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(1)

ものづくり創成実習

I・同 II

2009 年度

(2)
(3)

一般的注意 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••

1

レポートの書き方 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••

2

実験 1 測容器具の使用方法と溶液の希釈••••••••••••••••••••••••••••••

4

実験 2 金属の当量の決定••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••

7

実験 3 酸塩基滴定の応用 (混合アルカリの分別定量)•••••••••••••••••

11

実験 4 pH メータと緩衝溶液の性質•••••••••••••••••••••••••••••••••••• 14

実験 5 弱酸の中和滴定曲線と酸解離定数••••••••••••••••••••••••••••••

19

実験 6 金属イオンの定量 (水道水のキレート滴定)••••••••••••••••••• 26

実験 7 吸光光度分析 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••

30

実験 8 錯体の結合比の決定 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••

34

実験 9 沈殿滴定(海水などの塩化物イオン濃度定量)••••••••••••••••••

37

実験 10 イオン交換樹脂 ••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••

39

実験 11 シュウ酸塩による Ca の沈殿分離と酸化還元滴定 •••••••••••••••

42

実験 12 Gibbs の相律と状態図 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••••

45

実験レポート・チェックシート•••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• 49

(4)
(5)

一般的注意

(1) 実験前の注意 1. 実験開始前までに、行う実験の目的、実験操作の手順をまとめたもの、問題の答えを用意す る。これらは予習した証拠としてレポートにも添付する。実験が開始されるとすぐにスタッ フはこれらの準備がなされているかチェックする。予習が不十分の場合、その場で帰っても らうことがある。 2. 実験は 12 時 50 分から開始する。それまでの時間は実験の準備にあててよい。 3. 試薬置き場を汚さない。汚した場合はティッシュで拭く。共通試薬はその場で使用し、勝手 に移動させない。 (2) 実験中の注意 1. 実験ノートに書く事項 ・日付 実験の日付とともに天候、気温、湿度を書いておく。 ・実験記録 実験はテキストに記載されている計画通りに行えないことが多い。実際に行っ た実験の記録を取る。 ・実験データの計算、整理は実験中に行う。 2. 天秤 実験の目的によって必要な精度は異なる。ここでは 3 種類の電子天秤 ( 感度 0.1g, 0.01g, 0.001g ) を用いる。 3. 水 水溶液をつくる際に用いる水は水道水を精製したものである(イオン交換水)。 4. 器具の洗浄 ガラス器具の内壁の状態は測定に際して誤差を与える要因になる。洗浄の最 終操作は水道水と純水で行う。計量ガラス器具の乾燥は室温で行う。目的によっては水洗 いや測定溶液での共洗いでよく、完全な乾燥にこだわる必要はない。 (3) 実験後の注意 1. まとめ・・・実験結果を計算、解析し、教員かティーチングアシスタントに報告する。実験方 法の不備や改善点があればそれも書く。これをもって実験を「終了」とする。 2. レポートの形式 (次項参照) A4 白地の紙を使用すること。用紙は「縦置き・横書き」とし、 ページ左上側をホッチキスで綴じて提出する。文章は常体(である体)を用い、敬体(です・ ます体)は避ける。レポートとは通常、実験に直接携わらない人に読んでもらうことが前提 なので、読み易く理解しやすい文章を心がけ、説明文のない式や、単語だけの羅列、定義さ れていない、自分にしか分からない用語は用いないこと。 3. レポート作成の際にはテキストに付属してあるチェック表を参照せよ。さらに、チェック欄 に自己評価(○、△、 )を記入し、レポートに添付して提出すること。

(6)

※この注意事項がレポートの形式となっている。

実験レポートの書き方

所属班: 1班 学籍番号:00000‐5 氏名: 共同実験者: 実験実施日:平成19 年 5 月 11 日(金) 提出予定日:平成19 年 5 月 15 日(火)

1.目 的

ここには教育目標(・・・を理解する。など)ではなく、実験そのものの目的を簡潔かつ具体的に書 く。例えば、「EDTA を用いたキレート滴定法によりアルカリ清涼飲料水中のカルシウムとマグネ シウムの含有量を求める。」など。

2.原 理

テキストと同じになるかもしれないが、自分の理解のため、人に伝えやすくするなり自分なり にアレンジしたほうが好ましい。

3.実 験

テキストと同じであるが、テキストの内容と一部異なる操作をすることがあるので、その部分 は必ず実際に行った実験のとおりに書く。

4.結 果

データ、数値、式を並べただけではダメ。あくまでも人に伝えるためのものであるから、チェ ック表の各項目に沿って述べてゆく。例を以下に示す。 例 1) カルシウム溶液の濃度を求めた。炭酸カルシウム(分子量 α)を βg とり、500mL の水溶液と したので、 よって濃度は・・・mol/L となった。 改ページ ! " # $ 1000 500 = ...

(7)

2) 表を以下に表す。表の題目は表の上に書く。 3) 図を以下に表す。図の題目は図の下に書く。

5.考 察

感想文にならないように注意する。面白かった、難しかったなどの感想は不要。誤差を議論 するのであれば、「誤差が生じた」で終わるのではなく、「実験によって得られた誤差は、理論と 実験操作より予想される誤差の値より大きかった。その理由として・・・・が挙げられる」のよ うにすると考察らしくなる。実験の原理に関することも考察すべき点であるが、参考文献やテキ ストを書き写すだけではなく、実際に行った操作や結果、気付いた現象とどのように関係してい るかを表すことが大切である。

6.問 題

実験前に行った課題をレポートに記す。結論に至らなければ、考えた過程を整理して記す。

7.参考資料

教科書やインターネットWeb ページなどの記述を引用した場合は、必ず出典を明記する。 1) 「実験・実習における 安全の手引き」山口大学工学部編 p.159 2) 「続・実験を安全に行うために」 化学同人編集部編 (化学同人・1987)pp.14-15 3) 「新分析化学実験」日本分析化学会北海道支部編(化学同人・1989)pp.58-60 4) 京都大学大学院人間・環境学研究科 化学部会・全学共通科目 ホームページ http://www.chem.zenkyo.h.kyoto-u.ac.jp/operation/

(8)

- 4 -

実験 1 測容器具の使用方法と溶液の希釈

1. 目的 この実習で用いる測容器具の種類と用途を学ぶとともに,ホールピペット・メスフラスコ・ビュレ ットの使用方法を体得する。また,溶液の正確な希釈方法を実習する。 図1 (a) 測容器具3)(容量器,化学用体積計とも言う2)) (b) 標線およびメニスカス3) 2. 測容器具 ̶用途・使用法・洗浄方法̶ 2,3) (1) メスシリンダー:おおよその体積の溶液を取り分けたり希釈したりするのに用いる。 (2) ホールピペット: 正確に一定体積の溶液を取り分けるために用いる。標線まで溶液を吸い上げ,溶液を全て流出さ せると,標記してある体積の溶液が流出する。 流出後,ピペッターを取り,そのまま約 10 秒待ち,壁に付着した溶液の流下を待つ。つぎに,上 端を右手の人さし指で押えて塞ぎながら,左手の掌で球部を握って温め,先端部の溶液を流出させ る。続けて同じ溶液を取り扱う場合は,先端を汚さないように置いておく。 通常,専用のピペット洗浄器を用いて洗浄し,純水ですすぎ,風乾する。通常は洗浄し乾燥させ たものを用いる。内部に水が残っている場合は共洗いする。外側についた水滴は,清浄なろ紙・キ ムワイプなどでぬぐう。 (3) メスフラスコ: 一定量の標準試薬を水に溶解し,一定の体積に正確に希釈して,標準溶液を調製する場合に用い る。濃度既知の溶液を正確に希釈する場合にも用いる。首の部分の「標線」まで溶液を入れると, 指定温度(20℃)で標記してある体積となるよう作られている。 図 1-2 ピペッターの使用方法 [2] Ⓐをつまみながら球を押えて球内の空気を出す Ⓢをつまむと液が吸い上げられる 液を流出させるにはⒺをつまむ ピペットを差し込む時には,左手でⓈの下部をつかみ,右 手でピペットの上端付近(図中矢印)をつかんで差し込む .(左右は逆でも良い) 親指,人さし指,中指の 3 本でつかみ,右手と左手の間隔 を 1-2cm にすると事故が少ない. メ ー ト ル グ ラ ス

(9)

- 5 - 固体試薬は,ビーカーなどを用いて完全に溶解させてから,メスフラスコに移す。溶解のため加 熱した場合は,室温まで冷まして移す。ビーカーの洗浄液も移す。移し終えたら,時々ふりながら ,純水を少しずつ加える。標線が近づいたら,しばし静置し,駒込ピペット等を用いて純水を一滴 ずつ加えて標線に合わせる。標線を目と同じ高さとし,メニスカスの下端を標線に合わせる。栓を し,メスフラスコを倒立させてよく振り混ぜてから正立させる。数回繰り返す。 使用後は,なるべく早めに水道水で洗浄し,純水ですすぐ。必ず風乾する。乾燥機にいれてはなら ない。すり合わせの栓の部分には薬包紙の小片を挟んで保管する。 (4) ビュレット: 容量分析に用いる。ビュレットの先端から滴下した溶液の量を正確に求めるため,上部に体積を 表す目盛りが印されている。滴下前と後の目盛りを読み,その差を滴下した溶液の体積とする。1 目盛りの 10 分の1まで目測する。 コックが硬い時はグリスを少し塗る。 <共洗い>:ビュレットに滴定液を入れる時には,まず,ビュレットに 5 分の 1 くらい滴定液を 入れ,活栓を数回回して滴定液の一部を先端から放出する。放出した滴定液は廃液用のビーカー で受ける。次に,滴定液がこぼれない程度にビュレットを水平に寝かせて,ゆっくり回しながら 内部を濡らした後,上端から滴定液を捨てる。これを「共洗い」という。共洗いを 1-2 回繰り返 す。3) <使用後のビュレットの処理>:残った滴定液は廃液容器に移す。次に,ビュレットを純水で洗 浄する。(少なくとも 1 回目の洗浄液は廃液容器に入れる。)洗浄したビュレットは,ビュレッ ト台に逆さにして保持しておく。活栓は開いた状態にしておく。 (5) 一般的なガラス器具(ビーカー,時計皿,秤量びん,試薬びん,ロート,ガラス棒など) の洗浄方法 (a) 使用後は出来るだけ早めに洗う。器具を何に使用したか考慮して洗浄する。 (b) 酸,塩基,水溶性塩の汚れは,まず水道水で洗った後,純水ですすぐ。 (c) 沈殿などが付着して取れない場合は,クレンザーなどを用いてブラシでこすって洗い,次に水道 水で洗い,純水ですすぐ。測容器具の場合には,クレンザーやブラシを使ってはならない。 (d) 洗浄後は,口を下にして風乾する。急ぐ場合は,エアバス(乾燥機)中で乾燥させる。雑巾や 紙類で内側をぬぐったりしない。測容器具の場合には,絶対にエアバス中に入れてはならない。 (e) ガラス器具の外側も良く洗っておく方が良い。キズなどを見つけやすく,安全性にもつながる。 図 1-3 ビュレット(活栓の持ち方と目盛りの読み方)[3] イスに座り,左手で活栓を操作する.親指,人さし指,中指の 3 本でつかみ,薬指, 小指は軽く添える.下に行くほど目盛りの数値が大きくなることに注意!

(10)

- 6 - 3. 実験 2人一組となり1人1回ずつ,計2回行うこと。器具の洗浄方法などを工夫しなさい。 実験1 NaCl 水溶液の調製 1. 100 mL のビーカーに NaCl を約 2.0g 量りとる。(上皿天秤を用いる) 2. 水を約 20 mL 加え、ガラス棒で撹拌し、完全に溶解させる。ガラス棒をビーカから出さない事。 3. ビーカーの溶液を,100 mL のメスフラスコに移す。直接流し込まない。ロートを使用する。ガラ ス棒をまっすぐに立て、先をメスフラスコ内に差し込み、ガラス棒伝いに流し込んでも良い。 (ガラス棒・ビーカーの洗浄液も移す。) 4. 水で希釈し,正確に 100 mL とする。有効数字を考慮し、希釈した溶液の濃度を計算する。 (実験で「水」という場合は,通常はイオン交換水を意味する。) 実験2 NaCl 溶液の希釈 1. 実験1で調製した NaCl 水溶液を、メスフラスコから乾いた 100 mL のビーカーに移す。 2. 100 mL のメスフラスコを水道水で洗浄し、最後にイオン交換水ですすぐ。 3. ホールピペットを用い,NaCl 水溶液 10 mL を正確に量り取り,100 mL メスフラスコに移す。 4. 純水で希釈し,正確に 100 mL とする。有効数字を考慮し、希釈した溶液の濃度を計算する。 実験 3 ビュレットの使用方法 1. ビュレットに水を満たす。「共洗い」の練習を行う。 2. 目盛りを 0.01 mL まで読み取る。2 人が読み取った値を比較してみる。 3. 水を滴下する操作の練習をする。 水滴を1滴だけ落とすことができるようになるまで練習する。 4. 目盛りを 0.01 mL まで読み取る。水をゆっくり 50 滴程度,数えて滴下した後,目盛りを 0.01 mL まで読み取る。前後の読み取り値から,1滴の水の体積を求める。 5. 滴下速度を記録しておく。速めに滴下した時は,この値がどのように変るか調べる。 できるだけ正確に水 1 滴の体積を求める工夫をしなさい。 6. 実験が終わったら,ビュレットを洗浄し,実験準備室に運ぶ。 <時間的に余裕がある場合は次の実験 4 を行う。> 実験4 ホールピペットによる測容の精度 1. 風乾した秤量瓶を用意する。水がついているときは、キムワイプで良く拭きとる。 2. 秤量瓶の質量を量る。フタも加えて量る。 3. 5 mL のホールピペットを用い、水を正確に 5 mL 量りとり、秤量瓶に移す。 4. 秤量瓶にフタをして、質量をはかる。 5. 上記を数回繰り返して、量りとった水の重さの平均値と標準偏差を求める。 6. 実験室の温度を記録しておき、理科年表などで調べた密度を用いて、量りとった体積の平均値と 標準偏差に換算する。 <レポート課題 1-A> モル濃度 2M の NaOH 標準溶液を希釈して,0.04 M の NaOH 水溶液 250 mL を調製する方法を,使用 する器具も含めて述べなさい。 <レポート課題 1-B> 1滴の体積の測定値の精度(有効数字)について考察しなさい。また、水 1 滴の体積が何によって 決まるか調べてみなさい。

(11)

実験2 金属の当量の決定

1.目 的

マグネシウムおよびアルミニウムの当量を決定する。

2.原 理

ある金属は酸またはアルカリに溶解して水素ガスを発生するとき、発生する水素の量は、金属 1グラム当量あたり 1/2 モルである。だから既知量の金属と作用して発生する水素の量を測定す れば、その金属の原子量1)から、状態方程式2)を用い、その金属の1グラム当量の値が求められる。 金属の価数は不明でもかまわない。 ※酸化還元反応の1 グラム当量とは電子1モルをだすか、またはこれと反応するのに要する物質 をグラム単位で表した重量のことである。

3.実 験

(二人一組で行う) 実験器具および試薬 メスシリンダー(100ml と 10ml)、50mL ビーカー、水槽、蒸発皿、銅の金網、試験管、ゴム栓付 きゴム管、ウォーターバス、500ml ビーカー、ハサミ、マジックインキ(またはビニールテープ)、 ピペット、温度計、気圧計、蒸発皿、サンドペーパー、マグネシウムリボン、アルミニウム板、 蒸留水、粒状水酸化ナトリウム、濃硫酸 実験手順 A.マグネシウムの測定 ①60mg∼70mg 程度のマグネシウムリボンをハサミで切り取り、サンドペーパーで表面をよく磨 いて酸化物を取り除いた後、天秤で正確に重さを測定する。 ②このマグネシウムを銅の金網で右図のように包む。 ③水槽に水道水を入れ、メスシリンダー(100ml)を沈め て倒立させ、中の空気を抜く。 ④その下に蒸発皿と銅の金網に包んだマグネシウムリ ボンを置く。この時金網がメスシリンダーからはみ出さ ないように注意すること。 ⑤ピペットを用いて蒸発皿に濃硫酸を注入すると、マグ ネシウムは溶解して水素が発生し、水中で泡となって上 昇し、すぐ上のメスシリンダーに捕集される。この時ピ ペットから注入した濃硫酸に空気が混ざっていると、その 空気まで余分 に捕集され てしまう ので注意す るこ と。 (Fig.1) ⑥マグネシウムがまだ充分あるのに水素が発生しなくな Fig.1 マグネシウムの測定

(12)

ったら、再度ピペットで濃硫酸の注入を行う。それでも水 素が発生しなくなったら、マグネシウムが反応し終わった ものとして、メスシリンダーの空気と水の界面の高さを、 水槽の空気と水の界面の高さにそろえてメスシリンダー 内の水素の量を測定する(こうすることによってメスシリ ンダー内の気圧は大気圧になる)。また、金網の中にマグ ネシウムが残っていないか確認すること。(Fig.2) ⑦以上の実験を2回行う。 ※Mg の重さ(mg)、発生した H2の体積(mL)、温度(℃)、 気圧(mmHg)を表にまとめる(表 1)。平均値を求める必要 はない。 B.アルミニウムの測定 ①アルミニウム板を50∼60mg 程度切り取り、サンドペー パーで表面をよく磨いて酸化物を取り除いた後、天秤で正 確に重さを測る。 ②試験管に蒸留水を入れ、さらに水酸化ナトリウムを約 20 粒入れてよく溶解させる。この時試験管が発熱すること を確認すること。 ③この試験管を水槽などで冷やした後、試験管の水面の位 置にマジックやテープなどで印をつける。(Fig.3) ④水槽に水道水を入れ、さらにメスシリンダー(100ml)を 沈めて倒立させる。 ⑤水を入れた 500ml ビーカーの中に試験管、温度計、ウ ォーターバスを配置する(Fig.4)。 ⑥実験者の一人が試験管の中にアルミニウムを入れた後、 素早く試験管にゴム栓付きゴムホースをつないで試験管 をゴム栓で留め、もう一人が水槽中で倒立させたメスシリ ンダーを持ちながら、ホースのもう片方の先を水槽中のメ スシリンダーの先に導く(Fig.4)。この時ホースの中に水槽 の水が入らないように注意すること。またゴム栓をテープで 巻いて試験管から水素が逃げないようにする。 ⑦ウォーターバスのプラグをコンセントに入れるとビー カー中の水が温まり出してアルミニウムが水酸化ナトリ ウム水溶液に溶け始めて水素が発生する。この水素が水槽 のメスシリンダーに捕集される。ウォーターバスに電源を 入れたままだと水温がいずれ 70℃を過ぎてしまうので、温度 計を見ながらプラグを外したり差し込んだりして適宜 70℃ に調節すること。 メスシリンダーの水面と水槽の水面が一 致するように、適宜水槽の水の量を増減さ せる Fig.2 発生した水素の体積の測定 Fig.3 アルミニウムの測定準備 Fig.4 アルミニウムの測定 Fig.5 試験管とホースの冷却

(13)

⑧アルミニウムが完全に溶け、水素が発生しなくなったら、 メスシリンダーの空気と水の界面の高さを、水槽の水の界 面の高さにそろえて(このときメスシリンダー内の気圧は 大気圧になる)メスシリンダー中の水素の体積を測定する。 その後メスシリンダーを外す。 ⑨試験管は 70℃に温まっているために試験管内の空気が 膨張して一部がメスシリンダーに移っている。この値を補 正するために、ホースおよび試験管を水槽中に沈める (Fig.5)。すると水槽の水が一部試験管に逆流する。しばら くしたら水槽から試験管と管を取り出し、管の中の水がこ ぼれ落ちないように試験管に巻いたシールをはずして管 中の水を試験管に入れる。 ⑩先ほどの試験管につけた印から、増加した水の量をピペットで取り出してメスシリンダー (10ml)に入れてその量を測定する(Fig.6)。 ※Al の重さ(mg)、発生した水素の体積(mL)、温度(℃)、気圧(mmHg)を表にまとめる(表 2)。 平均値を求める必要はない。

4.結 果

A.マグネシウムの当量の算出 水上で捕集された水素は水蒸気で飽和されているため、実際の水素の量は水蒸気の分圧を差し 引く必要があり、式で表すと次のようになり、気圧計で測定した気圧より水素の分圧が求められ る。 (水素の分圧)=(気圧計で測定した気圧)‐(水蒸気の分圧3)) =(メスシリンダー内の気圧)‐(水蒸気の分圧) この水素の分圧(P)、水素の体積(V)、気温(T)より、気体の状態方程式2)を用いて水素のモル数(n) が計算できる。そして金属1グラム当量あたり 1/2 モルの水素が発生するから、最初に量りとっ た金属(m[g])の当量 z は、発生した水素のモル数 n を用いて、1:1/2=z:n の関係が得られ、金属 m[g]は z=2n グラム当量という結果が得られる。また、金属1グラム当量の値 x[g/mol]と置くと、 1:x=z:m の関係が得られるから、これらをまとめて x=m/2n で金属の1グラム当量が算出できる。 B.アルミニウムの当量の算出 アルミニウムの実験でマグネシウムと異なる点は、試験管とゴム管を冷やして吸い込まれた水 の量を、発生した水素の量から引いた値を真の水素の発生量とすることである。この補正した体 積を用いて以下はマグネシウムと同じ方法でアルミニウムの1グラム当量を算出する。

5.考 察

用いた金属の価数をA と置くと、金属の当量の理論値=金属の原子量/A である。この値と実 験値を比較し、その違いの要因を挙げる。また、銅の金網を用いる理由を考える。 Fig.6 吸い込まれた水の量の測定

(14)

6.問 題

問1.Mg と硫酸を一緒にするとどのような反応が起こるか化学反応式で説明しなさい。またこ の反応で電子はどのように移動しているかを示しなさい。 問2.Al と水酸化ナトリウムを一緒にするとどのような反応が起こるか化学反応式で説明しなさ い。またこの反応で電子はどのように移動しているかを示しなさい。 問3.空気中に長時間さらしたMg ならびに Al の表面の化学組成はどのようになっているかを考 え、その性質について述べなさい。 問4.温度30.0℃、湿度 60.0%、気圧 1.00 105N/m2の大気1.00m3あたりの分子の質量を求め よ。ただし、湿度0%の大気は窒素 78%と酸素 22%の割合からなるものとする。分子量は、 窒素:28.0、酸素:32.0、水:18.0 を用いよ。

参 考

1)原子量と価数 アルミニウム 原子量 26.98、3価 マグネシウム 原子量 24.31、2価 2)気体の状態方程式 pV=nRT ただし、p:圧力(atm) 1atm=760mmHg、V:体積(L)、T:温度(K) K=℃+273、 R:気体定数 0.08206 (atm L K‐1 mol1) もしくは p:圧力(Nm‐2) 1atm=1.013 105Nm2V:体積(m3) 1m3=103L、 T:温度(K)、R:気体定数 8.314 (JK‐1 mol1) 3)水の蒸気圧の温度依存性 温度 (℃) mmHg 温度 (℃) mmHg 温度 (℃) mmHg 温度 (℃) mmHg -15 -14 -13 -12 -11 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 1.436 1.560 1.691 1.834 1.987 2.149 2.326 2.514 2.715 2.931 3.163 3.410 3.673 3.956 4.258 4.579 4.926 5.294 5.685 6.101 6.543 7.103 7.513 8.054 8.609 9.209 9.844 10.518 11.231 11.987 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 12.788 13.634 14.530 15.477 16.477 17.535 18.650 19.827 21.068 22.377 23.756 25.209 26.739 28.349 30.043 31.824 33.695 35.663 37.729 38.898 42.175 44.563 47.067 49.692 52.442 55.324 58.34 61.50 64.80 68.26 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 71.88 75.65 79.60 83.71 88.02 92.51 97.20 102.09 107.20 112.51 118.04 123.80 129.82 136.08 142.60 149.38 156.43 163.77 171.38 179.31 187.54 196.09 204.17 214.17 223.73 233.7 243.9 254.6 265.7 277.2 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 289.1 301.4 314.1 327.3 341.0 355.1 369.7 384.9 400.6 416.8 433.6 450.9 468.7 487.1 505.1 525.76 546.05 566.99 588.60 610.90 633.90 657.62 682.07 707.27 733.24 760.00 787.57

(15)

実験3

酸塩基滴定の応用(混合アルカリの分別定量)

1.目 的

酸塩基中和反応に基づいた連続滴定法、別個滴定法により NaOH と Na2CO3の混合物から各々の成 分を定量する。

2.原 理

連続滴定法 NaOH 及び Na2CO3の混合溶液は以下のように塩酸で滴定される。 NaOH + HCl = NaCl + H2O Na2CO3 + HCl = NaHCO3 + NaCl NaHCO3 + HCl = NaCl + H2CO3 Fig.1 の滴定曲線における最初の pH の急激な降下は、(1a)およ び(1b)式の反応によるものであり、二段目の降下は(2)式の反応に よるものである。従って、第二終点と第一終点の滴定量の差βml は NaHCO3 のみの中和によるものであり、この値は滴定前の Na2CO3の濃度と同じであるため、Na2CO3のモル数と濃度が算出 できる。また、第一終点の滴定量 αmL の HCl のモル数は、 Na2CO3 と NaOH のモ ル数 の 和に 相当 す るた め、 ここ か ら Na2CO3のモル数を差し引くとNaOH のモル数が算出できる。 別個滴定法 塩基の総濃度をまず求め、その後溶液を替えて炭酸イオンをBaCO3として試料溶液から除き、NaOH だけを定量する。炭酸ナトリウムの濃度は総濃度よりNaOH 濃度を差し引くことにより求められる。 (1)メチルオレンジを指示薬として滴定し、塩基(CO32‐、OH‐)の総濃度を求める。

NaOH + HCl = NaCl + H2O (3a)

Na2CO3 + 2HCl = 2NaCl + H2O + CO2 (3b)

(2)別の試料溶液に塩化バリウムを加えて炭酸イオンを除去し、残った NaOH をフェノールフタレイン を指示薬として定量する。

Na2CO3 + BaCl2 = BaCO3 + 2NaCl (4)

NaOH + HCl = NaCl + H2O (5) (1a) (1b) (2) Fig.1 連続滴定法による混合アルカ リ溶液の滴定曲線

(16)

3.実 験

実験器具および試薬 200mL メスフラスコ、500mL メスフラスコ、15mL ホールピペット、10mL メスピペット、100mL ビ ーカー、150mL コニカルビーカー 2 混合アルカリ試料溶液(NaOH+Na2CO3)、塩酸、塩化バリウム、メチルオレンジ指示薬、フェノールフ タレイン指示薬 実験手順 A.連続滴定法 ①スタッフから正確な濃度が分かっている 0.1M HCl 標準溶液を受け取 る。この濃度をノートに記録しておく。 ②コニカルビーカーに混合アルカリ試料 15mL をホールピペットで正確 に測り取り、水を加えて50∼100mL とする。 ③この溶液にフェノールフタレイン指示薬1滴を加える。 ④ビュレットを台に装着し、ビーカーを用いて 0.1M 標準塩酸溶液でと も洗いを行った後、0.0 の目盛り(一番上)まで注ぐ。 ⑤始点を正確に読み取り、記録した後、滴定を開始する。(Fig.2) ⑥溶液の色が、赤から無色に変わる点を第一終点として記録する(Table 1)。 ⑦さらにこの溶液にメチルオレンジを1 滴を加え、0.1M HCl 標準溶液で 滴定する。溶液がわずかに赤みを帯びた点を第二終点として、記録する。 ⑧ 0.03mL 以内の誤差をもったデータを 3 個以上そろえ、平均値と標準 偏差を算出する。 ※測定中は、塩酸の量が下限(25mL)を越えないうちに補 充する。もし越えてしまった時は、ピペットで正確に塩 酸の量を測りとってビュレットに加えて目盛りを読み、 その値から最初のピペットの量を差し引いた値を現在 のビュレットの値とする。 B.別個滴定法 (1)塩基総濃度の定量 ①混合アルカリ溶液試料15mL をホールピペットで取り、水を加えて 50∼100mL とする。 ②メチルオレンジ1 滴加え、0.1M HCl 標準溶液で滴定する。溶液がわずかに赤みを帯びた点を終点と し、記録する。 ③ 0.03mL 以内の誤差を持ったデータを3個以上そろえる。 (2)NaOH 濃度の定量 ④混合アルカリ溶液試料15mL をホールピペットで取り、水を加えて 50∼100mL とする。 ⑤この溶液に10%BaCl2溶液約5mL を加えよくかき混ぜる。10%BaCl2溶液は計算して作る。 Fig.2 滴定図

(17)

⑥さらにフェノールフタレイン溶液1滴を加え、HCl 標準溶液で滴定する。 ⑦ 0.03mL 以内の誤差を持ったデータを3個以上そろえる。

4.結 果

連続滴定法、別個滴定法で得られた結果より、定量のための式を作成し、NaOH および Na2CO3の濃 度(mol/L)、含有量(g/L)を算出する。レポートには連続滴定法、別個滴定法で得られた結果を一つの表 にまとめて記載する。

5.考 察

連続滴定法、別個滴定法で得られた結果を比較検討する。標準偏差などから誤差の大小を述べ、その 要因を挙げる。

6.問 題

問1.ブレンステッド酸・塩基およびルイス酸・塩基の定義を書きなさい。 問2.ある100mL の酢酸水溶液の酢酸の濃度を測定するために、まず 0.01M の NaOH を 10mL 入 れて全体を塩基性にした後、0.01M 塩酸で滴定を行ったところ 4.3mL 要した。最初の酢酸水 溶液中の酢酸イオン濃度を求めなさい。 問3.濃度C[mol/L]の弱酸 HA の水溶液について、酸解離定数 Kaを使ってこの溶液のpH を表す式 を導出しなさい。 問4.濃度C[mol/L]の炭酸ナトリウム(Na2CO3)の水中での平衡式を書きなさい。なお、炭酸の水中 での解離平衡定数を Kb1、Kb2とせよ。また、水の解離平衡式、炭酸イオンのマスバランス式、 正負イオンの量が等しいことによる電荷バランス式をたて、この溶液のpH を表す式を導出し なさい。 問5.フェノールフタレイン、メチルオレンジ指示薬の酸性条件とアルカリ性条件下での構造を書き、 変色がどのようにして起こるかを示しなさい。

参 考

NaOH:分子量 40.00 Na2CO3:分子量 105.99 BaCl2・H2O:分子量 244.26

(18)

実験 4 pH 計と pH 緩衝溶液

【目的】 水溶液中の水素イオン濃度を測定するための pH 計の操作に習熟するとともに、pH 緩衝溶液の機能につい て理解する。弱酸は溶液中でその一部が解離するに過ぎず、弱酸に由来する水素イオンや共役塩基の濃度 は単純な量論関係に従わない。この実験では、代表的な弱酸である酢酸の示す性質を知るため、希釈によ るpH の変化を調べる。また、酢酸を用いた緩衝液を調製し、その性質を調べ、緩衝液の原理を理解する。 【理論】 (1)弱酸の酸塩基平衡 HA

H+ + A(一塩基酸、一プロトン酸) 最初に加えたHA の全濃度 Caとすると Ca = [HA] + [A−] (物質収支), [H+] = [A−] + [OH−] (電荷均衡)。 [A−] = [H] − [OH] , [HA] = C a − [A−] より、酸解離定数 Kaは K a = H + A- HA に代入して K a = H + ( H + – OH - ) C a – ( H + – OH - ) (1) [H+] >> [OH]のとき、式(1) は [H]2 + K a [H+] − Ka Ca = 0 となり、[H+]と Caの関係式が得られる。 (2)塩の加水分解 (例 酢酸ナトリウム)

CH3COONa

Na+ + CH3COO− (完全解離)、 CH3COO− + H2O

CH3COOH + OH−

(CH3COO− は塩基として作用するので、CH3COOH の共役塩基という。) 共役塩基CH3COO−の塩基解離定数は K b = CH3COOH OH - CH3COO - (2) 共役酸 CH3COOH の酸解離定数は K a = H + CH 3 CH3COOH (3) 従って、(2),(3) より共役酸と共役塩基の解離定数の関係は Ka Kb = [H+] [OH−] = Kwとなる。 (3)緩衝液(buffer solution) 弱酸と弱塩基の両方を比較的高い濃度で含む混合溶液。少量の強酸を加えても、増加したH+は当量の 弱塩基と結合して共役酸を形成するため、溶液中の[H+]はほぼ一定に保たれる。 (例) 酢酸-酢酸塩緩衝液(弱酸: CH3COOH と 共役塩基 CH3COO−の混合溶液)

Ca mol の CH3COOH と Cb mol の CH3COONa を溶解し 1 L (1 dm3)とした水溶液において

(物質収支) [CH3COOH] + [ CH3COO−] = Ca + Cb, [Na+]= Cb

(電荷均衡) [H+] + [ Na] = [ CH 3COO− ] + [OH−] となる。上記から、[CH3COOH] および [ CH3COO−]を導き、式(3) に代入して K a = H + ( C b + H+ – OH- ) C a – ( H+ – OH- ) となる。Ca, Cb >> [H+] − [OH−] のとき、水素イオン濃度は [H+] = Ka Ca/Cb となる。 対数をとって、pH = pKa – log10(Ca/Cb)、したがって、pH = pKa + log10( [共役塩基] / [酸]) 。

(19)

また、b = dCa / d(pH)を緩衝容量 と言い、Ca, Cb >> [H+] - [OH−]のとき b = 2.3 CaCb / (Ca+Cb )

となる。b が大きいほど酸・塩基の添加あるいは希釈に対する緩衝能が高い。

【予習】

0.1 mol/L 酢酸溶液、および 0.1 mol/L 酢酸溶液と 0.1 mol/L 酢酸ナトリウム溶液を等量混合して得られる 酢酸緩衝液を希釈した時のpH の変化を計算しておく。酢酸の解離定数(25℃)Ka=1.8 10-5 【実験器具】 pH 計 (Horiba 製)、ホールピペット、メスフラスコ、メートルグラス、メスシリンダー [ Horiba 製 pH 計の使用方法 ] <一般的注意> (1) 電極、特にその先端部分は非常に割れやすいので取り扱いに十分注意する。また、電極を素手で触っ てはいけない。 (2) 電極を測定したい溶液のなかに入れる前に、洗浄瓶にいれたイオン交換水でよく洗った後、ガーゼな どで電極の水分をそっと拭うこと。このときガラス電極をこすると静電気が発生してpH 指示値が不 安定になることがある。ガラス電極を拭くときはこすらないように注意する。 (3) 正確な測定を行うために 1 日 1 回程度の pH 計の調整を行なう。 <調整の方法(校正) Navi pH メーターD-51 の場合>

(1) ON/OFF キーを押す。次に、CAL を押す。校正モードになり、CAL が点灯する。 (2) 電極をイオン交換水でよく洗い、ガーゼなどでそっとふきとる。 (3) 電極の内部液補充口を開く。 (4) ビーカーに入った pH 7 標準液の中に、電極の先端を 3 ㎝以上差し込む。 (5) CAL を押して校正をスタートする。 指示値が安定するまで,HOLD が点滅する。 (6) 指示値が安定すると,HOLD が点灯する.pH7で校正されたことを表わす( )の校正履歴表示 が現れる。 (8) 電極をイオン交換水でよく洗い、ガーゼなどでふきとる。 (9) pH 4 標準液、および pH 9 標準液を用いて同様に校正する。 (10) 電極をイオン交換水でよく洗い、ガーゼなどで易しくふきとる。 (11) 電極を 3 ㎝以上で pH を測定する水溶液に浸す。 (12) MEAS キーを押す。指示値が安定するまで,HOLD が 点滅する。 (13) 指示値が安定すると,HOLD の点灯が止まり、指示値 がホールドされて測定完了する。 (14) 測定終了後,電極をイオン交換水でよく洗いイオン交換水の入ったビーカーに浸して置く。

開く

閉じる

3 ㎝以上

(20)

(15) 内部液補充口を閉じる。ON/OFF キーを押す。 注1) pH 4 の標準液--- フタル酸塩溶液 (フタル酸水素カリウム 10.21 g を水に溶解して 1 L にする) 20 ℃: pH = 4.00, 25 ℃: pH = 4.01, 30 ℃: pH = 4.02 注2) pH 7 の標準液--- 中性リン酸塩溶液 (リン酸二水素カリウム 3.40 g とリン酸水素二ナトリウム 3.55 g を水に 溶解して1L にする) 20 ℃: pH = 6.88, 25 ℃: pH = 6.86, 30 ℃: pH = 6.85 注3) pH 9 の標準液--- ほう酸塩溶液 (四ホウ酸ナトリウム 3.81 g を水に溶解して 1 L にする) 20 ℃: pH = 9.22, 25 ℃: pH = 9.18, 30 ℃: pH = 9.14 注4) 主として酸性側を測定するときには pH 4 の標準溶液を用い、アルカリ側を測定するときには pH 9 の標準液 を用いて、pH 計の調整を行なう。 【試薬溶液の調製】 最初に以下の溶液を調製する。いずれも標定の必要はない。 (1) 0.1 mol/L 酢酸溶液の調製 (代表者 1 名が調製) 酢酸(氷酢酸):石津製薬㈱、式量 = 60.05、純度 = 99%、密度=1.049g /cm3 3 mL のホールピペットを用い、酢酸をとり、500 mL メスフラスコに移す。イオン交換水で希釈し、正 確に500 mL とする。 (2) 0.2 mol/L NaOH 溶液の調製 (各グループで調製) 20 mL のホールピペットを用い、2 mol/L NaOH 標準溶液をとり、200 mL メスフラスコに移す。イオン 交換水で希釈し、正確に200 mL とする。 (3) 0.2 mol/L HCl 溶液の調製 (代表者 1 名が調製) 10 mL のホールピペットを用い、2 mol/L HCl 標準溶液をとり、100 mL メスフラスコに移す。イオン交 換水で希釈し、正確に100 mL とする。 (4) 0.1 mol/L 酢酸ナトリウム溶液の調製 (代表者 1 名が調製) 酢酸ナトリウムCH3COONa・3H2O:片山化学工業㈱、式量 = 136.09、純度 = 98.5% 酢酸ナトリウムCH3COONa・3H2O(式量 136.09)約 3.4 gを秤量ビンを用いて秤量し、イオン交換 水に溶解した後、250 mL メスフラスコに移す。イオン交換水で希釈し、正確に 250 mL とする。 【実験操作】 (実験 1) 酢酸の pH と希釈による pH の変化 (1) 0.1 mol/L 酢酸溶液 約 50 ml を、100 mL のビーカーに取りその pH を測定する。 (2) 20 mL のメートルグラスを用い 0.1 mol/L 酢酸溶液 20 mL を 100 mL のビーカーに入れ、イオン交 換水で倍量に希釈してpH を測定する。以上順次、2 倍希釈していって、0.1 mol/L の 128 分の 1 の 濃度になるまで、希釈にともなうpH の変化を調べる。 溶液 pH 0.1 mol/L 酢酸溶液 〃 の 2 倍希釈 〃 の 4 倍希釈 〃 の 8 倍希釈 〃 の 16 倍希釈 〃 の 32 倍希釈 〃 の 64 倍希釈 〃 の 128 倍希釈

(21)

(実験 2)酢酸̶酢酸ナトリウム緩衝液の pH と希釈による pH の変化 (1) 0.1 mol/L 酢酸溶液と 0.1 mol/L 酢酸ナトリウム溶液、それぞれ 50 mL ホールピペットを用いて量りと り、200 mL のビーカーに入れて混合し、酢酸緩衝液を作る。 (2) 調製した 0.1 mol/L 酢酸緩衝液約 30 ml を 100 mL のメスシリンダーで量りとり、50 mL のビーカーに いれ、そのpH を測定する。 (3) 10 mL のホールピペットを用い、(1)で調製した 0.1 mol/L酢酸緩衝液 10 mL をとり、100 mL メスフ ラスコに移す。イオン交換水で希釈し、正確に100 mL とする(10 倍に希釈した溶液)。 (4) (3)で調製した 10 倍に希釈した溶液を 20 mL ビーカーにとり pH を測定する。以下、順次、100 倍 および1000 希釈したものについて、その pH を測定し、希釈による pH の変化を記録する。 溶液 pH 0.1M 酢酸(ナトリウム)緩衝液 〃 の 10 倍希釈 〃 の 100 倍希釈 〃 の 1000 倍希釈 (実験 3) 純水に酸塩基を加えた時の pH の変化 (1) 50 mL ホールピペットを用い、イオン交換水をとり、100 mL のビーカーにいれ、その pH を測定する。 (2) (1)のイオン交換水に、1 mL のホールピペットを用いて 0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液 1 mL を加え て、pH の変化を調べる。つぎに、1 mL のボールピペットを用いて、0.2 M 塩酸を 1 mL ずつ 4 mL まで 加えて、pH の変化を調べる。 溶液 pH (1) イオン交換水 50 mL (2) (1)の溶液 + 0.2 mol/L NaOH 溶液 1mL (3) (2)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL (4) (3)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL (5) (4)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL (6) (5)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL

(22)

(実験 4) 緩衝液に酸塩基を加えた時の pH の変化 (1) 50 mL ホールピペットを用い、調製した酢酸緩衝液をとり、100 mL のビーカーに入れ、その pH を測 定する。 (2) (1)の酢酸緩衝液に、1 mL のホールピペットを用いて 0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液 1 mL を加えて、 pH の変化を調べる。 (3) 1 mL のホールルピペットを用いて、0.2 mol/L 塩酸を 1 mL ずつ 4 mL まで加えて、pH の変化を調べる。 (4) 時間があれば、酢酸溶液と酢酸ナトリウム溶液の混合比を変えた緩衝液を調製し、同様な実験を行う。 溶液 pH (1) 0.1 mol/L 酢酸緩衝液 50 mL (2) (1)の溶液 + 0.2 mol/L NaOH 溶液 1mL (3) (2)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL (4) (3)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL (5) (4)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL (6) (5)の溶液 + 0.2 mol/L HCl 溶液 1mL 加えた強酸又は強塩基の増加分をmol/L であらわした値(塩基の増加分を正に、酸の増加分を負にとる)を、 強酸又は強塩基の添加にともなうpH の変化で割った値を緩衝値とよぶ。緩衝値が大きいほど、緩衝作用が 大きい。 【考察と課題】 (a) 計算値と実測値を比較したグラフを描き、考察しなさい。 (b) 実験 4 の結果から、緩衝能(緩衝値)を計算しなさい。 (c) pH 計の測定原理について調べ、レポートに記述しなさい。 (注意) 廃棄物の処理方法については、その都度指示するが、原則として下水に直接流すことはしないの で注意すること。宇部市の下水の排出規制を守る義務がある。

(23)

実験 5 弱酸の中和滴定曲線と酸解離定数

【目的】 弱酸(酢酸およびマレイン酸)の中和滴定曲線を測定し、計算値と比較し酸解離定数を求める。パソコン にデータを取り込み、表計算ソフト「エクセル」を用いてデータを解析する。 【理論】 酢酸の様な一塩基酸(一プロトン酸)の強塩基(一プロトン塩基)による中和滴定曲線の一般式は、初 濃度CAの一プロトン酸HA と初濃度 CBの一プロトン強塩基BOH の混合溶液における、物質収支と電荷均 衡から導かれる。滴定率a = CB/CAと水素イオン濃度 [H+] の関係は、式(A)となる。(以下、簡単のため 電荷は省略した表記とする。[H+]=[H] など)

!

C

B

C

A

=

1

C

A

K

w

[H]

"[H]

#

$

%

&

'

( +

1

1+[H]/K

a (A) <弱酸(一プロトン酸)と強塩基の混合溶液の平衡>

(物質収支)CB = [B], CA = [A] + [HA] (電荷均衡) [B] + [H] = [OH] + [A] これらより CB = [OH] – [H] + [A] = KW/[H] – [H] + [A] ---- (1)

酸解離平衡定数 Kaの定義より、[HA] = [A][H] / Ka. 式(1)の辺々を CAで割ると ! CB CA = 1 CA Kw [H]"[H] # $ % & ' ( + [A] [A]+[A][H]/Ka となり、式(A)が導かれる。 多塩基酸(多プロトン酸)の強塩基(一プロトン塩基)による滴定曲線は複雑であるが、逐次酸解離定 数に大きな差があれば、各当量点におけるpH の急峻な変化が見られる。2 プロトン酸の場合には、滴定率 と水素イオン濃度の関係は、次の式で表すことが出来る。

!

C

B

C

A

=

1

C

A

K

w

[H]

"[H]

#

$

%

&

'

( +

2 +[H]/K

a 2

1+[H]/K

a 2

+[H]

2

/K

a 2

K

a1 (B) <多プロトン酸と強塩基の混合溶液の平衡> 二プロトン酸H2A の総濃度 CA、強塩基BOH の濃度 CBとする。 (物質収支)CB = [B], CA = [A] + [HA] + [H2A] (2) (電荷均衡)[H] + [B] = [OH] + 2[A] + [HA] (3)

(2)より、式(3)は [H] + CB = KW/[H] + 2CA – [HA] – 2 [H2A] となる。

辺々CAで割り整理すると CB /CA = ( KW/[H] – [H] ) / CA + 2 – ( [HA] + 2 [H2A] ) / CA

また、 [HA]=[A][H]/Ka2, [H2A]=[A][H]2/Ka1Ka2, CA = [A] ( 1 + [H]/Ka2 + [H]2/ Ka1Ka2 ) を代入し ! CB CA = 1 CA Kw [H]"[H] # $ % & ' ( + 2 – [H]/Ka 2+ 2[H] 2 /Ka 2Ka1 1+[H]/Ka 2+[H] 2 /Ka 2Ka1 (B)' この式の最後の2項(+2–以下)を通分して式(B)が得られる。 nプロトン酸の場合、式(B)' 最終項の分母が、1 + [H]/Kan + [H]2/ KanKan-1+ ---+[H]n/ KanKan-1••••••Ka1、 分子が [H]/ Kan + 2[H]2/ KanKan-1+ ---+ n [H]n/ KanKan-1••••••Ka1となり、式(B)' の定数項 2 は n である。 式(B)' 最終項の分母は A に対するプロトン付加を考慮した副反応係数α(AH)= CA /[A]、 式(B)' の最終項 自体は、A に付加している平均プロトン数である。 *参考書:田中元治・中川元吉編、「定量分析の化学」(朝倉書店、1987)

(24)

【予習】 表計算ソフト「エクセル」を用いて、酢酸(pKa = 4.58)およびマレイン酸( pKa1 = 1.84, pKa2 = 5.83)を NaOH 水溶液で滴定した場合の滴定曲線を描いておく。 前述の式(A)および(B)は、[H+]の関数として滴定率C B /CAを求める式になっている。エクセルでグラフを 書く際の典型的な例を下の図に示す。(図は、酢酸の濃度が0.1 mol/L の場合。実験条件に合わせて計算す ること。 ) 【実験器具】 ホールピペット、ビーカー、ビュレット、マグネティックスターラー、メスシリンダー pH 計(SK-620pH)、パソコン(RS232C 端子付) <pH 計 SK-620PH の調整> (1) オートパワーOFF 機能を解除する。オートパワーOFF 機能とは、本器は約 20 分間キー操作がない場合 は自動的に電源を切る機能のことである。解除方法:PWR キーと CAL キーを同時に押して電源を入れ、 PWR キーを先に離す。液晶表示部に「n」が表示されたら、CAL キーを離す。ガラス電極は測定して いないときはイオン交換水の中に付けておくこと。 (2) 電極をイオン交換水でよく洗い、ガーゼなどでそっとふきとる。 (3) CAL キーを押してキャリブレーションモードにする。液晶表示部に[4.00]と表示し、「CA:電圧表示」が 現れることを確認する。 (4) 電極を pH 4 標準液に浸す。さらに電極で溶液をゆっくり攪拌し電圧指示値が落ち着くまで電極を動か さず固定して待つ。 (5) 液晶表示部の電圧指示値が安定したならば、pH/mV キー(↑)または キ ー(↓)にて pH キャリブレーション値を「4.01」に合わせる。液温が 25℃の とき標準液のpH は 4.01 になる。標準液の pH 値と温度の関係の概略は、実 験7、「pH 計の取扱い」の項に示してある。 第 1 項 =((1e-14/B5)-B5)/$B$1 第 2 項 =1/(B5/$B$2+1)

(25)

(6) REC キーを押して校正値を本器のメモリに記憶します。このとき液晶表示 部に「SA」と表示され本器のメモリ内にキヤリブレーションデータがセー ブされたことを現わす。これでpH 4 のキャリブレーションが完了する。 (7) 次に、本器は自動的に pH7 のキャリブレーションに進む。電極をイオン交 換水にて洗浄する。 (8) pH 4 と同様に pH 7、次に pH 10 のキャリブレーションを行う。 (9) 約 3 秒経過後、自動的に測定モードに戻る。pH 10 のキャリブレーションが終了したとき、液晶部に「End」 と表示される。以上により、正確なpH 測定を行うことができる。 (10) 測定したい溶液の中に pH 電極を差し込み、pH 指示値が安定するまで待ち、指示値を読み取る。 (11) 測定が終了したら、PWR キーを押して本体の電源を OFF にする。電極をイオン交換水でよく洗浄し たのち、イオン交換水の中に付けておくこと。 注1:キャリブレーションモード時は液晶部に「CA」のキャラクタと電圧値を表示する。酸性溶液測定時の電圧値 は正電圧ですが、アルカリ溶液測定時の電圧値は負電圧です。このとき、液晶表示はマイナス表示を行なわ ない。また、表示される数値は4 桁だが、電圧値は XXX.XmV として読む。 注2:SK-620PH の pH 計については、キャリブレーションデータの入力範囲が下記の通りである。従って、しゅう 酸塩標準液 ( pH 1.68 at 25 ℃ )、および、ほう酸塩標準液 ( pH 9.18 at 25 ℃ )を使用したキャリブレーション はできない。 キャリブレーションポイント データ入力可能範囲 pH4 3.50∼ 4.50 pH7 6.50∼ 7.50 pH10 9.50∼10.50 注3: 校正に用いる標準液は準備してあるものを用いる。pH 4 および pH 7 の標準溶液は実験 7 と同じ。pH 10 の 標準溶液は炭酸塩溶液 ( 20 ℃: pH = 10.06, 25 ℃: pH = 10.01, 30 ℃: pH = 9.97 ) <簡易データロガー・マクロの使用方法> 1. pH 計 SK-620PH と PC のシリアル ( RS-232C ) ポートをシリアルケーブルで接続する。 2. XL232Logger .xls のエクセルファイルを開く。起動時にマクロを有効にするかどうかダイアログボック スが開くので、「マクロを有効にする」を選択する。(パソコンのセキュリティレベルが「高」以上では XL232Logger は実行できないので、セキュリティレベルを「中」に設定すること) 3. 「設定」シートで必要な設定を行う(設定済み)。設定シート左上の[開始メニュー]ボタンをクリック すると、コントロール用のメニューウィンドウが現れます。 4. コントロール用のメニューウィンドウの[記録開始]をクリックすると SK-620PH のワークシートが作成 され、そこに通信データが記録される。 5. SK-620PH のワークシートの F 列に NaOH 溶液の滴下量、G 列にビュレットの目盛りおよび H 列には 色の変化を記入すること。測定を開始する前にpH と滴下量のグラフを作成しておく。 6. [即時記録]をクリックすると直ちに通信し、その時点での pH 値が記録される。 7. pH の変動をグラフで確認しながら、滴定量を適正な値とすること。ビュレットの目盛りは、0.01 mL まで読み取ること。pH の変化が大きい領域では慎重に滴下し、pH の表示が安定するのを待つ。

(26)

● エクセルファイル XL232Logger .xls の設定シート(RS-232C ポートの設定) ● エクセルファイル XL232Logger .xls の SK-620PH 用ワークシート コントロール用のメニューウィンドウ 設定シートの数値は設定済み 【プログラム名 】XL232Logger Ver. 0.3 【プログラム形態】フリーウェア 【著作権者 】T. Ogata http://www.vector.co.jp/soft/win95/har dware/se443482.html

読み取った値を記入

する。

グラフを作成しておく。

(27)

【試薬の調製】

(1) 0.038 mol/L マレイン酸溶液の調製 (代表者 1 名が調製)

マレイン酸HOOCCH=CHCOOH:和光純薬㈱、式量 = 116.07、純度 = 99.0%

約1.1gを秤量し、イオン交換水に溶解した後、250 mL メスフラスコに移す。イオン交換水で希釈 し、正確に250 mL とする。

(2) 0.1 mol/L 酢酸溶液および 0.2 mol/L NaOH 溶液の調製 「7. pH 計と pH 緩衝溶液」で調製した溶液を用いる。 (3) フェノールフタレイン指示薬 ( 用意してあるものを用いる ) フェノールフタレイン0.1012 g をエタノール 100 mL に溶かす。 フェノールフタレインによる変色域 (pH 8.3∼10.0) (4) メチルオレンジ指示薬 ( 用意してあるものを用いる ) メチルオレンジ0.1 g をイオン交換水 100 mL に溶かす。 メチルオレンジによる変色域 (pH 3.1∼4.4) 強塩基で滴定したとき 【実験操作】 (実験1)酢酸の水酸化ナトリウムによる滴定曲線の測定 (1) 20 mL ホールピペットを用い、0.1 mol/L 酢酸水溶液をとり、300 mL のビーカーに移す。100 mL メ スシリンダーを用い、イオン交換水80mL を加えて 100 mL とする。 (2) 回転子を入れてマグネティックスターラーで攪拌しながら、最初の pH を測定する (0.02 mol/L 溶 液に対応する)。 (3) 指示薬 1, 2 滴を加え、攪拌しながら、0.2 M 水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。最初少量の NaOH を滴下して何点かpH を測定し、その後 1 mL 加えるごとに pH を測定し、横軸-NaOH の滴定量、 縦軸-pH の滴定曲線をプロットする。 (4) 終点に近づくにつれて pH が大きく変動するので、適当な大きさの pH 変化が得られるように滴定 量をへらしていく(ただしあまり細かくとる必要はない)。pH = 11 位まで滴定する。 (5) 指示薬の変色点を記録する。滴定は 1 回でよい。 (実験2)マレイン酸の水酸化ナトリウムによる滴定曲線の測定 (1) マレイン酸溶液について、(実験 1)と同様に滴定曲線をプロットする。 (2) 20 mL ホールピペットを用い、0.038 mol/L マレイン酸水溶液をとり、300 mL のビーカーに移す。 100 mL メスシリンダーを用い、イオン交換水 80 mL を加えて 100 mL とする。 (3) 回転子を入れて攪拌しながら、最初の pH を測定する。指示薬 1, 2 滴を加え、攪拌しながら、0.2 M 水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。pH 11 位まで滴定する。指示薬の変色点を記録する。 (4) 時間があればマレイン酸の異性体であるフマル酸の滴定曲線を測定する。 【考察と課題】 (a) 滴定曲線と実測値を一つのグラフにプロットし比較検討する。 (b) 実測の滴定曲線を微分して、中和点を求める。 (c) 最小二乗法による曲線あてはめを行い、酸解離定数を求める。

(28)

参考資料 1 <エクセルで微分曲線> pH と滴定率 a ( = CB /CA ) の差分の比を計算することにより、近似的な微分係数の値が得られる。 参考資料 2 <エクセルで最小二乗法 ̶ ソルバーを利用> (1) セル B1 に酢酸のモル濃度の理想値Ca、セル B3 には pKaの理論値、セル B2 には数式「=power(10,-B3)」を入力。 (2) セル F5 以下に NaOH(モル濃度Cb)の滴下量Vb、セル A5 およびセルH5 以下に pH の測定値を入力。セル G5 以下には 滴定率CbVb/CaVaの計算式を入力。滴定率(測定)と pH の関係をプロットして、計算と比較する。 (3) 滴定率(測定)と滴定率 (計算)の差の 2 乗(残差の2乗)の計算式をセル I5 以下に入力 (4) 最小二乗フィットを行う pH の範囲について、残差の2乗の和を、セル E1 に入力。(例 =sum(I5:I21) ) (5) セル E1 をクリックして、コマンドメニュ「ツール:ソルバー」を起動。目的セル、目標値:最小値、変化させるセ ル(セルの指定は$B$1,$B$3 のように絶対表記)を確認して、実行 (図 1a)。必要であればオプションで計算法な どを指定(図 1b)。 (6) 収束した結果が表示されるので、問題が無ければ、解を記入して終了。(図 1c) ! d(pH) da " #(pH) #a ! da d(pH)" #a #(pH) エクセルの計算式 Diff1 =(A6-A5)/(B6-B5) Diff2 =(B6-B5)/(A6-A5)

(29)

(a) (c) 図 1 エクセル・ソルバーの実行画面 図 2 最小二乗フィットの結果 ( pH = 3 10 の範囲でフィット) (b)

(30)

実験6 金属イオンの定量(錯滴定)

1.目 的

エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いた錯滴定法により、水道水中の金属イオン濃度を決定す る。得られた金属イオン濃度から水の全硬度、カルシウム硬度を求める。

2.原 理

錯形成反応を利用した滴定法が錯滴定法である。EDTA(エチレンジアミン四酢酸)1)に代表され るアミノポリ酸類は、アルカリ金属を除くほとんどの金属イオンと安定な水溶性の錯体(キレート 化合物)2)を生成する。このことから、これらの試薬(キレート剤)を標準液として用いる錯滴定が実 用的に広く確立されている。錯滴定はキレート滴定と呼ばれることが多い。EDTA(H4Y)は金属イ オンと1:1の錯体を形成するので、キレート剤としてEDTA を用いた場合の滴定は Mn++Y4‐ MYn‐4の反応を応用している。反応するEDTA と金属イオンのモル数は等モルであり、滴定に要

するEDTA のモル数と被滴定液の金属イオンのモル数は等しいことになる。EDTA は H4Y=H++H3Y

H 3Y‐=H++H2Y2‐、H2Y2‐=H++HY3‐、HY3‐=H++Y4‐のように多段解離するので、分析目的金 属イオンと反応させる場合、溶液のpH の選定が重要である。上記のように Y4‐と金属イオンの反 応は H+との競争反応であり、pH の高い方が錯体の生成には有利である。しかし、金属イオンは pH が高くなると水酸化物として沈殿する場合があるので、金属の種類によって適切な pH で滴定 しなければならない。 滴定の終点決定には指示薬(HmIn)を用いるのが一般的である。指示薬もキレート剤であり、こ れが金属イオンと錯体を形成している場合とそうでない場合の色の違いを利用する。このことか らキレート滴定での指示薬は金属指示薬とも呼ばれる。また、この指示薬(HmIn)は弱酸であり、 その色は溶液のpH によって異なる。このことからもキレート滴定においては溶液の pH を緩衝液 によってある範囲に保つ必要がある。例えば、pH10 でエリクロムブラック(BT)3)(三塩基酸なので H3In と表す)を用いて Mg2+を滴定する場合、このpH では青色の HIn2‐がMg2+と反応して赤紫色の

MgIn‐を生成する。この錯体はマグネシウムの EDTA 錯体より不安定なので、EDTA が過剰にな れば下記の反応式のようにMgIn‐MgY2に変化し、HIn2‐が生成するので青色を示す。

MgIn‐Y4‐ → MgY2‐HIn2‐OH 1)

3.実験

実験器具および試薬 時計皿、100mL ビーカー、500mL ビーカー、500mL メスフラスコ、50mL ホールピペット、15mL ホールピペット、25mL ビュレット、300mL コニカルビーカー、試薬瓶 EDTA・2Na、炭酸カルシウム、塩酸、水酸化カルシウム、NN 指示薬粉末、アンモニア水、塩化ア ンモニウム、BT 粉末、塩化ヒドロキシルアミン、メタノール ‐

(31)

実験手順 A. 標準溶液の調製と標定 水道水の滴定に用いるEDTA 溶液の濃度を求める必要がある。このためにカルシウム標準溶液 を調製し、錯滴定によりEDTA の標定を行う。 (1) EDTA 標準溶液とカルシウム標準溶液の調製 ①試薬特級 EDTA・2Na(EDTA の遊離酸 H4Y は水に溶けにくく、四ナトリウム塩 Na4Y は潮解性 があり、一般に二ナトリウム塩 Na2H2Y が用いられる。)を約 1.9g をはかり取り、純水 500mL に 溶解させ、500mL 試薬瓶に保存する。 以下②∼⑦は2 人で行う。 ②炭酸カルシウム約0.5g を時計皿に取り、電子天秤で正確に秤量する。 ③その炭酸カルシウムを 500mL ビーカーに移し、時計皿だけを正確に測る。(この時の重量差が 採取した炭酸カルシウムの量になる。) ④炭酸カルシウムの入った500mL ビーカーに、水を約 10mL 加える。 ⑤これをドラフト内で濃塩酸約2.5mL を加えることで炭酸カルシウムを完全に溶解させる。 ⑥500mL メスフラスコに移し、標線まで純水を加え、カルシウム標準溶液とする。これを 500mL 試薬瓶に保存する。(ビーカーに炭酸カルシウム分が残らないように水で洗い、メスフラスコに移 す。) ⑦溶液中のカルシウム濃度を計算せよ。 (2) EDTA の標定 ①カルシウムの標準溶液15mL をホールピペットで 300mL コニカルビーカーに分取し、純水を加 えて約50mL とする。 ②pH10 の緩衝溶液3)2mL、続いて BT 指示薬4)2∼3 滴を加える。 ③とも洗いを済ませたビュレットに0mL の位置まで EDTA 溶液を入れ、コニカルビーカーを振り ながら滴定を行う。 ④指示薬の変色は赤→青で、終点近くになると紫色になるので、よく振り混ぜながら 1 滴ずつ注 意深くEDTA 溶液を滴下する。溶液に赤みが完全になくなったときを終点とする。 ⑤滴定誤差 0.03mL のものを 3 個そろえ、平均値を求める。 ⑥EDTA 濃度を計算せよ。 B. 水道水中のカルシウム、マグネシウムイオンの定量 pH 10 で BT 指示薬を用いて EDTA を滴定すればマグネシウムイオンもカルシウムイオンと同様 に滴定可能である。よってpH 10 ではカルシウムイオンとカルシウムイオンの合計量が得られる。 ①水道水50mL をホールピペットで 300mL のコニカルビーカーにとる。

②これをA‐(2)の EDTA の標定法と同じ要領で EDTA 標準溶液を用いて滴定する。 ③カルシウムイオンとマグネシウムイオンを合わせたモル濃度を求める。

(32)

C. 水道水中のカルシウムイオンの定量 同じ試料水をpH 13 とした場合、マグネシウムイオンは Mg(OH)2となり沈殿するためEDTA と は反応しない。よって、この条件下でのEDTA による滴定ではカルシウムイオンのみが定量可能 となる。 ①水道水50ml をホールピペットで 300mL のコニカルビーカーに分取し、8M KOH 溶液を 2mL 加 えることでpH を 13 にする。 ②ときどき振り混ぜながら3∼5 分間放置する。 ③NN 指示薬粉末を耳かき一杯程度加えて EDTA 標準溶液で滴定し(終点の変色は赤→青)、カルシ ウムイオンのモル濃度を求める。

4.結 果

得られたデータより水道水の全硬度とカルシウム濃度を計算する。 水の全硬度とは、水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンを合わせたモル濃度(mol/L)を、 炭酸カルシウム(CaCO3)の全重量濃度(g/g)に換算し、百万分率(ppm6))で表したものである。すなわ ちマグネシウムイオンをカルシウムイオンとみなし、全て炭酸カルシウムとして計算することに なる。カルシウム硬度は水中のカルシウムイオンを炭酸カルシウム7)のppm に換算したものであ る。

5.考 察

錯滴定の原理について考える。溶液の色調が変化するのはなぜか、また変化が見にくいのはな ぜか。この水道水の硬度は、一般的なレベルから見て高いか低いか。それはどんな要因によるも のか。

6.問 題

問1.次の用語の意味を説明しなさい。 (a) 錯体 (b) キレート試薬 (c) 置換活性錯体 問2.緩衝液について説明せよ。特に pH が一定に保たれる理由を、適当な反応式を使って説明 しなさい。 問3.この実験で使用する緩衝液が、なぜpH 10 となるのか、説明しなさい。濃アンモニア水の 比重は 0.90 であり、アンモニア濃度は 28wt%とする。またアンモニアの解離定数は 1.8×10‐5である。 問4.この実験の滴定において色調の変化をもたらす反応は次のように書き表すことができる。 この反応についてpH と色調の関係を中心に説明せよ MIn‐HY3‐ MY2‐HIn2‐ 赤 青

(33)

参 考

1) EDTA の構造式 2) EDTA 錯体の構造 (6 配位の場合) 3) 緩衝液にはいくつかの種類があるが、この実験では濃アンモニア水 57mL に塩化アンモニウム 7g を加え、100mL に希釈して調製したものを用いる。 4) BT 粉末 ( 1-(ヒドロキシ-2-ナフチルアゾ)-6-ニトロ-2-ナフトール-4-スルホン酸。構造式は下図 ) を0.5g と塩酸ヒドロキシルアミン 4.5g をメタノール 100mL に溶解し、冷暗所に保存する。 5) NN(1-(2-ヒオロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、構造式は下図) 指示薬を NaCl または KNO3と 1:100 の割合で混合したもの 6) この実験では式(2)より 1mol/L=分子量×103ppm 特に炭酸カルシウムの場合は、1[mol/L]=100.09×103=1.0009×105[ppm] 7) 炭酸カルシウムの分子量:100.09 (2)

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