236 (102) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
タカムラ トモ コ篁倫子(昭和30
博士(医学) 乙第1448号平成6年2月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
極小未熟児の精神発達に関する縦断的追跡研究一就学前の知能と周産期要因
並びに社会的要因との関連一 (主査)教授 福山 幸夫 (副査)教授 武田 佳彦,重田 斜子論 文 内 容 の 要 旨
目的 近年の新生児医療の長足の進歩は出生体重1,500g 未満の極小未熟児の死亡率を著しく低下させた.しか し,その発達の長期予後については,殊に本邦では未 だ明らかにされていない.本研究では粗大な神経学的 後障害のない極小未熟児の就学前までの精神発達を評 価し,その特徴と経年的変化,並びに周産期・社会的 要因が予後に及ぼす影響について検討する. 対象および方法 1984年10月~1986年12月に出生し,当母子総合医療 センターで新生児期を管理ぎれ,その後小児科発達外 来での定期検診を受けた極小未熟児は69例である.こ のうち,脳性まひなどの明らかな神経学的後障害がな く,4歳および6歳の両時期に発達評価を受けた47例 (男24,女23)を研究対象とした.検討要因は出生体重, 在畑島数,アプガー指数,子宮内発育不全,胎児仮死, 低血糖,呼吸窮迫症候群,人工換気療法期間,酸素投 与期間,および栄養の計10周産期要因,並びに出生時 の両親の年齢,両親の教育年数,および出生順位の3 社会的要因である.知能検査にはWPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)を用 いた. 結果 1)4歳時のIQ,言語性IQ(VIQ),動作性IQ(PIQ) の平均はそれぞれ99.6,96.3,103.3であった.これら は6歳時に104.9,100.7,107.4とすべて有意に上昇し た.2)しかし,VIQとPIQとの不均衡が児の45~47% に,より男子に高率に認められた.また,VIQ〈PIQ型 が不均衡の80%以上を占めた.3)4歳時のIQとVIQ は出生体重,両親の教育年数と,PIQは酸素投与期間 とそれぞれ相関した.一方,6歳時のIQの予測変数は 両親の教育年数と出生体重,VIQのそれは両親の教育 年数であった. 考察 粗大な神経学的後障害のない極小末熟児の精神発達 は就学前には正常平均に達していることが示された. しかし,認知能力間に不均衡を示す児が多く,就学後 にこれらの児が学習上の困難に直面する可能性は少な くない.発達予後については,就学前に至っても低出 生体重などの未熟性要因が負の影響を与えていると同 時に,加齢と共に両親の教育水準などの社会的要因が 知能と強く相関するようになる.長期予後の評価には 周産期並びに社会的要因を,併せて検討することが不 可欠と考える. 結論 1)4歳時,6歳時の極小未熟児の平均IQは標準平 均に近似していた. 2)しかし,個人内認知能力問に不均衡を示す児が多 く,就学後の追跡調査が是非必要である. 3)周産期並びに社会的要因が精神発達に影響を与 えており,両者を検討に加えることが不可欠である. 一842一237