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ラックカイガラ虫産生天然物の生物有機化学的研究

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Academic year: 2021

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Title

ラックカイガラ虫産生天然物の生物有機化学的研究( 内容の

要旨 )

Author(s)

胡, 定宇

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第101号

Issue Date

1997-03-14

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2442

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年 月 日 学位授与 の 要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 胡 定 宇 (中華人民共和国) 博士(農学) 農博甲第101号 平成9年3月14日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 岐阜大学 ラックカイガラ虫産生天然物の生物有機化学的 研究 主査 岐 阜 大 学 教 授 副査 岐 阜 大 学 助教授 副査 信 州 大 学 教 授 副査 静 岡 大 学 教 授 彦一紘 男 善 進 英 田 塚 原 藤 篠 中 茅 衛 論 文 の 内 容 の 要 旨 古くから、薬品、染料、食用色素等として珍重されているラッカイン酸は、主に インド、東南アジアに生息するラックカイガラ虫(上accHbrねcca)の産生色素で、多 成分の混合物として存在している。これらは、多くの極性官能基を持つアントラキ ノン環を基本骨格としている。このためラッカイン酸は非常に極性の高い化合物で あり、そのうえ溶解度が悪いために分離が困難であった。本研究では、ラッカイン 酸の各種成分を単離精製し、微量成分の新規化合物を単離構造決定すると共に、主 成分であるラッカイン酸A(1),B(2),C(3)などの提出されている構造の再確認と反 応性を理解することを目的とした。 各種の分離法を詳細に検討した結果、市販ラッカイン酸から大量に主成分である ラッカイン酸A,B,Cを単離することに成功した。さらに、微量成分である新規赤色 色素を単離してラッカイン酸Fと命名し、誘導反応によりその構造を(4)と決定した。 分離したラッカイン酸類を用いて各種の反応条件下でメチル化反応を行ったとこ ろ、13種のラッカイン酸Aのメチル化誘導体を得た。これらの1H、13c及び2次元 NMRなどによりその構造をそれぞれ決定した。その結果、メチル化反応の反応性の 順番を決定でき、その構造を確実にした後、ラッカイン酸誘導体の構造とその色調 との関係を検討した。ラッカイン酸をアルカリ性下でメチル化するとアントラ【2,3-b】ベンゾフラン誘導体が生成することが知られていたが、ラッカイン酸務導体の閉環

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-82-反応条件を検討することによりラッカイン酸がアントラI2,3一ム】ベンゾフラン体(5abc) になる反応機構を詳細に検討して、これまでに提出されていた機構ではないことを 証明し、新規な反応機構を提出した0また、ラッカイン酸A(1)を出発原料として、 わずか2段階でアントラセン類縁体(6)などを合成することに成功し、これらのNOE 差スペクトルやCOLOCスペクトルの測定によってラッカイン酸のアントラキノン環 上の複雑な置換様式を直壊的に証明することに成功した。 0 0日 La∝aicacid (1)AR=CH2CH2NHCOCH3 (2)BR=CH2CH20H (3)CR=CH2CH2NHCq2H (4)FR=CH2CH20COCH3 もあり、注目さ 決定している。 O R (5abc)R=H.OH,OCH3 HユCO2C HユCO 審 査 結 果 の

胡走字君の学位論文は、市販のラッカイン酸混合物から各種成分を大量に分

離・精製する方法を確立すると共に、未知微量成分を単離し、構造決定をし、さ

らにラッカイン酸の活性発現機構を解明するために、詳細に化学的な諸性質を明

らかにしたものである0ラッカイン酸は、主にインドや東南アジアに生息するラ

ックカイガラ塊の産生色素で、古くから薬品、染料、食用色素等として珍重され ている0赤色ラッカイン酸にはかなり強い血圧降下作用があり、貴色色素には抗 MRSA作用があることが見いだされており、ラッカイン酸類は医薬品としての発

展性が期待されている0本論文は3牽から構成されており、その内容は以下のよ

うに要約できる。

第1章はラッカイン酸の大量分取方法を確立して、新規赤色色素のラッカイン 酸Fを単離し、その構造を決定した0ラッカイン酸Fは不安定であり、その存在 は微量ではあるが、ラックカイガラ虫の体内で重要な役割を果たしている可能性 J J h ヽ上__ rl -_ -れている0この研究成果は=eLer∝yClicCommunications誌に掲載が 第2章はラッカイン酸類縁体の合成法とメチル化反応を検討した。そして、

合成法を確立し、ラッカイン酸官能基の反応牲を明らかにした0ラッカイン酸

の誘導体の合成法を確立したことは、ラッカイン酸の血圧降下作用の解明に期

待できる0この研究成果は日本農芸化学会大会(1996)で口萌発表した。

(4)

-83-第3章はラッカイン酸のメチル化反応で得られるアントラ【2・3一山】ベンゾ フラン類縁体の生成機構を解明した0さらに、ラッカイン酸における側鎖置換 基の配置を証明した。この研究成果ほIleterocyclicCommunicadons誌に掲載が決 定している。

本論文で明らかにされた結果から、今後ラッカイン酸類の血圧降下作用やラ

ックカイガラ虫の体内で果たしている生物学的な意義の解明、及びアントラキ ノン系天然物の活性発現機構の研究や医薬品としての分子設計に頁献するもの と期待できる。

胡走字君は中国からの留学生で、修士課程から5年間熱心に研究に取り組ん

でいたが、論文を鯉める段階で、主指轟教官の長谷川明教授が急に他界され、

一時は大変不幸な境遇であった0しかし、立派に研究を遂行したことは高く評

価したい。

以上について、平成9年1月27日に学位論文審査委月会を行い、審査委月

全月一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値

あるものと認めた。

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