証的な研究が求められている領域といえよう.

Ⅰ. 研究の目的と用語の定義

ケアカンファレンスの定義について白澤は, 「メンバー間で援助計画を作成し, その計画を共 有すること」(11) とし, その機能として①目標の設定, ②ニーズ分析, ③援助計画作成, ④情報共 有, ⑤共通の援助目的と役割分担の確認をあげている. また野中は, 「利用者に関するアセスメ ントを共有し, 今後の支援計画を立て, 協働して実行していくために, あらかじめ計画された会 議」(12) とし, 「アセスメントはケアマネジャー 1 人で行うものではなくチームで行う」 としてい る. 野村はグループ理論の視点から, ケアカンファレンスには①目的, ②構造, ③過程, ④有効 な技法, ⑤評価の方法の 5 つの側面があると想定する(13). 本研究ではこれらの概念を基本的な枠組みとし, アカンファレンスを 「困難事例の課題解決に ついて, 協働する関係者が, 支援の目標や計画を議論する過程であり, ケアマネジメントの展開 点として機能する場」 と定義する. その上で, ケアカンファレンスの 1 側面である 「過程」 に焦 点をあて, それを構成する因子について探索することを目的とする. 〈研究ノート〉

ケアカンファレンスを構成する因子構造の探索

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Ⅱ. 方 法

ケアカンファレンスを構成する因子を探索する手段として質問紙表を作成し, 回答結果につい て因子分析を行った. 1. 質問項目の選定および決定 質問項目は, 各種ケアマネジャー養成テキスト(14∼17)およびカンファレンスに関係する文 献(18∼22)の中から, ケアカンファレンスの構成要素, 特徴, 効果等に関する項目を抽出し, 経験 年数 8 年∼15 年の実務者 8 名を対象に質問内容や表現に対する聞き取り調査を行った. その結 果, 質問項目 53 項目があげられ, これらの項目について 「十分だった」 から 「不十分だった」 の回答 5 件法の質問紙表を作成した. 予備調査は 2004 年 11 月に保健医療福祉領域の実務者 22 人を対象に実施し, 同時に質問紙表の語句や表現の不明な点, 曖昧な箇所などを自由に書き込む よう指示した. 予備調査の結果について, 日本福祉大学ケアマネジメント技術研究会内で協議し, 質問項目の 修正および整理を行い, 最終的に 45 項目の質問項目 (回答 5 件法) を決定した. 2. 本調査 本調査は, 2005 年 1∼3 月にかけて実施した. 対象は, ケアマネジメントに携わる保健・医療・ 福祉関係者 (行政・教育関係者を含む) が参加する集合研修, および地域で行われているケアカ ンファレンスの参加者とした. 研修またはケアカンファレンス終了直後にアンケート用紙を配布 し, 調査に同意の得られた 275 名に直筆回答を求めた. 回収したアンケートのうち有効回答数は 231 (有効回答率 84.0%) であった. 3. 因子分析 有効回答 231 について, 全質問項目 (45 項目) の天井効果とフロアー効果を確認し, 質問項 目として適切であることを確認した. また, 主観的満足度を問う項目を除く 44 項目について, 2 変量間の相関係数 (Kendall のタウ b) を検定した. その結果, 相関の低かった 2 項目を削除し, 計 42 項目を因子分析の対象項目とした. 因子分析は, 最尤法 (プロマックス回転) を実施. 因子数の決定については, 相関行列で固有 値 1 以上の値を示した 4 因子解∼6 因子解の全てに分析を実行し, 解釈可能性から 5 因子解を採 用した. その際, 1 因子について 0.3 未満の因子負荷量を示し, かつ 2 つの因子にまたいで 0.3 以上の因子負荷量を示す項目を削除した. なお, 分析には SPSSver13.0 を用いた.

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Ⅲ. 結 果

1. 基本属性 有効回答 231 の基本属性を表−1 に示す. 男性 60 人 (26.0%), 女性 171 人 (74.0%). 平均年 齢 37.1 歳 (SD±10.0 歳), 範囲 22-69 歳. ケアマネジャー資格 「あり」:121 人 (52.4%), 「な し」:110 人 (47.6%). 「あり」 の内訳は, 介護支援専門員 77 人 (33.3%), 障害者ケアマネジメ ント従事者 34 人 (14.7%), 介護支援専門員と障害者ケアマネジメント従事者の両方を持つもの が 10 人 (4.3%) であった. 障害領域別 (重複回答あり) では, 障害者 212 人 (64.4%), 高齢 者 69 人 (21%), 児童および母子 39 人 (11.9%), その他 9 人 (2.7%). 障害者の内訳は, 身体 35 人 (10.6%), 知的 31 人 (9.4%), 精神 146 人 (44.4%). 児童および母子領域は, 児童 23 人 (7%), 母子 16 人 (4.9%) であった. 2. 因子分析 因子分析の結果, 26 項目で構成される 5 因子が抽出された. その結果を表−2 に示す. 第Ⅰ因子は, 22. 提供する支援の順序が明確になった, 23. 必要な支援の量が明確になった, 17. 早急に解決すべき生活課題が明確になった, 19. 生活課題に対応した支援目標が明確になっ た, 21. チーム全体で支援目標が共有されたなど, 9 項目からなる因子が抽出された. 具体的な 支援についてチーム全体で検討する項目であることから, 「チームによる支援計画の具体化」 と 解釈した. 第Ⅱ因子は, 10. 利用者と家族との関係が理解できた, 11. 利用者と社会資源との関係が理解 できた, 12. 生活課題や問題の生じた経緯が明確になった, 15. 利用者の現在の生活状況を把握 できた, 3. 利用者の生活歴を把握できたなど, 7 項目からなる因子であった. 利用者の生活を多 面的にとらえようとする項目であることから 「生活の多面的理解」 と解釈した. 【表−1】 対象者の基本属性 調査票配布数 275 人 有効回答数 231 人 有効回答率 84.0% 性 別 男 性 60 人 (26.0%) 女 性 171 人 (74.0%) 年 齢 平 均 37.1 歳 標準偏差 10.0 歳 範 囲 22-69 歳 ケアマネジャー資格 な し 110 人 (47.6%) あ り 121 人 (52.4%) 障害領域 障害者 212 人 (64.4%) (重複回答あり) 高齢者 69 人 (21.0%) 児童・母子 39 人 (11.9%) その他 9 人 ( 2.7%)

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第Ⅲ因子は, 25. 支援計画に利用者の役割が位置づけられた, 26. 支援計画に利用者の能力が 活用された, 24. 支援計画に利用者の希望が反映された, 27. 支援計画に対する利用者の合意を 確認できたなど, 4 項目から構成される因子であった. 利用者の意思が問われる項目であること から 「当事者の参画」 と解釈した. 第Ⅳ因子は, 39.他の専門職の視点を理解することができた, 38.自分の専門以外の知識が増加 した, 37.支援に必要なネットワークが形成されたなど, 3 項目からなる因子であった. ネット ワーク形成に必要な専門職間の相互理解に基づく項目であることから 「相互理解によるネットワー ク形成」 と解釈した. 第Ⅴ因子は, 30.支援計画を実施する担当者が決まった, 31.支援者間の連絡方法が明確になっ たのは 2 項目で構成される因子であった. 具体的な連携方法に関する項目であることから 「連携 方法の具体化」 と解釈した. 【表−2】 因子分析結果 因 子 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅰ. チームによる支援計画の具体化 (α=0.89) 22. 提供する支援の順序が明確になった  −.08 .02 −.12 −.03 23. 必要な支援の量が明確になった  −.06 .07 .00 −.07 17. 早急に解決すべき生活課題が明確になった  .14 −.21 −.01 .00 19. 生活課題に対応した支援目標が明確になった  .04 −.01 .03 −.05 21. チーム全体で支援目標が共有された  .01 .03 .04 −.06 20. 支援目標相互のつながりが明確になった  .18 .03 −.02 .02 44. 納得のいく結論を導くことができた  −.04 .01 .18 .06 28. 支援計画が具体的になった  −.03 .13 −.04 .21 32. チーム全員で支援計画を策定した   −.14 .09 .15 .18 Ⅱ. 生活の多面的理解 (α=0.84) 10. 利用者と家族との関係が理解できた −.06  .05 −.04 −.08 11. 利用者と社会資源との関係が理解できた .05  .01 .04 .00 12. 生活課題や問題の生じた経緯が明確になった .16  −.12 .03 −.08 15. 利用者の現在の生活状況を把握できた −.03  −.07 −.04 .09 3. 利用者の生活歴を把握できた −.04  −.01 .00 −.04 13. 利用者の能力を把握できた −.18  .15 .05 .09 2. 事例提出者の意図が明確だった .16   .11 −.05 −.06 6. 今までの支援に対する利用者の評価を確認できた .16  .10 −.02 .04 Ⅲ. 当事者の参画 (α=0.89) 25. 支援計画に利用者の役割が位置づけられた .15 −.11  −.08 −.10 26. 支援計画に利用者の能力が活用された .04 −.03  .06 .01 24. 支援計画に利用者の希望が反映された −.09 .12  .01 −.01 27. 支援計画に対する利用者の合意を確認できた −.10 .22  .01 .12 Ⅳ. 相互理解によるネットワーク形成 (α=0.78) 39. 他の専門職の視点を理解することができた −.01 −.06 −.01  −.12 38. 自分の専門以外の知識が増加した .05 .04 .00  .05 37. 支援に必要なネットワークが形成された .10 .11 .00   .19 Ⅴ. 連携方法の具体化 (α=0.81) 30. 支援計画を実施する担当者が決まった −.02 −.09 −.03 −.06  31. 支援者間の連絡方法が明確になった .09 .12 .00 .00 

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3. 信頼性係数と因子相関行列 各因子を構成する項目間の信頼性を評価するため, クローンバックのα係数を算出した. 結果 は, 第Ⅰ因子 0.89, 第Ⅱ因子 0.84, 第Ⅲ因子 0.89, 第Ⅳ因子 0.78, 第Ⅴ因子 0.81 の値であった. 全 26 項目間のクローンバックのα係数は 0.93 の値が示された. また, 因子間の相関行列は 0.40∼0.60 の値であった (表-3).

Ⅳ. 考 察

1. ケアカンファレンス過程を構成する因子 因子分析の結果, Ⅰ 「チームによる支援計画の具体化」, Ⅱ 「生活の多面的理解」, Ⅲ 「当事者 の参画」, Ⅳ 「相互理解によるネットワーク形成」, Ⅴ 「連携方法の具体化」 の 5 つの因子が抽出 された. 第Ⅰ因子の 「チームによる支援計画の具体化」 では, 提供する支援の順序や量, 支援目標の明 確化や相互のつながり, チームによる目標の共有と計画の策定, そして参加者の納得等の項目が, また第Ⅴ因子の 「連携方法の具体化」 では, 支援計画の実行担当者や連携方法の明確化等の項目 が示された. これらは, 野中のいう 「ケアマネジメント会議は一方的に立てた支援計画に協力者 を要請する場ではなく, チーム構成員が自分の意見や発想を述べて計画策定に関与することによっ て, 実際の介入作業が確実に行われる」(23) という指摘に相当する. またこれらは, 白澤(24)がケ アカンファレンスの 5 つの機能とする, ①目標の設定, ③援助計画作成, ④情報共有, ⑤共通の 援助目的と役割分担の確認にあたる項目といえよう. 第Ⅱ因子の 「生活の多面的理解」 では, 利用者と家族あるいは社会資源との関係, 課題や問題 が発生した経緯や現在の生活状況, 利用者の生活歴や能力, さらに支援に対する利用者の評価, そして事例提供者の提出意図に関する項目が示された. これらは, 西尾(25)が 「多面かつ総合的 な視点による情報収集」 としてあげる 4 項目, すなわち①問題とそれを取り巻く状況および経緯, ②クライアントの概要を理解するための情報, ③問題の背景やメカニズムを理解するための情報, ④援助方法を検討しそれを評価するための情報と内容的に一致する. また, 白澤がいうケアカン ファレンス機能の②ニーズ分析に必要な項目に相当すると考えられた. 第Ⅲ因子の 「当事者の参画」 では, 利用者の役割, 能力活用, 希望の反映, 合意形成等の項目 【表−3】因子相関行列 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅰ. チームによる支援計画の具体化 1 Ⅱ. 生活の多面的理解 0.45 1 Ⅲ. 当事者の参画 0.57 0.49 1 Ⅳ. 相互理解によるネットワーク形成 0.55 0.40 0.41 1 Ⅴ. 連携方法の具体化 0.60 0.43 0.59 0.45 1

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が示された. ケアカンファレンスの構成メンバーに本人や家族を加えることについては文献によっ て強調点が異なるが, たとえそこに当事者が参加しなくとも, エンパワメントや利用者中心主義 の視点を現した項目と考えられた. 第Ⅳ因子の 「相互理解によるネットワーク形成」 では, 他職種の視点や知識の理解およびネッ トワーク形成に関する項目が示された. ネットワーク形成には職種間の相互理解が欠かせない. ケアカンファレンスには他職種の理解を深め, 実質的なネットワーク形成に関与する側面がある と考えられた. 上記のように, ケアカンファレンスの過程として 5 つの因子が抽出された. しかし, 野中が指 摘するように, 「アセスメントはケアマネジャー 1 人で行うものではなくチームで行う」(26) もの であるならば, アセスメントの過程に相当する因子が抽出されるはずである. 一見すると第Ⅱ因 子がそれに該当すると思われるが, これらはアセスメントに必要な項目であって, アセスメント の過程を表現する項目とはいいきれない. なぜ, アセスメントに相当する項目が抽出されなかっ たのか, 筆者らは次のように考えた. 2. アセスメントの過程 アセスメント過程は, 情報の編集作業といえる. ケアカンファレンスで提示された情報によっ て参加者個々人の実践知が刺激され, 利用者像を想起し, 想起したものを言語化し, 参加者間で 共有される. 共有された情報によって再び個々人の実践知が刺激され, 新たな想起を生み, 新た な情報を言語化し, 参加者間で再び共有される. この過程において, アセスメントは 2 つの側面 を持つ. 1 つは, 参加者個々人による内的作業過程であり, もう 1 つは, 参加者間における言語 情報のすり合わせ作業, すなわち参加者による集団内過程である. これらの過程は交互に繰り返 されることによって, より洗練されたアセスメントを可能にする. また, アセスメントの到達点 は, ケアカンファレンスの構造や運営技術によって影響を受け, 効果に影響を及ぼす. ここでい う構造とは, 参加者の職種, 人数, 個人のキャリア, 時間, 場所等であり, 運営技術とは司会や 板書の技術, 参加者の技術, 資料の活用技術等を指す. そして効果とは, 支援目標や計画の内容 あるいは参加者の満足度等のことである. このようにアセスメント過程は, 個人および集団における内的作業過程を経るとともに, ケア カンファレンスの構造, 運営技術, 効果等の側面と深く関係すると思われる. 質問紙表作成段階 では, アセスメント過程を表現する適切な質問項目が設定されなかったため, それに相当する因 子は抽出されなかった. しかし, 前述の 5 因子のほかに, アセスメント過程にあたる因子の存在 を想定する必要があると考えられた.

Ⅴ. 限界と課題

本研究の限界と課題として, 次の 3 点をあげる.

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第 1 に, 本来のケアカンファレンスは 10 名程度の人数で行われるが, 本研究のサンプルの多 くは集合研修参加者を対象にしたものである. したがって, 通常のケアカンファレンスとは構造 が異なることをあげなければならない. しかし, 政策誘導的に急速に普及したわが国のケアマネ ジメントの場合, 実務者であるケアマネジャーや支援にかかわる専門職が, ケアマネジメントや ケアカンファレンスの知識や技術を十分に身につけた状況とはいい難い. このような状況の中で, 本研究の目的にそうサンプルを確保するには, 集合研修に頼らざるを得ない現状があると考える. 第 2 に, 因子の解釈については, ケアカンファレンス過程に関する統計的な先行研究が見当た らなかったため, 関連する文献, 日本福祉大学ケアマネジメント技術研究会の意見, および筆者 ら (医師およびソーシャルワーカー) の臨床経験を頼りに解釈した. 各因子を構成する項目の内 的整合性, 全項目間のクローンバックのα係数, および因子間相関行列の値については, 統計的 な指標はクリアーしたものの, より望ましい評価項目概念があるかもしれない. 今後さらなる検 討を重ねる必要がある. 第 3 に, 本研究では, 質問紙表を作成する段階で, アセスメント過程を表現する適切な質問項 目の設定が行えなかった. 今後は, それを想定した評価項目概念の検討を要する. また, この因 子はケアカンファレンスの構造, 効果, 技術との関連においてより明確になると考えられるため, 各側面の研究と並行して検討する必要がある. なお筆者らは, ケアカンファレンスの効果に関す る実証的な研究を開始したところである.

おわりに

本研究は, ケアカンファレンスの定義を 「困難事例の課題解決について, 協働する関係者が支 援目標や支援計画を議論する過程でありケアマネジメントの展開点として機能する場」 とし, そ の過程を構成する因子構造の探索を目的とした. 因子分析の結果, ケアカンファレンス過程は, Ⅰ 「チームによる支援計画の具体化」, Ⅱ 「生活の多面的理解」, Ⅲ 「当事者の参画」, Ⅳ 「相互 理解によるネットワーク形成」, Ⅴ 「連携方法の具体化」 の 5 つの因子にまとめられる構造をも つことがわかった. これら 5 因子のうちⅠとⅤおよびⅡは, 野中のケアマネジメント会議, 白澤 のケアカンファレンスの機能, 西尾の多面かつ総合的な視点による情報収集に相当する項目であ り, Ⅲはエンパワメントや利用者中心主義, Ⅳは実質的なネットワーク形成に関与する因子と考 えられた. また, 本研究の分析では抽出されなかったが, アセスメトン過程に相当する因子の存 在が考察された. 限界と課題として, サンプル収集の対象を集合研修参加者としていること, 統 計指標はクリアーしたが評価項目概念等のさらなる検証が必要であること, アセスメント過程を 表現する評価項目の検討および構造, 効果, 技術など, ケアカンファレンスの他側面と並行した 研究が必要であることを述べた.

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【参考文献】  古屋龍太 ケア会議の開き方 「ケアガイドラインに基づく精神障害者 ケアマネジメントの進め方」 精神障害者社会復帰促進センター 2003 年 P. 116  沖田裕子, 岡本玲子, 村岡枝理子 「介護支援専門員の質改善のためのケアマネジメント過程の検討」 日本在宅ケア学会 vol. 5, No. 3 2002 年 P. 54-61  門田直美, 野中猛 「ケアマネジメント技術に関する主観的評価尺度の開発」 第 4 回日本ケアマネジメ ント学会 2005 年 6 月 17 日  安田裕子, 野中猛 「障害者ケアマネジメント研修必修項目研究」 第 4 回日本ケアマネジメント学会 2005 年 6 月 16 日  西尾祐吾 「保健・福祉におけるケースカンファレンスの実践」 中央法規 1998 年 P. 78-83  白澤正和 「ケアマネジメントの実践」 中央法規 2000 年 P. 8-14  岩間伸之 「援助を深める事例研究の方法」 ミネルヴァ書房 2005 年 P. 36-45  三品桂子編集:「利用者主導を貫く精神障害者ケアマネジメントの実践技術」 へるす出版 2003 年 石田暉, 田中宏太佳ら 「定期カンファレンスの実施状況とリハビリテーション患者のアウトカム

ADL 改善度および改善率との関連」 リハビリテーション医学 vol. 42, No. 3 2005 年 P. 176-179 野村豊子 「ケアカンファレンスの理論と実際 (その 1)):ケアカンファレンスとは何か」 岩手県立大 学社会福祉学部紀要 2-1 1999 年 P. 69-79 白澤 前掲書 P. 8 野中猛:「図説ケアマネジメント」 中央法規出版 2002 年 P. 43 野村豊子 「ケアカンファレンスの理論と実際 (その 2):課題グループの視点から」 岩手県立大学社会 福祉学部紀要 2-2 2000 年 P. 42  古屋 前掲書  白澤 前掲書  北野誠一・大谷悟・西岡勉編著 「障害者ケアマネジメント実践事例集」 中央法規出版 2003 年  身体障害者ケアマネジメント研究会・知的障害者ケアマネジメント研究会監修 「新版 障害者ケアマ ネジメント実施マニュアル 身体障害・知的障害共通編」 中央法規出版 2002 年  三品 前掲書  伊藤淑子 「ケアカンファレンス実践ガイドブック」 P. 21 看護の科学社 1999 年  野中猛 「チームカンファレンスの必要性と進め方」 トータルケアマネジメント 第 3 巻第 3 号 1998 年 P. 3-8  野中猛 「精神保健現場におけるケースカンファランスの技術」 精神科治療学 第 18 巻第 4 号 2003 年 P. 415-419  野中猛 「図説ケアマネジメント」 中央法規出版 2002 年 P. 43  野中 前掲書 P. 43  白澤 前掲書 P. 8  西尾 前掲書 P. 50-56  野中 前掲書 (2002) P. 33

参照

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