〔甕孫蟄聴:譲諮響勢〕
合成培地に培養ぜろ腸「チフス」菌の
抗元に就て
東京女子讐學專門學校細菌信教室(指導 三野憲正博士)安 西 港
アン ザィ ミナト (受付 昭和16年12月4日) 緒 雷 腸「チフス」菌は合成培地に於ける累代培養により,H一抗元の損傷を來たすことはi甦にBraun u.Cahn一:Bronner(3), Gladstone(4)等の注目せる所にして;既報の如き余の楽壇(2)’に於ても略同様 の成績を得たり。然るに余の帳面に於ては分離後時日を維過せざる菌を用ひたる場合に於ては,一 旦H:一抗元の減少を來たし,後再び増加せるが如き成績を得たり。依ってこの黒占を更に追究し,同 時に何故斯る現象を呈せるやを知らんと欲し,本實験を行ひたり。 三三菌綜及實験方淡 本實験に使用母る菌株はすべて,本校附厨病院内科に入院中の患者並に當検査部に邊附されたる腸「チフス」 .患者よP分離せられたるものにして,高橋,吉岡,鈴木,高島菌は共に分離當日より2週間以内の1,の,前田 は18目,匝瑳は26日,鵜澤株は39日目のものなYo以上7菌株中匝瑳株のみは糞便より,他のものは血 取より分離せら才したyo 本實験に用ひたる各種冤疫」血清 H一,O一二vi一』血溝 本血清を得る爲の手技は『腸「チフス」菌=於ケルvi一抗元ノ研究其ノー』(ηに述べたる方法に振れり。 「アミノ」酸培養基 同上『其ノニ』(2)に詳記せbe 賀験方法 前 同實験 成 績
L 「エネルギー」源として各種糖類を加へたる培地に於ける腸「チフス」菌の護育 菌め獲育は常に其の累代培養時に於ける洞濁度と,平板上に培養せる菌集落とにより槻察せり。 其の成績は「アミノ」酸B培養基に「ガラクトーゼ」,「グルコーゼ」の如き六炭糖を加へたる培養 基中に於ける菌はヂ第1代目よPl 30代目至る迄常に佳良なる獲育を績けたるも「キシローゼ」, 「メリビオーゼ」加培養基,「アミノ」酸A及:B培養基に於ける菌の畿育は相當累代数に達する迄 或る時は可良或る時は不良にして一定せす。就.中「メリビオーゼ」加培養基中に於ける菌の獲育は 3代目より漸次可良となり,8代目に於て頂上に蓮し,後一時不良となり,再び最頂上に蓬し,そ の後は六炭糖加培養基中に於けるものと向様に旺盛なる護育を示せり。・これを圖示すれば第1圖の 如し。 第 1 圖 ワ)ロー亀 「D●ラクトー堵 加培養基 孟膝嚢 「sシロ鴫 加培養甚 ・一
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以上の成績より各種合成培地に於ける菌の獲育状況を観るに,.六炭糖を加へたる培地に於けるも の最も山育良く,次で「メリビオーゼ」,「キシロ 一一 tf」,「アミノ」酸A及:B培養基に於ける順にし て,新分離菌を用ひての二二に点ても亦既報の如く,腸「チフス」菌の山育の「エネルギー」源と しては,六炭糖最も優れたるを認めたり。 厳に興味あることは,六炭糖加培地及「アミノ」酸:B培養基を除きたる他の合成培地に培養せる 菌は第2代目に於て,第1代目に於けるより些か獲育貧弱なることを認めたることなり。 2,抗元構成に及ぼす影響 .本高齢の目的は主としてH一抗元に就きて槍索するにありたるも,O一二vi一抗元に就きても亦 これを槍せりQ H:一血清による凝集反磨 被:槍菌の中,鈴木,面忘の爾菌は普通塞天斜面に於ける1代培養に於て,H一血清により1600倍 迄凝集せられ,爾飴の菌は殆んど最絡凝集慣迄凝集せられたり。第.11代累代時に於ても,H一血 清に樹して第1代目に於けるものと略法慣の凝集を示せるも,30代目に至りて始めて鈴木,鵜二二 は最絡凝集慣迄凝集せられたり。然るに合成培地にユ1代累代培養を行ひたる菌はすべて普通寒天 斜面上に培養せられたる菌に比し,H一抗元の著明なる減少を來し,「ガラクトーゼ」,「メリビオー ゼ」及「キシ・一ゼ」加培養基に培養せられたる鈴木菌は僅かva 100∼400倍に凝集せられたるも, 他は悉くH一功L漕によりて凝集せられす,叉鵜島菌は「キシローゼ」加培養基に於けるものxみ 400倍迄凝集せられ,他は出て,200倍迄凝集せられたるに過ぎづ㌔叉著明なるH一凝集性を有する ’前田,高橋,匝瑳,吉岡,高島菌の中高島菌は,「トレハローゼ」,「グルコPゼ」,「キシ質一ゼ」加の3 種の培養心中に於ける11代累代培養に依りて,H一抗元の幣失を來せり。他の合成培地に於けるも のと錐も200∼400‘{迄凝集せられたるに止まれり。爾飴の4菌株も「グルコ一個」加培養基に於 ける高橋,吉岡,「トレハローゼ」加培養基に於ける高橋等を除きたる他は200∼1600倍迄凝集ぜら れたるを認めたるりみなり。然るに合成培地に30代累代培養を行ふ時は1!代累代培養に於て一 旦減少せるH一抗元は再び著明なる増加を來たし,殊に「グルコーゼ」加培養基に於て著明なり ’。 然れども之を寒天斜面に培養せる菌に比すれば猶著しき蓬庭あり。但し累代30同に及んで,「キシ 恒一ゼ」加培養基に於ける匝瑳は1600倍より400倍へ,鈴木は400→200倍,「アミノ」酸A培養 基に於ける匝瑳は400→200倍,吉岡は200→100倍叉「アミノ」酸B培養基に於て,匝瑳は400 →50倍迄:H一凝集性の低下を來たせ)1。叉「キシローゼ」加培地に於ける高橋,「ガラクトーゼ」 加培地に於ける二二,「メリビオーゼ」加培地に於ける三二,「トレハローゼ」加培地に方奪ける匝瑳・ 「アミノ」酸A培養基に於ける高島,「アミノ」酸B培養基に於けζ前田及鵜澤等は・培養30代に 於ても11代培養に於けると同程度のH一凝集性を示せり。(第1表参照) vト血清による凝集思慮 最絡凝集頂80G催のv1踊t涛を20倍に稀繹せるものを用ひて凝集性を槍せり。合成培地に於け る!1代累代培養菌はすべてv1一凝集性を有するも,30代目に至りて,「キシローゼ」加培養基(匝
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余の誤報に於ける實瞼成績より,合成培地に累代培養せられたる腸「チフス」菌のH一抗元は, 1.減少を去たせるもの,2.一旦減少せる後再び増加せるものとの二様の総別に分類し得らる。前 者は既に幾多の先入淫によりて岬町せられ・余も亦之を追試し・略同様の成績を得たるも・新分離 菌を使用せる際には後者の如き成績を得fe b。依って斯る現象は,新分離株なることに由回せるも のなるや否やを究明せんと欲したるに,幸に最近に於て7菌株を分離せるを以て,本舗験を行ひた り。その結果分離後時日を経過せざるもの,或は普通寒天培養基上に於て,現匠抗元構成の攣化を.41一
途げつNある菌を用ひての實験に際しては,H一抗元は少数の例外を認めたるも,一旦減少せる後: 再び増加し來たれり。依って分離後の経過日数の相違によb,合成培地に於ける累代培養菌は,H一・ 血清に野する凝集性を異にするものX如し。 o一及vi一凝集性は前報の成績を再び確認せる如き結果たり。帥ちvi一一抗元の保持は「アミノ」 酸のみより合成された培地に於て,充分ならざるも,糖類殊に6個以上の炭素原子の添加によりてs. 本抗元は完全に保持せらる。蝕に興味あることは,vi一抗元は5個の炭素原子を有する「キシロー ゼ」の添加によりて,其れの添加なき時に於けるより,本抗元の減少乃至は破壊を來たせることな D。O一血L清に難凝集性の菌は累代と共に0一凝集性となり・容易に凝集せらる工菌は累代培養に よりて,殆んど攣化を被むらす。 腸「チフス」菌の「エネルギー」源としては,本影験に於ても亦六炭糖最も有効なることを認め たb。 分離後時日を経過せざる腸「チフス」菌を用ひて合成培地に累代培養を試みたるに, 1.被楡菌は殆んどすべて,一一・一・旦H一抗元の三三を來せる後再び増加せ・b。然るに之れを普通寒. 天斜面培養基に累代培養せるものに比し,常にH一抗元の損傷を認めたり。 2.被槍菌はいつれも,vi一抗元の保持に際して6個以上の炭素原子を必要とせり。 3.O一難凝集性菌を,種kの糖類の加はりたる合成培地に累代培養を行ふ時は,0一凝集性と なれり,同時に普通血豆斜面増養基に培養せるものも累代と共に漸次(}一凝集性となれり。伺丁 最初よりO一凝集性を有する菌株は合成培地に累代培養するも,O一抗元に攣化を來たさす。 蜜爽育「エネルギー」源としては,六炭糖の最も有効なことを認めたり。 稿を絡るに臨み絡始御懇篤なる御指導並に御按閲の勢を賜りたる恩師準野博士に満腔の謝意 を表し,併せて菌分離に際し御援助を賜りたる内科寳田登代學姉及讐局員諸姉に謝す。 主 要 曳 獄 1) 蜜 西 港 : 系田菌學難誌 547, 607, 昭禾0 16 dEi三・ 2) 安・西 港;細菌學雑誌 546,543,昭和16年・
3) Braun u. Cahn−Bronner:Zbl. Baht., 86, 1, 196, 380, 1921. 4) Gladstone:Brk J. exp. Path., 18, 67, 1937.
5) 須 藤:讐化學的微量測定法 第3版 昭和12年・