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介護離職を経験した男性介護者の自己認識――性役割による影響を中心として――

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Academic year: 2021

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様式2号(第5条関係)

修 士 論 文 要 旨

看護学専攻 広域看護学分野 公衆衛生看護学領域 学籍番号 218609 氏 名 山本翔太 論文題目 介護離職を経験した男性介護者の自己認識 ――性役割による影響を中心として―― キーワード 介護離職、男性介護者、自己認識、性役割、介護役割 【背景】 近年、高齢化に伴う要介護高齢者の増加や核家族化、性別役割意識の変化から介護を担う男性介護者の割 合が増加している現状がある。この現状に加え、日本には介護は女性が担うものという性別役割分業やジェ ンダー規範があり、男性介護者は介護と就業の両立に困難をきたし、仕事継続と介護の両立が大きな課題と なっている。この課題には、既存の性役割である男性役割に基づいた物事の考えが影響していると予測され るが、介護離職と性役割との関連が十分に説明されている研究は少なく、介護離職による男性介護者の介護 役割の自己認識に性役割がどのように影響を与えているのかは明らかではない。 【研究目的】 本研究は、介護離職が男性介護者の自己認識のあり方に対して、どのような影響を及ぼしているのかを、 とくに男性の持つ性役割意識との関わりにおいて明らかにする。 【研究方法】 要介護認定を受けた高齢者を介護する男性介護者、または介護実施の経験がある男性介護者5 名に、イン タビューガイドに沿って、半構造化面接を行った。分析方法には修正版グラウンデッド・セオリー・アプロ ーチを用いて、質的帰納的に分析した。本研究は、三重県立看護大学研究倫理審査会の承認を受けて実施し た(通知番号190403)。 【結果】 得られたデータを分析した結果、3 の【カテゴリー】と 12 の概念が生成された。男性介護者が介護を引 き受ける段階において、男性介護者は【男性である自分が介護を引き受けることを選択する】ことを自らが 意図した選択として捉えていた。この選択により、介護離職をした男性介護者は、介護を新たな仕事として 置き換えたうえで介護生活を送っていることが明らかとなった。しかし、介護生活を送っていく中で、既存 の性役割とは異なる役割を引き受ける葛藤や不本意感等を抱き、【介護離職が及ぼす予想外の影響を実感す る】ことにつながっていた。そして、男性介護者は介護離職による予想外の影響を受けながらも、介護終了 後の段階においては、介護経験を活かした活動や生産性のある仕事を模索することで既存の性役割に戻る生 き方や、自身の介護役割を肯定した価値観を持つことで既存の性役割に戻らない生き方を模索していた。こ れを男性介護者は【介護経験を経て新たな生き方を模索する】こととして捉え、性役割の影響を受けながら 自身の介護役割についての自己認識を統合していた。 【考察】 男性介護者に関わる支援者は、介護により変化する家族関係において男性介護者が介護をどのように捉え ているかを把握し、支援を行う必要がある。また、男性介護者の持つ既存の性役割意識を和らげていくよう に働きかける必要がある。そのためには、介護者による家族会等の当事者グループに参加することを促し、 エンパワーメントを行うことで、男性介護者が家の外で役割や地位を持ち、他者とつながりを持つことが重 要となる。以上のことより、介護離職による男性介護者の自己認識のあり方に対する性役割の影響から、男 性介護者個人を支援するだけでなく、男性介護者を取り巻く社会の規範を前提に支援する必要性が示唆され た。

参照

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