1320 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(99). シヤ メイ キン翠黛、釣(昭和30
博士(医学) 乙第1346号平成5年1月22日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Long・term outcom60f Ckinese patients with ulcerative colitis:Experi・ ence with 259 patients over a 20 year period (中国人の潰瘍性大腸炎の長期予後に関する検討一20年間259症例による経 験一) (主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 浜野 恭一,橋本 葉子論 文 内 容 の 要 旨
目的 潰瘍性大腸炎は,びらんや潰瘍を形成する原因不明 の非特異性炎症であり,緩解・再燃を繰り返す難治性 疾患である.自然史の知見と予後の判断が治療上重要 な因子と考えられるので,中国人の本症における長期 臨床経過観察の検討を行った. 対象および方法 1971年から1990年までの20年間に国立台湾大学附設 医院内科で経験した潰瘍性大腸炎259例を対象とした. 本症の臨床病態像を詳細に分析し,病態の変化と長期 予後を中心に検討した.更に観察人年法または生命表 法を用いて合併症発生率,累積手術率,累積生存率, 累積担癌率について検討を行った, 結果および考察 1)症例の背:景因子:性別は男149例,女110例で発症 年齢は,男女とも30歳代が最:も多く,20歳から49歳ま でが70%を占めていた.初回検査での病変の罹患範囲 は,直腸炎型151(58.3%),左側大腸炎型46(17.8%), 全大腸炎型62例(23.9%)であった。臨床経過による 病型分類は,再燃緩解型148例(57%),初回発作型85 例(33%),慢性持続型26例(10%)であった. 2)病変範囲の二九進展:病変範囲別にみると,直腸 炎型151例中9例(6%),左側大腸炎型46例中3例 (7%)においてのみ進展が認められた. 3)合併症:重篤な合併症である大量出血と狭窄な どが全大腸炎型または左側大腸炎型の33例で40回認め られた.発生率は31観察人置につき1件であった. 4)累積手術率:手術例10例の内訳は緊急手術8例, 待機手術2例であり,大腸癌を予防するため大腸摘除 手術を受けた症例はなく,3年目と10年目の累積手術 率はそれぞれ6.5%と10%であった.直腸炎型では,手 術を必要とした例は認められなかった. 5)累積生存率:死亡例は8例で本症によるもの5 例,他の合併症によるもの3例であった.中国人にお ける潰瘍性大腸炎患者の死亡率は欧米や日本のそれと 比較し低率であった.なお,累積生存率は同世代の対 照群と比較しほとんど差は認められなかった. 6)累積担癌率:大腸癌の発生は2例認められ,これ ら全て全大腸炎型であった.10年目と20年目の累積担 愚詠は各々0%と6%である.追跡調査より10年未満 の症例では癌は認められなかったが,前癌病変(severe dysplasia)は10~15年目の全大腸炎型の3例に認めら れた. 結論 本症の長期予後には,病変の罹患範囲が関係してい た.中国人における潰瘍性大腸炎は良好な予後を示し たが,長期経過した全大腸炎型に癌を合併するリスク は欧米における報告とほぼ一致した.従って大腸癌の 早期発見と早期治療にはサーベイランス大腸内視鏡検 査が重要と考えられた. 一954一321