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第9族三核クラスター錯体の酸化還元過程

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Academic year: 2021

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Title 第9族三核クラスター錯体の酸化還元過程( はしがき ) Author(s) 海老原, 昌弘 Report No. 平成9年度-平成10年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2) 課題番号09640661) 研究成果報告書 Issue Date 1998 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/353 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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はしがき

金属原子間に結合牢持つクラスター錯体に関する研究ほ,過去30年あまりの間に

大きく発展してきた.本研究者は,新たなクラスター錯体を合成し,その構造を決定 するとともに,酸化還元電位や電子スペクトルなどの分子物性の測定と評価を行って

きた.クラスター錯体の中で,三核クラスター錯体はクラスター骨蕗の1うの基本型

であるのに対し,その電子状態と酸化還元などの反応性を結びつけた研究が少ない. 本研究では,第9族三核クラスター錯体に対してその酸化還元過程とそれに伴う変化 を調べ,併せてその電子状態を明らかにする目的で研究を行った. 本研究で対象としたのはシクロペンタジェニルを配位子として,ベンジリジンを架 橋配位子とするコバルト,ロジウム,およびその混合金属の三核錯体である.これら の錯体に関してそのカチオンラジカルの合成を検討し,カチオンの合成が成功したコ バルト三核錯体に関して,構造変化,1H-MR常磁性シブトおよびモデル錯体による 分子軌道計算からHOMOの軌道を決定した.さらに,種々の酸化剤との反応を検討 し,いくつかの銀塩およびハロゲンとの反応で1つのコバルトーコバルト原子間を銀 塩やハロゲンが架橋した構造を持つ錯俸が得られた.銀架橋の錯体については種々の 溶媒中での酸化還元を含んだ平衡を,ハロゲン架橋錯体についてはその錯体のできる メカニズムなど,酸化還元による変化を調べた. 本研究で明らかにできた点は以下の通りである. 1.コバルト一口ジウム三核錯体において以下のようなことが明らかとなった.(1) コバルト三核とロジウム三核錯体の金属一金属原子間距離と比較して,混合金属錯体 ではその平均値を足し合わせた値となり,混合金属にした特別な効果は見られない. (2)酸化還元電位はコバルト三核のコバルト原子をロジウム原子に置き換えていく と酸化電位はより正に,還元電位はより負にシフトしていき,HOMO-LUMOのエネ ルギー差は大きくなっていく. 2.コバルト三核錯体のカチオンラジカルに関する研究から,この錯体のHOMOは コバルト三核の面内軌道ではなく,上下のキャップ原子上にも電子密度のある軌道で あることが明らかとなった. 3.コバルト三核錯体と配位性のあるアニオンの銀塩を塩化メチレン中で反応させる ことにより銀塩が1つのコバルトーコバルト原子間を架橋した構造の錯体を得た.ま た,配位性の低いアニオンの塩でもアセトニトリル中ではカチオンラジカルを生成せ ず銀架橋錯体が生成した.また,これらの錯体のアセトニトリル中でのMRやESR から溶液中にはカチオンラジカルが存在し,中性錯体と平衡状態にあることが明らか となった. 4.コバルト三核錯体とハロゲンを反応させると,錯体は2電子酸化され1つのコバ ルトーコバルト原子間をハロゲンが架橋した構造の錯体が生成した.この錯体の生成 の機構は,まずカチオンラジカルが生成し,これとハロゲン化物イオンが反応したも のが速やかに酸化されるといったものであることがわかった.

参照

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