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ネットワーク構造に基づく道路の重要度評価 —都市内道路網への適用例—

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論文・研提レポート

ネットワーク構造に基づく道路の重要度評価

一一都市内道路網への適用例一一

田口東,大山達雄

1111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111日 11川H川1111川"川11111111川H川11川11川111川111附111川1111日 11川H附 11附1111川H川111111111111刷11111111川H川IIU目11111111川111111川11川111川1111川H刷H 1

1

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はじめに 東京都心部の道路を盆や正月の空いた時期に運転する と,まったく別の都市にいるように感じられるほどその 交通事情は悪く渋滞は慢性化している.また,このよう な現象は他の大都市においてもみられ,都市への人口­ 機能集中』こともなう弊害のひとつとして,現代の大きな 社会問題となっている.いうまでもなく,交通渋滞は交 通需要や道路の状況に依存して起こるものであり,時時 刻刻様子が変化する.しかし一方では,逮転者は日頃の 経験によって,中心部の道路はよく混雑するが周辺部は それほどでもないという地域的な差異があることや,橋, 大きな交差点や合流地点の近くはよく混雑するというよ うな知識を持っている.とすれば,それぞれの道路がど のように接続されているかという道路網の構造から,ど の道路が混雑しやすいかを見いだそうと考えることはか なり合理性があるといえる. そこで,道路網の交差点を頂点とし,交差点聞の道路 を枝に対応させ,対応する道路の長さ(またはそれを通 過するのに必要な時間)を枝の長さとするようなネット ワークを作る.そして,次のような輸送問題を解くこと によって,各校に対応する道路(交差点と交差点の問の 部分)の重要度を表す指標を導くことを考える.まず, すべての車両は出発地から目的地までネットワーク上の 最短経路を通るものとする.これは,道路の草子衆が十分 に大きいか,運転者が渋滞を予想していない場合仁は自 然な仮定である.そして,交通需要に関しては,すべて たぐちあずま 中央大学理工学部情報工学科 〒 112 東京都文京区春日 1 ・ 13-27 おおやま たつお埼玉大学大学院政策科学研究科 苧 338 浦和市下大久保255 受理 93.4.30 の交差点の対に対して一方を出発地とし他方を目的地と する I 単位の交通があると仮定する.このように仮定す ると,すべての頂点聞の最短経路問題を解き,各枝を通 る最短経路の本数を数えてそれを枝の交通景とすること によって,ネットワーク上の交通がわかる.この最短経 路の本数を枝の重みと呼ぶことにする.現実には進路の 交通容眠を考慮に入れる必要があるが,大きな重みを持 つ枝に対応する道路は多くの車両が通る可能性が高いと 考えられるので,これを枝の重要度を表す指標とみなす ことにする.本文ではこのような指標を実際の都市道路 網について計算した結果を見ることにする.例としたの は東京および岐阜の道路網を表すネットワークである.

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規則的なネットワーク まず規則的なネットワークにおける枝の重みを計算す ることによって,実際の道路網に適用した場合の手がか りを得ることにする.本節の内容に関する詳細な議論は [2]. 問. [4] を参照されたい. 2.1 梅子状のネットワーク 図 1 のように n 本の枝が一列に並んだネットワークを 考える.図の左から l番目の枝問を通る最短経路の数は, H, の左にある頂点数と右にある頂点数との積であり, w(HZ)=Z(n+l-Z) である.横軸に 1 をとると,重み w は中央で最大となる 2 次関数となる. この l 次元のネットワークを 2 次元に拡張して,図 2 に示すような (n+l)X(m+ I)の格子状のネットワークを 考える.格子の交点が頂点であり,各辺が枝である.枝 の長さは両端点のユークリッド距離とする.このネット ワークにおいては,一般に 2 頂点間の最短経路は一意に 定まらない.そこで,方向変換を左折 1 回だけに限定し, 直進部分をできるだけ長く取るようにして一意に経絡を 定める.この Jレールは各辺を平均的に使う効果を持つこ

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(2)

2 3 1+1 n 11+1 0一一ー0---0一一・・ーーー一一一0-ーー0-ー・・ーーーー-0一一-0 H

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図 1 直線状のネットワーク 2 3 1 1+1 n n+1 2 3 k k+l m m+l 図 2 裕子状のネットワーク とに注意してほしい.簡単な言i 努ーから図の垂直方向の枝

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1

'水平方向の枝凡の重みは

1I{"k/)

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1) のように与えられる. 11'(\1,,)は k の 2 次式であ iJ 中央で 最大となる.同様のことが H" についてもいえる.すな わち,都市内のアクティピテイに偏りがなくても,中心 部は混雑することが,このモデルによって示される. 2.2 放射・環状ネットワーク 規則的なネットワークのもうひとつの例として,図 3 のような扇形に開いた1踊槻と環状線からなるネットワー クを考える.各校の重みは前と同様に陽な式で与えられ るが,かなり複雑になるのでここでは省略する.しかし, 出発地と目的地を中心からみる角度が大きくなると,遠 回りのようにみえても最も内周の環状線まで進んでそこ をまわる経路が最短となることは指摘しておこう. 図 3 の S から T への最短経路を求めよう.中心を 0 , SOT のなす角の小さい方を 8 とする. S を通る環状線を 使う経路 S→S'→T と最内周の環状線を通る経路S→C→C' →Tの距離を比較すると,前者は L

1

= T

1

ーら

+ r

であり 後者はら =T

1

+ ら -2ら+ら O であるから,両者の差は

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1

-L

2=(T2- T3

)

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8

-

2

)

となる.上式より最短経路は上のふたつの経路のいずれ かであり, 8 が 2 ラジアンよりも大きくなると,最内周 を通る経路の方が最短経路となることがわかる.したがっ て,環状線が完全な円に近く,このような条件を満足す る頂点の組み合わせが多いと,内周上の枝の重みが非常 Lこ大きくなる.このことは,通過のためだけに都心環状

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6

(6) 図 3 放射・環状ネットワーク 線をまわる草が多いことを裏付けている.さらに,外周 に新しい環状線を作ったとき,それが利用されるかどう かは注意して検討する必要があることを示唆している.

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実際の道路網への適用例

3.1 東京都内の道路網 東京都内の主要な道路からなるネットワークを例題と した結果を示す.ネットワークの頂点数は 592 ,校教は 855 である.定義にしたがって, 529X528組の頂点対の 問の最短経路を求め各枝の重みを計算した.まず,枝の 重みの分布をみるために,図 4 に,枝の重みを対数スケー TIl-寸 ilI 寸 llIT--斗 llIT--斗 %防 加・相官官な抵当 K 。 10 10' (悶 5) 9 I 」図6(a)) 5 103 10' 10' 枝の重み .8.7.6.5.4.3.2.1 -設の 4 ~L,~ラZ分け 図 4 枝の重みのヒストグラム(東京道路網) オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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Jレでほぼ均等な区間に分けて作 成したヒストグラムを示す.重 みの最大値は 22610 であり,す べての最短経路の中の約 8%が その枝を利用していること hこ相 当する. つぎに,各校の重みがどのよ うになっているかを見てみよう. 図 5 は,枝の重みを図 4 の横軸 の下に示すクラスに分け,重み が最大のクラスの枝を最初に描 き,その次のクラスの枝を重ね て描き,そして頗に各クラスの 枝を重ねて描いたものである. 中心部が重要度の高いクラスに 含まれていることがよく分かる 4 また,重みの大きいほうから少 数のクラスを重ねた段階でネッ トワークの骨格を見ることがで きる.図 6(a)は水平面上にネッ トワークを置き,校の重みの対 数を高きとし,各校をその重み の高さの面に投影した函である. ただし,重みをそのまま使うと 見づらくなるので,重みを図 4 の横軸の下に示すクラスに分け, 各クラスの中央値の所に投影し である. 東京の道路網を表すネットワークと対照するために, 放射・環状ネットワークを考える.そのために,道路網 を覆う領域に,各枝の長さがほぼ等しし頂点数が道路 網のそれととほぼ同数となるように放射線と環状線を引 いてネットワークを作成する.ただし,東京湾にあたる 部分は90度切り取られている.この放射・環状ネットワー クの枝の重みのヒストグラムを図 7 に示し,枝の重みを 図 6(a) と同じスケー Jレで描いた投影図を図 6(b) に示す. 内閣にいくほど枝の重みが大きくなり,最内閣の校の重 みは非常に大きくなっていることが分かる.

3

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2

岐阜の道路網 もうひとつの例として岐阜の道路網を表すネットワー クを取り上げる.この道路網は東西に走る川および鉄道 によって大きく三つに分けられている.頂点数は 1927 , 枝数は3200である.

1927X

1926組の頂点対の問の最短

:

仁、静

2 3 5 6 図 5 枝の重みをクラス分けし 大きいほうから順に重ね描きした図 (東京道路網,頂点数529 ,校数855) 経路を求めて各校の重みを計算した.重みの最大値は 654650であり,すべての最短経路の中の約 18% がその 枝を利用していることに相当する.図 8 t立校の重みの分 布を表すヒストグラムである.数少ない枝が頻繁に最短 経路に使われていることがわかる. 東京の場合と同様にして各校の重みを見てみよう.図 9 は,校の重みを図 8 の横軸の下に示すクラスに分け, 重みめ最大のクラスから順に重ねて描いたものである. また,図 10(a)は枝の重みの対数を高さ方向にとって,各 校をその高さの面に投影した図である.橋とそれらにつ ながる南北の道路に対応する枝の重みが大きいことと, 中心部の枝の重みの大きいことが顕著に現われている. また,東京の道路網と同様に,少数のクラスの枝を描い ただけで,ネットワークの大体の形をみることができる. 対照のためのネットワークとして,格子状ネットワー

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© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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-(b) 放射・環状ネットワーク 環状線13本,放射線41 本.東京 東京道路網 (a) 枝の重みを高きとし,枝をその高さの菌に投影した図 図 6 10% 。事 e 剖劇封 (放射・環状ネットワーク東京)

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103 10. 枝の重み S 7 .6 .5 .4 .3 .2 .1 4 3 . 2. 1

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9 5 102 。 10 枝の 1

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9) タラ且分けJ国 lC刷) 。事 nb 縦割# 40%. 30% 20% 10% 105 103 104 枝の1Ii:み 枝の重みのヒストグラム 102 。 枝の重みのヒストグラム(岐阜道路網) 図 8 図 7 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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クを考える.作り方は東京の道 路網のときと同じ要領である. このネットワークの枝の重みの ヒストグラムを図 11 に示し, 枝の重みを図 10(a) と閉じスケー Jレで描いた投影図を図 10(b) に 示す.これらの図をもとの道路 網に関する図と比較すると,格 子状ネットワークは,枝の重み のばらつきが小さしよい近似 ではないことがわかる.これは, 格子状ネットワークにおいては 枝を平均して使うように最短経 路が定められていることと,実 際の道路網は川や鉄道によって 連絡性が損なわれているため, 一部の枝に最短経路が集中する ことによるものと考えられる.

4

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まとめ

道路網における各道路の重要 性を評価するために,道路網を ネットワークとして表し,各校 がネットワークの最短経路とし 4 7 2 3 5

A

B

•B て使用される頻度をその指標と して提案した.そして,東京お よび岐阜の都市内道路網を表す 図 9 枝の重みをクラス分けし,大きいほうから販に重ね描きした図 A-A は長良川, B-B は東海道線. (岐阜道路網,頂点数1927 ,枝数3200) ネットワークにこれを適用し, その有効性を調べた. まず,この指標による重要度の高い枝だけで,ネット ワークの大休の形が作られることカ明者に共通して分かっ た.さらに,東京の道路網において,都心部を中心とす る放射・環状構造の中心部の枝の重要度が高いというこ とが,実際のネットワークに適用した結果および簡単な モデルによる解析結果から得られた.このことは実際の 道路混雑の経験ともよく一致している.また,岐阜の道 路網では最短経路が橋とそれにつながる道路に集中し, これらの枝の重要度が高くなる傾向が顕著にみられた. 今後の課題として,実際の道路の混雑度とこの指標と の関係を実証的に調べることがあげられる.ここで提案 した指標は,いわば入手が容易なデータだけを使って導 いたものである.現実の道路の渋滞とよりよく対応させ るためには,実際の交通需要を取り入れるとともに,道 践の容}事:も考慮する必要がある.しかし,このことはデー タの入手に手間がかかるだけでなく,解かなければなら ない輸送問題が格段に難しくなることを意味している. この点に関しては,大きな傾向をみることに的をしぼっ た大胆な定式化が必要となる.また,ここで提案した指 標のように交通需要が発生すると仮定したときに,それ を円滑に通行させるような道路を確保しながら,様々な 施設や居住区域をどのように配置したらよいかを考える モデルに発展させたいと考えている.この課題に関して は[1]に基本的な考え方が述べられており,対象を限定し た考察が[勾になされている. 最後に,本研究は文部省科学研究費重点領域研究のー っとして行なったものである.ご指導ご助言いただいた 代表者の東京大学伏見正則先生をはじめ分担者の先生方 に感謝いたします. (9)

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4 よ.6.3 2.5<" >4.0 1.6 ぞ >1.6 (a) 岐阜道路網 図 10 枝の重みを高さとし,枝をその・高さに投影した図 (b) 格子状ネットワーク 格子点数54X58 ,岐阜 40% % % の UA 川 崎 3 凋 4 や嘉門 E4 制経 10% 。 103 104 枝の重み 図11 枝の重みのヒストグラム (格子状ネットワーク,岐阜) 105

4

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0

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1

0) 参考文献 川腰塚武志:都市域の流動に関する理論的考察.日本 都市計商学会学術研究論文集, 27

,

343-348

,

1992. 間大山達雄,閉口東:On Some Resulls on Ihe Shortest Palh CountingProblem. 日本OR学会春季大会アプスト ラクト集, 102・ 103, 1991. β] 大山達雄,田口東: Fu耐邑rResu1ts on the Shortest Palh Counling Problern. 日本OR学会秋季大会アブスト ラクト集, 166-16ス 1991. 間大山達雄,田口 東:交通混雑皮の定量的評価.日 本OR学会春季大会アフーストラクト集, 144-145

,

1992. (5) 間口 東:巨大なピルの内々交通に必要なエレベー タの商積.日本OR学会春季大会アフ'ストラクト集, 16・ 17

,

1993. オペレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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