原 著
〔制球繕,。魏籍63狸顔〕
ニワトリ固定血球を用いた赤痢アメーバ症の
間接赤血球凝集反応に関する研究
東京女子医科大学 寄生虫学教室(主任オダギリヨシエ
小 田 切 嘉 恵 白坂三曹教授) (受付 昭和63年8月17日)AStudy oHndirect Hemaggluti血ation Test of Amebiasis Using Fixed Chick Red Blood Cells Yoshie ODAGIRI
Department of Parasitology(Director:Prof. Ryukoh SHIRASAKA)
Tokyo Women’s Medical College
The author studied indirect hemagglutination test(IHA)using chick blood cells as a seroiogical
examination of amebiasis. The results are as follows.1)As a diluent for sera to be tested by IHA,0.25%
autoclaved normal rabbit serum(NRS)was superior to NRS.2)The optimal concentration of tannic
acid in the IHA reagent was 1.5 mg/dl, and that of antigen was×220. Storage of the prepared IHA at
4。C for 7 days resulted in stabilization of its reactivity.3)This IHA reagent showed a good
reproductivity of test results. Inactivation of the sera to be tested was not necessary. Determination after 2 hours and 18 hours showed no significant difference between each other. Storage of the reagent
at 4。C for up to 2 days caused no deterioration in the test results.4)For the IHA, titer of l in 80 was
thought to be the cut−off titer for specific diagnosis of amebiasis。 IHA tests on sera of 100 healthy pregnant women showed O%positive rate for antibody, i.e., antibody titers were 1:80>in all cases. In 25cases of amebiasis, the antibody titers were 1:320≦in all cases, proving the effectiveness of the IHA in the serological diagnosis of th童s disease. However, among the sera of the patients with positive ameba cysts,only 3 cases(6.5%)demonstrate slightly increased antibody titers(range:1:8>∼1:320).5)
IHA antibody titers were followed in the patients with amebic liver abscess during the course of
treatment. The titers dropped by 4 to 8 times after 10 months of treatment, showing that this test is a
good indicator of treatment. The titers, however, did not become completely negative, i.e., less than 1:80.6)We believe that, during the early phase of immunity, the IHA detects IgM antibody also and the reactivity shifts to IgG antibody thereafter.
緒 言 赤痢アメーバEη如窺06ゐα 痂S如〃擁6α Schaudine,1903は分類上,根罪障網に属する原虫 で,腸アメーバ症やアメーバ性肝膿瘍などの症状 を主徴とする赤痢アメーバ症の原因となる.本虫 は人畜共通寄生虫で世界に広く分布し,WHO1)の 推定によると1981年当時,世界中に4億:8,000万人 の感染者が存在し,毎年4∼11万人の死者が認め られたという.最近の報告によると,米国では同
性愛者集団に高頻度で本虫の感染が認めら
れ2)3),AIDSの合併症として注目されている. 海外との交流が頻繁となった今日,本虫が高率 に存在する熱帯・亜熱帯地方を中心とした発展途 上国に長期滞在するものも多く,これら海外帰国 者によって,我国に持ち込まれる輸入赤痢アメー バ症の増加も問題となっている4)5).赤痢アメーバ症の診断は,従来患者の糞便検査 による虫体の検出および同定によって実施されて きた.しかし,糞便検査による診断は,他種非病 原性アメーバとの鑑別同定に熟練を要するぽかり でなく,確実な原虫の検出には反復検査が必要な ど,確定診断にはかなりの困難が伴った.これら の理由から,本症において信頼できる血清学的検 査の確立のために,古くから種々の方法が検討さ れてきた6). Diamond7)による赤痢アメーバの無菌化培養の 成功によって,純粋な抗原を用いた血清学的検査 法が初めて可能となり,更にこの方法の有用性は Patterson8)によって報告された.赤痢アメーバの 血清学的検査法は,ゲル内沈降反応(GDP),間接 蛍光抗体法(IFA),酵素抗体法(EIA),間接赤血 球凝集反応(IHA)などが広く用いられている8)9). しかし,GDPは成績の判定に時間を要し, IFAや EIAでは成績の判定方法や手技などに熟練を要 するため,一般検査室での実施は容易ではない. IHAは,鋭敏性に優れ,米国では多用されてい る.これらのIHAでは,担体として羊血球を用い たものが多く8)10),ニワトリ固定血球を応用したも のは見当たらないようである.IHAの担体に動物 由来の赤血球を用いた場合,高力価の異好抗体を 保有する患者血清に対しては,非特異凝集を起こ すことが指摘されている11)12).従って,羊血球を担 体としたIHAでは,異好抗体の影響を除くため,
被検血清の羊血球による吸収処理が必要
で13)∼16),操作が煩雑かつ反応時間も長い難点があ る. 現実性において血清学的検査法を実施する場 合,術式が簡単で信頼性の高いものがより望まし い. 著者は,一般検査室での実施が容易で,広く臨 床に応用できる血清学的検査法を考える目的で, 異好抗体の影響が少なく操作の簡単なニワトリ固 定血球17)18)を用いたIHAを研究し,赤痢アメーバ 症診断への応用性について検討したので報告す る. 実験材料 1.ニワトリ血球 4℃に保存されたニワトリ血液(Alsever液を等 量含む)は,ガーゼ2枚で濾過後,生理食塩水で 上清が透明になるまで遠:心洗浄(2,500回転10分目 を行なった.洗浄後のニワトリ血球の濃度を,後 述のPBS(pH 7,2)で5%に調整後,実験に使用 した. 2.燐酸緩衝生理食塩水(PBS) 1)PBS(pH 7.2):0.15M Na2HPO4水溶液; 0.15M KH2PO4水溶液;0.85%NaCl水溶液を 7:3:10の割合で混合し調整した. 2)PBS(pH 6.4):0.15M Na2HPO4水溶液; 0。15M KH2PO4水溶液;0.85%NaCl水溶液を 3:7:10の割合で混合し調整した. 3.グルタールアルデヒド(GA) グルタールアルデヒド水溶液(関東化学)を PBS(pH 7.2)で5%に希釈し使用した. 4.タンニン酸 タンニン酸ぱメルクジャパン社製品を使用し, 赤血球を処理する際のタンニン酸の希釈には, PBS(pH 7.2)を使用した. 5.赤痢アメーバ抗原 実験には,慶応義塾大学医学部寄生虫学教室よ り分与後,BI−S−33培地(Dianlondら,1978)19)で 無菌培養しているHM1株を使用した.抗原の作 製は,以下の方法で行なった. BI−S−33培地120mlを含んだスクリューキャッ プ付三角フラスコ(容量125ml, Weaton社製)で 培養3日後,虫体はフラスコの底部で増殖する. 上部約8割の培養液のみを水流ポンプで除去後, 三角フラスコを5分間氷水中で冷却し,数回フラ スコを回転させて虫体を浮遊さ.せる.虫体浮遊液 を遠心管に移し,2,000回転5分間遠心後上清を捨 て,生理食塩水に浮遊させる.同様な遠心洗浄を 4回繰り返す.虫体の沈渣に,生理食塩水を加え て,虫体数を10×106/mlに調整する.この虫体浮 遊液は,超音波細胞破砕機(ソニケ一三ー150,大 岳製作所)を用いて出力150W,発信周波数20KC の条件で1∼2分間超音波処理後,4℃で1晩抽出 する.翌日,抽出後の虫体液を4℃15,000回転30分 間遠心し,上清を0.45μmのミリポアフィルター で濾過後,抗原として小試験管に分注し,一80℃に 一1195一保存した.なお,使用時の抗原の希釈は,PBS(pH 6.4)で行なった. 6.健康家兎血清(NRS) NRSは56℃30分で非働化後,下記のごとく調 整し,被検血清の希釈液として適正条件の検討を 行なった. 1)5%NRS:NRS 50mlと10%NaN3水溶液10 mlにPBS(pH 7.2)を940ml加えて全量を1,000 mlとし,4℃に保存した. 2)高圧滅菌NRS(高圧NRS):PBS(pH7.2) で1%に希釈したNRSを121℃15分間高圧蒸気滅 菌後,0.45μmのミリポアフィルターで濾過し, 4℃に保存した. 両血清希釈液は使用時,PBS(pH 7.2)で適宜 希釈した. 7.被検血清 1)人血清 実験に使用した人血清は,赤痢アメーバ症25例 (腸アメーバ症3例,アメーバ性肝膿瘍21例,両合 併症1例),非アメーバ性肝膿瘍3例,非アメーバ 性潰瘍性大腸炎3例と無症状の赤痢アメーバシス ト陽性者46例であった.これらは,東京女子医科 大学消化器病センターおよび外部機関より,当大 学寄生虫学教室に検査依頼のため提出されたもの である20).なお,対照の陰性人血清として,当大学 産婦人科外来を受診した健康妊婦血清100例を用 いた. 2)免疫家兎血清 健康家兎(雌,体重2.5kg前後)4羽に,1羽当 たり0.1mgの蛋白濃度の赤痢アメーバ抗原を,コ ンプリートアジュバント(ヤトロン社製)と共に 皮下接種した.接種7日,24日,60日後,家兎の 耳静脈より採血し,血清を分離した.各期の免疫 血清は,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法 により,IgM, IgG画分に分画した.カラムは東 ソー,G−3000SWを使用し,分画の条件はサンプ ル量0.075ml,流速1.Oml/minとした.流出溶液に は0.15M PBS(pH 7.2)を使用し,各フラクショ ンは0.75mlずつ分取した.この流出後の溶液は, サンプル(免疫血清)の約10倍希釈に相当する. 各フラクションについて流出後溶液の280nmに おける吸光度を測定した,蛋白吸光度曲線は,大 きく分けて3つのピークが認められ,図5∼7の 左より順にIgM, IgGおよびAlbuminのフラク ションに相当する. 実験方法 1.タンニン酸処理抗原感作赤血球浮遊液の作 製方法 タンニン酸処理抗原感作赤血球浮遊液の作製方 法は,Jacobsら13)の方法に準じ,図1のごとく, ニワトリ赤血球のGA固定,タンニン酸処理,抗 原感作の手順で行なった. 1)ニワトリ赤血球のGA固定
5%ニワトリ血球浮遊液に1/5量の5%GA液
を加え,30℃1時間固定した.固定後の血球液は, 生理食塩水で6回遠心洗浄後(3,000回転5分間), PBS(pH 7.2)で血球濃度4%に調整した. 2)赤血球のタンニン酸処理 4%GA固定血球に, PBS(pH 7.2)で至適濃度 に希釈したタンニン酸溶液を等量加えて,37℃40 分間処理した.処理後の血球は,生理食塩水で5 回遠心洗浄後(3,000回転5分間),PBS(pH 7.2) で血球濃度を4%に調整した. 3)赤血球の抗原感作 4%タンニン酸処理血球に,PBS(pH 6.4)で 至適濃:度に希釈した抗原液を等量加えて,37℃40 分間感作した.感作後の血球は,PBS(pH 7.4) で3回遠心洗浄後(3,000回転5分間),0.25% NRSで血球濃度を4%に調整し,4℃に保存した. 抗原非感作血球液は,4%タンニン酸処理血球液に PBS(pH 6.4)を等量加えて,同様に作製した. 使用時,両面濾液の濃度を,後述の血清希釈液で 0.4%に調整した. 2.赤血球凝集反応の術式 赤血球凝集反応の術式は,梅毒血球凝集反応 (TPHA試験)21)に準じて行なった. 血清希釈液を,図2のごとく,U字型マイクロ プレートの第1血目に4滴(0.1ml),第2穴目か ら最終穴まで各1滴(0.025ml)ずつ,ドロッパー で滴下する.マイクロピペットで検体を0.025m1 とり,第1重目に加える.ダイリューターを第1 穴目に検体の数だけ立て,8∼10回転し希釈する.5%ニワトリ血球浮遊液 PBS(pH 7,2)で作製した5%GA液を1/5量加える 3⑪℃1時間撹搾混和 生理食塩水で遠心洗浄 GA固定ニワトリ血球浮遊液 PBS(pH 7.2)で血球濃度を4%に調整 PBS(pH 7,2)で希釈したタンニン玉液を等量加える 37℃で40分聞撹絆混和 生理食塩水で遠心洗浄 PBS(pH 7,2)で血球濃度を4%に調整 タンニン酸処理ニワトリ血球液
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PBS(pH 6.4)で希釈した抗原を 等量加えて37℃40分撹拝混和 PBS(pH 7.2)で遠心洗浄 1 0.25%NRSで血球濃度を4%に調整 [4℃に保存 4%抗原感作ニワトリ赤血球浮遊液 PBS(pH 6.4)を 等量加えて37℃40分撹拝混和 I PBS(pH 7.2)で遠心洗浄 1 0.25%NRSで血球濃度を4%に調整 4℃に保存 4%抗原非感作ニワトリ赤血球浮遊切 図1 タンニン酸処理抗原感作ニワトリ赤血球浮遊液の作製法 ト レ イ の 穴 1 2 3 4 5 6 7 8 9 最終穴 希 釈 用 液 ?検 血 清 4D率 O.025ml 1D 撃k** 1D 撃k 1D 撃k 1D 撃k lD 撃k 1D 撃k 1D 撃k 捨てる 1D 血清希釈倍数 1:5 1:10 1:20 1:40 1:80 1:160 1:320 1:640 非感作血球(ml) 0,075 感作血球(ml) 0,075 0,075 0,075 0,075 0,075 0,075 0,075 最 終 血 清 ?釈 倍 数 1:40 1:80 1:160 1:320 1:640 1:1280 1:2560 非感作 ?球 ホ 照 本 試 験 希 釈 p 液 ホ 照 振罎・混和後室温に2時間 テ置後判定 *’ cは0,025ml用ドロッパーで滴下することを示す. 1D=0.025ml(1滴),4D=0.1m1(4滴) **’ PLは0.025ml用ダィリューターで0.025mlとることを示す. 図2 赤痢アメーバ赤血球凝集反応の術式 ダィリューターを第2穴目に移し,以下同様に!1 穴目まで回転希釈し,最:終穴(12穴目)は希釈液 のみとする.非感作血球をドロッパーで第2二目 に3滴(0.075ml)滴下し,次に別のドロッパーで 感作血球を第3穴目から最終穴目まで3滴(0.075 ml)ずつ滴下する.滴下後のマイクロプレートを, ミキサーにかけて十分混和後,蓋をして室温で静 1197 覚する.2時間後,観察箱か白紙の上にマイクロ プレートを置き,肉眼で血球凝集のパターンを観 察し成績を判定する.陽性血清(免疫家兎血清) についても同様に操作する. 3.赤血球凝集反応の判定基準 赤血球凝集反応の判定基準および反応パターン は,図3および図4に示した.血清の希釈倍数は,血球液滴下後の倍数で表わし,血球凝集パターン が1+以上を示した最終血清希釈倍数をもって抗 体価とした.検査の都度,2二目に非感作血球対 照,最終穴(12穴目)には希釈用液対照をおき, 両者とも陰性であることを確認する. 4.血清希釈液の検討 タンニン酸濃度1.5mg/dl,抗原濃度320倍で作 製した抗原感作血球を用いて,血清希釈液の検討 を行なった.検討したのは,NRS 5∼0.075%と高 圧NRS 1∼0.015%の各濃度であった. 5.タンニン酸および抗原の至適濃度の検討 タンニン酸および抗原の至適濃度を検討するた め,3mg/dl,1。5mg/dl,0.75mg/dlの各濃度のタ ンニン酸で処理したGA固定血球を,80∼10,240 陰 性(一) 血球はボタン状またはリング状に集まり, 外 縁はなめらかな円形を示す(希釈革茸に対す る感作血球の対照は,その試験ごとの陰性パ ターンの基準となる). 疑陽性(±) 血球はボタン状またはリング状となるか, 外 縁は不鮮明な部分が認められる.疑陽性には 陰性(一)と弱陽性(1+)の中間形を含む. 弱陽性(1+) 血球リングが陰性対照よりも明らかに幽き く 薄く周辺に多くの血球死石がみられる。 陽 性(2+) 凝集が明らかにみられ,底全体に血球が膜状 に沈着している. 強陽性(3+) 膜状に沈着した血球が一部中心に向って ス リップした状態を示す. 図3 赤痢アメーバ赤血球凝集反応の判定基準 倍の間で2倍段階希釈した抗原液でそれぞれ感作 し,陽性血清(免疫家兎血清)および陰性血清と の間でIHA反応を行なった.また作製後のIHA 試薬を,4℃に7日および10日保存した場合の反応 性についても同様に観察した. 6.被検血清に対するIHAの反応性 前述の被検血清についてIHAを実施し,各血 清に対するIHAの反応性について検討した. 結 果 1.血清希釈液
被検血清の希釈液として,NRSおよび高圧
NRSについて検討した. 1)希釈液として,NRSを使用した場合 被検血清の希釈液として,5∼0.075%のNRS を使用し,抗原感作血球によるIHAを行なった (表1).陽性血清希釈における赤血球の凝集パ ターンは良好で,1:1,280∼1:2,560の抗体価 が示された.一方陰性反応を示すべき希釈二三対 照(NRS)においては,全てのNRS濃度で疑陽 性反応が認められ,その程度(凝集の大きさ)は NRSの濃度が高くなるほど強く現われる傾向で あった. 2)希釈液として高圧NRSを使用した場合 高圧NRS1∼0.015%の場合では(表2),陽性 血清希釈における抗体価は,各濃度とも1:1,280 1 1,農、。1、撫1編
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図4 赤痢アメーバ赤血球凝集反応の反応パターン表1 血清希釈液としてNRSを用いた場合の抗原 感作血球による反応パターン NRS濃度 陽性血清希釈 1: 希釈用液 (%) 80 160 320 640 1280 2560 5120 対照 5 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± ±* 2.5 2十 2十 2十 1十 1十 ± ± ±* L25 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± ± o.6 2十 2十 2十 2十 1十 ± ± ± 0.3 2十 2十 2十 2十 1十 ± ± ± 0.15 2十 2十 2十 2十 1十 ± ± ボー 0,075 2十 2十 2十 2十 2十 1十 ± 掌一 抗原感作の条件は,タンニン酸濃度1.5mg/dl,抗原濃度320 倍で行なった. 寒:反応パターンがやや大きいことを示す. 表2 血清希釈液として高圧NRSを用いた場合の 抗原感作血球による反応パターン 高圧NRS 陽性血清希釈 1 希釈用液 濃度 i%) 80 160 320 640 1280 2560 5120 対照 1 2十 2十 2十 1十 !十 ± 寧皿 一 0.5 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 一 0.25 2十 2十 2十 2十 1十 ± ± 一 0,125 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 0,062 2十 2十 2十 1十 1十 ± *一 一 0,031 2十 2十 2十 1十 1十 ± 卓一 _串 0,015 2十 2十 2十 1十 1十 ± ± _* 抗原感作の条件は,タンニン酸濃度1.5mg/dl,抗原濃度320 倍で行なった. 恕反応パターンがやや大きいことを示す. を示したが,NRSに比べて陽性反応時の血球の 広がりがやや悪かった.しかし,希釈用液対照で は,1∼0.062%において,反応後の陰性像が良好 で,血球がプレートのそこにボタン状に集まり, 成績の判定が容易であった.0.031∼0.015%では
弱い凝集が現われた.従って,高圧NRS濃度
1∼0.062%のうち陽性血清希釈系列において,反 応パターンが一番強く現われた0.25%を以下の試 験の血清希釈液として使用した. 2.タンニン酸処理抗原感作赤血球浮遊液の作製 条件 1)赤血球の処理に必要なタソニソ酸と抗原の 至適濃度 3mg/dl,1.5mg/d1,0.75mg/dlの各濃度のタン ニン酸で処理した3群の血球を,80∼10,240倍に 希釈した抗原液でそれぞれ感作し,陽性および陰 性血清との間でIHAを行なった(表3).その結 果,陽性血清に対しては,3群のタンニン酸処理 血球とも,抗原濃度80∼640倍の感作で満足すべき 陽性反応が認められた.タンニン酸3mg/dl,1.5 mg/dl処理群の場合,80∼640倍の抗原による感 作で,全てが1:20,480≦の抗体価を示し,タソ ニソ酸0.75mg/d1処理群の場合,80∼160倍の抗 原感作で,他2群と同様20,480≦の抗体価が認め られた.しかし,抗原濃:度320倍では,抗体価1: 10,240,640倍では1:640の抗体価を示し,他2 群に比べて低濃度の抗原感作による抗体価の低下 が目立った. タンニン酸処理血球3群の陰性血清に対する反 応は,80倍の抗原感作ではいずれも非特異凝集が 認められ,その度合は3mg/d1群が一番強かった. 160倍の抗原処理ではタンニン酸の3mg/dl処理 群でのみ弱い疑陽性反応が現われ,タンニン酸処 理3群とも,320≦の抗原感作では陰性(一)の反 応パターンを示した. 非感作血球対照は,タンニン酸3mg/dl処理群 のみに弱い疑陽性反応が認められ,他2群では陰 性(一)の反応パターンであった. 陽性反応に対する感作血球の凝集像は,3mg/dl および1.5mg/dl群では血球の広がりが良好で, 0.75mg/dlではやや不良であった. 陰性血清に対する反応パターンは3群とも(一) を示し陰性と判定されたが,作製当日の試薬では 全体的に血球の落ちが悪く,血球による反応像が 若干不明瞭であった. これらのことより,陰性血清において疑陽性反 応が出現せず,陽性血清において最高の力価が得 られたタンニン酸1。5mg/dl,抗原320倍がIHA試 薬作製の至適条件と考えられたが,血球による反 応像の安定性を検討するため以下の実験を行なっ た. 2)IHA試薬作製後の日数と反応像の関係 作製後のIHA試薬を4℃に保存し5日,7日, 10日後,同様にIHAを実施し,作製当日の反応像 と比較観察した. (1)試薬作製7日後,全体的に見たIHA試薬 の血球反応像は,タンニン酸1.5mg/dl群で陽性 一1!99一表3 至適タンニン酸および抗原濃度の検討(試薬作製当日の反応パターン) 抗原 タンニン酸 陽性血清希釈 1: 陰性血清希釈 1: 希釈 p液 血球反応像 希釈 濃度 (×) (mg/dl) 40 80 160 320 640 1280 2560 5120 !0240 20480 40 80 160 320 対照 広がり 落ち 3 *一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 一 1十 ± 一 一
0
× 80 1.5 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 一 ± 一 一 一O
× 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 一 _* 一 一 『 △ × 3 *一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 一 _* 一 一 一 ○ × 160 1.5 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 一 一 一 一 ○ × 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 } 一 一 一 △ × 3 *一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 一 一 一 一 一 ○ × 320 1.5 一 2十 2十 2十 2十 2十 2.ト 2十 2十 1十 一 一 一 一 ○ × 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 一 一 一 △ × 3 *一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 /十 一 一 一 一 一 ○ × 640 1.5 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 一 一 } } 一 ○ × 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 一 『 一 一 一 一 一 △ × 3 * 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 _率 』 一 一 ㎜ 一 一 ○ X 128Q 1.5 一 2十 2十 2十 2十 2十 1十 ± 一 』 一 一 一 一 ○ × 0.75 一 1十 2十 2十 1十 1十 ± } 一 一 } 一 一 一 一 △ × 3 *一 1十 1十 1十 1十 1十 _* 一 一 』 一 一 一 一 一 2560 1.5 1十 1十 1十 1十 ± 一 一 一 一 一 一 一 0.75 』 *} 十 十 _* 一 } 一 一 一 一 一 一 皿 一 3 *』 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 5120 1.5 一 一 一 一 一 } 一 一 一 一 一 一 一 0.75 一 』 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 3 *一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 10240 1.5 『 一 一 一 } 一 一 一 一 一 一 一 一 0.75 一 一 一 一 皿 一 一 『 一 一 一 一 一 陽性および陰性血清希釈の1:40は非感作血球,希釈用液対照は感作および非感作血球での反応パターンを示す, 陀反応パターンがやや大きいことを示す.○:良好,△:やや不良,×:不良. 反応,陰性反応とも良好となったが,3mg/dl群で は未だ陰性反応像がやや不良の状態であった.2 群とも,抗原濃:度80倍から160倍の感作で抗体価は 1:20,480と変化せず,320倍以下で低下した(表 4). (2)試薬作製10日後,タンニン酸処理3群とも 陰性反応像は良好となったが,陽性反応像は血球 の広がりが低下したためやや不良または不良とな り,抗原濃度160倍以上の感作でも抗体価は低下し た(表5). 従って,タンニン酸処理濃度1.5mg/dl,抗原濃 度160倍で感作したIHA試薬を,4℃7日間保存 することが試薬作製の良好な条件と考えられた. 以下の実験には,血清の種類等による非特異凝集 を考慮して,220倍の抗原で感作後,4℃で7日保 存したIHA試薬を凍結乾燥保存して用いた.凍 結乾燥保存したIHA試薬は,0.25%高圧NRSで 復元し,室温で30分以上放置後,以下の検討を行 なった. 3.成績の再現性,判定時間,溶解後の試薬の保 存性および非働化の影響 実験には,1:80>∼1:1,280まで,抗体価の 異なった家兎血清および人血清を用いた. 1)成績の再現性表6のごとく家兎血清9例についてIHAをそ
れぞれ6回実施し,成績の再現性の検討を行なっ た.その結果,全例の血清において,各界の抗体 価は完全に一致した. 2)成績の判定時間 11例の家兎血清についてIHAを実施し,判定表4 至適タンニン酸および抗原濃度の検討(試薬作製7日後の反応パターン) 抗原 釈 タソニソ酸 陽性血清希釈 1: 陰性血清希釈 1: 希釈 血球反応像 濃度 一且 (×) (mg/dl) 40 80 160 320 640 1280 2560 5120 10240 20480 40 80 160 320 対照 広がり 落ち 3 } 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 一 _率 一 『 一 ○ △ 80 L5 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 一 * 』 『 一 ○ ○ 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 一 *一 一 『 一 △ ○ 3 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 一 一 『 一 ○ △ 160 1.5 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 一 皿 一 一 ○ ○ 0.75 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 一 一 一 一 △ ○ 3 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 ± 一 一 一 『 一 ○ △ 320 1.5 一 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 一 一 一 『 一 ○ ○ 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 _率 一 一 一 一 『 △
0
3 一 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 士 *一 一 一 一 へ 一 ○ △ 640 1.5 一 2十 2十 2十 2十 1十 1十 *一 一 一 一 一 一 『 一 ○ ○ 0.75 一 2十 2十 2十 2十 1十 1十 *一 一 一 一 一 一 『 一 △ ○ 3 一 1十 2十 2十 2十 1十 ± 一 一 一 一 一 一 『 一 1280 L5 一 1十 1十 1十 1十 ± *一 一 一 一 一 一 『 一 0.75 一 ± 1十 1十 ± * 一 一 一 } 一 一 3 一 一 _承 _* 一 一 皿 一 一 一 一 一 一 『 一 2560 1.5 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 『 一 一 『 一 0.75 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 『 一 3 } 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 『 一 5120 1.5 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 0.75 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ㎜ 一 一 一 一 3 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 へ 一 10240 1.5 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 へ 一 0.75 一 一 一 一 } 一 一 一 一 一 } 一 } 一 陽性および陰性血清希釈の1:40は非感作血球,希釈用液対照は感作および非感作血球での反応パターンを示す. *:反応パターンがやや大きいことを示す.○:良好,△:やや不良,×:不良. 時間の検討を行なった.反応後のプレートは,蓋 をして2時間および18時間室温に静置後,成績の 判定を行なった.表7のごとく2例の血清(血清 B,G)で拡体価が2倍低下したのみで,これは抗 体価を示した1+の反応パターンがやや小さかっ たものであった. 3)溶解後のIHA試薬の保存性 凍結乾燥保存したIHA試薬を血清希釈液で溶 解後,4℃に所定期間保存し,各試薬の保存性につ いて検討した(表8).すなわち家兎血清9例につ いて,作製当日および4℃に2日,5日,7日,9 日,12日,14日保存した試薬を用いてIHAを実施し,各IHA試薬による抗体価の比較検討を行
なった.溶解後2日問保存したIHA試薬では,全 例の血清において,溶解当日の試薬による成績と 一致した抗体価が認められた.しかし,溶解5∼14 日後のものでは2∼4倍程度抗体価が低下し,試 薬の溶解後の保存性が失われた. 4)非働化の影響 人血清6例について非働化(56℃30分)による 成績への影響について検討したところ(表9),両 群とも全例で同一の抗体価が認められた. 4.被検血清に対する赤血球凝集反応の反応性 (表10) 1)赤痢アメーバ患者血清およびシスト陽性者 血清におけるIHA抗体価 アメーバ性肝膿瘍患者血清21例に対するIHA 抗体価は,1:320が3例(14.3%),1:640が1 仮σ(4.8%), 1 :1,280カミ4仮り(19.0%), 1 :2,560 カミ2イ U(9.5%), 1 ;5,120カミ4イ列(19.0%), 1 : 一1201一表5 至適タンニン酸および抗原濃度の検討(試薬作製10日後の反応パターン) 抗原 タγニソ酸 陽性血清希釈 1二 陰性血清希釈 1: 希釈 p液 血球反応像 希釈 濃度 (×) (mg/dl) 40 80 160 320 640 1280 2560 5120 10240 20480 40 80 160 320 対照 広がり 落ち 3 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 一 * 一 一 一 △ ○ 80 1.5 2十 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 一 _* 一 一 一 △ ○ 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 1十 一 一 一 一 △ ○ 3 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 『 一 一 一 △
0
160 1.5 一 2十 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 *一 一 一 一 一 △ ○ 0.75 一 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 一 一 一 一 一 △ ○ 3 一 2十 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± * 一 一 一 一 一 △ ○ 320 1.5 一 2十 2十 2十 2十 1十 1十 1十 _* 一 一 一 一 一 △ ○ 0.75 一 2十 2十 2十 1十 1十 1十 ± 一 一 一 一 『 × ○ 3 一 2十 2十 2十 2十 1十 1十 ± 一 一 一 一 ㎜ △ ○ 640 1.5 一 1十 2十 2十 1十 1十 ± 一 一 一 一 一 一 一 X ○ 0.75 一 1十 2十 2十 1十 1十 ± _准 一 一 『 一 一 一 × ○ 3 一 1十 1十 1十 1十 ± _串 一 『 一 一 一 一 一 一 1280 1.5 一 ± 1十 1十 ± _* 一 一 『 一 一 一 一 一 0.75 一 一 承一 *一 一 一 一 一 一 一 一 一 } 一 一 3 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 } 2560 1.5 一 一 一 一 } 一 一 一 一 一 一 一 一 一 0.75 一 } 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 3 一 一 一 一 一 一 』 一 一 一 一 一 一 5120 1.5 一 一 一 一 一 一 『 一 一 一 一 一 一 0.75 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 『 一 3 一 一 一 一 一 } 一 一 一 一 一 一 一 一 10240 L5 一 一 一 一 一 一 一 一 一 』 } 一 一 0.75 一 一 一 一 一 一 一 『 一 一 一 一 一 一 陽性および陰性血清希釈の1:40は非感作血球,希釈用液対照は感作および非感作血球での反応パターンを示す. *:反応パターンがやや大きいことを示す.○:良好,△:やや不良,×:不良. 表6 赤痢アメーバIHA試薬の再現性試験 血清別によるIHA抗体価 試験A
B C D E F GH
1 1 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:320 1:1280 1:1280 2 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:320 1:1280 1:1280 3 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:320 1:1280 1:1280 4 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:320 1:1280 1:1280 5 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:320 1:1280 1:1280 6 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:320 1:1280 1:1280 表7 赤痢アメー・ミIHAの判定時間の検討 判 定 血清別によるIHA抗体価A
B C D E FG
H
1 JK
2時間 1:80> 1:80十’ 1:80 1:80 1:160 1:160 1:320十’ 1:320 1:1280 1:1280 1:1280 18時間 1:80> !:80> 118G 1:80 1:160 1二!60 1:160 !二320 1:1280 1:!280 1:1280 +’1+より反応パターンがやや小さいことを示す.表8 赤痢アメーバIHA試薬の溶解後保存試験 血清別によるIHA抗体価 日 数
A
B C D E F G H 1 当日 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:160 1:320 1:640 1:640 2日後 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:160 1:320 1:640 1:640 5日後 1:80> !:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:160 1:320 1:320 7日後 !:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:160 1:320 1:320 9日後 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:160 1:320 1:320 12日後 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:160 1:320 !4日後 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80> 1:80 1:320 1:320 表9 1HA反応の血清の非働化による影響 血清別によるIHA抗体価 非働化A
B C D E F 前 1:80> 1:!60 1:320 1:320 1:640 1:1,280 後 1:80> 1:160 1:320 1:320 1:640 1:1,280 10,240が5例(23.8%)そして1:20,480≦を示 したものが2例(9.5%)であった.また腸アメー バ症患者血清でも,1:640,1:1,280,1:5,120 の抗体価が各1例認められ,腸アメーバ症とア メーバ性肝膿瘍の合併患者血清では,1:1,280の 抗体価を示した.一方,赤痢アメーバシスト陽性 者血清では,1:80,1:160,1:320と低い抗 体価が1例ずつ(合計6.5%)に認められたのみで, 43例(93.5%)は1:80>の抗体価であった. 2)健康妊婦血清および非赤痢アメーバ患者血清におけるIHA抗体価
健康妊婦血清100例および非赤痢アメーバ患者 血清6例(非アメーバ性肝膿瘍3例,非アメーバ 性潰瘍性大腸炎3例)では,全例1:80>の抗体 価であった. 以上の結果IHAの陽性限界は,赤痢アメーバ 患者血清が全例1:320≦の抗体価を示したことや,シスト陽性者で検出された抗体価が1:
80∼1:320と低いこと,健康妊婦血清の全例が 1:80>の抗体価を示したことから,陽性限界は 1:80≦が妥当と思われた. 5.治療によるIHA抗体価の変化(表11) メトロニダゾールによる治療前と治療後(10カ 月)のIHA抗体価の変化をアメーバ性肝膿瘍患 者血清2例について観察した.治療により抗体価 表10 赤痢アメーバ患者血清,非アメーバ患者血清および健康妊婦におけるIHA抗体価の分布 IHA抗体価 1: 血 清 回数 80> P 80 160 320 640 1280 2560 5120 10240 20480く 1:80< ㈹v(%) アメーバ性肝膿瘍 21 3 P4.3% 1 S.8% 4 P9.0% 2 X.5% 4 P9.0% 5 Q3.8% 2 X.5% 21(100) 腸アメーバ症 3 1 1 1 3(100) 腸アメー・ミ症+ Aメーバ性肝膿瘍 1 1 1(100) 赤痢アメーバシスト @ 陽性者 46 43 X3.5% 1 Q.2% 1 Q.2% 1 Q.2% 3(6.5) 非アメーバ性肝膿瘍 3 3 0 非アメーバ性 @ 潰瘍性大腸炎 3 3 0 健康妊婦 100 100 0 一1203一は,それぞれ1:20,480から1:1,280,1: 10,240から1:2,560と低下した. 6.IgM, IgG抗体に対するIHAの反応性 赤痢アメーバ免疫血清の免疫グロブリンクラス での解析を行なうため,免疫7日,24日,60日後 の家兎血清をそれぞれIgMおよびIgG寸分に分 画し,IHAの反応性について検討した. 1)免疫7日後の反応性(図5) ウサギNo.6275の血清では, IgMフラクション で1:80,IgGフラクションでは最高で1:80の 抗体価を検出することができた.ウサギNo. 6271,6272,6274ではIgGフラクションでのみ抗 体が検出され,各々の抗体価は最高で1:40で あった. 2)免疫24日後の反応性(図6) ウサギNo.6275のIgM抗体はIgGへ移行し,
IgGフラクシ・ンにおける最高抗体価は1:
表11治療によるIHA抗体価の変化 (アメーバ性肝膿蕩患者) 血清No. 治療前の抗体価 治療後10ヵ月@の抗体価 1 1:20,480 1:1,280 2 1:!0,240 1:2,560 吸光度 (280mn) 2.0 ⊥,0 Alb ↓ 家兎No.627⊥ IHA抗体価 1:: :1 161、M l 窒fl↓
吸光度 (280nm) 2.O 1.0 Alb 家兎N。6272↓ IHA抗体価 256 羅8篭1解1甲
匠 1,280と上昇した.ウサギNo.6271,6272,6274の IgGフラクションでの抗体価は,2∼8倍上昇し, それぞれ最:高で1:80,1:640,1:80とな:つた. 3)免疫60日後の反応性(図7) ウサギNo.6271,6272,6274ではIgGフラク ションにおける最高抗体価は1:1,280と上昇し, ウサギNo.6275では免疫24日後と同じ抗体価で あった. 考 察 現在我国では,赤痢アメーバ症の血清学的検査 法は,GDP22), IFA23),カウンター電気泳動23)およ びEIA20)23)などが用いられているが, IHAは殆ど 実施されていない23).赤痢アメーバのIHAに関し ては,海外では多数の研究者による報告が認めら れている.これらの報告は,IHAの担体として, 人0型赤血球を用いたものもあるが24)25),羊赤血 球を使用したものが多い8)10))15)16)26).IHAの担体 に人血球を用いる場合は,多量の入手が難点であ り,羊血球の場合は操作の煩雑さが問題となる. 著者は,操作が簡単で広く臨床にも応用できる 血清学的検:査法を確立する目的で,羊血球より実 施が容易で反応時間の早いニワトリ固定血球を用 いたIHAを研究し,試薬の作製条件,被検血清に 対する反応性等について種々検討した. 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 家兎Nα6274 王HA抗体価 256 128 64 至gM 32 ↓ 16 8 4 IgG ↓ Alb ↓ 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 家兎Nα6275 IHA抗体価 256 128 64 1gM 32 ↓ 16 8 4 IgG ↓ Alb ↓ 1 11 1151015
151015
151015
151015
Fl・action No. Fraction NQ Fraction No、 Fraction Nα
図5 免疫家兎血清のゲル濾過後における各溶出分画中のIHA抗体活性(免疫7日後) 吸光度: ,IHA抗体価:●一●(×10)
IHAに用いる被検血清の希釈液としては, Kes・ selらは3%人血清を24), Lundeら25}ば1.5%NRS を使用し,これらはともに56℃30分目よる非羽化 を行なったものである.著者は,予備実験の結果, 3%人血清は不適と判明したため,本実験では非
働化後のNRS 5%∼0.075%と高圧NRS
1∼0.015%について検討した.その結果,NRSで は疑陽性反応が強く,NRSを121℃15分高圧滅菌 後,0.45μmのミリポアフィルターで濾過した高 圧NRSの0.25%が適していることが判明した. 吸光度 (280nm) 2,0 1.0 家兎Nα6271 IHA抗体価 256 Alb 128 ↓ :1・6 1牽
8 1gM 4 ↓ 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 家兎No.6272 工HA抗体価 Alb ↓ 256 128 1gG ↓ 64 32 1gM 16 ↓ 8 4 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 I I I 5 10 Fraction No Alb 家兎Nα6274 ↓ IHA抗体価 256 188 64 32 1gG16 1gM ↓ 8 ↓ 4 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 家兎Nα6275 IHA抗体価 IgG 256 ↓ 128 64 工gM 32 ↓ 16 8 4 Alb ↓!51015 !
15 1510工5 151015
Fraction No. . Fraction No, Fraction No,
図6 免疫家兎血清のゲル濾過後における各溶出分画中のIHA抗体活性(免疫24日後) 吸光度: ,IHA抗体価:● ●(×10) 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 Alb 家兎Nα6271 ↓ IgG ↓ 工HA抗体価 256 128 64王gM 32 ↓ 16 8 4 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 1 1 5 10 15 Fraction Nα 図7 吸光度 家兎NQ6272 IHA抗体価 Alb ↓ IgG 256 PgM ↓ 128 ↓ 64 32 16 8 4 吸光度 (280nm) 2.0 1.0 家兎No,6274 IHA抗体価 2561gM 128↓ 64 32 16 8 4 A/b ↓ IgG ↓ 吸光度 (280nm) 2.O 1,0 家.兎No.6275 IHA抗体価 Alb ↓ 工gM IgG 256↓ ↓ 128 64 32 16 8 4 1 1… IIi l
151015 15ユ015
151015
Fraction No Fraction No. Fraction Nα
免疫家兎血清のゲル濾過後における各溶出分画中のIHA抗体活性(免疫60日後) IHA,抗体価:● ●(×10)
一般に赤痢アメーバのIHAでは,赤血球の処 理に用いるタンニン酸の濃度は1:40,000∼1: 100,00016)24)27)が使用されている.Krupp16>は, 1:20,000∼1:100,000までのタンニン酸濃度 による血球の処理条件について検討したところ, 1:80,000以上では,非感作血球対照で凝集が認 められ,1:20,000以下では感作血球による抗体 価が低下するとし,1:40,000∼1:60,000が良好 で,特に1:60,000が至適濃度であったことを報 告している.著者は,3mg/dl,1.5mg/dl,0.75mg/ dlの各濃度によって検討したところ,3mg/dlで は非感作血球対照で弱い疑陽性反応が認められ, Kruppの報告とほぼ同濃度の1.5mg/dlが至適濃 度であった. IHAの作製条件は,タンニン酸1.5mg/dl,抗原 濃度220倍が良好であり,この試薬を4℃7日保存 することによって反応時の血球像が安定した.し かし,試薬作製10日後では,反応時の血球像が不 良となるため,本条件でIHA試薬を凍結乾燥保 存した. 凍結乾燥保存したIHA試薬の安定性について 検討したところ,再現性は良好なことが確認され た.羊血球によるIHAでは,成績判定に時間を要 するが16)21),本試薬では2時間で完了し,特に18時 間後でも両虎間の成績判定の読みに大差は認めら れず,翌日の判定も可能であったことは,大変に 良い結果であった.また,被検血清の非働化前後 での,反応パターンおよび判定の読みに影響は認 められず,羊血球によるIHAで要した被検血清 の非働化操作16)が不要であったことは,検査所要 時間の短縮に役立った. IHAによる抗体価の陽性限界は, Kesselら24)は 1:8≦,Krupp28)は1:80, Agarwalら29)は1: 128,そしてJones30)は1:256を採用している. Kruppは, IHAの陽性限界を1:80≦とした理由 として,実験に用いた392例の血清についてIHA を実施し抗体価の分布を調べたところ,1:80の 抗体価を谷間とする二峰性の分布曲線が得られた ことを報告している.このKruppの陽性限界1:
80≦は,著者のIHAで用いた希釈倍数の1:
100≦に相当した.本IHA試薬の陽性限界は,ア メーバ症患者血清およびシスト陽性者血清で示さ れた抗体価が1:320≦,1:80>∼1:320で, 健康妊婦血清での抗体価が1:80>を示したこと から,Kruppの報告とほぼ同様の1:80≦とする ことが妥当と思われた. 赤痢アメーバ症に対するIHAの陽性率は,ア メーバ性肝膿瘍では平均91%(75∼100%),腸アメーバ症ではこれよりやや低く平均88.7%
(81∼100%)6),そして健康人では2.17∼7%16)24)29) の成績が報告されている.著者の実験結果では, 陰性対照として用いた健康妊婦血清の全例が1: 80>の抗体価を示し,IHA陽性率は前述の健康人 の報告での2.17∼7%より低値の0%であった. 一方,アメーバ性肝膿瘍患者血清では,従来の平 均の陽性率91.0%6)より高く,Agarwalら29)およ びKesselら24)による成績100%と同値を示し,本 症診断へのIHA試薬の有効性が示された.腸ア メーバ症では全例が陽性であったが,検査例数が 少ないため検討は加えられない. シスト陽性者に対する血清学的検査法による陽 性率は低く,IFAやIHAでは0∼60%9)の成績が 認められる.赤痢アメーバには,病原性株と非病 原性株が存在することは,従来より指摘されてお り,最近Sargeaunt31)32)は,アイソザイムパターン 等を使用した研究によって,赤痢アメーバの病原 性と非病原性の株の区別を試みた.彼らは,赤痢 アメーバの浸湿地を中心に,各地から入手した約 6,000株以上の分離アメーバ株について澱粉ゲル 電気泳動により調査した結果,病原性と非病原性 株ではそれぞれ特有の安定したアイソザイムパ ターンを示すことを報告している.著者は,海外 日本人帰国者のうちアメーバシスト陽性者血清に ついてIHAを実施したが,陽性率は6.5%と低く Krupp28)の75例中9%の成績と一致し, IHAによ る血清診断では満足すべき結果は得られなかっ た.検出されたアメーバ株の性状について詳細な 検討は行なっていないが,本研究の陽性率が低 かった原因としては,調査対象による違いや,前 述のアメーバの株による病原性の差などが考慮さ れよう.また,シスト陽性者で1:80∼1:320と 低抗体価が検出されたことは,抗体検出者9%のうち7%が1:80∼1:!60,他2%が1:
320∼!:640であったとするKruppの報告と同 様な傾向であった, アメー・ミ性肝膿瘍患者における治療後のIHA 抗体価の変化は,Juniperら33)によって詳細に報 告されている.彼らは,7例の肝膿瘍患者の治療 後の抗体価を,16∼34ヵ月まで追跡調査し,6例 は抗体価が16∼128倍低下したが,陰転化したのは 1例のみであったことを報告している.著者の結 果でもこれらと同様な傾向を示し,IHA抗体価 1:20,480,1:10,240を認めた2例においては 治療後10ヵ月で,抗体価の完全な陰転化(1: 80>)は認められなかった.しかし,抗体価が各々 1:1,280,1:2,560と低下したことは,治療判 定の指標として有効と思われた.IgMおよびIgG抗体に対するIHAの反応性を
検討したところ,免疫の初期(7日)において, 感染急性期に多く出現するIgM抗体にも反応し, 以後反応はIgG抗体に移行,抗体価は更に上昇す ることが示唆された. 以上の結果,本IHA試薬は,赤痢アメーバ症に 対して従来の報告と同様に良好な成績を示した が,実施が容易かつ,長期保存に耐えるという利 点を有するため,一般検査室での血清診断用試薬 として有効と思われた. 結 論 赤痢アメーバ症の簡便な血清学的検査法を開発 する目的で,ニワトリ固定血球を用いた赤血球凝 集反応を研究し,IHA試薬の調整条件,被検血清 に対する反応性等について検討した. 1.IHAに用いる被検血清の希釈液としては,従来広く使用されてきたNRSよりも025%の高
圧NRSが優れていた. 2.IHA試薬の至適タンニン酸濃度は1.5mg/ d1,抗原濃度は220倍で,作製後のIHA試薬を,4℃ で7日保存することによって反応性は安定した. 3.凍結保存した本IHA試薬は,成績の再現性 も良好で,反応の実施にあたっては被験血清の非 働化は不要であった.判定時間は2時間と早く, 18時間後でも反応パターンに大差は認められな かった.また,溶解後の試薬を4℃に2日まで保存 した場合では,成績の低下は認められない. 4.健康妊婦100例にIHAを実施したところ, 抗体価は全例1:80>を示し,抗体検出率は0%で あったが,赤痢アメーバ症25例(アメーバ性肝膿 瘍21例,腸アメー・ミ症3例,両症の合併1例)で は全例が1:320≦(1:320∼1:20,480)の抗 体価を示し,本症の血清診断におけるIHAの有 効性が示された.しかし,シスト陽性者血清では, 1:80>∼1:320の低い抗体価が検出されたの みで,!:80は3例(6.5%)であった.以上の結 果から,IHAの陽性限界は1:80≦が妥当と思わ れた. 5.治療によるIHA抗体価の変化を,高抗体価 (1:20,480,1:10,420)を示したアメーバ性肝 膿瘍患者血清について観察したところ,治療後10 ヵ月の抗体価は4∼8倍低下し,治療の指標と なったが,完全な陰転化(1:80>)は認められ なかった. 6.IHAは免疫初期ではIgM抗体にも反応し, 以後反応はIgG抗体に移行するものと思われた. 稿を終るに当たり,御指導と御校閲を賜りました白 坂龍暖教授に深謝申し上げますと共に,御教示頂きま した山浦常博士に心から謝意を表します,また種々の 御協力を頂きました教室の皆様に御礼申し上げます. 文 献1)WHO:Amoebiasis and its control. Bull WHO
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