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医薬分業をめぐる諸要因 —要因関連表による分析—

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3撃機轡韓国・置閣圃

医薬分業をめぐる暗要因

一一要因関連表による分析一一

久慈光亮

日本薬剤師会では,医薬分業とこれをとりまく 諸問題につき,長年にわたって考えつづけてきた. 錯綜した諸要因聞の関係を,全体的に把握するた め,マトリックスによる表示を試みた .OR 学会 の諸賢の参考に供するとともに,よいお考えがあ れば,ご教示をたまわりたい. 1.医薬分業 医師の書いた処方実にもとづき,薬剤師が調剤 する一一ーこれが現行法のもとでの原則である.法 文には但し書きがあり, 一定の条件が満たされて いるときにかぎって,医師自らの調剤が許されて いる. わが国医療の現状をみれば,例外規定による調 剤が多く,原則どおりのほうがむしろ例外なのは, 周知のとおりである.しかし,西欧諸国において は,この医薬分業の歴史は古く,西暦 1231 年のフ リードリ、ソヒ H 世の医薬法にまでさかのぼれる. 医薬分業の本米のねらいは,診療と調剤という, 2 つの高度の専門技術を,別個のものとして確立 し,両方の進歩発展をうながすとともに,誤れば 愚者をも殺しかねない医療というものに,安全の ための l つのチェッグ機構を設けようとするもの である. 西洋の医療制度がわが国に導入されてすでに久 しい.それにもかかわらず,この医薬分業制度は なかなか定着しない.薬剤師側からすれば,自分 たもの職能の確立という点からも,この医薬分業 の定着こそ,明治以来の悲願である.仮に,薬剤 師というー職能集団の悲願などは,国民一般から すればどうでもよい,という考えに立ったとして も,医学と薬学の最近の進歩はまことにいちじる しい. とうてし、 1 人で両方を学びきれるものでは ない.それぞれの専門家の協力のもとに医療活動 がすすめられることこそ,時代の流れに適合した 健全な方向といえよう. 日本薬剤師会・薬業経済調査委員会は,このよ うな考えにもとづき,長い間,医薬分業制度がな ぜ進展しないのかという問題を,姐上にのせ,検 討してきた.ある人は「医師が“くすし"とよば れた,わが国医療の歴史 J をとき,またある人は 「医師法の但し書き」という法律面を強調し,さ らに別の人は「経済面にこそ真の原因がある」と いう.みなそれぞれに一面の真理を含み,傾聴に 値するのだが,委員会としては,これらを総合し, できるだけ客観的に,問題の諸要因を捉えてみた いと考えてきた. この目的にそって,同委員会ではすでに,特性 要因図(\,、わゆる魚骨図)を作ってみるなどの作 業をしていたが,要因同士が複雑にからみあい, もう 1 つ,しっくりこないうらみがあった. 2. 要因関連表 同委員会の 1 , 2 のメンバーは,昭和53年 1 月 から,日本 OR 学会・流通研究部会と共同で,い くつかの間題ととりくんでいたが,その際,上記

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のような状況の表示の方法として,マトリックス がよかろうというヒントを得た. 有機的にからみ合った,多数の要因聞の相互関 係の細部までを,マトリッグスで表現しようとす ることは,すでに,計量経済学の分野で,産業連 関分析の名で,さかんに行なわれている. しかし,医薬分業問題をめぐる諸要因を数量的 に把握することは,現在のところ,まだのぞみ得 ない.われわれは,要因聞の関連度を 4 段階法で 評価し,マトリックスを作り,これをとりあえず 要因関連表とよぶことにした. ここで,関係者の諒承を得て, うらぱなしをし ておくことにしよう.実際のところ,流通研究部 会で議論したときには,数量化は無理にしても, 方向性ぐらいはとり入れられるのではないかと考 えた .OR 学会側のメンバーの 1 人は,この考え にもとづき , p(= ふえる),n( = へる),

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=ゼロ), q(= わからない)という 4 つの値に関する和と積 の演算を定義し,マトリックスの巾乗によって波 及効果を調べる方法を展開した. [IJ この方法は, 理論的には成立するものだし,問題によっては, 効果があるのだが,われわれの問題の場合には, やってみるとどうもうまくゆかない.まず第 1 に, 要因について,“ふえる Mへる"ということの意味 が明確に定義できない.第 2 に,要因の組によっ ては,考えても調べても,“わからなし、"とせざる を得ないものがあり,しかもそれが存外多く,マ トリックスの巾乗を作ってみても“わからない" という場所がひろがるばかりで有効な知識が得ら れない.結局のところ,関連度を 4 段階法で評価 する方法におちついたのである. 3. 関連表作成の作業 このように,マトリッグスの作り方についてあ れこれ考えている矢先,日本薬剤師会石館会長か ら,薬業経済調査委員会に諮問があった「医療用 医薬品の流通適正化推進」についてさらに研究を 続けるよう要望があったので,これを期に,とに かく,このマトリックスをある程度まで完成して みようということになった. といっても,なにしろ予備的な段階にある仕事 だから大がかりなことはできない.この問題と長 くとりくんできた委員会の 10名の委員が,医師側 の意識調査 [2, 3J 等を参考に討論しつつ一応の結 論として得られた結果を表としてまとめ,この問 題を考える人たちの参考に供することにした. 要因の選定 われわれがまず最初にとりくんだ のは要因の選定である.ブレーン・ストーミング の結果得られた数多くの要因を, KJ 法によって 30項目にまとめた. (図 1) 30項目という数は,問 題の複雑さを考えるとき,無理に整理してはかえ って重要な問題を見失うのではないかと考えれ ば,多すぎることはないであろう.また,項目を 30以上にすることは,委員会のもつ時間とエネル ギーから考えてむずかしかった. 各項目の内容(薬剤師という立場からは,これ こそ声を大にして訴えたいところである)をいち いち説明することは,紙数の都合でできないが, 各委員の間で共通の理解が得られるよう配慮し た. 要因聞の関連度個々の要因が,原因となって 他の要因に影響を与え,現象をひきおこすーーそ の程度が要因聞の関連度である.これを推定する ために,まず,委員による予備的な投票(@ :大 いに関連あり, 0: 関連あり(普通),.6. :関連は あるが度合は小さい x 関連なし)を行ない, これをもとに,各項目ごとの討論を加えた.最終 的には, 70% 以上の支持をもって,表に記入する ことにした.とくに関連なしと断を下す場合には, 他の場合に比べて,いっそう慎重を期した. 4. 結果にもとづく考察 討議の結果を,分業進展に対する関連度の強さ な考慮して順序づけ,整理したのが図 l である. 分業進展に大いに関連ある項目は,要因番号①か ら③までの 8 項目である.これにもとづいて,若

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2国民に対する教育 国民の理解支持3 医師の経済面に対する不安4 医師の受入れ側に対する不安5 6薬局と医師のコミュニケーション 日本医師会の指導7 分業に関する法律8 薬局の配置9 製薬企業の支持m 日医師の処方築公開に対する不安 ロ医師の患者の反応に対する不安 日薬局薬剤師のプロフェッショナルな自覚 凶薬局薬剤師の自信 日薬局の分業に対する積極的志向 凶薬局の薬品備蓄 げ医薬品供給体制の整備 同日本薬剤師会の政治力 技術(無形財)に対する評価ω 加薬価差の適正 幻医師仲間のけんせい 幻患者の不便・負担増 お卸の支持 M医師の情報サービスに対する不安 勿医師の家族従業員の問題 %医療体制の整備 幻薬局機能の明確化 お医師薬剤師の分業についての教育 mU租税特別措置法 PR -国および地方公共団体の取組み方 O 分業 現 象 ¥ 要 因 @@××@××@@×一×××××一××××@C×xxメムム××\一 @@@oxxx@@×一八凸××××一×××@O一×××××一×ム×\×一

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⑬の現象は,影響力の強い要因が数多くからみあ って,作用をおこしており,その実現をはかるこ とには,多くの困難を伴うものと考えられる. (表 2 参照)

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(c)要因番号@,

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@,⑮の 現象に関連のある要因は,あまり多くない.した がって,その実現(解決)は,比較的,単純明快 なものと考えられる. (表 2 参照) (d)分業進展に大いに関連のある 8 項目(要因番 号①から⑧まで)に対して,最も関連のある 2 次 要因をみると,つぎのとおりである. ①国および地方公共団体のとりくみ方 ⑦日本医師会の指導

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表 1 要因の現象に対する関連度表 表 2 現象の要因に対する関連度表 一~現象の関連度

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11 一一一一一 因の関連度

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12. 医師の墨主の邸に対する不安

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13. 薬局薬剤師のプロフエツシヨナルな自覚 1 9 引6は 1113. 薬局薬剤師のプロフェッショナルな自覚 111131619

114. 薬局薬剤師の自信

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2m O ⑬日本薬剤師会の政治力 この 3 項目を攻めることにより,分業進展に大 いに関連のある 8 項目に強く影響を与えることが できる.政治,行政,組織の力が,いかに大きな ものであるかが, うかがわれて興味深し、. (e)d のような作業を 2 次要因以下にくりかえ すことで,連鎖図をつくることができる.連鎖図 は,多数つくることができるが,図 2 に 2 つの 例を示す. おわりに われわれは,この仕事を予備的なものとして始 めた.それにもかかわらず,得るところは大変大 きかった.まず第 l に,このような表を作りなが ら,徹底的な討論を加えることにより,少なくと も委員の間では,共通の理解というものが,かな りの程度まで確立されたことである. 実際,日頃よく話合っており,十分共通の理解 や共通の尺度をもっているものとばかり思ってい たものが,こういうシステマティッグな方法で討 論をしてみると,思いもよらなかった考え方の違 いが表面に出て“教えられる"ところが多く,延 ベラ日にわたる合宿の終りには,問題に対するわ れわれの理解や洞察力が,ずっと増していること に気づいた.薬剤師会内部の問題として,この共 通の理解を,討論に参加した委員の間ばかりでな

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く,多くの人の聞にもひろめることが考えら れる.これは,むずかしい問題ではあるが, いっそう努力をしなければならない. 第 2 は,得られた結果そのものである.ど んなに心がけたとしても,結局のところは委 員の主観的判断ではな L 、かといわれてしまえ ばそれまでであるが,方法を決めてシステマ ティックに討論すれば,ある程度は,公平な 結論も得られるものである.また,批判にも, 反論にも,この表が役立つはずである.少な くとも,問題のメカニズムは明らかになって くる. 日本薬剤師会・第 11 回学術大会におい て,田原俊夫副委員長によって,この研究は 発表されたが,幸い否定的な戸はあまりない ようである. しかし,われわれはもちろんこれで満足してい るわけではない.本文中にも述べたが,可能なか ぎり,物事を具体的にとらえ,方向性を導入した り,数量的なとりあっかし、をしたりすることを努 力したいと思っている. とはいっても現実には, これはなかなかむずかしい.そういって手をこま ねいているわけにも行かないから,とりあえず作 ってみたのが,本稿の表というわけである. 医薬品がどのような経路を流れて,本当にこれ を必要とする患者の手にわたるのか? この経路 を“適正化"しようとするとき,どのような要因 がこれをとりまいているか? われわれが薬剤師 会という側に立っているのは事実としても, OR などという,科学的で,システマティックな方法 を導入することによって,少しでも公平な議論を したいと望んでいるのである. 本稿は,われわれの OR 活動の一端を紹介した ものであるが,技術的な点で今後もなお,ご助力 が得られれば幸いである. 参芳文献 [ 1 J 柳井浩「要因関連表とそのとりあっかい」未発 表 [2J 川辺光丸「医師側よりみた医薬分業J 日本薬剤師 会雑誌第30巻第 6 号(1 978) 33-40頁.

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131 国民の理解支持(が得られ・分業が進展する)

項 目 (と解説) 10171 日本医師会の指導(が強まれば) 9]17] 医薬品供給体制の整備(が強制 8]10] 製薬企業の支持(が増強し) 7]23] 卸の支持(が増し) 6]16] 薬局の薬品備蓄(が進み) 5]14] 薬局薬剤師の自信(が湧き) 41181 日本薬剤師会の政治力(が強まり) 3131 国民の理解支持(が得られ) 2]1] 国および地方公共団体の取組み方 (が真剣になり) l1 8 1 分業に関する法律(が改正され・分業カ漣展する) 図 2 医薬分業に関する要因現象連鎖図 [3 J 関根 |等「処方築発行のメリット・デメリット j 医薬ジャーナル“時論" (昭和50年 12月 6 日 )87~90 頁. (くじ・こうすけ 臼本薬剤師会薬業経済調 査委員会委員長)

図 1 医薬分業に関する要因関連表 干の考察をしてみた. (品)要因番号@,①,⑦,⑮,③,⑬,⑥,⑬, ③の要因に強く働きかけることによって,他の多 くの要因に影響を与えることができる
表 1 要因の現象に対する関連度表 表 2 現象の要因に対する関連度表 一~現象の関連度 1  1  1  1  11 一一一一一 因の関連度 1  1  1  1  一一一) ゆゆ凶川 l 一一一一一 1@IOI ムIx 要因 一 一一 1 1  1  1 1 1  現象 一一一一一一 1 1 1   1  o

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