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中医協総会の資料にも上記の 抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス から一部が抜粋されていることからも ガイダンスの発表は時機を得たものであり 関連した8 学会が共同でまとめたという点も行政から高評価されたものと考えられます 抗菌薬の適正使用は 院内 と 外来 のいずれの抗菌薬処方におい

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Academic year: 2021

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(1)

- 1 - (72)平成 29 年 10 月 4 日開催の中医協総会(第 362 回)で「薬剤耐性(AMR)対策」がテーマ のひとつに取上げられました ▽ インフェクションコントロール誌読者の皆さんにとっては「吉報」になるかもしれません。 2017(平成29)年10月4日に開設された中央社会保険医療協議会の総会(第362回)で、「薬 剤耐性(AMR)対策」がテーマのひとつに取りあげられたからです。 ▽ 直前に迫っている2018(平成30)年度の診療報酬改定の動向については、多くの皆さんが 関心を寄せていることと思います。平成30年度診療報酬改定の議論が行われている中医協 総会で「薬剤耐性(AMR)対策」がテーマのひとつに取りあげられたことは、今後の改定 作業においてきわめて大きな意味をもつことになると思われるからです。 ▽ 平成29年10月4日に開催された中医協総会に提出された資料の一部を添付しますが、「薬剤 耐性(AMR)対策」として具体的に協議されたのはAST(抗菌薬適正使用支援チーム)の 評価でした。資料の【論点(案)】には次のように示されています。 【筆者の意見】 ▽ 現行の診療報酬点数である「感染防止対策加算」の中で既に評価されている「ICT(感染制 御チーム)の活動に加えて、新たに「AST(抗菌薬適正使用支援チーム)」を評価していこ うという動きが中医協総会の場で協議されたことは歓迎すべきことといえるでしょう。 ▽ 中医協総会のテーマのひとつとして取りあげられるに至った詳しい経緯は定かではありま せんが、関連8学会によって共同で進められてきたASTへのこれまでの取組みが大きな役割 を果たしたであろうことは明らかです。関連8学会とは以下の各学会です。 ▽ 関連8学会による最近のASTについての主な活動は次の通りです。 ◎薬剤耐性(AMR)対策の推進、特に抗菌薬の適正使用の推進の観点から、現行の感染 防止対策加算を参考としつつ、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の取り組みの推進に 資する評価を検討してはどうか。 ・日本化学療法学会 ・日本感染症学会 ・日本環境感染学会 ・日本臨床微生物学会 ・日本薬学会 ・日本医療薬学会 ・日本IDM学会 ・日本医真菌学会 平成28年4月 平成29年8月 平成29年9月 「 抗 菌 薬 の 適 正 使 用 に 向 け た 8 学 会 提 言 / 抗 菌 薬 適 正 使 用 支 援 (Antimicrobial Stewardship:AS)プログラム推進のために」を厚労大 臣、文科大臣に提出 「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」を8学会合同 微生物適正使用推進検討委員会が発表 「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」(最終版)を 8学会合同抗微生物薬適正使用推進検討委員会が改めて発表

(2)

- 2 - ▽ 中医協総会の資料にも上記の「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」 から一部が抜粋されていることからも、ガイダンスの発表は時機を得たものであり、関連 した8学会が共同でまとめたという点も行政から高評価されたものと考えられます。 ▽ 抗菌薬の適正使用は「院内」と「外来」のいずれの抗菌薬処方においても重要視されるべ きものです。厚労省は平成29年6月に外来診療を行う医療従事者向けに「抗微生物薬適正使 用の手引き(第一版)」を作成し、平成29年9月には「抗微生物薬適正使用の手引き(第一 版)」のダイジェスト版(8頁建)も作成しています。一方、8学会合同抗微生物薬適正使用 推進検討委員会がまとめた「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」に は、冒頭で「今回は院内抗菌薬処方に限定したガイダンスの作成を目指した」と記されて おり、これにより「外来」と「院内」の両方で抗菌薬の適正使用に向けた取組みが行われ たことになります。 ▽ では、具体的に診療報酬上でASTはどのように評価されることになるのでしょうか。先に示 した【論点(案)】の中にキーワードがあるように思われます。キーワードは「抗菌薬の適 正使用の推進の観点から」「現行の感染防止対策加算を参考としつつ」「ASTの取組みの推進 に資する評価」の3点です。注意しなければならないのは、現段階ではASTの活動そのもの を評価しようということではなく、今回はASTの取組みの推進に資することを評価しようと している点です。 ▽ ASTは、わが国の施設においてはまだほんの一部に設置されているに過ぎないのが現状です。 ASTの設置状況を全国規模で調査したデータはありません。今回のASTを評価しようという 診療報酬が目指しているのは、「ASTの活動」ではなく広く「ASTの設置」を促進させたい という行政の政策誘導的意味合いが強いということがいえます。 ▽ AST活動の中心は感染症に精通した医師と薬剤師になろうかと思われますが、8学会のガイ ダンスでは、「感染症専門の医師や薬剤師、臨床検査技師、看護師が主治医の支援を行う」 と示されています。「感染症専門医」ではなく「感染症専門の医師」と記されている点が注 目されます。わが国の感染症専門医は現在約1,300人程です。日本感染症学会は平成22年に 「感染症専門医の医師数・適正数について」をまとめています。そこでは「300床以上の医 療機関(約1,500)には感染症専門医が常勤しているべき」との見解を示すとともに、「病院 勤務の感染症専門医の人数は3千人~4千人程度が適正」とされていますが、その適正数に はまだまだ遠い道のりであるのが現状です。 ▽ 現行の感染防止対策加算の施設基準の中には「院内の抗菌薬の適正使用を監視するための 体制を有すること」という条文があります。「ASTの設置」は特にこの条文と関連してくる ことになると思われます。ICTを構成する4職種(医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師) は「専任」と施設基準で規定されていますから、ASTの構成員も同様に「専任」とされる可 能性は高いと考えられます。ただし、施設基準の条文として「ASTの設置」が新たに盛り込 まれると、感染防止対策加算1、感染防止対策加算2を既に算定している施設の中で、「 ICTの設置はともかく、ASTの設置まではできない」という施設が多くなることも十分に考 えられることではあります。 ▽ つまり、感染防止対策加算の施設基準の中に「ASTの設置」が盛り込まれると加算を算定で きている施設が算定できなくなる可能性が生じることになります。既得権が侵害されるこ とになるわけで、この方式は問題ありということになるかもしれません。考えられる方法 は、現在加算1とのセット加算となっている「感染防止対策地域連携加算」のように、「AST の設置」を例えば加算1とのセット加算の扱いにするという方式です。

(3)

- 3 - ▽ さらに、もう少し踏み込んで考えれば、平成30年度の診療報酬改定では、厚労省は現行の 「感染防止対策加算」を全面的に見直し、ICTとASTという2つのキーワードを核とした構 成に新しく再構築し直していくのではないか、という見方もできなくはありません。 ▽ 厚労省がわが国の感染防止対策を今後、ICTとASTの2枚看板によって進めようとするのか、 感染防止対策加算の中心はICTであり、ASTは別枠で評価しようと考えているのか、AST設 置に向けた評価が100%診療報酬上で実現するとまだ決まったわけでもありません。どのよ うに点数化されるかも未定ではありますが、平成30年度の診療報酬改定は、今後のわが国 の感染防止対策や感染制御の今後を占う意味からも、さらには厚労省のスタンスが明確に なるであろうという点からも大変注目されることになると思われます。 〈メディカル ドゥ 編集部 平野泰弘〉 ◎出典  厚生労働省「中央社会保険医療協議会総会(第 362 回)」(平成 29 年 10 月 4 日開催)の資 料〈総-1〉の「個別事項(その 2)」の 64 頁~82 頁が「感染症」。その中の 64 頁~74 頁 が「薬剤耐性(AMR)対策」、なお、その他には 75 頁~82 頁が「小規模の結核病棟の取 扱」となっています。 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000179290.html  日本化学療法学会「抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス」 http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/kobiseibutuyaku_guidance.html

(4)

病院内における抗菌薬適正使用支援の体制

医療機関が、感染症を発症した患者が適切な抗菌薬治療を受けているか否かを専門的に監視

又は管理し、必要に応じて処方医へ支援を行うための多職種(感染症を専門とする医師、薬剤師

を中心として、臨床検査技師、看護師、事務職員等)からなるチーム。

AST:Antimicrobial Stewardship Team(抗菌薬適正使用支援チーム)

ICT(感染制御チーム)

院内感染対策、サーベイランス等

ICT(感染制御チーム)

院内感染対策、サーベイランス等

【現状】

医師

薬剤師

その他

(事務職員等)

臨床検査

技師

看護師

AST(抗菌薬適正使用支援チーム)

感染症患者への介入・診断の支援・治療の適正化

AST(抗菌薬適正使用支援チーム)

感染症患者への介入・診断の支援・治療の適正化

ICT(感染制御チーム)

ICT(感染制御チーム)

その他

(事務職員等)

感染制御部・感染症科

【目標】

多職種チームによる感染症患者への適時介入の効果

⇒ 感染症の診断・治療レベルの向上、サーベイランスの充実、教育・啓発

⇒ 薬剤耐性

(AMR)の抑制、患者予後の向上

感染防止対策部門

71

(5)

AST(抗菌薬適正使用支援チーム)の主な活動

(Ⅰ) 介入

○ 感染症治療の早期モニタリングとフィードバック

・モニタリングの対象となる患者の設定

・感染症治療のモニタリング

・必要に応じて主治医にアドバイス

○ 抗菌薬使用の事前承認、届出制 など

(Ⅱ) 抗菌薬使用の最適化

○ 微生物検査で原因菌や薬剤感受性が判明後、できるだ

け早期に根治治療への移行を考慮

○ 臨床薬理学的なアプローチによる抗菌薬使用の最適化

など

(Ⅲ) 微生物・臨床検査の利用

○ 適切な検体採取と培養検査が可能な体制の整備

○ 施設毎あるいは病棟毎のローカルデータとしてアンチ

バイオグラムの作成 など

(Ⅳ) 抗菌薬適正使用支援の評価測定

○ 抗菌薬適正使用支援のプロセス指標とアウトカム指標

の両者の検証

(Ⅴ) 特殊集団の選択と抗菌薬適正使用支

援の集中

○ 感染リスクの高い患者集団を選別し、効率のよい抗菌

薬適正使用支援を実施

(Ⅵ) 教育・啓発

○ 処方医・医療専門職への抗菌薬適正使用に関する教

育・啓発

○ 患者への抗菌薬適正使用に関する教育・啓発

抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス(8学会合同抗微生物薬適正使用推進検討委員会)より抗菌薬適正使

用支援の主なものを事務局で抜粋

72

(6)

抗菌薬適正使用推進プログラムによるチーム介入

対象とした

臨床研究数

成果とした指標

効果

文献

19

多剤耐性グラム陰性桿菌

(感染・定着率)

51%(32~65%)低下

1)

17

MRSA

(感染・定着率)

37%(12~55%)低下

11

Clostridium difficile感染症

(感染率)

32%(12~47%)減少

46

死亡率(2群比較研究)

31%(14~44%)低下

2)

全抗菌薬使用量

9.4%(1.0~18.9%)減少

カルバペネム系抗菌薬使用量

10.6%(3.0~20.0%)減少

• 入院患者を対象とした、抗菌薬適正使用推進プログラムによる、チーム(

AST: Antimicrobial

Stewardship Team)の介入は薬剤耐性の抑制、広域抗菌薬使用量の節減をもたらす。

1) Baur D, et al. Lancet Infect Dis 2017; 17: 990-1001

2) Honda H, et al. Clin Infect Dis 2017; 64 (Suppl. 2): S119-S126

(7)

薬剤耐性(

AMR)対策に関する課題と論点(案)

薬剤耐性(

AMR)については、新たな耐性菌の出現と世界的な拡大などから、国際的にもAMR対策が

重要な課題となっており、我が国では

2016年にAMR対策アクションプラン(2016-2020)が公表され、

政府横断的な取り組みを推進している。

感染防止対策加算では、医療機関における院内感染防止対策やサーベイランス事業によるモニタリ

ングなどの取り組みを評価しており、届出医療機関数は加算1は1,174、加算2は2,647で、増加傾向

である。

感染症のトレーニングを受けた医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師などから構成される抗菌薬適

正使用支援チーム(

AST)が、抗菌薬を投与されている入院患者に対して、適正使用に関する評価も

含めて介入することで、感染症発生率・死亡率の低下や、抗菌薬使用量が低下するといった研究報

告がある。

○ 薬剤耐性(

AMR)対策の推進、特に抗菌薬の適正使用の推進の観点から、現行の感染防止対策加

算を参考としつつ、抗菌薬適正使用支援チーム(

AST)の取り組みの推進に資する評価を検討しては

どうか。

【論点(案)】

【現状と課題】

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参照

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